JP2008214150A - 粉状製鋼スラグの安定化処理方法および安定化製鋼スラグ - Google Patents

粉状製鋼スラグの安定化処理方法および安定化製鋼スラグ Download PDF

Info

Publication number
JP2008214150A
JP2008214150A JP2007055844A JP2007055844A JP2008214150A JP 2008214150 A JP2008214150 A JP 2008214150A JP 2007055844 A JP2007055844 A JP 2007055844A JP 2007055844 A JP2007055844 A JP 2007055844A JP 2008214150 A JP2008214150 A JP 2008214150A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
slag
mass
less
particle size
carbon dioxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007055844A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4994891B2 (ja
Inventor
Ryuji Nakao
隆二 中尾
Mamoru Yamada
衛 山田
Shogo Matsumura
省吾 松村
Naoto Tsutsumi
直人 堤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Stainless Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel and Sumikin Stainless Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumikin Stainless Steel Corp filed Critical Nippon Steel and Sumikin Stainless Steel Corp
Priority to JP2007055844A priority Critical patent/JP4994891B2/ja
Publication of JP2008214150A publication Critical patent/JP2008214150A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4994891B2 publication Critical patent/JP4994891B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B5/00Treatment of  metallurgical  slag ; Artificial stone from molten  metallurgical  slag 
    • C04B5/06Ingredients, other than water, added to the molten slag or to the granulating medium or before remelting; Treatment with gases or gas generating compounds, e.g. to obtain porous slag

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)
  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
  • Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)

Abstract

【課題】高膨張性を有する粉状の製鋼スラグの低膨張化をはかる安定化処理方法を提供する。
【解決手段】粒径1mm以下を60質量%以上含み、体積膨張率が3%以上の粉状の製鋼スラグについて、その含有水分量を10質量%以上25質量%以下に調整し、炭酸ガス純分量でスラグ1トン当たり、5Nm3/Hr以上100Nm3/Hr以下の炭酸ガスを含有するガスを供給して、5時間以上保持する。これにより、体積膨張率が1.5%以下を達成し、粉状スラグの自然砂あるいは砕砂等の土木用資材の代替使用を可能にする。
【選択図】図1

