JP5384446B2 - 製鋼スラグのエージング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、転炉、電気炉等より排出される、未滓化の石灰(フリーライム)や酸化マグネシウム(フリーマグネシウム)を含有する製鋼スラグを、水蒸気を利用して短時間で人工的に膨潤させて道路用路盤材や海洋ブロック用骨材等に適用可能な構造材とする、工業規模のエージング方法に関するものである。
製鋼工程で発生する製鋼スラグは、脱燐剤、脱硫剤として使用される生石灰の一部が他の分子と完全に結合せず、未滓化石灰(フリーライム)として残存している。また、前記製鋼スラグ中には、耐火物中の酸化マグネシウムが溶け出し、生石灰と同様に未滓化の酸化マグネシウムが存在している。
従って、製鋼スラグを道路用路盤材として使用した場合は、経時的に水和反応を起こして膨張・崩壊し、地盤隆起などの弊害を生じることがある。そのため、道路用路盤材として使用する場合は、膨張・崩壊を完了させ、安定させた状態で使用する為のエージングを行っている。
このエージング方法として、例えば特許文献1〜3が開示されている。
このうち、特許文献1では、粒径が25mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した常温の製鋼スラグを装入した圧力容器内を、0.196〜0.98MPaの圧力の飽和水蒸気雰囲気に1〜5時間曝してエージングする方法が開示されている。
この方法は、例えば図13に示すように、破砕整粒した常温スラグを装入したスラグ容器1を圧力容器2に入れ、スラグ容器1内のスラグ表面を通してスラグ層の内部に水蒸気を供給することによって行う。なお、図13中の3はスラグ・スラグ容器搬入搬出装置を示す。
ところで、粉が少ないスラグの場合は、粒子間隙が広く、水蒸気の凝縮熱伝達の際に発生する凝縮水は重力により粒子間隙を下方に滴下していくので、新しい水蒸気がスラグ表面で凝縮して局所的に蒸気圧力が下がり、そこに新しい蒸気の流入、凝縮が繰り返され、連続的にスラグの昇温が図られる。従って、特許文献1で開示された前記方法では、均一なスラグの昇温とエージングが可能である。
しかしながら、特に未滓化石灰(CaO)を多く含むスラグは、溶融状態から常温までの冷却過程で結晶構造の相変態によって、粒子が崩壊し、粉の多いスラグが発生する。
粉が多いスラグの場合、粒子同士の間隙が狭く、前記凝縮水が表面張力による毛管現象で粒子間に保水されて重力では滴下できなくなるので、内部に通気性を確保するための器具を配置していない従来のスラグ容器の場合、スラグ層の中に保水されることになる。
従って、圧力の変化が無く、蒸気の流通が無くなって新たな低温のスラグ表面が現れずに凝縮熱伝達が停止し、圧力均衡となって維持しているだけの状態となり、スラグの昇温が進まない現象が現れる。つまり、圧力容器の中では、あらゆる場所で均一な圧力になろうとする力が働くが、一旦圧力が均一になるとそれ以上蒸気の流通する力が働かなくなり、低温の場所はそのままという状態で時間だけが経過する。
このため、スラグの温度が均一に上がらないので、反応速度が一定せず、エージングが均一に完了しなくなる。特に1mm以下の粉を多く含むスラグにおいては、エージング反応が十分に完了されず、日本工業規格(JIS規格)で規定された路盤材の水浸膨張試験における膨張率が、基準の1.5%を超えてしまう。
また、図13に示す装置を用いて粉の多いスラグを昇温・昇圧する場合、ある程度排出される凝縮水に多くのスラグ粉が同伴されるので、圧力容器内の圧力を維持しながら凝縮水を排水する系統がスラグ粉によって詰まる。排水系統が詰まると圧力容器内に凝縮水が溜り、粉のスラグが堆積するので、頻繁に除去掃除をしなければならない。
前記特許文献1には、前記エージング方法において、圧力容器の内部圧力を一時的に降下させる操作を1回又は2回以上繰り返して行うことで、水浸膨張率を低下させる方法も開示されている。
また、特許文献2では、粒径40mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した製鋼スラグを装入した圧力容器内を、0.196〜0.98M Paの圧力の飽和水蒸気雰囲気に5時間以上保持する方法が開示されている。この特許文献2では、前記5時間以上保持する工程において、圧力容器の内部圧力を一時的に低下させる前の圧力の50%以下に低下させる操作を1回以上繰り返して行う方法も開示されており、これらの方法によって水浸膨張率を低下できると記載されている。
これら特許文献1、2で開示された方法は、粒子表面の凝縮水を減圧により蒸発させる効果があり、減圧、昇圧を繰り返す毎にスラグ層内部に蒸気が浸透しやすくなり、スラグ粉がある程度少ないスラグでは有効である。しかしながら、特に1mm以下の粉を70質量%以上と多く含むスラグの場合は、粒子間に保水されている水の量が多く、減圧・昇圧の繰返し操作では保持された水を蒸発できず、又は水膜を破壊できずに水蒸気をスラグ層内部へ導入することが困難である。従って、エージング反応が十分に完了されない問題がある。
また、特許文献3では、粒径が25mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した製鋼スラグを装入した圧力容器内を、0.196〜0.98MPaの圧力の水蒸気雰囲気に1〜5時間保持する工程において、スラグ容器に供給する蒸気配管をスラグ容器の内部に導き、スラグ層内部へ直接、蒸気を供給する加圧式蒸気エージング方法が開示されている。
この特許文献3で開示された方法では、圧力容器内の圧力が所定圧力となるように、供給側の蒸気制御弁を開閉し、制御している。従って、圧力容器内の圧力が所定圧力に到達すると、それ以上は蒸気が入らないので、スラグ層中心部から表層に向けての蒸気流路に流れやすいところができると、スラグ層内部の蒸気供給口と圧力容器内圧力が等しくなり、蒸気供給が停止してしまう問題がある。このようになると、スラグ層全体を均一に昇温することが出来なくなり、結果的にエージング反応が未達成になる。
すなわち、特許文献1〜3で開示された従来のエージング方法では、粉の割合が多い場合は水蒸気凝縮水の排出が困難になるので、粉の少ない粒度範囲を規定する必要があった。発明者らは、その操業経験から概ね粒径が5mm以下の粒子が50質量%以上存在していると、上記従来の方法ではエージングが均一に完了しないことを知見している。従って、スラグの性状によって粉の割合が多いものは、スラグ粉を除去してエージングしなければならず、再利用できないスラグが発生していた。
その他、一般的には、野積み式大気圧蒸気エージングの方法がある。この場合、図14に示すように、露天のヤードに製鋼スラグ4を2m程度積み上げ、ヤードの床面に配置した蒸気配管5から大気圧を超える圧力の蒸気を供給して概ね100℃以下の雰囲気でエージングするものである。この場合、粉が多くても時間さえ掛ければ(7〜20日間)均質なエージングができるが、広大な敷地面積を必要とし、蒸気原単位は非常に高く、経済的な方法ではない。
