JP2014202056A - 落石防護施設及びその構築方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】既存の落石防護網に対して、補強作業を安全に実施することが可能な落石防護網の補強構造及び補強方法を提供すること。
【解決手段】既設の落石防護網の上から新たな落石防護網を設置し、前記既設の落石防護網と前記新たな落石防護網とを連結し、前記既設の落石防護網の単体での衝撃吸収機能を解除する。当該方法により、既設の落石防護網を撤去する必要がないため、落石防護の機能を維持したまま補強作業を行うことができる。
【選択図】図5

Description

本発明は、斜面に敷設する落石防護網の補強構造及び補強工法に関する。
斜面からの落石を防止する施設として、落石防護柵と落石防護網がある。
落石防護柵は、設置面に立設したフェンスを受撃面とし、落石を前記フェンスで受け止めて、フェンス後方(谷側)への落石の転がりを防止する機能を備える。
落石防護網は、ネットを設置面に敷設し、ネットに架け渡したワイヤーロープを設置面にアンカー留めすることにより、ネットの移動や変形をある程度許容しつつ、ネットと設置面との間の空間で落石の跳躍防止、落下速度の軽減を行いながら、落石を保全対象外の箇所まで導く機能を備える。
したがって、両者は機能・作用が大きく異なる施設である。
近年、既設の落石防護網に対し、部材の経年劣化や、施工時点での想定を超えた落石要因の発覚などによって、補強の要請が高まっている。
一般的な落石防護網の補強方法としては、既設の落石防護網を撤去して高機能な落石防護網を新たに張り直す方法がある。
なお、既設の落石防護柵の補強方法としては、特許文献1に記載の方法がある。
特開2010−174470号公報
しかし、上記した従来の落石防護網の補強方法では、以下に記載する問題のうち、少なくとも一つの問題があった。
(1)落石防護網の撤去・再設置時に、現場の落石防護機能が一時的に失われてしまう。
(2)既設の落石防護網の撤去作業時に、却って落石を誘因する危険性がある。
したがって、本発明は、既存の落石防護網に対して、補強作業を安全に実施することが可能な落石防護網の補強構造及び補強方法を提供することを目的の一つとする。
本願の第一発明は、単体での衝撃吸収機能を解除した既設の落石防護網と、前記既設の落石防護網を覆うように設置し、該既設の落石防護網を連結する新たな落石防護網と、を少なくとも含むことを特徴とする、落石防護網の補強構造を提供するものである。
また、本願の第二発明は、既設の落石防護網の上から、新たな落石防護網を設置し、前記既設の落石防護網を前記新たな落石防護網に連結し、前記既設の落石防護網の単体での衝撃吸収機能を解除することを特徴とする、落石防護網の補強方法を提供するものである。
これらの本願発明によれば、以下の効果のうち、少なくとも一つを得ることができる。
(1)既設の落石防護網を撤去する必要がないため、落石防護の機能を維持したまま補強作業を行うことができる。
(2)既設の落石防護網の撤去作業等によって落石を誘因する危険性を回避できる。
(3)既設の落石防護網に用いたネットを、新設の落石防護網の保護層として活用することができる。
(4)既設の落石防護網に用いたネットを、新設の落石防護網に対する衝撃吸収能力の向上材として活用することができる。
既設の落石防護網が設置された初期状態を示す概略側面図。 支柱の頭部付近の構造を示す概略側面図 新たな落石防護網を設置した状態を示す概略側面図。 既設の落石防護網の衝撃吸収機能を解除した状態を示す概略側面図。 実施例1における落石防護網の補強構造を示す概略斜視図。 実施例2における落石防護網の補強構造を示す概略側面図。 荷重制御装置の概略斜視図。
以下、各図面を参照しながら、本発明の落石防護網の補強構造及び補強方法の実施例について説明する。
