JP2014188907A - 液体噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】所望の印字特性を得ることができる液体噴射装置を提供する。
【解決手段】被吐出媒体に対し第1の方向に相対的に移動し、被吐出媒体に対して液体を吐出する液体噴射ヘッドと、被吐出媒体を液体噴射ヘッドに対し第2の方向に相対的に搬送する搬送手段と、被吐出媒体の前記液体噴射ヘッドとは逆側の面を吸着する吸着手段と、吸着手段が、液体噴射ヘッドが前記被吐出媒体に対して前記液体を吐出する場合に吸着し、搬送手段により第2の方向に前記被吐出媒体が相対的に搬送されるときは前記液体の吐出時に比べて吸着力を弱めるように制御する制御手段を備える。
【選択図】図5

Description

本発明は液体噴射装置に関する。
液体を噴射する液体噴射ヘッドには、ノズルに連通する圧力室が設けられた流路形成基板の一方面側に圧電素子(アクチュエーター装置)を設け、圧電素子の変位によって圧力室内の圧力変動を行わせてインク滴をノズルから吐出するインクジェット式記録ヘッドが知られている。このようなインクジェット式記録ヘッドが搭載されたインクジェット式記録装置では、記録媒体にインクを吐出して記録媒体にしみこませることで画像を形成している。この場合に、記録媒体がインクを吸収することで、吸収した部分が膨張して浮き上がり、その周囲に凹凸ができることがある。このような凹凸ができると、記録ヘッドの液体噴射面と記録媒体との距離が変わってしまい、インクジェット式記録装置が所望の印字特性を得ることができない。
このような凹凸を減少させるために、記録媒体が載置されるプラテンに吸引ファンを設けて、この吸引ファンを駆動させて記録媒体をプラテンに吸着するものが知られている。
特開2002−127515号公報(請求項1等)
特許文献1に記載された発明によれば、記録媒体をプラテンに吸着することで、記録媒体を平坦にすることができ、記録媒体に凹凸ができることによる印字特性の低下を抑制することはできる。しかしながら、このようなインクジェット式記録装置では、吸引により摩擦力が増大し、記録媒体が搬送しにくいことがある。この場合にも所望の印字特性を得ることができないことがある。
そこで、本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決することにあり、印字特性を向上することができる液体噴射装置を提供しようとするものである。
本発明の液体噴射装置は、被吐出媒体に対し第1の方向に相対的に移動し、前記被吐出媒体に対して液体を吐出する液体噴射ヘッドと、被吐出媒体を前記液体噴射ヘッドに対し第2の方向に相対的に搬送する搬送手段と、前記被吐出媒体の前記液体噴射ヘッドとは逆側の面を吸着する吸着手段と、前記吸着手段が、前記液体噴射ヘッドが前記被吐出媒体に対して前記液体を吐出する場合に吸着し、前記搬送手段により前記第2の方向に前記被吐出媒体が相対的に搬送されるときは前記液体の吐出時に比べて吸着力を弱めるように制御する制御手段とを備えることを特徴とする。前記液体噴射ヘッドが前記被吐出媒体に対して前記液体を吐出する場合に吸着し、前記搬送手段により前記第2の方向に前記被吐出媒体が相対的に搬送されるときは前記液体の吐出時に比べて吸着力を弱めるように制御する制御手段を備えることで、前記第2の方向に前記被吐出媒体を相対的に搬送するときに吸着力が弱まって(低下して)、スムーズに被吐出媒体を搬送することができ、所望の印字特性を得ることができる。なお、ここで吸着力を弱めるとは、全く吸着しない状態(吸着力が0である場合)を含む。
前記制御手段は、前記液体噴射ヘッドが前記被吐出媒体に対して前記液体を吐出する場合に、前記被吐出媒体の前記液体噴射ヘッドに対向する領域を吸着し、前記液体噴射ヘッドに対向しなくなった領域では対向していた時に比べて吸着力を弱めるように、前記吸着手段を制御することが好ましい。このように構成することで、被吐出媒体に対する応力を低下させ、より所望の印字特性を得ることができる。
本発明の好ましい実施形態としては、前記吸着手段は、前記第1の方向に亘って設けられると共に、前記第1の方向に亘って複数に分割された領域毎に吸着力を変更できるように構成され、前記制御手段は、前記液体噴射ヘッドに対向する領域の前記吸着手段が吸着をし、前記液体噴射ヘッドに対向しなくなった領域の前記吸着手段は対向していた時に比べて吸着力を弱めるように前記吸着手段を制御することが挙げられる。