また、野積みしたまま自然の風雨に曝した場合は、2年以上の暴露時間がかかるので、工業的に有効な方法とはいえない。
また、海洋に用いるコンクリート構造体、例えば消波ブロック等の骨材としてスラグを採用する場合は、路盤材以上に膨張率を低く抑えておかないと、ブロックが割れたりする問題がある。例えば路盤材用骨材の場合、JIS規格の試験方法で、水浸膨張率が1.5%以下になるようにエージングするが、コンクリート用骨材の場合は、膨張しないという前提から、膨張率の規格が無い。従って、コンクリート用骨材としてスラグを採用する場合、路盤材より遥かに低い膨張率が求められるため、コンクリート用骨材としてスラグを採用することは困難である。
特開平8−165151号公報 特開2007−106631号公報 特開2009−280445号公報
本発明が解決しようとする問題点は、従来のエージング方法では、粉の割合が多い場合は水蒸気凝縮水の排出が困難になるので、粉の少ない粒度範囲を規定する必要があるという点である。従って、スラグの性状によって粉の割合が多いものは、スラグ粉を除去してエージングしなければならず、再利用できないスラグが発生するという点である。
本発明は、転炉、電気炉等より排出されるフリーライムやフリーマグネシウムを含有する製鋼スラグを、水蒸気を利用して短時間で人工的に膨潤させる際に、上述の従来技術が有する問題点を解消するものである。
すなわち、本発明の製鋼スラグのエージング方法は、
フリーライムやフリーマグネシウムの存在により粉の割合が多い製鋼スラグを蒸気エージングしても、膨張反応が完了するようにするために、
例えば、
粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した製鋼スラグをスラグ容器に入れ、
スラグ容器に装入された製鋼スラグを圧力容器内に装入して、圧力容器内に加圧水蒸気を供給する際に、スラグ容器内のスラグ層内に配置した配管を介して蒸気の給排気を行うことにより、圧力維持期間中、蒸気が常にスラグ層を通気できるようにスラグ層内部圧力と圧力容器内圧力に差をつけながら、圧力容器内を0.1MPa以上、1.96MPa以下の圧力の水蒸気雰囲気に昇圧して所定時間以上保持した後、
圧力容器を大気圧まで減圧してスラグを排出することを最も主要な特徴としている。
前記本発明では、スラグ容器に入れた製鋼スラグに、大気圧雰囲気下で、大気圧を超える圧力の水蒸気を、スラグ容器内のスラグ層内に配置した配管を介して供給するので、配管から噴出する蒸気の近傍は供給蒸気の温度近く(大気雰囲気の飽和温度の100℃以下)まで昇温される。時間の経過とともに製鋼スラグは層表面まで昇温していくが、昇温温度は100℃以下である。スラグ層の表面近くは大気雰囲気の影響で供給蒸気温度までは昇温されない。
これによって、製鋼スラグをスラグ容器毎圧力容器の中へ入れ、前記配管を介して蒸気の給排気を行って、所定の圧力、時間で加圧エージングを行う際に、圧力維持期間中、蒸気が常にスラグ層を通気できるように、スラグ層内部圧力と圧力容器内圧力に差をつけながら圧力を維持するので、圧力容器内のスラグは常に新しい飽和蒸気により加熱される。
その際の凝縮水は、スラグ容器中のスラグ層の表面で発生するものと、スラグ層内部で発生するものがある。このうち、表面で発生する凝縮水は滴下又は流下して行き、内部で発生した凝縮水はスラグ層内に配置した管を通ってスラグ層外へ排出される。スラグ層内部に配置した配管によって蒸気を供給する場合は、スラグ層内部の凝縮水を排出できないが、水蒸気の通気は圧力差によって確保されるので、その流路に沿ってスラグ層内部を滴下しやすくなる。
スラグ層表面の凝縮水は比較的排出されやすく、また、スラグ層内部の凝縮水はスラグ容器中のスラグ層を流通する蒸気によってスラグ層中心部の管を経由して系外に排出されるか(配管から排出の場合)、流通する蒸気によって強制的にスラグ層表面に排出されるため(配管から蒸気供給の場合)、スラグ層中に保水されることが少なくなる。また、スラグの加熱には、常に新しい蒸気がスラグ層内に流通しているので、均一な昇温が起こる。この状態では、圧力容器中の蒸気がスラグ層の中心部まで均一に侵入できるので、全体的に均一なエージング反応が得られることになる。
すなわち、前記本発明では、スラグ層内部に蒸気を供給することが可能であるので、水蒸気は凝縮を伴いながらスラグ層を流通する。水蒸気のスラグ層内の流通経路は水蒸気が流れやすいところを自然に選択していくので、ある部分で凝縮水により流通が阻害されるとその近傍の流れやすい流路を流通し、何度もこれを繰り返してスラグ層中心部の管に到達するか、スラグ層の表面に到達する。
0.1MPa以上、1.96MPa以下の圧力の水蒸気雰囲気の圧力容器中では、スラグ層内部に配置された配管圧力とスラグ層表面の圧力差により、スラグ層表面から中心部へ向かう流れ、若しくはスラグ層中心部から表層に向かう流れは、大気圧雰囲気下と同様に流れやすいところを自然に選択しながら流れていくので、圧力容器内の圧力に相当する飽和温度まで均一に昇温される。
本発明において、粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した製鋼スラグを使用するのは、粒径が40mmを超える大きさになると、1つの粒子の内部に未反応部分が残る可能性が大きくなり、その割合が80質量%以上でないとエージング後の製鋼スラグが経年変化で膨張するおそれが生じるためである。
また、圧力容器内を0.1MPa以上の圧力の水蒸気雰囲気に曝すのは、大気圧雰囲気下でスラグ層の中心部まで水蒸気を至らせるためと水和反応速度は100℃より高いほど速くなるためであり、0.1MPaで概ね120℃以上となる。一方、1.96MPa以下の圧力とするのは、1.96MPaを超える圧力では反応速度を速める効果が少なくなることと、設備的に大掛かりなものになることや設備の維持管理に厳しい対応をしなければならないこと等から、現実的ではないからである。
本発明では、フリーライムやフリーマグネシウムの存在により粉の割合が多い製鋼スラグを、均一に蒸気エージングできて膨張反応が完了するので、従来、不可能であった道路用路盤材への適用が可能となり、従来、廃棄処分していた製鋼スラグを有効利用できる。
実機で圧力蒸気エージングしたスラグ層の温度測定結果を示した図である。 通気無しで乾燥した場合のスラグ層の昇温過程を実測した結果を示した図で、(a)は測温箇所を説明する図、(b)は各測温場所における乾燥時間とスラグ温度の関係を示した図である。 水浸膨張率の比較試験を行った結果を示した図である。 請求項1と請求項4の発明の実施の形態例を説明する図である。 請求項3の発明の実施の形態例を説明する図である。 待機位置において、大気圧雰囲気下でスラグ容器内の製鋼スラグに蒸気を供給してエージングしている状態を示す模式図である。 圧力容器に装入したスラグ容器内の製鋼スラグから水蒸気を抽出している状態を説明する模式図である。 従来のエージング時における圧力容器内の模式図である。 スラグ容器の中心部に熱媒体を供給する方法の一例を説明する図である。 蒸気供給管を設置したスラグ容器の説明図である。 (a)〜(c)は攪拌機を設置したスラグ容器の説明図である。 本発明の効果を従来と比較した図である。 従来の加圧式蒸気エージング装置を説明する図である。 従来の野積み自然エージングを行う場合の説明図である。
