JP2014198715A - タンパク質繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、遺伝子組換え技術を利用したタンパク質繊維の機能性の改良を目的とし、特に保水性に優れたタンパク質繊維を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、フィブロインからなるフィブロイン部と、該フィブロイン部の内部に存在し、水溶性タンパク質からなる水溶性タンパク質部とを有する、タンパク質繊維を提供する。【選択図】なし
Description
本発明は、タンパク質繊維、特に組換えカイコによって作られたタンパク質繊維に関する。
近年、カイコにおける遺伝子組換え技術が注目されている。例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)が導入されたカイコが報告されている(非特許文献1)。また、外来遺伝子をカイコにて発現させる発現用遺伝子カセットも報告されている(特許文献1)。しかしながら、これらの技術はカイコが産生する天然タンパク質繊維の物性や機能性の改良を目的とするものではない。
ごく最近、カイコが産生する絹糸の強度を高める目的で、クモ糸タンパク質をコードする遺伝子が導入された遺伝子組換えカイコが開示されている(特許文献2)。しかしながら、遺伝子組換えカイコによるタンパク質繊維の物性の改良は未だに限られており、遺伝子組換えによる様々な機能性が改良されたタンパク繊維が依然と望まれている。
一方、カイコが作る絹糸は、外側を構成するセリシンと内側(芯)を構成するフィブロインとからなり、それぞれ25%と75%を占める。絹糸を作る器官は絹糸腺といい、前部絹糸腺、中部絹糸腺及び後部絹糸腺を有する。セリシンは中部絹糸腺で作られ、フィブロインは後部絹糸腺で作られている。また、セリシンは、水溶性タンパク質であるため、繊維の精練処理によって容易に除去されてしまうゆえ、精練後の繊維はセリシンをほとんど含まない。
Masafumi Yamaoら、Genes Dev. March 1,1999 13:511−516
本発明は、遺伝子組換え技術を利用したタンパク質繊維の機能性の改良を目的とし、特に保水性に優れたタンパク質繊維を提供することを目的とする。
本発明は、フィブロインからなるフィブロイン部と、該フィブロイン部の内部に存在し、水溶性タンパク質からなる水溶性タンパク質部とを有する、タンパク質繊維を提供する。上記水溶性タンパク質が、セリシン1、セリシン2、セリシン3、フィブリノーゲン、及びコラーゲンからなる群から選択されることが好ましい。また、フィブロイン部の内部にクモ糸タンパク質がさらに存在することが好ましい。
本発明はまた、上記タンパク質繊維における上記水溶性タンパク質の少なくとも一部が除去された多孔質タンパク質繊維を提供する。水溶性タンパク質の除去は、上記タンパク質繊維を精練することにより行われることが好ましい。
本発明はまた、上記タンパク質繊維、又は上記多孔質タンパク質繊維から製造された繊維製品を提供する。
本発明はまた、水溶性タンパク質がフィブロインと共にカイコの後部絹糸腺において生成されるよう、該水溶性タンパク質をコードする核酸が遺伝子導入された組換えカイコを提供する。上記組換えカイコは、クモ糸タンパク質がカイコの後部絹糸腺においてさらに生成されるよう、該クモ糸タンパク質をコードする核酸が遺伝子導入された組換えカイコであることが好ましい。
本発明はさらに、上記組換えカイコにより作られた絹糸を提供する。
本発明のタンパク質繊維によれば、フィブロイン部の内部に存在する水溶性タンパク質部を有することにより、保水性(保湿性)に優れたタンパク質繊維を提供することが可能となる。また、一実施形態では、フィブロイン部の内部にクモ糸タンパク質がさらに存在することにより、強度がより高いタンパク質繊維を提供することが可能となる。
タンパク質繊維を例えば精練処理することにより、水溶性タンパク質の少なくとも一部が除去された場合、フィブロイン部の内部に空洞ができ、多孔質タンパク質繊維を得ることが可能となる。多孔質タンパク質繊維は、多孔質でないタンパク質繊維に比べてより軽量で、また空気をより多く含むことでより高い断熱性を有する。したがって、本発明のタンパク質繊維又は多孔質タンパク質繊維から製造された繊維製品は、保水性及び断熱性に優れており、例えば放射線を通しにくい宇宙服の素材や、シルクパウダー等の化粧品原料等に好適に用いられる。
本発明の水溶性タンパク質をコードする核酸が遺伝子導入された組換えカイコによれば、水溶性タンパク質がフィブロインと共にカイコの後部絹糸腺において生成されることによって、フィブロインの内部にも水溶性タンパク質が含まれることとなり、保水性に優れたタンパク質繊維を提供することが可能となる。さらに、クモ糸タンパク質がカイコの後部絹糸腺においてさらに生成されるよう、クモ糸タンパク質をコードする核酸が遺伝子導入されることにより、強度がより高いタンパク質繊維を提供することが可能となる。
上記組換えカイコにより作られた絹糸によれば、軽量で保水性及び断熱性に優れている繊維製品を製造することができる。
(タンパク質繊維)
本実施形態のタンパク質繊維は、フィブロインからなるフィブロイン部と、該フィブロイン部の内部に存在し、水溶性タンパク質からなる水溶性タンパク質部とを有する。タンパク質繊維の構造は特に限定されないが、例えば図1の模式図に示した構造を有し得る。
本実施形態のタンパク質繊維は、フィブロインからなるフィブロイン部と、該フィブロイン部の内部に存在し、水溶性タンパク質からなる水溶性タンパク質部とを有する。タンパク質繊維の構造は特に限定されないが、例えば図1の模式図に示した構造を有し得る。
