JP2009030103A - 脱酸用造滓材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】還元スラグを有効に活用するために、還元スラグを用いた鉄鋼製造に有用な脱酸用造滓材を提供すること、及び該脱酸用造滓材の製造方法を提供すること。
【解決手段】還元精錬時に発生する還元スラグ1を取り出し、脱硫工程200で前記還元スラグ1に水分を接触させて脱硫して脱硫還元スラグとし、混合工程250で脱硫還元スラグとAl及び金属アルミニウムを混合し、成形工程300で前記混合物を所定形状に成形して成形物とし、固化工程400で前記成形物を二酸化炭素により固化してCO固化体からなる造滓材2とし、該造滓材2を二次精錬時の脱酸用造滓材として用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、還元スラグの処理に関し、還元スラグを利用した脱酸用造滓材及びその脱酸用造滓材の製造方法に関するものである。
銑鉄、スクラップ等を精錬し、電気炉製鋼により鋼を製造する場合、副産物として大量の酸化スラグと還元スラグが発生する。酸化スラグは、酸素を加えて鋼中の炭素と反応させて不要成分を除去する酸化精錬時に発生する。そして酸化精錬後、酸化スラグを排出し、還元材、生石灰等を加え、溶鋼中の酸素を除去する還元精錬時に、還元スラグが発生する。還元スラグはCaO成分を主体とし、膨張性を有し、微粉状であり、高アルカリ性(pH11〜12)で、S成分を含有するという特徴を有している。
従来、酸化スラグは、適当な大きさに破砕して路盤材として利用されていた。これに対し、還元スラグは、CaO成分を大量に含んでいることから、路盤材として使用した際に、経時的に体積膨張して数年後に路面が膨らむ虞があるため、そのままでは、路盤材等に利用することができなかった。
そこで、還元スラグの処理方法として、還元スラグを水の存在下に数ヶ月おいて体積膨張させるエージング処理を行った後に、酸化スラグと配合して路盤材として利用する方法が公知である(例えば、特許文献1参照)。
また、鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを原料として、炭酸化反応で生成させたCaCOをバインダーとして固結させ塊状化してなる石材を海中沈設用石材として用いることが公知である(例えば特許文献2参照)。
特公平3−21682号公報 特開平11−71160号公報
しかし、特許文献1に記載の様に還元スラグを酸化スラグと混合して使用する場合、路盤材の配合比に限界があり、全ての還元スラグを路盤材として利用することができないという問題があった。また、還元スラグをエージングして膨張させる処理を行う場合、還元スラグを数ヶ月間一つの場所に滞留させるために広大な土地を必要とするが、広大な土地を確保するのは困難である。
また、特許文献2に記載されているように、還元スラグを海中沈設用石材に利用したとしても、その用途だけでは、発生する還元スラグを全て処理することは不可能である。現状では、製鋼工程において発生する還元スラグの全量が有効に利用されているものではない。還元スラグを有効に活用することが要望されている。
還元スラグはCaO成分を大量に含んでいることから、例えば還元スラグの処理方法として、電気炉の精錬工程の造滓材として再利用することが考えられる。しかし、還元スラグはS成分の含有率が高いため、同時に添加する石灰の量を増やす必要があり、製造コストが高くなるという問題があった。更に還元スラグを造滓材として用いようとしても、還元スラグは微粉状であり粉塵が発生しやすいことから、輸送や投入の際の取扱いがしにくいという問題があった。そのため、還元スラグは造滓材として利用することができなかった。
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、還元スラグを有効に活用することであり、そのために還元スラグを用いた鉄鋼製造に有用な脱酸用造滓材を提供すること、その脱酸用造滓材の製造方法を提供することにある。