本発明では、フリーライムやフリーマグネシウムの存在により粉の割合が多い製鋼スラグを均一に蒸気エージングして膨張反応を完了させるという目的を、スラグ容器内の製鋼スラグを圧力容器内に入れて所定圧力の水蒸気雰囲気に昇圧して所定時間以上保持する際に、スラグ容器内のスラグ層内に配置した配管を介して蒸気の給排気を行うことにより、圧力維持期間中、常に蒸気が通気できるようにスラグ層内部圧力と圧力容器内圧力に差をつけながら圧力を維持することによって実現した。
以下、本発明の製鋼スラグのエージング方法について説明する。
発明者らは、以下に説明する実験室での試験によって、スラグ容器内のスラグ層の内部に水蒸気の凝縮水が保水されることがエージング反応の阻害要因になることを確認した。
先ず、実機で、粒径が5mm以下のものが70質量%以上となるように破砕した製鋼スラグを圧力蒸気エージングした際の、製鋼スラグの温度を測定した結果を図1に示す。
図1に示すように、スラグ容器1の中心部は製鋼スラグの温度が低いことが判明した。粒度が粗いものの割合が多い製鋼スラグの場合は、エージング反応が均一に行われるので、スラグ容器の中心部の温度が低いことは無く、製鋼スラグが全て乾いた状態で排出されていた。
これに対し、粒度の細かいものの割合が多い製鋼スラグの場合は、スラグ容器内のスラグ層の内部の方が濡れている状態が激しくなっており、排出時には埃が立たないほど濡れている状態だった。その製鋼スラグは水浸膨張率も高く、エージングが完了していないことが明らかであった。濡れている原因は、製鋼スラグの細かい粒子間の毛細管現象により凝縮水が保水されていて下方に滴下し排出されることが無かったためと考えられた。
次に、通気無しで乾燥した場合の、スラグ層4aの昇温過程を実測した結果を、図2に示す。
試験は、図2(a)に示す、直径が200mm、高さが200mmの円筒状の容器11に、粒径が5mm以下のものが70質量%以上含まれる製鋼スラグ4を入れ、雰囲気が200℃の乾燥機内に静置してスラグ層表面(a点)、中心部(b点)、中間部(c点)の温度を測定することにより行った。
その結果を図2(b)に示すが、中心部では24時間経過しても150〜160℃程度で、実機条件の45分程度の昇温時間の場合、殆ど昇温していないことが予測された。図2(b)の結果より、スラグ層の内部に、熱媒体、例えば蒸気、熱風、高温ガスなどが通気しない場合は、スラグ層の内部への伝熱は殆ど熱伝導的な伝達になり、長時間かけてもスラグ層の外部の雰囲気温度まで上がらないことが確認された。
これの意味するところは、スラグ層の内部に水蒸気凝縮水が保水されている部分には、水蒸気が侵入できない結果、温度が上がらないことになり、エージング反応が進まないことになることを意味している。
次に、発明者らは、上記の方法によって内部まで昇温していない前記製鋼スラグの水浸膨張率の差を次のようにして試験した。予め、前記製鋼スラグを、乾燥機により、圧力容器内エージング温度の158℃以上の190℃に加熱して乾燥・昇温させ、その後、圧力エージング試験機により0.5MPaの飽和蒸気でエージングを2時間行った製鋼スラグの水浸膨張率を測定し、予熱していないものと比較した。
その結果を図3に示す。結果は予想に反し、事前乾燥・昇温している製鋼スラグは、結露は発生しないにも関わらず、かつ、温度も十分高いにも関わらず、最後の蒸気エージングをした後は、水浸膨張率が事前昇温しない製鋼スラグより高くなった。このことは、水滴が全く無い乾燥状態では、気体の水蒸気雰囲気であってもエージングが進みにくいことを表している。
上記の結果より、発明者らは、ある程度湿った条件のもとで、かつ、100℃を超える条件のもとで、水蒸気雰囲気に曝すことが、エージングが進む環境であることを知見した。すなわち、常温のスラグの温度を、そのまま水蒸気で、例えば0.5MPa、158℃の水蒸気飽和温度まで上げた場合は保水による悪影響があるため、例えば、事前に、100℃以上で、かつ、保持圧力の飽和温度未満の温度に昇温しておくのである。このようにすれば、圧力保持温度との差の熱量分の水蒸気がスラグ表面に凝縮するため、僅かであってもスラグ表面は湿ることになる。
発明者らは、前記試験及びスラグ容器内のスラグ温度の実測結果、野積み式エージングとの蒸気流通の原理違いの考察から、粒径が40mm以下のものが80質量%以上含まれる、粒度の細かいものの割合が多い製鋼スラグをエージングするに際し、スラグ容器内のスラグ層中心部の保水現象を防止しつつ、ある程度湿った状態にする方法として、次の4つを成立させた。
(1) 圧力容器内での凝縮水発生が極力少なくなるように加熱する方法
(2) スラグ容器内のスラグ層中心部で保水している水分を攪拌して表面に出して滴下除去させる方法
(3) スラグ容器内のスラグ層内を蒸気が容易に流通する方法
(4) 圧力容器内へ供給する必要蒸気量を確実に入れた後、圧力を維持する方法
本発明は、前記(1)の圧力容器内での凝縮水発生が極力少なくなるように加熱する方法と、前記(2)の保水現象が起きても攪拌により内部の低温スラグを表面に出し、昇温させる方法を提供するものである。本発明において、圧力容器内で凝縮水が発生しないように加熱するための熱媒体としては、水蒸気、熱風、熱源物体、燃焼排ガス、高温固体(スラグ、鋼塊等)を採用することができる。
・圧力容器内での凝縮水発生が極力少なくなるように加熱する方法の発明(第1の発明):請求項1
第1の発明は、
粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した製鋼スラグをスラグ容器に入れ、このスラグ容器に入れた前記製鋼スラグに、大気圧雰囲気下で、スラグ容器の内部に配置した水蒸気供給配管から、当該配管内で0.1MPa以上の圧力を有する水蒸気を吹き込み、
その後、前記スラグ容器及び昇温された前記製鋼スラグを圧力容器内に装入して、圧力容器内に加圧水蒸気を供給することによって圧力容器内を0.1MPa以上、1.96MPa以下の圧力の水蒸気雰囲気に昇圧保持してエージングを行った後、
圧力容器を大気圧まで減圧してスラグを排出することを特徴とする製鋼スラグのエージング方法である。
すなわち、第1の発明では、一方のスラグ容器に粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した製鋼スラグを入れて圧力容器内で0.1MPa以上、1.96MPa以下の加圧蒸気によるエージングを行っている間に、もう一方のスラグ容器内の前記製鋼スラグを、大気圧雰囲気下でスラグ層内部に蒸気を供給してスラグ層の内部を昇温するのである。なお、粒径が40mm以下の粒度に破砕する方法は、従来技術であるスラグの破砕・篩い設備を用いて行なえばよい。
