JP2010132591A - 固形粉末化粧料 - Google Patents

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隆士 谷島
Kensuke Yoshida
健介 吉田
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Abstract

【課題】崩壊性が良好で、密着力に優れた固形粉末化粧料を提供すること。
【解決手段】固形粉末化粧料であって、
(A):(a)粉体と(b)25℃で液状の油剤とを、超臨界または亜臨界二酸化炭素中にて混合して得られる複合粉体 30〜100質量%、
(B):成分(A)以外の粉体 0〜35質量%、
(C):油剤 0〜35質量%
を含有し、(a)と(b)の質量割合が95:5〜50:50であって、固形粉末化粧料全組成中に、粉体成分を50〜95質量%、油剤成分を5〜50質量%含有する固形粉末化粧料。
【選択図】なし

Description

本発明は、固形粉末化粧料に関する。
固形粉末化粧料は、従来、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、リボンブレンダー、ニーダー等の撹拌混合機を用いて粉末成分と結合剤としての油性成分等を混合し、パルべライザー等の粉砕機にて粉砕した後、中皿に充填し、さらに乾式プレス成型することにより製造されている。しかし、従来の粉末成分と結合剤としての油性成分等の混合方法では、粉末成分表面に油性成分を不均一に付着させているに過ぎず、使用感や、化粧持続性、耐衝撃性の向上が難しい状況にあった。これに対し、粉末成分と結合剤としての油性成分等を溶媒中で混合しスラリーとし、後に溶媒を除去しプレスする方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2等)。
しかしながら、このような製法では溶媒を除去するのに長い時間を要し、溶媒の除去過程で溶質の濃度分布が生じてしまい、不均一性が充分解決できず、生産性の非効率化や、製法の自由度が低いなどの問題があった。
特開2001−213722号公報 特許2003−81769号公報
本発明は、粉末成分に均一に油剤を分散させることにより、成型された固形粉末化粧料の粉とれが良好で、塗布時の使用感が柔らかく、密着力に優れた固形粉末化粧料を提供することにある。
本発明者らは、超臨界二酸化炭素中又は亜臨界二酸化炭素中で微細に分散した油剤と粉体とを混合して得られる複合粉体を用いれば、粉体成分中に油性成分を微細に均一に分散させることができ、得られた複合粉体を用いて成型された固形粉末化粧料は、粉とれが良好で、塗布時の使用感が柔らかく、仕上がりが粉っぽくなく、カバー力があり、パール感やツヤのある滑らかな仕上がりや、化粧持続性に優れることを見出した。
本発明は、固形粉末化粧料であって、
(A):(a)粉体と(b)25℃で液状の油剤とを、超臨界または亜臨界二酸化炭素中にて混合して得られる複合粉体 30〜100質量%、
(B):成分(A)以外の粉体 0〜35質量%、
(C):油剤 0〜35質量%
を含有し、(a)と(b)の質量割合が95:5〜50:50であって、固形粉末化粧料全組成中に、粉体成分を50〜95質量%、油剤成分を5〜50質量%含有する固形粉末化粧料を提供するものである。
本発明の固形粉末化粧料は、粉とれが良好で、塗布時にしっとり感や柔らかさ、滑らかさが得られ、また、密着力に優れ、粉っぽくなく、カバー力があり、パール感やツヤのある滑らかな仕上がりが得られ、化粧持ちも良いものである。さらに、油剤の偏りが少なく均一な組成の化粧料が得られ、硬度ムラがなく、耐衝撃性に優れるとともに、外観色と塗布色の差も少ないものである。
〔成分(A)複合粉体〕
成分(A)の複合粉体は、(a)粉体と(b)25℃で液状の油剤を、超臨界または亜臨界二酸化炭素中にて混合して得られるものである。
成分(A)の複合粉体で用いる(a)粉体としては、通常化粧料に用いられる体質顔料や着色顔料であれば特に制限されず、実質的に超臨界二酸化炭素に溶解しない無機粉体、有機粉体、有機無機の複合体及び繊維状の粉末のいずれでも使用することができる。
無機粉体としては、例えば、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、酸化チタン、酸化亜鉛、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸、硫酸バリウム、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、カーボンブラック、マンガンバイオレット、ガラスビーズ、ゼオライト、パール顔料として、ベンガラ被覆雲母、酸化チタン被膜雲母、これらの複合体等が挙げられる。
有機粉体としては、有機顔料、高分子化合物等からなる有機粉体などが挙げられる。
有機顔料としては、例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色226号、橙色204号、黄色205号、赤色404号、赤色405号、橙色401号、黄色401号、青色404号等が挙げられる。また、高分子化合物としては、例えば、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂から選ばれた有機高分子の粉体、更に、繊維を細かくした粉末(「マイクロアート」(ユニチカ社製)20デニール相当、を裁断したもの;「NFCB-10D-0.5T」(大東化成工業社製)10デニール、0.5mm、異形断面、カーボンブラックで黒色に染色したものなど)などが挙げられる。
