JP2014201460A - 鉄鋼スラグの表面改質方法及びスラグ混合物の表面改質方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の鉄鋼スラグの表面改質方法は、鉄鋼スラグの炭酸化を図る炭酸化工程において、鉄鋼スラグの水分量は、0.1質量%以上で且つ0.85×Ln(CO2ガス濃度%)+3.7で求められる上限値以下となる範囲とすると共に、0.93/CO2ガス濃度%で求められる時間以上保持することにより、鉄鋼スラグの表面を改質する。また、本発明のスラグ混合物の表面改質方法においても、炭酸化工程において、スラグ混合物の水分量は、0.1質量%以上で且つ0.85×Ln(CO2ガス濃度%)+3.7で求められる上限値以下となる範囲とすると共に、0.93/CO2ガス濃度%で求められる時間以上保持する。
【選択図】図1
Description
特許文献2には、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、及びフマル酸の不飽和カルボン酸、並びに、これらの不飽和カルボン酸の、塩、酸ハライド、及び酸無水物からなる化合物群から選ばれた1種又は2種以上の化合物を繰返し単位として有するビニル重合体、ビーライト、並びにセメントを含む結合材を含有し、かつ、セメントを含む結合材及びビーライトからなる無機成分粉末中のビーライト含有量が40%以上である炭酸化硬化体用セメント組成物に対して、炭酸化処理を行うことが開示されている。
即ち、これらの技術を用いても鉄鋼スラグや鉄鋼スラグを含むスラグ混合物に対して適正な炭酸化処理を付与することができなかった。
スラグの表面改質方法及びスラグ混合物の表面改質方法を提供することを目的とする。
本発明の鉄鋼スラグの表面改質方法は、鉄鋼スラグの炭酸化を図る炭酸化工程において、前記鉄鋼スラグの水分量は、0.1質量%以上で且つ式(1)で求められる上限値以下となる範囲とすると共に、式(2)で求められる時間以上保持することにより、前記鉄鋼スラグの表面を改質することを特徴とする。
製鉄所では、一般的に、高炉で出銑した溶銑に対して脱硫処理及び脱珪処理などの溶銑予備処理を行い、溶銑予備処理の終了後には脱りん処理や脱炭処理を行っている。溶銑などを溶鋼に精錬する様々な精錬処理では、副生成物である鉄鋼スラグが生成される。鉄鋼スラグは、例えば、脱炭スラグ、溶銑脱燐スラグ、溶銑脱硫スラグ、溶銑脱珪スラグ、取鍋精錬スラグ、電気炉鉄鋼スラグなどである。鉄鋼スラグには精錬処理によってある程度の差はあるものの、酸化カルシウム(CaO)、二酸化珪素、酸化アルミニウム、鉄などが含まれている。この鉄鋼スラグは、精錬処理後に外部に排滓して様々な用途に用いられるが、精錬処理後の鉄鋼スラグ中には、f−CaOやCa(OH)2が含まれている。
本発明では、鉄鋼スラグ、或いは、鉄鋼スラグを含むスラグ混合物を、海洋環境修復材などとして使用できるように、鉄鋼スラグ、スラグ混合物の改質を行うこととしている。
、鉄鋼スラグ1(又はスラグ混合物)を改質する。
なお、スラグ混合物とは、鉄鋼スラグを一材料として構成したものであればよく、鉄鋼スラグと他の骨材やバインダーとを合わせて塊成化した材料であっても、鉄鋼スラグを土砂等と混合した材料であってもよい。また、排滓後の鉄鋼スラグに対して蒸気エージング処理を行ってCaOをCa(OH)2に変質させてもよい。
鉄鋼スラグの表面改質方法では、鉄鋼スラグに含まれているf−CaOやCa(OH)2を利用して、鉄鋼スラグの表面をコーティングし、このコーティングによって鉄鋼スラグからのアルカリ溶出を抑制することとしている。
同様に、スラグ混合物の表面改質方法でも、スラグ混合物中にある鉄鋼スラグに含まれているf−CaOやCa(OH)2を利用して、スラグ混合物の表面をコーティングし、このコーティングによってスラグ混合物からのアルカリ溶出を抑制することとしている。