もう一方のスラグ容器内の前記製鋼スラグに供給する蒸気は、圧力容器内に供給している前記蒸気と同じ条件のもの、すなわち大気圧を超える圧力、概ね0.1MPa以上、1.96MPa以下の水蒸気を用いてもよい。
大気圧雰囲気下のスラグ層の中に大気圧を超える圧力の水蒸気を、水蒸気供給配管を介して供給することにより、水蒸気供給配管から噴出する蒸気近傍は供給蒸気の大気圧飽和温度(概ね100℃)近くまで昇温される。更に時間の経過とともにスラグ層表面まで昇温していくことになるが、表面近くは大気圧雰囲気の影響で供給蒸気温度までは昇温されない。その際の凝縮水は、一部スラグ層内部に保水されるものとスラグ表層から排出されるものがあり、スラグ表層から排出される凝縮水は圧力容器外で昇温しているため、土間等に滴下し排出されるので、処理が容易である。
この昇温は、例えば一方のスラグ容器が圧力エージングを行っている待機時間中継続され、待機時間完了とともに蒸気の供給を停止する。その後、この昇温された製鋼スラグを入れたスラグ容器を圧力容器の中へ装入して、圧力容器内を前記圧力の水蒸気雰囲気に昇圧して、所定時間以上加圧エージングを行う。
これにより、圧力容器の中で飽和蒸気により製鋼スラグが加熱される際の凝縮水は、スラグ層の内部は予め昇温されているので凝縮が起きにくい状態であり、スラグ容器中のスラグ層の表面で大部分発生する。
従って、圧力容器の中での凝縮水の生成そのものの量が少なくなるとともに、スラグ層表面の凝縮水は比較的排出されやすいために、凝縮水がスラグ層に保水される量が少なくなる。この状態では、圧力容器中の蒸気がスラグ層の中心部まで均一に侵入できるので、全体的に均一なエージング反応が得られることになる。
すなわち、第1の発明では、大気圧雰囲気下でスラグ層内部に蒸気を供給するため、水蒸気は凝縮を伴いながらスラグ層を流通する。ある部分で凝縮水により流通が阻害された場合は、その近傍の流れやすい流路を流通する。何度もこれを繰り返して大気に放出されることになり、徐々にスラグ層全体が100℃程度に昇温されることになる。
これは野積み式大気圧蒸気エージングと全く同じ原理であり、それを圧力処理する前に行うことで圧力エージングの効果を高めるものである。従って、加圧蒸気エージング設備の近傍に野積み式蒸気エージング設備の小型版(1〜数バッチの量を加熱できる設備)を配置して、圧力エージング設備のスラグ容器に投入する直前のスラグを前記野積み式蒸気エージング設備に掛けて事前に昇温してもよく、同程度の効果が得られる。
・圧力容器内へ供給する必要蒸気量を確実に入れた後、圧力維持する方法の発明(第4の発明):請求項2、3
第4の発明は、
粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した製鋼スラグをスラグ容器に入れて圧力容器に装入し、
大気圧以上の圧力雰囲気下で、圧力容器の中に0.1MPa以上、1.96MPa以下の圧力の水蒸気を吹き込んでスラグを昇温させる際に、スラグ昇温に必要な蒸気量を予め計算し、その必要蒸気量を供給した後に圧力維持の工程を行うことを特徴とする製鋼スラグのエージング方法である。
ところで、特に粉の多い製鋼スラグでは、製鋼スラグの温度を上げる昇温の際に、凝縮水の保水によって十分な蒸気量が入らず、圧力のみが上がってしまう現象が起きていた。
この問題を解決するためには、昇温期間中に減圧・昇圧を繰返し、スラグ内部に保水している凝縮水を蒸発又は移動させれば、スラグ層の内部に蒸気が入りやすくなる。
これにより、圧力のみで管理されていたエージング工程において、温度が上がっていないのに蒸気が十分入っていない状態(スラグ層内部の温度が所定温度まで上がっていない状態)を避けることが出来、確実で均一なエージング反応を起こすことが出来る。
従来方法は、容器の圧力のみで管理していたため、圧力が所定の圧力に達すると自然にそれ以上入らなくなってしまうので、スラグ層内部の温度が所定の温度に達していなくても自動的に蒸気が入らなくなってしまうという問題があった。その原因は、スラグ層内部に形成された凝縮水とスラグが一体となって表層からの圧力と均衡するためであり、もし凝縮水が滴下し排出されれば新たな凝縮が起きて圧力が下がり、表層からの蒸気が内部に供給されることになる。
発明者らは、このことを考察により知見した。第4の発明では、圧力管理以外に蒸気流量を検知し、所定の流量の蒸気が入った後に圧力維持に入るので、確実なエージングができるようになるのである。また、所定の蒸気量を入れるための手段として昇温期間中に減圧、昇圧を繰り返すことにより必要量の蒸気を圧力容器に供給するものである。
・スラグ容器内のスラグ層内を蒸気が容易に流通する方法の発明(第3の発明):請求項4
第3の発明は、
粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した製鋼スラグをスラグ容器に入れた状態で圧力容器に装入して密閉した後、
この圧力容器に水蒸気を供給して、スラグ容器の中心部に設けた圧力逃がし配管から水蒸気若しくは凝縮水を圧力容器外に逃がしながら、圧力容器内の圧力を0.1MPa以上、1.96MPa以下に保持してエージングを行い
その後、圧力容器を大気圧まで減圧してスラグを排出することを特徴とする製鋼スラグのエージング方法である。
第3の発明では、スラグ層の中心部に集中する凝縮水をスラグ容器外、更には圧力容器外に抽出することにより、圧力容器内の水蒸気が、スラグ層を流通してスラグ層の内部(好ましくは中心部)に設けた圧力逃がし配管から圧力容器外へ抽出されることで、凝縮を伴わなくても圧力差で水蒸気が流通する。
好ましくは、スラグ層内部の配管により凝縮水のみを排出することが理想的であるが、実際には蒸気と凝縮水の混合物が排出されることになる。圧力容器の中でスラグ層を経由して常に凝縮水を排出しているので、スラグ層中心部に蒸気が必ず到達しており、確実なエージングが可能となる。また、スラグ層中心部の凝縮水は配管を経由して圧力容器外へ排出されるので、圧力容器底にスラグ容器から滴下する凝縮水とスラグ粉が少なくなり、圧力容器経由の凝縮水排出経路のトラブルが少なくなる利点がある。
これにより、強制的に水蒸気を流通させることができるので、製鋼スラグを事前昇温や熱媒体挿入などの操作で凝縮水を少なくする手段を取らなくても均一な蒸気流通が得られ、均一なエージングが可能となる。
しかしながら、凝縮水は配管詰まりなど操業的なトラブルを発生させる原因となるので、事前昇温や熱媒体挿入などの操作と組み合わせる方が高い効果を得られることは言うまでもない。
・スラグ容器内のスラグ層内を蒸気が容易に流通する方法の発明(第3の発明):請求項5
第3の発明の内、この発明は、
粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した製鋼スラグをスラグ容器に入れた状態で圧力容器に装入して密閉した後、
このスラグ容器の中心部に設けた蒸気供給配管から、圧力容器内の保持圧力を超える圧力の水蒸気を供給する際に、
圧力容器で圧力容器内の水蒸気を外部に逃がしながら0.1MPa以上、1.96MPa以下の圧力雰囲気下で保持してエージングを行い