粉体の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜500μm、特に0.02〜100μm、更に0.03〜50μmであるのが、塗布時の使用感や、発色性、カバー力の点から好ましい。
これらの粉体は、粉体として本来表面が親水性であるものや、疎水性であるもの、粉体表面の一部または全部を親水化処理、又は疎水化処理したものを使用でき、これらの中で疎水性又は疎水化処理粉体は、使用感や化粧持続性により優れるので好ましい。疎水化処理は、例えば、シリコーン化合物(ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーン油及びその誘導体)、脂肪酸金属塩、アルキルリン酸、アルキルリン酸のアルカリ金属塩又はアミン塩、N−モノ長鎖(炭素数8〜22)脂肪族アシル塩基性アミノ酸、パーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物などの疎水化処理剤を用いて行うことができ、通常の方法に従って処理することができる。親水化処理は、例えば、ポリアクリル酸等の水溶性ポリマー、シリカ、アルミナ等の無機化合物、界面活性剤等の親水化処理剤を用いて行うことができ、通常の方法に従って処理することができる。また、粉体に対する疎水化処理剤および親水化処理剤の処理量は、0.05〜20質量%、特に2〜10質量%であるのが好ましい。
特に、シリコーン油、フッ素化合物で疎水化処理した粉体を用いるのが好ましい。
粉体の形状は特に制限されず、板状、球状、不定形等のいずれでも良いが、板状粉体を用いるのが、成型された固形粉末化粧料の粉とれと肌への密着性に優れるとともに、しっとり感、滑らかさも付与できるので好ましい。特に、板状粉体が30〜100質量%、更に70〜100質量%であるのが好ましい。かかる板状粉体としては、タルク、マイカ、セリサイト、パール顔料等が好ましい。更に、板状粉体のうち、パール顔料(酸化チタン被膜雲母など)を30〜100質量%含有するのが、仕上がりのツヤに優れるので好ましい。
なお、(a)粉体には、球状粉体を5質量%未満、さらには、球状粉体は含有しないのが、成型された固形粉末化粧料の粉とれ性の点と塗布時の柔らかさ、しっとり感の点で好ましい。
成分(A)複合粉体中、(a)粉体は、1種以上を用いることができ、50質量%以上、更には80質量%以上含むことが好ましく、95質量%以下であることが、成型された固形粉末化粧料の粉とれと肌への密着性、塗布時の使用感及び耐衝撃性の観点から好ましい。
成分(A)の複合粉体で用いる(b)25℃で液状の油剤としては、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されずに使用することができる。例えば、ホホバ油等の植物油;液状ラノリン等の動物油;流動パラフィン、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン等の直鎖又は分岐の炭化水素油;脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等のエステル油;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等のフッ素油などが挙げられる。
(b)25℃で液状の油剤は、(a)粉体の疎水性又は疎水化処理とは異なる種の油剤を用いることが好ましい。例えば、(a)粉体においてシリコーン化合物で疎水化処理された粉体を使用した場合、(b)油剤は、炭化水素油、エステル油、エーテル油、フッ素油を用いることが好ましい。また、(a)粉体においてフッ素油で疎水化処理された粉体を使用した場合、炭化水素油、エステル油、エーテル油、シリコーン油を用いることが好ましい。これは、後述する成分(A)の複合粉体を構成する粉体同士の崩壊性や、成型後の粉とれ性に大きく寄与する。(b)油剤は、特に炭化水素油、エステル油、エーテル油が好ましい。
成分(A)の複合粉体中(b)油剤は、1種以上を用いることができ、50質量%以下、特に20質量%以下で5質量%以上含むことが、成型された固形粉末化粧料の粉とれと肌への密着性と塗布時の使用感の観点から好ましい。
また、成分(A)の複合粉体において、(a)粉体と(b)油剤の質量割合は、95:5〜50:50、好ましくは95:5〜80:20である。この範囲内であれば、成型された固形粉末化粧料の粉とれと、肌への密着性、塗布時の使用感の観点から好ましい。
成分(A)の複合粉体は、更に(c)25℃で固体状又は半固体状の油剤を含有することができる。かかる25℃で固体状の油剤は、好ましくは40℃以上、より好ましくは60〜110℃の融点を有するもので、通常化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、動物性ワックス、植物性ワックス、鉱物性ワックス、合成ワックス等を用いることができる。具体的には、コメヌカロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ、ゲイロウ、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられる。また、半固体状の油剤としてはイソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカダミアナッツ油脂肪酸コレステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、等のコレステロール誘導体、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸酸フィトステリル、等のフィトステロール誘導体、ヘキサオキシステアリン酸ジペンタエリトリット、ロジン酸ジペンタエリトリット等のジペンタエリトリット脂肪酸エステル、(アジピン酸・2-エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステル、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリド等のトリグリセライド、硬化油などの部分的に水素添加されたトリグリセライド、ラノリン、ラノステロール誘導体、ワセリン等があげられる。
