JP2017007880A - 製鋼スラグのエージング方法 - Google Patents

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Yoshihiro Kobayashi
宣裕 小林
長満 古村
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長満 古村
達弥 佐々木
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Abstract

【課題】製鋼スラグに対し、その排滓後のエージング処理工程において、エージング処理の条件を規定することで、製鋼スラグ材の膨張抑制を確実に行うことができる製鋼スラグのエージング方法を提供する。【解決手段】本発明の製鋼スラグのエージング方法は、25mm〜40mmの粒径を有する製鋼スラグ7に対して水分を付与する水分付与工程と、水分付与工程後の製鋼スラグ7に対して、蒸気エージング処理を実施する蒸気エージング工程と、蒸気エージング工程後の製鋼スラグ7に対して、大気エージング処理を実施する大気エージング工程と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、リサイクル時に製鋼スラグが水分と反応して膨張することを抑制できる製鋼スラグのエージング方法に関する。
近年、廃棄物を低減させることや天然資源の枯渇等の問題から、製鋼(予備処理〜転炉〜二次精錬)などで生成されたスラグを土工用や路盤材等として利用することが注目されるようになってきている。この製鋼スラグを路盤材などに利用するためには、JIS A 5015(道路用鉄鋼スラグ)に定められた膨張基準(水浸膨張比:1.5%)を遵守する必要がある。
リサイクル時に製鋼スラグの膨張を抑制する技術としては、特許文献1〜特許文献4に開示された技術がある。これら特許文献1〜特許文献4では、所定の条件下で蒸気エージング処理などを行うことで、膨張抑制が可能とされたスラグを製造している。
例えば、特許文献1には、遊離酸化カルシウムを含有する鉄鋼スラグを主原料として製造される鉄鋼スラグ肥料の製造方法であって、上記鉄鋼スラグを粉体に粉砕する粉砕工程と、該鉄鋼スラグの粉体をバインダを用いて造粒する造粒工程とを備えた鉄鋼スラグ肥料の製造方法において、上記粉砕工程の前及び/または後に、上記鉄鋼スラグを所要期間放置するエージング工程を備え、上記エージング工程として、上記鉄鋼スラグを大気中に少なくとも30日以上保持する大気エージング工程と、上記鉄鋼スラグを水蒸気雰囲気下に少なくとも24時間以上保持する水蒸気エージング工程を含む鉄鋼スラグ肥料を製造する方法が開示されている。
また、特許文献2には、粒径40mm以下のものが80%以上となるように破砕した製鋼スラグを圧力容器に装入し、該圧力容器を密閉して内部に加圧水蒸気を供給して圧力容器及び製鋼スラグを加熱することによって凝縮する熱水を排出しながら圧力容器の内部を昇温及び昇圧し、次いで該圧力容器の内部を2〜10kg/cmGの圧力の飽和水蒸気雰囲気に5時間以上保持した後、該圧力容器の内部を大気圧まで減圧して製鋼スラグを排出してエージングし、この製鋼スラグを野積みして自然の気候に曝す製鋼スラグのエージング方法が開示されている。
特許文献3には、地金と付着した大塊スラグに対して、蒸気エージング処理を24時間行って界面剥離させて、150mm以下の小塊スラグとした後、破砕・篩分けし、25mm以下のスラグに対して、蒸気エージング処理を20時間実施する又は、大気エージング処理を3ヵ月実施して、水浸膨張量を減少させる(水浸膨張量:0.6%→0.2%)転炉スラグの処理方法が開示されている。
特許文献4には、粒径25mm以下のスラグに対して蒸気エージング処理を72時間以上行い、処理後のスラグから1kg採取して粒径5mm以下に粉砕し、その後粉砕されたスラグから200g採取して粒径1mm以下に粉砕し、その粉砕されたスラグから50g採取して粒径0.25mm以下に粉砕し、その粉砕されたサンプルスラグ中のfree−CaOを0.45%以下に管理する土木用材の製造方法が開示されている。