本発明の好ましい実施形態としては、前記吸着手段は、被吐出媒体に対し前記第1の方向に相対的に移動可能であるように構成され、前記吸着手段が前記液体噴射ヘッドに対して移動して、前記液体噴射ヘッドに対向する領域では吸着し、前記液体噴射ヘッドに対向しなくなった領域では対向していた時に比べて吸着力を弱めるように制御されることが挙げられる。
本発明の好ましい実施形態としては、前記吸着手段が、前記被吐出媒体の前記液体噴射ヘッドとは逆側の面を吸引して負圧を形成することで前記被吐出媒体を吸着する吸引手段であることが挙げられる。
本発明の好ましい実施形態としては、前記被吐出媒体に対し相対的に移動しながら前記被吐出媒体の前記液体噴射ヘッドとは逆側の面を支持するプラテンをさらに有し、前記吸着手段は、前記被吐出媒体を前記プラテンに吸着することが挙げられる。
前記制御手段は、前記搬送手段により前記第2の方向に前記被吐出媒体が相対的に搬送されるときは、吸着力がゼロになるまで弱めることが好ましい。吸着力がゼロになるまで弱めることで、最も搬送しやすくなる。
実施形態1に係る記録装置の概略斜視図である。 実施形態1に係るプラテンの模式的断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの断面図である。 実施形態1に係る制御系を示すブロック図である。 実施形態1に係る吸引手段の作動を説明するための模式的断面図。 別の吸引手段の作動を説明するための模式的断面図。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る記録装置の概略斜視図である。
記録装置Iでは、インクジェット式記録ヘッド1(以下、記録ヘッド1とも言う)にインク供給手段を構成するインクカートリッジ2が着脱可能に設けられ、この記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動可能に設けられている。この記録ヘッド1は、例えば、ブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
また、インクジェット式記録装置Iには、詳しくは後述するが、当該インクジェット式記録装置Iの動作を制御する制御手段である制御装置100が設けられている。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。他方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラーなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に載置されて搬送されるようになっている。
プラテン8は、本実施形態では、記録シートSが載置される載置面81にスリット状の開口82が設けられている。開口82は、複数形成されており、主走査方向(詳細は後述する)に沿ってプラテン8の長手方向に亘って列設されている。
図2に示すように、プラテン8内部には、シャッター83が各開口82に対向して設けられている。このシャッター83は、開閉可能であるように構成され、それぞれ詳しくは後述する制御装置100により開閉制御される。また、プラテン8内部には、吸引ファン84が設けられ、これによりプラテン8内部を負圧にすることができる。従って、吸引ファン84が駆動している状態で、かつ、シャッター83が開状態である場合には、この開状態であるシャッター83に対応する開口82上に載置された記録シートSを印字面の裏側から(即ち記録ヘッドとは逆側の面から)吸引して吸着することができる。また、シャッター83が閉状態である場合には、この閉状態であるシャッター83に対応する開口82上に載置された記録シートSは吸着されていない。
かかる吸引ファン84についても制御装置100により駆動制御されている。本実施形態では、この吸引ファン84、開口82及びシャッター83により吸引手段80が構成される。
ここで、このようなインクジェット式記録装置Iに搭載されたインクジェット式記録ヘッド1について説明する。図3は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドを示す断面図である。
図3に示すように、流路形成基板50はシリコン単結晶基板からなり、その一方面側の表層部分には、複数の隔壁51によって画成された圧力発生室52がその幅方向(短手方向)に並設されている。また、各圧力発生室52の長手方向一端部側には、各圧力発生室52に液体の一例であるインクを供給するためのマニホールド53が液体供給路の一例であるインク供給路54を介して連通されている。また、流路形成基板50の圧力発生室52の開口面側は振動板55で封止され、他方面側にはノズル開口56が穿設されたノズル形成部材の一例であるノズルプレート57が接着剤や熱溶着フィルムを介して接着されている。