(c)25℃で固体状又は半固体状の油剤を含有する場合には、成分(A)の複合粉体中0.1質量%以上、更には1質量%以上含み30質量%以下、更には20質量%以下含有するのが、成形性や耐衝撃性、塗布時の使用感の観点から好ましい。
また、(b)25℃で液状の油剤と(c)25℃で固体状又は半固体状の油剤の質量割合は、(b):(c)=10:1〜1:10、特に2:1〜1:2であるのが、成形性、耐衝撃性、及び使用時の粉とれ性、塗布時の使用感の観点から特に好ましい。
本発明において、成分(A)複合粉体は、(a)粉体と(b)25℃で液状の油剤、更には、(c)25℃で固体状又は半固体状の油剤を、超臨界二酸化炭素中又は亜臨界二酸化炭素中で混合し、攪拌して得られる。
二酸化炭素は、一般に無毒であり、その臨界温度が304.15Kで、臨界圧力が7.38MPaである。超臨界二酸化炭素とは、臨界温度(Tc)以上でかつ臨界圧力(Pc)以上の圧力である二酸化炭素をいい、亜臨界二酸化炭素とは、温度が二酸化炭素の臨界温度以上であるか、又は圧力が二酸化炭素の臨界圧力以上である二酸化炭素をいう。臨界点近傍の超臨界二酸化炭素は、わずかな圧力変化によって密度が急変するという性質を有する。
より具体的には、二酸化炭素の圧力及び/又は温度を高めると、二酸化炭素の密度が急増するため、溶質の二酸化炭素に対する溶解度が急激に増加し、逆に二酸化炭素の圧力及び/又は温度を低下させると、溶質の二酸化炭素に対する溶解度を急激に低下させることができる。従って、圧力及び温度の調節することで、容易に溶質と二酸化炭素との分離が可能となる。
超臨界二酸化炭素中又は亜臨界二酸化炭素中で、(a)粉体と(b)25℃で液状の油剤、更には、(c)25℃で固体状又は半固体状の油剤を混合する際の温度は、混合後の二酸化炭素の除去や、減圧を効率的に行う観点から、304.15〜373.15Kであることが好ましく、より好ましくは313.15〜353.15Kである。また、圧力は、7.2〜50MPaであることが好ましく、より好ましくは10〜40MPaである。この条件下で、成分(b)及び(c)は、超臨界二酸化炭素中又は亜臨界二酸化炭素中に均一溶解又は分散する。
減圧する方法は、特に限定されない。減圧時の断熱膨張作用により温度低下が生じるが、容器の温度を制御することにより、容器内の二酸化炭素を液化二酸化炭素としてもよく、気体二酸化炭素としてもよい。減圧時に攪拌を行ってもよい。また、油剤が二酸化炭素に溶解又は分散する条件であれば、混合時の二酸化炭素の状態は気体でも液体でもよいが、混合時および減圧時において、二酸化炭素が液体にならない条件になるように、温度および圧力を調整するのが好ましい。このことにより、毛管現象の発生を防ぎ、成分(A)複合粉体の部分的な凝集による崩壊性の低下を防止することができる。
より具体的には、縦軸を圧力、横軸に温度をとった相図を作成した場合、二酸化炭素の臨界点と固体、液体、気体の三重点を結ぶライン以下(気体相)を通るように行うことが望ましく、例えば、二酸化炭素の減圧膨張を効率的に行う観点から、好ましくは304.15〜373.15K、より好ましくは304.15〜353.15K、更に好ましくは313.15〜333.15Kである。
なお、成分(A)複合粉体の製法において減圧とは、超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素、気体状態の二酸化炭素、液体状態の二酸化炭素の圧力を低下させることをいう。
上記のように、超臨界二酸化炭素又は亜臨界二酸化炭素を用いた場合には、他の超臨界流体とは異なり、低温で操作を行うことができるため、操作が容易であるとともに、二酸化炭素は無害で危険性がなく、安価であるので、製造コストを削減することができるという利点がある。
超臨界二酸化炭素又は亜臨界二酸化炭素内で混合された粉体と油剤は、容器に備えられている排気バルブ等を開放し、容器内を減圧させることにより、超臨界二酸化炭素又は亜臨界二酸化炭素中に溶解・分散していた油剤が、析出し、成分(A)複合粉体が形成される。
超臨界二酸化炭素又は亜臨界二酸化炭素中では、(b)25℃で液状の油剤、及び(c)25℃で固体状又は半固体状の油剤は均一に溶解又は分散するため、圧力及び温度を調節することで、超臨界二酸化炭素又は亜臨界二酸化炭素中での溶解度をコントロールでき、(a)粉体全体に微細に均一に成分(b)又は(c)を分散させることが可能となる。
このようにして得られた成分(A)は、成分(a)が成分(b)、(c)を介して、弱く二次凝集した複合粉体となる。これは、従来のミキサー、ブレンダー、ニーダー等の撹拌混合機によって得られた複合粉体や、溶媒法で得られた複合粉体とは全く異なった粒子となり、使用感や仕上がりの異なったものとなることがわかった。
より具体的には、成分(A)は(a)粉体が成分(b)、(c)を介してカードハウス構造のような集合体となる。複合粉体の大きさは(a)粉体の種類の選択により異なってくるが、(a)粉体の粒子径が5〜150μmの場合、平均粒径が20〜300μmに調整される。
