以下、本発明の実施の形態として、代表的な電気光学装置である液晶装置を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。また、以下の説明で参照する図においては、走査線、データ線、信号線等の配線等については、それらの数を少なく表してある。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の液晶パネルの説明図であり、図1(a)、(b)は各々、液晶パネルを各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。
図1(a)、(b)に示すように、本形態の電気光学装置100は、液晶装置であり、液晶パネル100pを有している。液晶パネル100pでは、素子基板10(電気光学装置用基板)と対向基板20とが所定の隙間を介してシール材107によって貼り合わされており、シール材107は対向基板20の外縁に沿うように枠状に設けられている。シール材107は、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバーあるいはガラスビーズ等のギャップ材107aが配合されている。液晶パネル100pにおいて、素子基板10と対向基板20との間のうち、シール材107によって囲まれた領域内には、各種液晶材料(電気光学物質)からなる液晶層50(電気光学物質層)が設けられている。本形態において、シール材107には、液晶注入口107cとして利用される途切れ部分が形成されており、かかる液晶注入口107cは、液晶材料の注入後、封止材107dによって封止されている。
かかる構成の液晶パネル100pにおいて、素子基板10および対向基板20はいずれも四角形であり、素子基板10は、Y方向(第2方向)で対向する2つの辺10e、10f(端部)と、X方向(第1方向)で対向する2つの辺10g、10h(端部)とを備えている。液晶パネル100pの略中央には、画像表示領域10aが四角形の領域として設けられており、かかる形状に対応して、シール材107も略四角形に設けられている。画像表示領域10aの外側は、四角枠状の外周領域10cになっている。
素子基板10において、外周領域10cでは、素子基板10においてY軸方向の一方側に位置する辺10eに沿ってデータ線駆動回路101および複数の端子102が形成されており、この辺10eに隣接する他の辺10g、10hの各々に沿って走査線駆動回路104が形成されている。なお、端子102には、フレキシブル配線基板(図示せず)が接続されており、素子基板10には、フレキシブル配線基板を介して外部制御回路から各種電位や各種信号が入力される。
図3等を参照して詳しくは後述するが、素子基板10の一方面10sおよび他方面10tのうち、対向基板20と対向する一方面10sの側には、画像表示領域10aに画素電極9aや、図2等を参照して後述する画素トランジスター30等がマトリクス状に配列されている。従って、画像表示領域10aは、画素電極9aがマトリクス状に配列された画素電極配列領域10pとして構成されている。かかる構成の素子基板10において、画素電極9aの上層側には配向膜16が形成されている。
素子基板10の一方面10sの側において、画像表示領域10aより外側の外周領域10cのうち、画像表示領域10aとシール材107とに挟まれた四角枠状の周辺領域10bには、画素電極9aと同時形成されたダミー画素電極9bが形成されている。ダミー画素電極9bは、隣り合うダミー画素電極9b同士が細幅の連結部(図示せず)で繋がっている。また、ダミー画素電極9bは、共通電位Vcomが印加されており、画像表示領域10aの外周側端部での液晶分子の配向の乱れを防止する。また、ダミー画素電極9bは、素子基板10において配向膜16が形成される面を研磨により平坦化する際、画像表示領域10aと周辺領域10bとの高さ位置の差を圧縮し、配向膜16が形成される面を平坦面にするのに寄与する。なお、ダミー画素電極9bに電位を印加せず、ダミー画素電極9bを電位的にフロート状態とする場合もあり、この場合でも、ダミー画素電極9bは、画像表示領域10aと周辺領域10bとの高さ位置の差を圧縮し、配向膜16が形成される面を平坦面にするのに寄与する。
対向基板20の一方面20sおよび他方面20tのうち、素子基板10と対向する一方面20sの側には共通電極21が形成されている。共通電極21は、対向基板20の略全面あるいは複数の帯状電極として複数の画素100aに跨って形成されている。本形態において、共通電極21は、対向基板20の略全面に形成されている。
対向基板20の一方面20sの側には、共通電極21の下層側に遮光層29が形成され、共通電極21の表面には配向膜26が積層されている。遮光層29は、画像表示領域10aの外周縁に沿って延在する額縁部分29aとして形成されており、遮光層29の内周縁によって画像表示領域10aが規定されている。また、遮光層29は、隣り合う画素電極9aにより挟まれた画素間領域に重なるブラックマトリクス部29bとしても形成されている。額縁部分29aはダミー画素電極9bと重なる位置に形成されており、額縁部分29aの外周縁は、シール材107の内周縁との間に隙間を隔てた位置にある。従って、額縁部分29aとシール材107とは重なっていない。
液晶パネル100pにおいて、シール材107より外側には、対向基板20の一方面20sの側の4つの角部分に基板間導通用電極25が形成されており、素子基板10の一方面10sの側には、対向基板20の4つの角部分(基板間導通用電極25)と対向する位置に基板間導通用電極19が形成されている。本形態において、基板間導通用電極25は、共通電極21の一部からなる。基板間導通用電極19には、共通電位Vcomが印加されている。基板間導通用電極19と基板間導通用電極25との間には、導電粒子を含んだ基板間導通材19aが配置されており、対向基板20の共通電極21は、基板間導通用電極19、基板間導通材19aおよび基板間導通用電極25を介して、素子基板10側と電気的に接続されている。このため、共通電極21は、素子基板10の側から共通電位Vcomが印加されている。シール材107は、略同一の幅寸法をもって対向基板20の外周縁に沿って設けられているが、対向基板20の角部分と重なる領域では基板間導通用電極19、25を避けて内側を通るように設けられている。