Description

本発明は、製鉄所などで発生する製鋼スラグ、その中でも、ステンレス鋼の精錬スラグなどにおいて、粉状のスラグを多量に含有するために通常の蒸気エージング処理などが困難で、かつ長期間にわたって膨張挙動を示すスラグの低膨張化をはかる安定化処理方法に関する。
製鉄所などで、ステンレス鋼のAOD炉あるいはVOD炉などの精錬炉から発生する製鋼スラグは、精錬処理中に完全に溶融しきれない成分あるいは精錬後冷却時に晶出する成分を含有する。これらの成分の中で、CaOやMgO等の水和性成分(以降、遊離CaO、遊離MgOと称する)が水分と接触して水和する際に、体積が約2倍に増加することに起因するスラグの膨張現象を生じさせる。
また、これら製鋼スラグの一部には、凝固時にスラグ成分の変態に伴い粉化する性質を有することから、冷却後に微粉分のスラグを多量に含有するものがある。このような粉状のスラグは塊状のスラグに較べて遊離CaOや遊離MgOを多く含む場合が多く、その比表面積も大きいことから、水和反応が進行しやすく、その結果として激しい膨張現象を生じる。
このような製鋼スラグの膨張現象を抑えるために、その原因である遊離CaOや遊離MgOを減少させる処理方法として、大気雰囲気下に数ヶ月から数年、暴露させて十分に水和反応を進行させる「大気エージング」処理や、大気圧下または加圧下で強制的に水蒸気と反応させて水和反応を促進させる「蒸気エージング」処理や、「加圧エージング」処理が広く知られている。
しかしながら、「大気エージング」処理には大量に発生する製鋼スラグを処理するために、広大な処理場面積を必要とすると同時に、粉状のスラグは粉塵等の問題が発生し処理が難しいこと、さらに遊離CaOに比べると一般的に水和反応の遅い遊離MgOの水和処理を十分に行えないことといった問題点がある。
「蒸気エージング」処理は、「大気エージング」処理に比べれば、処理日数が数日間ないし十数日間と大幅に短縮できるものの、その処理には多量の水蒸気を要し処理コストが高くなる欠点がある。また、粉状のスラグでは水蒸気が透過しにくくなるために、装置内において均一に処理することが難しく、かつ遊離MgOの水和反応が遅いこととあいまって、塊状スラグに比べると安定な処理を行なうことは極めて困難である。さらに、「加圧エージング」処理は、専用の容器が必要なため処理設備コストが高く、その設備管理も難しく、多量のスラグ、とりわけ粉状スラグの処理に不向きである欠点を有する。
これらの一般的な処理法の欠点を解消し、製鋼スラグの膨張を抑制させる方法として、特許文献1に開示された方法や、特許文献2に開示された方法が示されている。
特許文献1による方法は、粒径5mm以下の粒子が50重量%以上占める粉粒状製鋼スラグと石膏を主原料とする混合物を成形し、80〜120℃の温水又はこれらと二酸化炭素の存在下でオートクレーブ養生して固化させる方法である。該方法は遊離CaOの水和化、炭酸化には非常に有効な方法であるが、固形物を形成させるために、処理後に粉粒状の製鋼スラグを得ることが難しく、また処理が煩雑であり、多量のスラグの処理には適さないという欠点がある。
特許文献2による方法は、転炉スラグと高炉スラグまたは脱硫スラグとを同一受滓鍋に受滓した溶融または半溶融状態のスラグを、ピットまたはヤードに放流し、その直後、該スラグを耕耘するものである。該方法は転炉スラグに、溶融状態または半溶融状態の塩基度の低いスラグを混合することで、遊離CaOの生成自体を抑える方法であるが、ステンレス鋼や電気炉での製造工程のように、製鋼スラグのみしか生成しない場合には処理自体が困難であり、また製造したスラグは塊状となり、粉状のスラグを得ることはできないという欠点がある。
一方、炭酸ガスを供給して製鋼スラグを安定させる方法として、特許文献3に開示された方法や、特許文献4に開示された方法のように、遊離CaOや遊離MgOを炭酸ガスを流すことにより、CaCO3やMgCO3を生成させ、安定化する方法が示されている。
特許文献3に開示された方法は、粒径40mm以下の塊状の製鋼スラグを先ず大気圧下において水蒸気雰囲気下でエージング処理して膨張性を安定化させた後、水蒸気と炭酸ガスの混合雰囲気下で1時間以上保持することで炭酸化させる方法である。
特許文献4に開示された方法は、大気雰囲気下、加圧雰囲気下または水蒸気雰囲気下でエージング処理が施された製鋼スラグに、自由水が存在し始める水分値未満で、かつ、該水分値よりも10質量%少ない値以上の範囲になるように添加する水分量を調整した後に、炭酸ガスを含有する相対湿度が75〜100%のガスを流す方法である。
