以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
(実施形態1)
「容量素子の構成」
図1は、実施形態1に係わる容量素子の構成を示す断面図である。以下、図1を参照して容量素子55の構成を説明する。尚、以下の説明で参照する各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。又、素子基板10(図4参照)等に形成される層を説明する際、上層側或いは表面側とは素子基板10の基板本体10w(図4参照)が位置する側とは反対側(対向基板20(図4参照)が位置する側)を意味し、下層側とは素子基板10の基板本体10wが位置する側を意味する。又、対向基板20等に形成される層を説明する際、上層側或いは表面側とは対向基板20の基板本体20wが位置する側とは反対側(素子基板10が位置する側)を意味し、下層側とは対向基板20の基板本体20wが位置する側を意味する。
容量素子55は、第一電極4aと第二電極5aと誘電体膜40とを備えている。誘電体膜40は、第一電極4aと第二電極5aとの間に設けられ、酸化珪素膜40SOとシリケート膜40SLと金属酸化膜40MOとを含んでいる。酸化珪素膜40SOは、第一電極4aと第二電極5aとの間に設けられ、好適例としては、第一電極4aの上面に形成される。シリケート膜40SLは、酸化珪素膜40SOよりも誘電率が高く、酸化珪素膜40SOと第二電極5aとの間に設けられる。具体的に、シリケート膜40SLは酸化珪素膜40SOの上面に形成されている。金属酸化膜40MOはシリケート膜40SLよりも誘電率が高く、シリケート膜40SLと第二電極5aとの間に設けられる。具体的に、金属酸化膜40MOはシリケート膜40SLの上面に形成されている。金属酸化膜40MOの上面に第二電極5aが形成される。酸化珪素膜40SOの膜厚は1nm程度以上10nm程度以下が好ましく、本実施形態では2nm程度となっている。又、シリケート膜40SLの膜厚は1nm程度以上3nm程度以下が好ましく、本実施形態では2nm程度となっている。更に、金属酸化膜40MOの膜厚は10nm程度以上30nm程度以下が好ましく、本実施形態では20nm程度となっている。
シリケート膜40SL(珪酸塩膜)とは、一般式xMI 2O・ySiO2で表される化合物であり(酸化数が2、3であるMIIO、MIII 2O3に相当する物もある)、MIとMIIとMIIIとは、シリケート膜40SLに含まれる金属元素を表している。本実施形態におけるシリケート膜40SLは、金属酸化膜40MOに含まれている金属元素と同じ種類の金属元素を含んでいる。具体的に、シリケート膜40SLと金属酸化膜40MOとに含まれている金属元素は、第4属元素、又はストロンチウム(Sr)、又はイットリウム(Y)、又はランタン(La)、又はタンタル(Ta)、である事が好ましく、更に、第4属元素としてはチタン(Ti)、又はジルコニウム(Zr)、又はハフニウム(Hf)が最適である。従って、シリケート膜40SLがハフニウムシリケートである場合には、金属酸化膜40MOは酸化ハフニウムとなる。同様に、シリケート膜40SLがジルコニウムシリケートである場合には、金属酸化膜40MOは酸化ジルコニウムとなる。或いは、シリケート膜40SLがチタンシリケートである場合には、金属酸化膜40MOは酸化チタンとなる。
シリケート膜40SLと金属酸化膜40MOとに含まれている金属元素は、上述の様に金属元素が一種類でも良いし、金属元素が複数種類であっても良い。例えば、シリケート膜40SLと金属酸化膜40MOとに含まれている金属元素がジルコニウムとハフニウムとの二種類の場合、シリケート膜40SLはジルコニウムハフニウムシリケートとなり、金属酸化膜40MOは酸化ジルコニウムと酸化ハフニウムとの混合膜となる。又、シリケート膜40SLと金属酸化膜40MOとが上述の金属元素を含んでいれば、その他の金属元素を含んでいても良い。例えば、シリケート膜40SLと金属酸化膜40MOとに含まれている金属元素がアルミニウム(Al)とハフニウムとの二種類の場合、シリケート膜40SLはアルミノハフニウムシリケートとなり、金属酸化膜40MOは酸化アルミニウムと酸化ハフニウムとの混合膜となる。
こうした構成とする事で、金属酸化膜40MOはシリケート膜40SLよりも誘電率が高くなり、シリケート膜40SLは酸化珪素膜40SOよりも誘電率が高くなる。一例としては、酸化ハフニウム膜の比誘電率は結晶構造に依存して15から25程度の範囲にあり、ハフニウムシリケート膜40SLの比誘電率は組成比に依存して8から11程度の範囲にある。従って、酸化ハフニウム膜の比誘電率はハフニウムシリケート膜40SLの比誘電率よりも高く、ハフニウムシリケート膜40SLの比誘電率(8から11程度)は酸化珪素膜40SOの比誘電率3.9よりも高い。同様に、酸化ジルコニウム膜の比誘電率は結晶構造に依存して15から25程度の範囲にあり、ジルコニウムシリケート膜40SLの比誘電率は組成比に依存して8から11程度の範囲にある。従って、酸化ジルコニウム膜の比誘電率はジルコニウムシリケート膜40SLの比誘電率よりも高く、ジルコニウムシリケート膜40SLの比誘電率(8から10程度)は酸化珪素膜40SOの比誘電率3.9よりも高い。尚、物質の誘電率と真空の誘電率との比がその物質の比誘電率である。こうすると、誘電体膜40の平均誘電率を酸化珪素膜の誘電率よりも高める事ができるので、配線層を増やさずに、又、容量素子55の面積を増やさずに、容量素子55の容量値を大きくする事ができる。
「容量素子の製造方法」
図2は、実施形態1に係わる容量素子の製造方法を示す工程断面図である。以下、図2を参照して容量素子55の製造方法を説明する。
本実施形態に係わる容量素子55の製造方法は、第一導電膜4afを形成する工程と、第一導電膜4af上に酸化珪素膜を形成する工程と、酸化珪素膜40SO上に金属膜Mfを形成する工程と、酸化性雰囲気下にて金属膜Mfの上層側を酸化して金属酸化膜40MOを形成する工程と、熱処理を施し、金属膜Mfの下層側と酸化珪素膜40SOの上層側とで固相反応させてシリケート膜40SLを形成する工程と、金属酸化膜40MO上に第二導電膜5afを形成する工程と、を含んでいる。
第一導電膜4afを形成する工程では、図2(a)に示す様に、容量素子55を形成する基板(図2には図示せず)に第一導電膜4afを物理気相堆積法(PVD法、蒸着法やスパッター法)や化学気相堆積法(CVD法、低圧化学気相堆積法やプラズマ化学気相堆積法、常圧化学気相堆積法)などを用いて成膜する。この第一導電膜4afは、後に容量素子55の第一電極4aとなる。後述する様に、シリケート膜40SLや金属酸化膜40MOを形成するのに800℃程度以上の高温熱処理が施されるので、この第一導電膜4afは、耐熱性が1000℃以上ある事が好ましい。従って、第一導電膜4afに金属が用いられる際には耐熱合金が使用され、金属以外が用いられる際には半導体や半導体の化合物などが第一導電膜4afとして使用され得る。耐熱合金としては、モリブデン(Mo)やタングステン(W)、ニオブ(Nb)等の高融点金属の合金や、ニッケル(Ni)やコバルト(Co)を主成分とする合金、或いは窒化ハフニウム(HfN)や窒化ジルコニウム(ZrN)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)等の窒化金属、などを使用する事ができる。半導体を第一導電膜4afとして利用する場合には、半導体にドナー又はアクセプターとなる元素を添加して、縮体半導体とする。一例としては燐(P)や硼素(B)をシリコン膜に1×1020cm-3以上添加すると、第一導電膜4afとして機能する。又、タングステンシリサイドやモリブデンシリサイド等の金属とシリコンとの化合物も第一導電膜4afとして使用する事ができる。本実施形態では、フォスフィン(PH3)とモノシラン(SiH4)とを原料気体として低圧化学気相堆積法(LPCVD法)にて、燐(P)をシリコン膜に1×1020cm-3以上添加した燐含有多結晶シリコン膜を成膜し、これを第一導電膜4afとした。