本形態において、電気光学装置100は透過型の液晶装置であり、画素電極9aおよび共通電極21は、ITO(Indium Tin Oxide)膜やIZO(Indium Zinc Oxide)膜等の透光性導電膜により形成されている。かかる透過型の液晶装置(電気光学装置100)では、例えば、対向基板20の側から入射した光が素子基板10の側から出射される間に変調されて画像を表示する。また、電気光学装置100が反射型の液晶装置である場合、共通電極21は、ITO膜やIZO膜等の透光性導電膜により形成され、画素電極9aは、アルミニウム膜等の反射性導電膜により形成される。かかる反射型の液晶装置(電気光学装置100)では、対向基板20の側から入射した光が素子基板10で反射して出射される間に変調されて画像を表示する。
電気光学装置100は、モバイルコンピューター、携帯電話機等といった電子機器のカラー表示装置として用いることができ、この場合、対向基板20には、カラーフィルター(図示せず)が形成される。また、電気光学装置100は、電子ペーパーとして用いることできる。また、電気光学装置100では、使用する液晶層50の種類や、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板等が液晶パネル100pに対して所定の向きに配置される。さらに、電気光学装置100は、後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)において、RGB用のライトバルブとして用いることができる。この場合、RGB用の各電気光学装置100の各々には、RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになるので、カラーフィルターは形成されない。
(素子基板10の電気的構成)
図2は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100の素子基板10の電気的構成を示す説明図であり、図2(a)、(b)は、素子基板10の回路や配線の平面的なレイアウトを示す説明図、および画素の電気的構成を示す説明図である。なお、以下の説明において、端子102を介して素子基板10に入力される信号名称と信号用の配線とは、同一のアルファベット記号を信号および配線Lの後に各々付与する。例えば、信号名称である「クロック信号CLX」に対して、対応する信号用の配線について「クロック信号線LCLX」とする。また、以下の説明において、端子102を介して素子基板10に入力される信号名称と信号用の端子とは、同一のアルファベット記号を信号および端子Tの後に各々付与する。例えば、信号名称である「クロック信号CLX」に対して、対応する端子102については「端子TCLX」とする。
図2(a)、(b)に示すように、電気光学装置100において、素子基板10の中央領域には複数の画素100aがマトリクス状に配列された画素電極配列領域10pが設けられており、かかる画素電極配列領域10pのうち、図1(b)に示す額縁部分29aの内縁で囲まれた領域が画像表示領域10aである。素子基板10では、画素電極配列領域10pの内側に、X方向に延在する複数本の走査線3aと、Y方向に延在する複数本のデータ線6aとが形成されており、それらの交点に対応する位置に画素100aが構成されている。複数の画素100aの各々には、TFT等からなる画素トランジスター30(スイッチング素子)、および画素電極9aが形成されている。画素トランジスター30のソースにはデータ線6aが電気的に接続され、画素トランジスター30のゲートには走査線3aが電気的に接続され、画素トランジスター30のドレインには、画素電極9aが電気的に接続されている。
素子基板10において、画素電極配列領域10pより外側の外周領域10cには、走査線駆動回路104、データ線駆動回路101、サンプリング回路103、基板間導通用電極19、端子102等が構成されており、端子102から走査線駆動回路104、データ線駆動回路101、サンプリング回路103、および基板間導通用電極19に向けて複数の配線105が延在している。サンプリング回路103は複数本のデータ線6aと電気的に接続しており、走査線駆動回路104は、複数本の走査線3aと電気的に接続している。
各画素100aにおいて、画素電極9aは、図1を参照して説明した対向基板20に形成された共通電極21と液晶層50を介して対向し、液晶容量50aを構成している。また、各画素100aには、液晶容量50aで保持される画像信号の変動を防ぐために、液晶容量50aと並列に保持容量55が付加されている。本形態では、保持容量55を構成するために、複数の画素100aに跨って延びた定電位線8a(容量線)が形成され、かかる定電位線8aには共通電位Vcomが印加されている。
なお、図2(b)においては、定電位線8aが走査線3aと並列して延在しているものとして表されているが、定電位線8aがデータ線6aと並列して延在していてもよい。本形態では、後述する理由から、定電位線8aがデータ線6aと並列して延在する構成が採用されている。
素子基板10の辺10eに沿って設けられた端子102は、共通電位線用、走査線駆動回路用、画像信号用、およびデータ線駆動回路用の4つの用途に大きく分類される複数の端子群により構成されている。具体的には、端子102は、共通電位線LVcom用として端子TVcomを備え、走査線駆動回路104用として端子TSPY、端子TVSSY、端子TVDDY、端子TCLYおよび端子TCLYINVを備えている。また、端子102は、画像信号VID1〜VID6用として端子TVID1〜TVID6を備え、データ線駆動回路101用として、端子TVSSX、端子TSPX、端子TVDDX、端子TCLX、端子TCLXINV、端子TENB1〜TENB4、および端子TVSSXを備えている。