その後、圧力容器を大気圧まで減圧してスラグを排出することを特徴とする製鋼スラグのエージング方法である。
この請求項5の発明は、水蒸気の流通が前記請求項4の発明と逆である。但し、従来は、供給する水蒸気の制御を行う制御弁で圧力容器内の圧力を制御していたため、圧力容器内の圧力が所定の設定圧力になると蒸気の供給が停止していた。しかしながら、請求項5の発明では、圧力容器の水蒸気を逃がすことによって圧力容器内の圧力を制御する。
この請求項5の発明の方法では、常に水蒸気の供給圧力と圧力容器内の圧力との差を作ることができるので、水蒸気の流通を強制的に作ることができる。請求項5の発明では、凝縮水は水蒸気の流通によりドレンとしてスラグ層の下部表面から排出されることになるため、圧力容器内に排出される微粒スラグの量が多くなる点が請求項4の発明と相違する。しかしながら、請求項5の発明では、配管の詰まりは無くなる利点があり、使用条件によって請求項4又は請求項5の発明のいずれを採用するのかを決定すればよい。
・圧力容器内での凝縮水発生が極力少なくなるように加熱する方法の発明(第1の発明):請求項6
第1の発明の内、この発明は、
粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した製鋼スラグをスラグ容器に入れた状態で圧力容器に装入した後、
この圧力容器を密閉した状態で、スラグ容器内のスラグ層の中に、熱風若しくは高温燃焼排ガスを供給しつつ排気しながら、前記製鋼スラグを100℃以上でかつ保持する圧力の水蒸気飽和温度未満に加熱する。
その後、加圧水蒸気を供給することによって圧力容器内を昇圧し、圧力容器内の熱風を抜く工程後、圧力容器内を0.1MPa以上、1.96MPa以下の圧力の水蒸気雰囲気に保持してエージングを行い
その後、圧力容器を大気圧まで減圧してスラグを排出することを特徴とする製鋼スラグのエージング方法である。
この請求項6の発明では、圧力容器中で製鋼スラグを加熱するための水蒸気を全量消費することなく、熱風若しくは高温燃焼排ガスによる昇温温度から圧力保持温度までの昇温蒸気と水和反応に必要な水蒸気のみでエージングすることができる。これにより、供給する水蒸気の量が少なくて済み、凝縮水量が減るため、スラグ層の水分が水蒸気の流通を阻害するほど保水することなく、均一な昇温ができるので、均一なエージングが行える。また、圧力容器内でのドレン発生量が少ないので、従来発生していたドレン排出部の詰まりによるドレン排出不能などのトラブルが解消される。
熱風若しくは高温燃焼排ガスによる昇温温度は、圧力保持温度までの水蒸気による昇温時に発生する凝縮水が水蒸気の流通を妨げない程度迄上げることが好ましく、一方、圧力維持温度付近まで上げてしまうとスラグ表面の湿り気が少なくなってエージング反応が進まなくなるので、適当な湿り気が存在するような温度範囲が望ましい。
・圧力容器内での凝縮水発生が極力少なくなるように加熱する方法の発明(第1の発明):請求項7
第1の発明の内、この発明は、
粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した製鋼スラグをスラグ容器に装入して、スラグ容器内のスラグ層の中に熱風若しくは高温燃焼排ガスを供給して、前記製鋼スラグを所定時間、100℃以上でかつ保持する圧力の水蒸気飽和温度未満に加熱した後、
前記製鋼スラグを入れたスラグ容器を圧力容器に装入し、加圧蒸気を供給することによって圧力容器内を昇圧し、大気を抜く工程後、圧力容器内を0.1MPa以上、1.96MPa以下の圧力の水蒸気雰囲気に保持してエージングを行い
その後、圧力容器を大気圧まで減圧してスラグを排出することを特徴とする製鋼スラグのエージング方法である。
請求項7の発明では、請求項6の発明と同様、圧力容器中で製鋼スラグを加熱するための水蒸気を全量消費することなく、熱風若しくは高温燃焼排ガスによる昇温温度から圧力保持温度までの昇温蒸気と水和反応に必要な水蒸気のみでエージングすることができる。これにより、スラグ層の水分が蒸気の流通を阻害するほど保水することなく、均一な昇温ができるので、均一なエージングが行える。また、圧力容器内でのドレン発生量が少ないので、従来発生していたドレン排出部の詰まりによるドレン排出不能などのトラブルが解消される。また、圧力容器の外でスラグの加熱を行うので、圧力容器内でスラグを昇温する時間を短縮することができ、処理能率の向上が図れる。
ここで、高温燃焼排ガスとは、木炭や石炭の燃焼排ガスや、廃棄物焼却炉排ガス、燃焼炉排ガス、若しくは、製鉄所で使用されるコークス炉ガスや市販のプロパンガスの高温の燃焼排ガスをいう。
また、前記高温燃焼排ガスの熱が製鋼スラグへの伝熱により製鋼スラグの温度を概ね100℃以上から圧力容器内での蒸気エージング温度未満まで昇温できる熱量を持つものとすることで、水蒸気によって製鋼スラグを加熱する際に必要な蒸気量を削減できる。
また、大気中に製鋼スラグを長時間暴露した場合に起こる炭酸化エージングも、燃焼排ガスを用いることによって加速的に反応が進み、より効果的なエージングが行える。なお、燃焼排ガス成分は、CO2が多い排ガスが好ましい。
前記請求項6、7の発明に使用する熱風として、圧力容器に用いる水蒸気を空気と熱交換して製造したものを使用する場合は、新たな熱源を用意すること無く、既存のエネルギー源を用いて製造することができる。
・圧力容器内での凝縮水発生が極力少なくなるように加熱する方法の発明(第1の発明):請求項9
第1の発明の内、この発明は、
粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した常温の製鋼スラグをスラグ容器に装入する際に、スラグ容器内のスラグ堆積層中に200℃〜800℃の高温物体を装入し、その他の部分に、常温の製鋼スラグを装入した後、
このスラグ容器を圧力容器に装入し、加圧蒸気を供給することによって圧力容器内を昇圧し、
空気を抜く工程後、圧力容器内を0.1MPa以上、1.96MPa以下の圧力の水蒸気雰囲気に保持して100℃以上で、かつ、保持圧力の水蒸気飽和温度未満の温度に昇温してエージングを行い
その後、圧力容器を大気圧まで減圧してスラグを排出することを特徴とする製鋼スラグのエージング方法である。
請求項9の発明では、圧力容器中で製鋼スラグを加熱するための水蒸気を全量消費することなく、高温物体が持つ熱量に相当する水蒸気が削減されるとともに、高温物体による昇温温度から圧力保持温度までの昇温蒸気と水和反応に必要な水蒸気のみでエージングすることができる。
ここで、高温物体が保有する熱量は、製鋼スラグへの伝熱により高温物体が圧力容器内蒸気エージング温度まで冷却される時に製鋼スラグの温度を概ね100℃から圧力容器内蒸気エージング温度未満まで昇温できる熱量を持つものとする。
このようにすることで、その熱量分の水蒸気量を削減することができる。また、従来最も凝縮水が集合しやすい中心部に高温物体を置くことができるので、その熱量が小さくても中心部の保水が少なくなるため、最もエージング反応が進まない領域を改善することができる。また、エージング反応を阻害する水蒸気凝縮水の保水現象の悪影響を大幅に削減でき、均一なエージングが図れる。
