JP5828799B2 - スラグ材の表面改質方法 - Google Patents

スラグ材の表面改質方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5828799B2
JP5828799B2 JP2012096721A JP2012096721A JP5828799B2 JP 5828799 B2 JP5828799 B2 JP 5828799B2 JP 2012096721 A JP2012096721 A JP 2012096721A JP 2012096721 A JP2012096721 A JP 2012096721A JP 5828799 B2 JP5828799 B2 JP 5828799B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel slag
slag
moisture
water
steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012096721A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013224231A (ja
Inventor
漆原 亘
亘 漆原
明彦 巽
明彦 巽
柳澤 佳寿美
佳寿美 柳澤
陵平 鈴木
陵平 鈴木
洋一 船岡
洋一 船岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2012096721A priority Critical patent/JP5828799B2/ja
Publication of JP2013224231A publication Critical patent/JP2013224231A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5828799B2 publication Critical patent/JP5828799B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Description

本発明は、例えば、鉄鋼スラグを含むスラグ材を海洋環境修復材として用いることを目的としたスラグ材の表面改質方法に関する。
近年、「海洋沿岸部における海砂採取後の深掘り部による貧酸素海域」や「海藻類の減少による磯焼け」等により悪化した環境の修復が望まれており、深掘り部の「埋め戻し材」や「藻場造成」等の材料として、製銑工程や製鋼工程で発生した鉄鋼スラグの利用が期待されている。鉄鋼スラグは、既に路盤材等の陸上利用が進められているが、海洋環境修復材として鉄鋼スラグを使用する場合、海洋への悪影響を抑えることが望まれる。例えば、鉄鋼スラグを海水に浸漬した場合に、海水のpH上昇と白濁生成を抑制し、海洋環境に無害な状態とする必要がある。
鉄鋼スラグには、成分として生石灰などの溶け残りであるf−CaO(可溶性石灰、フリーライムとも呼ぶ)やこのf−CaOの水和反応で形成されたCa(OH)を含んでいる。f−CaOやCa(OH)は海水などの水分と接触すると、溶解しアルカリ化する。また、海水中にアルカリが溶出してしまうとpH9.5以上でMg(OH)の白色沈殿が生じて、環境影響が懸念される。このようなことから、鉄鋼スラグを、海洋で利用するためにはアルカリ溶出を抑制する処理が必要である。鉄鋼スラグ等のアルカリ溶出を抑制する技術として特許文献1〜5に示すものがある。
特許文献1では、鉄鋼スラグ中に存在するCaO分を炭酸化するに際し、鉄鋼スラグに機械攪拌を付与しつつ、CO含有ガスを供給して炭酸化反応を行わせしめる鉄鋼スラグの処理方法であって、鉄鋼スラグ中に10〜40mmの粒状物を含む状態で機械攪拌している。特許文献2では、セメント、無機系混和材、骨材、混和剤及び水を含むコンクリートを硬化させたコンクリート硬化体の表面を、散水及び/又は強制炭酸化し、コンクリート硬化体の中性化深さを0.5mm以上にしている。
また、特許文献3では、鉄鋼スラグに含まれる遊離CaO及びCa(OH)の合計含有量を0.9質量%以下としている。特許文献4では、高炉水砕スラグと刺激剤とを主成分とする固化処理材を水の存在下で廃棄物に混合し、該廃棄物を固化させている。特許文献5では、水分が添加された石材用原料の積み山での原料充填層を形成し、該積み山に炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスからなる原料ガスを吹き込むことにより、微粉原料中に含まれるCaOの炭酸化反応より生成させたCaCOをバインダーとして石材用原料の積み山を炭酸固化させている。
特開2007−022817号公報 特開2007−001813号公報 特開2005−320230号公報 特開2003−305448号公報 特開2000−247711号公報