データ線駆動回路101は、シフトレジスタ回路101c、波形選択回路101b、およびバッファー回路101aを備えている。データ線駆動回路101において、シフトレジスタ回路101cは、外部制御回路から端子102(端子TVSSX、TVDDX)および配線105(配線LVSSX、LVDDX)を介して供給される負電源VSSXおよび正電源VDDXを電源として用い、外部制御回路から端子102(端子TSPX)および配線105(配線LSPX)を介して供給されるスタート信号SPXに基づいて転送動作を開始する。シフトレジスタ回路101cは、端子102(端子TCLX、TCLXINV)、および配線105(配線LCLX、LCLXINV)を介して供給されるクロック信号CLXおよび逆位相クロック信号CLXINVに基づき、転送信号を順次、所定タイミングで波形選択回路101bへ出力する。波形選択回路101bは、「イネーブル回路」とも称され、シフトレジスタ回路101cから順次出力される転送信号のパルス幅を、外部制御回路から端子102(端子TENB1〜TENB4)および配線105(配線LENB1〜LENB4)を介して供給されるイネーブル信号ENB1〜ENB4のパルス幅に制限することにより、後述のサンプリング回路103における各サンプリング期間を規定する。より具体的には、波形選択回路101bは、シフトレジスタ回路101cの各段に対応して設けられたNAND回路およびインバーター等により構成されており、シフトレジスタ回路101cより順次出力される転送信号がハイレベルとされており、かつ、イネーブル信号ENB1〜ENB4のいずれかがハイレベルとされているときにのみデータ線6aが駆動されるように時間軸上における波形の選択制御を行う。バッファー回路101aは、このように波形の選択が行われた転送信号をバッファリングした後、サンプリング回路駆動信号として、選択信号線109を介してサンプリング回路103に供給する。
サンプリング回路103は、画像信号をサンプリングするためのスイッチング素子108を複数備えて構成されている。本形態において、スイッチング素子108は、TFT等の電界効果型トランジスターからなる。スイッチング素子108のドレインには、データ線6aが電気的に接続され、スイッチング素子108のソースには、配線106を介して配線105(画像信号線LVID1〜LVID6)が接続されるとともに、スイッチング素子108のゲートには、データ線駆動回路101に接続された選択信号線109が接続されている。そして、端子102(端子TVID1〜VID6)を介して配線105(画像信号線LVID1〜LVID6)に供給された画像信号VID1〜VID6は、データ線駆動回路101から選択信号線109を通じて選択信号(サンプリング回路駆動信号)が供給されるのに応じ、サンプリング回路103によりサンプリングされ、各データ線6aに画像信号S1、S2、S3、・・Snとして供給される。本形態において、画像信号S1、S2、S3、・・Snは、6相にシリアル−パラレル展開された画像信号VID1〜VID6の各々に対応して、6本のデータ線6aの組に対してグループ毎に供給される。なお、画像信号の相展開数に関しては、6相に限られるものでなく、例えば、9相、12相、24相、48相等、複数相に展開された画像信号が、その展開数に対応した数を一組としたデータ線6aの組に対して供給される。
走査線駆動回路104は、構成要素としてシフトレジスタ回路およびバッファー回路を備えている。走査線駆動回路104は、外部制御回路から端子102(端子TVSSY、TVDDY)および配線105(配線LVSSY、LVDDY)を介して供給される負電源VSSYおよび正電源VDDYを電源として用い、同じく外部制御回路から端子102(端子TSPY)および配線105(端子TSPY)を介して供給されるスタート信号SPYに応じて、その内蔵シフトレジスタ回路の転送動作を開始する。また、走査線駆動回路104は、端子102(端子TCLY、TCLYINV)および配線105(配線LCLY、LCLYINV)を介して供給されるクロック信号CLYおよび逆位相クロック信号CLYINVに基づいて、所定のタイミングで走査線3aに走査信号をパルス的に線順次で印加する。
素子基板10には、4つの基板間導通用電極19を通過するように配線105(共通電位線LVcom)が形成されており、基板間導通用電極19には、端子102(端子TVcom)および配線105(共通電位線LVcom)を介して共通電位Vcomが供給される。
(画素100pの具体的構成)
図3は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100の素子基板10において隣り合う複数の画素の平面図である。図4は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100を図3に示すF−F′線で切断したときの断面図である。図5は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100の素子基板10において画素トランジスター30を構成するゲート電極3b等の平面図である。図6は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100の素子基板10において保持容量55を構成する保持容量電極の平面図である。図7は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100の素子基板10に形成したデータ線6aや中継電極の平面図である。なお、図3、図5、図6および図7では、各層を以下の線
走査線3a=細い実線
半導体層1a=細くて短い点線
ゲート電極3b=太い実線
導電膜4a(第1容量電極層)=細くて長い破線
導電膜5a(第2容量電極層)=二点鎖線
データ線6a、第1中継電極層6bおよび第4中継電極層6c=太い一点鎖線
第2中継電極層7bおよび第5中継電極層7c=太くて短い点線
定電位線8aおよび第3中継電極層8b=細い一点鎖線
画素電極9a=太くて長い破線
で示してある。また、図3、図5、図6および図7では、互いの端部が平面視で重なり合う層については、層の形状等が分かりやすいように、端部の位置をずらしてある。また、図5には、走査線3a、半導体層1aおよびゲート電極3bなどを表し、図6には、導電膜4aおよび導電膜5a等を表し、図7には、データ線6a、第2中継電極層7bおよび定電位線8a等を表してある。
図3に示すように、素子基板10において対向基板20と対向する一方面10sには、複数の画素100aの各々に画素電極9aが形成されており、隣り合う画素電極9aにより挟まれた画素間領域に沿ってデータ線6aおよび走査線3aが形成されている。本形態において、画素間領域は縦横に延在しており、走査線3aは画素間領域のうち、X方向に延在する第1画素間領域に沿って直線的に延在し、データ線6aは、Y方向に延在する第2画素間領域に沿って直線的に延在している。すなわち、走査線3aは、一つの画素100aと、この一つの画素100aとY方向で隣り合う画素100aとの境界に沿って延在している。また、データ線6aは、一つの画素100aと、この一つの画素100aにX方向で隣り合う画素100aとの境界に沿って延在している。また、データ線6aと走査線3aとの交差に対応して画素トランジスター30が形成されており、本形態において、画素トランジスター30は、データ線6aと走査線3aとの交差領域およびその付近を利用して形成されている。ここで、データ線6aは、Y方向に直線的に延在している一方、走査線3aは、データ線6aとの交差部分からデータ線6aの延在方向に沿って延在する凸部3eを備えている。凸部3eは、走査線3aの本線部から、X方向と、X方向と反対方向の両方に略同じ長さ突出している。
