JP6299375B2 - 製鋼スラグの炭酸化処理方法 - Google Patents

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Description

この発明は、製鋼スラグを天然砕石、骨材等の土木材料、建築材料等の代替品として有効利用するための製鋼スラグの炭酸化処理方法に係り、特に二酸化炭素(CO2)を含んで地球温暖化防止の観点から排出抑制が求められている排ガス中のCO2を利用し、製鋼スラグから高アルカリ水や白濁水が溶出するのを抑制する製鋼スラグの炭酸化処理方法に関する。
製鉄所で発生する予備処理スラグ、転炉スラグ、電気炉スラグ、鋳造スラグ等の製鋼スラグは、道路の路盤材を始めとして、土木材料や建築材料として広く利用されているが、製鋼スラグにはカルシウム成分、特に水可溶性カルシウム成分(水可溶性Ca成分)である遊離CaOやCa(OH)2が含まれており、この製鋼スラグをそのまま土木材料や建築材料として利用すると、この未処理の製鋼スラグ中のカルシウム成分が雨水等の水に溶解してpH値の高いスラグ溶出水(pHが約12.5の高アルカリ水)が溶出し、また、このスラグ溶出水中のカルシウム成分が大気中の二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムを生成し、スラグ溶出水中の水分が蒸発した後に白色沈殿物として残存し、白色痕として周辺の美観を損ねる等の環境保全の面での問題を引き起こす。
そこで、製鋼スラグを土木材料や建築材料として利用する場合、この製鋼スラグ中に含まれる水可溶性のカルシウム成分を不溶化させる技術として、古くから製鋼スラグとCO2を事前に反応させる炭酸化処理が行われている。この炭酸化処理は、製鋼スラグ中の水可溶性Ca成分(CaOやCa(OH)2)が水に溶解して生成するCa2+イオンと、CO2が水に溶解して生成するCO3 2-イオンとが反応し、水に不溶性のCaCO3を生成するという水可溶性Ca成分の炭酸化反応を利用するものであり、水は水可溶性Ca成分を溶解する媒体として働いている。
そして、この製鋼スラグの炭酸化処理を迅速に行うために、これまでに様々な多くの方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、大気雰囲気下、加圧雰囲気下又は水蒸気雰囲気下でエージング処理を施した製鋼スラグについて、その水分量を所定の範囲内に調節し、次いで相対湿度が調整された炭酸ガス含有ガスを流す方法が提案されており、また、特許文献2には、回転ドラムを有して撹拌羽を設置したロータリータイプの反応容器等を用い、製鋼スラグに機械的撹拌を付与しながら、二酸化炭素(CO2)を含むCO2含有ガスを供給して反応させる方法が提案されており、更に、特許文献3には、所定の粒度分布と体積膨張率を有する粉状製鋼スラグについて、含有水分量を所定の範囲内に調整した後に、所定量の炭酸ガス含有ガスを供給し、所定時間以上保持する方法が提案されている。
一方、1997年の京都議定書の採択を皮切りに、地球温暖化の問題がクローズアップされ、火力発電所やゴミ焼却所等から排出される燃焼排ガスや、製鉄所等の各種の工業的な設備や装置から排出される加熱炉ガス、高炉ガス、転炉ガス、コークス炉ガス等の副生排ガス等、CO2を含む種々の産業上の排ガスについても、その排ガス中に含まれるCO2の削減が求められている。
そこで、このような観点から、CO2を比較的高濃度で含む製鉄所からの高炉ガス等の副生排ガスを対象に、排ガス中のCO2を削減し、また、分離して回収する技術が提案されている。
例えば、特許文献4には、組成として遊離CaOやCa(OH)2を含む製鋼スラグ等の固体粒子の集合体にCO2を含む排ガスを接触させ、排ガス中のCO2を固体粒子にCaCO3として固定する方法が提案されており、また、特許文献5には、製鉄所から排出される副生排ガス中の一酸化炭素(CO)を燃焼させた後に、この排ガスをCO2の吸着剤と接触させ、次いでこのCO2を吸着した吸着剤からCO2を脱離させてCO2を回収する方法が提案されている。
そして、特許文献6においては、製鋼スラグを炭酸化処理してこの製鋼スラグを有効利用するという観点と、製鉄所内等で発生する燃焼排ガス中のCO2を有効利用するという観点とから、製鋼スラグの炭酸化処理に用いるCO2を含むガスとして製鉄所内等で発生する燃焼排ガスを利用することが示唆されている(段落0048参照)。しかしながら、この特許文献6においては、このような燃焼排ガスを用いた具体的な実施例は記載されていない。
ここで、以下に記述されている炭酸化処理済スラグからのアルカリ溶出水のpHについては、「JIS K0058-1」を参考にし、処理済スラグ40gと水1リットル(L)とを混合し(液固比:L/S=25)、攪拌子で溶液部を攪拌しながら24時間静置し、得られた試料についてガラス電極式pH計を用いて測定した値である。