炭酸化処理を行う(炭酸化工程)にあたっては、鉄鋼スラグに水分を付与(供給)することにより、鉄鋼スラグの表面全体を濡れている状態にする必要がある。例えば、炭酸化処理の前に行う前処理工程において、スラグパンなどに排滓した精錬処理後の鉄鋼スラグに対して、水を噴霧し、鉄鋼スラグの表面全体を濡らす。この前処理工程において、鉄鋼スラグに水分を付与するにあたって、その水分量は、鉄鋼スラグに対して0.1質量%以上であればよく、好ましくは、2質量%以上がよい。鉄鋼スラグに付与する水分量を10質量%以上にしたとしても、水分が鉄鋼スラグに付着しないため、水分量の上限値は10質量%とする。また、鉄鋼スラグに過剰な水分を付与すると、反応を阻害する虞があるため、水分量の上限値を5質量%とすることが好ましい。
発明者は、様々な角度から実験等により、水分量、炭酸ガス濃度、炭酸カルシウムを生成する炭酸化反応との関係について検証を行った。その結果、本発明では、炭酸化工程において、鉄鋼スラグの水分量の上限値は、式(1)で求められる以下とする必要があることを見出した。
炭酸化工程において、炭酸化反応は炭酸ガス濃度に相関すことから、当該炭酸化工程では、鉄鋼スラグの水分量を上述した範囲[0.1質量%以上、式(1)の値以下]を維持する保持時間を式(2)で求められる以上としている。以下、説明の便宜上、鉄鋼スラグの水分量を[0.1質量%以上、式(1)の値以下]に保持する状態ことを水分保持状態
ということがある。保持時間の単位は、1時間[hour]である。
さて、炭酸化工程において、鉄鋼スラグを取り囲む雰囲気における炭酸ガス濃度(CO2濃度)は、大気の炭酸ガス濃度(約0.04%)よりも高めた方がよい。炭酸ガス濃度を大気の炭酸ガス濃度以上にすることにより、アルカリ溶出を抑制するために必要な緻密な炭酸カルシウム層が鉄鋼スラグの表面に形成され易く、炭酸カルシウム層の厚みが厚くなり易い。加えて、炭酸イオンの供給量が上昇するため、炭酸化反応は速やか進行し、短時間で処理することができる。ここで、鉄鋼スラグを囲む雰囲気下において、炭酸ガス濃度は0.05%以上がよく、好ましくは0.08%以上がよい。炭酸ガス濃度が1%を超えた場合、炭酸ガス濃度による反応促進効果が飽和するため、炭酸ガス濃度の上限値は1%とする。なお、鉄鋼スラグを取り囲む雰囲気における炭酸ガス濃度の調整は、例えば、鉄鋼スラグをスラグパンに入れて、スラグパンの周りの雰囲気を炭酸ガスを吹き付けることにより行っても良いし、炭酸ガスの雰囲気を調整する容器内に鉄鋼スラグを入れて容器内の炭酸ガス濃度を調整してもよい。
表1のNo.1は、鉄鋼スラグを乾燥させただけの未処理のスラグである(炭酸化処理を行っていないスラグ)。鉄鋼スラグを保持した温度は30℃とした。No.2〜9は、水分量を一定値に保持する炭酸化処理を行った。No10〜12は、炭酸化処理における鉄鋼スラグの水分量を変化させた。このうち、No.10では、水分量変化を3回繰り返し、炭酸化反応が進行する水分量範囲[水分保持状態]で維持した合計時間を記録した。また、No11,12では、炭酸化処理における鉄鋼スラグの水分量が一旦変化したものの変化後の水分量を保持し、炭酸化反応が進行する水分量範囲[水分保持状態]で維持した保持時間を記録した。
No.3及びNo.5では、炭酸化処理において、水分量を水分保持状態としているものの、保持時間が短かったため不良「×」又はやや不良「△」となった。
Claims (2)
- 鉄鋼スラグの炭酸化を図る炭酸化工程において、前記鉄鋼スラグの水分量は、0.1質量%以上で且つ式(1)で求められる上限値以下となる範囲とすると共に、式(2)で求められる時間以上保持することにより、前記鉄鋼スラグの表面を改質することを特徴とする鉄鋼スラグの表面改質方法。
- 鉄鋼スラグを含有するスラグ混合物の炭酸化を図る炭酸化工程において、前記スラグ混合物の水分量は、0.1質量%以上で且つ式(1)で求められる上限値以下となる範囲とすると共に、式(2)で求められる時間以上保持することにより、前記スラグ混合物の表面を改質することを特徴とするスラグ混合物の表面改質方法。
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