従来法で得られた複合粉体は、微視的に観察するとおにぎり状の2次凝集物が多数形成されて、それぞれが非常に硬い粒子を形成していた。更に、結合剤に相当する油剤が不均一に存在するため、油剤で濡れていない粉体と油剤に濡れている粉体とが存在しており、成型された化粧料の色と肌に塗布した際の色が異なったり、仕上がりに色むらができたりしていた。更に、硬い二次凝集物は塗布時に崩れ難く、滑らかさを損ない、油剤に濡れていない部分の粉体は密着力が低く塗布後に脱落してしまうという問題を有していた。
しかし、本発明で用いられる成分(A)の複合粉体は、微細に均一に分散した油剤を介した複数の粉体の弱い二次凝集によって形成されるため、本発明の固形粉末化粧料では、塗布時の摩擦により、容易に崩壊し、非常になめらかな使用感が得られる。さらに、成分(A)の複合粉体中では、結合剤である油剤が均一に粉体中に微細に分散しているので、塗布膜は密着力があり、発色性に優れ、色むらがほとんど生じない美しい仕上がりとなる。そして、成型された化粧料の色と肌に塗布した際の色の差がほとんどないことから、使用者が安心して使用できるというメリットを有する。
このようにして得られた成分(A)複合粉体は、そのまま中皿に充填してプレス機にて圧縮成型することが、性能を維持したまま、成型できるので好ましい。また、更に、処方の最適化を図るため、成分(A)複合粉体に、成分(B)、(C)を追加することができる。
成分(A)の複合粉体は、全組成中に30〜100質量%、好ましくは50〜100質量%含有される。
〔成分(B)粉体〕
本発明の固形粉末化粧料は、成分(B)粉体を含有することができる。成分(B)粉体は、成分(A)以外の粉体であり、感触の調整、色調合わせ、色バリエーションの付与の観点から混合される。
粉体としては、通常化粧料に用いられる体質顔料や着色顔料であれば特に制限されず、無機粉体、有機粉体、有機無機の複合体及び繊維状の粉末のいずれでも使用することができる。
無機粉体としては、例えば、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、酸化チタン、酸化亜鉛、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸、硫酸バリウム、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、カーボンブラック、マンガンバイオレット、チタン被膜雲母、ベンガラ被覆雲母、ガラスビーズ、ゼオライトこれらの複合体等が挙げられる。
有機粉体としては、有機顔料、高分子化合物等からなる有機粉体などが挙げられる。
有機顔料としては、例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色226号、橙色204号、黄色205号、赤色404号、赤色405号、橙色401号、黄色401号、青色404号等が挙げられる。また、高分子化合物としては、例えば、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂から選ばれた有機高分子の粉体、更に、繊維を細かくした粉末(「マイクロアート」(ユニチカ社製)20デニール相当、を裁断したもの、「NFCB-10D-0.5T」(大東化成工業社製、10デニール、0.5mm、異形断面、カーボンブラックで黒色に染色したもの)などが挙げられる。
粉体の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜500μm、特に0.02〜100μm、更に0.03〜50μmであるのが、塗布時の使用感や、発色性、カバー力の点からので好ましい。
これらの粉体は、粉体として本来表面が親水性であるものや、疎水性であるもの、粉体の一部または全部を表面が親水化処理、又は疎水化処理したものを使用でき、これらの中で疎水性又は疎水化処理粉体は、使用感や化粧持続性により優れるので好ましい。疎水化処理は、例えば、シリコーン化合物(ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーン油及びその誘導体)、脂肪酸金属塩、アルキルリン酸、アルキルリン酸のアルカリ金属塩又はアミン塩、N−モノ長鎖(炭素数8〜22)脂肪族アシル塩基性アミノ酸、パーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物などの疎水化処理剤を用いて行うことができ、通常の方法に従って処理することができる。親水化処理はたとえば、ポリアクリル酸などの水溶性ポリマー、シリカ、アルミナなどの無機化合物、界面活性剤などの親水化処理剤を用いて行うことができ、通常の方法に従って処理することができる。また、粉体に対する疎水化処理剤および親水化処理剤の処理量は、0.05〜20質量%、特に2〜10質量%であるのが好ましい。
特に、シリコーン油、フッ素化合物で疎水化処理した粉体を用いるのが好ましい。
これらの中で、滑らかさを付与する粉体としては、水及び油に不溶の界面活性剤多価金属塩粉末、樹脂粉末、アミノ酸系粉末から構成される有機板状粉体があり、Nε−ラウロイル−L−リジン(アミホープLL、味の素社製、平均粒子径:長径12μm、短径10μm、厚さ0.4μm)などが好ましい。また、無機板状粉体としては窒化ホウ素や、有機無機複合粉体としては窒化ホウ素被覆シリコーンエラストマー粉体が好ましい。