これらに記載された方法では、スラグに含有された遊離CaOや遊離MgOは減少するが、とりわけ遊離MgOの水和に起因する長期膨張現象を充分に抑えるまでには至らないために、炭酸ガスを用いた処理を行う前に何らかのエージング処理を必要としている。
ここに述べた特許文献以外にも、種々の炭酸ガスを用いたスラグの安定化処理方法が開示されているが、いずれもスラグの固結の促進をはかる方法や、スラグから水へのアルカリ溶出によるpH上昇を抑える方法として用いられているだけであり、安定してスラグの低膨張化をはかる方法は開示されていない。
特開2000−327396号公報 特開平6−329451号公報 特開平8−259282号公報 特開2005−97076号公報
本発明の目的は、粉状の製鋼スラグは比較的多くの遊離CaOや遊離MgOを含むこと、炭酸ガスによる炭酸化物の生成反応は遊離CaOや遊離MgOの低減に有効であることに着目し、従来のエージング処理法では困難であった粉状の製鋼スラグについて、安定して低膨張化をはかる処理方法を得ることにある。
具体的には、従来、下記(1)、(3)式に示すエージング処理による水和反応と(2)、(4)式に示す炭酸ガスによる炭酸化反応は、異なるタイミングで行われており、時間がかかっていたが、本発明は、それを同時タイミングにて行うことで(1)式から(2)式への反応、および(3)式から(4)式の反応を逐次進行させ、効率化、省力化を図るものである。
CaO + H2O → Ca(OH)2 ・・・・・・・・・・(1)
Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2O ・・・(2)
MgO + H2O → Mg(OH)2 ・・・・・・・・・・(3)
Mg(OH)2 + CO2 → MgCO3 + H2O ・・・(4)
本発明者らは、冷却後に微粉分を多く含有する粉状の製鋼スラグ(以降、単に「粉状スラグ」と記載する場合がある。)の低膨張化をはかる炭酸化処理方法に及ぼす各種要因の把握に関して研究室レベルでの実験や机上検討を経て、工業的に安定処理を行うための現場での実機レベルでの実験を重ねて、以下の発明にて上記の課題が解決されるとの知見を得た。
第1の発明に係わる粉状製鋼スラグの安定化処理方法は、粒径1mm以下比率が60質量%以上の粒度分布であり、体積膨張率が3%以上の粉状の製鋼スラグについて、その含有水分量を10質量%以上25質量%以下に調整し、炭酸ガス純分量でスラグ1トン当たり、5Nm3/Hr以上100Nm3/Hr以下の炭酸ガス含有ガスを供給して、5時間以上保持することを特徴としている。
第2の発明に係わる粉状製鋼スラグの安定化処理方法は、第1の発明において、粒径が小さく、エージング処理の困難なスラグを処理することを特徴としている。
第3の発明に係わる粉状製鋼スラグの安定化処理方法は、第1の発明において、粒径1mm以下スラグの含有率に従い、炭酸ガス含有ガスの供給速度および供給時間を調整することを特徴としている。
第4の発明に係わる粉状製鋼スラグの安定化処理方法は、粒径1mm以下比率が60質量%以上の粒度分布であり、体積膨張率が3%以上の粉状の製鋼スラグについて、その含有水分量を炭酸水にて10質量%以上25質量%以下に調整し、炭酸ガス純分量でスラグ1トン当たり、5Nm3/Hr以上100Nm3/Hr以下の炭酸ガス含有ガスを供給して、5時間以上保持することを特徴としている。
第5の発明に係わる安定化製鋼スラグは、粒径1mm以下比率が60質量%以上の粒度分布であり、炭酸化処理により体積膨張率が1.5%以下であることを特徴としている。
本発明法によれば、粉状の製鋼スラグの低膨張化が、従来のエージング処理法のように長期間を必要とせず、常温の状態、かつ短時間の処理で安定して可能になる。また、処理に用いる炭酸ガス含有ガスは工場等から排出されるガス中の炭酸ガスを用いることができるので、工場から排出される温室効果ガスの排出抑制に貢献するといった、地球環境的な副次効果もある。
この安定化された粉状の製鋼スラグは、低膨張であると共に、遊離CaOや遊離MgOが溶出して地下水や河川、海水のpHを上昇させる問題を生じることはなく、粉状の特性を活かして自然砂の代替あるいは砕砂等の土木用資材としての使用が可能になる。また、他の骨材と混合使用することで、各種骨材や路盤材にも使用することが可能になる。