特開2008−247665号公報 特開2007−106631号公報 特開平6−56487号公報 特開2010−13315号公報
上記した特許文献1〜特許文献4に開示されたスラグの膨張抑制技術においては、所定の条件下で蒸気エージング処理、大気エージング処理などを行うことで、スラグの膨張抑制を可能としている。しかしながら、実際には、以下に示す問題が生じる虞がある。
特許文献1は、実施例において、大気エージング処理を30日以上実施すると共に、蒸気エージング処理を96時間(4日間)実施しており、エージング処理の期間が非常に長期間となっており、スラグが毎日大量に排出される製鋼工場においては、エージング処理を実施する場所の確保などができないので適さない。
また、特許文献1の技術(請求項1,2,4を参照)は、大気エージング処理の後に蒸気エージング処理を行うことも可能であると解される。ところが、大気エージング処理の後に蒸気エージング処理をした場合、製鋼スラグの温度低下によって、結露による製鋼スラグの水和を促進するための水分供給ができない。また、製鋼スラグの水和を促進するための高温状態に保持することもできない。特許文献1は、このようなデメリットを含む技術である。
また、特許文献1は、製鋼スラグに対して水分付与を実施せずに蒸気エージング処理を実施しており、十分な膨張抑制効果が発現しない。そもそも、特許文献1は、鉄鋼スラグ肥料を製造する方法であるので、本願発明の目的である路盤材を製造する際には適さない技術である。
特許文献2は、製鋼スラグが装入された圧力容器の内部に加圧水蒸気を供給して製鋼スラグを加熱する加圧蒸気エージング処理を実施して路盤材等を製造する技術であるが、この加圧蒸気エージング処理は手間やコストが非常に多くかかる処理であるため、路盤材の製造コストが嵩んでしまう虞がある。
特許文献3及び特許文献4は、粒度25mm以下の小粒とされたスラグに対しては有効な技術かもしれないが、大粒とされたスラグに対して、蒸気エージング処理の実施時間が20時間では不十分である。つまり、本願発明者らは、特許文献3又は特許文献4の技術を用いて、大粒(特に粒度が25〜40mm)のスラグを路盤材用に製造したとしても、路盤材に用いることができないことを知見している。
路盤材は用途に応じて粒度分布が定められており、上記した特許文献1〜特許文献4に開示された方法では、粗粒(25〜40mm)を含む路盤材の場合は、膨張抑制が不十分になる虞があり、より水和促進(膨張抑制)が可能な処理を行うことが有効である。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、製鋼スラグに対し、その排滓後のエージング処理工程において、エージング処理の条件を規定することで、製鋼スラグ材の膨張抑制を確実に行うことができる製鋼スラグのエージング方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明においては以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の製鋼スラグのエージング方法は、25mm〜40mmの粒径を有する製鋼スラグに対して水分を付与する水分付与工程と、前記水分付与工程後の製鋼スラグに対して、蒸気エージング処理を実施する蒸気エージング工程と、前記蒸気エージング工程後の製鋼スラグに対して、大気エージング処理を実施する大気エージング工程と、を有することを特徴とする。
好ましくは、前記水分付与工程では、前記製鋼スラグの乾燥質量100質量%に対して2.0質量%以上の水分を付与するとよい。
好ましくは、前記蒸気エージング工程では、蒸気エージング処理の時間を48時間以上としているとよい。
好ましくは、前記大気エージング工程では、大気エージング処理の時間を1日以上としているとよい。
本発明の製鋼スラグのエージング方法によれば、製鋼スラグ材の膨張抑制を確実に行うことができる。
製鋼スラグから路盤材を製造する手順を示した模式図である。 本実施形態の製鋼スラグのエージング方法の手順を示した模式図である。 蒸気エージング処理の期間と製鋼スラグの膨張率を示した図である。 大気エージング処理の期間と製鋼スラグの膨張率を示した図である。 製鋼スラグの初期の水分量と製鋼スラグの膨張率を示した図である。
