JP2008163391A - 還元スラグの処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】還元スラグから硫黄分を低減することで、還元スラグの石灰分を造滓材として有効利用する。
【解決手段】処理設備において、処理ピット内の還元スラグに対し水蒸気を吹込むことで、水蒸気と還元スラグとが接触し、還元スラグ中の硫化カルシウムが加水分解することで、水酸化カルシウムおよび硫化水素が生成される。ここで、気体である硫化水素は大気に放出される。これにより、還元スラグの硫黄分は、硫化水素の形で還元スラグから除去される。そして、水蒸気処理後の還元スラグは、電気炉による製鋼過程における還元精練の造滓材として再利用される。
【選択図】図3

Description

この発明は、電気炉による製鋼の過程で排出される還元スラグを、製鋼過程で再利用可能な造滓材とするための処理方法に関するものである。
電気炉による製鋼の過程において、酸化精錬で生成される酸化スラグや、酸化精練後に新たに還元剤や生石灰等の造滓材を装入して、溶鋼中の硫黄を除去する還元精錬時に生成する還元スラグ等の余剰物が生じる。特に、還元スラグは、成分として石灰分(CaO)を多量に含んでおり、この石灰分は水分を吸収して水酸化カルシウム(Ca(OH)2)に転化する際に体積膨張を起こすため、そのまま路盤材や土木材料等として用いることができない。そこで、還元スラグを路盤材等として利用するためには、膨張を抑制するための安定化処理が必要である。
還元スラグの安定化処理方法としては、野積み状態で放置する自然エージングが一般的に行なわれていた。また、特許文献1では、破砕後の転炉スラグを湿潤させ、山積みで15日間自然エージング処理し、さらに飽水状態で30日間維持するエージング方法が提案されている。そして、特許文献2では、破砕した後山積み状態のスラグに水分を含有する高温度の蒸気を吹込んで加熱しながら、大気中で48時間以上暴露するエージング方法も提案されている。この特許文献2のエージング方法では、蒸気を吹込んだ後、7日間養生して、スラグ粒を完全に崩壊(膨張)させて安定化を図る工程が設けられている。
特開昭57−57815号公報 特開昭61−101441号公報
前述したエージング処理による還元スラグの安定化は、何れも路盤材等として使用するために充分な膨張を行なうのに長い期間がかかる難点がある。また、建築廃材等も再生路盤材として用いられる昨今では、路盤材の需要量に対して供給量が過大となっており、還元スラグの路盤材としての再利用の途が先細りとなっている現状もある。しかるに、還元スラグの再利用促進が重要となってきた近年においては、還元スラグの再利用に関し、処理期間が短くて、かつ路盤材等以外の別の用途を模索する要求がある。
そこで、電気炉による製鋼工程で排出される還元スラグは、50%程度の高い割合で石灰分を含んでいることから、造滓材として再利用することが考えられる。しかし、還元スラグは、硫化カルシウム(CaS)の形で5%程度の硫黄(S)分も含んでいるから、このまま造滓材として溶鋼に装入すると、溶鋼へ還元スラグ中の硫黄分が入ってしまい、溶鋼から硫黄分を取出すための余分な処理を行なう必要が生じ、操業へ支障が発生する問題がある。
すなわち本発明は、従来の技術に係る還元スラグの処理方法に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、還元スラグに含まれる硫黄分を低減することで、還元スラグの石灰分を造滓材として有効利用し得る還元スラグの処理方法を提供することを目的とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の還元スラグの処理方法は、
電気炉による製鋼過程で排出される還元スラグを、製鋼過程で再利用可能な造滓材とするための処理方法であって、