流路形成基板50上に形成された振動板55は、例えば、樹脂フィルム等の弾性部材からなる弾性膜55aと、この弾性膜55aを支持する、例えば、金属材料等からなる支持板55bとの複合板で形成されており、弾性膜55a側が流路形成基板50に接合されている。例えば、本実施形態では、弾性膜55aは、厚さが数μm程度のPPS(ポリフェニレンサルファイド)フィルムからなり、支持板55bは、厚さが数十μm程度のステンレス鋼板(SUS)からなる。また、振動板55の各圧力発生室52に対向する領域内には、圧電アクチュエーター11の先端部が当接する島部59が設けられている。すなわち、振動板55の各圧力発生室52の周縁部に対向する領域に他の領域よりも厚さの薄い薄肉部60が形成され、この薄肉部60の内側にそれぞれ島部59が設けられている。本実施形態では、振動板55に、島部59を設けることで、振動板55に他の領域(薄肉部60)よりも厚さの厚い厚肉部が設けられている。
また、振動板55のマニホールド53に対向する領域には、薄肉部60と同様に、支持板55bがエッチングにより除去されて実質的に弾性膜55aのみで構成されるコンプライアンス部61が設けられている。なお、このコンプライアンス部61は、マニホールド53内に圧力変化が生じた時に、このコンプライアンス部61の弾性膜55aが変形することによって圧力変化を吸収し、マニホールド53内の圧力を常に一定に保持する役割を果たす。
振動板55上には、図示しない複数の液体貯留体の一例であるインクカートリッジに接続される液体供給路の一例であるインク供給路を有するヘッドケース58が固定されており、且つこのヘッドケース58には、圧電アクチュエーターユニット10が高精度に位置決めされて固定されている。すなわち、ヘッドケース58は、貫通した収容部58aが設けられており、この収容部58aの一方の内面に圧電アクチュエーターユニット10が、各圧電アクチュエーター11の先端が振動板55上の各圧力発生室52に対応する領域に設けられた各島部59(厚肉部)に接着剤63を介して接着されて固定されている。
ここで、圧電アクチュエーターユニット10は、複数の圧電アクチュエーター11がその幅方向に並設された列を有する圧電アクチュエーター形成部材13と、圧電アクチュエーター形成部材13の先端部(一端部)側が自由端となるようにその基端部(他端部)側が固定端として接合される固定板14とを有する。
圧電アクチュエーター形成部材13は、圧電材料層15と、圧電アクチュエーター11の2つの極を構成する内部電極、すなわち、隣接する圧電アクチュエーター11と電気的に独立する個別電極16と、隣接する圧電アクチュエーター11と電気的に共通する共通電極17とを交互に挟んで積層することにより形成されている。
この圧電アクチュエーター形成部材13には、例えば、ワイヤーソー等によって複数のスリット18が形成され、その先端部側が櫛歯状に切り分けられて圧電アクチュエーター11の列が形成されている。
また、圧電アクチュエーター11の固定板14に接合される領域は、振動に寄与しない不活性領域となっており、圧電アクチュエーター11を構成する個別電極16及び共通電極17間に電圧を印加すると、固定板14に接合されていない先端部側の領域のみが振動する。
このような圧電アクチュエーターユニット10は、固定板14が、圧電アクチュエーター形成部材13が固定された面とは反対側の面がヘッドケース58の収容部58aに固定される。また、各圧電アクチュエーター11の先端面が、振動板55の島部(厚肉部)59に接着剤63を介して接着される。
さらに、ヘッドケース58上には、回路基板30の各配線31がそれぞれ接続される複数の導電パッド32が設けられた配線基板33が固定されており、ヘッドケース58の収容部58aは、この配線基板33によって実質的に塞がれている。配線基板33には、ヘッドケース58の収容部58aに対向する領域にスリット状の開口部34が形成されており、回路基板30はこの配線基板33の開口部34から収容部58aの外側に折り曲げられて引き出されている。