ところで、製鋼スラグを炭酸化処理して得られる炭酸化処理後の製鋼スラグ(処理済スラグ)については、これを土木材料、建築材料等の代替品として有効利用するために、この処理済スラグから溶出するスラグ溶出水のpH(溶出水pH)を可及的に低下させることが望ましいが、この処理済スラグの溶出水pHについては、炭酸化処理の理論からしても10.0程度にまでしか低下させることができず、また、反応の進行に伴って製鋼スラグの粒子表面に生成し形成されるCaCO3膜の影響で反応速度が徐々に低下することから、自ずと限界がある。このため、この処理済スラグの用途に応じて、処理済スラグの溶出水pHに目標値を設定し炭酸化処理の処理条件を工夫しているのが現状である。
一方、CO2の削減が求められる排ガス中のCO2の濃度(CO2濃度)は、たとえ同じ設備や装置から排出される排ガスであっても、断続的に、あるいは、連続的に変化するのが通例であり、例えば、製鉄所の熱間圧延ラインの加熱炉から排出される加熱炉ガスについてみると、6〜12体積%もの範囲で変動することが知られている。このため、製鋼スラグの炭酸化処理に用いるCO2含有ガスとして排ガスを利用する場合には、炭酸化後のスラグ溶出水pHが目標pH値以下となるように炭酸化処理を行う必要があることから、この排ガス中のCO2濃度(体積%)の変化に対応できるように工程管理を行うことが求められ、このことがスラグの炭酸化に排ガスを用いる際の障害の一つになっている。
特開2005-097,076号公報 特開2005-200,234号公報 特開2008-214,150号公報 特開2000-197,810号公報 特開2013-129,581号公報 特開2011-084,424号公報
そこで、本発明者らは、製鋼スラグの炭酸化処理において排ガスを如何に有効利用するかについて鋭意検討を重ねた結果、製鋼スラグを炭酸化処理して得られる処理済スラグからのスラグ溶出水に対して要求される溶出水pH(目標pH値)が、炭酸化処理の処理時間(時間)、炭酸化処理の処理対象である製鋼スラグ中に含まれる水可溶性Ca成分〔f-CaO:遊離CaO及びCa(OH)2〕の含有量(f-CaO含有量)、及び炭酸化処理に用いられるCO2含有ガス中に含まれる二酸化炭素の濃度(CO2濃度)の3つの変数と密接な関係があることを突き止め、CO2含有ガス中のCO2濃度が排ガスのように変動しても目標pH値を達成し得るように炭酸化処理を制御できることを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、製鋼スラグを土木材料、建築材料等の代替品として有効利用するための製鋼スラグの炭酸化処理に際し、地球温暖化防止の観点から排出抑制が求められる排ガス中のCO2を有効に利用することができる製鋼スラグの炭酸化処理方法を提供することにある。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 製鋼スラグに二酸化炭素(CO2)を含むCO2含有ガスを供給して接触させ、前記製鋼スラグ中の水可溶性Ca成分(f-CaO)を炭酸化し不溶化させる製鋼スラグの炭酸化処理方法であり、前記CO2含有ガス中の二酸化炭素の濃度(CO2濃度)が1体積%以上100体積%未満であって、前記炭酸化処理の処理条件において、
製鋼スラグを炭酸化処理して得られる処理済スラグからのスラグ溶出水のpH(溶出水pH)が、炭酸化処理の処理時間(時間)、製鋼スラグ中に含まれる水可溶性Ca成分の含有量(f-CaO含有量:質量%)、及びCO2含有ガスのCO2濃度(体積%)の3つの変数の多変数関数として制御されており、
供給されるCO 2 含有ガスのCO 2 濃度が断続的に、あるいは、連続的に変動する場合において、前記炭酸化処理の処理時間が、CO 2 濃度に応じて、前記CO2濃度が低い場合には長く、また、CO2濃度が高い場合には短くなるように設定されることを特徴とする製鋼スラグの炭酸化処理方法。
(2) 前記炭酸化処理の処理条件が、下記の関係式(1)
pH=11.61×t-0.0312×f0.0211×c-0.015 (pH>10.2)……(1)
〔但し、pHは処理済スラグの溶出水pHの目標値(目標pH値)であり、tは炭酸化処理の処理時間(時間)であり、fは製鋼スラグのf-CaO含有量(質量%)であり、また、cはCO2含有ガスのCO2濃度(体積%)である。t>0、0<f<100、1≦c≦100〕に従って制御されることを特徴とする前記(1)に記載の製鋼スラグの炭酸化処理方法。
(3) 前記製鋼スラグの炭酸化処理が、製鋼スラグを炭酸化反応装置内に予め装填し、この炭酸化反応装置内にCO2含有ガスを断続的に、あるいは、連続的に供給して行うバッチ式処理であって、前記関係式(1)により前記CO2濃度cの変動に従って前記炭酸化処理の処理時間tをフィードフォワード制御することを特徴とする前記(2)に記載の製鋼スラグの炭酸化処理方法。
(4) 前記製鋼スラグの炭酸化処理が、炭酸化反応装置内に製鋼スラグ及びCO2含有ガスを断続的に、あるいは、連続的に供給して行う連続式処理であって、前記関係式(1)により前記CO 2 濃度cの変動に従って前記炭酸化処理の処理時間tをフィードフォワード制御することを特徴とする前記(2)に記載の製鋼スラグの炭酸化処理方法。