以下、本発明にかかる製鋼スラグのエージング方法の実施の形態を、図を基に説明する。
なお、本実施形態においては、本発明の製鋼スラグ7のエージング方法を、転炉1にて精錬処理をする際に生成される、鉄鋼副産物である転炉スラグ(製鋼スラグ7)に適用させて説明する。以降、転炉スラグを、製鋼スラグ7と呼ぶこととする。
まず、本実施形態の製鋼スラグ7のエージング方法を説明する前に、転炉1の概略について説明する。
製鉄所では、一般的に、高炉で出銑した溶銑6に対して脱硫処理及び脱珪処理などの溶銑予備処理を行い、溶銑予備処理の終了後には、転炉1にて脱りん処理や脱炭処理を行っている。
図1に示すように、転炉1では、生石灰などの副原料を混入して、転炉1内の溶銑6に酸素を吹き付けて、溶銑6に含まれる炭素等の不要な成分を酸化燃焼させる。このとき、生成された酸化物と投入した副原料とが結合して、副生成物である製鋼スラグ7が生成される。この製鋼スラグ7は、溶銑6との比重差によって分離され回収される。
製鋼スラグ7には、精錬処理によってある程度の差はあるものの、酸化カルシウム(CaO)、二酸化珪素、酸化アルミニウム、鉄などが含まれている。この製鋼スラグ7は、精錬処理後に外部に排滓して様々な用途に用いられている。
しかし、精錬処理後の製鋼スラグ7中には、ケイ素、リン、硫黄等の不要な成分を除去するために添加された生石灰の一部が残存している。この生石灰は、free−CaO(遊離石灰)と呼ばれている。
製鋼スラグ7の表面、若しくは表面近くにあるfree−CaOは、付与された水分と反応して、水酸化カルシウム(Ca(OH))となる。すなわち、製鋼スラグ7の表面、若しくは表面近くおいては、水和反応(CaO+HO→Ca(OH))が行われ、体積が約2倍に膨張する。さらに、水酸化カルシウム(Ca(OH))は、大気中において炭酸化して炭酸カルシウム(CaCO)となり、体積が約1.1倍に膨張する。
特に、free−CaOの量が多い製鋼スラグ7においては、膨張性が大きく、路盤材8として用いた場合、雨水などにより膨張してアスファルトが隆起してしまい、舗装に影響を与える可能性がある。また、製鋼スラグ7の粒径が大きい場合は、内部までの水和が困難であること、膨張による自己崩壊(新生面の露出)などの理由から稀に水和不良が生じる虞がある。それ故、路盤材8として出荷する前に、粒径の大きい製鋼スラグ7を予め膨張させておき、リサイクルしたときの膨張を抑制しておく必要がある。
しかしながら、「発明が解決しようとする課題」でも述べたように、従来の技術を用いて、製鋼スラグ7を予め膨張させておいても、リサイクルしたときに路盤材8が膨張する可能性が残されている。
そこで、本発明では、製鋼スラグ7を路盤材8などとしてリサイクルできるように、予め製鋼スラグ7を確実に膨張させておくエージング処理を実施している。
以下、本実施形態の製鋼スラグ7のエージング方法について、図を基に説明する。
まず、本実施形態においては、25mm〜40mmの粒径を有する製鋼スラグ7を用いることとする。なお、製鋼スラグ7における25mm〜40mmの粒度の存在量は、製鋼スラグ7全体に対して30%以下(内数)とする。好ましくは、製鋼スラグ7における25mm〜40mmの粒度の存在量が、製鋼スラグ7全体に対して20%以下(内数)であるとよく、更に好ましくは10%以下(内数)であるとよい。
上記したように、粒径が25mm〜40mmといった粗粒が存在する場合、製鋼スラグ7の内部までエージング処理をするためには、所定の時間が必要であり、本実施形態においてはエージング処理の条件を、以下のように規定している。
図1、図2に示すように、本発明の製鋼スラグ7のエージング方法は、25mm〜40mmの粒径を有する製鋼スラグ7に対して水分を付与する水分付与工程と、水分付与工程後の製鋼スラグ7に対して、蒸気エージング処理を実施する蒸気エージング工程と、蒸気エージング工程後の製鋼スラグ7に対して、大気エージング処理を実施する大気エージング工程とを有する。