ここで、圧電アクチュエーターユニット10を構成する回路基板30は、例えば、本実施形態では、圧電アクチュエーター11を駆動するための駆動IC(図示なし)が搭載されたチップオンフィルム(COF)からなる。そして、回路基板30の各配線31は、その基端部側では、例えば、半田、異方性導電材等によって圧電アクチュエーター11を構成する個別電極16及び共通電極17に接続されている。一方、先端部側では、各配線31は配線基板33の各導電パッド32に接合されている。具体的には、配線基板33の開口部34から収容部58aの外側に引き出された回路基板30の先端部が配線基板33の表面に沿って折り曲げられた状態で、各配線31は配線基板33の各導電パッド32に接合されている。
なお、このようなインクジェット式記録ヘッド1では、インク滴を吐出する際に、圧電アクチュエーター11及び振動板55の変形によって各圧力発生室52の容積を変化させて所定のノズル開口56からインク滴を吐出させるようになっている。具体的には、図1に示すインクカートリッジ2からマニホールド53にインクが供給されると、インク供給路54を介して各圧力発生室52にインクが分配される。実際には、圧電アクチュエーター11に電圧を印加することにより圧電アクチュエーター11を収縮させる。これにより、振動板55が圧電アクチュエーター11と共に変形されて圧力発生室52の容積が広げられ、圧力発生室52内にインクが引き込まれる。そして、ノズル開口56に至るまで内部にインクを満たした後、配線基板33を介して制御装置100から供給される記録信号に従い、圧電アクチュエーター11の個別電極16及び共通電極17に印加していた電圧を解除する。これにより、圧電アクチュエーター11が伸張されて元の状態に戻ると共に振動板55も変位して元の状態に戻る。結果として圧力発生室52の容積が収縮して圧力発生室52内の圧力が高まりノズル開口56からインク滴が吐出される。
このようなインクジェット式記録ヘッド1を具備するインクジェット式記録装置Iを制御する制御装置100について説明する。なお、図4は、本発明の実施形態1に係る記録装置の制御系を示すブロック図である。
図4に示すように、インクジェット式記録装置Iでは、実際の印刷を行う機構部となる記録ヘッド1と、駆動モーター6及び紙送りモーターと、記録ヘッド1並びに駆動モーター6及び紙送りモーターの動作を制御する制御装置100とを具備する。
制御装置100は、印刷制御手段101、記録ヘッド駆動回路102、位置制御手段103及び吸引制御手段104とを具備する。
印刷制御手段101は、インクジェット式記録装置Iから制御装置100に印刷信号が入力されると、記録ヘッド1の印刷動作の制御を開始する。例えば、印刷制御手段101は、印刷信号の入力に伴って記録ヘッド駆動回路102を介して圧電アクチュエーター11に駆動パルス(記録信号)を印加して、記録ヘッド1からインクを吐出させる。また、印刷制御手段101は、インクジェット式記録装置Iに印刷信号が入力されると、印刷動作信号を位置制御手段103及び吸引制御手段104に入力する。
位置制御手段103は、印刷動作信号に従い、記録ヘッド1の印刷時やクリーニング動作時等の主走査方向及び副走査方向の位置決めを行う。
印刷動作信号が位置制御手段103に入力された場合、位置制御手段103は、駆動モーター6を駆動してキャリッジ3を主走査方向に移動することで記録ヘッド1の主走査方向の位置決めを行い、図示しない紙送りモーターを駆動して記録シートSを副走査方向に移動することで記録シートSに対する記録ヘッド1の副走査方向の位置決めを行っている。つまり、主走査方向(第1の方向)とはキャリッジ3の移動方向のことであり、副走査方向(第2の方向)とは主走査方向に交差する方向、本実施形態では、記録シートSの搬送方向のことである。そして、位置制御手段103は、印刷時には記録ヘッド1が搭載されたキャリッジ3を主走査方向に移動させながら、記録シートSを副走査方向に移動させる。本実施形態では、記録ヘッド1を主走査方向に一往復させると、記録シートSを副走査方向に移動させる。
吸引制御手段104は、印刷動作信号に従い、吸引手段80の作動を制御する。以下、詳細に説明する。
吸引制御手段104による制御は、印刷制御手段101から印刷信号が入力されると開始される。本実施形態では、吸引制御手段104は、制御開始後、吸引ファン84を作動させると共に、キャリッジ3の作動に併せてシャッター83を開閉動作させる。
具体的には、吸引制御手段104は、印刷動作信号が入力されると、記録ヘッド1が記録シートSに対して印字を行う場合に吸引し、副走査方向に記録シートSを搬送するときは吸引しない。さらにこの印字を行う場合について説明すると、吸引制御手段104は、記録シートSの記録ヘッド1に対向している領域を吸着し、記録ヘッド1が移動して対向した領域では吸着しない。