高温物体は、製鋼スラグが溶融状態から冷却される過程の製鋼スラグでも良く、また、ビレットなどの鋼塊を所定の温度まで加熱したものでも構わないが、蓄熱量が多くかつ放熱しやすい物体が望ましい。
・圧力容器内での凝縮水発生が極力少なくなるように加熱する方法の発明(第1の発明):請求項10
第1の発明の内、この発明は、
溶融状態から、100℃以上で、かつ圧力容器内で保持する圧力の水蒸気飽和温度未満に冷却された、粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるような製鋼スラグをスラグ容器に装入した状態で圧力容器に装入した後、
この圧力容器内に加圧蒸気を供給することによって圧力容器内を昇圧し、
圧力容器内の空気を抜く工程後、圧力容器内を0.1MPa以上、1.96MPa以下の圧力の水蒸気雰囲気に保持してエージングを行い
その後、圧力容器を大気圧まで減圧してスラグを排出することを特徴とする製鋼スラグのエージング方法である。
請求項10の発明では、圧力容器中で常温の製鋼スラグを加熱するための水蒸気を全量消費することなく、供給スラグ温度から圧力保持温度までの昇温に必要な水蒸気量と水和反応に必要な水蒸気のみでエージングすることができる。これにより、エージング反応を阻害する水蒸気凝縮水の保水現象の悪影響が無くなり、均一なエージングが図れる。また、圧力容器内でドレン発生が少ないので、従来発生していたドレン排出部の詰まりによるドレン排出不能などのトラブルが解消される。
前記請求項1〜請求項8の発明に使用するスラグ容器として、底部から熱風が通る複数の孔を有する管を、垂直に複数本立てているものを採用すれば、熱風をスラグ層に容易に供給することができるようになる。
・スラグ容器内のスラグ層中心部で保水している水分を攪拌して表面に出して滴下除去させる方法の発明(第2の発明):請求項12
第2の発明は、
粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した製鋼スラグをスラグ容器に入れた状態で圧力容器に装入した後、
前記スラグ容器に入れた前記製鋼スラグを、スラグ容器に設けた攪拌羽根でスラグ昇温時に攪拌してスラグ層内部の低温部を表層部に露出させ、付着している凝縮水を滴下しやすい状態にして滴下除去し、表面に出てきた低温スラグを水蒸気と熱交換させてスラグ全体の温度を均一に上げた後、0.1MPa以上、1.96MPa以下の圧力雰囲気下で保持してエージングを行い
その後、圧力容器を大気圧まで減圧してスラグを排出することを特徴とする製鋼スラグのエージング方法である。
第2の発明は、スラグ層中心部の低温部分を攪拌して表面に露出させることで保水していた凝縮水を滴下除去し、低温スラグの蒸気による凝縮熱伝達を可能にし、均一なエージングを行うものである。攪拌羽根の駆動は、スラグ容器の回転軸中心に攪拌機の回転軸を配置し、その端部を圧力容器外部と軸によって連通させることで、容器外部より行うことができる。また、圧力容器内である期間昇温した後に圧力容器外にスラグ容器を出し、大気雰囲気下で攪拌しても良い。
すなわち、本発明は、粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した粉の割合の多い製鋼スラグを、次の(1)〜(6)の方法を単独使用する又は組み合わせることで、従来、圧力容器で効果的にできなかったエージングが可能になった。
(1)大気圧雰囲気下で事前に昇温し蒸気エージングする。
(2)昇温時に所定の必要量の水蒸気が入ったことを確認した後、圧力保持工程に入る。
(3)スラグ層中心部と表層部との間に圧力差を設けスラグ層中心部から凝縮水や水蒸気を圧力容器外に抽出し、蒸気を常時通気する。
(4)スラグ層中心部と表層部との間に圧力差を設けスラグ層中心部からから蒸気を供給し蒸気を常時通気する。
(5)スラグを予め、概ね100℃以上でかつ圧力容器内圧力に相当する蒸気の飽和温度未満に加熱した後で、圧力容器内において所定圧力雰囲気で保持する。
(6)圧力容器内又は圧力容器外でスラグ容器内スラグを攪拌し、中心部の低温スラグを表層に出す。
また、本発明によれば、圧力容器内で蒸気ドレン(凝縮水)が大幅に減少、若しくは無くなるので、ドレンによる排水配管の詰まり、圧力容器シール部分の汚れなどの悪影響も解消される。
更には、高温燃焼排ガスを用いる場合は、CO2による炭酸化エージングも行えることになり、より確実なエージングが行える。また更に、熱風製造時に高温スラグの顕熱を空気で回収し、熱風を製造することで、省エネルギーを図ることもできる。
上記請求項1〜5の発明方法を実施する形態を、図4〜図7 に示す。
図4は、スラグ・スラグ容器搬入搬出装置3上の、例えば45トンの製鋼スラグ4を装入された一方のスラグ容器1が、圧力容器2に装入されたもう一方のスラグ容器1内の製鋼スラグ4のエージングが完了するのを待っている状態を示した図である。この待機時間(1時間程度)を利用して、大気圧雰囲気下で、一方のスラグ容器1内のスラグ層の中心部から水蒸気を供給してエージングを行う。なお、図4中の9はストレーナー、10はスチームトラップを示す。
次に、大気圧雰囲気下でのエージングを完了した製鋼スラグ4を装入した一方のスラグ容器1を圧力容器2に装入して昇温する過程で、例えば図5に示した減圧、昇圧パターンで、前記製鋼スラグ4を0.5MPa、158℃の飽和温度まで上げるために必要な、約4.5トンの水蒸気が入るように操作する。
前記図5に示した減圧、昇圧パターンの減圧レベルは特に限定されないが、減圧レベルを低くすると蒸気の通気が容易になる反面、減圧、昇圧に要する時間が長くなるという欠点がある。なお、図5に示したエアー抜きは、製鋼スラグを圧力容器内に装入する際に侵入する圧力容器内の初期エアーを抜いて、製鋼スラグの周辺雰囲気の大気分圧を無くし、蒸気のみにしてエージング効果を上げるための操作である。
前記4.5トンの水蒸気量は、製鋼スラグの比熱と昇温温度までの温度差で、以下のように簡単に計算でき、流量計で測っておけば、次の圧力保持工程に移ってよいかのシーケンス的判断が可能となる。
例えば、エージングに必要な熱量Qは、製鋼スラグの重量をW1、製鋼スラグの比熱をC1、製鋼スラグの昇温温度差を(T2−T1)℃、スラグ容器等の金物の重量をW2、スラグ容器等の金物の比熱をC2、スラグ容器等の金物の昇温温度差を(t2−t1)℃とした場合、Q=W1×C1×(T2−T1)+W2×C2×(t2−t1)で求められる。
そして、エージングに必要な水蒸気量w(kg)は、「w(kg)=Q/蒸気エンタルピ差」で定義できるので、45トンの製鋼スラグ(水分を含む)を常温から158℃まで加熱するには、概ね、4.2トン+金物0.3トン=4.5トンの水蒸気量が必要となる。