次いで、酸化珪素膜を形成する工程では、図2(a)に示す様に、第一導電膜4af上に酸化珪素膜40SOを物理気相堆積法や化学気相堆積法などを用いて成膜する。酸化珪素膜40SOは容量素子55を構成する酸化珪素膜40SO(図1に記載の酸化珪素膜40SO)よりも厚く成膜する。これは後に酸化珪素膜40SOの上層側の一部が固相反応によりシリケート膜40SLに変わる為である。酸化珪素膜を形成する工程では、酸化珪素膜40SOを4nm程度以上11nm程度以下の膜厚に成膜する。後述する様に、本実施形態ではシリケート膜40SLが最大で3nm程度の膜厚に形成されるので、酸化珪素膜を形成する工程で酸化珪素膜40SOを4nm程度以上の膜厚に成膜すれば、容量素子55を構成する酸化珪素膜40SOの膜厚は少なくとも1nm程度以上となる。従って、酸化珪素膜を形成する工程で酸化珪素膜40SOを4nm程度以上の膜厚に成膜すれば、容量素子55には確実に酸化珪素膜40SOが残る事になる。酸化珪素膜40SOはシリケート膜40SLより絶縁性に優れているので、こうする事で、容量素子55の絶縁性を高める事ができる。又、本実施形態ではシリケート膜40SLが最小で1nm程度の膜厚に形成されるので、酸化珪素膜を形成する工程で酸化珪素膜40SOを11nm程度以下の膜厚に成膜すれば、容量素子55を構成する酸化珪素膜40SOは厚くとも10nm程度以下となり、容量値の大きい容量素子55を形成する事ができる。本実施形態では、モノシラン(SiH4)と亜酸化窒素(N2O)を原料気体としてプラズマ化学気相堆積法(PEPCVD法)にて、厚さ4nmの酸化珪素膜40SOを成膜した。
次いで、金属膜Mfを形成する工程では、図2(a)に示す様に、物理気相堆積法を用いて、酸化珪素膜40SO上に金属膜Mfを成膜する。金属膜Mfは、後述するシリケート膜40SLを形成する工程と金属酸化膜40MOを形成する工程とが終了した後に、金属膜Mfの全体がシリケート膜40SLか金属酸化膜40MOかのいずれかに変わり、金属膜Mfを形成する工程で形成された金属膜Mfが消滅する膜厚に成膜するのが好ましい。こうすると、容量素子55では、導電性の金属膜Mfが誘電体膜40中に存在しなくなり、容量素子55の絶縁性を高める事ができる。具体的には、金属膜Mfは3nm程度以上19nm程度以下の膜厚に成膜する。金属膜Mfの膜厚が3nm程度以上あれば、容量素子55にシリケート膜40SLと金属酸化膜40MOとを構成する事ができる。金属膜Mfの膜厚が19nm程度以下であれば、金属酸化膜40MOを形成する工程を1000℃で30分間行った場合に、金属膜Mfの全体をシリケート膜40SLか金属酸化膜40MOかのいずれかに変える事ができる。
次いで、図2(b)に示す様に、酸化性雰囲気下にて金属膜Mfの上層側を酸化して金属酸化膜40MOを形成する工程と、熱処理を施し、金属膜Mfの下層側と酸化珪素膜40SOの上層側とで固相反応させてシリケート膜40SLを形成する工程と、を施す。上述の如く、シリケート膜40SLを形成する工程では、酸化珪素膜40SOの上層側となる一部にて固相反応が行われ、酸化珪素膜40SOの下層側となる一部では、固相反応が行われない事が好ましい。こうする事でシリケート膜40SLを形成する工程が終了した後に、第一電極4aとシリケート膜40SLとの間に酸化珪素膜40SOが残る事になる。
本実施形態では、金属酸化膜40MOを形成する工程とシリケート膜40SLを形成する工程とが同一工程にて行われ、この同一工程では少なくともシリケート膜40SLの上端と金属酸化膜40MOの下端とが接する迄、金属膜Mfの酸化又は固相反応が継続される事が好ましい。こうする事で、同一工程が終了した後に、金属膜Mfはシリケート膜40SLか金属酸化膜40MOかのいずれかに変わり、金属膜Mfを形成する工程で形成された金属膜Mfは消滅する事になる。導電性の金属膜Mfが消滅し、絶縁性のシリケート膜40SLと金属酸化膜40MOとの膜厚が増すので、容量素子55の絶縁性を高める事ができる。
酸化珪素膜40SOの上側の一部分にてシリケート化が促進されるので、図2(a)に示す酸化珪素膜を形成する工程で形成された酸化珪素膜40SOの膜厚と、図2(b)に示すシリケート膜40SLの膜厚と酸化珪素膜40SOの膜厚との和と、図2(c)に示すシリケート膜40SLの膜厚と酸化珪素膜40SOの膜厚との和と、がほぼ等しくなる。より正確には、酸化珪素膜40SOに金属元素が拡散して、シリケート膜40SLが形成され、更には酸素もシリケート膜40SLの部位に拡散されて、シリケート化の固相反応に関与する場合もあり得る。その為に、図2(a)に示す酸化珪素膜を形成する工程で形成された酸化珪素膜40SOの膜厚よりも、図2(b)に示すシリケート膜40SLの膜厚と酸化珪素膜40SOの膜厚との和の方が僅かに厚くなる。又、図2(b)に示すシリケート膜40SLの膜厚と酸化珪素膜40SOの膜厚との和よりも、図2(c)に示すシリケート膜40SLの膜厚と酸化珪素膜40SOの膜厚との和の方が僅かに厚くなる。
尚、金属酸化膜40MOを形成する工程は酸化性雰囲気下での熱処理であるので、金属酸化膜40MOを形成する工程を開始するとは、容量素子55を形成する基板を熱処理炉に挿入し始める事を意味し、金属酸化膜40MOを形成する工程が終了するとは、容量素子55を形成する基板を熱処理炉から取り出す事を意味する。一方、金属酸化膜40MOが形成される金属の酸化反応は酸化性雰囲気下で所定の温度(第一の温度)から顕著となり、金属酸化膜40MOが形成される金属の酸化反応が停止するのは、酸化性雰囲気に応じた別の所定の温度(第二の温度)となる。同じ酸化性雰囲気であれば、金属酸化膜40MOが存在する分だけ、一般に第二の温度の方が第一の温度よりも高くなる。同様に、シリケート膜40SLを形成する工程も酸化性雰囲気下での熱処理であるので、シリケート膜40SLを形成する工程を開始するとは、容量素子55を形成する基板を熱処理炉に挿入し始める事を意味し、シリケート膜40SLを形成する工程が終了するとは、容量素子55を形成する基板を熱処理炉から取り出す事を意味する。一方、シリケート膜40SLが形成される金属拡散とその後の酸化珪素膜40SOとの固相反応は、更に別の所定の温度(第三の温度)から顕著となり、シリケート膜40SLが形成される金属拡散とその後の酸化珪素膜40SOとの固相反応が停止するのは、更に別の所定の温度(第四の温度)となる。シリケート膜40SL中を金属元素が拡散せねばならない分だけ、一般に第四の温度の方が第三の温度よりも幾分高くなるが、第三の温度と第四の温度とは同じ程度の値となる。第一の温度と第三の温度とでは、第一の温度の方が低く、同一工程でも酸化反応の方が固相反応よりも低温で開始される。又、第二の温度と第四の温度とでは、第二の温度の方が低く、同一工程でも固相反応の方が酸化反応よりも先に(より高温で)停止される。この様に、同一工程であっても、酸化反応が始まる温度と固相反応が始まる温度とは異なり、又、酸化反応が停止する温度と固相反応が停止する温度とは異なる。