(5) 前記炭酸化反応装置内に供給される製鋼スラグのf-CaO含有量fが断続的に、あるいは、連続的に変動する場合には、前記関係式(1)により前記f-CaO含有量f及びCO 2 濃度cの変動に従って前記炭酸化処理の処理時間tをフィードフォワード制御することを特徴とする前記(4)に記載の製鋼スラグの炭酸化処理方法。
(6) 前記炭酸化処理の処理時間tが予め所定時間に決められている場合には、前記関係式(1)により前記CO2濃度cの変動に従って前記CO2含有ガス中に高CO2濃度の二酸化炭素補充ガス(CO2補充ガス)又はCO2濃度を低下させる希釈ガスを供給し、CO2含有ガスのCO2濃度cをフィードフォワード制御することを特徴とする前記(3)〜(5)のいずれか1項に記載の製鋼スラグの炭酸化処理方法。
(7) 前記炭酸化反応装置内に供給されるCO2含有ガスのCO2濃度を前記関係式(1)に従うCO2含有ガスのCO2濃度cよりも低い値に設定し、炭酸化反応装置内に供給されるCO2含有ガスのCO2利用率を高めることを特徴とする前記(3)〜(6)のいずれかに記載の製鋼スラグの炭酸化処理方法。
(8) 前記CO 2 含有ガスは、そのCO 2 濃度が1vol%以上30vol%以下の範囲内である前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の製鋼スラグの炭酸化処理方法。
(9) 前記CO2含有ガスが二酸化炭素を含む排ガスである前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の製鋼スラグの炭酸化処理方法。
(10) 前記排ガスが製鉄所内で発生する副生排ガスである前記(9)に記載の製鋼スラグの炭酸化処理方法。
本発明において、炭酸化処理の対象となる製鋼スラグについては、製鉄所内で発生して炭酸化処理を必要とするスラグであれば特に制限されるものではなく、例えば、溶銑予備処理工程で発生する予備処理スラグ、転炉での脱炭脱ケイなどの工程で発生する転炉スラグ、電気炉での工程で発生する還元スラグ、酸化スラグなどの電気炉スラグ、鋳造工程で発生する造塊スラグ、二次精錬工程で発生する二次精錬スラグ等の各種のスラグを例示することができ、これらはその1種のみを単独で処理できるほか、2種以上の混合物として処理することもできる。
また、本発明において、製鋼スラグの炭酸化処理に用いられる二酸化炭素(CO2)を含むCO2含有ガスについても、CO2を1体積%以上100体積%未満の割合で含むものであれば特に制限されるものではなく、1体積%以上のCO2濃度を有する排ガスを始めとして、CO2濃度がCO2削減を求められる濃度ではあるが上記の1体積%には達しない排ガスと、高CO2濃度の他の排ガスや二酸化炭素ガス(高濃度CO2ガス)とを混合して得られたCO2濃度1体積%以上100体積%未満の混合排ガスや、炭酸化処理の工程管理の都合で用いられる高濃度CO2ガス等を例示することができ、また、前記排ガスの種類についても、CO2を含む排ガスであれば特に制限されるものではなく、種々の産業上の排ガスを例外なく適用することができ、例えば、火力発電所やゴミ焼却所等から排出される燃焼排ガスや、製鉄所等の各種の工業的な設備や装置から排出されるCO2濃度1〜30体積%の加熱炉排ガス、高炉ガス、転炉ガス、コークス炉ガス等の副生排ガス等を例示することができる。
また、本発明において、製鋼スラグを炭酸化処理する際に使用する炭酸化反応装置の様式についても、特に制限されるものではなく、炭酸化反応装置内に製鋼スラグを予め装填し、この炭酸化反応装置内にCO2含有ガスを断続的に、あるいは、連続的に供給して行うバッチ式処理であっても、炭酸化反応装置内に製鋼スラグ及びCO2含有ガスを断続的に、あるいは、連続的に供給して行う連続式処理であってもよく、また、処理方式についても、例えば、撹拌式、流動床式、固定床式等の公知の方式を採用することができる。
そして、製鋼スラグの炭酸化処理における処理条件については、基本的には、炭酸化処理後に得られる処理済スラグからのスラグ溶出水が処理済スラグの用途等から要求される溶出水pH(目標pH値)を達成するように、炭酸化処理の処理時間(時間)、製鋼スラグ中に含まれる水可溶性Ca成分(f-CaO)の含有量(f-CaO含有量)、及びCO2含有ガス中に含まれる二酸化炭素の濃度(CO2濃度)の3つの変数を基にして、また、炭酸化処理の処理時間が、CO2含有ガスの前記CO2濃度1体積%以上100体積%未満の範囲内において、かつ、このCO2濃度に応じて、前記CO2濃度が低い場合には長く、また、CO2濃度が高い場合には短くなるように設定される。理論上炭酸化ガス濃度に下限値は存在せず、少量でもCO2ガスが存在すれば反応は進行する。しかし実際には、この炭酸化処理に用いるCO2含有ガスのCO2濃度が1体積%付近より低くなると、CO2分圧が低くなりすぎスラグ表面水へCO2ガスが溶解し難くなるため反応がほとんど進まなくなる。
また、この製鋼スラグの炭酸化処理における処理条件については、好ましくは、下記の関係式(1)
pH=11.61×t-0.0312×f0.0211×c-0.015 (pH>10.2)……(1)