具体的には、まず、製鋼スラグ7を冷却ヤード2に排滓して冷却した後、製鋼スラグ7を、25mm〜40mmの径を有する小石状に粉砕する。
次に、粉砕した製鋼スラグ7をエージングピット3に搬送して積みつけて、その製鋼スラグ7の全体に水分を付与する。
水分付与工程では、粉砕した製鋼スラグ7が十分に湿潤な状態となるように、エージングピット3の上部に備えられた散水設備4により、製鋼スラグ7全体に満遍なく散水する。このとき、製鋼スラグ7の乾燥質量に対して2.0質量%以上(外数)となるように、水分を付与する。
好ましくは、付与する水分量が製鋼スラグ7の乾燥質量に対して5.0質量%以上(外数)であるとよく、より好ましくは10質量%以上(外数)であるとよい。なお、製鋼スラグ7は、水分を保持できる量に上限があるため、製鋼スラグ7の乾燥質量に対して15質量%(外数)を上限とする。
付与する水分量を規定する理由としては、2.0質量%未満といった付与する水分量が少ないと、十分なエージング効果が得られず、水和促進効果、すなわち膨張抑制効果が不十分となる虞があるためである。
付与する水分量を上記の規定とすることにより、後工程の蒸気エージング処理工程での水和反応の促進効果を向上させることができ、より膨張率の低い製鋼スラグ7(路盤材8)の製造が可能となる。
なお、製鋼スラグ7全体に水分付与する方法としては一般的に用いられる方法でよく、たとえば、製鋼スラグ7を蒸気エージングピット3に積付後に、水分を付与するといった方法でよい。
このように、水分付与工程で製鋼スラグ7の表面に水分を付与すると、製鋼スラグ7の表面に水膜が形成される。
水分付与工程を経て、表面に水膜が形成された製鋼スラグ7に対して、蒸気エージング処理を実施する。
蒸気エージング工程では、エージングピット3の下部に敷設された蒸気配管5から、例えば100℃以上の飽和水蒸気を通気させて、製鋼スラグ7の水和反応(CaO+HO→Ca(OH))を促進させる。このように、高温の飽和水蒸気を通気させることで、製鋼スラグ7の水和反応を促進させている。
この蒸気エージング工程では、蒸気エージング処理の時間を48時間以上、7日以下としている。
蒸気エージング処理の時間を規定する理由としては、製鋼スラグ7が25mm〜40mmの大きい径を有するものであるので内部までの水和に時間を要するため、蒸気エージング処理の時間が48時間より短いと、水和反応が不十分となり、蒸気エージング効果が低くなる虞があるためである。また、7日間のうちには、充分に水和反応が終わるため、蒸気エージング処理の時間を7日以下としている。
蒸気エージング処理の時間を上記の規定とすることにより、25mm〜40mmの大きい径を有する製鋼スラグ7においても、充分に水和反応を促進させることができる。
蒸気エージング工程を経て、表面にCa(OH)が生成された製鋼スラグ7を、屋外に搬送して積みつけて、大気エージング処理を実施する。
大気エージング工程では、製鋼スラグ7に含まれているCa(OH)を大気中の二酸化炭素や水分供給から、安定した炭酸カルシウム(CaCO)へ促進させる。
この大気エージング工程では、大気エージング処理の時間を1日以上、14日以下としている。
大気エージング処理の時間を規定する理由としては、製鋼スラグ7が25mm〜40mmの大きい径を有するものであるので表面積が広い、つまり製鋼スラグ7の表面のCa(OH)の量が多いので、大気エージング処理の時間が1日より短いと、CaCOへの生成が不十分となり、大気エージング効果が低くなる虞があるためである。また、14日間のうちには、充分にCaCOの生成が終わるため、大気エージング処理の時間を14日以下としている。
このように、製鋼スラグ7に水分を付与し、蒸気エージング処理を行い、その後に大気エージング処理を実施することで、通常の大気エージング処理より反応促進効果が大きく、大気エージング処理期間の短縮が可能となる。
また、製鋼スラグ7を高温状態で大気エージング処理することにより、大気によってCOが供給されると共に、製鋼スラグ7の表面が大気によって冷却されて結露が生じて製鋼スラグ7に水分として供給されるので、(Ca(OH)→CaCO)の反応を促進させる効果が向上する。