金属膜Mfと酸化珪素膜40SOとの積層構造膜を酸化性雰囲気中で熱処理すると、酸化珪素膜40SO中への金属元素の固相拡散が誘起され、金属とシリコンとの固相反応が促される。この反応現象により、酸化珪素膜40SOより比誘電率が高く、かつ絶縁性に優れるシリケート膜40SLが形成される。同時に金属膜Mfの上層側では、金属酸化膜40MOが形成される事になる。尚、酸化性雰囲気とは金属を酸化可能な雰囲気で、具体的には酸素含有雰囲気である。酸素含有雰囲気は純酸素雰囲気(酸素濃度がほぼ100%)の他に、不活性気体中に酸素が適度の割合で含まれた雰囲気や、酸素と水とを含んだ雰囲気、或いは、酸素と水と酸(塩酸など)とを含んだ雰囲気などである。本実施形態では、純酸素雰囲気下にて同一工程を行った。
金属酸化膜40MOを形成する工程とシリケート膜40SLを形成する工程とは、シリケート膜40SLの膜厚が1nm程度以上3nm程度以下となり、金属酸化膜40MOの膜厚が10nm程度以上30nm程度以下となる様に行うのが好ましい。一例としては、金属酸化膜40MOを形成する工程とシリケート膜40SLを形成する工程とは、工程での処理時間を30分程度とした場合、処理温度を800℃程度以上から1000℃程度以下の範囲とする。
本願発明者が鋭意研究したところによると、金属元素としてハフニウムやジルコニウムを用い、金属酸化膜40MOを形成する工程を酸素分圧が1気圧の純酸素雰囲気下にて行った場合、800℃30分の熱処理では、8.2nmの金属膜Mfが13.1nmの金属酸化膜40MOへと変わり、900℃30分の熱処理では、12.4nmの金属膜Mfが19.7nmの金属酸化膜40MOへと変わり、1000℃30分の熱処理では、18.7nmの金属膜Mfが29.7nmの金属酸化膜40MOへと変わった。又、金属元素としてハフニウムやジルコニウムを用いてシリケート膜40SLを形成する工程を行った場合、800℃30分の熱処理では、酸化珪素膜40SOの上層側約1nmがシリケート膜40SLへと変わり、900℃30分の熱処理では、酸化珪素膜40SOの上層側約2nmがシリケート膜40SLへと変わり、1000℃30分の熱処理では、酸化珪素膜40SOの上層側約3nmがシリケート膜40SLへと変わった。従って、金属膜Mfの膜厚を9nm程度以下としておけば、800℃以上の温度で30分以上の同一工程の処理を施すと、金属膜Mfの全体をシリケート膜40SL又は金属酸化膜40MOと変える事ができる。又、金属膜Mfの膜厚を19nm程度以下としておけば、1000℃以上の処理温度で30分以上の同一工程の処理を施すと、金属膜Mfの全体をシリケート膜40SL又は金属酸化膜40MOと変える事ができる。
酸化珪素膜を形成する工程で成膜された酸化珪素膜40SOの膜厚が4nmから11nmの範囲にあり、金属膜Mfを形成する工程で成膜された金属膜Mfの膜厚が9nm程度であり、同一工程の処理を800℃で30分間行った後には、酸化珪素膜40SOの膜厚は3nmから10nmとなり、シリケート膜40SLは約1nmの膜厚となり、金属酸化膜40MOの膜厚は約13nmとなる。同様に、酸化珪素膜を形成する工程で成膜された酸化珪素膜40SOの膜厚が4nmから11nmの範囲にあり、金属膜Mfを形成する工程で成膜された金属膜Mfの膜厚が13nm程度であり、同一工程の処理を900℃で30分間行った後には、酸化珪素膜40SOの膜厚は2nmから9nmとなり、シリケート膜40SLは約2nmの膜厚となり、金属酸化膜40MOの膜厚は約20nmとなる。又、酸化珪素膜を形成する工程で成膜された酸化珪素膜40SOの膜厚が4nmから11nmの範囲にあり、金属膜Mfを形成する工程で成膜された金属膜Mfの膜厚が19nm程度であり、同一工程の処理を1000℃で30分間行った後には、酸化珪素膜40SOの膜厚は1nmから8nmとなり、シリケート膜40SLは約3nmの膜厚となり、金属酸化膜40MOの膜厚は約30nmとなる。
金属膜Mfを形成する工程で成膜された金属膜Mfの全体がシリケート膜40SL又は金属酸化膜40MOと変えられた後に、図2(c)に示す様に、金属酸化膜40MO上に第二導電膜5afを形成する工程を行う。第二導電膜5afも、第一導電膜4afと同様に、物理気相堆積法や化学気相堆積法などを用いて成膜される。この第二導電膜5afは、後に容量素子55の第二電極5aとなる。第二導電膜5afは、導電性であれば、いかなる材質であっても使用可能だが、第一導電膜4afと同じ材質にするのが好ましい。第一導電膜4afと第二導電膜5afとが同じ材質であると、第一電極4aの仕事関数と第二電極5aの仕事関数とが等しくなるので、第一電極4aの電位と第二電極5aの電位とを等しくした際に(例えば、電源を切った状態などで)誘電体膜40に電界が生じる事がなく、容量素子55の信頼性を高め寿命を伸ばす事が可能になる。又、後に図3を用いて説明する様に、容量素子55が電気光学装置に使用され、第一電極4aと第二電極5aとの一方の電極に共通電位Vcomが供給され、他方の電極に共通電位Vcomに対して正負となる信号電位を供給した場合(極性反転駆動と称する)、駆動が対称になり、高品位な画像を表示する事ができる。本実施形態では、第二導電膜5afは第一導電膜4afと同じ燐含有多結晶シリコン膜とし、第一導電膜4afと同じ製造方法で製造した。即ち、第二導電膜5afは、燐(P)をシリコン膜に1×1020cm-3以上添加した燐含有多結晶シリコン膜である。尚、ここで「膜Aと膜Bとが同じ材質」とは、膜Aと膜Bとで同じ材料が用いられており、かつ膜Aと膜Bとで仕事関数がほぼ同じになる事を意味する。
第二導電膜5afを形成した後に、第二導電膜5afと誘電体膜40と第一導電膜4afとをパターニング加工して容量素子55とする。第二導電膜5afと誘電体膜40と第一導電膜4afとを一括してエッチングするには、原料気体として三塩化硼素(BCl3)と塩素(Cl2)との混合気体を用いてプラズマエッチング法を適応する。この際に、塩素濃度を60%とし、プラズマエッチング時の圧力を2mTorrとすると、燐含有多結晶シリコン膜のエッチングレートが向上し、好ましい。この様にして、配線層や容量素子55の面積を増やさずに、簡単な製造方法にて、容量値の大きい容量素子55が製造される。
「半導体装置と電気光学装置」
図3は、実施形態1に係わる液晶装置の電気的構成を示すブロック図である。以下、図3を参照して、実施形態1に係わる半導体装置(一例として画素100a)と電気光学装置(一例として液晶装置100)の電気的な構成を説明する。半導体装置(画素100a)は、上述の容量素子55又は上述の製造方法にて製造された容量素子55と、トランジスター素子30と、を備えている。又、電気光学装置(液晶装置100)はこうした半導体装置を備えている。