水溶性タンパク質が、セリシン1、セリシン2、セリシン3、フィブリノーゲン、及びコラーゲンからなる群から選択されることが好ましい。より具体的には、セリシン1(Bombyx mori):NM_001044041.1、セリシン2(Bombyx mori):NM_0011728161.1、セリシン3(Bombyx mori):NM_001114644.1、フィブリノーゲン(Anopheles stephensi):EF594047.1、フィブリノーゲン (Bos taurus):X15556.1、コラーゲン(Caenorhabditis elegans):X51623.1及びコラーゲンコラーゲン(Drosophila melanogaster)NM_164615.2からなる群から選択されることが好ましい。このうち、配列番号2のアミノ酸配列を有するセリシン3が特に好ましい。また、水溶性タンパク質としては、ワイルドタイプのタンパク質であっても、突然変異のものであってもよい。このような突然変異の水溶性タンパク質は、好ましくはワイルドタイプのものとアミノ酸配列において90%以上の同一性、より好ましくは95%以上の同一性、さらに好ましくは98%以上の同一性を有する。
タンパク質繊維の作製方法は、特に限定されないが、遺伝子組換えカイコを用いた場合、タンパク質繊維を容易に作製できるため好ましい。このような遺伝子組換えカイコとしては後述のものが好ましい。遺伝子組換えカイコによって作られる絹糸は、外側が中部絹糸腺で作られたセリシンからなり、内側は後部絹糸腺で作られたフィブロイン部と水溶性タンパク質部とを有するタンパク質繊維からなる。なお本明細書において、水溶性タンパク質はセリシンであり得るため、外側のセリシンを「外側セリシン」といい、内側のセリシンを「内側セリシン」といい、区別する場合がある。
上記遺伝子組換えカイコによって作られる絹糸の構造は、これらに限定されないが、図1のA〜Cに示す断面の模式図を有することが好ましい。Aは、水溶性タンパク質がフィブロインの内側に芯となって存在する構造を図示しており、Bは、水溶性タンパク質はフィブロインの内側に散在している構造を図示しており、Cは、水溶性タンパク質はフィブロインと混在している構造を図示している。Cの場合は、水溶性タンパク質はフィブロインの内側のみならず、表面にも存在する。同じカイコによって作られた絹糸であっても、A〜Cの構造のうち2種以上の組み合わせが存在し得る。また、水溶性タンパク質は絹糸の長手方向において連続的であっても断続的であってもよい。さらに、遺伝子組換えカイコにおいて、水溶性タンパク質の発現量等を調節することで、タンパク質繊維の内部構造を変更し得る。
タンパク質繊維において、フィブロイン部と水溶性タンパク質部との重量比は、特に限定しないが、保水性及び強度維持の観点から、フィブロイン部と水溶性タンパク質部との合計重量を100重量%とする場合、フィブロイン部が70%〜95%であることが好ましく、80%〜90%であることがより好ましい。この重量比は、例えば遺伝子組換えカイコにおける水溶性タンパク質の発現量によって調節することができる。
タンパク質繊維において、フィブロイン部の内部にクモ糸タンパク質がさらに存在することが好ましい。クモ糸タンパク質としては、所望の機能性によって選択し得る。例えば、牽引糸を構成する主要タンパク質である、大瓶状腺スピドロイン(Major Ampullate Spidroin:MaSp)が存在する絹糸は、MaSpを含まない絹糸に比べてより高い強度を有し得る。これまでに、クロゴケグモ(Latrodectus hesperus)、ハイイロゴケグモ(Latrodectus geometricus)、北米ジョロウグモ(Nephila clavipes)、ジョロウグモ(Nephila clavata)等、種々のクモのMaSpタンパク質及びその遺伝子配列が知られているが、中でも特に配列番号4に示すアミノ酸配列を有する、コガネグモ属ナガコガネグモ(Argiope bruennichi)において、牽引糸(又は縦糸)タンパク質の主成分であるMaSp1(大瓶状腺スピドロイン1)タンパク質が、強度増強の観点から好ましく用いられる。
図1には、クモ糸タンパク質は、フィブロインの内側に散在する構造しか示していないが、クモ糸タンパク質も水溶性タンパク質と同様に、フィブロインの内側に芯となって存在してもよく、また、フィブロインの内側のみならず表面にも存在してよい。クモ糸タンパク質の含有量は、所望の性能(例えば、強度)を達成できる量であればよく、例えばMaSp1(大瓶状腺スピドロイン1)の場合、強度の観点から、フィブロイン部と水溶性タンパク質部との合計重量を100重量%とする場合、MaSp1が10%〜50%であることが好ましく、30%〜50%であることがより好ましい。この重量比は、遺伝子組換えカイコにおけるクモ糸タンパク質の発現量によって調節することができる。
タンパク質繊維は、保水性が高いため、従来品より保水性(保温性)に優れたシルクストッキングやシルク靴下、または肌着や着物等に応用することができる。タンパク質繊維は、さらにクモ糸タンパク質を含むことで強度も高い製品を作ることができる。また、タンパク質繊維を用いて、後述の多孔質タンパク質繊維を製造することができ、この多孔質タンパク質繊維は、保水性及び断熱性が求められる製品、例えば放射線を通しにくい宇宙服や、シルクパウダー等に好適に用いることができる。
タンパク質繊維から製造される繊維製品としては、例えば肌着、ストッキング、靴下、手袋、手術用縫合糸、さらにはシルクパウダーが挙げられる。
(多孔質タンパク質繊維)
本実施形態の多孔質タンパク質繊維は、上記タンパク質繊維における水溶性タンパク質の少なくとも一部が除去されたタンパク質繊維である。フィブロイン部の内部において、水溶性タンパク質が除去された部分において中空となり、多孔質のタンパク質繊維を形成することができる。
本実施形態の多孔質タンパク質繊維は、上記タンパク質繊維における水溶性タンパク質の少なくとも一部が除去されたタンパク質繊維である。フィブロイン部の内部において、水溶性タンパク質が除去された部分において中空となり、多孔質のタンパク質繊維を形成することができる。
多孔質タンパク質繊維の構造は、水溶性タンパク質が除去される前のタンパク質繊維の構造又は水溶性タンパク質の除去程度によって様々な構造を有し得る。例えば、図1のBに示すような水溶性タンパク質がフィブロインの内側に散在している構造を有する原料タンパク質繊維(図2のA及びC)の場合、図2のB及びDに示す断面の模式図を有し得る。B及びDから分かるように、一部の水溶性タンパク質が存在していた場所が空洞になっている。また、水溶性タンパク質が除去される前のタンパク質繊維(図3のA)及び除去後の多孔質タンパク質繊維(図3のB)の表面を示す模式図は図3に示している。凹みは表面に存在していた水溶性タンパク質が除去されたことによって形成されたものである。