前記還元スラグに対し水蒸気を接触させる水蒸気処理を行ない、該還元スラグに含まれる硫黄分を加水分解により当該還元スラグから分離し、還元スラグの硫黄分を低減することを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、還元スラグに水蒸気を接触させる水蒸気処理を行なうことで、還元スラグに含まれる硫黄分を加水分解反応により分離できるから、還元スラグの硫黄分を低減し得る。これにより、水蒸気処理後の還元スラグを、製鋼過程における造滓材として、製鋼過程の操業に悪影響を与えることなく使用することができる。
請求項2に係る発明は、前記水蒸気処理を行なう環境における圧力との関係で、水が水蒸気として存在できる最低温度において、該水蒸気処理を行なうことを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、水蒸気処理を行なう環境における圧力との関係で、水が水蒸気として存在できる最低温度において水蒸気処理を行なうことで、加水分解反応が効率よく進行するから、水蒸気処理に要する期間を短縮化し得る。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項3に係る発明の還元スラグの処理方法は、
電気炉による製鋼過程で排出される還元スラグを、製鋼過程で再利用可能な造滓材とするための処理方法であって、
前記還元スラグを水に浸漬して煮沸する煮沸処理を行ない、該還元スラグに含まれる硫黄分を加水分解により当該還元スラグから分離し、還元スラグの硫黄分を低減することを特徴とする。
請求項3に係る発明によれば、還元スラグを水に浸漬して煮沸する煮沸処理を行なうことで、還元スラグに含まれる硫黄分を加水分解反応により分離できるから、還元スラグの硫黄分を低減し得る。これにより、煮沸処理後の還元スラグを、製鋼過程における造滓材として、製鋼過程の操業に悪影響を与えることなく使用することができる。
本発明に係る還元スラグの処理方法によれば、還元スラグの硫黄分を低減し得るから、還元スラグを製鋼過程における造滓材として、製鋼過程の操業に悪影響を与えることなく使用することができる。
次に、本発明に係る還元スラグの処理方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
実施例1に係る還元スラグの処理方法を説明するのに先立ち、該処理方法を実施するための処理設備10について、図1および図2を用いて簡単に説明する。なお実施例1では、電気炉による製鋼の過程において、還元精練が取鍋精錬炉(LF)で行なわれる場合を例に挙げる(図3参照)。実施例1の処理設備10は、還元スラグに対し水蒸気を接触させる水蒸気処理を行なうものであって、取鍋精錬炉LFから排出された還元スラグを貯蔵する処理ピット12を本体とし、この処理ピット12に水蒸気を供給する蒸気供給手段14と、処理ピット12内の還元スラグを撹拌する撹拌手段22とを備えている。蒸気供給手段14は、処理ピット12の内底部に設けた砕石層Rに所定ピッチで配設された複数の蒸気管16と、水蒸気を発生させて蒸気管16に送る蒸気発生器18とから構成される。蒸気管16には、複数の孔部(図示せず)が開設され、これらの孔部から蒸気発生器18より送られた水蒸気が砕石層Rを介して、該砕石層Rの上側に堆積させた還元スラグ層KSに対して供給される。なお、蒸気管16と蒸気発生器18との間には、調整弁20が設けられ、蒸気の供給量を適宜調節し得るようになっている。
前記撹拌手段22は、処理ピット12内において還元スラグ層KSの位置に対応して回転自在に設けられた回転軸24aと、該回転軸24aに所定ピッチで配設された複数の撹拌体24と、これら撹拌体24を同軸的に支持する回転軸24aの一端に接続され、この回転軸24aを回転させる駆動部26から構成されている。なお、処理ピット12に貯蔵された還元スラグ層KSの上側には、シート12aが被せられ、水蒸気により付加される熱が逃げないようになっている。
