JP4765535B2 - 製鋼スラグのエージング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、製鋼スラグのエージング方法に関するものであり、具体的には、転炉や電気炉等から排出される、未滓化石灰(フリーライム)や未滓化の酸化マグネシウム(フリーマグネシウム)を含有する製鋼スラグを、工業規模で水蒸気を利用して短時間で人工的に膨潤させ、道路用路盤材や海洋ブロック用骨材等へ適用可能とするための製鋼スラグのエージング方法に関する。
製鋼工程で発生する製鋼スラグには、脱燐剤や脱硫剤として使用される生石灰の一部が他の分子と完全に結合せずに未滓化石灰として存在するとともに、耐火物の中の酸化マグネシウムがスラグ中に溶出して生石灰と同様に未滓化の酸化マグネシウムとして存在する。このため、この製鋼スラグをこのまま路盤材として土中に埋設すると、経時的に水和反応を起こして膨張及び崩壊し、地盤隆起等の問題を生じる。また、海洋ブロックなどコンクリート骨材として利用する場合、スラグの膨張によりひび割れや表面剥離などの問題を生じる。そのため、土中への埋設前や生コンクリートへ投入前に膨張及び崩壊を完了させて製鋼スラグを路盤材や骨材等として安定的に使用するために、製鋼スラグに対してエージングが行われる。
製鋼スラグのエージングは、一般的に、図1に示すような野積み式大気圧蒸気エージングにより行われる。野積み式大気圧蒸気エージングは、露天のヤード1に製鋼スラグ2を野積みし、その床から蒸気を供給することにより概ね100℃以下の雰囲気でエージングする。しかし、野積み式大気圧蒸気エージングでは、処理期間の短縮や処理効果の向上を図ることが難しく、十分な効果は得られない。また、野積みしたまま自然の風雨に曝すことで充分にエージングするには2年以上もの長期間にわたって暴露する必要があり、工業規模で有効な方法であるとは言い難い。
そこで、これまでにも製鋼スラグのエージングに関する発明が種々開示されている。本出願人の一部も、先に特許文献1により、粒径25mm以下のものが80%以上となるように破砕した常温の製鋼スラグを圧力容器に装入し、この圧力容器内で2〜10kg/cmGの圧力の飽和水蒸気雰囲気に1〜5時間曝すことによって製鋼スラグのエージングを促進する発明を開示した。
この特許文献1には、圧力容器内を2〜10kg/cmGの圧力の飽和水蒸気雰囲気に5時間以内で保持する際に、圧力容器の内部の圧力を一時的に低下させる操作を1回又は2回以上繰り返して行うことにより、水浸膨張率をさらに低下する発明も開示した。
特開平8−165151号公報
しかし、特許文献1により開示されたエージング方法では、特にMgOを多量に含む電気炉スラグの場合にエージング反応が十分に完了せず、路盤材のJIS規格である水浸膨張試験における水浸膨張率:1.5%以下を達成できないことがある。
また、特許文献1により開示されたエージング方法により、圧力容器内の圧力を一時的に低下させる操作を1回又は2回以上繰り返し行っても、製鋼スラグの種類によっては水浸膨張率1.5%以内を達成できないことがある。
さらに、圧力容器内を2〜10kg/cmGの圧力の飽和水蒸気雰囲気に保持する1〜5時間までの間に減圧及び昇圧を行い得る回数は実際には2回程度であり、全エージング時間に対して減圧や昇圧に要する時間が占める割合が比較的大きくなるので、このような観点からも水浸膨張率を充分に低下できない。
本発明は、このような従来の技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、転炉や電気炉等から排出される、未滓化石灰や未滓化の酸化マグネシウムを含有する製鋼スラグを、工業規模で水蒸気を利用して短時間で人工的に膨潤させ、道路用路盤材や海洋ブロック用骨材等へ適用可能とするためのスラグのエージング方法を提供することを目的とする。
本発明は、粒径40mm以下のものが80%以上となるように破砕した、未滓化石灰及び未滓化酸化マグネシウムを含有する製鋼スラグを圧力容器に装入し、圧力容器を密閉して内部に加圧水蒸気を供給して圧力容器及び製鋼スラグを加熱することによって凝縮する熱水を排出しながら圧力容器の内部を昇温及び昇圧し、次いで圧力容器の内部を2kg/cmG以上10kg/cmG以下の圧力の飽和水蒸気雰囲気に5時間以上保持した後、圧力容器の内部を大気圧まで減圧して製鋼スラグを排出すること、及び、圧力容器の内部を2〜10kg/cm Gの圧力の飽和水蒸気雰囲気に5時間以上保持する工程において、容器内圧力を一時的に低下させる前の圧力の50%以下に低下させる操作を、1回以上行うことを特徴とする製鋼スラグのエージング方法である。