液晶装置100は、本実施形態では、TN(Twisted Nematic)モードやVA(Vertical Alignment)モードを利用している。図3に示す様に、こうした液晶装置100では、その中央領域に複数の画素100aが行列状に配列され、画像表示領域10a(画素配列領域/有効画素領域)を為している。液晶装置100は素子基板10(図4参照)を有する。素子基板10において、画像表示領域10aの内側で複数本のデータ線6aと、これらのデータ線6aと交差する複数本の走査線3aが縦横に延びており、それらの交差部分に対応する位置に画素100aが構成されている。画素100aの各々には、容量素子55とトランジスター素子30と画素電極9aとが設けられている。トランジスター素子30には電界効果型の薄膜トランジスター(TFT)が用いられる。トランジスター素子30のソースにはデータ線6aが電気的に接続され、トランジスター素子30のゲートには走査線3aが電気的に接続され、トランジスター素子30のドレインには、画素電極9aと容量素子55とが電気的に接続されている。尚、電界効果型トランジスターにおけるソースとドレインとは電位に応じて入れ替わり得るが、ここでは説明の便宜を図る為に、画素電極9aと容量素子55とが接続されている側をドレインとし、データ線6aが接続されている側をソースとしている。この様にして、液晶装置100では、複数の画素100aの各々に対応して複数の画素電極9a及び複数のトランジスター素子30と複数の容量素子55とが形成されている。尚、半導体装置を構成するトランジスター素子30は、電界効果型トランジスターに限らず、バイポーラトランジスターなどのその他のトランジスターであっても構わない。
素子基板10において、画像表示領域10aより外周側には走査線駆動回路104やデータ線駆動回路101が設けられている。データ線駆動回路101は各データ線6aに電気的に接続しており、不図示の画像処理回路から供給される画像信号を各データ線6aに順次供給する。走査線駆動回路104は、各走査線3aに電気的に接続しており、走査信号を各走査線3aに順次供給する。
各画素100aにおいて、画素電極9aは、後述する対向基板20(図4参照)に形成された共通電極21(図4参照)と液晶50(図4参照)を介して対向し、液晶容量50aを構成している。又、各画素100aには、液晶容量50aで保持される画像信号の変動を防ぐ為に、液晶容量50aと並列に容量素子55が付加されている。本実施形態では、容量素子55を構成する為に、素子基板10には、複数の画素100aに跨って延在する容量線5bが形成されており、容量線5bは、共通電位Vcomが印加された定電位配線7rに導通している。
尚、半導体装置は、電気光学装置の画素100a以外にも様々な分野で適応され、例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリー(DRAM)の記憶素子とされても良い。配線層も容量素子55の面積も増やさずに、容量素子55の容量値が大きくなるので、半導体装置の微細化や高集積化、スケーリング則に則した高性能化が実現される。又、配線層が増加せず、簡単な製造工程にて半導体装置を製造できるので、半導体装置の製造歩留まりが向上すると共に製造コストの上昇が抑制される。
又、電気光学装置は一例として液晶装置100を上げたが、この他に有機EL装置や電気泳動装置とされても良い。電気光学装置では、半導体装置の微細化や高集積化、高性能化が実現されるので、電気光学装置の画素における開口率が上がり、高品位な画像の表示が可能となる。更に、配線層が増加せず、簡単な製造工程にて電気光学装置を製造できるので、電気光学装置の製造歩留まりが向上すると共に製造コストの上昇が抑制される。
「液晶装置の構造」
図4は、実施形態1に係る液晶装置の構造を説明する図であり、(a)は液晶装置を各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、(b)は(a)のH−H’における断面図である。次に、図4を参照して液晶装置100の構造を説明する。尚、以下の形態において、「○○上に」或いは「○○の上層側に」と記載された場合、○○の上に接する様に配置される場合或いは○○の上層側に接する様に配置される場合、又は、○○の上に他の構成物を介して配置される場合或いは○○の上層側に他の構成物を介して配置される場合、又は、○○の上に一部が接する様に配置され一部が他の構成物を介して配置される場合或いは○○の上層側に一部が接する様に配置され一部が他の構成物を介して配置される場合、を表すものとする。
図4に示す様に、液晶装置100は、第一基板と、第一基板に対向配置された第二基板と、第一基板と第二基板との間に挟持された液晶、とを備えている。本実施形態では、第一基板を素子基板10とし、第二基板を対向基板20とするが、無論、第一基板を対向基板20とし、第二基板を素子基板10としても良い。素子基板10と対向基板20とは、所定の隙間を介してシール材107によって貼り合わされており、シール材107は対向基板20の外縁に沿う様に枠状に設けられている。シール材107は、光硬化樹脂や熱硬化性樹脂等からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビーズ等のギャップ材107aが配合されている。液晶装置100において、素子基板10と対向基板20との間のうち、シール材107によって囲まれた領域内には、液晶50が挟持されている。本実施形態では、シール材107には、液晶注入口107cとして利用される途切れ部分が形成されており、こうした液晶注入口107cは、液晶材料の注入後、封止材108によって封止されている。
こうした構成の液晶装置100において、素子基板10及び対向基板20はいずれも四角形であり、液晶装置100の略中央には、図3を参照して説明した画像表示領域10aが四角形の領域として設けられている。この画像表示領域10aの形状に対応して、シール材107も略四角形に設けられ、画像表示領域10aの外側は、四角枠状の外周領域10cになっている。
素子基板10において、外周領域10cでは、素子基板10の一辺に沿ってデータ線駆動回路101及び複数の端子電極102が形成されており、この一辺に隣接する他の辺に沿って走査線駆動回路104が形成されている。尚、端子電極102には、フレキシブル配線基板(図示せず)が接続され、素子基板10には、フレキシブル配線基板を介して各種電位や各種信号が入力される。
素子基板10の第一面10s及び第二面10tのうち、対向基板20と対向する第一面10sの側において、画像表示領域10aには、図3を参照して説明したトランジスター素子30、及びトランジスター素子30に電気的に接続する画素電極9aと容量素子55とが行列状に形成されており、こうした画素電極9aの上層側には第一の配向膜16が形成されている。
素子基板10の第一面10sの側において、画像表示領域10aより外側の外周領域10cのうち、画像表示領域10aとシール材107とに挟まれた四角枠状の周辺領域10bには、画素電極9aと同時形成されたダミー画素電極9bが形成されている。ダミー画素電極9bは、隣り合うダミー画素電極9b同士がダミー画素電極9bより細幅の連結部(図示せず)で繋がっている。又、ダミー画素電極9bは、共通電位Vcomが印加されており、画像表示領域10aの外周側端部での液晶分子の配向の乱れを防止する。又、ダミー画素電極9bは、素子基板10において第一の配向膜16が形成される面を研磨により平坦化する際、画像表示領域10aと周辺領域10bとの高さ位置の差を小さくし、第一の配向膜16が形成される面を平坦面にするのに寄与する。尚、ダミー画素電極9bに電位を印加せず、ダミー画素電極9bを電位的にフロート状態とする場合もあり、この場合でも、ダミー画素電極9bは、画像表示領域10aと周辺領域10bとの高さ位置の差を小さくし、第一の配向膜16が形成される面を平坦面にするのに寄与する。
