JP2014193824A - 粉体化粧料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 次の成分(a)及び(b);(a)リン酸変性デンプン、(b)撥水性を有する粉体を含有することを特徴とする粉体化粧料を提供するものである。
【選択図】 なし
Description
(1)、吸水性や吸油性を有する無水ケイ酸や様々な有機樹脂粉末を配合することによって汗や皮脂を吸収して化粧膜の持続性を高める技術は広く一般的に用いられている。また、これらの粉体形状として球状のものを多用することが上記使用感の実現において効果的であることも一般的である。
吸水性物質としてデンプンを配合する技術としてはエタノールのような低級アルコールを配合した乳液状化粧料に配合して清涼感を向上する技術(例えば、特許文献1参照)がある。
また、化粧持ち向上技術に関しては他に様々な方法が提案されており、(2)、フッ素系の化合物等で粉体を処理した撥水撥油性を有する粉体を配合した化粧料の提案がある(例えば、特許文献2参照)。
更にまた、変性デンプンとしてはアクリル酸とグラフト重合して保湿用パウダーとして化粧料に配合する例や、吸収剤として使用している例(例えば、特許文献5、6参照)が挙げられる。
(2)のフッ素系の化合物等で粉体を処理し撥水撥油効果を与えるものは、粉体自体は汗や皮脂とは馴染まないため、粉体が汗や皮脂で濡れて色沈みを起こすという事は防ぐことができるが、同時に配合している撥水撥油処理していない粉体は経時で濡れてしまうため同一化粧膜中において粉体の濡れ方にギャップが発生し、化粧膜のきれいさを損なってしまことや、肌への密着性は弱いため、汗で化粧膜が浮き上がる、顔の動きによってよれが生じ、均一な膜が得られないことがあった。
(3)の親水性のデンプンと疎水化した変性デンプンを組み合わせる技術や(4)疎水化した変性デンプンとシリコーン系有機樹脂粉末を組み合わせる技術においても、塗布直後の肌への付着性や密着性は向上しているが、化粧持ちという点からは満足できない場合もあり、塗布直後のみならず経時においても肌への付着が持続する粉体化粧料が望まれていた。
また、変性デンプンとしてはアクリル酸とグラフト重合して保湿用パウダーとして化粧料に配合する例については化粧持ちの向上には有用とはされておらず、吸収剤として用いている例にしても肌への付着性・密着性については言及していない。
(1)次の成分(a)及び(b);
(a)リン酸変性デンプン
(b)撥水性を有する粉体
を含有することを特徴とする粉体化粧料
(2)前記成分(a)リン酸変性デンプンがリン酸で架橋されていることを特徴とする(1)に記載の粉体化粧料。
(3)前記成分(a)リン酸変性デンプンのデンプンがヒドロキシプロピル化またはアセチル化されていることを特徴とする(1)又は(2)記載の粉体化粧料。
(4)前記成分(b)の撥水性を有する粉体が、疎水化剤で表面処理されている粉体であることを特徴とする(1)〜(3)の何れかに記載の粉体化粧料。
(5)前記成分(b)の撥水性を有する粉体が、シリコーン化合物処理粉体であることを特徴とする(1)〜(4)の何れかに記載の粉体化粧料を提供するものである。
本発明に用いられる成分(a)のリン酸変性デンプンは、デンプン分子の水酸基にリン酸基がエステル結合している化合物であり、通常化粧料に用いられるものであれば、特に限定されないが、デンプン分子間のいくつかの水酸基がリン酸で架橋されているものが、デンプンの膨潤が抑制されるため好ましい。
また、デンプンは変性デンプンを用いることができ、例えば、ヒドロキシアルキル変性デンプンやアシル化変性デンプン等を用いることができる。
中でもデンプンのアミロペクチン含量が少なくとも約70質量%(以下単に「%」で示す。)であることが好ましく、85%以上であれば更に好ましく、約90%以上であれば特に好ましく、由来は、とうもろこしデンプンが好ましい。
また、デンプンのリン酸化の形態やリン酸化率は、特に限定されず、例えば、モノデンプンリン酸、ジデンプンリン酸、トリデンプンリン酸等が例示でき、デンプン、アシル化変性デンプン、ヒドロキシアルキル変性デンプン等のデンプン誘導体あたりのリン酸化率は、1%以下であることが効果を向上させる点において好ましい