〔但し、pHは処理済スラグの溶出水pHの目標pH値であり、tは炭酸化処理の処理時間(時間)であり、fは製鋼スラグのf-CaO含有量(質量%)であり、また、cはCO2含有ガスのCO2濃度(体積%)である。t>0、0<f<100、1≦c≦100〕に従って設定され、制御される。
ここで、上記関係式(1)における各指標については、先ず、目標pHを用途・使用方法に従って設定する。その後、関係式はtとfとcの関数となるので、設備制約等の条件に従ってそれらの条件を決定し炭酸化処理を実行する。出来上がった処理済みスラグは用途・使用方法に従って覆土処理等の対策と併用して使用する。
また、製鋼スラグのf-CaO含有量(f:質量%)については、使用する製鋼スラグの種類や製造ロットにより異なる場合があるので、炭酸化処理に先駆けて予め測定して得られる測定値を使用し、また、同様に、CO2含有ガスのCO2濃度(c:vol%)についても、CO2含有ガスとしてCO2濃度の変動が予想される排ガスや混合排ガスを用いる場合には、炭酸化処理に先駆けて予め測定して得られる測定値を使用する。
ここで、前記製鋼スラグの炭酸化処理が、製鋼スラグを炭酸化反応装置内に予め装填して行うバッチ式処理であって、前記炭酸化反応装置内に供給されるCO2含有ガスのCO2濃度cが断続的に、あるいは、連続的に変動する場合には、前記関係式(1)により前記CO2濃度cの変動に従って炭酸化処理の処理時間tをフィードフォワード制御し、これによって炭酸化処理後に得られる処理済スラグの溶出水pHを目標pH値以下に維持する。
同様に、前記製鋼スラグの炭酸化処理が、炭酸化反応装置内に製鋼スラグ及びCO2含有ガスを断続的に、あるいは、連続的に供給して行う連続式処理であって、前記炭酸化反応装置内に供給される製鋼スラグのf-CaO含有量f及び/又はCO2含有ガスのCO2濃度cが断続的に、あるいは、連続的に変動する場合には、前記関係式(1)により前記f-CaO含有量f及び/又はCO2濃度cの変動に従って前記炭酸化処理の処理時間tをフィードフォワード制御し、これによって炭酸化処理後に得られる処理済スラグの溶出水pHを目標pH値以下に維持する。
そして、前記炭酸化反応装置内に供給されるCO2含有ガスのCO2濃度cが断続的に、あるいは、連続的に変動する場合において、前記炭酸化処理の工程管理の都合で処理時間tが予め決められている場合には、前記関係式(1)により前記CO2濃度cの変動に従って前記CO2含有ガス中にCO2補充ガス又は希釈ガスを供給し、CO2含有ガスのCO2濃度cをフィードフォワード制御し、これによって炭酸化処理後に得られる処理済スラグの溶出水pHを目標pH値以下に維持する。
更に、本発明においては、CO2を含む種々の産業上の排ガスからCO2を削減することも重要な目的であるので、必要により、炭酸化反応装置内に供給されるCO2含有ガスのCO2濃度を前記関係式(1)に従うCO2含有ガスのCO2濃度cよりも低い値に設定し、この炭酸化反応装置内に供給されるCO2含有ガスのCO2利用率を高め、これによって炭酸化反応装置から排出される排ガス中のCO2濃度を可及的に低減することができる。
なお、製鋼スラグの炭酸化処理において、製鋼スラグを炭酸化処理して得られる処理済スラグの溶出水pHに影響を及ぼすと考えられる前記3つの変数〔炭酸化処理の処理時間、製鋼スラグのf-CaO含有量、及びCO2含有ガスのCO2濃度〕以外の要因(外乱)としては、例えば、炭酸化処理に使用される炭酸化反応装置(種類、様式、容量等)や、製鋼スラグに対して炭酸化処理の前に適用される様々な予備処理(粉砕、造粒、粒度分布調整、磁選処理等)や、炭酸化処理中の水分量管理、温度管理、その他の工程管理等が考えられるが、これらについては、特に制限されるものではなく、従来の製鋼スラグの炭酸化処理において採用されていた手段をそのまま採用することができる。
本発明の方法によれば、CO2濃度に変動がある排ガスを利用しても製鋼スラグを確実に炭酸化処理することができ、これによって、炭酸化処理が不完全な製鋼スラグを市場に出荷するリスクを回避することができ、また、得られる処理済スラグを土木材料、建築材料等の代替品として有効に利用できるだけでなく、地球温暖化防止の観点から排出抑制が求められる排ガス中のCO2をも有効に利用することができる。また、本発明の方法によれば、製鋼スラグ中の水可溶性のカルシウム成分の含有量が変化しても、工程管理で容易に対応して所望の炭酸化処理を行うことができる。
図1は、炭酸化反応装置としてドラムミキサーを用いて炭酸化処理を行う様子を示す説明図である。 図2は、炭酸化反応装置として中心軸に撹拌翼を持つタイプのミキサー(例えば、太平洋機工社製のプロシェアミキサーやマツボー社製のレ−ディゲミキサー等。以下、これらを総称して、「プロシェアミキサー」と記述する。)を用いて炭酸化処理を行う様子を示す説明図である。
図3は、炭酸化反応装置としてロータリーキルンを用いて炭酸化処理を行う様子を示す説明図である。 図4は、炭酸化反応装置としてヤード固定床式を採用して炭酸化処理を行う様子を示す説明図である。
図5は、実施例1の炭酸化処理に用いた製鋼スラグAの粒度分布を示すグラフ図である。 図6は、実施例1の炭酸化処理における処理時間と得られた処理済スラグの溶出水pHとの関係を示すグラフ図である。