この本発明に係る製鋼スラグのエージング方法によってエージングされた製鋼スラグを野積みして自然の気候に曝すことにより製鋼スラグの膨張反応を促進することが、望ましい。
さらに、これらの本発明に係る製鋼スラグのエージング方法では、製鋼スラグが電気炉スラグであることが例示される。
本発明により、転炉や電気炉等から排出される、未滓化石灰や未滓化の酸化マグネシウムを含有する製鋼スラグを、工業規模で水蒸気を利用して短時間で人工的に膨潤させ、道路用路盤材や海洋ブロック用骨材等へ適用可能とするためのスラグのエージング方法を提供することが可能となる。
具体的には、本発明により、特に未滓化石灰と、未滓化酸化マグネシウムとが同時に存在する常温の電気炉スラグを、粒径40mm以下のものが80%以上となるように破砕して5kg/cmGの飽和水蒸気雰囲気で加圧蒸気エージングし、5時間以上保持することにより、従来は不可能であった路盤材への利用が可能となる。
また、本発明により、電気炉スラグの野積み方式の蒸気エージングの際に要していた10日間以上のエージング時間を、5時間以上、好ましくは16時間程度に短縮でき、エージングに必要な敷地面積の縮小や作業の簡素化を図ることができる。
また、圧力保持工程で減圧及び昇圧を1回又は2回以上繰り返して行うことにより、エージング反応速度をさらに高めて、16時間連続して一定の圧力でエージングを行う方法に比較して約半分のエージング時間でエージングを完了することが可能となり、これにより、装置の処理能力を向上できる。
さらに、加圧式蒸気エージングをした後に野積みして自然エージングすることにより、単なる自然エージングより数十倍、大気圧蒸気エージングより数倍の速度で行うことができるようになり、これにより、1〜0.5%程度まで水浸膨張率が下がった製鋼スラグを、さらに低い水浸膨張率にすることができ、工業規模でコンクリート構造体の骨材として利用できるようになる。
以下、本発明に係る製鋼スラグのエージング方法を実施するための最良の形態を、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、以降の説明では、スラグが、未滓化石灰や未滓化の酸化マグネシウムを含有する製鋼スラグである場合を例にとる。
本実施の形態では、以下に列記する工程A〜Cを経て製鋼スラグのエージングを行う。そこで、工程A〜Cについて分説する。
(工程A)
工程Aでは、粒径40mm以下のものが80%以上となるように破砕した製鋼スラグを圧力容器に装入し、圧力容器を密閉して内部に加圧水蒸気を供給して圧力容器及び製鋼スラグを加熱することによって凝縮する熱水を排出しながら,圧力容器の内部を昇温及び昇圧する。
破砕する製鋼スラグの粒度は、粒径40mm以下のものが80%以上となるようにする。傾向的には、粒径が細かいほど比表面積が大きくなり反応面積が大きくなることから、反応速度を速めるためには好ましいものの、エージング中に水和反応により崩壊して粒径が細かくなる分については予め大きくしておく必要もある。しかし、粒径が40mm以上の大きさになると、1つの粒子の内部に未反応部分が残る可能性が大きくなり、エージング後の製鋼スラグが経年変化で膨張する恐れを生じるため、好ましくない。
製鋼スラグをこのような粒度に破砕するには、周知慣用のスラグ破砕・篩い設備を用いて行うことが例示される。
このように破砕した製鋼スラグを圧力容器に装入し、圧力容器を密閉してその内部に加圧水蒸気を供給して容器及び製鋼スラグを加熱することによって凝縮した熱水を排出しながら、圧力容器の内部を昇温及び昇圧する。この工程は、例えば特許文献1により開示された加圧式蒸気エージング装置を用いて行うことが例示される。
図2は、この加圧式蒸気エージング装置3の概略の構成を模式的に示す説明図である。同図に示すように、加圧式蒸気エージング装置3は、排気装置4a、開閉蓋4b及びドレーン弁(図示しない)を備える圧力容器4と、圧力容器4の内部に加圧水蒸気を供給するための加圧水蒸気供給系5と、開閉蓋4bを介して製鋼スラグ6aを搭載するスラグ容器6を圧力容器4の内部へ搬入又は搬出するための搬入搬出装置7とから構成される。