対向基板20の第一面20s及び第二面20tのうち、素子基板10と対向する第一面20sの側には共通電極21が形成されている。共通電極21は、対向基板20の略全面或いは複数の帯状電極として複数の画素100aに跨って形成されている。本実施形態では、共通電極21は、対向基板20の略全面に形成されている。
対向基板20の第一面20sの側には、共通電極21の下層側に遮光膜29が形成され、共通電極21の表面には第二の配向膜26が積層されている。遮光膜29は、画像表示領域10aの外周縁に沿って延在する額縁部分29aとして形成されており、遮光膜29の内周縁によって画像表示領域10aが規定されている。又、遮光膜29は、隣り合う画素電極9aにより挟まれた画素間領域に重なるブラックマトリックス部29bとしても形成されている。ここで、額縁部分29aはダミー画素電極9bと重なる位置に形成されており、額縁部分29aの外周縁は、シール材107の内周縁との間に隙間を隔てた位置にある。従って、額縁部分29aとシール材107とは重なっていない。
液晶装置100において、シール材107より外側には、対向基板20の第一面20sの側の4つの角部分に基板間導通用電極25が形成されており、素子基板10の第一面10sの側には、対向基板20の4つの角部分(基板間導通用電極25)と対向する位置に基板間導通用電極19が形成されている。基板間導通用電極25は、共通電極21の一部からなる。基板間導通用電極19は、共通電位Vcomが印加された定電位配線7rに導通しており、定電位配線7rは、端子電極102のうち、共通電位印加用の端子電極102aに導通している。基板間導通用電極19と基板間導通用電極25との間には、導電粒子を含んだ基板間導通材109が配置されており、対向基板20の共通電極21は、基板間導通用電極19、基板間導通材109及び基板間導通用電極25を介して、素子基板10側に電気的に接続されている。こうして、共通電極21には、素子基板10から共通電位Vcomが印加される。シール材107は、略同一の幅寸法をもって対向基板20の外周縁に沿って設けられている。即ち、シール材107の平面視における配置形状は、略四角形となる。但し、シール材107は、対向基板20の角部分と重なる領域では基板間導通用電極19、25を避けて内側を通る様に設けられており、シール材107の角部分は略円弧状である。
液晶装置100は透過型の表示装置であり、画素電極9aや共通電極21は、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide、ITO)膜やインジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide、IZO)膜等の透光性導電膜により形成される。尚、反射型表示装置の際には、画素電極9a又は共通電極21の一方を、アルミニウム膜等の反射性導電膜により形成する。透過型の表示装置では、素子基板10及び対向基板20の一方の側(例えば素子基板10)から入射した光が、画像信号に応じて変調されて、他方の基板(例えば対向基板20)側から出射される事で画像が表示される。一方、反射型の表示装置では、素子基板10及び対向基板20の一方の側(例えば対向基板20)から入射した光が他方の基板(例えば素子基板10)で反射して出射される際に、画像信号に応じて変調されて画像を表示する。
液晶装置100は、モバイルコンピューター、携帯電話機等といった電子機器のカラー表示装置として用いることができ、この場合、対向基板20或いは素子基板10には、カラーフィルター(図示せず)が形成される。又、液晶装置100は、電子ペーパーとして用いることできる。又、液晶装置100では、使用する液晶50の種類や、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板等が液晶装置100に対して所定の向きに配置される。さらに、液晶装置100は、後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)において、RGB用のライトバルブとして用いることができる。この場合、RGB用の各液晶装置100の各々には、RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになるので、カラーフィルターは形成されない。
本実施形態では、液晶装置100が投射型表示装置のRGB用透過型ライトバルブである場合を中心に説明する。又、液晶装置100では、液晶50として、誘電異方性が負のネマチック液晶化合物が用いられ、VAモードの表示を行う場合を中心に説明する。
「画素構成」
図5は、実施形態1に係る液晶装置の画素の説明する断面図である。次に、図5を参照して画素100aの構造を説明する。
図5に示す様に、素子基板10において対向基板20と対向する第一面10sには、複数の画素100aの各々に画素電極9aが形成されている。図3に示したように、データ線6aと走査線3aとの交差に対応してトランジスター素子30が形成されており、トランジスター素子30は、データ線6aと走査線3aとの交差領域及びその付近を利用して形成されている。素子基板10には図5には不図示の容量線5b(図3参照)が形成されており、容量線5bには共通電位Vcomが印加される。トランジスター素子30の上層側には上側遮光膜7aが形成されており、上側遮光膜7aはデータ線6aに重なる様に延在している。トランジスター素子30の下層側には下側遮光膜8aが形成されており、下側遮光膜8aは、走査線3aと重なる様に直線的に延びた主線部分と、データ線6aと走査線3aとの交差部分でデータ線6aに重なる様に延びた副線部分と、を備えている。
素子基板10は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体10wの液晶50側の基板面(対向基板20と対向する第一面10s側)に形成された画素電極9a、画素スイッチング用のトランジスター素子30、容量素子55、等を主体として構成されている。
対向基板20は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20w、その液晶50側の表面(素子基板10と対向する第一面20s)に形成された遮光膜29、共通電極21、第二のパッシベーション膜28、及び第二の配向膜26を主体として構成されている。
素子基板10において、基板本体10wの第一面10s側には、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜或いは金属化合物膜等の導電膜からなる下層側の下側遮光膜8aが形成されている。下側遮光膜8aは、タングステンシリサイド(WSi)等の遮光膜からなり、液晶装置100を透過した後の光が他の部材で反射した際、こうした反射光が半導体層1aに入射してトランジスター素子30で光電流に起因する誤動作が発生することを防止する。尚、下側遮光膜8aを走査線として構成する場合もあり、この場合、後述するゲート電極3cと下側遮光膜8aを導通させた構成とする。