このようにエージングに十分な水蒸気量を供給した後に、例えば0.5MPaで圧力保持を行う。また、昇温開始と同時に、請求項4の発明では、図4中のスラグ容器1内の製鋼スラグ4の中心部の凝縮水、水蒸気を圧力容器2外へ抽出して強制的に水蒸気の流通を可能にし、圧力容器2の減圧、開放までの間、水蒸気を系外へ放出し続ける。なお、水蒸気の放出期間は、スラグの性状によっては、エージング完了まで行わなくても、途中で中断しても良い。
前記圧力保持工程での保持圧力は、図5に示したように、減圧・昇圧時の最高圧力(保持圧力1)より少し低めの保持圧力2で維持しても良いが、図5に想像線で示すように、保持圧力1で維持しても良い。
図6は、待機位置において、スラグ容器1内の製鋼スラグ4を大気圧下でエージングしている状態を示す模式図である。
請求項1、請求項2又は3、請求項5の発明では、スラグ層4aの中心部に配置された水蒸気供給配管6から高圧の水蒸気が供給され、スラグ表層の大気圧に向かって圧力差で蒸気流通が図られるため、均一な昇温が行える。
すなわち、スラグ容器1内の製鋼スラグ4の中心部から供給される水蒸気は、スラグ表層に向かって流れようとするが、ミクロ的には蒸気流路が凝縮水によって遮断され、その部分を回避するような流れを次々に作って表層に達することで、均一な昇温が可能となる。
一方、請求項4の発明では、前記水蒸気供給配管6は、図7に示すように、圧力容器2内から水蒸気、凝縮水を逃がす圧力逃がし配管7として使用する。この場合、圧力容器2に装入したスラグ容器1内の製鋼スラグ4の中心部に圧力逃がし配管7が配置されているため、スラグ表層から圧力逃がし配管7に向かって、図6と同様な流れとなって水蒸気が流れることになり、均一な昇温とエージングが可能となる。
前記の発明に使用するスラグ容器1の容器面には、水蒸気がスラグ表層の全方向から入れる、又は放出できるようにスリット孔等を設けてもよい。
図8は、従来方法における圧力容器2に装入したスラグ容器1内の製鋼スラグ4を流れる水蒸気を表したものである。従来方法では、スラグ層4aに水膜が形成される(図8の網目部分)などによりスラグ層4aの中心部とスラグ表層部との間で圧力が均衡し、水蒸気がスラグ層4aの中心部に入ろうとする駆動力が働かなくなるので、エージング反応が進まない問題があった。
図9は、請求項6、請求項7の発明の実施形態を説明する図で、請求項7の発明では、予め、大気圧雰囲気化で蒸気式空気加熱器8により加熱した大気を、スラグ容器1内の製鋼スラグ4の中心部に供給して製鋼スラグ4を加熱した後、圧力容器2内で圧力保持を行うものである。
一方、請求項6の発明では、圧力容器2に装入したスラグ容器1の中心部に加熱された空気を供給するものであり、加熱後、水蒸気を供給し始める形態である。なお、加熱された空気に代えて燃焼排ガス等の高温排ガスを供給してもよい。
また、請求項9の発明は、図8で説明した従来方法に使用するスラグ容器に装入した製鋼スラグの中心部に高温物体を装入し、スラグ層の中心部を高温にすることにより、従来、中心部に凝縮する水を無くすことで水蒸気を通りやすくするものである。
前記高温物体の装入に際し、スラグ全体を保持圧力の飽和温度まで昇温できるほどの高温物体を装入することは、スラグ処理量を減らすことになって経済的でないため、必要熱量の概ね1/2〜1/5程度の熱量を有する高温物体を装入することが望ましい。それによって、必要以上に高温にせず、かつ、乾燥状態となることを防ぐことになって、エージングに必要な環境を整えることが可能になる。
製鋼スラグは、製鋼工程から排出される際は高温の溶融スラグである。従って、請求項10の発明では、破砕・整粒過程が完了してスラグ容器に装入する時の温度が、概ね100℃以上で、かつ、圧力保持温度未満の温度となるように、溶融スラグの冷却固化から破砕整粒工程完了までの温度管理を行い、加圧式エージング処理を行うものである。
請求項10の発明では、圧力容器内で圧力維持する温度未満まで前記製鋼スラグの温度を冷却した後、圧力容器に入れて加圧昇温するので、圧力容器内では凝縮水が必ず生成している。しかしながら、生成する凝縮水の量は少なく、蒸気流通を妨げるほどにならないので、均一なエージングが可能となる。
図10は、前記請求項1〜請求項10の発明に適用可能なスラグ容器の説明図である。前記請求項1〜請求項10の発明を実施する場合には、事前昇温のスラグ温度から保持圧力に相当する温度まで蒸気で加熱することになるので、発生したドレンを効率よくスラグ層内部から抜き出すためのドレンパイプ1aを設置したものである。
このドレンパイプを設置したスラグ容器を採用すれば、スラグ層の中心部から効率よくドレンを排出できるとともに、スラグ層の中心部へ蒸気を供給する供給管も兼ねることになり、効率的にエージングが行われる。このドレンパイプを設置したスラグ容器は、従来方法に適用してもスラグの中心部からのドレン排出とスラグ中心部への蒸気供給の効果がある。
図11(a)は、内部に攪拌羽根1bを配置したスラグ容器1を示した図である。このスラグ容器1を採用した場合は、圧力容器に装入したスラグ容器内の、粒径が40mm以下のものが80質量%以上の製鋼スラグ層の中心部のスラグを、攪拌羽根1bの回転により表面に出し、水蒸気と熱交換させてスラグ全体を昇温することができる。その後は、0.1MPa以上、1.96MPa以下の圧力雰囲気下で所定時間以上保持することで均一なエージングが可能になる。なお、攪拌羽根1bの形状は、図11(b)に示すパドル状や、図11(c)に示すリボン状など、スラグの性状によって選択すれば良い。
以上説明した発明方法を実施することで、従来方法ではエージングが完了しなかった、規定粒度範囲の中で、細かい粒度側に偏っている製鋼スラグであっても、均一なエージングを行えるようになる。
例えば、請求項1の発明における大気圧エージングを1時間実施した後、請求項3の発明における圧力容器内での昇温過程で3回の減圧、昇圧を繰返し、0.5MPaの飽和蒸気圧で2時間保持しながら、スラグ容器の中心部から抽出配管を経由してドレンや水蒸気を圧力容器外へ抽出してエージング処理を行った結果、図12の通りの良好な結果が得られた。なお、図12には、図8で説明した従来方法による結果を併せて示している。
図12に示した水浸膨張率は、JIS規格に定められている測定方法によって測定したもので、80℃の温水中に浸したスラグを、その状態で1日6時間保持した後に歪ゲージで測定したスラグ膨張量を、10日間実施して測定した歪量である。
JIS規格では、路盤材の水浸膨張率の基準は1.5%以下であるが、未エージング品の水浸膨張率は8.0%であり、そのままでは路盤材に適用できない。これに対して、上記発明方法を実施した場合、2時間エージング品、4時間エージング品のいずれの場合も水浸膨張率は1.5%を下回っている。
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
例えば図5の例では、減圧と昇圧を3回繰り返すことによって、スラグ層内に形成した凝縮水による水膜等をスラグ層の中心部の内圧と圧力容器内の雰囲気の圧力差によって破壊して必要蒸気量を圧力容器内に入れているが、一回の昇温過程で必要蒸気量が入るのであれば減圧と昇圧を繰り返さなくても良い。