搬入搬出装置7によりスラグ容器6に搭載された製鋼スラグ6aを圧力容器4の内部へ搬入し、開閉蓋4bを閉じて蒸気供給系5により圧力容器4の内部へ加圧水蒸気を供給して圧力容器4及び製鋼スラグ6aを加熱する。これにより、凝縮する熱水をドレーン弁から排出しながら圧力容器4の内部を昇温及び昇圧することにより、製鋼スラグ6aを加圧しながらエージングする。この加圧式蒸気エージング装置3は、当業者にとっては周知であるので、これ以上の説明は省略する。
工程Aは以上のようにして行われる。
(工程B)
次いで工程Bでは、圧力容器の内部を2kg/cmG以上10kg/cmG以下の圧力の飽和水蒸気雰囲気に5時間以上保持した後、圧力容器の内部を大気圧まで減圧して製鋼スラグを排出することによって、製鋼スラグをエージングする。
圧力容器の内部を2kg/cmG以上10kg/cmG以下の圧力の飽和水蒸気雰囲気に5時間以上保持する理由は、10kg/cmG以上の圧力でも反応速度を速めることは技術的にもちろん可能であるものの、設備的に大掛かりなものになることや設備の維持管理に厳しい対応をしなければならないこと等から、現実的ではないからである。
容器内を2〜10kg/cmGの圧力の飽和水蒸気雰囲気に5時間以上保持する工程も、上述した特許文献1により開示された加圧式蒸気エージング装置3を用いて行なうことができ、圧力、温度の保持時間中に減圧を行なうことによって達成できる。
また、5時間以上のエージング時間を確保することによって路盤材JIS規格の水浸膨張率を満足させることができる。未滓化石灰と未滓化酸化マグネシウムとが同時に内部に存在する製鋼スラグでは、水和反応が著しく遅くなる傾向がある。この製鋼スラグは、エージング時間が5時間以内の従来のエージング方法によってもその水浸膨張率を1.5%以下に低下することは不可能であったが、エージング時間を5時間以上、好ましくは16時間程度確保することによって、水浸膨張率を1.5%以下に低下することが可能になる。もちろん、膨張の主たる要因となる未滓化石灰、未滓化酸化マグネシウムの含有量の変化に対応するためにエージング後の水浸膨張率を測ることによってその必要時間は任意に調整することが可能である。
ここで、圧力容器の内部を2kg/cmG以上10kg/cmG以下の圧力の飽和水蒸気雰囲気に5時間以上保持する際に、圧力容器の内部の圧力を一時的に低下させる前の圧力の50%以下に低下させる操作を、1回以上行うことにより、特にこの操作による効果が顕著に発現するため、望ましい。
この操作によるエージング反応への効果を説明する。常温の製鋼スラグを圧力容器に装入して飽和水蒸気を供給して製鋼スラグを昇温していく際に発生する凝縮水は、ドレーンとして殆んどの水は滴下して圧力容器から排出されるが、製鋼スラグの粒子の表面に付着している凝縮水は滴下せずにその表面を覆った状態で存在する。圧力容器の内部を2kg/cmG以上10kg/cmG以下の圧力の飽和水蒸気雰囲気に5時間以上保持する工程、すなわち温度圧力が一定の値に達して保持する工程に入ってもこの状態は変わらず、濡れた状態でエージング反応が進行する。したがって、この付着水を減圧によって乾かすことにより気体状態の水蒸気が製鋼スラグに直接接触することとなり、エージング反応が著しく速くなる。
また、製鋼スラグは多くの気孔を有しており、この中に含んでいる水分が減圧によって蒸発して体積膨張して粒子の外部へ放出される際に、粒子間隙を広げたり破壊する効果がある。このため、粒子の中心部が蒸気に曝され易くなるのでエージング速度が高まる。特に5時間以上の長時間エージングを行う場合には、圧力容器の内部の圧力を一時的に低下させる前の圧力の50%以下に低下させる操作を、複数回繰り返すことができるため、その効果を著しく発現させることができる。
(工程C)
このようにして、エージングされた製鋼スラグを野積みして自然の気候に曝すことにより製鋼スラグの膨張反応を促進する。すなわち、(a)2kg/cmG以上10kg/cmG以下の圧力の飽和水蒸気雰囲気に5時間以上保持して得られた製鋼スラグ、若しくは、(b)2kg/cmG以上10kg/cmG以下の圧力の飽和水蒸気雰囲気に5時間以上保持し、圧力保持期間内に複数回の減圧工程を経て得られた製鋼スラグを野積みし、自然の風雨に数日から数ヶ月曝すことにより、膨張反応をさらに促進することができる。
図3は、1、3、5kg/cmGの圧力の飽和水蒸気雰囲気に5時間以上保持してから野積みして自然の風雨に数日間から数ヶ月間曝して得られた製鋼スラグの水浸膨張率と、自然エージングのみにより得られた製鋼スラグの水浸膨張率との関係を示すグラフである。