前記処理設備10は、駆動部26により連続または間欠的に回転される撹拌体24で、処理ピット12に堆積した還元スラグ層KSをかき混ぜつつ、蒸気発生器18より送られた水蒸気を蒸気管16の孔部から還元スラグ層KSに対し吹込むよう構成される。また、処理設備10では、処理ピット12内(水蒸気処理を行なう環境)の圧力との関係で、水が水蒸気として存在できる最低温度において、水蒸気処理を行なうように設定されている。具体的には、処理ピット12内の圧力に応じて、蒸気発生器18で発生する水蒸気の温度を調節することで、処理ピット12の還元スラグに対し低温の水蒸気が供給されるようになっている。すなわち、実施例1の処理ピット12は、大気に開放された構成であり、処理ピット12内の圧力は大気圧と同一であるから、蒸気発生器18により100℃程度の低圧・低温蒸気が供給される。
実施例1に係る還元スラグの処理方法を、還元スラグの処理工程の流れに沿って、図3を参照して説明する。取鍋精練炉LFから排出された還元スラグは(ステップS1)、放冷ヤードにおいて冷却(ステップS2)された後、破砕工程において粗破砕を行ない、更にクラッシャーによる破砕を行なうことで、水蒸気処理に適した粒度に調整される(ステップS3)。そして、還元スラグは、処理設備10の処理ピット12に運ばれ、該処理ピット12に積重ねられる。
次いで、処理設備10において、還元スラグに硫化カルシウム(CaS)として含まれている硫黄分を除去(低減)する水蒸気処理が行なわれる(ステップS4)。処理設備10では、駆動部26により複数の撹拌体24を回転することで、これらの撹拌体24で処理ピット内の還元スラグがかき混ぜられる。また、蒸気発生器18が駆動されて、処理ピット12の圧力に応じて温度調整された水蒸気が、蒸気管16の孔部から処理ピット12の砕石層R内に吹込まれる。ここで、蒸気管16は、処理ピット12の内部に複数敷設されているから、水蒸気は還元スラグ層KSの全体に下方から吹込まれる。そして、水蒸気は、砕石層Rにおける砕石間の隙間を通って、砕石層Rの上側に堆積した還元スラグと接触する。水蒸気と還元スラグとが接触することで、還元スラグ中の硫化カルシウム(CaS)が水蒸気(HO)と反応して加水分解し、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)および硫化水素(HS)が生成されて、気体である硫化水素は大気に放出される(図3参照)。これにより、還元スラグの硫黄分は、硫化水素の形で還元スラグから除去(脱硫)される。水蒸気処理は、還元スラグにおける硫黄分の含有量や水蒸気処理の条件に応じて、3〜6日程度の期間に亘って施される。ここで、水蒸気処理の条件によって変動するが、水蒸気処理を3日間行なうことで、還元スラグの当初含有量から65%程度の硫黄分を除去し得ると共に、水蒸気処理を6日間行なうことで、当初含有量から75%〜85%程度の硫黄分を除去し得る(図4参照)。すなわち、水蒸気処理の期間は、硫黄分が造滓材として最良するのに支障のない値まで低減する期間に設定すればよい。
ステップS4の水蒸気処理は、還元スラグ中の硫黄分を硫化カルシウムの加水分解反応を利用して除去することを目的とし、水蒸気と還元スラグ(硫化カルシウム)とが接触すれば加水分解反応が生じるから、処理ピット12に貯蔵した還元スラグ全体に水蒸気が接触し得る期間だけ処理を行なえばよい。従来例で述べたエージング方法では、還元スラグの石灰分(CaO)を完全に膨張させることを目的とする水和反応であるから、水蒸気と還元スラグを単に接触させる蒸気処理だけでは足りず、完全に膨張させて安定化させるための養生期間(エージング処理)を必要としている。すなわち、実施例1の水蒸気処理では、蒸気エージング処理の如く養生のための期間を要しないから、処理期間は短時間で済む。