特許文献1〜5では、アルカリ溶出を抑制するために鉄鋼スラグ等の炭酸化処理を行っているものの、これらの技術を用いても鉄鋼スラグの表面全体に適正な炭酸化処理を付与することができず、アルカリ溶出性にバラツキが生じることがあることが現場の実績として挙がってきている。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、鉄鋼スラグを含むスラグ材からのアルカリ溶出を十分に抑制することができ、海洋環境修復材として用いることが可能なスラグ材の表面改質方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明に係るスラグ材の表面改質方法は、鉄鋼スラグを含むスラグ材に湿乾処理を行うスラグ材の表面改質方法において、前記湿乾処理は、前記スラグ材に水分を付着させる第1工程と、前記第1工程の後に前記スラグ材に付着した水分を減少させる第2工程とを有し、前記水分を付着させる第1工程では、スラグ材の乾燥重量に対して1.0%以上の水分を付着させ、前記スラグ材に付着した水分を減少させる第2工程では、スラグ材の乾燥重量に対して付着水分量が0.5%以下になるまで減少させ、前記第1工程と第2工程とを繰り返す前記湿乾処理を5回以上行うことを特徴とする。
ましくは、前記第2工程では、前記スラグ材表面に風を吹き当てることで、当該スラグ材に付着した水分量を減少させるとよい。
好ましくは、前記湿乾処理は、前記スラグ材の表面温度が5〜60℃となる範囲で行うとよい。
本発明によれば、鉄鋼スラグを含むスラグ材からのアルカリ溶出を十分に抑制することができ、海洋環境修復材として用いることが可能なスラグ材を製造することができるようになる。
スラグ材の表面を改質する手順を示した図である。
以下、本発明の実施形態を、図を参照して説明する。
以下、本発明に係るスラグ材の表面改質方法について、図を基に説明する。
製鉄所では、一般的に、高炉で出銑した溶銑に対して脱硫処理及び脱珪処理などの溶銑予備処理を行い、溶銑予備処理の終了後には、転炉にて脱りん処理や脱炭処理を行っている。溶銑などを溶鋼に精錬する様々な精錬処理では、副生成物である鉄鋼スラグ1が生成される。鉄鋼スラグ1は、例えば、脱炭スラグ、溶銑脱燐スラグ、溶銑脱硫スラグ、溶銑脱珪スラグ、取鍋精錬スラグ、電気炉鉄鋼スラグなどである。
鉄鋼スラグ1には精錬処理によってある程度の差はあるものの、酸化カルシウム(CaO)、二酸化珪素、酸化アルミニウム、鉄などが含まれている。この鉄鋼スラグ1は、精錬処理後に外部に排滓して様々な用途に用いられるが、精錬処理後の鉄鋼スラグ1中には、フリーライム(f−CaO)や水酸化カルシウム(Ca(OH))が含まれている。
各精錬処理後に排滓した鉄鋼スラグ1に対して、何ら処理もせずに海洋環境修復材としてそのまま海水内に浸漬すると、鉄鋼スラグ1中に含まれるf−CaOやCa(OH)が海水などの水分と反応[CaO+HO→Ca2++2OH、Ca(OH)→Ca2++2OH]により、海水がアルカリ化してしまい、海洋環境に影響を与える可能性がある。
そこで、本発明では、鉄鋼スラグ1を含むスラグ材を、海洋環境修復材などとして使用できるように、スラグ材の改質を行うこととしている。
なお、スラグ材とは、鉄鋼スラグ1を含むものであればよく、鉄鋼スラグ1のみで構成したもの(鉄鋼スラグ1が100%)であっても、鉄鋼スラグ1と他の骨材やバインダーとを合わせて塊成化した材料であっても、鉄鋼スラグ1を土砂等と混合した材料であってもよい。また、排滓後の鉄鋼スラグ1に対して蒸気エージング処理を行ってCaOをCa(OH)に変質させたものをスラグ材としてもよい。
以下、本発明のスラグ材の表面改質方法について詳しく説明する。
本発明のスラグ材の表面改質方法では、鉄鋼スラグ1に含まれているf−CaOやCa(OH)などに起因するCaと大気中のCOとを利用して、スラグ材の表面を炭酸カルシウム(CaCO)層で確実にコーティングし、このコーティングによって鉄鋼スラグ1からのアルカリ溶出を抑制することとしている。なお、鉄鋼スラグ1のみによってスラグ材を構成したものを例にとり説明する。
例えば、精錬処理後に鉄鋼スラグ1をスラグパンなどに排滓し、排滓した鉄鋼スラグ1(スラグ材)に、水を噴霧して鉄鋼スラグ1の表面に水膜を形成する。そうすると、鉄鋼スラグ1中にf−CaOやCa(OH)が含まれるため、スラグ内部から水膜にCaイオンが溶け出すようになる。同時に大気中のCOが水膜に溶け込みCOイオンとなるため、水膜中では炭酸化反応が進み、鉄鋼スラグ1の表面に炭酸化カルシウムが形成されることになる。