本発明者らは粉状の製鋼スラグの低膨張化をはかる効率的な安定化処理方法を開発するに当たり、炭酸化の反応速度に及ぼす種々要因の影響把握および炭酸化反応量と体積膨張率の関係を明確にするために、現場から採取したままの粉状の製鋼スラグ約5kgを用いて種々の条件下で炭酸化処理の実験を行い、処理後スラグの体積膨張率の測定を行った。ここで、体積膨張率の測定については、遊離MgOに起因する長期間の膨張量を把握するために、JIS A5015 附属書2で規定されている「道路用鉄鋼スラグの水浸膨張試験方法」に準じながらも、供試体の養生については、80℃で6時間保持を10日間繰り返しよりも一段と厳しい、110℃の水蒸気飽和を10日間、連続保持することとした。以下、スラグの体積膨張率の測定についてはいずれもこの条件を用いている。
先ず、製鋼スラグの各粒径毎の炭酸化反応挙動を調査した。現場から採取した製鋼スラグをJIS Z 8801に規定する網ふるいの呼び寸法で、26.5mm、4.75mm、2.36mmおよび1.18mmの各篩い(以下、便宜的に、30、5、2および1mmの篩いと称する)で篩い分けを行い、各粒径毎に、炭酸化反応の進行に伴う質量変化を測定した。なお炭酸化反応については、各スラグとも水分量を約15質量%に調整し、水中へバブリングすることで相対湿度100%に調整した市販の純炭酸ガス(純度99%以上)を、スラグ1トン当たり50Nm3/Hrの流量でスラグ中を通過させるように供給し、10時間保持した。また、任意時間毎にスラグの質量変化量を測定し、実験開始時のスラグ量で割り戻し、質量変化率を記録した。
図1に各粒径毎に測定した質量変化率の経時変化を示す。図1より、粒径が細かいほど質量変化率が大きく、早期に炭酸化反応が終了することが確認された。実験終了後、各粒径毎にスラグの体積膨張率を測定したところ、粒径1mm以下は0.1%、1〜2mmは1.6%、2〜5mmは2.5%、5〜30mmは4.0%であった。なお、炭酸化処理前に測定した体積膨張率は、粒径で殆ど差がなく、18〜21%の範囲にあった。
実験後のスラグ断面のEPMAによる炭酸化状態の調査を行ったところ、粒径1mm以下では粒中心までCaOおよびMgO粒子の炭酸化が進んでいるが、粒径が大きくなるに従い、粒中心部に未だ炭酸化されていない状態のCaOおよびMgOの相が存在することが確認された。このことから、炭酸化の反応が粒表面から内部に向かって進行し、粒径が大きいほど内部まで充分には炭酸化が進みにくくなっていることが推定された。
次に、種々の粒径分布を有するスラグについて、粒径1mm以下の含有率が炭酸化反応後のスラグの体積膨張率に及ぼす影響について調査した。現場から採取した、粒径1mm以下の含有率の異なる粉状の製鋼スラグを準備し、炭酸化処理開始時の含有水分量を種々の条件で調整した後、相対湿度75〜100%に調整した市販の純炭酸ガスをスラグ1トン当たり、50Nm3/Hrの流量で供給しながら5時間から24時間保持して炭酸化処理を行い、処理後のスラグについて前述の方法で体積膨張率を測定した。図2に、炭酸化処理開始時の含有水分量と炭酸化処理後スラグの体積膨張率の関係を、粒径1mm以下の含有率毎に示す。
図2より、粒径1mm以下の含有率が高いスラグほど遊離CaOおよびMgOの水和反応が多く進行し、その水和物の炭酸化反応が進行した後のスラグの体積膨張率が低いこと、および体積膨張率を低位にするためには、その含有水分量に適正値が存在することが確認され、土木用資材として安心して用いることができる体積膨張率1.5%以下を安定して確保するには、炭酸化処理に供するスラグが粒径1mm以下を60質量%以上含み、炭酸化処理開始時のスラグ含有水分量を10質量%以上25質量%以下にする必要があることが判明した。
すなわち、スラグの粒度分布において粒径1mmを越える大きな粒の含有率が高くなれば、遊離CaOおよびMgOの水和反応が少なく、炭酸化処理後にCaOおよびMgO粒子が存在する比率が高くなるため体積膨張率が高くなってしまう。また、炭酸化処理開始時の含有水分量が10質量%未満では、遊離CaOおよびMgOと反応する水量が少なく、かつ水和物の炭酸化反応も進行しにくくなるために、残存する遊離CaOおよびMgOが多くなるので、体積膨張率が高くなる。一方、含有水分量が25質量%超では、スラグ内に吸収されなくなった水がスラグ粒子の周囲に存在するようになり、炭酸ガスのスラグ粒子内への浸透を阻害し、遊離CaOおよびMgOと水との水和反応、さらには水和物と炭酸ガスとの反応が進行しにくくなり、未反応の遊離CaOおよびMgOが残存するので、炭酸化処理後スラグの体積膨張率が高くなる。粒度分布において粒径1mm以下を60質量%以上含有するスラグの場合には、炭酸化処理開始時のスラグ含有水分量を10質量%以上25質量%以下に制御することが低膨張化をはかる適正な条件である知見を得た。