前記水蒸気処理で起こる硫化カルシウムの加水分解反応は、水蒸気と硫化水素との平衡関係により、水蒸気存在下の温度が低い条件で起こり易いから、温度調整した水蒸気を処理ピット12に供給することで、水蒸気処理における脱硫をより円滑に行なうことができる。すなわち、大気に開放されて大気圧(約1気圧)となっている実施例1の処理ピット12に対し、大気圧で水蒸気として存在し得る最低限の温度である100℃程度に温度調整して水蒸気を供給することで、硫化カルシウムの加水分解反応を効率よく進行し得る。従って、単位時間当たりの脱硫率(還元スラグに当初含有した硫黄分から除去された硫黄分の割合)が良くなり、処理期間を一層短縮することができる。
前記水蒸気処理では、還元スラグを撹拌しつつ、水蒸気を吹込んでいるから、処理ピット12内の還元スラグ全体に水蒸気を吹込むことができ、還元スラグ(硫化カルシウム)と水蒸気との接触機会が多くなるから、より効率よく処理を進行させることができる。よって、水蒸気処理の期間を更に短縮化することが可能となる。
前記水蒸気処理を所要期間行なった還元スラグは、処理設備10から取出され、乾燥または水の付加等を行なうことで含有する水分量が調整された後(ステップS5)、所定の大きさのペレット状に造粒される(ステップS6)。すなわち、再生した還元スラグを粉体のまま造滓材として利用すると粉体爆発のおそれがあるから、造粒することで危険性を回避し得ると共に、還元スラグにおける造滓材としての取り扱い性を向上し得る。そして、製鋼における還元精練工程において、硫黄分を低減した処理済の還元スラグが造滓材の一部または全部として取鍋精練炉LFに装入される(ステップS7)。このように、還元精練で排出した還元スラグに、水蒸気処理を施すことで硫黄分を低減して、再び還元精練で造滓材として利用するステップS1〜S7を繰返す循環サイクルが構成される。
このように、実施例1の還元スラグの処理方法を用いれば、石灰分(CaO)に影響を与えずに硫黄分を低減し得るから、還元スラグを製鋼過程における造滓材として、製鋼過程の操業に悪影響を与えることなく使用することができる。すなわち、路盤材等にしか再利用の用途がなかった還元スラグについて、造滓材としての新たな再利用の用途を開くことができる。また、還元スラグに高い割合で含まれている石灰分を、造滓材として再利用することで、新たに用意する生石灰の量を削減し得る。しかも、処理済の還元スラグは、還元精練で一度溶融されているから、造滓材に用いた場合、新たな生石灰と比べて溶融性に優れている。更に、蒸気エージング処理に使用していた既存設備を利用して、実施例1に係る水蒸気処理を行なうことができるから、設備更新のコストがかからない利点もある。
(試験例)
ここで、実施例1に係る還元スラグの処理方法により得られた還元スラグについて、水蒸気処理の期間による脱硫状況の変化を図4に示す。
試験例の条件としては、取鍋精練炉による還元精練により得られた還元スラグを、蒸気膨張試験機を用いて、蒸気圧力1kgP/cmで、蒸気温度120℃の水蒸気を吹込み、試験機内部の温度を105℃に維持した。そして、所定の期間毎に残留している硫黄分量を、燃焼赤外線吸収法により測定した。試験例1は、ステンレス鋼の製鋼過程における還元精練で得られた還元スラグであり、試験例2および試験例3は、一般鋼(構造用鋼)の製鋼過程における還元精練で得られた還元スラグである。なお、試験例では、サンプルの撹拌を行なっていない。
図4に示すように、還元スラグの処理前の硫黄分が0.28%と低い割合の試験例1では、3日経過した時点で硫黄分が0.04%まで低減して脱硫率86%を示し、その後、12日目まで水蒸気処理を継続したが、脱硫は進行しなかった。この結果より、水蒸気処理による脱硫は、時間をかければ完全に硫黄分が除去されるのではなく、ある一定の割合まで脱硫されるとそれ以上進行しないことが判った。ここで、試験例1では、3日経過した時点で0.04%まで硫黄分の割合が下がり、0.01%程度である造滓材における生石灰の硫黄分の割合と同程度まで脱硫し得ることが判った。