しかしながら、鉄鋼スラグ1の表面に形成された水膜の厚さが厚過ぎる場合、鉄鋼スラグ1の表面に形成された炭酸カルシウムは最終的に均一な皮膜とはならず、当該炭酸カルシウムによって鉄鋼スラグ1の表面をコーティングすることができない。一方、鉄鋼スラグ1の表面に形成された水膜の厚さが薄過ぎる場合、水膜に溶け込むCaイオンやCOイオンが少なく炭酸化反応が十分に進まないため、炭酸カルシウムが鉄鋼スラグ1の表面をコーティングできる十分な皮膜にならない。
このようなことから、本発明では、後述するような工程を採用することにより、炭酸カルシウムによって鉄鋼スラグ1の表面を十分にコーティングできるようにしている。
具体的には、図1の排滓処理工程に示すように、まず、スラグ材の元材料である鉄鋼スラグ1をスラグパンに排滓して冷却した後、鉄鋼スラグ1を、例えば、1〜100mmの径を有する小石状に粉砕する。
次に、粉砕された鉄鋼スラグ1の表面に水分を付着させる工程(第1工程)を実施する。
この第1工程では、粉砕した鉄鋼スラグ1の表面に対して十分な湿潤状態を保持するには、スラグ材の乾燥重量に対し1%以上となるように水分を付着させることが必要となる。例えば、乾燥重量が100kgの鉄鋼スラグ1に対して、1kg以上の水分を満遍なく付着させる。さらに、よい湿潤状態にするには、スラグ材の乾燥重量に対し2%以上(100kgの鉄鋼スラグ1に対して、2kg以上)となる水分を付着させる湿潤環境下が好ましい。このように、スラグ材の乾燥重量に対し1%以上となる水分を付着させる湿潤環境下に鉄鋼スラグ1を設置すると、時間が経過するに伴い、鉄鋼スラグ1の表面全体が次第に濡れた状態になり、鉄鋼スラグ1の表面に水膜が形成され、この水膜にCaイオンやCOイオンを溶け込ませることができる。
このとき、スラグ材の表面で最も水分が付着しにくい場所にスラグ材の乾燥重量に対し1%以上となる水分を付着させるには、湿潤環境下で10分以上保持しておくことが必要となる。湿潤環境下で10分以上保持することで、水分が付着しにくい場所においてもCaイオン、COイオンを水膜中に溶け込ませることが可能である。
第1工程では、鉄鋼スラグ1の表面全体が十分に濡れていることが目視で分かるまで鉄鋼スラグ1を湿潤環境で保持する。第1工程では、鉄鋼スラグ1の表面が十分に濡れるまで当該鉄鋼スラグ1を保持すればよく、保持時間は限定されないが、1時間以上、好ましくは2時間以上であるとよい。
第1工程においては、鉄鋼スラグ1の付着水分量がスラグ材の乾燥重量に対し1%以上となるようにするために、環境全体の湿度の制御を行ってもよいし、多湿の大気雰囲気下に鉄鋼スラグ1を置いてもよい。また、COイオンの溶け込みを推進するために、COガスを鉄鋼スラグ1に吹き当ててCOガス濃度を上昇させてもよい。また、鉄鋼スラグ1の付着水分量がスラグ材の乾燥重量に対し1%以上となるようにするために、例えば、水道水、蒸留水、塩水、海水、炭酸水等を、直接、鉄鋼スラグ1の表面に散布したり噴霧することにより、当該鉄鋼スラグ1に水分を供給して、表面全体の水膜の形成を促進してもよい。或いは、湿潤環境下で分級した鉄鋼スラグ1の塊を設置台などに載せて、上下左右から当該鉄鋼スラグ1の表面に大気等の水分が付着するようにしてもよいし、鉄鋼スラグ1の表面を結露させてもよい。
なお、第1工程において、鉄鋼スラグ1の表面温度が高いと、水膜に溶け込むCaイオンやCOイオンの溶け込み速度が低下し、低温では、水膜中のイオンの拡散速度が低下する。このようなことから、第1工程においては、鉄鋼スラグ1の表面温度が高すぎることも低すぎることもよくなく、表面温度が5〜60℃となる範囲となるように雰囲気の温
度調整することが好ましい。より好ましくは表面温度が10〜50℃にするのがよい。
このように、第1工程で鉄鋼スラグ1の表面に水分を付着させると、鉄鋼スラグ1の表面に水膜が形成される。
第1工程を経て、表面に水膜が形成された鉄鋼スラグ1を、表面の水分量を減少させるために乾燥環境に移し、スラグ表面の乾燥を進める(第2工程)。
具体的には、第2工程では、鉄鋼スラグ1の付着水分量がスラグ材の乾燥重量に対し0.5%以下となるように、鉄鋼スラグ1を乾燥環境下にある雰囲気で保持する。例えば、乾燥重量が100kgの鉄鋼スラグ1に対して、付着している水分量が0.5kg以下となるまで、水分を蒸発させることが必要となる。
鉄鋼スラグ1の付着水分量がスラグ材の乾燥重量に対し0.5%以下とすることのできる乾燥環境下に鉄鋼スラグ1を設置すると、鉄鋼スラグ1の表面全体が徐々に乾いていき、水膜が徐々に薄くなっていく。水膜が徐々に薄くなっていく過程では、水膜に溶け込んだCaイオンやCOイオンが濃縮していくと共に、鉄鋼スラグ1と水膜との境界部分で炭酸化反応が進み、鉄鋼スラグ1の表面に炭酸カルシウム(CaCO)からなる皮膜を形成させることができる。
好ましくは、鉄鋼スラグ1の付着水分量をスラグ材の乾燥重量に対し0.3%以下にすることがよい。より好ましくは、鉄鋼スラグ1の付着水分量をスラグ材の乾燥重量に対し0.1%以下にすることがよい。