基板本体10wの第一面10s側において、下側遮光膜8aの上層側には、透光性の下地絶縁膜12が形成されており、こうした下地絶縁膜12の表面側に、半導体層1aを備えたトランジスター素子30が形成されている。下地絶縁膜12は、意図的に不純物を導入してない酸化珪素膜(Non−doped silicate glass、NSG膜と称する)や、或いは、燐を含む酸化珪素膜(Phospho silicate glass、PSG膜と称する)、硼素を含む酸化珪素膜(Boro silicate glass、BSG膜と称する)、硼素と燐とを含む酸化珪素膜(Boro−phospho silicate glass、BPSG膜と称する)等の酸化珪素膜(シリケートガラスも含む。)や、窒化珪素膜からなる。こうした下地絶縁膜12は、シランガス(SiH4)、二塩化シラン(SiCl2H2)、TEOS(テトラエトキシシラン/テトラ・エチル・オルソ・シリケート/Si(OC2H5)4)、TEB(テトラ・エチル・ボートレート)、TMOP(テトラ・メチル・オキシ・フォスレート)等を用いた常圧CVD法や減圧CVD法、或いはプラズマCVD法等により形成される。
トランジスター素子30は、データ線6aの延在方向に長辺方向を向けた半導体層1aと、半導体層1aの長さ方向と直交する方向に延在して半導体層1aの長さ方向の中央部分に重なるゲート電極3cとを備えており、ゲート電極3cは走査線3aの一部からなる。トランジスター素子30は、半導体層1aとゲート電極3cとの間に透光性のゲート絶縁層2を有している。半導体層1aは、ゲート電極3cに対してゲート絶縁層2を介して対向するチャネル形成領域1gを備えていると共に、チャネル形成領域1gの両側にソース領域1b及びドレイン領域1cを備えている。トランジスター素子30は、LDD構造を有している。従って、ソース領域1b及びドレイン領域1cは各々、チャネル形成領域1gの両側に低濃度領域を備え、低濃度領域に対してチャネル形成領域1gとは反対側で隣接する領域に高濃度領域を備えている。
半導体層1aは、多結晶シリコン膜等によって構成されている。ゲート絶縁層2は、半導体層1aを熱酸化した酸化珪素膜からなる第1ゲート絶縁層2aと、温度が700〜900℃の高温条件での減圧CVD法により形成された酸化珪素膜からなる第2ゲート絶縁層2bとの二層構造からなる。ゲート電極3c及び走査線3aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜或いは金属化合物膜等の導電膜からなる。本実施形態では、ゲート電極3cは、導電性のポリシリコン膜とタングステンシリサイド膜との二層構造をなしている。
ゲート電極3cの上層側には、NSG膜、PSG膜、BSG膜、BPSG膜等の酸化珪素膜等からなる透光性の第一層間絶縁膜41が形成され、第一層間絶縁膜41の上層側に容量素子55が形成されている。具体的には、第一層間絶縁膜41の上層側には、ドレイン電極4bが延在して第一電極4aとなっている。第一電極4a(ドレイン電極4b)は、前述の如く、本実施形態では、燐含有多結晶シリコン膜である。ドレイン電極4bは、第一層間絶縁膜41及びゲート絶縁層2を貫通するコンタクトホール41aを介してドレイン領域1c(画素電極9a側のソースドレイン領域)に導通している。第一電極4a(ドレイン電極4b)の上層側には、誘電体膜40が形成されている。誘電体膜40は、図1に示す様に、第一電極4a側から2nm厚の酸化珪素膜40SOと2nm厚のハフニウムシリケート膜40SLと20nm厚の酸化ハフニウム膜(金属酸化膜40MO)とが順に積層されている。こうした誘電体膜40の上層側には第二電極5aが形成され、不図示のコンタクトホールを介して容量線5bに電気的に接続されている。第二電極5aは前述の如く、本実施形態では、燐含有多結晶シリコン膜である。第二電極5aに電気的に接続する容量線5bは、窒化チタン膜、アルミニウム膜、及び窒化チタン膜との三層構造となっている。
第二電極5aの上層側には第二層間絶縁膜42が形成されており、第二層間絶縁膜42の上層側には、データ線6aと中継電極6bとが同一の導電膜により形成されている。第二層間絶縁膜42は酸化珪素膜からなる。データ線6aと中継電極6bとは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜或いは金属化合物膜等の導電膜からなる。本実施形態では、データ線6a及び中継電極6bは、アルミニウム合金膜や、窒化チタン膜とアルミニウム膜とが二層から四層に積層された膜からなる。データ線6aは、第二層間絶縁膜42、第一層間絶縁膜41及びゲート絶縁層2を貫通するコンタクトホール42aを介してソース領域1b(データ線6a側のソースドレイン領域)に導通している。中継電極6bは、第二層間絶縁膜42、第一層間絶縁膜41及びゲート絶縁層2を貫通するコンタクトホール42bを介してドレイン領域1cに導通している。
データ線6a及び中継電極6bの上層側には酸化珪素膜等からなる透光性の第三層間絶縁膜44が形成されており、こうした第三層間絶縁膜44の上層側には、上側遮光膜7a及び中継電極7bが同一の導電膜によって形成されている。第三層間絶縁膜44は、例えば、テトラエトキシシランと酸素ガスとを用いたプラズマCVD法や、シランガスと亜酸化窒素ガスとを用いたプラズマCVD法等により形成した酸化珪素膜からなり、その表面は平坦化されている。上側遮光膜7a及び中継電極7bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜或いは金属化合物膜等の導電膜からなる。本実施形態では、上側遮光膜7a及び中継電極7bは、アルミニウム合金膜や、窒化チタン膜とアルミニウム膜とが二層から四層に積層された膜からなる。中継電極7bは、第三層間絶縁膜44を貫通するコンタクトホール44aを介して中継電極6bに導通している。上側遮光膜7aは、データ線6aと重なる様に延在しており、遮光膜として機能している。尚、上側遮光膜7aを容量線5bと導通させて、シールド層として利用してもよい。
上側遮光膜7a及び中継電極7bの上層側には、酸化珪素膜等からなる透光性の第四層間絶縁膜45が形成されており、この第四層間絶縁膜45の上層側には、ITO膜からなる画素電極9aが形成されている。第四層間絶縁膜45には、第四層間絶縁膜45を貫通して中継電極7bまで到達したコンタクトホール45aが形成されており、画素電極9aは、コンタクトホール45aを介して中継電極7bに電気的に接続している。その結果、画素電極9aは、中継電極7b、中継電極6bを介してドレイン領域1cに電気的に接続している。画素電極9aの上には、第一のパッシベーション膜18が設けられている。第一のパッシベーション膜18は、酸化珪素膜にて構成され、平坦化膜として機能すると共に防湿膜ともなっている。