図4に示す試験例2は、処理前の硫黄分が1.4%と高い還元スラグに対し、水蒸気処理を行なった場合である。この結果、水蒸気処理を3日間行なうことで、試験例2では66%〜87%の硫黄分を除去し得ることが確認された。また、試験例2に示すように、還元スラグに水蒸気処理を施すと、黒色部と白色部とが生じ、黒色部は白色部に比べて硫黄分の割合が多い。これは、硫化カルシウムが水酸化物になる過程で硫化鉄等の他の硫化金属に変化していると考えられ、水蒸気処理を更に進めると白色部が優勢になり、脱硫が進行する。一方、試験例3は、処理前の硫黄分が1.4%と高い還元スラグに対し、水蒸気処理を行なった場合であって、水蒸気処理の3日目で66%の脱硫率を示し、水蒸気処理を6日間行なうことで、78%の硫黄分を除去し得ることが確認された。
図5は、実施例2に係る還元スラグの処理方法を実施するための処理設備30を示す概略図である。なお実施例2でも、実施例1と同様に、電気炉による製鋼の過程において、還元精練が取鍋精錬炉(LF)で行なわれる場合を例に挙げる。実施例2の処理設備30は、還元スラグを水に浸漬した混合液を煮沸する煮沸処理槽32と、混合液を煮沸処理済の還元スラグと排水とに分離する分離槽34と、煮沸処理槽32から分離槽34へ混合液を移送する例えばスラリーポンプ等の移送手段36とを備えている。また、処理設備30は、分離槽34から排出された排液を、中性化および安定化する排液処理手段38を有している。
前記煮沸処理槽32は、混合液が満たされる貯液部32aを備え、この貯液部32aをバーナーやヒータ等の加熱手段32bにより加熱して、混合液を煮沸し得るよう構成される。また、煮沸処理槽32は、貯液部32aに水を供給する供給手段32cを有している。そして、分離槽34は、混合液から煮沸処理済の還元スラグを沈降分離して、処理済の還元スラグを次工程に送るための移載手段34aへ排出すると共に、排液を排液処理手段38に排出するよう構成される。
実施例2に係る還元スラグの処理方法を、還元スラグの処理工程の流れに沿って、図6を参照して説明する。なお、脱硫処理の前処理として、実施例1のステップS1〜S3と同様の処理を行ない、また脱硫処理の後処理として、実施例1のステップS5〜S7が行なわれる。
前記処理設備30における脱硫処理工程(ステップS14)では、処理前の還元スラグが水を溜めた煮沸処理槽32の貯液部32aに装入され、還元スラグが水に浸漬される(ステップS141)。そして、混合液を加熱手段32bで加熱することで、煮沸処理が行なわれる(ステップS142)。このとき、還元スラグ中の硫化カルシウム(CaS)が水(HO)と反応して加水分解され、更に逐次反応が進行して多硫化イオン(S 2−)を生成する。これにより、還元スラグから硫黄分が水側に移行して分離され、還元スラグに含まれる硫黄分が低減される。また、煮沸処理において、混合液は加熱による対流により混合・撹拌されるから、加水分解反応がより円滑に進行する。そして、煮沸処理の期間は、硫黄分が造滓材として最良するのに支障のない値まで低減する期間に設定される。なお、実施例1の水蒸気処理と比較して、実施例2の煮沸処理は、脱硫進行速度が速い。
次に、混合液は、移送手段36により分離槽34に移送され、多硫化イオン(S 2−)を含む排液と、処理済の還元スラグとが分離され(ステップS143)、当該還元スラグは移載手段34aにより次の水分調整工程(ステップS5)に送られる。なお、排液は、排液処理手段38において、大気中の酸素によりチオ硫酸イオン(S 2−)や硫酸イオン(SO 2−)へ酸化したり、炭酸ガスで中性化することで安定化される。