素子基板10には定電位線8aが形成されている。本形態において、定電位線8aに印加される定電位として、共通電位Vcomが印加されている。本形態において、定電位線8aは、データ線6aの液晶層50側の層において平面視でデータ線6aに重なるように延在するとともに、データ線6aと走査線3aの交差から走査線3aに沿って延在する凸部8eを有している。凸部8eは、定電位線8aの本線部から、Y方向と、Y方向と反対方向の両方にほぼ同じ長さ突出している。
図3、図4、図5、図6および図7に示すように、素子基板10は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体10wの液晶層50側の基板面(対向基板20と対向する一方面10s側)に形成された画素電極9a、画素スイッチング用の画素トランジスター30、および配向膜16を含んでいる。対向基板20は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20w、その液晶層50側の表面(素子基板10と対向する一方面20s)に形成された遮光層29、共通電極21、および配向膜26を含んでいる。
素子基板10において、基板本体10wの一方面10s側(基板本体10wと液晶層50との間)には、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる走査線3aが形成されている。本形態において、走査線3aは、タングステンシリサイド(WSi)からなり、遮光膜としても機能する。すなわち、走査線3aは、電気光学装置100を透過した後の光が他の部材で反射した際、かかる反射光が半導体層1aに入射して画素トランジスター30で光電流に起因する誤動作が発生することを防止する。
基板本体10wの一方面10s側において、走査線3aの上層側(走査線3aと液晶層50との間)には、シリコン酸化膜等の透光性の層間絶縁膜12が形成されており、かかる層間絶縁膜12の表面側(層間絶縁膜12と液晶層50との間)に、半導体層1aを備えた画素トランジスター30が形成されている。画素トランジスター30は、データ線6aの延在方向に長辺方向を向けた半導体層1aと、半導体層1aの長辺方向と直交する方向に延在して半導体層1aの長辺方向の中央部分に重なるゲート電極3bとを備えており、本形態において、ゲート電極3bと走査線3aとは、層間絶縁膜12を貫通するコンタクトホール12a(図3参照)を介して電気的に接続している。画素トランジスター30は、半導体層1aとゲート電極3bとの間に透光性のゲート絶縁層2を有している。半導体層1aは、ゲート電極3bに対してゲート絶縁層2を介して対向するチャネル領域1gを備えているとともに、チャネル領域1gの一方の側にソース領域1bおよびチャネル領域1gの他方の側にドレイン領域1cを備えている。本形態において、画素トランジスター30は、LDD構造を有している。従って、ソース領域1bおよびドレイン領域1cは各々、チャネル領域1gに隣接して低濃度領域を備え、低濃度領域に対してチャネル領域1gとは反対側で隣接する領域に高濃度領域を備えている。
半導体層1aは、ポリシリコン膜(多結晶シリコン膜)によって構成されている。ゲート絶縁層2は、半導体層1aを熱酸化したシリコン酸化膜からなる第1ゲート絶縁層2aと、温度が700〜900℃の高温条件での減圧CVD法により形成されたシリコン酸化膜からなる第2ゲート絶縁層2bとの2層構造からなる。ゲート電極3bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、ゲート電極3bは、導電性のポリシリコン膜からなる。また、ゲート電極3bと同一の層に、ゲート電極3bと離間した導電膜3cが形成されている。すなわち、導電膜3cは、ゲート電極3bと同時形成された導電膜からなる。導電膜3cは、走査線3aと重なる領域に形成されている。
ゲート電極3bの上層側(ゲート電極3bと液晶層50との間)には、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリコン酸化膜からなる透光性の層間絶縁膜41が形成され、層間絶縁膜41の上層には、導電膜4a(第1容量電極層)が形成されている。本形態において、導電膜4aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、導電膜4aは導電性のポリシリコン膜からなる。導電膜4aは、半導体層1aのドレイン領域1c(画素電極側ソースドレイン領域)と一部が重なるように形成されており、層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2を貫通するコンタクトホール41bを介してドレイン領域1cに電気的に接続している。
導電膜4aの上層側(導電膜4aと液晶層50との間)には、シリコン酸化膜等からなる透光性のエッチングストッパー層49、および透光性の誘電体層40が形成されており、かかる誘電体層40の上層側には導電膜5a(第2容量電極層)が形成されている。誘電体層40としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等のシリコン化合物を用いることができる他、アルミニウム酸化膜、チタン酸化膜、タンタル酸化膜、ニオブ酸化膜、ハフニウム酸化膜、ランタン酸化膜、ジルコニウム酸化膜等の高誘電率の誘電体層を用いることができる。導電膜5aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、導電膜5aは、ダングステンシリサイド膜からなる。ここで、導電膜5aは導電膜4aより幅広に形成されており、誘電体層40を介して導電膜5aと導電膜4aとが重なる領域において保持容量55を構成している。