スラグの粒度分布において、1mm以下の比率を60質量%以上とする方法としては、スラグ採取時にすでに1mm以下比率が60質量%以上である粉状のスラグを用いることができ、あるいは粒径の大きなものが混在するスラグを粉砕して1mm以下の比率を60質量%以上としても良い。
また、炭酸化処理時にスラグの含有水分量を10質量%以上25質量%以下に保持するためには、相対湿度の高い炭酸ガスを供給することが有効であり、相対湿度が75%以上100%以下のガスを供給することで、十分な炭酸化が行えることも確認された。
次に、炭酸ガス供給速度と炭酸化反応後スラグの体積膨張率の関係について調査した。粒径1mm以下の含有率が60質量%の粉状製鋼スラグを用い、炭酸ガス供給速度を種々変えて48時間保持することにより炭酸化処理を行い、炭酸化処理中の各時間におけるスラグの質量を測定し、処理開始時から当該時間経過までのスラグの質量の変化量を「質量変化量」とした。48時間経過後の各スラグの質量変化量を基準(100%)とし、各時間での質量変化量を基準の質量変化量で除して100倍した値を各時間における「質量変化量比」とした。そして質量変化量比の値が80%を越えるまでの時間を求めた。ここで、質量変化量比を80%とした理由は、別途行なった実験にて、質量変化量比が80%以上であれば、そのスラグの体積膨張率が1.5%以下にできることが確認されたためである。また、供給する炭酸ガスは相対湿度75〜100%の範囲に調整し、市販の純炭酸ガスとアルゴンガスを混合し、種々の炭酸ガス濃度に調整した。
図3に炭酸ガス純分当たりの供給速度と質量変化量比が80%を越えるまでの時間の関係を示す。この図から、炭酸ガス純分当たりの供給速度がスラグ1トン当たり5Nm3/Hr以上100Nm3/Hr以下の範囲では5時間以内で質量変化量比が80%を越えることがわかる。
ここで、炭酸ガス純分当たりの供給速度がスラグ1トン当たり5Nm3/Hr未満では5時間以上の長時間を要し、炭酸化処理時間が長くなる。一方、100Nm3/Hrを越えると、徐々に質量変化量比が80%を越えるまでの時間が長くなる。これは炭酸ガスの供給速度が過度になり、スラグと反応せずに系外に出てしまう、いわゆる吹き抜け現象が起きてしまうからである。また、炭酸ガス含有ガス中の炭酸ガス濃度はガス供給系の配管等の設備構成を考えると10%以上が好ましい。
なお本発明において、安定化処理に供する粉状の製鋼スラグは、炭酸化処理での作業性を考慮して、安定化処理前のスラグ体積膨張率3%以上に限定する。体積膨張率が3%未満の粉状のスラグは大気中にそのまま暴露させる「大気エージング」処理にて、比較的容易に体積膨張率1.5%以下を達成できるので、本発明を適用するメリットがさほど大きくないからである。なお、体積膨張率が3%以下の粉状製鋼スラグの発生量はそれ以上のスラグに比べると極めて少ないことが確認されている。体積膨張率の測定については前述の通り、JIS A5015 附属書2で規定されている「道路用鉄鋼スラグの水浸膨張試験方法」に準じながら、供試体の養生については、80℃で6時間保持を10日間繰り返しではなく、110℃の水蒸気飽和を10日間、連続保持する条件を採用する。
体積膨張率が3%を越えるような粉状の製鋼スラグは通常のエージング処理では低膨張化は達成できない。それに対して本発明を適用して炭酸ガス含有ガスを供給した場合、該ガスはスラグ粒子間を容易に通過できるので、処理を行うことができ、低膨張化が達成できる。
以上より、前記(1)に係る発明は、粉状製鋼スラグの有効な安定化処理方法において、粒径1mm以下を60質量%以上含み、体積膨張率が3%以上の粉状の製鋼スラグについて、その含有水分量を10質量%以上25質量%以下に調整し、炭酸ガス純分量でスラグ1トン当たり、5Nm3/Hr以上100Nm3/Hr以下の炭酸ガス含有ガスを供給して5時間以上保持することと規定した。炭酸ガスは、炭酸ガスがスラグを通過するように供給する。
本発明において、粒径が小さく、エージング処理の困難なスラグを処理することとすると好ましい(前記(2)に係る発明)。粒径が小さいスラグとは、具体的には、粒径1mm以下比率が60質量%以上の粒度分布を有するスラグが該当する。このような粒度分布を有するスラグは、従来用いられていたエージング処理では遊離CaOや遊離MgOを十分に減少することができなかったのに対し、本発明を適用することによって安定化が可能になったものである。