<1>初期状態(図1)
既設の落石防護網が設置されている状態を初期状態とする。
一般的な落石防護網は、上部に開口部を設けて落石を捕獲・誘導するポケット式や、落石の発生源を予め覆うように被せる覆式などがあるが、本実施例ではポケット式の落石防護網を想定している。
本実施例における既設の落石防護網Xは、山側の設置面に所定間隔を設けて立設してある複数の支柱Aと、該支柱Aから谷側に向かって吊設する吸収ネットBと、を少なくとも含む。
[支柱の構造]
支柱Aは、前記吸収ネットBを吊設するための部材である。
図2に支柱Aの頭部の概要を示す。前記支柱Aの頭部近傍には、後述する控えロープFなどを連結するための連結部A1や、吸入ネットBに設けるワイヤーロープを通すための挿通部A2などを設けている。
この支柱Aの頭部に吸収ネットBを吊設することにより、吸収ネットBと設置面との間の空間が落石を受け入れるための開口部Gとなる。
[吸収ネット]
吸収ネットBは、落石を受けとめて衝撃を吸収するための部材である。
前記吸収ネットBは受撃面を構成する金網Cと、前記金網Cに取り付けて、該金網Cから延出した横方向及び縦方向のワイヤーロープ(以下、「横ロープD」、「縦ロープE」ともいう。)からなる。
各ワイヤーロープと金網Cとの連結方法は、図示しない接続コイルを介するなど、公知の方法によって行うことができる。
[金網]
金網Cの素材、形状は、落石要因に対する所望の衝撃吸収性能によって適宜決定することができ、例えば、超硬金網、菱形金網などを用いることができる。
[横ロープ]
横ロープDは、金網Cの縦方向に所定間隔毎に設ける部材であり、一般的には金網Cの上縁部分、単数又は複数の中間部分、下縁部分に等間隔で設けるが、配置位置、配置本数は適宜決定されるものであり、本発明において特段限定するものでではない。
横ロープDの各端部は、設置面にアンカー等によって固定する。
[縦ロープ]
縦ロープEは、金網Cの横方向に対して所定間隔毎に設ける部材であり、一般的には、金網Cの左縁部分、単数又は複数の中間部分、右縁部分に等間隔で設けるが、配置位置、配置本数は適宜決定されるものであり、本発明において特段限定するものではない。
縦ロープEの谷側の端部は、当該端部周辺の横ロープDと連結する。
[その他の部材]
既設の落石防護網Xは、必要に応じて支柱Aの頭部から山側に設けた控えロープFを別途設けた構成であっても良い。
なお、各ワイヤーロープの途上に、該ワイヤーロープに所定以上の張力が作用したときに、ワイヤーロープの摩擦摺動を許容して緩衝機能を発揮する公知の緩衝金具を設けてもよい(図示せず)。
<2>新たな落石防護網の設置(図3)
前記の既設の落石防護網Xを残した状態から、新たな落石防護網Yを設置する。
新たな落石防護網Yの構造は、既設の落石防護網Xとほぼ同様の構造である。
[支柱の兼用]
新たな落石防護網Yにおける新たな金網1を吊設するための支柱は、既設の落石防護網Xで用いている支柱Aをそのまま兼用することができる。
[金網の一体化]
新設の落石防護網Yの設置に際し、既設の金網Cと、新たな金網1とは、互い一体化した構造とする。
この両金網の一体化例としては、既設の金網Cに取り付けてある天端ロープD1に対し、図示しない結合コイルなどの連結部材によって新たな金網1を連結する方法がある。連結箇所は如何なる場所でも構わないが、好ましくは両金網の上縁付近としておけば良い。
その他、既設の金網Cに取り付けた天端ロープD1と、新たな金網1に取り付けてある天端ロープ21の、支柱Aの挿通部A2(図2)を兼用する方法によって、両金網を一体化することもできる。
本実施例では、前記した一体化方法の両方を採用しているが、本発明は、何れか一方の方法を採用してもよいし、その他の公知の方法を採用しても良い。
新たな横ロープ2及び控えロープ4をそれぞれ設置面にアンカー固定して、新たな落石防護網Yの設置を完了する。