第2工程では、鉄鋼スラグ1の表面全体が十分に乾いていることが目視で分かるまで鉄鋼スラグ1を乾燥環境下で保持する。第2工程では、鉄鋼スラグ1の表面が十分に乾くまで当該鉄鋼スラグ1を保持すればよいため、保持時間は限定されないが、1時間以上、好ましくは5時間以上であるとよい。
第2工程においては、鉄鋼スラグ1の鉄鋼スラグ1の付着水分量がスラグ材の乾燥重量に対し0.5%以下となるようにするために、環境全体の温度若しく湿度の制御を行ってもよいし、温度を上げるようにしてもよく、鉄鋼スラグ1に風(ガス)を送風機などで吹き当てて、鉄鋼スラグ1表面の水分が蒸発するように促してもよい。また、鉄鋼スラグ1周辺にある乾燥状態の雰囲気を流動させ、鉄鋼スラグ1表面の水分が蒸発するように促してもよい。また、遠心分離機や脱水機を用いて、鉄鋼スラグ1の表面の水分を蒸発させてもよい。
第2工程において、鉄鋼スラグ1の表面温度が高いと、鉄鋼スラグ1の表面全体が乾燥するのが速く、水膜が一挙に無くなるため、当該工程における1回当たりの成膜量が小さくなる。一方、鉄鋼スラグ1の表面温度が低いと、乾燥するまで非常に長い時間がかかる。このようなことから、第2工程においても、鉄鋼スラグ1の表面温度が高すぎることも低すぎることもよくなく、表面温度が5〜60℃となる範囲となるように乾燥環境下の雰囲気の温度調整することが好ましい。より好ましくは、表面温度が30〜50℃の範囲にするのがよい。なお、第2工程における温度や湿度は、上述した範囲内であれば変動させてもよい。
以上、第1工程及び第2工程をまとめると、第1工程では、鉄鋼スラグ1の付着水分量がスラグ材の乾燥重量に対し1%以上となるように湿潤環境で保持して、鉄鋼スラグ1の表面全体を濡らすこととし、表面に形成した水膜にCaイオンやCOイオンを溶け込ませている。第2工程では、鉄鋼スラグ1の付着水分量がスラグ材の乾燥重量に対し0.5%以下となるように乾燥環境で保持して、鉄鋼スラグ1の表面全体を徐々に乾かし、鉄鋼スラグ1の表面に炭酸カルシウムからなる皮膜(コーティング層)を形成させている。
このように、本発明では、鉄鋼スラグ1の周囲の湿度の環境を変えることによって、鉄鋼スラグ1の表面全体に水分を供給し、その後に徐々に乾燥させることによって鉄鋼スラグ1の表面に炭酸カルシウムからなる皮膜を形成させるようにしている。さらに、鉄鋼スラグ1の表面に確実に皮膜を形成させるため、第1工程と第2工程とからなる湿乾処理を5回以上行うこととしている。例えば、1日に1回、鉄鋼スラグ1に対する水分供給及び乾燥を行った場合、5日後には、表面が改質された鉄鋼スラグ1が出来上がることになる。
このように、湿乾処理を1回で終わらすのではなく、繰り返し5回以上行うことによって、繰り返す毎に鉄鋼スラグ1に形成した皮膜が厚くなると共に、皮膜が鉄鋼スラグ1の表面から剥がれにくくなり、さらに、皮膜は鉄鋼スラグ1の全体に亘って形成されるため、鉄鋼スラグ1の表面全体を炭酸カルシウムの皮膜によりコーティングすることができる。
以下、本発明のスラグ材の表面改質方法に基づき、鉄鋼スラグ1を改質した実験例について、述べる。
表1、2は、本発明のスラグ材の表面改質方法をおこなった結果をまとめたものである。
スラグ材の表面改質を行うには、まず、CaO、Ca(OH)、CaSiOの合計が50%以上となる組成を有した鉄鋼スラグ1を用意して、この鉄鋼スラグ1を10〜60mmの粒度で分級する。すなわち、10mm未満の微細な鉄鋼スラグ1及び60mmより大きい鉄鋼スラグ1を排除し、小石状の鉄鋼スラグ1のみを抽出する。このように分級した鉄鋼スラグ1を全体で6kg用意する。そして、分級した鉄鋼スラグ1を乾燥状態にするために、120℃で5時間の熱処理を行う。
熱処理された鉄鋼スラグ1の中から、小石状の鉄鋼スラグ1を10個選び出し、その鉄鋼スラグ1の乾燥重量を測定する。この10個の鉄鋼スラグ1に番号を振り分けて、サンプルスラグ1〜サンプルスラグ10とする。10個のサンプルスラグには、アルカリ溶出評価試験の試験片として確認できるように目印を取り付ける。(例えば、ヒモなどを取り付ける。)目印を付けた10個のサンプルスラグを、再び6kgの鉄鋼スラグ1の中に分散して入れる。
次に、6kgの鉄鋼スラグ1を乾湿複合サイクル試験機に入れて、鉄鋼スラグ1を混ぜながら所定時間保持して、湿潤環境に相当する処理(第1工程、水分付着処理と呼ぶこと
もある)を行う。この乾湿複合サイクル試験機は、スガ試験機株式会社製で、温度、湿度、水分供給量(水噴霧量)が制御できるものである。水分付着処理(第1工程)では、鉄鋼スラグ1の表面に向けて所定の水分量を適宜、水噴霧した。