本発明に係る脱酸用造滓材は、鉄鋼精錬の脱酸に用いられる造滓材であって、還元スラグに水分を接触させて脱硫した脱硫還元スラグにAl成分を加え、二酸化炭素により固化されたCO固化体からなり、S成分が0.5質量%以下であり、Al成分が10質量%以上〜30質量%以下であり、金属Al成分が5質量%以上〜20質量%以下であることを要旨とする。
上記脱酸用造滓材は、前記Al成分がアルミニウム精錬した際に発生するAl灰であることや、前記Al成分が金属アルミニウムを加工した際に発生するAl屑であることや、前記CO固化体の圧縮強度が5MPa以上であることや、融点が1350℃以下であることが好ましい。
本発明に係る脱酸用造滓材の製造方法は、還元スラグを用いた脱酸用造滓材の製造方法であって、還元スラグに水分を接触させて脱硫して脱硫還元スラグとし、脱硫還元スラグにAl成分を加え、所定の形状に成形した成形物とし、該成形物を二酸化炭素を含むガスにより固化させてCO固化体からなる造滓材を得ることを要旨とする。
上記脱酸用造滓材の製造方法において、前記還元スラグに水蒸気を接触させて脱硫することが好ましい。
本発明に係る脱酸用造滓材は、還元スラグに水分を接触させて脱硫した脱硫還元スラグにAl成分を加え、二酸化炭素により固化されたCO固化体からなり、S成分が0.5質量%以下であり、Al成分が10質量%以上〜30質量%以下であり、金属Al成分が5質量%以上〜20質量%以下である構成を採用したことにより、脱酸剤としての機能を備えている。そのため製鋼の脱酸工程でCaOやSi合金等を装入する代わりに、本発明脱酸用造滓材を使用することができる。
本発明脱酸用造滓材は、二酸化炭素により固化されたCO固化体であるから、還元スラグの微粒子の界面がCaCOにより構成されており、脱酸用造滓材を溶鋼に投入した際に、CaCOが溶鋼と接すると直ちに熱分解して、脱酸用造滓材の粒子が崩壊し微粒子化する。その結果、脱酸用造滓材の溶鋼に対して反応する表面積が増大するから、脱酸用造滓材と溶鋼との反応が促進される。
従来、製鋼において、電気炉から出た後の取鍋精錬等の二次精錬における初期脱酸工程では、還元剤としてCaOが装入され、脱酸剤としてSi合金等が装入されていた。しかし、CaOは融点が高いので溶鋼中に装入されても直ぐには溶解せず、溶解に時間がかかってしまうと言う問題があった。そこでCaOの融点を下げて溶融性を向上させるためには、ホタル石(CaF)を装入する必要があった。
しかし精錬工程においてCaFを使用すると、発生するスラグ中にフッ素(F)成分が含まれることになる。フッ素成分を含むスラグを路盤材等に利用した場合、土壌中や地下水にフッ素が溶出する虞がある。そのためスラグからフッ素成分を減らすことが要求されている。これに対し、本発明脱酸用造滓材は、還元スラグを原料とし更にAl成分を加えていることにより、低融点であるから、CaFの添加が不要であり、発生するスラグ中のフッ素成分を減らすことができる。
更に本発明脱酸用造滓材は、上記CaO、Si合金を別々に装入する場合と比較して、低融点であり、溶融速度が速く、造滓材を溶解する際の溶融エネルギーが少なくて済むので、省エネルギーである。
本発明に係る脱酸用造滓材の製造方法は、還元スラグを用いた脱酸用造滓材の製造方法であって、還元スラグに水分を接触させて脱硫して脱硫還元スラグとし、脱硫還元スラグにAl成分を加え、所定の形状に成形した成形物とし、該成形物を二酸化炭素を含むガスにより固化させてCO固化体からなる造滓材を得る方法を採用したことにより、微粒子の界面がCaCOからなるマトリックス構造を有し、プリメルト品であるから低融点であり、有用な脱酸用造滓材を確実に得ることができる。