図7は、実施例2の炭酸化処理における処理時間と処理済スラグの溶出水pHとの関係を示すグラフ図である。 図8は、実施例1及び実施例2における処理済スラグの溶出水pHを炭酸化処理の処理時間t、製鋼スラグのf-CaO含有量f及びCO2含有ガスのCO2濃度cの関数とし、重回帰分析により得られた関係式(1)における実測値pHと計算値pHとの関係を示すグラフ図である。
図9は、関係式(1)から得られた炭酸化処理時に使用したCO2含有ガスのCO2濃度cと炭酸化処理の処理時間tとの関係を示すグラフ図である。 図10は、CO2含有ガスのCO2濃度cが経時的に変動する場合において、CO2含有ガスが炭酸化反応装置に導入する前に、関係式(1)に基づいて、CO2含有ガスのCO2濃度cを一定に調整する場合を概念的に示す説明図である。
図11は、CO2含有ガスのCO2濃度cが経時的に変動する場合において、CO2含有ガスが炭酸化反応装置に導入する前に、関係式(1)に基づいて、炭酸化処理の処理時間を調整する場合を概念的に示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
先ず、本発明の製鋼スラグの炭酸化処理に使用する炭酸化反応装置としては、例えば、以下に示す反応装置を用いることができる。
すなわち、図1に示す炭酸化反応装置はドラムミキサー1であり、蓋1bを有する円筒形の反応容器1a内に製鋼スラグSを投入し、反応容器自体(ミキサー)を回転させて製鋼スラグSを連続的に攪拌しながら、蓋1bに取り付けられたガス供給管2からCO2含有ガスを供給し、反応容器1a内で製鋼スラグSをCO2と接触させて反応させ、また、反応後のガス(未反応CO2を含むガス)については反応容器1aの底側の排気孔(図示外)から排気させる。
また、図2に示す炭酸化反応装置は、中心軸に攪拌翼(プロペラ)を備えたプロシェアミキサー11であり、製鋼スラグSを反応容器(ミキサー)11a内に投入し、ミキサー11aの蓋11bを閉じてミキサー11a内の攪拌翼3を回転させ、同時にCO2含有ガスを流入させ、炭酸化反応が終了するまでその状態を維持し、また、反応後の未反応CO2を含むガスについては系外に放出させる。CO2ガスの流入、流出方法については、図2のように軸部周辺から行ってもよいし蓋部11bに回転しない部分を接続し、そこから流入流出させるようにしてもよい。更に、プロペラについても図2のように一組である必要はなく、軸部に取り付けられるだけ、例えば二組、三組等のプロペラを取り付けてより優れた撹拌効果を期待する方法もある。
更に、図3に示す炭酸化反応装置はロータリーキルン21であり、スラグ投入口4から反応容器21a内に製鋼スラグSを連続的に投入し、また、反応容器21aの上流側の蓋21bに設けられた図示外のガス導入口からCO2含有ガスを反応容器21a内に連続的に導入し、この反応容器21a内で製鋼スラグSにCO2含有ガスを接触させて反応させ、反応容器21aの下流側の蓋21bに設けられた図示外のスラグ排出口から反応終了後の処理済スラグSaを排出させると共に、この反応容器21aの下流側の蓋21bに設けられた図示外のガス排出口から未反応CO2を含むガスを放出させる。
更にまた、図4に示す炭酸化反応装置はヤード固定床式の反応装置(設備)の一例であり、固定床は積み上げられた製鋼スラグSのスラグ山積についてその左右側面と上面の三方をビニールシート、鉄板等の囲繞材5で囲むと共に前後の面を図示外の開閉可能な囲繞材で囲んで構成され、また、その底部にはCO2含有ガスを供給するガス配管6を設置し、更に、このガス配管6の下の固定床底面については、必要によりCO2含有ガスが地中に浸透し放散するのを防止するために、鉄板、コンクリート、ビニールシート等のCO2含有ガスが透過しない図示外の床材料を配置し、前記ガス配管6からCO2含有ガスを供給して炭酸化反応が終了するまでその状態を維持する。そして、この際には、製鋼スラグSとCO2含有ガスとの効率的な接触を確保するために、例えば8時間おき等の間隔でスラグ山積を混合する「山繰り」操作を行う。
本発明において、上記のどの方式を採用しても、炭酸化処理中に製鋼スラグにおける水分量については0.5質量%(平衡水分量)以上を維持するのがよい。炭酸化処理中の製鋼スラグの乾燥が著しい場合には加水等の手段で水分量の調整を行う。加水方法としては、炭酸化処理中に製鋼スラグの水分量を連続的に測定して測定された水分量の変動に応じて加水する方法や、事前に測定された炭酸化処理中の水分量の経時変化に応じて加水する方法等がある。
また、本発明において、CO2含有ガスの供給は、常に一定流量を流し続ける連続式であってもよく、また、ドラムミキサー等の密閉された反応容器内のCO2含有ガスを圧力制御して減少分を逐一供給する圧力制御式であってもよい。ここで、CO2含有ガスは、排ガスのようにCO2濃度が変動する場合には、このCO2濃度の変動を炭酸化反応装置に導入する前に検知し、その検知情報に基づいてCO2含有ガスを炭酸化反応装置に導入する前に、このCO2含有ガスに対してCO2濃度100体積%の純粋なCO2ガス等の高CO2濃度のCO2補充ガス、又は、CO2を含まない窒素ガス、アルゴンガス等やCO2を僅かに含む空気、燃焼ガス等の低CO2濃度の希釈ガスを混合してCO2含有ガスのCO2濃度を所定の値に調整するか、あるいは、炭酸化処理の処理時間をCO2含有ガスのCO2濃度の変動に応じて制御する。