本形態において、導電膜4aおよび導電膜5aの各々は、走査線3aとデータ線6aとの交差から走査線3aおよびデータ線6aに沿って重なるように延在した+字形状に形成されている。具体的には、導電膜4aは、走査線3aとデータ線6aとの交差から走査線3aと重なるように、Y方向とY方向の反対方向に延設され、Y方向に延びる延設部分の長さは、Y方向と反対方向に延びる延設部分の長さより大きい。導電膜4aは、走査線3aとデータ線6aとの交差からデータ線6aと重なるように、X方向とX方向の反対方向に延設され、X方向に延びる延設部分の長さは、X方向と反対方向に延びる延設部分の長さより大きい。同様に、導電膜5aも、走査線3aとデータ線6aとの交差から走査線3aと重なるように、Y方向とY方向の反対方向に延設され、Y方向に延びる延設部分の長さは、Y方向と反対方向に延びる延設部分の長さより大きい。導電膜5aも、走査線3aとデータ線6aとの交差からデータ線6aと重なるように、X方向とX方向の反対方向に延設され、X方向に延びる延設部分の長さは、X方向と反対方向に延びる延設部分の長さより大きい。本形態では、導電膜5aの幅寸法は、導電膜4aの幅寸法よりわずかに大である。また、導電膜4aとX方向で隣り合う導電膜4aとの離間部分と、導電膜5aとX方向で隣り合う導電膜5aとの離間部分とは平面視で一致している。同様に、導電膜4aとY方向で隣り合う導電膜4aとの離間部分と、導電膜5aとY方向で隣り合う導電膜5aとの離間部分と、は平面視で一致している。この離間部分に後述するコンタクトホール42aが配置されている。また、導電膜4aは、層間絶縁膜41に形成されたコンタクトホール41cを介して導電膜3cに電気的に接続されている。
導電膜5aの上層側(導電膜5aと液晶層50との間)には層間絶縁膜42が形成されており、かかる層間絶縁膜42の上層側(層間絶縁膜42と液晶層50との間)には、データ線6a、第1中継電極層6bおよび第4中継電極層6cが同一のレベルの層により形成されている。データ線6a、第1中継電極層6bおよび第4中継電極層6cは同時形成された導電膜からなり、同一の層に形成されている。層間絶縁膜42はシリコン酸化膜からなる。データ線6a、第1中継電極層6bおよび第4中継電極層6cは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、データ線6a、第1中継電極層6bおよび第4中継電極層6cは、アルミニウム膜からなる。データ線6aは、層間絶縁膜42、エッチングストッパー層49、層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2を貫通するコンタクトホール42aを介してソース領域1b(データ線側ソースドレイン領域)に電気的に接続している。第1中継電極層6bは、層間絶縁膜42およびエッチングストッパー層49を貫通するコンタクトホール42bを介して導電膜3cに電気的に接続されている。第4中継電極層6cは、層間絶縁膜42を貫通するコンタクトホール42cを介して導電膜5aに電気的に接続している。本形態において、第1中継電極層6bおよび第4中継電極層6cは、走査線3aのX方向に沿った本線部と平面視で重なる領域に形成され、互いに離間するように配置されることで電気的に分離されている。また、定電位が供給される第4中継電極層6cと画素100aに対応するデータ線6aとの距離より、画素100aの画素電極9aに電気的に接続された第1中継電極層6bと画素100aにX方向で隣接する画素100a′に対応するデータ線6aとの距離が、大きくなるように配置されている。
データ線6a、第1中継電極層6bおよび第4中継電極層6cの上層側(データ線6aと液晶層50との間)にはシリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜43が形成されている。層間絶縁膜43は、シリコン酸化膜からなり、その表面は平坦化されている。層間絶縁膜43の上層側(層間絶縁膜43と液晶層50との間)には、第2中継電極層7bおよび第5中継電極層7cが形成されている。第2中継電極層7bおよび第5中継電極層7cは、同時形成された導電膜からなり、同一の層に形成されている。第2中継電極層7bおよび第5中継電極層7cは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、第2中継電極層7bおよび第5中継電極層7cは、アルミニウム膜からなる。第2中継電極層7bは、層間絶縁膜43を貫通するコンタクトホール43bを介して第1中継電極層6bに電気的に接続している。第5中継電極層7cは、層間絶縁膜43を貫通するコンタクトホール43cを介して第4中継電極層6cに電気的に接続している。本形態において、第2中継電極層7bおよび第5中継電極層7cは、走査線3aのX方向に沿った本線部と平面視で重なる領域に形成されており、互いに離間するように配置されることで電気的に分離されている。第2中継電極層7bは第1中継電極層6bと平面視で重なり、第5中継電極層7cは第4中継電極層6cと平面視で重なっている。
第2中継電極層7bおよび第5中継電極層7cの上層側(第2中継電極層7bと液晶層50との間)にはシリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜44が形成されている。層間絶縁膜44は、シリコン酸化膜からなり、その表面は平坦化されている。層間絶縁膜44の上層側(層間絶縁膜44と液晶層50との間)には、定電位線8aおよび第5中継電極層5bが形成されている。定電位線8aおよび第5中継電極層5bは、同時形成された導電膜からなり、同一の層に形成されている。定電位線8aおよび第5中継電極層5bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、定電位線8aおよび第5中継電極層5bは、アルミニウム膜からなる。第3中継電極層8bは、層間絶縁膜44を貫通するコンタクトホール44bを介して第2中継電極層7bに電気的に接続している。定電位線8aは、層間絶縁膜44を貫通するコンタクトホール44cを介して第5中継電極層7cに電気的に接続している。
ここで、定電位線8aは、データ線6aに重なるように延在する本線部と、データ線6aと走査線3aの交差から走査線3aに沿ってX方向に延在する凸部8eと、X方向と反対方向に延在する凸部8eとを有している。このため、定電位線8aは、少なくともデータ線6aを覆うように形成されている。なお、定電位線8aとデータ線6aとの間には、層間絶縁膜43および層間絶縁膜44が存在するだけであり、配線や導電膜等が形成されていない。すなわち、第2中継電極層7bおよび第5中継電極層7cと同じレベルの層は、平面視で定電位線8aとデータ線6aと重なる領域に導電膜が形成されていない。また、第3中継電極層8bは、走査線3aと平面視で重なる領域に形成されており、第2中継電極層7bと平面視で重なっている。第3中継電極層8bは、定電位線8aの凸部8eと離間するように配置されることで電気的に分離されている。