このように本発明によれば、還元スラグを処理して得られる造滓材を製鋼工程の中の脱酸工程で脱酸用造滓材として再利用することで、還元スラグの有効利用が図れると共に、還元スラグの処理の負担を軽減することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る脱酸用造滓材(以下、単に造滓材ということもある)について詳細に説明する。本発明の造滓材は、還元スラグに水分を接触させて脱硫した脱硫還元スラグとし、脱硫還元スラグにAl成分を加え、所定の形状に成形した成形物とし、該成形物が二酸化炭素を含むガスに接触されて固化されたCO固化体からなる。
表1は脱酸用造滓材の成分組成を示すものである。表1に示すように、造滓材の組成の特徴として、原料に還元スラグを用いているので、CaO成分が30質量%超であり、CaO/SiOの質量比(以下、C/S比ということもある。C/S比は、塩基度と呼ばれる場合がある。)が1.0超と高い。また造滓材は還元スラグに後からAl成分を加えており、Al成分を10質量%以上〜30質量%以下含み、金属アルミニウム(以下、M−Alと記載する)成分を5質量%以上〜20質量%以下含む。これらの点が、造滓材の成分組成の大きな特徴である。
造滓材の組成は還元スラグの組成及び添加するAl成分の組成に依存する。造滓材の組成としては、表1に示す成分以外に、MnO、Cr、F、TiO、C、水分(結晶水)等が含まれている場合がある。
Figure 2009030103

造滓材の原料として用いられる還元スラグは、製鋼の二次精錬におけるCaOを主体とした副産物である。このような還元スラグとして具体的には、LF(取鍋精錬)スラグ又はAODスラグ等が挙げられる。また造滓材の原料となる還元スラグは、リン(P)成分が一次精錬である酸化精錬の際にほとんど除去されていることから、造滓材とした際にも、P成分を実質的に含まない。
また造滓材の原料となる還元スラグ自体は、S成分の含有率が高いが、還元スラグに水分を接触させて脱硫されているので、表1に示すようにS成分の含有率が0.5質量%以下の低S含有率となっている。造滓材は、S成分が0.3質量%以下が好ましく、更に好ましくはS成分が0.1質量%以下であるのが望ましい。S成分が多いと、二次精錬時に脱SのためのCaOを追加する必要があるが、S成分が少ない場合CaOを追加する必要がない。
還元スラグに水分を接触させると下記の(1)式に示すように、還元スラグ中に含まれている硫化カルシウムが水と反応して脱硫反応が進行し、S成分が除去されて水酸化カルシウムを含む脱硫還元スラグが得られる。なお還元スラグに水分を接触させると、下記(2)式に示すように酸化カルシウムも水酸化カルシウムとなる。
CaS+2HO→Ca(OH)+HS↑・・・(1)
CaO+HO→Ca(OH) ・・・(2)
造滓材は、脱硫還元スラグにAl成分を加えた混合物を、所定の形状に成形した成形物をCO固化した固化体である。脱硫還元スラグに混合するAl成分は、Al及び/又はM−Alが用いられる。Al成分は、還元スラグの成分組成に応じて、造滓材が所定の成分量となるように、Al及び/又はM−Alを適宜添加することができる。
Alは、造滓材を低融点化するために添加される。Alは、アルミナを含むアルミナ源であればよく、例えば、アルミニウム精錬の際に発生するスラグであるAl灰を用いることができる。Al灰等の廃棄物関連資材を用いた場合は、廃棄物の処理を行うことができ、造滓材の原料コストを低減できる。
Al成分の添加量は、造滓材中のAl成分が10質量%以上となるように添加される。Al成分が10質量%未満では、融点の低下効果が不十分である。確実な融点の低下効果を得るためにAl成分の添加量は、20質量%以上となるように添加するのが好ましい。またAl成分の添加量が30質量%を超えると融点が高くなるので、30質量%以下となるように添加する。
M−Alは、造滓材の脱酸性を向上させる為に添加される。造滓材中のM−Alは、下記(3)式に示すように、酸素と反応する。M−Alは、金属アルミニウムであれば特に限定されないが、鋳造したアルムニウム製品の切り子のようなアルミニウム屑を用いるのが好ましい。アルミニウム屑等の廃棄物関連資材を用いた場合は、廃棄物の処理を行うことができ、造滓材の原料コストを低減できる。