このような工程に沿ってエージング処理を進めることで、膨張率の低い製鋼スラグ7(路盤材8)を製造することが可能である。
[実験例]
次に、本実施形態の製鋼スラグ7のエージング方法の実験例について、図と表を基に説明する。
まず、本実験例を説明する前に、パラメータ、評価基準の定義について説明する。
本実験例は、製鋼スラグ7に付与する水分量が、実際の粒度における水分量、すなわち蒸気エージング処理を実施する前における製鋼スラグ7の乾燥重量に対する水分量としている。
なお、水分量w(%)は、下式で求められる。
w = 100×(W1−W2)/W1
W1:冷却ヤード2に排滓したときの製鋼スラグ7の重量(初期重量)
W2:105℃で製鋼スラグ7を乾燥し、1時間ごとの重量変化が1%未満になった時の重量(乾燥後重量)
また、膨張率は、JIS A 5015(道路用鉄鋼スラグ 附属書2)の「鉄鋼スラグの水浸膨張試験方法」に準拠し、「水温が約80℃の恒温水槽(養生装置)にて6時間保持し、その後、恒温水槽内にて常温で18時間放冷する」を1サイクル(24時間)とした浸漬試験を、10サイクル(10日)実施した。
なお、膨張率X(%)は、下式で求められる。
X=100×(H−h)/h
h:初期における製鋼スラグ7の高さ
H:試験実施後における製鋼スラグ7の高さ
膨張率の評価基準は、JIS A 5015の評価基準1.5%以下よりも厳しい、0.7%以下としている。なお、本願発明においては、より製鋼スラグ7の膨張を抑制するため、膨張率の評価基準を0.5%以下としている。そして、その膨張率の評価基準を以下に示す(記号は表1を参照)。
1.5%超:×(基準超過、不適合)
0.7%〜1.5%:△(JIS A 5015の評価基準内だが、本実験例では対象外)
0.7%以下:○(本願発明の発明例)
本実験例の製鋼スラグ7は、48.2CaO−12.9SiO−4.8MgO−1.6Al−20.8T.Feの転炉(脱炭炉)スラグを用いている。なお、製鋼スラグ7中のfree−CaOの量は、日本鉄鋼協会:「鉄鋼スラグ中フリーCaOのキャラクタリゼーション技術の標準化」最終報告書に準拠し、8.24%としている。
本実験例のエージング方法は、以下に示す条件で実施した。
破砕工程においては、転炉スラグ原石を40mm以下に粉砕した。その粉砕したものを製鋼スラグ7として用いた。
水分付与工程においては、エージングピット3に積み付け後、その上部に備えられた移動式の散水設備4を用いて、製鋼スラグ7全体に満遍なく散水した(図1参照)。
蒸気エージング工程においては、エージングピット3の下部に敷設された蒸気配管5から、100℃超の飽和水蒸気を通気させた。また、エージングピット3上部に温度計を配備し、製鋼スラグ7の温度を測定した。また、蒸気エージング処理の時間は、通気開始〜通期完了までの時間とした。なお、このような蒸気エージング工程の条件においては、エージングピット3の上部が95℃に達するまでの時間が、4時間〜8時間程度となっている。
大気エージング工程においては、蒸気エージング処理後の製鋼スラグ7を、ヤードに山積みにし、大気に曝した。
表1は、上記した25mm〜40mmの粒径を有する製鋼スラグ7(転炉スラグ)を用いた本実験例の結果を、まとめたものである。
まず、表1に示す本実験例の結果について、説明する。
比較例1は、水分量が1.4(%)、膨張率が8.840(%)となっており、本実験例の評価基準(0.7%以下)を大幅に超過していることがわかる(評価×)。
比較例2は、水分量が3.7(%)、膨張率が0.778(%)となっており、JIS A 5015の評価基準(1.5%以下)はクリアしているが、本実験例の評価基準を超過していることがわかる(評価△)。
比較例3〜7においては、JIS A 5015の評価基準はクリアしているが、本実験例の評価基準を超過していることがわかる(評価△)。また、比較例8においては、本実験例の評価基準を大幅に超過していることがわかる(評価×)。
一方で、実施例1は、水分量が3.3(%)、膨張率が0.657(%)となっており、本実験例の評価基準(0.7%以下)をクリアしていることがわかる(評価○)。