例えば炭素数2〜5のヒドロキシアルキル変性デンプンが挙げられる。2個ないし5個の炭素原子を有するアルキル基を介してデンプンの骨格に結合するヒドロキシ基が形成されることによって、デンプンの親水性−親油性の好適なバランスを得ることができるため好ましい。デンプンの水酸基に対するヒドロキシアルキルの置換位置は特に限定されず、ヒドロキシアルキル化の置換の度合は、およそ0.08ないし0.3であることが好ましい。置換の度合とは、アンヒドログルコース一単位当りの、デンプン分子の水酸基の平均置換数である。天然デンプンのヒドロキシアルキル化は、天然デンプンを、炭素原子を適切な数だけ有するアルケン酸化物と反応させることによって得ることができる。デンプンをエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドと反応させて得られるヒドロキシエチル変性デンプンやヒドロキシプロピル変性デンプンを用いることもでき、ヒドロキシプロピル変性デンプンは特に好ましい。
また、他の変性デンプンの例としては炭素数2〜18のアシル化変性デンプンが挙げられる。アシル化は、例えば一般式(R−C(O))2Oで表される酸無水物との反応によって得ることができる。ただし、上式でRはメチルまたはエチルなどのアルキル基である。すなわち、無水コハク酸または無水マレイン酸またはそれらのアルキル化誘導体との反応によって得ることができる。
例えば市販品としては、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸である、AkzoNobel株式会社製のSTRUCTURE(登録商標) XLなどが挙げられる。
また、リン酸変性デンプンは粉体化粧料中にそのまま含有する他、精製水やエタノールもしくはその混合物といった水系溶媒中に分散・膨潤後、各種粉体と混合し、過熱や減圧等の手段によって溶媒を除去し、粉体の表面処理剤として使用しても構わない。
本発明においては、粉体が撥水性を有するか否かは、粉末を25℃の水に分散することにより判断され、デスパーを用いて1000rpmで5分間撹拌した場合、沈降したり分散したりせず、水に浮いているものを撥水性を有する粉体とした。
この中でも、シリコーン化合物やフッ素化合物で処理されているものが、化粧持ちの点で好ましい。
更に、肌への付着性・密着性、化粧持ちの点においてシリコーン化合物で処理されているものが好ましい。
シリコーン化合物としては、具体的には、INCI名(International Nomenclature Cosmetic Ingredient labeling names)で表すと、ジメチコン、メチコン、ハイドロゲンジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、(アクリレーツ/アクリル酸トリデシル/メタクリル酸トリエトキシシリルプロピル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、トリエトキシカプリリルシランが挙げられ、これらの一種又は二種以上用いることができる。
これらの表面処理は、単独または二種以上を組合せてもよく、複合化した処理でもかまわない。またこれらの処理粉体を一種又は二種以上用いることができる。
また、成分(b)における前記処理剤と前記粉体との処理比は、特に限定されないが、肌への付着性・密着性、化粧持ちの点において質量比として、0.05〜30:99.95〜70が好ましく、更に、0.1〜20:99.9〜80が好ましい。
本発明の粉体化粧料は固形粉末状、ルース状、ペースト状、クリーム状等、種々の形態にて実施することができるが、好ましい形態としては固形粉末状、ルース状が挙げられる。また、本発明の粉体化粧料は、ファンデーション、白粉、頬紅、コンシーラー、アイシャドウ、アイライナー、アイブロウ等の製品にて実施することができ、特にファンデーション、白粉等の全顔に使用するものが好ましい。
表1に示す組成の粉体化粧料を下記製造方法により調製し、半透明テープに塗布し、塗布直後と流水中で暴露した後の膜残存率、更にはそれを塗擦した後の膜残存率を比較し、耐汗性の指標とし、結果を併せて表1に示した。
*2:サンフレッシュ ST−500MPSC(三洋化成工業社製)