3[O]+2Al→Al ・・・(3)
M−Al成分の添加量は、造滓材中のM−Al成分が5質量%以上〜20質量%以下となるようにする。造滓材中のM−Al成分が5質量%未満では、脱酸性能が十分得られない。また造滓材中のM−Al成分が20質量%を超えると、原料コストが上昇する。造滓材中のM−Al成分は、脱酸効果と原料コストのバランスが良いという点から、10質量%以上〜15質量%以下となるようにするのが好ましい。
脱硫スラグと成分の混合物を成形する場合の成形体の形状は、特に限定されず、例えばタブレット状、ペレット状等の所定形状に形成することができる。また上記成形体の大きさは、特に限定されないが、ペレット状の場合、直径10〜100mm程度に形成することが好ましい。また形状が円筒状タブレットの場合は、直径10〜100mm、高さが10〜50mm程度に形成することが好ましい。好ましい造滓材の形状及び大きさとして、例えば、直径30〜50mm、高さ10〜20mmの円筒状タブレットが挙げられる。成形された造滓材の形状が上記範囲であれば、造滓材の製造が容易であり、造滓材を運搬する際や、溶鋼中に投入する際の使用時の取扱いが容易である。
造滓材は、CO固化体の圧縮強度が5MPa以上に形成されていることが好ましい。上記圧縮強度を有していれば造滓材の取扱いの際に、成形した形状が崩壊して微粉化する虞がなく、確実な取扱いができる。造滓材は、圧縮強度が10MPa以上であることが、取扱いの際に、より崩壊しにくくなるので更に好ましい。尚、上記圧縮強度は、JIS A 1108に準ずる方法で測定することができる。圧縮強度の測定に用いる供試体は、円柱状のもの、或いはブリケット状のものを用いることができる。
造滓材は、脱硫還元スラグにAl成分を加えた成形体に二酸化炭素を接触させて炭酸固化(CO固化)されており、下記の(4)式に示すように、脱硫還元スラグ中の水酸化カルシウムが炭酸カルシウム化されている。上記成形体に二酸化炭素を接触させるのに、炭酸ガスを含むガス等が用いられる。なお、下記(5)式に示すように、脱硫還元スラグをCO固化する際、水分が存在するとCaSが炭酸と反応して脱硫反応も進行する。
Ca(OH)+CO→CaCO+HO ・・・(4)
CaS+HCO→CaCO+HS↑ ・・・(5)
造滓材は、CO固化によりCaOの粒子間に存在しているCa(OH)が二酸化炭素と反応して生成したCaCOがマトリックスとして粒子間を結合するマトリックス構造を有している。還元スラグに水分を接触させて脱硫しただけの状態の脱硫還元スラグは、Ca(OH)により微粉化して脆い状態であるが、CO固化した後の造滓材は、マトリックス構造により塊状化して微粉化しにくくなり取扱いが容易な強度を有する。
造滓材は、溶鋼に投入した際に直ぐに溶解するという特徴がある。下記の表2に示すように、還元スラグ中のCaO(生石灰)等の各成分のそれぞれ単独の融点は2000℃以上である。これに対し、CO固化により生成されるCaCOの融点は1339℃と低融点である。そのため、造滓材を溶鋼に投入した場合、造滓材が溶鋼に接すると、バインダー成分のCaCOが瞬時に熱分解する。CaCOが分解すると、造滓材を構成する粒子が崩壊し、CaOを主体とする成分が微粒化して表面積が大きくなり、溶鋼との接触界面を増大させて溶鋼との反応が促進される。


Figure 2009030103
造滓材は、融点が1350℃以下に形成されていて低融点である。造滓材は還元スラグを原料とするプリメルト品であるために、純粋な生石灰の融点(2572℃)と比較して、極めて低融点である。そのため、造滓材を製鋼工程で添加した際に、溶鋼中で短時間に溶解し、溶解に必要なエネルギーが小さくて済み、溶解させることが容易である。