このように、新設の落石防護網Yの設置直後は、既設の落石防護網Xと新設の落石防護網Yが、互いに設置された状態となっている。
<3>既設の落石防護網の機能解除(図4)
新設の落石防護網Yの設置が完了した後、既設の落石防護網Xの、単体での衝撃吸収機能を解除する。
前記した衝撃吸収機能の解除方法は、例えば、各ワイヤーロープ(横ロープD、縦ロープE、控えロープF)と設置面との接続を解除する方法がある。当該解除は、設置面に設けたアンカーを除去したり、ワイヤーロープを切断したりする方法によって行うことができる。
なお、何れのアンカー或いはワイヤーロープに対して処置を施すかは、落石防護網の構造を踏まえ、実際に既設の落石防護網Xが衝撃吸収機能を発揮できない態様となる範囲で適宜決定すればよい。
すなわち、横ロープD、天端ロープD1、縦ロープE、控えロープFの種類毎に解除対象を選択しても良いし、例えば横ロープD一部のみを解除対象として選択したりしても良い。
本実施例では、既設の落石防護網を構成するワイヤーロープのうち、天端ロープD1の設置面との接続は解除せず、その他の横ロープDの接続を少なくとも解除している。
この解除作業により、既設の落石防護網Xは、実質的に単体での衝撃吸収機能が失われた状態となり、既設の金網Cが、新たな金網1の内側で垂れ留まった状態となる。
その他、控えロープFの接続も解除しているが、本発明において必須の事項ではない。
<4>完成状態の機能・作用(図4,5)
完成状態の落石防護網の補強構造の機能作用について説明する。
前記の通り、既設の金網Cは、新たな金網1の内側で垂れ留まった状態となる。
この既設の金網Cは、新たな落石防護網Yのポケット内部に誘導された落石が新たな金網Cに直接触れて破損等が発生しないための、新たな金網1の保護層5として機能することとなる。
特に、ポケット(設置面から角度を持たせて設けてある箇所)にある金網部分は、落下してくる落石の最初の受撃面となりうるため、保護層5としての機能がよく発揮される点で有益である。
また、既設の金網Cは、単体での衝撃吸収能力は失われるものの、新たな金網1と連結して一体化されているため、新たな金網1の見かけ重量を増加させる効果を発揮するため、新設の落石防護網Yの衝撃吸収能力の向上材として機能することとなる。
次に、既設の落石防護網が覆式の場合の補強方法について説明する。
<1>初期状態
図6に、本実施例での完成状態の落石防護網の補強構造を示す。
覆式である既設の落石防護網Xは、ポケット式の落石防護網と異なり、支柱Aは設置せず、斜面にある岩塊を覆うように配置する吸収ネットBのみで構成する。
また、吸収ネットBを構成する縦ロープEの山側端部は、金網から延出してそのまま控えロープFとして使用される点も、実施例1と異なる。
<2>新たな落石防護網の設置
既設の落石防護網Xを残した状態から、新たな落石防護網Yを設置する。
新たな落石防護網Yの構造は、既設の落石防護網Xとほぼ同様の構造である。
実施例1と同様、それぞれの落石防護網を構成する金網同士は、互いの金網の上縁付近で一体化した構造とする。なお、両金網の連結方法は、実施例1にて説明した支柱Aの兼用による連結方法を除いた、公知の方法で行えばよい。
その他の工程は、実施例1に記載の工程と同様である。
<3>既設の落石防護網の機能解除
新設の落石防護網Yの設置が完了した後、既設の落石防護網Xの単体での衝撃吸収機能を解除する。
実施例1では、既設の落石防護網Xで用いる天端ロープD1を除く、横ロープD及び控えロープFと、設置面との接続を少なくとも解除していたが、本実施例では、天端ロープD1だけでなく、既設の落石防護網で用いる縦ロープE(控えロープFの機能を兼用)も残したままとする。
これは、縦ロープEと設置面との接続が解除されると、縦ロープEが何れの場所にも固定されないため、両金網を吊る新たな縦ロープ3の負担が大きくなり、両金網が撓むおそれがあるからである。