定電位線8aおよび第5中継電極層5bの上層側(定電位線8aと液晶層50との間)には、シリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜45が形成されている。層間絶縁膜45の上層側にはITO膜等からなる画素電極9aが形成されている。画素電極9aは、一部が第3中継電極層8bと平面視で重なっている。層間絶縁膜45には、層間絶縁膜45を貫通して第3中継電極層8bまで到達したコンタクトホール45bが形成されており、画素電極9aは、コンタクトホール45bを介して第3中継電極層8bと電気的に接続している。その結果、画素電極9aは、第3中継電極層8b、第2中継電極層7b、第1中継電極層6b、導電膜3cおよび導電膜4aを介してドレイン領域1cと電気的に接続している。層間絶縁膜45は、例えば、テトラエトキシシランと酸素ガスとを用いたプラズマCVD法や、シランガスと亜酸化窒素ガスとを用いたプラズマCVD法等により形成したシリコン酸化膜からなる。また、層間絶縁膜45は、NSG(ノンシリケートガラス)からなる下層側の第1絶縁膜と、BSG(ボロンシリケートガラス)からなる上層側の第2絶縁膜との構造を有している場合がある。いずれの場合も、層間絶縁膜45の表面は平坦化されている。
画素電極9aの表面側には、ポリイミドや無機配向膜からなる配向膜16が形成されている。本形態において、配向膜16は、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al2O3、In2O3、Sb2O3、Ta2O5等の斜方蒸着膜(傾斜垂直配向膜/無機配向膜)からなる。
(対向基板20の構成)
対向基板20では、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20w(透光性基板)の液晶層50側の表面(素子基板10に対向する一方面20s)には、遮光層29、シリコン酸化膜等からなる絶縁膜28、およびITO膜等の透光性導電膜からなる共通電極21が形成されており、かかる共通電極21を覆うように、ポリイミドや無機配向膜からなる配向膜26が形成されている。本形態において、共通電極21はITO膜からなる。本形態において、配向膜26は、配向膜16と同様、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al2O3、In2O3、Sb2O3、Ta2O5等の斜方蒸着膜(傾斜垂直配向膜/無機配向膜)である。かかる配向膜16、26は、液晶層50に用いた誘電異方性が負のネマチック液晶化合物を傾斜垂直配向させ、液晶パネル100pは、ノーマリブラックのVAモードとして動作する。本形態では、配向膜16、26として、各種無機配向膜のうち、シリコン酸化膜(SiOX)の斜方蒸着膜が用いられている。
(サンプリング回路103における配線構造)
再び図2(a)において、本形態の電気光学装置100では、素子基板10の辺10e(端部)と画素電極配列領域10pとの間に、端子102、データ線駆動回路101およびサンプリング回路103がこの順に設けられており、かかる領域の断面構造は、図4を参照して説明した構造と略同一である。
ここで、選択信号線109および画像信号線LVID1〜LVID6のうちの一方は、データ線6aおよび第1中継電極層6bと同一の層に設けられ、他方は、第3中継電極層8bと同一の層に設けられている。このため、選択信号線109と画像信号線LVID1〜LVID6との間には、層間絶縁膜42、43が介在している。本形態では、選択信号線109は、データ線6aおよび第1中継電極層6bと同一の層に設けられ、画像信号線LVID1〜LVID6は、第3中継電極層8bと同一の層に設けられている。また、選択信号線109と画像信号線LVID1〜LVID6と平面視で重なる領域であって、選択信号線109と画像信号線LVID1〜LVID6との間の層には、他の導電膜が介在していない。他の導電膜とは、信号線と接続された導電膜に限らず、定電位が供されている導電膜や、フローティングの導電膜も含む。従って、画像信号線LVID1〜LVID6と選択信号線109との間の寄生容量を小さくすることができる。このため、画像信号VID1〜VID6および選択信号の波形が歪みにくい。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の電気光学装置100は、データ線6aと画素電極9aとの間の層に、データ線6aを覆うように定電位線8aが設けられている。よって、データ線6aと画素電極9aとの寄生容量を低減し、データ線6aの電位の影響がデータ線6aの電位を書き込んでいない画素電極9aに及ぶことを抑制することができる。
本形態の電気光学装置100は、データ線6aと画素電極9aとの間の層に層間絶縁膜43、44、45が設けられている。データ線6aと同一の層に設けられ、画素電極9aと画素トランジスター30とを電気的に接続する第1中継電極層6bは、層間絶縁膜43と層間絶縁膜44との間に形成された第2中継電極層7bと、層間絶縁膜44と層間絶縁膜45との間に形成された第3中継電極層8bと、を介して画素電極9aと電気的に接続されている。よって、データ線6aと画素電極9aとの間の距離を大きくすることができるので、さらに、データ線6aの電位の影響がデータ線6aの電位を書き込んでいない画素電極9aに及ぶことを抑制することができる。
また、データ線6aと画素電極9aとの間には、厚い絶縁膜(層間絶縁膜43、44、45)が介在するが、画素トランジスター30と画素電極9aとの間には第1中継電極層6b、第2中継電極層7b、および第3中継電極層8bが介在するので、比較的浅いコンタクトホール42b、43b、44bを介して、画素電極9aと画素トランジスター30とを電気的に接続することができる。
また、定電位線8aは、第3中継電極層8bと同一の層に設けられているため、定電位線8aとデータ線6aとが厚い絶縁膜(層間絶縁膜43、44)が介在する。このため、定電位線8aとデータ線6aとの間の寄生容量が小さいので、データ線6aに供給された信号の波形が歪みにくい。
また、定電位線8aは、第3中継電極層8bと同一の層に設けられているため、導電膜5aとの間には厚い絶縁膜(層間絶縁膜42、43、44)が介在するが、データ線6aと同一の層に第4中継電極層6cが設けられ、第4中継電極層6cと定電位線8aとの間に第5中継電極層7cが設けられている。このため、比較的浅いコンタクトホール42c、43c、44cを介して、定電位線8aと導電膜5aとを電気的に接続することができる。