*3:SA−チタンCR−50(三好化成株式会社製)
*4:SA-タルク ハイフィラーK−5(三好化成株式会社製)
*5:TIPAQUE CR−50(石原産業株式会社製)
*6:ハイフィラー K−5(松村産業株式会社製)
*7:ヒドロキシプロピルデンプンリン酸/シリコーン処理酸化チタン
(製造方法)ヒドロキシプロピルデンプンリン酸(*1) 1部を、精製水 100部及びエタノール 10部にディスパーミキサーを用いて分散する。これに、酸化チタン(*5) 20部を加えて均一分散後、乾燥機にて溶媒を除去する。これを砕いた後、粉砕処理を2回実施し、表面処理酸化チタンを得た。
成分(1)〜(7)を混合後、粉砕する。
各試料1gを半透明シート(3M社製)上に、指で均一に塗布し、3cm×3cmの大きさにし、色差計(日本電色株式会社製SE-2000)を用いて測色した。
前記シートに塗布した試料を、流水下にて5分間暴露し、乾燥後再び測色をした。
再度、流水下に暴露しながら指で軽く表面を3回なぞり(塗擦)、乾燥後に同様に側色した。
膜の残存率は下記の式に従い、塗擦後の残存率を以下の判定基準に従って判定した。
流水暴露後の膜残存率(%)=流水後の測色値(L値)/最初の測色値(L値) × 100
塗擦後の膜残存率(%)=塗擦後の測色値(L値)/最初の測色値(L値) × 100
評価基準:
[残存率 ] :[判定]
90%以上 :◎
89〜90%未満 :〇
88〜89%未満 :△
89%未満 :×
化粧料評価専門パネル10名に、表1記載の実施例及び比較例の粉体化粧料を使用してもらい、「伸び広がりの良さ」、「化粧膜の均一性」、「肌への付着性・密着感の有無」の其々の項目について、各自が以下の評価基準に従って5段階評価し粉体化粧料毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
評価基準:
[評価結果] :[評点]
非常に良好 :5点
良好 :4点
普通 :3点
やや不良 :2点
不良 :1点
判定基準:
[評点の平均点] :[判定]
4.5以上 :◎
3.5以上〜4.5未満:〇
1.5以上〜3.5未満:△
1.5未満 :×
これに対して成分(b)の撥水性を有する粉体のかわりに未処理の粉体を含有した比較例1は、肌への付着性は評価が高かったものの「膜の持続性」、「伸び広がりの良さ」、「化粧膜の均一性」においては劣り、特に「伸び広がりの良さ」については顕著に劣っていた。未処理の酸化チタンの肌への付着性が強すぎるために伸び広がりや均一性にも劣るものであった。
また、成分(a)のリン酸変性デンプンのかわりに同様の吸水効果を有するアクリル酸誘導体を含有した比較例2は塗布時にざらつき感があり使用感に劣るものであり、膜の均一性、付着性・密着感、更には膜の持続性にも劣るものであった。更に、成分(b)の撥水化粉体を含有しなかった比較例3は、未処理の酸化チタンの肌への付着性は向上するものの、伸び広がりが悪く化粧膜の均一性は劣るものとなった。
そして、成分(a)のリン酸変性デンプンを含有しない比較例4については、使用感や均一性は良好であったが、肌への付着性・密着感には劣り、持続効果は顕著に劣るものであった。
(成分) (%)
1.タルク 残量
2.フルオロエトキシシラン3%処理セリサイト 20
3.フッ素金雲母 30
4.トリエトキシカプリリルシラン5%処理
酸化チタン 10
5.酸化チタン・酸化鉄焼結物 3
6.酸化亜鉛 2
7.板状硫酸バリウム 5
8.(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)
クロスポリマー *8 3
9.ナイロン粉末 2
10.ベンガラ 0.3
11.黄酸化鉄 1
12.黒酸化鉄 0.2
13.二酸化ケイ素・ベンガラ処理アルミニウム 2
14.ヒドロキシプロピルデンプンリン酸 *1 5
15.メチルフェニルポリシロキサン *9 3
16.パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 3
17.重質流動イソパラフィン 2
18.コハク酸ジオクチル 2
*8:KSP−100(信越化学工業社製)
*9:シリコンKF−54(信越化学工業社製)
A:成分1〜14を混合分散する。
B:Aに、60℃で加温した成分15〜18を添加し、混合分散する。