1 スラグ容器
1a ドレンパイプ
1b 攪拌羽根
2 圧力容器
4 製鋼スラグ
4a スラグ層
6 水蒸気供給配管
7 圧力逃がし配管
8 空気加熱機

Claims (12)

  1. 粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した製鋼スラグをスラグ容器に入れ、このスラグ容器に入れた前記製鋼スラグに、大気圧雰囲気下で、スラグ容器の内部に配置した水蒸気供給配管から、当該配管内で0.1MPa以上の圧力を有する水蒸気を吹き込み、
    その後、前記スラグ容器及び昇温された前記製鋼スラグを圧力容器内に装入して、圧力容器内に加圧水蒸気を供給することによって圧力容器内を0.1MPa以上、1.96MPa以下の圧力の水蒸気雰囲気に昇圧保持してエージングを行った後、
    圧力容器を大気圧まで減圧してスラグを排出することを特徴とする製鋼スラグのエージング方法。
  2. 粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した製鋼スラグをスラグ容器に入れて圧力容器に装入し、
    大気圧以上の圧力雰囲気下で圧力容器の中に0.1MPa以上、1.96MPa以下の圧力の水蒸気を吹き込んでスラグを昇温させる際に、スラグ昇温に必要な蒸気量を予め計算し、その必要蒸気量を供給した後に圧力維持の工程を行うことを特徴とする製鋼スラグのエージング方法。
  3. 前記予め計算された必要蒸気量を入れるため、昇温期間中に減圧、昇圧を繰返し行うことを特徴とする請求項2に記載の製鋼スラグのエージング方法。
  4. 粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した製鋼スラグをスラグ容器に入れた状態で圧力容器に装入して密閉した後、
    この圧力容器に水蒸気を供給して、スラグ容器の中心部に設けた圧力逃がし配管から水蒸気若しくは凝縮水を圧力容器外に逃がしながら、圧力容器内の圧力を0.1MPa以上、1.96MPa以下に保持してエージングを行い
    その後、圧力容器を大気圧まで減圧してスラグを排出することを特徴とする製鋼スラグのエージング方法。
  5. 粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した製鋼スラグをスラグ容器に入れた状態で圧力容器に装入して密閉した後、
    このスラグ容器の中心部に設けた蒸気供給配管から、圧力容器内の保持圧力を超える圧力の水蒸気を供給する際に、
    圧力容器で圧力容器内の水蒸気を外部に逃がしながら0.1MPa以上、1.96MPa以下の圧力雰囲気下で保持してエージングを行い
    その後、圧力容器を大気圧まで減圧してスラグを排出することを特徴とする製鋼スラグのエージング方法。
  6. 粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した製鋼スラグをスラグ容器に入れた状態で圧力容器に装入した後、
    この圧力容器を密閉した状態で、スラグ容器内のスラグ層の中に、熱風若しくは高温燃焼排ガスを供給しつつ排気しながら、前記製鋼スラグを100℃以上でかつ保持する圧力の水蒸気飽和温度未満に加熱した後、
    加圧水蒸気を供給することによって圧力容器内を昇圧し、圧力容器内の熱風を抜く工程後、圧力容器内を0.1MPa以上、1.96MPa以下の圧力の水蒸気雰囲気に保持してエージングを行い
    その後、圧力容器を大気圧まで減圧してスラグを排出することを特徴とする製鋼スラグのエージング方法。
  7. 粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した製鋼スラグをスラグ容器に装入して、スラグ容器内のスラグ層の中に熱風若しくは高温燃焼排ガスを供給して、前記製鋼スラグを100℃以上でかつ保持する圧力の水蒸気飽和温度未満に加熱した後、
    前記製鋼スラグを入れたスラグ容器を圧力容器に装入し、加圧蒸気を供給することによって圧力容器内を昇圧し、大気を抜く工程後、圧力容器内を0.1MPa以上、1.96MPa以下の圧力の水蒸気雰囲気に保持してエージングを行い
    その後、圧力容器を大気圧まで減圧してスラグを排出することを特徴とする製鋼スラグのエージング方法。
  8. 前記熱風は、圧力容器に用いる水蒸気を空気と熱交換して製造したものであることを特徴とする請求項6又は7に記載の製鋼スラグのエージング方法。
  9. 粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した常温の製鋼スラグをスラグ容器に装入する際に、スラグ容器内のスラグ堆積層中に200℃〜800℃の高温物体を装入し、その他の部分に、常温の製鋼スラグを装入した後、
    このスラグ容器を圧力容器に装入し、加圧蒸気を供給することによって圧力容器内を昇圧し、
    空気を抜く工程後、圧力容器内を0.1MPa以上、1.96MPa以下の圧力の水蒸気雰囲気に保持して100℃以上で、かつ、保持圧力の水蒸気飽和温度未満の温度に昇温してエージングを行い
    その後、圧力容器を大気圧まで減圧してスラグを排出することを特徴とする製鋼スラグのエージング方法。
  10. 溶融状態から、100℃以上で、かつ圧力容器内で保持する圧力の水蒸気飽和温度未満に冷却された、粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるような製鋼スラグをスラグ容器に装入した状態で圧力容器に装入した後、
    この圧力容器内に加圧蒸気を供給することによって圧力容器内を昇圧し、
    圧力容器内の空気を抜く工程後、圧力容器内を0.1MPa以上、1.96MPa以下の圧力の水蒸気雰囲気に保持してエージングを行い
    その後、圧力容器を大気圧まで減圧してスラグを排出することを特徴とする製鋼スラグのエージング方法。
  11. 前記スラグ容器は、底部から熱風が通る複数の孔を有する管を、垂直に複数本立てていることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の製鋼スラグのエージング方法。
  12. 粒径が40mm以下のものが80質量%以上となるように破砕した製鋼スラグをスラグ容器に入れた状態で圧力容器に装入した後、
    前記スラグ容器に入れた前記製鋼スラグを、スラグ容器に設けた攪拌羽根でスラグ昇温時に攪拌してスラグ層内部の低温部を表層部に露出させ、付着している凝縮水を滴下しやすい状態にして滴下除去し、表面に出てきた低温スラグを水蒸気と熱交換させてスラグ全体の温度を均一に上げた後、0.1MPa以上、1.96MPa以下の圧力雰囲気下で保持してエージングを行い
    その後、圧力容器を大気圧まで減圧してスラグを排出することを特徴とする製鋼スラグのエージング方法。
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