また、導電膜5aは、導電膜4aより幅寸法が大であるため、導電膜4aが導電膜5aに覆われた状態にある。言い換えると、画素電極9aの電位が印加された導電膜4aとデータ線6aとの間に、定電位が印加された導電膜5aが設けられている。従って、データ線6aの電位の影響が導電膜4aの電位、すなわち、画素電極9aの電位に及びにくい。選択されていない画素の画素電極9aにデータ線6aの電位の影響が及びにくい。
また、データ線6aと第1中継電極層6b、第2中継電極層7bおよび第3中継電極層8bとの平面視における離間寸法は、データ線6aと第4中継電極層6cおよび第5中継電極層7cとの平面視における離間寸法より大である。このため、データ線6aと第1中継電極層6bとの横方向の寄生容量、データ線6aと第2中継電極層7bとの寄生容量、およびデータ線6aと第3中継電極層8bとの寄生容量を小さくすることができる。言い換えると、画素100aに対応するデータ線6aと、画素100aに対応する画素電極9aに電気的に接続された第1中継電極層6bとの間に定電位の第4中継電極層6cが設けられているため、選択されていない画素の画素電極9aにデータ線6aの電位の影響が及びにくい。
さらに、画素100aの画素電極9aに電気的に接続された第1中継電極層6bと画素100aにX方向で隣接する画素100a′に対応するデータ線6aとの距離が、第4中継電極層6cと画素100aに対応するデータ線6aとの距離や、第4中継電極層6cと画素100aに対応する第1中継電極層6bとの距離より大きくなるように配置されているため、画素100aに対応する画素電極9aが画素100a′に対応するデータ線6aの電位変化の影響をうけにくい。
また、走査線3aが画素トランジスター30のデータ線6aとは反対側の層に設けられているため、データ線6aと走査線3aとの間の寄生容量を小さくすることができる。このため、画像信号および走査信号の波形が歪みにくい。
さらに、データ線6a(第1中継電極層6bおよび第4中継電極層6c)、第2中継電極層7b(第5中継電極層7c)、および定電位線8a(第3中継電極層8b)はいずれも、アルミニウム層を含んでいるため、電気抵抗を低減することができる。従って、画素電極9aと画素トランジスター30との間の電気抵抗を低減することができる。
[実施の形態2]
上記実施の形態1では、定電位線8aを第3中継電極層8bと同一の層に設けたが、定電位線8aを第2中継電極層7bと同一の層に設けてもよい。かかる構成でも、定電位線8aは、データ線6aと画素電極9aとの間の層において、データ線6aを覆うようにデータ線6aに沿って延在している。このため、データ線6aと画素電極9aとの間の寄生容量を低減することができる。
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、電気光学装置として、透過型の液晶装置を例示したが、反射型の液晶装置に本発明を適用してもよい。
[他の電気光学装置]
上記実施の形態では、電気光学装置として液晶装置を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマディスプレイ、FED(Field Emission Display)、SED(Surface-Conduction Electron-Emitter Display)、LED(発光ダイオード)表示装置、電気泳動表示装置等の電気光学装置に本発明を適用してもよい。
[電子機器への搭載例]
(投射型表示装置および光学ユニットの構成例)
図8は、本発明を適用した投射型表示装置(電子機器)および光学ユニットの概略構成図である。
図8に示す投射型表示装置110は、観察者側に設けられたスクリーン111に光を照射し、このスクリーン111で反射した光を観察する、いわゆる投影型の投射型表示装置である。投射型表示装置110は、光源112を備えた光源部130と、ダイクロイックミラー113、114と、液晶ライトバルブ115〜117と、投射光学系118と、クロスダイクロイックプリズム119(合成光学系)と、リレー系120とを備えており、電気光学装置100およびクロスダイクロイックプリズム119は、光学ユニット200を構成している。
光源112は、赤色光R、緑色光G、および青色光Bを含む光を供給する超高圧水銀ランプで構成されている。ダイクロイックミラー113は、光源112からの赤色光Rを透過させるとともに、緑色光G、および青色光Bを反射する構成となっている。また、ダイクロイックミラー114は、ダイクロイックミラー113で反射された緑色光Gおよび青色光Bのうち青色光Bを透過させるとともに緑色光Gを反射する構成となっている。このように、ダイクロイックミラー113、114は、光源112から出射した光を赤色光Rと緑色光Gと青色光Bとに分離する色分離光学系を構成する。
ここで、ダイクロイックミラー113と光源112との間には、インテグレーター121および偏光変換素子122が光源112から順に配置されている。インテグレーター121は、光源112から照射された光の照度分布を均一化する構成となっている。また、偏光変換素子122は、光源112からの光を、例えばs偏光のような特定の振動方向を有する偏光にする構成となっている。
液晶ライトバルブ115は、ダイクロイックミラー113を透過して反射ミラー123で反射した赤色光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。液晶ライトバルブ115は、λ/2位相差板115a、第1偏光板115b、電気光学装置100(赤色用液晶パネル100R)、および第2偏光板115dを備えている。ここで、液晶ライトバルブ115に入射する赤色光Rは、ダイクロイックミラー113を透過しても光の偏光は変化しないことから、s偏光のままである。
λ/2位相差板115aは、液晶ライトバルブ115に入射したs偏光をp偏光に変換する光学素子である。また、第1偏光板115bは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。そして、電気光学装置100(赤色用液晶パネル100R)は、p偏光を画像信号に応じた変調によってs偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。さらに、第2偏光板115dは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。したがって、液晶ライトバルブ115は、画像信号に応じて赤色光Rを変調し、変調した赤色光Rをクロスダイクロイックプリズム119に向けて出射する構成となっている。