詳細に吸引制御手段104による制御内容を説明すれば、吸引制御手段104は、印刷動作信号が入力されると吸引ファン84を作動させる。吸引ファン84が作動された状態で、吸引制御手段104は、記録シートSが副走査方向に搬送されている場合には、全てのシャッター83を閉状態とするように制御する。
このように構成されていることで、記録シートSが副走査方向に搬送されている場合には記録シートSが吸引されていないので搬送されやすく、印刷位置のずれを抑制して印字特性の低下を抑制することができる。つまり、プラテン8の全ての開口82のシャッター83が開状態となっている場合には吸引力が大きいため、このまま記録シートSを副走査方向に搬送しようとしても記録シートSの副走査方向における搬送が難しく、印刷位置がずれやすくこれが印字特性の低下につながることが考えられる。そこで、本実施形態では、搬送時には吸引手段80を停止するように吸引制御手段104により制御して、印刷位置のずれを抑制して印字特性の低下を抑制しているのである。
そして、さらに本実施形態では、吸引制御手段104は、キャリッジ3が作動して主走査方向に移動しつつ、かつ、記録ヘッド1がインク吐出を行っている(印字を行っている)場合には、記録ヘッド1に対向する位置のシャッター83のみを開状態とするように制御し、記録ヘッド1に対向しない位置のシャッター83については閉状態とするように制御する。
このため、吸引制御手段104は、位置制御手段103からキャリッジ3の、即ち記録ヘッド1の位置情報を取得すると共に、記録ヘッド駆動回路102から記録ヘッド1の駆動情報を取得する。そして、吸引制御手段104は、これらの情報に基づいて、どの開口82に設けられたシャッター83を開状態とすればよいのかを判断し、記録ヘッド1に対向する位置のシャッター83のみを開状態とする。
なお、記録ヘッド1が主走査方向において移動することで記録シートSよりも外側に位置する場合には、全てのシャッター83が閉状態となるように吸引制御手段104は制御している。
このような吸引制御手段104による制御により、図5に示すように、キャリッジ3が駆動されて主走査方向に移動する場合に、記録ヘッド1に対向する位置のシャッター83のみが開状態となり、記録ヘッド1に対向しない位置のシャッター83については閉状態となる。次の瞬間には記録ヘッド1が移動していることから、現在記録ヘッド1に対向する位置のシャッター83が閉状態となる。即ち、液体噴射ヘッドに対向しなくなった領域の吸引手段80は対向していた時に比べて吸着力が弱まる。そして、インク吐出している記録ヘッド1に対向する位置のシャッター83については開状態となっているから、記録シートSがプラテン8の載置面81に吸着される。これにより記録ヘッド1により印字される記録シートSの領域が平坦となり凹凸がなくなるので、印字特性の低下が抑制される。
そして、記録シートSの記録ヘッド1に対向しない位置については、シャッター83が閉状態となり記録シートSはプラテン8の載置面81に吸着されず、プラテン8のうち液体噴射している記録ヘッド1に対向した領域のみで記録シートSは吸着されていることから、より印字特性の低下を抑制できる。
即ち、記録ヘッド1からのインク吐出中に、プラテン8の全ての開口82のシャッター83が開状態となっていて記録シートSが主走査方向において全て吸引されるとしても記録シートの副走査方向における搬送は問題がない。しかしながら、記録シートSが主走査方向において全て吸引されると、記録シートSに応力が加わり、記録シートSの種類によっては記録シートSに皺がよりやすいことも考えられる。これに対し、本実施形態では、プラテン8のうち液体噴射している記録ヘッド1に対向した領域のみで吸引されていることから、記録シートSに加わる応力が小さく、これにより皺がよりにくい。従って、本実施形態のように、記録シートSの記録ヘッド1に対向しない位置については、シャッター83が閉状態となり記録シートSはプラテン8の載置面81に吸着されないように構成することが好ましいのである。
このように、本実施形態では、印字中(液体吐出中)には、記録ヘッド1に対向する液体吐出領域が吸引されて平坦面となり、かつ、記録シートSが副走査方向に搬送されている場合には記録シートSが吸引されていないので搬送されやすく、印刷位置のずれを抑制して印字特性の低下を抑制することができる。