また、使用感にさらさら感を付与するためには無機球状粉体、有機球状粉体が好ましい。かかる球状粉体としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム等の無機球状粉体;ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンとアクリル酸の共重合体、シリコーン樹脂等の有機球状粉体や、さらにこれらの複合粉体、体質顔料や着色顔料等を通常の方法により球状に造粒したものなどが挙げられる。
これらの中でも、平均粒子径3〜30μm(レーザー回折式粒度分布測定)の粉体が好ましく、中でもオルガノポリシロキサンエラストマー、ポリメチルシルセスキオキサン、架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体などのシリコーン類が滑らかな伸び広がりの点で好ましい。
市販品としては、ナイロンであるナイロン12SP−500(東レ社製)、ポリメタクリル酸アルキルであるマツモトマイクロスフェアーM−101、305(何れも、松本油脂製薬社製)、ポリスチレンであるガンツパールGS−0605(ガンツ化成社製)、オルガノポリシロキサンエラストマーであるトレフィルE505、E506、E701(何れも、東レ・ダウコーニング社製)、ポリメチルシルセスキオキサンであるトスパール2000B*(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体であるKSP−100、300(何れも信越化学工業社製)等が挙げられる。
成分(B)粉体は、1種以上を用いることができ、使用感を向上させる観点から、全組成中に0〜35質量%、特に0〜10%含有するのが好ましい。
また、粉末化粧料全組成中に、全粉体成分((a)+(B))は、50〜95質量%、好ましくは70〜90質量%含有される。
〔成分(C)油剤〕
本発明の固形粉末化粧料は、成分(C)油剤を含有することができる。成分(C)油剤は、25℃で液状、半固体状および固体状から選ばれる1種以上の油剤を用いることができる。成分(C)は、使用感、密着力、粉っぽさの調整の観点から含有される。
25℃で液状の油剤としては、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されずに使用することができる。例えば、ホホバ油等の植物油;液状ラノリン等の動物油;流動パラフィン、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン等の直鎖又は分岐の炭化水素油;脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等のエステル油;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等のフッ素油などが挙げられる。
25℃で固体状の油剤は、好ましくは40℃以上、より好ましくは60〜110℃の融点を有するもので、通常化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、動物性ワックス、植物性ワックス、鉱物性ワックス、合成ワックス等を用いることができる。具体的には、コメヌカロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ、ゲイロウ、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
また、25℃で半固体状の油剤としてはイソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカダミアナッツ油脂肪酸コレステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、等のコレステロール誘導体、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸酸フィトステリル、等のフィトステロール誘導体、ヘキサオキシステアリン酸ジペンタエリトリット、ロジン酸ジペンタエリトリット等のジペンタエリトリット脂肪酸エステル、(アジピン酸・2-エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステル、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリド等のトリグリセライド、硬化油などの部分的に水素添加されたトリグリセライド、ラノリン、ラノステロール誘導体、ワセリン等が挙げられる。
これらのなかで、使用感、密着力、粉っぽさの調整の観点から流動イソパラフィン、スクワランが好ましい。
成分(C)の油剤は、1種以上を用いることができ、使用感を維持しつつ、粉っぽさを低減させる観点から、全組成中に0〜35質量%、特に0〜10質量%含有するのが好ましい。
また、粉末化粧料全組成中に、全油剤成分((b)+(C))は、5〜50質量%、好ましくは、10〜30質量%含有される。
本発明の固形粉末化粧料は、更に通常の化粧料に用いられる成分、例えば、保湿剤、紫外線吸収剤、色素、増粘剤、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤、ビタミン類、抗炎症剤、香料、その他の薬剤等を、適宜含有することができる。これらの成分を配合する場合には、成分(A)の複合粉体を製造する際に含有させることもできるし、成分(A)と、成分(B)、(C)を混合する際に含有させることもできる。
本発明の固形粉末化粧料は、全組成中の粉体が50〜95質量%、油剤が5〜50質量%となるように調整した組成物を、加圧成型することにより、製造することができる。