同図にグラフで示すように、0.4%から0.3%まで水浸膨張率を低下させる膨張反応速度に関して、蒸気による加圧エージングを行った後に自然エージングを行うと、蒸気による加圧エージングをせずに自然エージングを行う場合に比べて、数十倍の速度でエージング反応が行われる。特に水浸膨張率が0.5%以下となった製鋼スラグをさらに低い水浸膨張率にするには特に長い時間が必要であり、自然エージング方法や野積み式エージング方法が所定の水浸膨張率以下にするために長い時間が必要な理由はここにある。
飽和蒸気による加圧エージングでも所定の水浸膨張率まで下がらなかった場合にも、野積み式で自然エージングすると、数日間から3ヶ月間程度で膨張反応が進行し、路盤材料やコンクリートブロック用骨材製品として販売できるものとなる。
この理由は、加圧蒸気エージングした際にスラグに微細なひび割れが生じて単位重量あたりの比表面積が大きくなって反応面積が増加し、エージング反応し易くなったためと考えられる。
このようにして、本実施の形態により、転炉や電気炉等から排出される、未滓化石灰や未滓化の酸化マグネシウムを含有する製鋼スラグを、工業規模で水蒸気を利用して短時間で人工的に膨潤させ、道路用路盤材や海洋ブロック用骨材等へ適用可能とするためのスラグのエージング方法を提供することが可能となる。
具体的には、本発明により、特に、未滓化石灰と未滓化酸化マグネシウムとが同時に存在する常温の電気炉スラグを、粒径40mm以下のものが80%以上となるように破砕して5kg/cmGの飽和水蒸気雰囲気で加圧蒸気エージングし、5時間以上保持することにより、電気炉スラグを、従来は適用できなかった路盤材として利用することが可能となる。一方、電気炉スラグの野積み方式の蒸気エージングの際に要していた10日間以上のエージング時間を、5時間以上、好ましくは16時間程度に短縮でき、エージングに必要な敷地面積の縮小や作業の簡素化を図ることができる。
また、圧力保持工程で減圧及び昇圧を1回以上行なうことにより、さらにエージング反応の速度を高めることができる。16時間連続してエージングを行う方法に比較して途中で減圧を行うパターンでは、約半分のエージング時間でエージングを完了することが可能となり、装置の処理能力を向上できる。
さらに、加圧式蒸気エージングをした後に野積みして自然エージングすることにより、1〜0.5%程度まで水浸膨張率が下がったスラグをさらに低い水浸膨張率にすることができ、コンクリート構造体の骨材として利用できるようになる。水浸膨張率をさらに低くするところの反応速度は、単なる自然エージングより数十倍、大気圧蒸気エージングより数倍の速度で行うことができるようになり、工業規模で骨材として生産することができるようになる。
さらに、本発明を実施例を参照しながら詳細に説明する。
表1には、転炉又は電気炉より排出される、未滓化石灰及び未滓化の酸化マグネシウムを含有する転炉系製鋼スラグ又は電気炉系製鋼スラグの成分をまとめて示す。
Figure 0004765535
表1のNo.(1)の転炉系製鋼スラグは、高炉−転炉系の製鋼スラグであり、特許文献1に記載された方法及び装置によりエージングすることは可能であるが、MgOの量や粒度によって水浸膨張率が高い場合がある。また、No.(2)の電気炉系スラグはスクラップ−電気炉系のスラグである。この電気炉系スラグのようにMgOを多量に含有するスラグはその水和反応が遅いためにエージング時間が長時間必要となることが周知である。
そして、No.(2)の常温の電気炉系スラグを、粒径40mm以下のものが80%以上となるように、破砕して5kg/cmGの飽和水蒸気雰囲気で加圧蒸気エージングし、従来の2時間エージングした2時間連続エージング品、4時間エージングした4時間連続エージング品(比較例)と、時間を延長して16時間連続エージングした16時間連続エージング品(参考例)と、3時間毎に減圧・昇圧を4回繰り返して15時間エージングした途中減圧4回実施15時間連続エージング品(本発明例)と、加圧蒸気エージングしなかった未エージング品とのそれぞれについて、水浸膨張率の違いを調査した。結果を図4にグラフにまとめて示す。また、途中減圧4回実施15時間連続エージング品(本発明例)のエージングタイムチャートを図5にグラフで示す。
水浸膨張率の測定方法は、JIS規格に定められている方法にしたがって80℃の温水中に製鋼スラグを浸し、1日6時間その状態で保持してスラグ膨張量を歪ゲージで測定することを、10日間行って歪量を測定した。