水分付着処理後に、目印を付けた10個のサンプルスラグの中から5個(サンプルスラグ1〜サンプルスラグ5)を取り出す。この5個の鉄鋼スラグ1について付着水分量を測定する。5個のサンプルスラグの中で最も少なかった付着水分量の値を、水分付着処理での付着水分量W1として評価する(表1参照)。この評価後、6kgの鉄鋼スラグ1の中から1kgの鉄鋼スラグ1を取り出す。この1kgの鉄鋼スラグ1は、水分付着処理のみ、すなわち、水分低減処理を行わないものとして評価する。
1kgの鉄鋼スラグ1を取り除いた後の5kgの鉄鋼スラグ1については、水分付着処理に続いて、付着水分量を少なくする乾燥環境に相当する処理(第2工程、水分低減処理と呼ぶこともある)を行う。水分低減処理後に、残り5個のサンプルスラグ(サンプルスラグ6〜サンプルスラグ10)を取り出し、付着水分量を測定する。この5個のサンプルスラグの中で最も多かった付着水分量の値を、表1に示す水分低減処理での付着水分量W2として評価する。
このとき、鉄鋼スラグ1の付着水分量を低減する方法としては、気温50℃、湿度35%の乾燥状態の雰囲気を保持する乾燥法、若しくは、鉄鋼スラグ1に送風機にて強風を当て、鉄鋼スラグ1に付着した水分を吹き飛ばす脱水法を用いている。
また、水分付着処理のみの1パターンと、水分付着処理と水分低減処理とを連続して1回行った後、その繰り返し回数を1回、3回、5回、7回、10回の5パターンとの合計6パターンに分けて炭酸化処理を実施し、評価した(表2参照)。各パターンの終了毎に、鉄鋼スラグ1を1kg取り出してアルカリ溶出評価試験を行った。
アルカリ溶出評価試験では、取り出した1kgの鉄鋼スラグ1を約300gの3つに分け、3個の試験片(鉄鋼スラグ1)を、それぞれ1.5kgの人工海水(大阪薬研株式会社製マリンアートSF−1を10%硫酸にてpH8.2に調整したもの)に沈める。そして、試験片を沈めた人工海水をそれぞれ3時間放置し、3時間後に人工海水を1回/secの速さで10回攪拌し、各人工海水のpHを測定した。
表2に示すように、試験片を入れた人工海水のうち、最も高いpHを示した人工海水のpH値を記録し、pH9.0以上の場合を不可「××」とし、pH8.8以上9.0未満の場合を不良「×」とし、pH8.6以上8.8未満の場合をやや不良「△」とし、pH8.4以上8.6未満の場合を良好「○」とし、pH8.4未満の場合を最良「◎」として、人工海水の評価、即ち、鉄鋼スラグ1からのアルカリ溶出の評価を行った。なお、このpHの評価は、2008年9月に(社)日本鉄鋼連盟から刊行されている「転炉系製鋼スラグ海域利用の手引き」P50に記載されている「表5−6 pH、白濁試験方法」に準じて実施した。
表1及び表2の実施番号1〜5に示すように、水分付着処理にて、鉄鋼スラグ1の表面全体にスラグの乾燥重量に対して1.0%以上の水分を付着させた後、水分低減処理にて、鉄鋼スラグ1の表面全体に付着した水分を、スラグの乾燥重量に対して0.5%以下の水分に低減させつつ鉄鋼スラグ1の全面を乾かす処理を5回以上繰り返した場合、アルカリ溶出評価試験でのpHを良好「○」又は最良「◎」とすることができた。
実施番号6に示すように、水分付着処理にて鉄鋼スラグ1の表面全体にスラグの乾燥重量に対して1.0%以上の水分量を吹き付ける時間が短かったり、スラグの乾燥重量に対して1.0%未満の水分量である場合、水分低減処理にて鉄鋼スラグ1の表面全体を乾燥させたとしても、アルカリ溶出評価試験でのpHは不可「××」となった。
実施番号7、8に示すように、水分付着処理にて鉄鋼スラグ1の表面全体にスラグの乾燥重量に対して1.0%以上の水分量を十分に付着させた後、水分低減処理にて鉄鋼スラグ1の表面全体を乾燥させる際に、スラグの乾燥重量に対して0.5%よりも多い水分量が残ると、アルカリ溶出評価試験でのpHは不可「××」又は不良「×」となった。
一方、水分付着処理のみの場合、すなわち、水分低減処理を行わない場合は、実施番号1〜8のいずれにおいても、アルカリ溶出評価試験でのpHは不可「××」となった。
これらから分かるように、水分付着処理(第1工程)では、鉄鋼スラグ1にスラグの乾燥重量に対して1.0%以上の水分量を付着させつつ当該鉄鋼スラグ1の表面に水膜を形成し、水分低減処理(第2工程)では、鉄鋼スラグ1に付着した水分量をスラグの乾燥重量に対して0.5%以下に低減させつつ当該鉄鋼スラグ1の表面全体を乾かし、これら第1工程及び第2工程を湿乾処理として、この湿乾処理を5回以上行うと、鉄鋼スラグ1の表面全体に所望の炭酸カルシウムの皮膜ができ、アルカリ溶出を抑えることができる。好ましくは、湿乾処理を7回以上繰り返すとよい。
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する領域を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
1 鉄鋼スラグ