なお、既設の落石防護網Xで用いる縦ロープE(控えロープF)及び天端ロープD1のみでは、金網Cの上縁を縦横から吊るのみであるから、単体で衝撃吸収機能を維持することができないことは明らかである。
<4>完成状態の機能・作用
本実施例による覆式の落石防護網であっても、実施例1に記載と同様の作用・効果を得ることができる。
[荷重制御装置の介設]
本発明は、新設の落石防護網Yを設置するにあたり、アンカーと各ワイヤーロープとの間に荷重制御装置6を設けても良い(図7)。
この荷重制御装置6は、帯状板を折り返して形成した拡張部の内周面でもって、前記ワイヤーロープを把持可能に形成した拘束具61と、アンカーと接続するワイヤーロープを連結するための連結孔621を設けたベースプレート62と、前記拘束具61をベースプレート62に組み付けるとともに、前記拡張部を収縮可能な締結手段63によって構成することができる。
この荷重制御装置6は、締結手段63の数の増減でもってワイヤーロープが前記把持部内をスリップする閾値を調整することができる。
この荷重制御装置6をワイヤーロープ上に介設することで、新たな落石防護網Yの衝撃吸収機能の向上に寄与しうる。
X 既設の落石防護網
A 支柱
A1 連結部
A2 挿通孔
B 吸収ネット
C 金網
D 横ロープ
D1 天端ロープ
E 縦ロープ
F 控えロープ
G 開口部
Y 新たな落石防護網
1 新たな金網
2 新たな横ロープ
21 新たな天端ロープ
3 新たな縦ロープ
4 新たな控えロープ
5 保護層
6 荷重制御装置
61 拘束具
62 ベースプレート
621 連結孔
63 締結手段
本発明は、落石防護施設及びその構築方法に関し、より詳しくは斜面に敷設する既設の落石防護網を転用しつつ新たな落石防護網を敷設してなる落石防護施設及びその構築方法に関する。
斜面からの落石を防止する施設として、落石防護柵と落石防護網がある。
落石防護柵は、設置面に立設したフェンスを受撃面とし、落石を前記フェンスで受け止めて、フェンス後方(谷側)への落石の転がりを防止する機能を備える。
落石防護網は、ネットを設置面に敷設し、ネットに架け渡したワイヤーロープを設置面にアンカー留めすることにより、ネットの移動や変形をある程度許容しつつ、ネットと設置面との間の空間で落石の跳躍防止、落下速度の軽減を行いながら、落石を保全対象外の箇所まで導く機能を備える。
したがって、両者は機能・作用が大きく異なる施設である。
近年、既設の落石防護網に対し、部材の経年劣化や、施工時点での想定を超えた落石要因の発覚などによって、補強の要請が高まっている。
一般的な落石防護網の補強方法としては、既設の落石防護網を撤去して高機能な落石防護網を新たに張り直す方法がある。
なお、既設の落石防護柵の補強方法としては、特許文献1に記載の方法がある。
特開2010−174470号公報
しかし、上記した従来の落石防護網の補強方法では、以下に記載する問題のうち、少なくとも一つの問題があった。
(1)落石防護網の撤去・再設置時に、現場の落石防護機能が一時的に失われてしまう。
(2)既設の落石防護網の撤去作業時に、却って落石を誘因する危険性がある。
したがって、本発明は、落石防護網からなる落石防護施設に対して、補強作業を安全に実施することが可能な落石防護施設及びその構築方法を提供することを目的の一つとする。
本願の第一発明は、設置面に敷設し、該設置面との間の空間を介して落石を誘導する既設の落石防護網を転用してなる、落石防護施設であって、単体での衝撃吸収機能を解除した既設の落石防護網と、前記既設の落石防護網を覆うように敷設し、該既設の落石防護網を連結する新たな落石防護網と、を少なくとも含むことを特徴とする、落石防護施設を提供するものである。