水溶性タンパク質の除去は、特に限定されないが、例えばマルセル石鹸等の方法が挙げられるが、繊維の精練は通常に行われる工程であるため、タンパク質繊維を精練することにより水溶性タンパク質の除去を行われることが更なる工程を必要とせず好ましい。タンパク質繊維の精練の方法は、一般に行われている方法であればよく、例えば松本陽一・土屋幾雄・久間秀彦「絹紡複合糸における生糸の精練効果」日蚕雑56(6),483−488(1987)に記載の方法が挙げられる。具体的な手順は、例えば、(1)沸騰したマルセル石鹸0.5%溶液中にて30分間浸漬撹拌して煮る;(2)30〜40℃の0.04%のNaHCO3溶液にて洗浄する;(3)30〜40℃の温水にて洗浄する;(4)手順1〜3をさらに2〜3回繰り返す(計3〜4回);(5)最後に湿った繊維を37℃で一晩乾燥させる、ことが挙げられる。
精練によって、タンパク質繊維における水溶性タンパク質の少なくとも一部が除去される。水溶性タンパク質の除去程度は、精練の条件によって調節し得る。また、一部フィブロインの表面に露出した水溶性タンパク質は容易に除去されるが、完全にフィブロインの内部に閉じ込められた等の存在状態によって、水溶性タンパク質は精練によっても除去されない場合がある。なお、カイコによって作られた外側セリシンを有する絹糸の場合は、精練によって外側セリシンは除去される。
図2のB及びDに示すように、水溶性タンパク質の一部が除去された多孔質タンパク質繊維は、空洞を有することで、軽量で断熱性・保温性に優れる一方で、除去されずに残った水溶性タンパク質を含むことで保水性にも優れる。さらに、図2のDに示すように、クモ糸タンパク質を含むことで、更なる機能性、例えば高い強度を備えることができる。このような多孔質タンパク質繊維は、例えば放射線を通しにくい宇宙服の素材や、シルクパウダー等の化粧品原料等に好適に用いられる。
多孔質タンパク質繊維から製造される繊維製品としては、例えば肌着、ストッキング、靴下、手袋、手術用縫合糸、さらにはシルクパウダーが挙げられる。
(組換えカイコ)
本実施形態の組換えカイコは、水溶性タンパク質がフィブロインと共にカイコの後部絹糸腺において生成されるよう、該水溶性タンパク質をコードする核酸が遺伝子導入されたものである。なお、「カイコ」とは、カイコガ属カイコ(Bombyx mori)をいう。カイコは、実験用の品種であっても、実用商品化された実用品種であってもよい。また、「組換えカイコ」とは、遺伝子組換えにより外来遺伝子がカイコ染色体に導入され、形質転換されたカイコをいう。
本実施形態の組換えカイコは、水溶性タンパク質がフィブロインと共にカイコの後部絹糸腺において生成されるよう、該水溶性タンパク質をコードする核酸が遺伝子導入されたものである。なお、「カイコ」とは、カイコガ属カイコ(Bombyx mori)をいう。カイコは、実験用の品種であっても、実用商品化された実用品種であってもよい。また、「組換えカイコ」とは、遺伝子組換えにより外来遺伝子がカイコ染色体に導入され、形質転換されたカイコをいう。
遺伝子組換え用水溶性タンパク質及びこれらをコードする核酸は、上述のとおりである。使用される核酸は、上記の水溶性タンパク質の塩基配列を有するものであれば、人工合成により得たものでもよく、ゲノムライブラリー又はcDNAライブラリーから得たものでもよく、これらのものをPCRで増幅したものや制限酵素で切り出したものでもよい。また、水溶性タンパク質をコードする核酸としては、ワイルドタイプの核酸であっても、突然変異のものであってもよい。このような突然変異の核酸は、好ましくはワイルドタイプのものと核酸配列において90%以上の同一性、より好ましくは95%以上の同一性、さらに好ましくは98%以上の同一性を有する。
遺伝子組換えカイコは、水溶性タンパク質がフィブロインと共にカイコの後部絹糸腺において生成できるものであれば、これらの水溶性タンパク質をコードする核酸が遺伝子導入の形態は制限されない。ゲノムDNAに組み込まれた安定的なものであってもよく、一過的な発現であってもよい。遺伝子組み換えはトランスポゾンを用いる方法により行うが、外来遺伝子をカイコに導入できる方法であれば制限はなく、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、遺伝子銃等の他の方法によって遺伝子組み換えを行ってもよい。
ベクターやプラスミドによる形質転換の場合、使用されるベクターやプラスミドは特に限定されないが、導入効率の観点から、piggyBacが好ましく用いられる。発現をコントロールするためのプロモーターも特に限定されないが、カイコ後部絹糸腺のみに発現させるために、カイコフィブロインH鎖遺伝子プロモーター、カイコフィブロインL鎖遺伝子プロモーター、又はカイコフィブロインp25遺伝子プロモーターが好ましく用いられる。また、スクリーニングを容易にするためにリポーター遺伝子、マーカー遺伝子又は薬剤耐性遺伝子を用いてもよい。
遺伝子組換えカイコは、クモ糸タンパク質がカイコの後部絹糸腺においてさらに生成されるよう、該クモ糸タンパク質をコードする核酸が遺伝子導入されたものであることが好ましい。クモ糸タンパク質は、上述のとおりである。そのうち、特に配列番号3に示す核酸配列を有する、MaSp1(大瓶状腺スピドロイン1)タンパク質の遺伝子が、強度増強の観点から好ましく用いられる。
形質転換に使用するベクターにおいて、水溶性タンパク質遺伝子の長さを、例えば1〜4倍に変えてもよい。また、水溶性タンパク質遺伝子とクモ糸タンパク質遺伝子との導入比率は、5:1〜1:5であることが好ましく、2:1〜1:2であることがより好ましい。この導入比率を調節することによって、得られるタンパク質繊維における水溶性タンパク質とクモ糸タンパク質との発現量の比率、そして、タンパク質繊維の構造及び物性を調節し得る。
(絹糸及び繊維製品)
本実施形態の絹糸は、上記組換えカイコにより作られたものである。絹糸は、外側セリシンと、内側の、フィブロインからなるフィブロイン部と、該フィブロイン部の内部に存在し、水溶性タンパク質からなる水溶性タンパク質部とを有する、タンパク質繊維とからなる。内側のタンパク質繊維はクモ糸タンパク質も含み得る。
本実施形態の絹糸は、上記組換えカイコにより作られたものである。絹糸は、外側セリシンと、内側の、フィブロインからなるフィブロイン部と、該フィブロイン部の内部に存在し、水溶性タンパク質からなる水溶性タンパク質部とを有する、タンパク質繊維とからなる。内側のタンパク質繊維はクモ糸タンパク質も含み得る。
絹糸によって、保水性及び/又は断熱性・保温性に優れた繊維製品を製造することができる。なお、本明細書において、「繊維製品」とは、タンパク質繊維を利用して製造した製品をいい、シルクパウダーのような繊維の形を有さない製品であってもよい。繊維製品としては、例えば肌着、ストッキング、靴下、手袋、手術用縫合糸、さらにはシルクパウダーが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1 クモ糸タンパク質をコードする核酸が遺伝子導入されたカイコの作製
(クモ遺伝子)
コガネグモ属ナガコガネグモ(Argiope bruennichi)において、牽引糸(又は縦糸)タンパク質の主成分であるMaSp1(大瓶状腺スピドロイン1)タンパク質をコードする核酸(配列番号3)の塩基配列を有する核酸を含むベクターを利用し、上記核酸の両端にマッチするプライマーを設計し、PCR法によりクモ遺伝子を取得した。プライマーには、次の遺伝子操作をするために、あらかじめ適当な制限酵素サイトを設けた。具体的には、フォワードプライマーとしてMaSp1FW:5’−CGACTCACTATAGGGAATTCCTTAACTAGTGGAGCAGCC−3’(配列番号5)を用い、リバースプライマーとしてMaSp1RV:5’−GACAATCCGTATACCAAGCTTTCTCTGCTAGCTAG−3’(配列番号6)を用いた。
(クモ遺伝子)
コガネグモ属ナガコガネグモ(Argiope bruennichi)において、牽引糸(又は縦糸)タンパク質の主成分であるMaSp1(大瓶状腺スピドロイン1)タンパク質をコードする核酸(配列番号3)の塩基配列を有する核酸を含むベクターを利用し、上記核酸の両端にマッチするプライマーを設計し、PCR法によりクモ遺伝子を取得した。プライマーには、次の遺伝子操作をするために、あらかじめ適当な制限酵素サイトを設けた。具体的には、フォワードプライマーとしてMaSp1FW:5’−CGACTCACTATAGGGAATTCCTTAACTAGTGGAGCAGCC−3’(配列番号5)を用い、リバースプライマーとしてMaSp1RV:5’−GACAATCCGTATACCAAGCTTTCTCTGCTAGCTAG−3’(配列番号6)を用いた。
(カイコフィブロインH鎖遺伝子プロモーター配列)
カイコフィブロインH鎖遺伝子プロモーター配列は、同遺伝子の配列(GeneBank登録番号AF226688)に基づいて設計したプライマーを用い、通常のカイコゲノムDNA(BACクローントータルゲノム)をテンプレートとし、PCR法により増幅した。具体的には、フォワードプライマーとして制限酵素HindIIIサイトを含むPfibH5’:5’−AAGCTTGTTGTACAAAACTGCC−3’(配列番号7)を用い、リバースプライマーとしてSpeIサイトを含むPfibH3’:5’−TGCAGCACTAGTGCTGAAATCGCT−3’(配列番号8)を用いた。
カイコフィブロインH鎖遺伝子プロモーター配列は、同遺伝子の配列(GeneBank登録番号AF226688)に基づいて設計したプライマーを用い、通常のカイコゲノムDNA(BACクローントータルゲノム)をテンプレートとし、PCR法により増幅した。具体的には、フォワードプライマーとして制限酵素HindIIIサイトを含むPfibH5’:5’−AAGCTTGTTGTACAAAACTGCC−3’(配列番号7)を用い、リバースプライマーとしてSpeIサイトを含むPfibH3’:5’−TGCAGCACTAGTGCTGAAATCGCT−3’(配列番号8)を用いた。
(カイコフィブロインH鎖遺伝子にあるフィブロンL鎖結合サイト)
カイコフィブロインH鎖遺伝子にあるフィブロンL鎖結合サイト(LBS)配列、同遺伝子の配列(GeneBank登録番号AF226688)に基づいて設計したプライマーを用い、通常のカイコゲノムDNA(BACクローントータルゲノム)をテンプレートとし、PCR法により増幅した。具体的には、フォワードプライマーとして、NheIサイトを含むLBS−FW:5’−CTAGCTAGCAGTTACGGAGCTGGCAGGG−3’(配列番号9)を用い、リバースプライマーとして、BamHIサイトを含むLBS−RV:5’−CGGGATCCTAGTACATTCAAATAAAATGCATAC−3’(配列番号10)を用いた。
カイコフィブロインH鎖遺伝子にあるフィブロンL鎖結合サイト(LBS)配列、同遺伝子の配列(GeneBank登録番号AF226688)に基づいて設計したプライマーを用い、通常のカイコゲノムDNA(BACクローントータルゲノム)をテンプレートとし、PCR法により増幅した。具体的には、フォワードプライマーとして、NheIサイトを含むLBS−FW:5’−CTAGCTAGCAGTTACGGAGCTGGCAGGG−3’(配列番号9)を用い、リバースプライマーとして、BamHIサイトを含むLBS−RV:5’−CGGGATCCTAGTACATTCAAATAAAATGCATAC−3’(配列番号10)を用いた。
(遺伝子組換え用ベクタープラスミドの作製)
上記カイコフィブロインH鎖プロモーター配列(PFibH)、クモ遺伝子配列(MaSp)及びカイコフィブロインH鎖遺伝子にあるフィブロンL鎖結合サイト(LBS)を順に連結しクモ遺伝子発現カセットとした。ここで、PFibHとMaSpとをSpeI制限酵素で連結し、MaSpとLBSとをNheIで連結した。このクモ遺伝子発現カセットを、piggyBacトランスポゾンを含むベクタープラスミドに挿入し、遺伝子組換え用ベクタープラスミドとした(pBacPFibH−MaSp−LBSと命名した)。
上記カイコフィブロインH鎖プロモーター配列(PFibH)、クモ遺伝子配列(MaSp)及びカイコフィブロインH鎖遺伝子にあるフィブロンL鎖結合サイト(LBS)を順に連結しクモ遺伝子発現カセットとした。ここで、PFibHとMaSpとをSpeI制限酵素で連結し、MaSpとLBSとをNheIで連結した。このクモ遺伝子発現カセットを、piggyBacトランスポゾンを含むベクタープラスミドに挿入し、遺伝子組換え用ベクタープラスミドとした(pBacPFibH−MaSp−LBSと命名した)。
図4は、遺伝子組換え用ベクタープラスミドの構造を示す模式図である。Aは、クモ糸タンパク質遺伝子組換え用ベクタープラスミド(pBacPFibH−MaSp−LBS)の構造を示す模式図である。図4中の記号は以下のものを意味する。なお、マーカー遺伝子として、カイコ細胞質アクチン遺伝子BmA3のプロモーターによって制御された赤色蛍光タンパク質(DsRed)遺伝子を用いた。
PFibH:カイコフィブロインH鎖遺伝子プロモーター配列
Ser3:カイコセリシン3の遺伝子配列
MaSp:クモ遺伝子配列
LBS:カイコフィブロインH鎖遺伝子にあるフィブロンL鎖結合サイト配列
MK:マーカー遺伝子配列
L:piggyBacトランスポゾンLハンド
R:piggyBacトランスポゾンRハンド
PFibH:カイコフィブロインH鎖遺伝子プロモーター配列
Ser3:カイコセリシン3の遺伝子配列
MaSp:クモ遺伝子配列
LBS:カイコフィブロインH鎖遺伝子にあるフィブロンL鎖結合サイト配列
MK:マーカー遺伝子配列
L:piggyBacトランスポゾンLハンド
R:piggyBacトランスポゾンRハンド
(組換えカイコの作製)
上記遺伝子組換え用ベクタープラスミドを、大腸菌で増殖させ、「QIAGEN plasmid Midi Kit」((株)キアゲン社製)を用い、キットに添付したマニュアルに従って精製した。トランスポゼースタンパク質遺伝子を含むヘルパープラスミドも上記の方法で精製した。精製した上記のプラスミドDNAをTEバッファーで溶解し、遺伝子組換え用ベクタープラスミドDNAとヘルパープラスミドDNAを1対1の比で混和し、エタノール沈殿を行った。最後に、この混和DNAを400ng/μlの濃度になるように、5mMのKClを含むpH7のリン酸バッファーで調製した。これを産後3〜6時間のカイコ卵に顕微鏡の下で注射した。
上記遺伝子組換え用ベクタープラスミドを、大腸菌で増殖させ、「QIAGEN plasmid Midi Kit」((株)キアゲン社製)を用い、キットに添付したマニュアルに従って精製した。トランスポゼースタンパク質遺伝子を含むヘルパープラスミドも上記の方法で精製した。精製した上記のプラスミドDNAをTEバッファーで溶解し、遺伝子組換え用ベクタープラスミドDNAとヘルパープラスミドDNAを1対1の比で混和し、エタノール沈殿を行った。最後に、この混和DNAを400ng/μlの濃度になるように、5mMのKClを含むpH7のリン酸バッファーで調製した。これを産後3〜6時間のカイコ卵に顕微鏡の下で注射した。
注射した卵をG0世代とし、G0世代が成長したガはG0ガと呼び、G0ガを親として産まれる卵はG1卵とする。G0ガを未注射のガと交尾させ、G1卵を採取し、催青期のG1卵について、蛍光顕微鏡の下で蛍光の発する個体(ポジティブ卵)をスクリーニングした(図5)。図5中、Aは卵、Bは幼虫、Cは蛹、D及びEは成虫(カイコガ)である。遺伝子組換えカイコは目が光っていることが確認された。
(インバースPCRによるクモ遺伝子の挿入及びその位置の確認)
カイコのゲノムDNAは、公知の方法(Sambrook and Maniatis,Molecular Cloning−A Laboratory Manualを参照)で抽出した。ゲノムDNAは制限酵素HaeIIIにより切断した後、セルフライゲーションされた。これをテンプレートとし、piggyBacの左右ハンドにそれぞれマッチする2ペアのプライマーを用い、挿入位置のカイコゲノム配列を含む断片を送付し、配列を同定した。具体的には、レフトハンドフォワードプライマーとしてBacLF(5’−CTTGACCTTGCCACAGAGGACTATTAGAGG−3’)(配列番号11)を用い、レフトハンドリバースプライマーとしてBacLR(5’−CAGTGACACTTACCGCATTGACAAGCACGC−3’)(配列番号12)を用い、ライトハンドフォワードプライマーとして(5’−CCTCGATATACAGACCGATAAAACACATG−3’)(配列番号13)を用い、ライトハンドリバースプライマーとして(5’−GTCAGTCAGAAACAACTTTGGCACATATC−3’)(配列番号14)を用いた。配列番号15は、クモ遺伝子発現カセットが挿入された位置の右側(下流側)のカイコゲノム配列を示す。
カイコのゲノムDNAは、公知の方法(Sambrook and Maniatis,Molecular Cloning−A Laboratory Manualを参照)で抽出した。ゲノムDNAは制限酵素HaeIIIにより切断した後、セルフライゲーションされた。これをテンプレートとし、piggyBacの左右ハンドにそれぞれマッチする2ペアのプライマーを用い、挿入位置のカイコゲノム配列を含む断片を送付し、配列を同定した。具体的には、レフトハンドフォワードプライマーとしてBacLF(5’−CTTGACCTTGCCACAGAGGACTATTAGAGG−3’)(配列番号11)を用い、レフトハンドリバースプライマーとしてBacLR(5’−CAGTGACACTTACCGCATTGACAAGCACGC−3’)(配列番号12)を用い、ライトハンドフォワードプライマーとして(5’−CCTCGATATACAGACCGATAAAACACATG−3’)(配列番号13)を用い、ライトハンドリバースプライマーとして(5’−GTCAGTCAGAAACAACTTTGGCACATATC−3’)(配列番号14)を用いた。配列番号15は、クモ遺伝子発現カセットが挿入された位置の右側(下流側)のカイコゲノム配列を示す。
(SDS−PAGEによる絹糸のタンパク質分析)
遺伝子組換えカイコが作製した繭を切取り、1mgの繭片に対して50μlの60%LiSCNを加えて振動させ、室温下で2時間静置し、タンパク質を可溶化した。その後、15000rpmで遠心して不溶部分を除き、SDS−PAGEにより、上層の溶液中の遺伝子組換えカイコが作製した絹糸における各種タンパク質を分離した。その結果を図6に示した。
遺伝子組換えカイコが作製した繭を切取り、1mgの繭片に対して50μlの60%LiSCNを加えて振動させ、室温下で2時間静置し、タンパク質を可溶化した。その後、15000rpmで遠心して不溶部分を除き、SDS−PAGEにより、上層の溶液中の遺伝子組換えカイコが作製した絹糸における各種タンパク質を分離した。その結果を図6に示した。
図6中、TGは組換えカイコを示し、WTはワイルドタイプのカイコを示し、FibHはカイコフィブロインH鎖を示し、MaSpはクモ糸タンパク質を示し、FibLはカイコフィブロインL鎖を示す。左からレーン1にはHMW分子量マーカーを流し、レーン2〜レーン6には組換えカイコが作製した絹糸のタンパク質を含む上記上層の溶液をそれぞれ2μL、5μL、10μL、15μL、及び20μL流し、レーン7〜レーン11にはコントロールとしてワイルドタイプが作製した絹糸のタンパク質を含む上層の溶液をそれぞれ2μL、5μL、10μL、15μL、及び20μL流した。分離結果から、絹糸タンパク質中のクモ糸タンパク質の含有率を計算したところ、22.5%であった。
(ウェスタンブロットによる絹糸のタンパク質分析)
ナガコガネグモ(Argiope bruennichi)の大瓶状腺から抽出したタンパク質を用いて、MaSpタンパク質の検出用抗体を作製した(Kitayama Labes社)。
ナガコガネグモ(Argiope bruennichi)の大瓶状腺から抽出したタンパク質を用いて、MaSpタンパク質の検出用抗体を作製した(Kitayama Labes社)。
MaSp遺伝子を導入した組換えカイコによって発現したMaSpタンパク質の検出は、普通繭(ワイルドタイプ)をコントロールとし、組換えカイコの繭から溶かし出したタンパク質を用いて行った。繭をなるべく細かく切り、10mgの繭片に対して0.5ml60%LiSCN加え、10分間激しく振動した。その後、室温で2時間ゆっくり混和しながら、可溶化し、15000rpm,室温で10分間遠心した。上清に四倍量の変性バッファー(10mMTrisCl,pH8.0,2%SDS,5%β−mercaptoethyanol)で薄め、繭タンパク質サンプルとした。繭タンパク質サンプルに5×SDSサンプルバッファー(62.5mM Tris Cl,1%SDS,5%Glycerol,2%β−mercaptoethyanol,少量なBrom Phenol Blue)を1×になるよう加え、100℃5分間処理し、SDS−PAGEサンプルとした。
0.1%のSDSを含むアクリルアミドゲルで絹のタンパク質を電気泳動した。電気泳動で分離したタンパク質をImmobilon(商標)Transfer Membranes(MILLIPORE Corporation,USA)に転写した。膜は、室温でタンパク質ブロッキング溶液(5%スキムミルク−PBST(137mMNaCl,2.7mMKCl,1.5mMKH2PO4,8.1mMNa2HPO4,1%Tween−20))を30分間ブロックした。PBSTで軽く2回リンスの後、PBSTで5000倍希釈したrat anit−MaSpポリクローナル抗体と30分反応させた。PBSTで2回軽くリンスした後、1cm2膜に4mlのPBSTで15分間一回、5分間3回洗浄した。PBSTで5万倍希釈したHRP 標識goat anti rat抗体(ZYMED(登録商標)LABORATORIES Inc. San Francisco,USA)と30分間反応させ、PBSTで2回軽くリンスした後、1cm2膜に4mlのPBSTで15分間一回、5分間3回洗浄した。発光検出はECL PLUS Western Blotting Detection Reagents(Amersham Biosciences)のプロトコールに従って行った。その結果を図7に示した。
図7中、TGは組換えカイコを示し、WTはワイルドタイプのカイコを示す。図7から、MaSp遺伝子を導入した繭からのみMaSpタンパク質を特異的に検出したことが判明した。
(絹糸の物性解析)
遺伝子組換えカイコが作製した繭を40℃の温水に1分間漬け、毛羽を除き、丁寧に糸を採取し、20℃、65%RHの条件で一昼夜馴致したものをサンプルとした。得られたサンプルについて、「AUTOGRAPH AGS−J」(島津製作所製)を用いて、20℃、65%RHの標準条件下で引っ張り試験を行った。コントロールとして、遺伝子組換えを行っていないカイコ(ワイルドタイプカイコ)が作製した絹糸についても、同様に引っ張り試験を行った。その結果、コントロール(非組換えカイコ)の絹糸の強度が397.0MPa(3.49g/d)であったのに対して、遺伝子組換えカイコが作製した絹糸の強度は489.2MPa(4.27g/d)と、22.35%も増強していた。これは、遺伝子組換えカイコが作製したタンパク質繊維中にクモ糸タンパク質が含まれる結果であると考えられる。
遺伝子組換えカイコが作製した繭を40℃の温水に1分間漬け、毛羽を除き、丁寧に糸を採取し、20℃、65%RHの条件で一昼夜馴致したものをサンプルとした。得られたサンプルについて、「AUTOGRAPH AGS−J」(島津製作所製)を用いて、20℃、65%RHの標準条件下で引っ張り試験を行った。コントロールとして、遺伝子組換えを行っていないカイコ(ワイルドタイプカイコ)が作製した絹糸についても、同様に引っ張り試験を行った。その結果、コントロール(非組換えカイコ)の絹糸の強度が397.0MPa(3.49g/d)であったのに対して、遺伝子組換えカイコが作製した絹糸の強度は489.2MPa(4.27g/d)と、22.35%も増強していた。これは、遺伝子組換えカイコが作製したタンパク質繊維中にクモ糸タンパク質が含まれる結果であると考えられる。
実施例2 セリシン3遺伝子が挿入された遺伝子組換え用ベクタープラスミドの構築
(カイコセリシン3遺伝子)
カイコ(Bombyx mori)の後部絹糸腺細胞からTotal RNA(Trizol;Invitrozen)を抽出し、cDNAを合成した。Gene Bankに記載されたカイコセリシン3遺伝子(アクセッション番号:NM_001114644.1)(配列番号1)の配列を参考にし、制限酵素SpeIサイトを含む上流プライマーSer3(SpeI):5’−ATACTAGTGAATCTAGACCGAGACGCTGCG−3’(配列番号16)と、制限酵素NheIサイトを含む下流プライマーSer3(NheI):5’−GAGCTAGCATAGGCCTCGGTCTTCTCTTCGAAGTTCAC−3’(配列番号17)とを設計した。上記cDNAをテンプレートに上記プライマーセットを用いてPCRを行い、カイコセリシン3遺伝子を増幅した。
(カイコセリシン3遺伝子)
カイコ(Bombyx mori)の後部絹糸腺細胞からTotal RNA(Trizol;Invitrozen)を抽出し、cDNAを合成した。Gene Bankに記載されたカイコセリシン3遺伝子(アクセッション番号:NM_001114644.1)(配列番号1)の配列を参考にし、制限酵素SpeIサイトを含む上流プライマーSer3(SpeI):5’−ATACTAGTGAATCTAGACCGAGACGCTGCG−3’(配列番号16)と、制限酵素NheIサイトを含む下流プライマーSer3(NheI):5’−GAGCTAGCATAGGCCTCGGTCTTCTCTTCGAAGTTCAC−3’(配列番号17)とを設計した。上記cDNAをテンプレートに上記プライマーセットを用いてPCRを行い、カイコセリシン3遺伝子を増幅した。
(遺伝子組換え用ベクタープラスミドの作製)
ベクターpiggyBac3×P3−DsRedは使用された。DsRed遺伝子はカイコ(B.mori)細胞質アクチン遺伝子BmA3のプロモーターによって制御された。カイコフィブロンH鎖の遺伝子プロモーターを、実施例1と同様に、通常のカイコゲノムDNA(BACクローントータルゲノム)をテンプレートとし、配列番号7と配列番号8のプライマーセットを用いて、PCR法により増幅した。HindIIIとSpeIで処理した後、同じ酵素で消化した通用クローニングシャトルベクターpSL1180afに挿入した(pSLPfibHと命名した)。制限酵素SpeIとNheIで処理したカイコセリシン3遺伝子をpSLPfibHベクターに挿入した(pSLFibH−Ser3と命名した)。
ベクターpiggyBac3×P3−DsRedは使用された。DsRed遺伝子はカイコ(B.mori)細胞質アクチン遺伝子BmA3のプロモーターによって制御された。カイコフィブロンH鎖の遺伝子プロモーターを、実施例1と同様に、通常のカイコゲノムDNA(BACクローントータルゲノム)をテンプレートとし、配列番号7と配列番号8のプライマーセットを用いて、PCR法により増幅した。HindIIIとSpeIで処理した後、同じ酵素で消化した通用クローニングシャトルベクターpSL1180afに挿入した(pSLPfibHと命名した)。制限酵素SpeIとNheIで処理したカイコセリシン3遺伝子をpSLPfibHベクターに挿入した(pSLFibH−Ser3と命名した)。
フィブロインH鎖遺伝子にあるフィブロンL鎖結合サイト(LBS)はNheIサイトを持つプライマーLBS5’NheI:5’−TACGGAGCTAGCAGGGGATACGGACAAGGT−3’(配列番号18)とXbaIサイトを持つLBS3’XbaI:5’−CCGCCTCTAGAGTACATTCAAATAAAATGC−3’(配列番号19)を用い、BACクローントータルゲノムからPCRで増幅され、pSLFibSer3のSpeIサイトに挿入された(pSLPFibH−Ser3−LBSと命名した)。
次に、この発現セット(FibH−Ser3−LBS)は、制限酵素FseIで切り出され、hpBac3×P3−DsRedのFseIサイトに挿入された(pBacPFibH−Ser3−LBSと命名した)。このセリシン3遺伝子組換え用ベクタープラスミドの模式図は図4のBに示す。
最後に、実施例1のクモ糸タンパク質遺伝子組換え用ベクタープラスミドであるpBacPFibH−MaSp−LBSから、制限酵素AscIでPFibH−MaSp−LBS発現カセットを切り出し、同じ酵素で処理されたpBacPFibH−Ser3−LBSに挿入した(pBacPFibH−Ser3−LBS―PFibH−MaSp−LBSと命名した)。このセリシン3とクモ糸タンパク質遺伝子組換え用ベクタープラスミドの模式図は図4のCに示す。
上記pSLPFibH−Ser3−LBS及びpBacPFibH−Ser3−LBS―PFibH−MaSp−LBSを実施例1と同様にカイコに導入すれば、セリシン3又はセリシンとクモ糸タンパク質を後部絹糸腺にて発現する遺伝子組み換えカイコを得ることができる。このような遺伝子組み換えカイコを用いれば、本発明のタンパク質繊維を得ることができる。
実施例3 セリシン3遺伝子及び緑色蛍光タンパク質遺伝子が挿入された遺伝子組換え用ベクタープラスミドの構築
マーカー遺伝子として、カイコ細胞質アクチン遺伝子BmA3のプロモーターによって制御された緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を用いたこと以外は、実施例2と同様の方法によって、セリシン3遺伝子及び緑色蛍光タンパク質遺伝子が挿入された遺伝子組換え用ベクタープラスミドを構築した。
マーカー遺伝子として、カイコ細胞質アクチン遺伝子BmA3のプロモーターによって制御された緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を用いたこと以外は、実施例2と同様の方法によって、セリシン3遺伝子及び緑色蛍光タンパク質遺伝子が挿入された遺伝子組換え用ベクタープラスミドを構築した。
実施例1の(組換えカイコの作製)と同様の方法によって、上述の遺伝子組換え用ベクタープラスミドを有する遺伝子組換えカイコを作製した。この遺伝子組換えカイコは、セリシンとGFPを同時に発現するカイコである。そして、上記遺伝子組換えカイコが作製した繭から糸状のタンパク質繊維を取り出し、その断面を蛍光顕微鏡で観察した。その結果を図8に示す。フィブロイン部の内部に対応する箇所においてGFPに由来する緑色の蛍光が観察されていることから、上記遺伝子組換えカイコは、フィブロイン部の内部にセリシンを含むタンパク質繊維を生成することが確認された。
実施例4 多孔質タンパク質繊維の作製