C:Bを金皿にプレス成型し固型粉末状パウダーファンデーションを得た。
本発明の実施品である実施例5のパウダーファンデーションは、「膜の持続性」、「使用時の伸び、広がりのよさ」「化粧膜の均一性と綺麗さ」、「肌への付着性・密着感」の全ての項目に優れた化粧料であった。尚、膜の持続性については、化粧料塗布後6時間通常の生活をしてもらい、化粧効果が持続しているかどうかを評価した。
(成分) (%)
1.タルク 残量
2.ラウリン酸亜鉛7%処理セリサイト 10
3.フッ素金雲母 50
4.ジメチコン2%処理フッ素金雲母鉄 10
5.酸化亜鉛 2
6.(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン
/シルセスキオキサン)クロスポリマー 5
7.ヒドロキシプロピルデンプンリン酸 *1 3
8.無水ケイ酸(球状5μ) 2
9.赤色226号 0.3
10.ジメチコン/ハイドロゲンジメチコン4%処理
ベンガラ被覆雲母チタン 5
11.酸化チタン被覆ガラス末 5
12.防腐剤(フェノキシエタノール) 0.3
13.パラメトキシケイヒ酸2−エチルヘキシル 3
14.ペンタフェニルトリメチルトリシロキサン 3
15.(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)
クロスポリマー 0.5
16.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 1
A:成分1〜11を混合分散する。
B:Aに、均一混合した成分12〜16を添加し、混合分散する。
C:Bを容器に充填しし粉末状フェイスパウダーを得た。
本発明の実施品である実施例6のパウダーファンデーションは、「膜の持続性」、「使用時の伸び、広がりのよさ」「化粧膜の均一性と綺麗さ」、「肌への付着性・密着感」の全ての項目に優れた化粧料であった。尚、「膜の持続性」は実施例3と同様に評価した。
(成分) (%)
1.ヒドロキシプロピルデンプンリン酸被覆
酸化チタン *7 2
2.フッ素四ケイ素雲母 残量
3.球状ポリメタクリル酸メチル粉末 5
4.無水ケイ酸(球状2μ) 2
5.(アクリレーツ/アクリル酸トリデシル/メタクリル酸
トリエトキシシリルプロピル/メタクリル酸ジメチコン)
コポリマー10%処理黄酸化鉄 1.5
6.群青 1.5
7.黒酸化鉄 0.2
8.雲母チタン 15
9.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.2
10.ペンタフェニルトリメチルトリシロキサン 10
11.パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 3
12.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 3
13.ジメチルポリシロキサン 3
14.セレシンワックス 4
15.ポリエチレンワックス 5
16.マイクロクリスタリンワックス 3
A:成分10〜16を85℃に加熱し混合溶解する。
B:Aに、成分1〜9を添加し、均一分散する。
C:Bを再度85℃に加熱し、金皿に充填成形し、アイカラーを得た。
Claims (5)
- 次の成分(a)及び(b);
(a)リン酸変性デンプン
(b)撥水性を有する粉体
を含有することを特徴とする粉体化粧料。 - 前記成分(a)リン酸変性デンプンがリン酸で架橋されていることを特徴とする請求項1記載の粉体化粧料。
- 前記成分(a)リン酸変性デンプンのデンプンがヒドロキシプロピル化又はアセチル化されていることを特徴とする請求項1又は2記載の粉体化粧料。
- 前記成分(b)の撥水性を有する粉体が、疎水化剤で表面処理されている粉体であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の粉体化粧料。
- 前記成分(b)の撥水性を有する粉体が、シリコーン化合物処理粉体であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の粉体化粧料。
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