本実施形態では、プラテン8に形成された各開口82に設けられた各シャッター83のそれぞれの開閉状態を制御することで、主走査方向に移動する記録ヘッド1に対応して記録シートSの吸引が行われているが、これに限定されない。例えば、図6に示すように吸引手段80自体が主走査方向に移動する記録ヘッド1に対応して移動するように構成されていても良い。また、吸引ファン84自体がプラテン8内を移動してもよい。即ち、この吸引領域が記録ヘッド1の移動に対応して移動するように構成されていればよい。この時、吸引手段80は記録ヘッド1と対抗する位置に存在するように、キアやベルト等を用いて、吸引手段80と記録ヘッド1とが互いに連動するような構造にしておくことが望ましい。
本実施形態では吸引手段80により記録シートSを吸着としたが、これに限定されない。記録シートSを所定の場合にプラテン8の載置面に吸着することができればどのような手段でもよいが、例えば静電気を用いて上記したような所定の場合にのみ吸着することができるように構成してもよい。また、記録ヘッド1側から記録シートSを押圧することで記録シートSを記録ヘッド1側から吸着するように構成してもよい。
本実施形態では、所定の場合にはシャッター83については閉状態(吸引力がゼロである状態)としたがこれに限定されず、シャッター83の開度を変更しても良い。例えば、シャッター83の開度を開口82に対して50%とすることで、吸引力を低下させて、即ち記録シートSの吸着力を弱くなるように構成してもよい。このように構成したとしても、吸引力が低下することで、記録シートSの副走査方向における搬送をスムーズに行うことができる。
本実施形態では、開口82の形状はスリット状であるとしたが、これに限定されない。例えば、マトリクス状に複数の矩形状の開口が設けられていても良いし、その形状が円形などであってもよい。記録ヘッド1よりも小さい開口が設けられていればよい。
本実施形態では複数の開口82に対し一つの吸引ファン84を設け、これを駆動してプラテン8内を負圧として吸引を行ったが、これに限定されない。プラテン8内に複数の吸引ファン84が設けてあってもよい。複数の吸引ファン84を設ける場合、プラテン8内部を各吸引ファン84に対応した複数の領域に区画して、領域毎に吸引ファン84による吸引制御を行ってもよい。また、領域毎に個別に吸引ファン84による吸引制御の吸着力を変更してもよい。
本実施形態では、各開口82に対応する各シャッター83の開閉状態をそれぞれ制御したが、これに限定されない。例えば、プラテン8の長手方向において各開口82及びこれに対応する各シャッター83を複数の領域に分け、領域毎にシャッター83の開閉状態を制御してもよい。また、このようにプラテン8の長手方向において各開口82及びこれに対応する各シャッター83を複数の領域に分ける場合には、各開口82に対して各シャッター83を設けずに、各領域における複数の開口82に亘ってシャッター83が設けられていても良い。
本実施形態では、主走査方向に移動する記録ヘッドに対向する領域の開口82のシャッター83のみが開状態となったが、これに限定されない。記録ヘッド1の移動方向における開口82のシャッター83を予め開状態とするように構成してもよい。このように構成することで、記録シートSを確実に吸着することができ、より安定して印字を行うことができる。特に高速で記録ヘッド1を移動させる場合において印字特性の低下を抑制することができる。
本実施形態では、記録シートSよりも外側に記録ヘッド1が移動した場合には記録シートSが副走査方向に移動しなくても全ての開口82のシャッター83を閉状態としたが、これに限定されない。記録シートSが副走査方向に移動していなければ、シャッター83を開状態としてもよい。また、記録シートSよりも外側に記録ヘッド1が移動した場合には、次に記録ヘッド1が移動してくる位置の開口82に対応するシャッター83を開状態とし、残りの開口82を閉状態としてもよい。
さらに、上述した実施形態では、記録ヘッド1を主走査方向に一往復させると、記録シートSを副走査方向に移動させるものを例示したがこれに限定されない。記録ヘッド1を主走査方向に複数回往復させると、記録シートSを副走査方向に移動させるものであってもよく、この場合には、記録シートSよりも外側に記録ヘッド1が移動した場合には、シャッター83を開状態としても閉状態としてもよい。