また、本願の第二発明は、設置面に敷設し、該設置面との間の空間を介して落石を誘導する既設の落石防護網を転用してなる、落石防護施設の構築方法であって、既設の落石防護網の上から、新たな落石防護網を敷設し、前記既設の落石防護網を前記新たな落石防護網に連結し、前記既設の落石防護網の単体での衝撃吸収機能を解除することを特徴とする、落石防護施設構築方法を提供するものである。
これらの本願発明によれば、以下の効果のうち、少なくとも一つを得ることができる。
(1)既設の落石防護網を撤去する必要がないため、落石防護の機能を維持したまま落石防護施設の構築作業を行うことができる。
(2)既設の落石防護網の撤去作業等によって落石を誘因する危険性を回避できる。
(3)既設の落石防護網に用いたネットを、新設の落石防護網の保護層として活用することができる。
(4)既設の落石防護網に用いたネットを、新設の落石防護網に対する衝撃吸収能力の向上材として活用することができる。
既設の落石防護網が設置された初期状態を示す概略側面図。 支柱の頭部付近の構造を示す概略側面図 新たな落石防護網を設置した状態を示す概略側面図。 既設の落石防護網の衝撃吸収機能を解除した状態を示す概略側面図。 実施例1における落石防護網の補強構造を示す概略斜視図。 実施例2における落石防護網の補強構造を示す概略側面図。 荷重制御装置の概略斜視図。
以下、各図面を参照しながら、本発明の落石防護施設及びその構築方法の実施例について説明する。
<1>初期状態(図1)
既設の落石防護網が設置されている状態を落石防護施設の初期状態とする。
一般的な落石防護網は、上部に開口部を設けて落石を捕獲・誘導するポケット式や、落石の発生源を予め覆うように被せる覆式などがあるが、本実施例ではポケット式の落石防護網を想定している。
本実施例における既設の落石防護網Xは、山側の設置面に所定間隔を設けて立設してある複数の支柱Aと、該支柱Aから谷側に向かって吊設する吸収ネットBと、を少なくとも含む。
[支柱の構造]
支柱Aは、前記吸収ネットBを吊設するための部材である。
図2に支柱Aの頭部の概要を示す。前記支柱Aの頭部近傍には、後述する控えロープFなどを連結するための連結部A1や、吸入ネットBに設けるワイヤーロープを通すための挿通部A2などを設けている。
この支柱Aの頭部に吸収ネットBを吊設することにより、吸収ネットBと設置面との間の空間が落石を受け入れるための開口部Gとなる。
[吸収ネット]
吸収ネットBは、落石を受けとめて衝撃を吸収するための部材である。
前記吸収ネットBは受撃面を構成する金網Cと、前記金網Cに取り付けて、該金網Cから延出した横方向及び縦方向のワイヤーロープ(以下、「横ロープD」、「縦ロープE」ともいう。)からなる。
各ワイヤーロープと金網Cとの連結方法は、図示しない接続コイルを介するなど、公知の方法によって行うことができる。
[金網]
金網Cの素材、形状は、落石要因に対する所望の衝撃吸収性能によって適宜決定することができ、例えば、超硬金網、菱形金網などを用いることができる。
[横ロープ]
横ロープDは、金網Cの縦方向に所定間隔毎に設ける部材であり、一般的には金網Cの上縁部分、単数又は複数の中間部分、下縁部分に等間隔で設けるが、配置位置、配置本数は適宜決定されるものであり、本発明において特段限定するものでではない。
横ロープDの各端部は、設置面にアンカー等によって固定する。
[縦ロープ]
縦ロープEは、金網Cの横方向に対して所定間隔毎に設ける部材であり、一般的には、金網Cの左縁部分、単数又は複数の中間部分、右縁部分に等間隔で設けるが、配置位置、配置本数は適宜決定されるものであり、本発明において特段限定するものではない。
縦ロープEの谷側の端部は、当該端部周辺の横ロープDと連結する。
[その他の部材]
既設の落石防護網Xは、必要に応じて支柱Aの頭部から山側に設けた控えロープFを別途設けた構成であっても良い。