このように、実施例2の還元スラグの処理方法を用いれば、石灰分(CaO)に影響を与えずに硫黄分を低減し得るから、還元スラグを製鋼過程における造滓材として、製鋼過程の操業に悪影響を与えることなく使用することができる。すなわち、路盤材等にしか再利用の用途がなかった還元スラグについて、造滓材としての新たな再利用の用途を開くことができる。また、還元スラグに高い割合で含まれている石灰分を、造滓材として再利用することで、新たに用意する生石灰の量を削減し得る。しかも、処理済の還元スラグは、還元精練で一度溶融されているから、造滓材に用いた場合、新たな生石灰と比べて溶融性に優れている。
(試験例)
ここで、実施例2に係る還元スラグの処理方法により得られた還元スラグについて、煮沸処理の期間による脱硫状況の変化を図7に示す。
試験例の条件としては、取鍋精練炉による還元精練により得られた還元スラグを、フラスコの水に入れ、ヒータにより100℃で煮沸した。そして、所定の期間毎に還元スラグに残留している硫黄分量を、燃焼赤外線吸収法により測定した。試験例4は、ステンレス鋼の製鋼過程における還元精練で得られた還元スラグであり、試験例5は、一般鋼(構造用鋼)の製鋼過程における還元精練で得られた還元スラグである。
図7に示すように、還元スラグの処理前の硫黄分が0.12%と低い割合の試験例4では、3時間経過した時点で硫黄分が0.07%まで低減して脱硫率42%を示し、その後、6時間目まで煮沸処理を継続したが、脱硫は進行しなかった。試験例5は、処理前の硫黄分が0.75%と高い還元スラグに対し、煮沸処理を行なった場合である。この結果、煮沸処理を3時間行なうことで、68%、煮沸処理を6時間行なうことで、73%の硫黄分を除去し得ることが確認された。すなわち、実施例1の水蒸気処理と比較して脱硫進行速度が速いことが確認された。
(別の試験例)
実施例2に係る還元スラグの処理方法により得られた還元スラグについて、試験例毎に処理の温度条件を変えた場合の期間による脱硫状況の変化を図8に示す。
試験例の条件としては、一般鋼(構造用鋼)の製鋼過程における還元精練で得られた還元スラグを試験対象として用いた。そして、減圧装置で圧力制御しつつ減圧加熱して処理を行なう条件において、試験例6は95℃の温度条件で処理を行ない、試験例7は80℃の温度条件で処理を行なった。また、試験例8は、前述した試験例5と同様に100℃で処理を行なった。更に、試験例9は、水蒸気蒸留装置において、140℃に温度を制御しつつ処理を行なった。そして、試験例6〜9について、所定の期間毎に還元スラグに残留している硫黄分量を、燃焼赤外線吸収法により測定した。
図8に示すように、試験例6〜9は、処理前の硫黄分の割合が0.75%である。試験例6では、試験を開始してから2時間経過した時点で硫黄分が0.41%(脱硫率45%)まで低減し、6時間経過した時点で硫黄分が0.3%(脱硫率60%)まで低減した。試験例7では、試験を開始してから2時間経過した時点で硫黄分が0.37%(脱硫率50%)まで低減し、6時間経過した時点で硫黄分が0.22%(脱硫率70%)まで低減した。その後、12時間目まで処理を継続したが脱硫は進行しなかった。試験例8では、試験を開始してから2時間経過した時点で硫黄分が0.25%(脱硫率66%)まで低減し、6時間経過した時点で硫黄分が0.22%(脱硫率70%)まで低減した。その後、12時間目まで処理を継続したが脱硫はほとんど進行しなかった。試験例9では、試験を開始してから2時間経過した時点で硫黄分が0.13%(脱硫率82%)まで低減し、6時間目まで処理を継続したが脱硫は進行しなかった。すなわち、温度条件により脱硫処理の進行度合いが異なることが確認された。
(変更例)
本願は前述した実施例1および実施例2に限定されるものでなく、その他の構成およびステップを適宜に採用することができる。