また、図2の関係より、粒径1mm以下の含有率が高い粒度分布を有するスラグほど炭酸化反応速度が大きく、炭酸化反応の終了までの時間が短いことが類推される。さらに、図3の関係より、炭酸ガスの供給速度により炭酸化反応の終了までの時間が変化することがわかる。これらの関係より、例えばスラグの粒径1mm以下の含有率が高い場合には、炭酸ガス含有ガスの供給速度を大きくしたり、供給時間を長くすることで、効率的な安定化処理方法を得ることができる(前記(3)に係る発明)。
本発明の炭酸化処理において、スラグの含有水分量を10質量%以上25質量%以下に調整し、炭酸ガス純分量でスラグ1トン当たり、5Nm3/Hr以上100Nm3/Hr以下の炭酸ガス含有ガスを供給すると、処理開始時のスラグ含有水分が通常の水であっても、スラグの含有水分中に炭酸ガスが溶解し、水分は炭酸水に変化する。本発明においてはさらに、処理開始時のスラグ含有水分を炭酸水とするとより好ましい(前記(4)に係る発明)。これにより、炭酸化処理を開始した直後から、スラグの炭酸化を効率的に進行させることができる。
また、これらの処理にて得られた安定化製鋼スラグは粒径1mm以下のスラグを60質量%以上含み、体積膨張率が1.5%以下であり、粉状の性状のまま、土木用資材として有効に活用できる(前記(5)に係る発明)。
なお、前記、図1から図3に示した実験結果は、製鋼スラグ量が約5kgの小規模の実験装置での結果であったが、これらの関係に基いて製造現場にて実施した数トンから数百トンの実機レベルでの炭酸化処理でも同等の結果が得られた。
ステンレス鋼製造の製鋼工程において、AOD精錬炉から発生したスラグ、約50トンを熱滓状態で回収し、大気中にて冷却後、30mmの篩いにて篩い分けを行い、篩い下スラグの体積膨張率および粒度分布を調査した。体積膨張率は18〜25%の範囲にあり、粒径1mm以下スラグの含有率は65質量%であった。このスラグの平均組成を表1に示す。
該スラグを約2トンづつ小分けし、かつ粒径1mm以下スラグの含有率および含有水分量を表2に示す条件にて調整した。縦2m、横2m、高さ1.5mのバケットを準備し、バケット底部にガス供給管を設置し、その上に金網を敷いた。準備したスラグをこのバケットの金網の上に入れ、上部をシートで覆った後、相対湿度を75〜100%とした炭酸ガス含有ガスを表2に示す条件にて調整してバケット内のガス供給管から供給した。供給した炭酸ガス含有ガスは、バケット内に敷いたスラグを通過して系外に排出される。処理後のスラグについて前述の方法で体積膨張率を測定した。
処理結果を表2に示す。本発明法の実施例の1〜6では安定して体積膨張率1.5%以下の低膨張化を達成した。一方、スラグの粒径1mm以下含有率が本発明法の条件外の比較例1、炭酸ガスの供給速度が本発明法の条件外の比較例2、炭酸ガスの供給保持時間が本発明法の条件外の比較例3では、いずれも体積膨張率が1.5%を越え、土木用資材としての使用は困難であった。
また、処理後の粒径1mm以下のスラグ含有率の測定を行ったが、本発明例、比較例とも、処理前に比べ、若干、減少する程度で、顕著な固結現象は起こらず、粉状のスラグとして回収することができた。
Figure 2008214150
Figure 2008214150
前述したように、本発明法によれば、粉状の製鋼スラグを、温度調整することなく、従来よりもはるかに短時間で、安価にかつ大量に安定化処理することが可能になる。こうして安定化された粉状の製鋼スラグは、低膨張であると共に、遊離CaOや遊離MgOが溶出して地下水や河川、海水のpHを上昇させる問題を生じることはなく、粉状の特性を活かして自然砂の代替あるいは砕砂等の土木用資材としての使用が可能になる。また、他の骨材と混合使用することで、各種骨材や路盤材にも使用することが可能になる。さらに、本発明法では、工場から排出される炭酸ガスを用いることができ、炭酸ガスがスラグを炭酸化して消費されるので、炭酸ガスの大気への放散を抑制できるという地球環境的な副次効果も得られる。
スラグ粒径を変えた場合の炭酸化処理時間と質量変化率の関係を示す図である。 粒径1mm以下スラグの含有率を変えた場合の含有水分量と体積膨張率の関係を示す図である。 炭酸ガス純分当たりの供給速度と質量変化量比が80%を越えるまでの時間の関係を示す図である。