図1は、本発明の造滓材の製造方法の一例を示す工程図である。以下、本発明の造滓材の製造方法について説明する。図1に示すように本発明の造滓材の製造方法は、先ず原料として、製鋼の二次精錬において副産物として発生する還元スラグ1を用いる。冷却工程100では、溶融状態で取り出された還元スラグ1を所定の容器等に入れて放置し冷却する。冷却工程100では、還元スラグの温度が外気温程度になるまで冷却するのが、次工程での取扱いが容易であることから好ましい。
次に、冷却した還元スラグに水分を接触させて脱硫して脱硫還元スラグとする脱硫工程200を行う。脱硫工程200では、還元スラグ1に、水蒸気を接触させて脱硫を行う。脱硫は、少なくともS成分が0.5質量%以下になるまで行う。脱硫は、S成分が0.3質量%以下となるまで行うのが好ましく、更に好ましくはS成分が0.1質量%以下となるまで行うのが望ましい。
脱硫工程200において還元スラグに接触させる水蒸気の温度は、100〜110℃が好ましい。還元スラグに水蒸気を接触させる時間は、100〜110℃の水蒸気の場合、7〜10日程度行うことが好ましい。還元スラグに水蒸気を接触させる場合、上記の条件であれば、S成分の含有量を確実に0.5質量%以下とすることができる。脱硫工程200を行って得られる脱硫還元スラグは、還元スラグのCaS、CaO成分が、Ca(OH)に変わり、塊状から微粉状になる。この脱硫工程200後の微粉状の脱硫還元スラグの粒子径は、0.2mm以下に形成されていることが好ましい。
脱硫工程200の次に、上記脱硫還元スラグとM−Al及びアルミナ源等のAl成分を混合する混合工程250を行う。混合工程250は、脱硫還元スラグとAl成分がほぼ均一に混合可能な手段であれば特に限定されない。また、混合工程250は常温で行うことができる。混合工程250で混合するAl成分の粒子の粒径は2mm以下であるのが、溶鋼の脱酸の反応スピードが速くなる点から好ましい。
次に、脱硫還元スラグとAl成分を混合した混合物を用いて、所定形状に成形する成形工程300を行う。成形工程300では、微粉状の脱硫還元スラグとAl成分の混合物をブリケット、プレス成形等の加圧成形装置や、ペレタイズ等の造粒成形装置等の成形装置を用いて、成形を行う。この成形工程300では、上記混合物に他の成分を添加せず、上記成形手段の加圧力のみで成形を行う。この成形工程300において得られる成形体の強度は、その後のCOによる固化工程において成形体が固化して強度が発現するまでの間の取扱いに際し、成形体として所定形状を維持できる程度の強度があればよい。このような成形体の強度としては、圧縮強度で0.2MPa以上であることが好ましい。
次いで、成形工程300で得られた脱硫還元スラグの成形体を二酸化炭素(CO)により固化させてCO固化体とする固化工程400を行う。固化工程400は、脱硫還元スラグの成形体を炭酸ガス等のCOガスを含む雰囲気中に入れ、脱硫還元スラグ中に含まれるCa(OH)成分をCOと反応させてCaCO化する。固化工程400において、成形体のCa(OH)成分をCOと反応させる方法として、成形体をCOを含んだ気体に暴露する方法や、成形体にCO2を含んだ気体を通気させる方法が挙げられる。
脱硫還元スラグのCa成分がCa(OH)の状態であると、脱硫還元スラグのpHは11〜12付近と高いアルカリ性を有する。これがCO固化を行ってCaCO化すると、pH9〜10程度にアルカリ性が低下する。
また前記(5)式に示したように、脱硫還元スラグをCO固化する際、水分が存在するとCaSがHCOと反応して脱硫反応が進行するが、還元スラグをCO固化する前の脱硫工程200でS成分を0.5質量%以下に除去しているので、脱硫工程200を行わない場合と比較してCO固化工程におけるHS発生量を少なくすることができる。
固化工程400における脱硫還元スラグのCO固化の反応は、以下の機構により進行するものと考えられる。
(i)まず、前記(3)式の反応式に示すように、マトリックス部に存在するCa(OH)成分がCOと反応してCaCO化して、部分的な反応が始まる。
(ii)次いで、生成したH0が発熱反応により外部に排出される。
(iii)マトリックス部が減圧されて、マトリックス部にCOが進入する。