なお、未エージング品の水浸膨張率は、路盤材のJIS規格で1.5%以下の基準に対し2.0%であり、そのままでは路盤材に適用できない。
図4にグラフで示すように、2時間連続エージング品、4時間連続エージング品のいずれでも1.5%を下回る水浸膨張率が得られるが、スラグの成分や品質のばらつきによる変動を考慮すると、水浸膨張率はその1/3の0.5%程度に管理する必要があり、2時間連続エージング品、4時間連続エージング品では全てのスラグに対して所望の品質を管理できない。
これに対し、途中減圧4回実施15時間連続エージング品は0.5%以下の水浸膨張率が得られており、全てのスラグに対して所望の品質を管理できることがわかる。このことから、5時間以上の長時間エージングの効果、及び長時間エージングの際に圧力保持工程で途中減圧工程を付加することの効果が確認された。
また、表1におけるNo.(2)の電気炉系スラグに図4のグラフに示す加圧蒸気エージングで行ったスラグを野積みし、加圧蒸気エージング後の自然エージング経過日数と水浸膨張率との関係を調査した。結果を、図6にグラフにまとめて示すとともに表2に示す。
Figure 0004765535
図6及び表2に示すように、近似曲線で示す膨張率の低下速度は、加圧式蒸気エージングをせずに自然エージングのみの場合に比べて、64倍の速度で反応が進行することがわかる。
電気炉スラグを、粒径40mm以下のものが80%以上となるように破砕し、小型オートクレープを用いて、図7(a)又は図7(b)に示す蒸気加圧パターン1、2で表3に示す条件で加圧蒸気エージングした。そして、得られた処理品について、JIS80℃×10日法により水浸膨張率の違いを調査した。結果を表3にまとめて示す。
Figure 0004765535
表3に示すように、図7(a)に示す蒸気加圧パターン2(連続加圧養生)によるよりも、図7(b)に示す蒸気加圧パターン1(加圧・減圧養生)により加圧蒸気エージングを行うことにより、電気炉スラグの水浸膨張率を顕著に低減することができることが分かる。その程度は、膨張率は途中減圧の圧力が低いほど、言い換えると減圧幅が大きいほどその効果が大きくなっていた。連続加圧スラグをベースに水浸膨張率を比較すると概ね1/2以下となっている50%以下の減圧が望ましい結果となった。
製鋼スラグのエージングとして一般的な野積み式大気圧蒸気エージングを示す説明図である。 加圧式蒸気エージング装置の概略の構成を模式的に示す説明図である。 1、3、5kg/cmGの圧力の飽和水蒸気雰囲気に5時間以上保持してから野積みして自然の風雨に数日間から数ヶ月間曝して得られた製鋼スラグの水浸膨張率と、自然エージングのみにより得られた製鋼スラグの水浸膨張率との関係を示すグラフである。 実施例1におけるエージング時間と水浸膨張率との関係を示すグラフである。 途中減圧4回実施15時間連続エージング品(本発明例)のエージングタイムチャートを示すグラフである。 加圧蒸気エージング後の自然エージング経過日数と水浸膨張率との関係を示すグラフである。 実施例2における蒸気加圧パターンを示すグラフである。

Claims (3)

  1. 粒径40mm以下のものが80%以上となるように破砕した、未滓化石灰及び未滓化酸化マグネシウムを含有する製鋼スラグを圧力容器に装入し、該圧力容器を密閉して内部に加圧水蒸気を供給して前記圧力容器及び前記製鋼スラグを加熱することによって凝縮する熱水を排出しながら前記圧力容器の内部を昇温及び昇圧し、次いで該圧力容器の内部を2〜10kg/cmGの圧力の飽和水蒸気雰囲気に5時間以上保持した後、該圧力容器の内部を大気圧まで減圧して製鋼スラグを排出すること、及び、前記圧力容器の内部を2〜10kg/cm Gの圧力の飽和水蒸気雰囲気に5時間以上保持する工程において、該容器内圧力を一時的に低下させる前の圧力の50%以下に低下させる操作を、1回以上行うことを特徴とする製鋼スラグのエージング方法。
  2. 請求項1に記載された製鋼スラグのエージング法によってエージングされた製鋼スラグを野積みして自然の気候に曝すことにより製鋼スラグの膨張反応を促進することを特徴とする製鋼スラグのエージング方法。
  3. 前記製鋼スラグが電気炉スラグである請求項1又は請求項2に記載された製鋼スラグのエージング方法。
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