Claims (3)

  1. 鉄鋼スラグを含むスラグ材に湿乾処理を行うスラグ材の表面改質方法において、
    前記湿乾処理は、前記スラグ材に水分を付着させる第1工程と、前記第1工程の後に前記スラグ材に付着した水分を減少させる第2工程とを有し、
    前記水分を付着させる第1工程では、スラグ材の乾燥重量に対して1.0%以上の水分を付着させ、
    前記スラグ材に付着した水分を減少させる第2工程では、スラグ材の乾燥重量に対して付着水分量が0.5%以下になるまで減少させ、
    前記第1工程と第2工程とを繰り返す前記湿乾処理を5回以上行うことを特徴とするスラグ材の表面改質方法。
  2. 前記第2工程では、前記スラグ材表面に風を吹き当てることで、当該スラグ材に付着した水分量を減少させることを特徴とする請求項1に記載のスラグ材の表面改質方法。
  3. 前記湿乾処理は、前記スラグ材の表面温度が5〜60℃となる範囲で行うことを特徴とする請求項に記載のスラグ材の表面改質方法。
JP2012096721A 2012-04-20 2012-04-20 スラグ材の表面改質方法 Expired - Fee Related JP5828799B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012096721A JP5828799B2 (ja) 2012-04-20 2012-04-20 スラグ材の表面改質方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012096721A JP5828799B2 (ja) 2012-04-20 2012-04-20 スラグ材の表面改質方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013224231A JP2013224231A (ja) 2013-10-31
JP5828799B2 true JP5828799B2 (ja) 2015-12-09