本発明の固形粉末化粧料は、例えばファンデーション、フェイスパウダー、固形白粉、アイシャドウ、アイブロウ、頬紅、マスカラ等のメイクアップ化粧料や、ボディパウダーなどとして好適である。
実施例1〜16及び比較例1〜6(固形粉末状アイシャドウ)
表1及び表2に示す組成の固形粉末状アイシャドウを、下記製造方法により製造した。得られた固形粉末アイシャドウについて、崩壊性;塗布時のしっとり感及び滑らかさ;仕上がり時の密着力、粉っぽさのなさ、ツヤ、パール感、滑らかさ、ムラつきのなさ、及び外観色と塗布色の差;化粧持ち、並びに耐衝撃性を評価した。結果を表3に示す。
(製造方法)
(1)実施例1〜16:
(1−1)成分(A)複合粉体の製造;
各成分(a)粉体、(b)油剤を合わせて50g量りとり、オートクレーブ(内容量500mL、AKICO社製)内に充填し、密閉した。充填後、ボンベより二酸化炭素を供給し、圧力25MPa、温度45℃に設定し、超臨界状態に保つ。この温度及び圧力条件で、攪拌速度を250r/minとして、30分間オートクレーブ内の各成分の攪拌を行った。
次いで、攪拌速度を100r/minとし、オートクレーブに付属した排気バルブを徐々に開放し、10−25分間で大気圧まで減圧を行った。この時断熱膨張作用により容器内の温度が低下するが、二酸化炭素の液相を経由しないように内部の温度調節を行った。具体的には、減圧途中の内部圧力7MPa時のオートクレーブ内の温度が308〜318Kであり、減圧終了時の温度が305〜318Kであった。大気圧に到達後、攪拌を止め、成分(A)の複合粉体を得た。
(1−2)固形粉末状アイシャドウの製造;
上記製法で得られた成分(A)の複合粉体を、メッシュを通し、アルミニウム製の中皿(縦1.5×横2.6×深さ0.4cm)に充填した。この後、圧縮成型し、固形粉末状アイシャドウとした。成型圧は処方により異なるが、例えば、JANOME ELECTRO PRESS 機で、30kgfで行う。
(2)比較例1〜6:
粉体成分をヘンシェルミキサーにて混合した後、油剤成分を添加し、さらに混合する。得られた複合粉体をアトマイザーにて粉砕し、メッシュを通した後、アルミニウム製の中皿に充填し、圧縮成型し、固形粉末アイシャドウを得た。
(評価方法)
(1)崩壊性:
固形粉末化粧料をスパチュラで1かき取り、上腕部に載せる。それを人差し指で軽く押さえつけ、粉体バルクが崩壊するまでの回数を求めた。以下の基準で示した。
◎;1回で崩壊。
○;2〜3回で崩壊。
△;4〜5回で崩壊。
×;5回以上で崩壊又は崩壊せず。
(2)塗布時のしっとり感:
10名の専門パネラーにより、各化粧料を瞼に塗布したときの感触を官能評価した。「しっとり感がある」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「しっとり感がある」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「しっとり感がある」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「しっとり感がある」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「しっとり感がある」と評価したパネラーが0〜3名。
(3)塗布時の滑らかさ:
10名の専門パネラーにより、各化粧料を瞼に塗布したときの感触を官能評価した。「滑らかさがある」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「滑らかさがある」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「滑らかさがある」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「滑らかさがある」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「滑らかさがある」と評価したパネラーが0〜3名。
(4)仕上がりの密着力:
10名の専門パネラーにより、スポンジで各化粧料を上腕に塗布したときの仕上がりを、皮丘への粉体の付き方を中心に評価した。「密着力がある」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「密着力がある」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「密着力がある」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「密着力がある」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「密着力がある」と評価したパネラーが0〜3名。
(5)仕上がりの粉っぽさのなさ:
10名の専門パネラーにより、各化粧料を瞼に塗布したときの仕上がりを官能評価した。「粉っぽくない」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「粉っぽくない」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「粉っぽくない」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「粉っぽくない」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「粉っぽくない」と評価したパネラーが0〜3名。
(6)仕上がりのツヤ:
10名の専門パネラーにより、各化粧料を瞼に塗布したときの仕上がりを官能評価した。「ツヤがある」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「ツヤがある」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「ツヤがある」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「ツヤがある」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「ツヤがある」と評価したパネラーが0〜3名。
(7)仕上がりのパール感:
10名の専門パネラーにより、各化粧料を瞼に塗布したときの仕上がりを官能評価した。「パール感がある」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「パール感がある」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「パール感がある」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「パール感がある」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「パール感がある」と評価したパネラーが0〜3名。
(8)仕上がりの滑らかさ:
10名の専門パネラーにより、各化粧料を瞼に塗布したときの仕上がりを官能評価した。「滑らかに見える」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「滑らかに見える」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「滑らかに見える」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「滑らかに見える」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「滑らかに見える」と評価したパネラーが0〜3名。
(9)仕上がりのムラつきのなさ:
10名の専門パネラーにより、各化粧料を瞼に塗布したときの仕上がりを官能評価した。「ムラつきしない」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「ムラつきしない」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「ムラつきしない」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「ムラつきしない」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「ムラつきしない」と評価したパネラーが0〜3名。
(10)外観色と塗布色の差:
化粧料の外観色と、化粧料を肌に塗布したときの仕上がりの色(塗布色)の差を、10名の専門パネラーにより評価した。「色の差がない」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「色の差がない」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「色の差がない」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「色の差がない」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「色の差がない」と評価したパネラーが0〜3名。
(11)化粧持ち:
10名の専門パネラーにより、各化粧料を瞼に塗布して5時間後の仕上がりを官能評価した。「化粧持ちがよい」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「化粧持ちがよい」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「化粧持ちがよい」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「化粧持ちがよい」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「化粧持ちがよい」と評価したパネラーが0〜3名。
(12)耐衝撃性(落下試験):
収容皿内に収容された状態の化粧料10個を、50cmの高さから厚さ25mmのベニヤ板上に10回繰り返し落下させた。欠け、割れ、ひびなどの異常が生じなかった化粧料の個数を、百分率(%)で示した。この数値が大きいほど、耐衝撃性が高い。
(13)耐衝撃性(立体成型):
棒状に成型した化粧料10個を、30cmの高さから厚さ25mmのベニヤ板上に5回繰り返し落下させた。欠け、割れ、ひびなどの異常が生じなかった化粧料の個数を、百分率(%)で示した。この数値が大きいほど、耐衝撃性が高い。
Figure 2010132591
Figure 2010132591
Figure 2010132591
実施例17〜24及び比較例7〜10(パウダーファンデーション)
表4に示す組成のパウダーファンデーションを、下記製造方法により製造した。得られたパウダーファンデーションについて、実施例1〜16と同様にして、崩壊性;塗布時のしっとり感及び滑らかさ;仕上がり時の密着力、粉っぽさのなさ、カバー力、ツヤ、パール感、滑らかさ、ムラつきのなさ、及び外観色と塗布色の差;化粧持ち、並びに耐衝撃性を評価した。なお、実施例1〜16において、アイシャドウを瞼に塗布して評価を行ったものは、パウダーファンデーションでは、顔全体に塗布して評価を行った。また、仕上がりのカバー力についても評価した。結果を表5に示す。