更に、製鋼スラグの炭酸化処理は、通常0℃以上100℃以下、好ましくは0℃以上80℃以下の温度で行うのが望ましい。0℃未満になると製鋼スラグ中の水分が凍って炭酸化反応が進まなくなることがあり、反対に、80℃を超えて高くなると水分が蒸発して製鋼スラグが乾燥し、炭酸化反応が進まなくなることがある。
そして、処理対象の製鋼スラグについては、炭酸化処理の前後でその粒度分布が変化しないので、製品として出荷する処理済スラグが有する粒度分布に調整する粒度調整操作を炭酸化処理の前後のどちらで実施してもよいが、炭酸化処理に供給される製鋼スラグの粒度が変化するとその表面積が変化して炭酸化処理の処理条件に影響が生じるので、炭酸化処理に供給される製鋼スラグについては好ましくはその粒度分布が一定であるのがよい。処理済スラグが天然砕石や骨材の代替品等に利用される場合には、通常0〜50mmの範囲で粒度分布を有するものであるのがよく、なかでも微粉が少ない方が望ましく、1mm以下の微粉が20質量%以下であるのがよい。
以下、実験例に基づいて、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は下記の内容に制限されるものではない。
〔実験例1〕
表1に示す組成を有すると共に、図5に示す粒度分布を有する製鋼スラグA(呼び名:CS-30;JIS A5015に規定される道路用路盤材)を原鉱として準備した。この原鉱の製鋼スラグAは、エージング処理が施されており、その水分量は約6質量%であった。また、この図5には、原鉱の製鋼スラグAを絶乾状態(含水率0質量%)に乾燥させた際の粒度分布を併せて示しているが、粒度分布は水分調整によってほとんど変化しなかった。
Figure 0006299375
上記で準備した水分量約6質量%の製鋼スラグを用い、また、炭酸化処理装置として底部にガス供給管をまた頂部にガス排気管を備えた内径φ:180mm及び高さL:1mの円筒形状の実験用反応容器を使用し、この反応容器内に製鋼スラグ約5kgを充填し、底部のガス供給管からCO2濃度がそれぞれ100体積%、20体積%の乾燥したCO2含有ガス(湿度:0%)を、CO2の供給量が0.2L/min/kg-slagの流量となるよう供給し、製鋼スラグの炭酸化処理を行った。
上記のCO2濃度の異なる3種のCO2含有ガスを用いて、各CO2含有ガス毎にそれぞれ製鋼スラグの炭酸化処理を実施し、炭酸化処理を開始した後に0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、及び6時間後にそれぞれ約500gの処理済スラグをサンプリングし、各時間後にサンプリングされた処理済スラグから溶出されるスラグ溶出水のpH(溶出水pH)を測定した。なお、サンプリング時には、残りの製鋼スラグを全て取り出して混合する「山繰り」操作を行った。
CO2濃度100vol%と20vol%のCO2含有ガスを用いた製鋼スラグの炭酸化処理について、処理時間(hours)と溶出水pH(L/S=25, 24hour)との関係を図6に示す。
製鋼スラグの炭酸化処理において、炭酸化処理の処理時間と溶出水pHとの関係については、製鋼スラグ中の水可溶性Ca成分〔f-CaO:遊離CaO及びCa(OH)2〕が炭酸化によって消費されるにつれて溶出水pHが低下することから、このpH値の推移を調べることにより炭酸化処理の進行度を評価することができる。すなわち、図6に示した結果から明らかなように、炭酸化処理に用いたCO2含有ガスにおいて、CO2濃度が100体積%のCO2含有ガスと20体積%とでは炭酸化反応の進行が極度に遅くなることが判明した。
〔実験例2〕
上記実験例1で使用した製鋼スラグAを使用し、また、炭酸化処理装置として底部にガス供給部を、また、頂部(蓋部)にガス排気部を備えた内径φ:560mm及び長さL:0.8mの円筒型試験装置を用い、この試験装置の反応部内に約120kgの製鋼スラグAを充填し、ガス供給部からCO2濃度が100体積%、20体積%、及び8体積%の3種の乾燥したCO2含有ガス(湿度:0%)を、CO2の供給量が0.2L/min/kg-slagの流量となるよう調整して供給し、製鋼スラグの炭酸化処理を行った。
上記のCO2濃度の異なる3種のCO2含有ガスを用いて、各CO2含有ガス毎にそれぞれ製鋼スラグの炭酸化処理を実施し、炭酸化処理を開始した後に0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、4時間、5時間、6時間、及び8時間後にそれぞれ約1kgの処理済スラグをサンプリングし、上記実験例1と同様にして、3種のCO2含有ガスを用いた製鋼スラグの炭酸化処理について、処理時間(hours)と溶出水pH(L/S=25, 24hour)との関係を調べた。