Claims (5)

  1. 粒径1mm以下比率が60質量%以上の粒度分布であり、体積膨張率が3%以上の粉状の製鋼スラグについて、その含有水分量を10質量%以上25質量%以下に調整し、炭酸ガス純分量でスラグ1トン当たり、5Nm3/Hr以上100Nm3/Hr以下の炭酸ガス含有ガスを供給して、5時間以上保持することを特徴とする粉状製鋼スラグの安定化処理方法。
  2. 粒径が小さく、エージング処理の困難なスラグを処理することを特徴とする、請求項1に記載の粉状製鋼スラグの安定化処理方法。
  3. 粒径1mm以下のスラグの含有率に従い、炭酸ガス含有ガスの供給速度および供給時間を調整することを特徴とする、請求項1に記載の粉状製鋼スラグの安定化処理方法。
  4. 粒径1mm以下比率が60質量%以上の粒度分布であり、体積膨張率が3%以上の粉状の製鋼スラグについて、その含有水分量を炭酸水にて10質量%以上25質量%以下に調整し、炭酸ガス純分量でスラグ1トン当たり、5Nm3/Hr以上100Nm3/Hr以下の炭酸ガス含有ガスを供給して、5時間以上保持することを特徴とする粉状製鋼スラグの安定化処理方法。
  5. 粒径1mm以下比率が60質量%以上の粒度分布であり、炭酸化処理により体積膨張率が1.5%以下であることを特徴とする安定化製鋼スラグ。
JP2007055844A 2007-03-06 2007-03-06 粉状製鋼スラグの安定化処理方法および安定化製鋼スラグ Active JP4994891B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007055844A JP4994891B2 (ja) 2007-03-06 2007-03-06 粉状製鋼スラグの安定化処理方法および安定化製鋼スラグ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007055844A JP4994891B2 (ja) 2007-03-06 2007-03-06 粉状製鋼スラグの安定化処理方法および安定化製鋼スラグ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008214150A true JP2008214150A (ja) 2008-09-18
JP4994891B2 JP4994891B2 (ja) 2012-08-08