なお、λ/2位相差板115a、および第1偏光板115bは、偏光を変換させない透光性のガラス板115eに接した状態で配置されており、λ/2位相差板115a、および第1偏光板115bが発熱によって歪むのを回避することができる。
液晶ライトバルブ116は、ダイクロイックミラー113で反射した後にダイクロイックミラー114で反射した緑色光Gを画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。かかる液晶ライトバルブ116は、液晶ライトバルブ115と同様に、第1偏光板116b、電気光学装置100(緑色用液晶パネル100G)、および第2偏光板116dを備えている。液晶ライトバルブ116に入射する緑色光Gは、ダイクロイックミラー113、114で反射されて入射するs偏光である。第1偏光板116bは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。また、電気光学装置100(緑色用液晶パネル100G)は、s偏光を画像信号に応じた変調によってp偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。そして、第2偏光板116dは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。したがって、液晶ライトバルブ116は、画像信号に応じて緑色光Gを変調し、変調した緑色光Gをクロスダイクロイックプリズム119に向けて出射する構成となっている。
液晶ライトバルブ117は、ダイクロイックミラー113で反射し、ダイクロイックミラー114を透過した後でリレー系120を経た青色光Bを画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。かかる液晶ライトバルブ117は、液晶ライトバルブ115、116と同様に、λ/2位相差板117a、第1偏光板117b、電気光学装置100(青色用液晶パネル100B)、および第2偏光板117dを備えている。ここで、液晶ライトバルブ117に入射する青色光Bは、ダイクロイックミラー113で反射してダイクロイックミラー114を透過した後にリレー系120の後述する2つの反射ミラー125a、125bで反射することから、s偏光となっている。
λ/2位相差板117aは、液晶ライトバルブ117に入射したs偏光をp偏光に変換する光学素子である。また、第1偏光板117bは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。そして、電気光学装置100(青色用液晶パネル100B)は、p偏光を画像信号に応じた変調によってs偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。さらに、第2偏光板117dは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。したがって、液晶ライトバルブ117は、画像信号に応じて青色光Bを変調し、変調した青色光Bをクロスダイクロイックプリズム119に向けて出射する構成となっている。なお、λ/2位相差板117a、および第1偏光板117bは、ガラス板117eに接した状態で配置されている。
リレー系120は、リレーレンズ124a、124bと反射ミラー125a、125bとを備えている。リレーレンズ124a、124bは、青色光Bの光路が長いことによる光損失を防止するために設けられている。ここで、リレーレンズ124aは、ダイクロイックミラー114と反射ミラー125aとの間に配置されている。また、リレーレンズ124bは、反射ミラー125a、125bの間に配置されている。反射ミラー125aは、ダイクロイックミラー114を透過してリレーレンズ124aから出射した青色光Bをリレーレンズ124bに向けて反射するように配置されている。また、反射ミラー125bは、リレーレンズ124bから出射した青色光Bを液晶ライトバルブ117に向けて反射するように配置されている。
クロスダイクロイックプリズム119は、2つのダイクロイック膜119a、119bをX字型に直交配置した色合成光学系である。ダイクロイック膜119aは青色光Bを反射して緑色光Gを透過する膜であり、ダイクロイック膜119bは赤色光Rを反射して緑色光Gを透過する膜である。従って、クロスダイクロイックプリズム119は、液晶ライトバルブ115〜117の各々で変調された赤色光Rと緑色光Gと青色光Bとを合成し、投射光学系118に向けて出射するように構成されている。
なお、液晶ライトバルブ115、117からクロスダイクロイックプリズム119に入射する光はs偏光であり、液晶ライトバルブ116からクロスダイクロイックプリズム119に入射する光はp偏光である。このようにクロスダイクロイックプリズム119に入射する光を異なる種類の偏光としていることで、クロスダイクロイックプリズム119において各液晶ライトバルブ115〜117から入射する光を合成できる。ここで、一般に、ダイクロイック膜119a、119bはs偏光の反射トランジスター特性に優れている。このため、ダイクロイック膜119a、119bで反射される赤色光R、および青色光Bをs偏光とし、ダイクロイック膜119a、119bを透過する緑色光Gをp偏光としている。投射光学系118は、投影レンズ(図示略)を有しており、クロスダイクロイックプリズム119で合成された光をスクリーン111に投射するように構成されている。
(他の投射型表示装置)
上記投射型表示装置においては、透過型の電気光学装置100を用いたが、反射型の電気光学装置100を用いて投射型表示装置を構成してもよい。また、投射型表示装置においては、光源部として、各色の光を出射するLED光源等を用い、かかるLED光源から出射された色光を各々、別の液晶装置に供給するように構成してもよい。
(他の電子機器)
本発明を適用した電気光学装置100については、上記の電子機器の他にも、携帯電話機、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルカメラ、液晶テレビ、カーナビゲーション装置、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等の電子機器において直視型表示装置として用いてもよい。