(iv)上記(i)〜(iii)が繰り返されることにより、マトリックス部のCaCO化が進行する。
なお上記反応は、気相(CO)−液層(HO)−固相[Ca(OH)]で進行していると思われる。
固化工程400において用いられるCOを含むガスとしては、炭酸ガスのようなCO濃度の高いガス、ボイラー、SR、加熱炉等の燃料を燃焼させた後の排ガスのようなCO濃度が8〜9体積%程度のCO濃度の低いガスのいずれも用いることができる。CO濃度の高いガスは、CO固化体の強度の発現が速く固化時間が短くて済み、CO固化体の強度も高くなるという利点がある。また、CO濃度の低いガスは、製鋼工場のボイラー等の排ガスとして発生するガスを利用できるので、経済的であるという利点がある。
固化工程400において用いられるCOを含むガスは、十分な圧縮強度を有するCO固化体を得るという点から、少なくともCO濃度が8体積%以上であることが好ましい。図2はCOガス(純度99.99体積%)と排ガス(CO濃度が9体積%)を用いた場合のCO固化体の固化時間と圧縮強度の関係を示すグラフである。図2のグラフに示すように、COガスを用いた場合、処理時間が1〜2時間程度で、圧縮強度が25MPa以上に達している。これに対し、排ガスを用いた場合は、処理時間が4時間程度で、圧縮強度が5MPaを超え、50時間程度で20MPaに達している。
図3は、CO固化体の炭素(C)含有量を種々変えた場合の、C含有量と圧縮強度の関係を示すグラフである。図3に示すグラフは、CO固化が進みCaCO成分が多くなる程、圧縮強度が高くなることを示している。図3のグラフに示すように、CO固化体の圧縮強度を、5MPa以上に形成するには、固化体中のCaCOに由来するC成分含有量を1.5質量%以上とすることが好ましい。
固化工程400でCO固化されたCO固化体は、必要に応じて乾燥等を行い、水分量を1.0質量%以下に調節して、造滓材2が得られる。
図4は本発明造滓材を用いた製鋼方法の一例を示す工程図である。以下、還元スラグの処理方法及び製鋼方法について説明する。図4に示すように、製鋼方法は、先ず、電気炉10において溶鋼の酸化精錬(一次精錬500)を行う。次に、電気炉10から出鋼した溶鋼は溶鋼鍋14に移され、一次精錬500の際に発生した溶融状態の酸化スラグ11を、スラグ鍋12内に排出して酸化スラグ除去550を行う。排出した酸化スラグ11は、専用車両などで処理場に移送する。
還元精錬(二次精錬600)では、溶鋼が取鍋精錬炉15に移され、成分調整し二次精錬を行う。次に真空脱ガス装置16で脱ガスを行う。次に連続鋳造工程700では、取鍋精錬炉15に取鍋蓋17を設置し、連続鋳造装置18を用いて連続鋳造を行う。連続鋳造が終わったら、還元スラグ回収工程800で還元スラグ1を取り出して回収する。取り出した還元スラグ1は以下の処理方法により処理する。
取り出した還元スラグ1の処理方法は、図1に示す造滓材の製造方法で説明したように、還元スラグを冷却する冷却工程100、還元スラグに水分を接触させて脱硫して脱硫還元スラグとする脱硫工程200、脱硫還元スラグとAl成分を混合する混合工程250、前記混合物を所定形状に成形して成形物とする成形工程300、及び前記成形物を二酸化炭素により固化させてCO固化体とする固化工程400を順次行うものである。CO固化体は造滓材2として用いられる。
得られた造滓材2は、上記製鋼の工程で二次精錬の脱酸用造滓材として用いることができる。例えば造滓材2は、図4中矢印R1で示すように、二次精錬600工程で取鍋精錬炉15に脱酸用造滓材として装入して、生石灰及びSi合金の代替品として利用できる。このように、製鋼工程で発生する還元スラグは、製鋼工程の造滓材として再利用することが可能である。
以下、本発明の実施例を示す。
実施例1