Family

ID=39834642

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007055844A Active JP4994891B2 (ja) 2007-03-06 2007-03-06 粉状製鋼スラグの安定化処理方法および安定化製鋼スラグ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4994891B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008214149A (ja) * 2007-03-06 2008-09-18 Nippon Steel Corp 粉状製鋼スラグの安定化処理方法および安定化製鋼スラグ
JP2014201460A (ja) * 2013-04-02 2014-10-27 株式会社神戸製鋼所 鉄鋼スラグの表面改質方法及びスラグ混合物の表面改質方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5041772A (ja) * 1973-08-20 1975-04-16
JPH0416533A (ja) * 1990-05-08 1992-01-21 Taihei Kogyo Co Ltd 製鋼スラグを用いた膨張性のないスラグの製造方法
JP3248514B2 (ja) * 1998-10-29 2002-01-21 日本鋼管株式会社 排出炭酸ガスの削減方法
JP2005097076A (ja) * 2003-06-09 2005-04-14 Nippon Steel Corp 製鋼スラグの安定化処理方法および安定化製鋼スラグ
JP2005200234A (ja) * 2004-01-13 2005-07-28 Nippon Steel Corp 製鋼スラグの処理方法
JP2007031220A (ja) * 2005-07-28 2007-02-08 Nippon Steel Corp スラグの造粒方法および造粒スラグ

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5041772A (ja) * 1973-08-20 1975-04-16
JPH0416533A (ja) * 1990-05-08 1992-01-21 Taihei Kogyo Co Ltd 製鋼スラグを用いた膨張性のないスラグの製造方法
JP3248514B2 (ja) * 1998-10-29 2002-01-21 日本鋼管株式会社 排出炭酸ガスの削減方法
JP2005097076A (ja) * 2003-06-09 2005-04-14 Nippon Steel Corp 製鋼スラグの安定化処理方法および安定化製鋼スラグ
JP2005200234A (ja) * 2004-01-13 2005-07-28 Nippon Steel Corp 製鋼スラグの処理方法
JP2007031220A (ja) * 2005-07-28 2007-02-08 Nippon Steel Corp スラグの造粒方法および造粒スラグ

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008214149A (ja) * 2007-03-06 2008-09-18 Nippon Steel Corp 粉状製鋼スラグの安定化処理方法および安定化製鋼スラグ
JP2014201460A (ja) * 2013-04-02 2014-10-27 株式会社神戸製鋼所 鉄鋼スラグの表面改質方法及びスラグ混合物の表面改質方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4994891B2 (ja) 2012-08-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3828897B2 (ja) 製鋼スラグの安定化処理方法および安定化製鋼スラグ
JP4676829B2 (ja) 製鋼スラグの処理方法
JP4856661B2 (ja) 製鋼スラグの安定化処理方法
JP6299375B2 (ja) 製鋼スラグの炭酸化処理方法
JP4808655B2 (ja) 粉状製鋼スラグの安定化処理方法
JP2005200234A (ja) 製鋼スラグの処理方法
JP4994891B2 (ja) 粉状製鋼スラグの安定化処理方法および安定化製鋼スラグ
JP5191861B2 (ja) セメント原料用スラグの製造方法
Huang et al. Accelerated carbonation of steel slag: A review of methods, mechanisms and influencing factors
JP3828895B2 (ja) 製鋼スラグの安定化処理方法および安定化製鋼スラグ
JP6930473B2 (ja) リン酸質肥料の製造方法およびリン酸肥料
JP6260115B2 (ja) 製鋼スラグの炭酸化処理方法
JP2003183717A (ja) 製鋼スラグ製品の製造方法および製鋼スラグ製品
JP2007284268A (ja) 粉状スラグの造粒方法及び造粒スラグ
JP6758107B2 (ja) スラグの処理方法
JP5381383B2 (ja) 非膨張性路盤材の製造方法
JP4561190B2 (ja) 処理対象土の固化処理方法
JP7405263B2 (ja) CaO含有物質の炭酸化方法及び炭酸化物質の製造方法
JP4639943B2 (ja) 溶銑の脱硫方法
CN1608040A (zh) 硅质肥料用原料及其制备方法
JP4645195B2 (ja) 炭酸固化体の製造方法
JP2024049666A (ja) 酸化カルシウムの製造方法及び添加剤
JP2018020943A (ja) ダスティングスラグ、それを用いたセメント混和材およびその製造方法
JP5569477B2 (ja) 溶銑の脱燐処理方法
JP2011051831A (ja) 改質製鋼スラグの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091207

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110608

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110628

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110819

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120508

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120509

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150518

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4994891

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250