結果を図7に示す。
上記の実験例1の場合と同様に、図7に示す炭酸化処理の処理時間と溶出水pHとの関係から、炭酸化処理に用いた3種のCO2含有ガスにおいて、CO2濃度が100体積%から20体積%や8体積%まで低下すると処理時間が長時間化することが判明した。
以上の実験例1及び2の結果から、処理済スラグの溶出水pH(目標pH値)を炭酸化処理の処理時間(時間)、製鋼スラグのf-CaO含有量、及びCO2含有ガスのCO2濃度の多変数関数と考え、重回帰分析を行ってこれらpH(目標pH値)と処理時間(時間)、f-CaO含有量(質量%)、及びCO2濃度(体積%)の関係式を導いた。ここで導かれた多変数関数は、下記の関係式(1)に示す通りであった。
pH=11.61×t-0.0312×f0.0211×c-0.015 (pH>10.2)……(1)
〔但し、pHは処理済スラグの溶出水pHの目標値(目標pH値)であり、tは炭酸化処理の処理時間(時間)であり、fは製鋼スラグのf-CaO含有量(質量%)であり、また、cはCO2含有ガスのCO2濃度(体積%)である。t>0、0<f<100、1≦c≦100〕
上で得られた関係式(1)について、実験例を含む実測値(pH)と関係式(1)から算出された算出値(pH)との相関関係について確認したところ、図8に示す実測値(pH)−算出値(pH)の相関図が得られた。
この図8に示す相関図から、前記関係式(1)が実際の製鋼スラグの炭酸化処理の処理条件を整合性良く反映していることが判明した。
そこで、上記の関係式(1)に基づいて、たとえば、製鋼スラグの炭酸化処理後の目標溶出水pHを10.8(目標pH値)以下とし、この目標pH値を達成するまでに要する炭酸化処理の処理時間t(hour)と、f-CaO含有量(質量%)及びCO2濃度(体積%)との関係式を導いた。
結果は下記の関係式(2)に示す通りであった。
t≧10.16×f0.676×c-0.481……(2)
〔但し、t、f、及びcは関係式(1)の場合と同じである。〕
また、この関係式(2)をf-CaO含有量(質量%)別にCO2濃度(体積%)−炭酸化処理の処理時間(hour)の関係をグラフ化すると図9の通りであった。
また、上記の関係式(1)に基づいて、たとえば、製鋼スラグの炭酸化処理後の目標溶出水pHを11.5(目標pH値)以下とし、この目標pH値を達成するまでに要する炭酸化処理の処理時間t(hour)と、f-CaO含有量(質量%)及びCO2濃度(体積%)との関係式を導いた。
結果は下記の関係式(3)に示す通りであった。
t≧1.36×f0.676×c-0.481……(3)
〔但し、t、f、及びcは関係式(1)の場合と同じである。〕
ところで、上記の各関係式(1)〜(3)は、排ガスのようにCO2濃度(体積%)が経時的に変動するCO2含有ガスに対してそのまま使用することができず、CO2含有ガスにおけるCO2濃度(体積%)の変動を外乱として把握し、炭酸化反応装置に導入する前にこのCO2濃度(体積%)の変動を検知し、得られた検知情報に基づいてフィードフォワード制御を行い、CO2含有ガスのCO2濃度(体積%)を一定に調整するか、若しくは、炭酸化処理の処理時間を調整する必要がある。
ここで、CO2含有ガスのCO2濃度(体積%)を一定に調整する場合には、製鋼スラグのf-CaO含有量(質量%)fが一定であるとして炭酸化処理の処理時間tをCO2濃度(体積%)cの関数として把握し、f-CaO含有量fが表1に示す2.1質量%であるので、これを関係式(2)に導入して得られる下記の関係式(4)
t≧16.8×c-0.481……(4)
に従って、図10に示すように、このCO2含有ガスにCO2ガス等のCO2補充ガス又は空気等の希釈ガスを混合してCO2含有ガスのCO2濃度を所定の値に調整し、所定の処理時間に達した時点で炭酸化処理が終了したと判断すればよい。
また、炭酸化処理の処理時間tを調整する場合には、上記の関係式(4)に従って、図11に示すように、Δt(時間)の間はc(体積%)のCO2濃度で炭酸化処理を行ったとして、
1=16.8×(c)t1 -0.481の時にΔt/t1だけ炭酸化が進行し、t2=16.8×(c)t2 -0.481の時にΔt/t2だけ炭酸化が進行し、……tn=16.8×(c)tn -0.481の時にΔt/tnだけ炭酸化が進行したとし、0〜tnの間の炭酸化の進行を示す下記の式(5)において、S≧1を満たす時点で炭酸化処理が終了したと判断すればよい。
Figure 0006299375
なお、以上の検討においては、製鋼スラグの炭酸化処理において、処理済スラグの溶出水pHの目標値(目標pH値)、炭酸化処理の処理時間及び製鋼スラグのf-CaO含有量を一定とし、CO2含有ガスのCO2濃度を変動させて検討したが、このCO2濃度を変動させる場合に限らず、関係式(1)に従って、CO2含有ガスのCO2濃度以外の他の処理済スラグの溶出水pHの目標値(目標pH値)、炭酸化処理の処理時間及び製鋼スラグのf-CaO含有量の何れかを変動させて炭酸化処理の処理条件を決定することができることは勿論である。