なお、各ワイヤーロープの途上に、該ワイヤーロープに所定以上の張力が作用したときに、ワイヤーロープの摩擦摺動を許容して緩衝機能を発揮する公知の緩衝金具を設けてもよい(図示せず)。
<2>新たな落石防護網の設置(図3)
前記の既設の落石防護網Xを残した状態から、新たな落石防護網Yを設置する。
新たな落石防護網Yの構造は、既設の落石防護網Xとほぼ同様の構造である。
[支柱の兼用]
新たな落石防護網Yにおける新たな金網1を吊設するための支柱は、既設の落石防護網Xで用いている支柱Aをそのまま兼用することができる。
[金網の一体化]
新設の落石防護網Yの設置に際し、既設の金網Cと、新たな金網1とは、互い一体化した構造とする。
この両金網の一体化例としては、既設の金網Cに取り付けてある天端ロープD1に対し、図示しない結合コイルなどの連結部材によって新たな金網1を連結する方法がある。連結箇所は如何なる場所でも構わないが、好ましくは両金網の上縁付近としておけば良い。
その他、既設の金網Cに取り付けた天端ロープD1と、新たな金網1に取り付けてある天端ロープ21の、支柱Aの挿通部A2(図2)を兼用する方法によって、両金網を一体化することもできる。
本実施例では、前記した一体化方法の両方を採用しているが、本発明は、何れか一方の方法を採用してもよいし、その他の公知の方法を採用しても良い。
新たな横ロープ2及び控えロープ4をそれぞれ設置面にアンカー固定して、新たな落石防護網Yの設置を完了する。
このように、新設の落石防護網Yの設置直後は、既設の落石防護網Xと新設の落石防護網Yが、互いに設置された状態となっている。
<3>既設の落石防護網の機能解除(図4)
新設の落石防護網Yの設置が完了した後、既設の落石防護網Xの、単体での衝撃吸収機能を解除する。
前記した衝撃吸収機能の解除方法は、例えば、各ワイヤーロープ(横ロープD、縦ロープE、控えロープF)と設置面との接続を解除する方法がある。当該解除は、設置面に設けたアンカーを除去したり、ワイヤーロープを切断したりする方法によって行うことができる。
なお、何れのアンカー或いはワイヤーロープに対して処置を施すかは、落石防護網の構造を踏まえ、実際に既設の落石防護網Xが衝撃吸収機能を発揮できない態様となる範囲で適宜決定すればよい。
すなわち、横ロープD、天端ロープD1、縦ロープE、控えロープFの種類毎に解除対象を選択しても良いし、例えば横ロープD一部のみを解除対象として選択したりしても良い。
本実施例では、既設の落石防護網を構成するワイヤーロープのうち、天端ロープD1の設置面との接続は解除せず、その他の横ロープDの接続を少なくとも解除している。
この解除作業により、既設の落石防護網Xは、実質的に単体での衝撃吸収機能が失われた状態となり、既設の金網Cが、新たな金網1の内側で垂れ留まった状態となる。
その他、控えロープFの接続も解除しているが、本発明において必須の事項ではない。
<4>完成状態の機能・作用(図4,5)
完成状態の落石防護施設の機能作用について説明する。
前記の通り、既設の金網Cは、新たな金網1の内側で垂れ留まった状態となる。
この既設の金網Cは、新たな落石防護網Yのポケット内部に誘導された落石が新たな金網Cに直接触れて破損等が発生しないための、新たな金網1の保護層5として機能することとなる。
特に、ポケット(設置面から角度を持たせて設けてある箇所)にある金網部分は、落下してくる落石の最初の受撃面となりうるため、保護層5としての機能がよく発揮される点で有益である。
また、既設の金網Cは、単体での衝撃吸収能力は失われるものの、新たな金網1と連結して一体化されているため、新たな金網1の見かけ重量を増加させる効果を発揮するため、新設の落石防護網Yの衝撃吸収能力の向上材として機能することとなる。
次に、既設の落石防護網が覆式の場合の補強方法について説明する。
<1>初期状態