Family

ID=49594580

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012096721A Expired - Fee Related JP5828799B2 (ja) 2012-04-20 2012-04-20 スラグ材の表面改質方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5828799B2 (ja)

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61256950A (ja) * 1985-05-02 1986-11-14 大同特殊鋼株式会社 スラグの処理方法
JP2833826B2 (ja) * 1990-05-08 1998-12-09 太平工業株式会社 製鋼スラグを用いた膨張性のないスラグの製造方法
JPH0692696A (ja) * 1992-09-07 1994-04-05 Kawasaki Steel Corp 製鋼スラグの改質方法
US5569314A (en) * 1995-01-30 1996-10-29 Energy Mines & Resources-Canada Thermal stabilization of steelmaking slag
JP3248514B2 (ja) * 1998-10-29 2002-01-21 日本鋼管株式会社 排出炭酸ガスの削減方法
JP4507298B2 (ja) * 1999-07-14 2010-07-21 Jfeスチール株式会社 スラグ成分の溶出制御方法
JP2009028581A (ja) * 2007-07-24 2009-02-12 Shimizu Corp 二酸化炭素の固定化方法
JP2009090198A (ja) * 2007-10-05 2009-04-30 Shimizu Corp 二酸化炭素の固定化方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013224231A (ja) 2013-10-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101623150B1 (ko) 내산성 및 내알칼리성 친환경 보수용 몰탈 조성물
JP2003306359A (ja) セメント組成物及び水和硬化体
JP4676829B2 (ja) 製鋼スラグの処理方法
CN109809722B (zh) 一种硫酸钙镁复盐胶结料及其制备方法和应用
CN103880371A (zh) 一种利用内陆淤泥和近岸高砂泥制备人造生态骨料的方法
Wei et al. Study of untreated phosphogypsum as a fine aggregate for magnesium oxysulfate cement
JP6044565B2 (ja) 酸性土壌改良材
JP5828799B2 (ja) スラグ材の表面改質方法
JP2003034562A (ja) 水硬性組成物及び水和硬化体
JP5764089B2 (ja) スラグ材の表面改質方法
JP5828798B2 (ja) スラグ材の表面改質方法
JP2010094619A (ja) 砂代替材およびその製造方法
JP5995240B2 (ja) 表面改質スラグ材
JP2008195544A (ja) 鉄筋を有する耐中性化に優れた水和硬化体
JP5960086B2 (ja) 鉄鋼スラグの表面改質方法及びスラグ混合物の表面改質方法
JP6183621B2 (ja) 土木用資材の製造方法
CN108585572A (zh) 一种聚合物表面改性硫铝酸钙膨胀剂及其制备方法
JP2007269562A (ja) 耐中性化性および耐塩害性に優れた鉄筋を有する水和硬化体
JP6052144B2 (ja) 土木用資材及びその製造方法
KR20030075045A (ko) 해양수산폐기물과 산업폐기물을 이용한 함수연약토의지반개량형 고화재의 조성물 및 그 제조방법
KR20160129251A (ko) 폐알루미늄 분진을 이용한 칼슘알루미네이트가 함유된 복합 아우인계 조강성 시멘트 조성물 및 그 제조방법
JP2011051818A (ja) 材料の改質方法
JP4865858B2 (ja) 鎔銑の予備処理中に発生するスラグの冷却方法
KR101977744B1 (ko) 고함수율 미세토 유효활용을 위한 성상개량 처리방법 및 이를 이용한 시스템
JP2004105783A (ja) 土壌の固化処理材および固化処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140901

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150529

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150609

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150708

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151020

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151020

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5828799

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees