JP2014194194A - アイドルストップ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自車両の周囲の環境も考慮して運転者の停車意図を確実に判定した上で適切にアイドルストップを実行し、優れた省燃費効果を得る。
【解決手段】アイドルストップ制御装置100は、自車両1のエンジンの動作状態を制御するエンジン制御部160と、自車両の走行状態がコースティング状態であるか否かを判定するコースティング判定部156と、自車両前方に位置する信号機において発光している信号色を特定する信号色特定部130と、先行車両の状態を特定する先行車両特定部132と、を備え、エンジン制御部は、走行状態がコースティング状態であるとき、信号色が赤色または黄色であり、かつ、先行車両が無いまたは先行車両が有るが停止もしくは減速している場合に、エンジンを停止させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自車両のエンジンの動作状態を、運転条件に応じて、運転状態と停止状態とで遷移させるアイドルストップ制御装置に関する。
近年、自動車等の車両においては、燃費や排気ガスの低減を目的として、信号待ちや渋滞などで車両が停止すると自動的にエンジンを停止し、また、エンジンの作動が必要になるとエンジンを再始動する所謂アイドルストップ機能についての様々な技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、先行車両との車間距離が設定値未満、または、信号機において発光している信号色が赤色もしくは黄色であり、かつ、自車両の速度が0(ゼロ)の場合、すなわち、交差点等で信号待ちのために停車している場合にアイドルストップを行う。そして、車間距離が設定値以上になるか、または、信号機の色が青色に変化したことをもってエンジンを再始動する技術が示されている。
また、特許文献2では、一層の燃費低減を実現するために、停止状態のみならず、ブレーキ操作による減速走行中に自車両の速度が所定車速を下回るとエンジンを自動的に停止させる技術が公開されている。
特開平7−4284号公報 特開2002−173009号公報
ところで、アイドルストップ時間が短いと燃費の低減効果が小さくなるばかりか、却って燃費が悪化するおそれがある。また、頻繁なエンジン停止と再始動の繰り返しは運転フィーリングや乗り心地を悪化させるだけでなく、スタータモータやリングギヤの劣化、バッテリ消費を招く。そのため、走行中にアイドルストップを実施する場合、アイドルストップ後に運転者がアクセルペダルを踏み込み再加速するような状況、すなわちアイドルストップ実施後、停止に至る前にエンジンを再始動するような状況を避ける必要がある。それ故、上述した特許文献2の技術では、エンジンを自動停止させる速度を例えば10km/hといった低い値に設定しなければならず、燃費低減の効果は限定的となる。
本発明は、このような課題に鑑み、自車両の周囲の環境を考慮して運転者の停車意図を確実に見極めた上で走行中における適切なアイドルストップを実現し、優れた省燃費効果を得ることが可能なアイドルストップ制御装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明のアイドルストップ制御装置は、自車両のエンジンの動作状態を制御するエンジン制御部と、自車両の走行状態がコースティング状態であるか否かを判定するコースティング判定部と、自車両前方に位置する信号機において発光している信号色を特定する信号色特定部と、先行車両の状態を特定する先行車両特定部と、を備え、エンジン制御部は、走行状態がコースティング状態であるとき、信号色が赤色または黄色であり、かつ、先行車両が無いまたは先行車両が有るが停止もしくは減速している場合に、エンジンを停止させることを特徴とする。
上記課題を解決するために、本発明の他のアイドルストップ制御装置は、自車両のエンジンの動作状態を制御するエンジン制御部と、自車両の走行状態がコースティング状態であるか否かを判定するコースティング判定部と、自車両前方に位置する踏切の状態を特定する踏切特定部と、先行車両の状態を特定する先行車両特定部と、を備え、エンジン制御部は、走行状態がコースティング状態であるとき、踏切が遮断状態であり、かつ、先行車両が無いまたは先行車両が有るが停止もしくは減速している場合に、エンジンを停止させることを特徴とする。
自車両の走行方向の走行帯数を特定する走行帯特定部をさらに備え、エンジン制御部は、走行帯数が複数の場合、エンジンの停止を禁止してもよい。
自車両前方への車両の割込を予測する割込予測部をさらに備え、エンジン制御部は、車両の割込が予測された場合、エンジンの停止を禁止してもよい。
自車両が走行している路面の路面勾配を導出する路面勾配導出部をさらに備え、エンジン制御部は、導出した路面勾配に基づいて路面が下り坂であると判定された場合、エンジンの停止を禁止してもよい。
本発明によれば、自車両の周囲の環境も考慮して運転者の停車意図を確実に見極めた上で走行中における適切なアイドルストップを実現し、優れた省燃費効果を得ることが可能となる。
アイドルストップ制御装置の概略的な構成を示した機能ブロック図である。 輝度画像と距離画像を説明するための説明図である。 対象物特定部の動作を説明するための説明図である。 割込予測部の割込車両予測処理を説明するための説明図である。 エンジンの停止状態への遷移条件を説明するための説明図である。 アイドルストップ制御方法の全体的な処理の流れを示したフローチャートである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(車両システム)
自動車等の車両では、エンジン等の駆動機構により動力が得られ、ステアリングホイールやブレーキペダルを通じた運転者の操作により車両の操舵や制動が実行される。また、近年では、車両に搭載した車載カメラを含む車外環境認識ユニットによって自車両の前方の道路環境を撮像し、画像内における色情報や位置情報に基づいて先行車両等の対象物を特定し、特定された対象物との衝突を回避したり、先行車両との車間距離を安全な距離に保つ(ACC:Adaptive Cruise Control)、所謂衝突防止機能を搭載した車両が普及しつつある。また、燃費や排気ガスの低減を目的として、信号待ちや渋滞等で車両が停止すると自動的にエンジンを停止し、また、エンジンの作動が必要になるとエンジンを再始動する所謂アイドルストップ機能を搭載している車両も増加傾向にある。なお、駆動機構、操舵、制動等の車両自体の機能は、様々な既存の文献、例えば、同出願人の特開2012−116299号公報等により開示されている。
ただし、このようなアイドルストップ機能を搭載した車両において、アイドルストップ時間が短いと燃費の低減効果が小さくなり、却って燃費が悪化するおそれがある。また、周囲の環境を考慮せず、所定車速を下回る度にエンジンを停止させていると、頻繁なエンジンの停止と再始動によりスタータモータやリングギヤの劣化やバッテリの消費が進み、また、快適な走行性が損なわれるおそれもある。
そこで、本実施形態では、上述した衝突防止機能における車外環境認識ユニットを利用して自車両の前方の道路環境を考慮し、運転者の停止意図を適切に把握する。そして、このような運転者の停止意図を踏まえ、走行中における適切なアイドルストップを実現し、優れた省燃費効果を得ることを目的とする。以下、このようなアイドルストップ機能を実現するアイドルストップ制御装置100を詳述する。
(アイドルストップ制御装置100)
図1は、アイドルストップ制御装置100の概略的な構成を示した機能ブロック図である。アイドルストップ制御装置100は、自車両1内の他の装置との一方向または双方向の情報交換を行うI/F部と、RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、各機能部の処理に必要な様々な情報を保持するデータ保持部と、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成され、アイドルストップ制御装置100全体を制御する中央制御部とを含んで構成される。また、かかる中央制御部は、I/F部やデータ保持部と協働して、車外環境認識ユニット102と、入力ユニット104と、制御ユニット106として機能する。以下、車外環境認識ユニット102、入力ユニット104、制御ユニット106をそれぞれ説明する。
(車外環境認識ユニット102)
車外環境認識ユニット102は、画像処理部120と、対象物特定部122とを含んで構成され、自車両1の前方の道路環境を撮像した画像データを取得し、当該画像データに基づく画像内における色情報や位置情報に基づいて先行車両等の対象物を特定する。ここで、対象物は、車両、信号機、道路(走行帯)、交通標識、ガードレール、建物といった独立して存在する立体物のみならず、テールランプやウィンカー、信号機の各点灯部分等、立体物の部分として特定できる物も含む。また、車外環境認識ユニット102は、本来、上記衝突防止機能を遂行するために車両に搭載されている。
画像処理部120は、自車両1の前方の検出領域における道路環境を撮像した画像データを、例えば1/60秒のフレーム毎(60fps)に撮像装置10から連続して取得し、画像データの更新を契機として画像処理を遂行する。ここで、撮像装置10は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子を2つ含み、自車両1の進行方向側において2つの撮像素子それぞれの光軸が略平行になるように、略水平方向に離隔して配置される。また、撮像装置10は、カラー画像、すなわち、画素単位で3つの色相(赤:R、緑:G、青:B)の輝度を取得することができる。ここでは、撮像装置10で撮像されたカラー画像を輝度画像と呼び、後述する距離画像と区別する。
図2は、輝度画像210と距離画像212を説明するための説明図である。画像処理部120は、撮像装置10の2つの撮像素子それぞれから画像データを取得すると、所謂パターンマッチングを用いて視差(視差情報)を導き出す。具体的に、図2(a)に示した一方の画像データに基づく輝度画像210から任意に抽出したブロック(例えば水平4画素×垂直4画素の配列)に対応するブロックを、他方の画像データに基づく輝度画像210から検索する。ここで、水平は、撮像した画像の画面横方向を示し、垂直は、撮像した画像の画面縦方向を示す。画像処理部120は、このようにして導出された視差情報(後述する相対距離に相当)を画像データに対応付け、図2(b)に示す距離画像212を生成する。このような距離画像212における各ブロックには、そのブロックの視差が関連付けられている。ここでは、説明の便宜上、距離画像212では視差が導出されたブロックを黒のドットで表している。
図1に戻って説明すると、対象物特定部122は、画像処理部120から輝度画像210と距離画像212とを取得し、輝度画像210に基づく輝度および距離画像212に基づく三次元の位置情報を用いて検出領域214における対象部位(画素やブロック)がいずれの対象物に対応するかを特定する。このとき、対象物特定部122は、距離画像212における、検出領域214内のブロック毎の視差情報を、所謂ステレオ法を用いて、水平距離、高さおよび相対距離を含む三次元の位置情報に変換する。ここで、ステレオ法は、三角測量法を用いることで、対象物の視差からその対象物の撮像装置10に対する相対距離を導出する方法である。このとき、対象物特定部122は、対象部位の相対距離と、対象部位と同相対距離にある道路表面上の点と対象部位との距離画像212上の検出距離とに基づいて、対象部位の道路表面からの高さを導出する。
また、本実施形態において、対象物特定部122は、特定すべき対象物に応じて、信号色特定部130、先行車両特定部132、踏切特定部134、走行帯特定部136、割込予測部138等の各機能部として機能する。信号色特定部130は、自車両1前方に位置する信号機において発光している信号色(赤色、黄色、青色)を特定する。先行車両特定部132は、先行車両の有無、および、先行車両が有る場合に先行車両が停止もしくは減速しているか否か特定する。踏切特定部134は、踏切の遮断状態、すなわち、自車両1前方に位置する踏切の警告灯、または、遮断桿の姿勢を特定する。走行帯特定部136は、自車両1の走行方向の白線や側壁等を境界とする走行帯およびその数(走行帯数)を特定する。割込予測部138は、自車両1前方への車両の割込を予測する。以下、対象物特定部122の上記各機能部について詳述する。
図3は、対象物特定部122の動作を説明するための説明図である。ここでは、対象物特定部122の機能部のうち信号色特定部130による信号機の赤色信号色の特定処理を例に挙げて、その特定手順を説明する。まず、信号色特定部130は、輝度画像210における任意の対象部位の輝度が、対象物(赤色信号色)の輝度範囲(例えば、基準値を輝度(R)として、輝度(G)は基準値(R)の0.5倍以下、輝度(B)は基準値(R)の0.38倍以下)に含まれるか否か判定する。そして、対象となる輝度範囲に含まれれば、その対象部位に当該対象物を示す識別番号を付す。ここでは、図3の拡大図に示すように、対象物(赤色信号色)に対応する対象部位に識別番号「1」を付している。
次に、信号色特定部130は、任意の対象部位を基点として、その対象部位と、水平距離の差分および高さの差分(さらに相対距離の差分を含めてもよい)が所定範囲内にある、同一の対象物に対応するとみなされた(同一の識別番号が付された)対象部位をグループ化し、その対象部位も一体的な対象部位群とする。ここで、所定範囲は実空間上の距離で表され、任意の値(例えば、1.0m等)に設定することができる。また、信号色特定部130は、グループ化により新たに追加された対象部位に関しても、その対象部位を基点として、水平距離の差分および高さの差分が所定範囲内にある、対象物(赤色信号色)が等しい対象部位をグループ化する。結果的に、同一の識別番号が付された対象部位同士の距離が所定範囲内であれば、それら全ての対象部位がグループ化されることとなる。ここでは、図3の拡大図に示すように、識別番号「1」が付された対象部位同士のグループ化された対象部位群220となる。
続いて、信号色特定部130は、グループ化した対象部位群220が、その対象物に関連付けられた高さ範囲(例えば、4.5〜7.0m)、幅範囲(例えば、0.05〜0.2m)、形状(例えば、円形状)等、所定の条件を満たしているか否か判定する。ここで、形状に関しては、予め対象物に関連付けられたテンプレートを参照してその形が比較され(パターンマッチング)、所定値以上の相関があることで条件を満たすと判定される。そして、所定の条件を満たしていれば、そのグループ化された対象部位群220を対象物(赤色信号色)として決定する。また、ここでは、対象物として赤色信号色を特定する例を挙げたが、信号色特定部130が黄色信号色や青色信号色等も特定できることは言うまでもない。
また、対象部位群220が、その対象物特有の特徴を有する場合、その特徴を条件に対象物として決定されてもよい。例えば、信号機の発光体がLED(Light Emitting Diode)で構成されている場合、その発光体は、人の目では把握できない周期(例えば100Hz)で点滅している。したがって、信号色特定部130は、LEDの点滅タイミングと非同期に取得した輝度画像210の対象部位の輝度の時間方向の変化に基づいて対象物(赤色信号色)を決定することもできる。
同様に、対象物特定部122の他の機能部も、輝度画像210に基づく輝度および距離画像212に基づく三次元の位置情報を用い、同様の手順で特定することができる。例えば、先行車両特定部132は、自車両1前方の所定相対距離内に位置する対象物の形状、高さおよび大きさ、ならびに、対象物におけるテールランプやウィンカーの相対位置等に基づいて、先行車両の有無を特定する。踏切特定部134は、その形状、高さ、および、大きさに基づき、自車両1前方に位置する踏切の警告灯を特定したり、また、棒形状および色(黄色と黒色)の組み合わせに基づいて、遮断桿およびその姿勢を特定する。走行帯特定部136は、その形状、大きさ、および、色に基づいて、自車両1の走行方向の白線や側壁等を境界とする走行帯およびその数を特定する。
また、先行車両特定部132は、さらに、自車両1前方の道路環境にある車両のうち、自車両1と同方向に進行している車両それぞれに異なるIDを付す。そして、そのIDによってそれぞれの車両を追尾する。次に、先行車両特定部132は、走行帯特定部136が特定した走行帯を参照し、例えば、自車両1と同一の走行帯に車両が有る場合、その車両の相対速度と絶対加速度とを導出する。同一の走行帯に有る相対速度が所定範囲(例えば、−10〜10km/h)の車両を先行車両とする。ここで、相対速度は、先行車両との相対距離を単位時間で除算して求め、絶対加速度は、当該相対速度に自車両1の速度を加えた絶対速度を単位時間で除算して求めることができる。
なお、先行車両の絶対的な加減速(絶対加速度)を導出する手段としては、様々な既存の技術、例えば、同出願人の特開2012−206700号公報等の技術を利用することができる。
また、上記では、先行車両特定部132は、走行帯特定部136が特定した走行帯に従って先行車両等を追尾しているが、自車両1に所謂ナビゲーションユニットが搭載されている場合、かかるナビゲーションユニットにおける走行帯に従って、各処理を行うとしてもよい。ナビゲーションユニットは、I/F部を介して、GPS受信部(図示せず)から緯度、経度等からなる自車両1の絶対位置を求め、また、速度センサ14、およびジャイロセンサ(図示せず)等により基準位置からの相対位置を求め、その組み合わせにより自車両1の地図上の位置を導出する。また、ナビゲーションユニットには、地図データが保持されており、かかる地図データと、自車両1の地図上の位置とに基づいて、自車両1の走行している道路、その走行帯(複数あれば、その複数の走行帯のうちいずれであるか)を判定することができる。
また、割込予測部138は、自車両1と異なる走行帯に車両が有る場合、その車両の自車両1前方への割込を予測する。
図4は、割込予測部138の割込車両予測処理を説明するための説明図である。図4(a)では、自車両1と同走行帯230に先行車両232が有り、また、同一方向の他の走行帯234に車両236a、236bが有る。例えば、割込予測部138は、先行車両特定部132によって特定された車両のうち、同一方向の他の走行帯234に有る車両236a、236bを対象として割込予測を行う。
まず、割込予測部138は、自車両1の走行軌跡に従って、車両236a、236bの遠方側端部と自車両1との相対距離Lと、先行車両232(手前側端部)と自車両1との相対距離Lとを比較する。かかる比較により車両236a、236bの遠方側端部との相対距離Lが先行車両232との相対距離Lより短ければ、その車両を割込車両の候補とする。これは、他の走行帯234の車両236a、236bの遠方側端部が先行車両232の手前にある場合には、先行車両232と自車両1との間に他の走行帯234の車両236a、236bが割り込むことが可能となるからである。したがって、ここでは、図4(a)の車両236bのみが割込車両の候補となる。
そして、割込予測部138は、かかる割込車両の候補が自車両1の前方に割り込むか否かを予測する。例えば、割込予測部138は、自車両1の走行予定軌跡と割込車両候補である車両236bの走行予定軌跡との距離L、自車両1の走行予定軌跡と割込車両候補である車両236bの走行予定軌跡との距離Lの変化、自車両1の走行予定軌跡と割込車両候補である車両236bの走行予定軌跡とが成す角度θ等から、その車両236bが実際に割り込もうとしている割込車両であるか判定する。例えば、図4(b)のように、自車両1の走行予定軌跡と割込車両候補である車両236bの走行予定軌跡との距離Lが所定閾値以下であったり、自車両1の走行予定軌跡と割込車両候補である車両236bの走行予定軌跡との距離Lが時間の経過に従って近づいていたり、自車両1の走行予定軌跡と割込車両候補である車両236bの走行予定軌跡とが成す角度θの絶対値が所定角度以上となると、車両236bが自車両1の走行予定軌跡に近づいている、すなわち、割込車両であると判断できる。
なお、割込車両予測処理は、様々な既存の技術、例えば、同出願人の特開2008−117073号公報等の技術を利用することができる。
(入力ユニット104)
図1に戻って説明すると、入力ユニット104は、アクセル導出部150と、速度導出部152と、路面勾配導出部154と、コースティング判定部156とを含んで構成される。
アクセル導出部150は、自車両1のアクセルペダル12への踏み込み量を取得し、運転者のアクセルペダル12への操作量を導出する。速度導出部152は、速度センサ14の検出信号を取得し、自車両1の速度を導出する。路面勾配導出部154は、勾配検出センサ16の検出信号を取得し、自車両が走行している路面の路面勾配を導出する。
コースティング判定部156は、アクセルペダル12の操作量が予め定められた閾値(例えば、操作量0または操作量0とみなせる程度低い値)以下、すなわち、アクセルペダル12が開放されているか否か判定する。その結果、アクセルペダル12の操作量が予め定められた閾値以下であれば、自車両1の速度やブレーキペダルの開度に拘らず、その走行状態を、自車両1が慣性で走行しているコースティング状態とする。
(制御ユニット106)
制御ユニット106は、エンジン制御部160を含んで構成される。エンジン制御部160は、予め定められた運転条件に応じて自車両1のエンジン18の動作状態を遷移させる。例えば、エンジン制御部160は、エンジン18の運転状態(駆動状態およびアイドル状態を含む)において、所定のエンジン自動停止条件を満たすと、エンジン18の動作状態を停止状態に遷移させ、その後、エンジン18の再始動条件を満たすと、運転状態に遷移させる。ここで運転状態は、エンジン18を動作させている状態であり、そのうち、駆動状態は、負荷がかかった状態でエンジン18を動作させることをいい、アイドル状態は、スロットルバルブを全閉し、無負荷状態でエンジン18を動作させることをいう。また停止状態とは、エンジン18の点火回路の通電を遮断してエンジン18を自動停止させる状態である。エンジン18の動作状態が停止状態から運転状態に遷移する場合、エンジン18の始動時同様、スタータおよびエンジン点火回路を通電してエンジン18を再始動する。
本実施形態において、エンジン制御部160は、走行状態がコースティング状態であるとき、信号色特定部130が特定した信号色が赤色または黄色であり、かつ、先行車両特定部132が、先行車両が無いと判定したか、または、先行車両が有るが先行車両が停止もしくは減速(絶対加速度が0未満)していると判定した場合に、エンジン18の動作状態を運転状態から停止状態に遷移させる。
このようなコースティング状態において自車両1前方の信号色が赤色または黄色であれば、自車両1を停車する可能性が高くなり、エンジン18を駆動する必要は低くなるが、先行車両が存在する場合は先行車両の運転状態(加減速)によって自車両の運転状態(加減速)も左右されるおそれがある。したがって、自車両1前方の信号色が赤色または黄色であっても先行車が加速している場合はアイドルストップを実行せず、先行車両が存在しない場合、または先行車両は存在するが停止もしくは減速している場合に限り、すなわち自車両1を停車する可能性が極めて高い場合にエンジン制御部160は、エンジン18の動作状態を停止状態に遷移させる。こうして、従来の技術のように低い速度でエンジン18の動作状態を停止状態に遷移させる場合より、エンジン18の停止開始を早いタイミングで行うことが可能となり、その分アイドルストップ時間を増加させることができ、優れた省燃費効果を得ることができる。本実施形態では、走行中のエンジン18の自動停止を従来より早いタイミングで行うことができるが、自車両の周囲の環境を考慮して運転者の停車意図を確実に見極めた上でアイドルストップを実施しているため、アイドルストップ後、停車に至る前にエンジンを再始動するような状況を避けることできる。
また、エンジン制御部160は、信号色のみならず、コースティング状態において、踏切特定部134が特定した踏切の警告灯が点滅状態である、または、遮断桿の姿勢が遮断状態であり、かつ、先行車両が無いまたは先行車両が有るが停止もしくは減速している場合に、エンジン18の動作状態を運転状態から停止状態に遷移させる。
コースティング状態において自車両1前方の踏切の警告灯が点灯状態であったり、遮断桿の姿勢が遮断状態であれば、自車両1を停車する可能性が高くなり、かつ、エンジン18を駆動する必要が低いので、エンジン制御部160は、エンジン18の動作状態を停止状態に遷移させる。こうして、エンジン18の停止開始が早くなり、その分燃費の低減を見込むことができる。
上記のように、信号機や踏切、および、先行車両の状態を把握することで、停止状態に遷移させる場合のエンジン18の停止開始を早め、燃費の低減が可能となる。しかし、アイドルストップ機能を実行する際、例えば、変速機としてCVT(Continuously Variable Transmission)が用いられている場合、CVTの信頼性確保のため急ブレーキが生じる環境下ではエンジン18を停止することができない場合がある。そこで、本実施形態では、急ブレーキが生じない状況下でのみアイドルストップ機能を遂行する。
例えば、走行帯特定部136が自車両1の走行方向の走行帯数を特定している場合に、走行帯数が複数であれば、エンジン制御部160は、エンジン18の停止状態への遷移を禁止する。走行帯数が複数であれば、自車両1が走行している走行帯と異なる走行帯から他の車両が割り込む可能性がある。ここでは、走行帯数が複数であれば、停止状態への遷移を禁止することで、アイドルストップ機能を実行せず、急ブレーキが生じたとしてもCVTの信頼性を確保することができる。
また、割込予測部138が自車両1前方への車両の割込を予測している場合には、エンジン制御部160は、エンジン18の停止状態への遷移を禁止する。本実施形態では、上述したように車両の割込を予測することができる。車両が自車両1前方に割り込んできた場合、急ブレーキをかけなくてはならなくなる。ここでは、車両の割込が予測されると、停止状態への遷移を禁止することで、アイドルストップ機能を実行せず、急ブレーキが生じたとしてもCVTの信頼性を確保することができる。
また、エンジンブレーキが必要な状況においてまでアイドルストップ機能を遂行すると、エンジンブレーキの効果を得られず、制動距離が伸びるおそれがある。そこで、本実施形態では、エンジンブレーキが必要な状況下においては、アイドルストップ機能を実行しない。
例えば、路面勾配導出部154が導出した路面勾配が予め定められた閾値以上の場合、すなわち、導出した路面勾配に基づいて路面が進行方向に下り坂であると判定された(路面勾配が下り坂を示す)場合、エンジン制御部160は、停止状態への遷移を禁止する。こうして、下り坂でエンジンブレーキが必要な状況下で、意図せずアイドルストップ機能が実行されるのを回避でき、エンジンブレーキの効果を適切に受けることができる。
そして、エンジン制御部160は、動作状態の遷移に応じてエンジン18の駆動制御を行う。例えば、エンジン18の動作状態が運転状態であれば、エンジン18を動作させ、停止状態であれば、エンジン18の点火回路の通電を遮断してエンジン18を自動停止させる。ただし、エンジン18の停止状態への遷移が禁止されている場合は、エンジン18の自動停止は行わない。
(アイドルストップのタイミング)
以下、自車両1のコースティング時および停止時における、運転状態から停止状態への遷移条件、および、停止状態から運転状態への遷移(復帰)条件についてそれぞれ詳述する。基本的に、コースティング時と停止時ではそれぞれで動作状態の遷移が行われるが、コースティング時に停止状態に遷移した後、自車両1が停止に至った場合はコースティング時の運転状態への遷移条件ではなく、停止時の運転状態への遷移条件で判定される。
(コースティング時の停止状態への遷移条件)
上述したように、エンジン制御部160は、コースティング状態において、信号色特定部130が特定した信号色が赤色または黄色である、踏切特定部134が特定した踏切の警告灯が点滅状態である、または、遮断桿の姿勢が遮断状態であり、かつ、先行車両特定部132が、先行車両が無いと判定したか、または、先行車両が有るが先行車両が停止もしくは減速していると判定した場合に、エンジン18の動作状態を運転状態から停止状態に遷移させる。また、このとき、走行帯数が片側一車線、車両の割込なし、走行路が所定傾斜角以上の下り坂ではないという条件も含まれる。
また、信号機の位置(車両の停止位置)や先行車両との関係によりエンジン18の停止状態への遷移を許可してもよい。
図5は、エンジン18の停止状態への遷移条件を説明するための説明図である。自車両1は、コースティングを維持し、制動処理のみで信号機の位置や先行車両232の後方に至るのが望ましいが、コースティングを維持するのみでは信号機の位置や先行車両232の後方に至らず、アクセルペダル12の操作や、ACCを利用した先行車両232への追従機能によるエンジン18の再始動が必要となる場合がある。
本実施形態では、コースティングを維持することで信号機の位置や先行車両232の後方に至る場合、すなわち、図5に示すように、自車両1がコースティングを維持することで進行する距離Lが信号機に対する車両の停止位置までの距離Lより長く、かつ、先行車両232がある場合に自車両1と先行車両232との相対速度Vが衝突すると予測される速度Vより高い場合に停止状態への遷移を許可する。
こうして、コースティングを維持するのみでは信号機の位置や先行車両232の後方に至らず、アクセルペダル12の操作や、ACCを利用した先行車両232への追従機能によるエンジン18の再始動が必要となる場合には、停止状態への遷移が禁止されるので、エンジン18に負荷がかかる状態に迅速に移行することが可能となる。
ただし、より具体的には以下の条件も含まれ、以下の条件も全て満たした場合にのみエンジン制御部160は、エンジン18の動作状態を運転状態から停止状態に遷移させる。
(1)シフトレバー位置が「D」「3速」「2速」「1速」「N」の何れかに設定されている。
(2)バッテリ電圧が設定閾値以上である。
(3)エンジン18の水温が閾値以上である。
(4)ブースタ負圧が所定値以上である(ブレーキ負圧)。
その他、アイドル停止スイッチ、舵角条件等、様々な条件を加味することもできる。
(コースティング時の運転状態への遷移(復帰)条件)
コースティング時にエンジン制御部160は、以下の条件のいずれかを満たすことで、停止状態を解除し、運転状態に遷移させる。
(1)アクセルペダル12の操作量が所定値以上となる(踏み込まれる)。
(2)ブレーキペダル踏み込みから解除(離す)への移行(エッジ)を検知した。
(3)信号機の信号色が赤色から青色に変化した。
(4)踏切の警告灯が消灯状態となる、または、遮断桿の遮断状態が解除された。
(5)急ブレーキが為された。
(6)走行帯数が片側複数車線になった。
(7)車両の割込があった。
(8)走行路が所定傾斜角以上の下り坂となった。
(停止時の停止状態への遷移条件)
停止時にエンジン制御部160は、以下の条件を全て満たすことで、停止状態に遷移させる。
(1)自車両1の速度が所定値以下となる(停止する)。
(2)ブレーキペダルの操作量が所定値以上となる(踏み込まれる)。
(3)アクセルペダル12が踏み込みから解除(離す)への移行(エッジ)を検知した。
(4)シフトレバー位置が「P」「D」「3速」「2速」「1速」「N」の何れかに設定されている。
(5)バッテリ電圧が設定閾値以上である。
(6)エンジン18の水温が閾値以上である。
(停止時の運転状態への遷移(復帰)条件)
停止時にエンジン制御部160は、以下の条件のいずれかを満たすことで、停止状態を解除し、運転状態に遷移させる。
(1)アクセルペダル12の操作量が所定値以上となる(踏み込まれる)。
(2)ブレーキペダル踏み込みから解除(離す)への移行(エッジ)を検知した。
(3)信号機の信号色が赤色から青色に変化した。
(4)踏切の警告灯が消灯状態となる、または、遮断桿の遮断状態が解除された。
(アイドルストップ制御方法)
図6は、アイドルストップ制御方法の全体的な処理の流れを示したフローチャートである。ここでは、割込によって定期的に実行される処理が示されている。
エンジン制御部160は、自車両1におけるアクセルペダル12の操作量が予め定められた閾値以下であるか否か判定する(S200)。その結果、閾値以下であれば(S200におけるYES)、エンジン制御部160は、信号色が赤色または黄色であるか、または、踏切が遮断状態にあるか判定する(S202)。その結果、何れかの条件を満たしていれば(S202におけるYES)、エンジン制御部160は、先行車両が無いか、または、先行車両が有るが停止もしくは減速しているか判定する(S204)。その結果、先行車両が無いか、または、先行車両が有るが停止もしくは減速していれば(S204におけるYES)、エンジン制御部160は、走行帯数が片側一車線であるか否か判定する(S206)。その結果、走行帯数が片側一車線であれば(S206におけるYES)、エンジン制御部160は、車両の割込がないことを確認する(S208)。その結果、車両の割込がないと(S208におけるYES)、エンジン制御部160は、走行路の路面勾配が予め定められた閾値以上となる下り坂ではないことを確認する(S210)。その結果、路面勾配が閾値以上の下り坂ではなければ(S210におけるYES)、エンジン制御部160は、停止状態への遷移を許可する(S212)。
そして、エンジン制御部160は、エンジン18の動作状態を停止状態に遷移させる(S214)。また、上述した判定処理のいずれかの条件を満たしていなければ(NO)、当該アイドルストップ制御方法を終了する。
以上、説明したように、本実施形態では、車外環境認識ユニット102を通じて自車両1の周囲の環境も考慮して運転者の停車意図を確実に見極めた上で走行中における適切なアイドルストップを実現する。したがって、優れた省燃費効果を得ることが可能となる。
また、コンピュータを、アイドルストップ制御装置100として機能させるプログラムや当該プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能なフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD、DVD、BD等の記憶媒体も提供される。ここで、プログラムは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理手段をいう。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
なお、本明細書のアイドルストップ制御方法の各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
本発明は、自車両のエンジンの動作状態を、運転条件に応じて、運転状態と停止状態とで遷移させるアイドルストップ制御装置に利用することができる。
1 …自車両
12 …アクセルペダル
18 …エンジン
100 …アイドルストップ制御装置
102 …車外環境認識ユニット
130 …信号色特定部
132 …先行車両特定部
134 …踏切特定部
136 …走行帯特定部
138 …割込予測部
150 …アクセル導出部
152 …速度導出部
154 …路面勾配導出部
156 …コースティング判定部
160 …エンジン制御部

Claims (5)

  1. 自車両のエンジンの動作状態を制御するエンジン制御部と、
    自車両の走行状態がコースティング状態であるか否かを判定するコースティング判定部と、
    自車両前方に位置する信号機において発光している信号色を特定する信号色特定部と、
    先行車両の状態を特定する先行車両特定部と、
    を備え、
    前記エンジン制御部は、前記走行状態がコースティング状態であるとき、前記信号色が赤色または黄色であり、かつ、前記先行車両が無いまたは該先行車両が有るが停止もしくは減速している場合に、エンジンを停止させることを特徴とするアイドルストップ制御装置。
  2. 自車両のエンジンの動作状態を制御するエンジン制御部と、
    自車両の走行状態がコースティング状態であるか否かを判定するコースティング判定部と、
    自車両前方に位置する踏切の状態を特定する踏切特定部と、
    先行車両の状態を特定する先行車両特定部と、
    を備え、
    前記エンジン制御部は、前記走行状態がコースティング状態であるとき、前記踏切が遮断状態であり、かつ、前記先行車両が無いまたは該先行車両が有るが停止もしくは減速している場合に、エンジンを停止させることを特徴とするアイドルストップ制御装置。
  3. 自車両の走行方向の走行帯数を特定する走行帯特定部をさらに備え、
    前記エンジン制御部は、前記走行帯数が複数の場合、前記エンジンの停止を禁止することを特徴とする請求項1または2に記載のアイドルストップ制御装置。
  4. 自車両前方への車両の割込を予測する割込予測部をさらに備え、
    前記エンジン制御部は、前記車両の割込が予測された場合、前記エンジンの停止を禁止することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のアイドルストップ制御装置。
  5. 自車両が走行している路面の路面勾配を導出する路面勾配導出部をさらに備え、
    前記エンジン制御部は、導出した路面勾配に基づいて路面が下り坂であると判定された場合、前記エンジンの停止を禁止することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のアイドルストップ制御装置。
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