実施例3において得られたタンパク質繊維(以下、「タンパク質繊維3」という場合がある。)を以下の方法で精錬処理し、多孔質タンパク質繊維を作製した。
工程1:タンパク質繊維3を40℃の温水に30分間浸けた。
工程2:上記タンパク質繊維3の糸の質量に対して100倍のマルセル石鹸液(濃度0.2質量%)で、上記タンパク質繊維3を更に2時間浸けた。(沸騰水浴、約95℃)
工程3:上記タンパク質繊維3の糸の質量に対して100倍の0.01%炭酸ナトリウム液で、上記タンパク質繊維3を更に15分間浸けた。(温水浴、約80℃)
工程4:上記タンパク質繊維3の糸の質量に対して100倍の0.005%炭酸ナトリウム液で、上記タンパク質繊維3を更に15分間浸けた。(温水浴、約50℃)
工程5:上記タンパク質繊維3を大量の温水(約40℃)ですすいだ。(約5分間)
工程6:上記タンパク質繊維3を大量の冷水(約20℃)ですすいだ。(約5分間)
工程7:上記タンパク質繊維3を80℃で1時間乾燥させることで(乾熱)、多孔質タンパク質繊維を得た。
実施例3において得られたタンパク質繊維(以下、「タンパク質繊維3」という場合がある。)を以下の方法で精錬処理し、多孔質タンパク質繊維を作製した。
工程1:タンパク質繊維3を40℃の温水に30分間浸けた。
工程2:上記タンパク質繊維3の糸の質量に対して100倍のマルセル石鹸液(濃度0.2質量%)で、上記タンパク質繊維3を更に2時間浸けた。(沸騰水浴、約95℃)
工程3:上記タンパク質繊維3の糸の質量に対して100倍の0.01%炭酸ナトリウム液で、上記タンパク質繊維3を更に15分間浸けた。(温水浴、約80℃)
工程4:上記タンパク質繊維3の糸の質量に対して100倍の0.005%炭酸ナトリウム液で、上記タンパク質繊維3を更に15分間浸けた。(温水浴、約50℃)
工程5:上記タンパク質繊維3を大量の温水(約40℃)ですすいだ。(約5分間)
工程6:上記タンパク質繊維3を大量の冷水(約20℃)ですすいだ。(約5分間)
工程7:上記タンパク質繊維3を80℃で1時間乾燥させることで(乾熱)、多孔質タンパク質繊維を得た。
上記多孔質タンパク質繊維の断面を顕微鏡によって観察したところ、フィブロイン部の内部に存在するセリシンが除去され、孔が形成されていることが確認できた(図9A)。一方、対照としてワイルドタイプのカイコが作製した絹糸は、精錬処理を行ってもフィブロイン部において孔が形成されないことを確認した(図9B)。
タンパク質繊維3及び多孔質タンパク質繊維の保水性の評価
タンパク質繊維3及び多孔質タンパク質繊維の保水性を以下の方法によって評価した。なお、対照としてワイルドタイプのカイコが作製した絹糸(生糸、精錬糸)を用いた。
工程1:タンパク質繊維3、多孔質タンパク質繊維及び絹糸の各サンプルを、20℃、65%RHの環境で24時間以上放置し、それぞれの質量(W1)を測定した。測定には、Electronic balance(Shimazu Corporation製)を用いて行った。
工程2:W1を測定した各サンプルを140℃で十分に乾燥させた後に、それぞれの質量重量(W2)を測定した。
工程3:各サンプルの含水率を以下の式によって算出した。
サンプルの含水率(質量%)=100×(W1−W2)/W2
タンパク質繊維3及び多孔質タンパク質繊維の保水性を以下の方法によって評価した。なお、対照としてワイルドタイプのカイコが作製した絹糸(生糸、精錬糸)を用いた。
工程1:タンパク質繊維3、多孔質タンパク質繊維及び絹糸の各サンプルを、20℃、65%RHの環境で24時間以上放置し、それぞれの質量(W1)を測定した。測定には、Electronic balance(Shimazu Corporation製)を用いて行った。
工程2:W1を測定した各サンプルを140℃で十分に乾燥させた後に、それぞれの質量重量(W2)を測定した。
工程3:各サンプルの含水率を以下の式によって算出した。
サンプルの含水率(質量%)=100×(W1−W2)/W2
各サンプルの含水率の結果を表1に示す。含水率の測定は3回行い、その平均値を比較した。タンパク質繊維3は、対照である精錬前の絹糸(生糸)に比べて含水率が高いことが分かった。さらに、タンパク質繊維3を精錬処理することで得られた多孔質タンパク質繊維は、対照である精錬後の絹糸(精錬糸)に比べて含水率が高いことが分かった。これらの結果から、上記タンパク質繊維3及び上記多孔質タンパク質繊維は保水性に優れることが分かった。
Claims (10)
- フィブロインからなるフィブロイン部と、該フィブロイン部の内部に存在し、水溶性タンパク質からなる水溶性タンパク質部とを有する、タンパク質繊維。
- 前記水溶性タンパク質が、セリシン1、セリシン2、セリシン3、フィブリノーゲン、及びコラーゲンからなる群から選択される、請求項1に記載のタンパク質繊維。
- 前記フィブロイン部の内部にクモ糸タンパク質がさらに存在する、請求項1又は2に記載のタンパク質繊維。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のタンパク質繊維における前記水溶性タンパク質の少なくとも一部が除去された、多孔質タンパク質繊維。
- 前記水溶性タンパク質の除去は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のタンパク質繊維を精練することにより行われる、請求項4に記載の多孔質タンパク質繊維。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のタンパク質繊維、或いは請求項4又は5に記載の多孔質タンパク質繊維から製造された、繊維製品。
- 水溶性タンパク質がフィブロインと共にカイコの後部絹糸腺において生成されるよう、前記水溶性タンパク質をコードする核酸が遺伝子導入された、組換えカイコ。
- クモ糸タンパク質がカイコの後部絹糸腺においてさらに生成されるよう、前記クモ糸タンパク質をコードする核酸が遺伝子導入された、請求項7に記載の組換えカイコ。
- 請求項7又は8に記載の組換えカイコにより作られた、絹糸。
- 請求項9に記載の絹糸から製造された、繊維製品。
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