(1)実施例1および実施例2では、還元精練を取鍋精錬炉で行なう場合を例に挙げたが、電気炉やその他の電気炉を用いた製鋼過程において用いられる設備で還元精練を行なう場合であっても、本願発明を適用し得る。また、脱硫処理を行なった還元スラグを取鍋精錬炉に装入する場合を例に挙げたが、電気炉に装入してもよい。
(2)実施例1では、処理設備において撹拌手段により還元スラグを撹拌しつつ水蒸気処理を行なったが、撹拌を行なわなくてもよい。
(3)実施例1では、水蒸気の温度を調整することで、水蒸気処理の条件を調整したが、処理ピットの温度を管理することで、水蒸気処理の温度条件を調整してもよい。
(4)実施例1では、大気圧の処理ピットに対し、100℃程度の水蒸気を供給する例について説明したが、水蒸気処理を行なう環境における圧力との関係で、水が水蒸気として存在できる低温温度において水蒸気処理を行なうことができれば、例えば密閉型の処理ピットを減圧することで、100℃以下の水蒸気を供給しても加水分解反応を促進することができる。
(5)脱硫処理として、実施例1に係る水蒸気処理と実施例2に係る煮沸処理とを併用してもよい。
(別例)
図9に示すように、別例に係る還元スラグの処理方法では、実施例の水蒸気処理に替えて、水で浸潤させた還元スラグを乾固した後、水洗いを施す脱硫処理が行なわれる。具体的には、水濡れ状態の還元スラグを、例えば110℃で乾かして固めることで、硫化カルシウム(CaS)が酸化分解して、硫黄(S)が遊離すると共に石灰(CaO)が生成される。そして、遊離した硫黄(S)が、更に硫化カルシウム(CaS)と反応して多硫化カルシウム(CaS)が生成される。そして、水洗いすることで、多硫化カルシウム(CaS)が水溶して黄色水として分離回収され、還元スラグから硫黄分が除去される。すなわち、前記脱硫方法によれば、還元スラグから硫黄分を除去すると云う目的を達成することができる。なお、脱硫処理の前処理として、実施例1のステップS1〜S3と同様の処理を行ない、脱硫処理の後処理として、実施例1のステップS5〜S7が行なわれる。また、別例の処理方法を、前述の実施例1または実施例2で説明した処理方法と組合わせて実施してもよい。
本発明の好適な実施例1に係る還元スラグの処理方法を行なうための処理設備の一例を示す平面図である。 図1のA−A線断面図である。 実施例1の還元スラグの処理方法の流れを示す工程図である。 還元スラグに対し実施例1の水蒸気処理を行なった際の脱硫状況を示すグラフ図である。 実施例2に係る還元スラグの処理方法を行なうための処理設備の一例を示す概略図である。 実施例2の還元スラグの処理方法において、脱硫処理の流れを示す工程図である。 実施例2の煮沸処理を行なった際の脱硫状況を示すグラフ図である。 実施例2の煮沸処理を行なった際の脱硫状況を示すグラフ図であって、温度制御した場合である。 別例に係る還元スラグの処理方法の流れを示す工程図である。

Claims (3)

  1. 電気炉による製鋼過程で排出される還元スラグを、製鋼過程で再利用可能な造滓材とするための処理方法であって、
    前記還元スラグに対し水蒸気を接触させる水蒸気処理を行ない、該還元スラグに含まれる硫黄分を加水分解により当該還元スラグから分離し、還元スラグの硫黄分を低減する
    ことを特徴とする還元スラグの処理方法。
  2. 前記水蒸気処理を行なう環境における圧力との関係で、水が水蒸気として存在できる最低温度において、該水蒸気処理を行なう請求項1記載の還元スラグの処理方法。
  3. 電気炉による製鋼過程で排出される還元スラグを、製鋼過程で再利用可能な造滓材とするための処理方法であって、
    前記還元スラグを水に浸漬して煮沸する煮沸処理を行ない、該還元スラグに含まれる硫黄分を加水分解により当該還元スラグから分離し、還元スラグの硫黄分を低減する
    ことを特徴とする還元スラグの処理方法。
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