以上の実験例1及び2から理解されるように、本発明によれば、排ガスのようにCO2濃度(体積%)が経時的に変動するCO2含有ガスを使用しても、このCO2含有ガスが炭酸化反応装置に導入する前にこのCO2濃度(体積%)の変動を検知し、得られた検知情報に基づいてフィードフォワード制御を行うことにより、所望の溶出水pHを有する処理済スラグを容易に製造することができ、製鋼スラグを土木材料、建築材料等の代替品として有効利用できると同時に、地球温暖化防止の観点から排出抑制が求められる排ガス中のCO2を有効に利用することができる。
1…ドラムミキサー(炭酸化反応装置)、1b…蓋、1a…反応容器、S…製鋼スラグ、2…ガス供給管、11…プロシェアミキサー(炭酸化反応装置)、11a…反応容器(ミキサー)、11b…蓋、3…攪拌翼、3a…軸部、21…ロータリーキルン(炭酸化反応装置)、4…スラグ投入口、21a…反応容器、21b…蓋、Sa…処理済スラグ、5…囲繞材、6…ガス配管。

Claims (10)

  1. 製鋼スラグに二酸化炭素(CO2)を含むCO2含有ガスを供給して接触させ、前記製鋼スラグ中の水可溶性Ca成分(f-CaO)を炭酸化し不溶化させる製鋼スラグの炭酸化処理方法であり、前記CO2含有ガス中の二酸化炭素の濃度(CO2濃度)が1体積%以上100体積%未満であって、前記炭酸化処理の処理条件において、
    製鋼スラグを炭酸化処理して得られる処理済スラグからのスラグ溶出水のpH(溶出水pH)が、炭酸化処理の処理時間(時間)、製鋼スラグ中に含まれる水可溶性Ca成分の含有量(f-CaO含有量:質量%)、及びCO2含有ガスのCO2濃度(体積%)の3つの変数の多変数関数として制御されており、
    供給されるCO 2 含有ガスのCO 2 濃度が断続的に、あるいは、連続的に変動する場合において、前記炭酸化処理の処理時間が、CO 2 濃度に応じて、前記CO2濃度が低い場合には長く、また、CO2濃度が高い場合には短くなるように設定されることを特徴とする製鋼スラグの炭酸化処理方法。
  2. 前記炭酸化処理の処理条件が、下記の関係式(1)
    pH=11.61×t-0.0312×f0.0211×c-0.015 (pH>10.2)……(1)
    〔但し、pHは処理済スラグの溶出水pHの目標値(目標pH値)であり、tは炭酸化処理の処理時間(時間)であり、fは製鋼スラグのf-CaO含有量(質量%)であり、また、cはCO2含有ガスのCO2濃度(体積%)である。t>0、0<f<100、1≦c≦100〕に従って制御されることを特徴とする請求項1に記載の製鋼スラグの炭酸化処理方法。
  3. 前記製鋼スラグの炭酸化処理が、製鋼スラグを炭酸化反応装置内に予め装填し、この炭酸化反応装置内にCO2含有ガスを断続的に、あるいは、連続的に供給して行うバッチ式処理であって、前記関係式(1)により前記CO2濃度cの変動に従って前記炭酸化処理の処理時間tをフィードフォワード制御することを特徴とする請求項2に記載の製鋼スラグの炭酸化処理方法。
  4. 前記製鋼スラグの炭酸化処理が、炭酸化反応装置内に製鋼スラグ及びCO2含有ガスを断続的に、あるいは、連続的に供給して行う連続式処理であって、前記関係式(1)により前記CO 2 濃度cの変動に従って前記炭酸化処理の処理時間tをフィードフォワード制御することを特徴とする請求項2に記載の製鋼スラグの炭酸化処理方法。
  5. 前記炭酸化反応装置内に供給される製鋼スラグのf-CaO含有量fが断続的に、あるいは、連続的に変動する場合には、前記関係式(1)により前記f-CaO含有量f及びCO 2 濃度cの変動に従って前記炭酸化処理の処理時間tをフィードフォワード制御することを特徴とする請求項4に記載の製鋼スラグの炭酸化処理方法。
  6. 前記炭酸化処理の処理時間tが予め所定時間に決められている場合には、前記関係式(1)により前記CO2濃度cの変動に従って前記CO2含有ガス中に高CO2濃度の二酸化炭素補充ガス(CO2補充ガス)又はCO2濃度を低下させる希釈ガスを供給し、CO2含有ガスのCO2濃度cをフィードフォワード制御することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の製鋼スラグの炭酸化処理方法。
  7. 前記炭酸化反応装置内に供給されるCO2含有ガスのCO2濃度を前記関係式(1)に従うCO2含有ガスのCO2濃度cよりも低い値に設定し、炭酸化反応装置内に供給されるCO2含有ガスのCO2利用率を高めることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の製鋼スラグの炭酸化処理方法。
  8. 前記CO 2 含有ガスは、そのCO 2 濃度が1vol%以上30vol%以下の範囲内である請求項1〜7のいずれか1項に記載の製鋼スラグの炭酸化処理方法。
  9. 前記CO2含有ガスが二酸化炭素を含む排ガスである請求項1〜8のいずれか1項に記載の製鋼スラグの炭酸化処理方法。
  10. 前記排ガスが製鉄所内で発生する副生排ガスである請求項9に記載の製鋼スラグの炭酸化処理方法。
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