液晶装置100で高いコントラスト比を実現するには、画素電極9aを覆う平坦な絶縁膜(第一のパッシベーション膜18)を設け、この絶縁膜(第一のパッシベーション膜18)上に第一の配向膜16を形成するのが好ましい。従って、本実施形態では、第一のパッシベーション膜18の上面には、第一の配向膜16が形成され、第一の配向膜16は、SiOX(x<2)やSiO2等の斜方蒸着膜(傾斜垂直配向膜/無機配向膜)からなっている。高いコントラスト比を実現するには、黒表示の際の照度を極限まで抑える事が重要となり、画素100a間の漏れ光をできる限り抑える事が肝要となる。本実施形態の様に、画素電極9aの更にその上に第一のパッシベーション膜18を形成して平坦化を行なうと、漏れ光が抑制される事になる。こうして画素電極9aの上に平坦化膜として機能する絶縁膜(第一のパッシベーション膜18)を設ける事で、液晶装置100では高いコントラスト比が実現される。絶縁膜を平坦化するには、絶縁膜を堆積した後に熱処理を施して、絶縁膜をリフローさせたり、或いは絶縁膜に化学機械的研磨法(Chemical Mechanical Polishing、CMP)を適応させたりする手法がある。本実施形態では、CMP法を適応している。
「対向基板の構成」
対向基板20では、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20w(透光性基板)の液晶50側の表面(素子基板10に対向する第一面20s)には、遮光膜29、酸化珪素膜等からなる絶縁膜27、及びITO膜等の透光性導電膜からなる共通電極21が形成されている。更に、共通電極21を覆う様に平坦な絶縁膜(第二のパッシベーション膜28)を設け、この絶縁膜(第二のパッシベーション膜28)上に第二の配向膜26が形成されている。即ち、本実施形態では、第二のパッシベーション膜28の上面に第二の配向膜26が形成されている。第二の配向膜26はSiOX(x<2)やSiO2等の斜方蒸着膜(傾斜垂直配向膜/無機配向膜)からなる。こうする事で素子基板10側と対向基板20側とで、図5に示す断面構造が液晶50に対して対称となり、共通電位のずれやそれに基づく表示画像のフリッカー(ちらつき)や焼き付きと云った現象が抑制され、高品位の画像が表示される様になる。
前述の如く、共通電極21はITO膜からなる。第一の配向膜16と第二の配向膜26とは、液晶50(誘電異方性が負のネマチック液晶化合物)を傾斜垂直配向させ、液晶装置100は、ノーマリブラックのVAモードとして動作する。本実施形態では、第一の配向膜16と第二の配向膜26として、酸化珪素膜(SiOX)の斜方蒸着膜が用いられているが、これ以外にも、TiO2、MgO、Al2O3、In2O3、Sb2O3、Ta2O5等の各種無機配向膜を斜方蒸着して第一の配向膜16や第二の配向膜26としても良い。更には、第一の配向膜16や第二の配向膜26として、ポリイミド等の有機物を利用しても良い。
尚、図3及び図4を参照して説明したデータ線駆動回路101及び走査線駆動回路104では、n型トランジスターとp型トランジスターとを備えた相補型トランジスター回路が使用されている。相補型トランジスター回路は、トランジスター素子30の製造工程の一部を利用して形成される。又、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104では上述の容量素子55が用いられる事もある。こうした場合、素子基板10においてデータ線駆動回路101及び走査線駆動回路104が形成されている領域も、図5に示す断面構成と略同様な断面構成を有している。
「電子機器」
図6は、電子機器としての三板式プロジェクターの構成を示す平面図である。次に図6を参照して、本実施形態に係る電子機器の一例としてプロジェクター2100を説明する。
プロジェクター2100において、超高圧水銀ランプで構成される光源2102から出射された光は、内部に配置された3枚のミラー2106及び2枚のダイクロイックミラー2108によって赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色の光に分離され、各原色に対応する液晶装置100R、100G及び100Bに導かれる。尚、青色の光は、他の赤色や緑色と比較すると、光路が長いので、その損失を防ぐ為に、入射レンズ2122、リレーレンズ2123及び出射レンズ2124からなるリレーレンズ系2121を介して導かれる。
液晶装置100R、100G及び100Bは、上述した構成を取り、外部装置(図示省略)から供給される赤、緑、青の各色に対応する画像信号にて、それぞれ駆動される。
液晶装置100R、100G、100Bによってそれぞれ変調された光は、ダイクロイックプリズム2112に三方向から入射する。そして、このダイクロイックプリズム2112において、赤色及び青色の光は90度に屈折される一方、緑色の光は直進する。ダイクロイックプリズム2112において合成されたカラー画像を表す光は、レンズユニット2114によって拡大投射され、スクリーン2120上にフルカラー画像が表示される。
尚、液晶装置100R、100Bの透過像がダイクロイックプリズム2112により反射した後に投射されるのに対し、液晶装置100Gの透過像はそのまま投射されるため、液晶装置100R、100Bにより形成される画像と、液晶装置100Gにより形成される画像とが左右反転の関係になる様に設定されている。
本実施形態のプロジェクター2100は、上述の液晶装置100R、100G、100Bが用いられているので、明るく高精細で画像品位の高いフルカラー画像を投射する事ができる。又、電子機器の製造歩留まりが向上すると共に製造コストの上昇が抑制される。
(他の投射型表示装置)
尚、投射型表示装置については、光源部として、各色の光を出射するLED光源等を用い、LED光源から出射された色光を各々、別の液晶装置100に供給する様に構成しても良い。
(他の電子機器)
本発明を適用した液晶装置100については、上記の電子機器の他にも、携帯電話機、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルカメラ、液晶テレビ、カーナビゲーション装置、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等の電子機器において直視型表示装置として用いても良い。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
「工程順が異なった形態1」
図2を用いて、本変形例に係わる容量素子55について説明する。尚、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明は省略する。
本変形例は実施形態1と比べて、シリケート膜40SLを形成する工程と金属酸化膜40MOを形成する工程とが異なっている。実施形態1ではこれらの工程が同一工程で行われたが、本変形例では、シリケート膜40SLを形成する工程の開始後に金属酸化膜40MOを形成する工程を開始する。例えば、図2(a)に示す様に、金属膜Mfを蒸着法やスパッター法などの真空中で形成した後に、容量素子55が形成される基板を大気に取り出さず、そのまま真空中や不活性雰囲気などの非酸化性雰囲気で熱処理してシリケート膜40SLを形成する工程を開始し、更にその後に、金属膜Mfの熱酸化と云った金属酸化膜40MOを形成する工程を開始する。この場合、金属酸化膜40MOを形成する工程では少なくともシリケート膜40SLの上端と金属酸化膜40MOの下端とが接する迄、金属膜Mfの酸化は継続されるのが好ましい。こうした方法を用いても、シリケート膜40SLを形成する工程と金属酸化膜40MOを形成する工程とが終了した後に、金属膜Mfはシリケート膜40SLか金属酸化膜40MOかのいずれかに変わり、図2(c)に示す様に、金属膜Mfを形成する工程で形成された金属膜Mfは消滅する事になる。導電性の金属膜Mfが消滅し、絶縁性のシリケート膜40SLと金属酸化膜40MOとの膜厚が増すので、実施形態1と同様に、大きな容量値を有する容量素子55の絶縁性を高める事ができる。