実施例2は、水分量が3.9(%)、膨張率が0.561(%)となっており、本実験例の評価基準をクリアしていることがわかる(評価○)。
実施例3〜12においても、実施例1,2と同様に、本発明のエージング方法に沿って実施しているので、本実験例の評価基準をクリアしていることがわかる(評価○)。
以上、実施例1〜12の結果より、水分付与工程にて、製鋼スラグ7の乾燥質量に対して2.0質量%以上の水分を付与し、蒸気エージング工程にて、蒸気エージング処理の時間を48時間以上とし、大気エージング工程にて、大気エージング処理の時間を1日以上とすることで、製鋼スラグ7の膨張率を確実に0.7%以下とすることが可能となる。
次に、実施例1〜12で得られたエージング処理と製鋼スラグ7の膨張率の関係を、図3〜図5に基づいて説明する。
図3は、蒸気エージング処理の期間と製鋼スラグ7の膨張率を示した図である。図4は、大気エージング処理の期間と製鋼スラグ7の膨張率を示した図である。図5は、製鋼スラグ7の初期の水分量と製鋼スラグ7の膨張率を示した図である。
図3に示すように、蒸気エージング処理の期間を48時間以上とすると、製鋼スラグ7の膨張率を0.7%以下とすることが可能となることがわかる。なお、大気エージング処理の期間は7日としている。
図4に示すように、大気エージング処理の期間を1日以上とすると、製鋼スラグ7の膨張率を0.7%以下とすることが可能となることがわかる。なお、蒸気エージング処理の期間は48時間としている。
図5に示すように、初期の水分量、すなわち付与する水分量を製鋼スラグ7の乾燥質量に対して2.0質量%以上とすると、製鋼スラグ7の膨張率を0.7%以下とすることが可能となることがわかる。なお、蒸気エージング処理の期間を48時間とし、大気エージング処理の期間は7日としている(グレー色のプロット)。また、蒸気エージング処理の期間を96時間とし、大気エージング処理の期間は7日としている(白色のプロット)。
図3〜図5からもわかるように、付与する水分量を製鋼スラグ7の乾燥質量に対して2.0質量%以上とし、48時間以上蒸気エージング処理を実施し、1日以上大気エージング処理を実施することは、製鋼スラグ7を路盤材8にリサイクルしたときに、雨水などによる膨張を抑制することができる、非常に有効な手段であるといえる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
例えば、本実施形態では、転炉1において精錬する際に生成される鉄鋼副産物である製鋼(転炉)スラグを例示して説明したが、製鉄所において様々な精錬処理で生成される製鋼スラグ7、例えば、電気炉酸化スラグ、脱炭スラグ、溶銑脱燐スラグ、溶銑脱硫スラグ、溶銑脱珪スラグ、取鍋精錬スラグなどにおいても、本発明は適用可能である。
すなわち、本発明は、高炉にて精錬処理をする際に生成される高炉スラグを除くスラグに適用可能である。
1 転炉
2 冷却ヤード
3 エージングピット
4 散水設備
5 蒸気配管
6 溶銑
7 製鋼スラグ
8 路盤材

Claims (4)

  1. 25mm〜40mmの粒径を有する製鋼スラグに対して水分を付与する水分付与工程と、
    前記水分付与工程後の製鋼スラグに対して、蒸気エージング処理を実施する蒸気エージング工程と、
    前記蒸気エージング工程後の製鋼スラグに対して、大気エージング処理を実施する大気エージング工程と、
    を有することを特徴とする製鋼スラグのエージング方法。
  2. 前記水分付与工程では、前記製鋼スラグの乾燥質量100質量%に対して2.0質量%以上の水分を付与することを特徴とする請求項1に記載の製鋼スラグのエージング方法。
  3. 前記蒸気エージング工程では、蒸気エージング処理の時間を48時間以上としていることを特徴とする請求項1又は2に記載の製鋼スラグのエージング方法。
  4. 前記大気エージング工程では、大気エージング処理の時間を1日以上としていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製鋼スラグのエージング方法。
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