(製造方法)
(1)実施例:
実施例1〜16と同様にして、成分(A)の複合粉体を製造し、得られた複合粉体を、メッシュを通し、樹脂製の中皿(縦4.5×横5.3×深さ0.7cm)に充填した。この後、圧縮成型し、パウダーファンデーションを得た。
(2)比較例:
粉体成分をヘンシェルミキサーにて混合した後、油剤成分を添加し、さらに混合する。得られた複合粉体をアトマイザーにて粉砕し、メッシュを通した後、アルミニウム製の中皿に充填し、圧縮成型し、パウダーファンデーションを得た。
(評価方法)
仕上がりのカバー力:
10名の専門パネラーにより、各化粧料を瞼に塗布したときの仕上がりを官能評価した。「カバー力がある」と評価したパネラーの数により、以下の基準で示した。
◎;「カバー力がある」と評価したパネラーが8〜10名。
○;「カバー力がある」と評価したパネラーが6〜7名。
△;「カバー力がある」と評価したパネラーが4〜5名。
×;「カバー力がある」と評価したパネラーが0〜3名。
Figure 2010132591
Figure 2010132591
実施例25〜30
上記製法で得られた成分(A)の複合粉体に、成分(B)、(C)を添加し、ヘンシェルミキサーにて混合した。得られた粉体は、メッシュを通した後、アルミニウム製の中皿に充填し、圧縮成型し、固形粉末状アイシャドウを得た。
(実施例25)
上記方法により、固形粉末状アイシャドウを得た。このアイシャドウは密着力があり、滑らかさに非常に優れ、色むらがなかった。
(成分)
実施例1の成分(A) 80(質量%)
(B)窒化ホウ素(粒径4μm、水島合金鉄社製、SHP-4) 14
(C)シリコーン油(6cs) 6
(実施例26)
上記方法により、固形粉末状アイシャドウを得た。このアイシャドウは密着力があり、滑らかさに非常に優れ、色むらがなかった。
(成分)
実施例7の成分(A) 88(質量%)
(B)有機球状粉体(KSP-100)*8 12
(実施例27)
上記方法により、固形粉末状アイシャドウを得た。このアイシャドウは密着力があり、滑らかさに非常に優れ、色むらがなかった。
(成分)
実施例7の成分(A) 52(質量%)
(B)有機球状粉体(KSP-100)*8 18
(B)オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体
(トレフィルE505) 10
(C)スクワラン 20
(実施例28)
上記方法により、固形粉末状アイシャドウを得た。このアイシャドウは密着力があり、滑らかさに非常に優れ、赤みの鮮やかさがある。
(成分)
実施例13の成分(A) 95(質量%)
(B)ベンガラ 4
(B)繊維粉末(「NFCB-10D-0.5T」大東化成工業社製) 1
(実施例29)
上記方法により、固形粉末状アイシャドウを得た。このアイシャドウは密着力があり、滑らかさに非常に優れ、色むらがなかった。
(成分)
実施例14の成分(A) 97(質量%)
(C)スクワラン 3
(実施例30)
上記方法により、固形粉末状ファンデーションを得た。このファンデーションは密着力があり、滑らかさに非常に優れ、色むらがなく、カバー力が高いものであった。
(成分)
実施例23の成分(A) 95(質量%)
(B)ベンガラ 1
(B)黄酸化鉄 1.4
(B)黒酸化鉄 0.1
(B)酸化チタン 2.5

Claims (10)

  1. 固形粉末化粧料であって、
    (A):(a)粉体と(b)25℃で液状の油剤とを、超臨界または亜臨界二酸化炭素中にて混合して得られる複合粉体 30〜100質量%、
    (B):成分(A)以外の粉体 0〜35質量%、
    (C):油剤 0〜35質量%
    を含有し、(a)と(b)の質量割合が95:5〜50:50であって、固形粉末化粧料全組成中に、粉体成分を50〜95質量%、油剤成分を5〜50質量%含有する固形粉末化粧料。
  2. (a)粉体の一部または全部が、疎水化処理された粉体である請求項1記載の固形粉末化粧料。
  3. 疎水化処理された粉体が、シリコーン処理及び/又はフッ素処理粉体である請求項2記載の固形粉末化粧料。
  4. (b)25℃で液状の油剤が、(a)粉体の疎水化処理とは異なる種の油剤である請求項2又は3記載の固形粉末化粧料。
  5. (a)粉体中、30〜100質量%が板状粉体である請求項1〜4のいずれか1項記載の固形粉末化粧料。
  6. 板状粉体のうち、30〜100質量%がパール顔料である請求項5記載の固形粉末化粧料。
  7. (a)粉体中、球状粉体の含有量が5質量%未満である請求項1〜6のいずれか1項記載の固形粉末化粧料。
  8. (b)25℃で液状の油剤が、炭化水素油、エステル油及びエーテル油から選ばれる1種以上の油剤である請求項1〜7のいずれか1項記載の固形粉末化粧料。
  9. 更に、成分(A)が、(c)25℃で固体状または半固体状の油剤を含有する請求項1〜8のいずれか1項記載の固形粉末化粧料。
  10. 固形粉末化粧料の製造方法であって、
    (A):(a)粉体と(b)25℃で液状の油剤とを、超臨界または亜臨界二酸化炭素中にて混合して得られる複合粉体 30〜100質量%、
    (B):成分(A)以外の粉体 0〜35質量%、
    (C):油剤 0〜35質量%
    を混合し、固形粉末化粧料全組成中の粉体成分が50〜95質量%、油剤成分が5〜50質量%となるように調整した組成物を加圧成型する固形粉末化粧料の製造方法。
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