シリケート膜40SLを形成する工程の開始後に金属酸化膜40MOを形成する工程を開始する場合、金属酸化膜40MOを形成している最中にシリケート膜40SLを更に成長させる事も可能であるし、シリケート膜40SLの成長を抑制する事も可能である。具体的には、高温の熱酸化にて金属酸化膜40MOを形成すれば、この期間中にシリケート膜40SLも成長する。反対に低温のプラズマ酸化や陽極酸化を金属酸化膜40MO形成に利用すれば、シリケート膜40SLは殆ど成長しない。いずれにしても金属酸化膜40MOを形成する工程後には、金属膜Mfを形成する工程で形成された金属膜Mfは消滅しており、シリケート膜40SLと金属酸化膜40MOとが直に接して界面を形成する様に、金属酸化膜40MOを形成する工程は行われる。言い換えると、金属酸化膜40MOを形成する工程では、少なくともシリケート膜40SLの上端と金属酸化膜40MOの下端とが接する迄、金属膜Mfを形成する工程で形成された金属膜Mfの酸化が継続される。好適例としては、金属酸化膜40MOを形成する工程では、シリケート膜40SLの上端と金属酸化膜40MOの下端とが全面的に接する迄、即ち、金属膜Mfを形成する工程で形成された金属膜Mfが総て金属酸化膜40MOかシリケート膜40SLかに変わる迄、金属膜Mfの酸化が継続される。この結果、金属酸化膜40MOを形成する工程とシリケート膜40SLを形成する工程との両工程が終了した際には、シリケート膜40SL上に金属酸化膜40MOが直に形成される事となる。
(変形例2)
「工程順が異なった形態2」
図2を用いて、本変形例に係わる容量素子55について説明する。尚、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明は省略する。
本変形例は実施形態1と比べて、シリケート膜40SLを形成する工程と金属酸化膜40MOを形成する工程とが異なっている。実施形態1ではこれらの工程が同一工程で行われたが、本変形例では、金属酸化膜40MOを形成する工程の開始後にシリケート膜40SLを形成する工程を開始する。例えば、図2(a)に示す様に、金属膜Mfを蒸着法やスパッター法などの真空中で形成した後に、容量素子55が形成される基板を大気に取り出す。すると基板を大気に取り出した時点で金属膜Mfの表面には自然酸化膜が形成される。即ち、基板を大気に取り出した時点で金属酸化膜40MOを形成する工程が開始される。その後、非酸化性雰囲気下にて熱処理を施してシリケート化を促進し、シリケート膜40SLを形成する工程とする。要するに、金属酸化膜40MOは自然酸化膜を利用し、実施形態1に記載した様な金属の熱酸化工程を省略する事も可能である。この場合、金属膜Mfを成膜した後に基板を大気中に取り出す工程が、金属酸化膜40MOを形成する工程に相当する事になる。この場合も、シリケート膜40SLを形成する工程では少なくともシリケート膜40SLの上端と金属酸化膜40MOの下端とが接する迄、固相反応は継続される事が好ましい。こうした方法を用いても、シリケート膜40SLを形成する工程と金属酸化膜40MOを形成する工程とが終了した後に、金属膜Mfはシリケート膜40SLか金属酸化膜40MOかのいずれかに変わり、図2(c)に示す様に、金属膜Mfを形成する工程で形成された金属膜Mfは消滅する事になる。導電性の金属膜Mfが消滅し、絶縁性のシリケート膜40SLと金属酸化膜40MOとの膜厚が増すので、実施形態1と同様に、大きな容量値を有する容量素子55の絶縁性を高める事ができる。
金属酸化膜40MOを形成する工程の開始後にシリケート膜40SLを形成する工程を開始する場合、シリケート膜40SLを形成している最中に金属酸化膜40MOを更に成長させる事も可能であるし、金属酸化膜40MOの成長を抑制する事も可能である。具体的には、酸化性雰囲気下にてシリケート膜40SLを形成すれば、この期間中に金属酸化膜40MOも成長する。反対に非酸化性雰囲気下(不活性雰囲気下や還元性雰囲気下)にてシリケート膜40SLを形成すれば、金属酸化膜40MOは殆ど成長しない。いずれにしてもシリケート膜40SLを形成する工程後には、金属膜Mfを形成する工程で形成された金属膜Mfは消滅しており、シリケート膜40SLと金属酸化膜40MOとが直に接して界面を形成される様に、シリケート膜40SLを形成する工程は行われる。言い換えると、シリケート膜40SLを形成する工程では、少なくともシリケート膜40SLの上端と金属酸化膜40MOの下端とが接する迄、金属膜Mfを形成する工程で形成された金属膜Mfのシリケート化(固相反応)が継続される。好適例としては、シリケート膜40SLを形成する工程では、シリケート膜40SLの上端と金属酸化膜40MOの下端とが全面的に接する迄、即ち、金属膜Mfを形成する工程で形成された金属膜Mfが総て金属酸化膜40MOかシリケート膜40SLかに変わる迄、金属膜Mfのシリケート化が継続される。この結果、金属酸化膜40MOを形成する工程とシリケート膜40SLを形成する工程との両工程が終了した際には、シリケート膜40SL上に金属酸化膜40MOが直に形成される事となる。
(変形例3)
「製造方法が異なる形態1」
誘電体膜40を構成する酸化珪素膜40SOとシリケート膜40SLと金属酸化膜40MOとをPVD法やCVD法を利用して成膜しても良い。
(変形例4)
「製造方法が異なる形態2」
誘電体膜40を製造するのに、酸化珪素膜40SOと金属膜Mfと金属酸化膜40MOとをPVD法やCVD法を利用して成膜した後に、熱処理を施し金属膜Mfをシリケート膜40SLに変える方法を採っても良い。
(変形例5)
「誘電体膜40が積層構造となっている形態」
実施形態1では誘電体膜40が酸化珪素膜40SOとシリケート膜40SLと金属酸化膜40MOとの1サイクルであったが、これを複数サイクルとしても良い(複数サイクルの誘電体膜40)。例えば、2サイクルとした場合(2サイクルの誘電体膜40では)、第一電極4a上に1サイクル目の酸化珪素膜40SOとシリケート膜40SLと金属酸化膜40MOとが形成され、この上層に2サイクル目の酸化珪素膜40SOとシリケート膜40SLと金属酸化膜40MOとが更に形成され、この上層に第二電極5aが形成される。こうすると、誘電体膜40が厚い高耐圧な容量素子55となる。金属膜Mfの酸化は時間と共に遅くなるので金属膜Mfを誘電体膜40中に残さずに厚い誘電体膜40を形成するのは困難と考えられるが、複数サイクルの誘電体膜40では誘電体膜40の膜厚をサイクル数の調整で自由に設定できる。尚、複数サイクルの誘電体膜40では、少なくとも一つのサイクルに酸化珪素膜40SOがあれば、他のサイクルでは酸化珪素膜40SOがなくても構わない。