製鋼工程で発生した溶融状態の還元スラグを取り出して、外気温まで冷却後、100〜110℃の水蒸気を7日間接触させて蒸気脱硫を行い、S成分が0.5質量%以下の脱硫還元スラグを得た。この脱硫還元スラグにAl屑及びアルミナ灰を加えて混合した混合物を得た。Al屑の添加量は、M−Al成分が造滓材の10質量%になるようにした。またアルミナ灰の添加量は、Al成分が造滓材の25質量%になるようにした。次に図1に示すようなブリケット成形装置301を用いて、上記混合物に他の添加剤を加えずにブリケット成形し、直径35mm×高さ15mmの円筒状の成形体を得た。得られた成形体の圧縮強度は0.2MPaであった。次いで、この成形体をCO濃度8%の排ガスを導入した容器内に載置して、CO雰囲気下、常温で7時間CO固化を行って、造滓材を得た。得られた造滓材の成分組成を表3に示す。また表4にこの造滓材の圧縮強度、C成分含有量、及び融点を示す。
Figure 2009030103

Figure 2009030103
実施例1の造滓材を製鋼の二次精錬(取鍋精錬)における脱酸用造滓材として使用して、従来の製鋼方法と比較した。その結果を表5に示す。取鍋精錬の脱酸では、石灰700Kg及びSi合金を150kg装入し脱酸のための精錬を行ったところ、処理時間が40分であった。これに対し、従来の石灰及びSi合金の代わりに実施例1の造滓材800kgを装入して、同様に脱酸のための精錬を行ったところ、35分で済み、処理時間を5分短縮できた。本発明の造滓材が脱酸用造滓材として使用可能であり、脱酸能力も優れていることが確認できた。

Figure 2009030103
本発明の造滓材の製造方法の一例を示す工程図である。 COガスと排ガスを用いた場合のCO固化体の固化時間と圧縮強度の関係を示すグラフである。 CO固化体のC含有量を種々変えた場合の、C含有量と圧縮強度の関係を示すグラフである。 本発明の造滓材を用いた製鋼方法の一例を示す工程図である。
符号の説明
1 還元スラグ
2 造滓材
100 冷却工程
200 脱硫工程
250 混合工程
300 成形工程
400 固化工程
500 一次精錬(酸化精錬)工程
550 酸化スラグ除去工程
600 二次精錬(還元精錬)工程
800 還元スラグ回収工程

Claims (7)

  1. 鉄鋼精錬の脱酸に用いられる造滓材であって、還元スラグに水分を接触させて脱硫した脱硫還元スラグにAl成分を加え、二酸化炭素により固化されたCO固化体からなり、S成分が0.5質量%以下であり、Al成分が10質量%以上〜30質量%以下であり、金属Al成分が5質量%以上〜20質量%以下であることを特徴とする脱酸用造滓材。
  2. 前記Al成分がアルミニウム精錬した際に発生するAl灰であることを特徴とする請求項1記載の脱酸用造滓材。
  3. 前記Al成分が金属アルミニウムを加工した際に発生するAl屑であることを特徴とする請求項1又は2記載の脱酸用造滓材。
  4. 前記CO固化体の圧縮強度が5MPa以上であることを特徴とする請求項1記載の脱酸用造滓材。
  5. 融点が1350℃以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の脱酸用造滓材。
  6. 還元スラグを用いた脱酸用造滓材の製造方法であって、還元スラグに水分を接触させて脱硫して脱硫還元スラグとし、脱硫還元スラグにAl成分を加え、所定の形状に成形した成形物とし、該成形物を二酸化炭素を含むガスにより固化させてCO固化体からなる造滓材を得ることを特徴とする脱酸用造滓材の製造方法。
  7. 前記還元スラグに水蒸気を接触させて脱硫することを特徴とする請求項6記載の脱酸用造滓材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102051441A (zh) * 2011-01-21 2011-05-11 储鸿文 Lf炉快速精炼工艺
CN113718086A (zh) * 2021-09-09 2021-11-30 襄阳五二五泵业有限公司 一种脱氧造渣材料及其制备方法

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