図6に、本実施例での完成状態の落石防護施設を示す。
覆式である既設の落石防護網Xは、ポケット式の落石防護網と異なり、支柱Aは設置せず、斜面にある岩塊を覆うように配置する吸収ネットBのみで構成する。
また、吸収ネットBを構成する縦ロープEの山側端部は、金網から延出してそのまま控えロープFとして使用される点も、実施例1と異なる。
<2>新たな落石防護網の設置
既設の落石防護網Xを残した状態から、新たな落石防護網Yを設置する。
新たな落石防護網Yの構造は、既設の落石防護網Xとほぼ同様の構造である。
実施例1と同様、それぞれの落石防護網を構成する金網同士は、互いの金網の上縁付近で一体化した構造とする。なお、両金網の連結方法は、実施例1にて説明した支柱Aの兼用による連結方法を除いた、公知の方法で行えばよい。
その他の工程は、実施例1に記載の工程と同様である。
<3>既設の落石防護網の機能解除
新設の落石防護網Yの設置が完了した後、既設の落石防護網Xの単体での衝撃吸収機能を解除する。
実施例1では、既設の落石防護網Xで用いる天端ロープD1を除く、横ロープD及び控えロープFと、設置面との接続を少なくとも解除していたが、本実施例では、天端ロープD1だけでなく、既設の落石防護網で用いる縦ロープE(控えロープFの機能を兼用)も残したままとする。
これは、縦ロープEと設置面との接続が解除されると、縦ロープEが何れの場所にも固定されないため、両金網を吊る新たな縦ロープ3の負担が大きくなり、両金網が撓むおそれがあるからである。
なお、既設の落石防護網Xで用いる縦ロープE(控えロープF)及び天端ロープD1のみでは、金網Cの上縁を縦横から吊るのみであるから、単体で衝撃吸収機能を維持することができないことは明らかである。
<4>完成状態の機能・作用
本実施例による覆式の落石防護網を用いた落石防護施設であっても、実施例1に記載と同様の作用・効果を得ることができる。
[荷重制御装置の介設]
本発明は、新設の落石防護網Yを設置するにあたり、アンカーと各ワイヤーロープとの間に荷重制御装置6を設けても良い(図7)。
この荷重制御装置6は、帯状板を折り返して形成した拡張部の内周面でもって、前記ワイヤーロープを把持可能に形成した拘束具61と、アンカーと接続するワイヤーロープを連結するための連結孔621を設けたベースプレート62と、前記拘束具61をベースプレート62に組み付けるとともに、前記拡張部を収縮可能な締結手段63によって構成することができる。
この荷重制御装置6は、締結手段63の数の増減でもってワイヤーロープが前記把持部内をスリップする閾値を調整することができる。
この荷重制御装置6をワイヤーロープ上に介設することで、新たな落石防護網Yの衝撃吸収機能の向上に寄与しうる。
X 既設の落石防護網
A 支柱
A1 連結部
A2 挿通孔
B 吸収ネット
C 金網
D 横ロープ
D1 天端ロープ
E 縦ロープ
F 控えロープ
G 開口部
Y 新たな落石防護網
1 新たな金網
2 新たな横ロープ
21 新たな天端ロープ
3 新たな縦ロープ
4 新たな控えロープ
5 保護層
6 荷重制御装置
61 拘束具
62 ベースプレート
621 連結孔
63 締結手段

Claims (2)

  1. 単体での衝撃吸収機能を解除した既設の落石防護網と、
    前記既設の落石防護網を覆うように設置し、該既設の落石防護網を連結する新たな落石防護網と、を少なくとも含むことを特徴とする、
    落石防護網の補強構造。
  2. 既設の落石防護網の上から、新たな落石防護網を設置し、
    前記既設の落石防護網を前記新たな落石防護網に連結し、
    前記既設の落石防護網の単体での衝撃吸収機能を解除することを特徴とする、
    落石防護網の補強方法。
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