また、上述した実施形態では、記録ヘッド1が主走査方向、即ち第1の方向に移動し、記録シートSが副走査方向、即ち第2の方向に移動されるものであったが、これに限定されない。記録ヘッド1が記録シートSに対し第1の方向に相対的に移動し、記録シートSが記録ヘッド1に対し第2の方向に相対的に移動するものであればよく、例えば記録ヘッド1が第1の方向及び第2の方向に移動するように構成されているものであってもよい。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態や変形例を2つ以上組み合わせてもよいし、これらと以下の実施形態の1つまたは2つ以上を組み合わせてもよい。
また、上述した一実施形態では、流路(圧力発生室)に圧力変化を生じさせる圧力発生手段として、圧電材料層15を用いた圧電アクチュエーター11を例示したが、圧力発生手段は、特にこれに限定されるものではなく、所謂静電アクチュエーターやサーマルアクチュエーター等を用いてもよい。そもそも記録ヘッド1の構造はなんら限定されるものではなく、様々な構造を採用することができる。
また、上述した例では、インクジェット式記録装置Iは、液体貯留手段であるインクカートリッジ2がキャリッジ3に搭載された構成であるが、特にこれに限定されず、例えば、インクタンク等の液体貯留手段を装置本体4に固定して、貯留手段とインクジェット式記録ヘッド1とをチューブ等の供給管を介して接続してもよい。また、液体貯留手段がインクジェット式記録装置に搭載されていなくてもよい。
なお、上述した例では、インクジェット式記録装置Iとして、記録ヘッド1がキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、その構成は特に限定されるものではない。インクジェット式記録装置Iは、例えば、記録ヘッド1を固定し、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させることで印刷を行う、いわゆるライン式の記録装置であってもよい。この場合であっても、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させる際には吸引制御手段104により吸引手段80を駆動させないように構成することで、上述した実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
なお、上記各実施形態においては、液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられ、かかる液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置に適用できる。
I インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 1 インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 10 圧電アクチュエーターユニット、 11 圧電アクチュエーター、 50 流路形成基板、 52 圧力発生室、 58 ヘッドケース、 100 制御装置(制御手段)、 101 印刷制御手段、 104 吸引制御手段

Claims (7)

  1. 被吐出媒体に対し第1の方向に相対的に移動し、前記被吐出媒体に対して液体を吐出する液体噴射ヘッドと、
    被吐出媒体を前記液体噴射ヘッドに対し第2の方向に相対的に搬送する搬送手段と、
    前記被吐出媒体の前記液体噴射ヘッドとは逆側の面を吸着する吸着手段と、
    前記吸着手段が、前記液体噴射ヘッドが前記被吐出媒体に対して前記液体を吐出する場合に吸着し、前記搬送手段により前記第2の方向に前記被吐出媒体が相対的に搬送されるときは前記液体の吐出時に比べて吸着力を弱めるように制御する制御手段とを備えることを特徴とする液体噴射装置。
  2. 前記制御手段は、前記液体噴射ヘッドが前記被吐出媒体に対して前記液体を吐出する場合に、前記被吐出媒体の前記液体噴射ヘッドに対向する領域を吸着し、前記液体噴射ヘッドに対向しなくなった領域では対向していた時に比べて吸着力を弱めるように、前記吸着手段を制御することを特徴とする請求項1記載の液体噴射装置。
  3. 前記吸着手段は、前記第1の方向に亘って設けられると共に、前記第1の方向に亘って複数に分割された領域毎に吸着力を変更できるように構成され、
    前記制御手段は、前記液体噴射ヘッドに対向する領域の前記吸着手段が吸着をし、前記液体噴射ヘッドに対向しなくなった領域の前記吸着手段は対向していた時に比べて吸着力を弱めるように前記吸着手段を制御することを特徴とする請求項2記載の液体噴射装置。
  4. 前記吸着手段は、被吐出媒体に対し前記第1の方向に相対的に移動可能であるように構成され、
    前記吸着手段が前記液体噴射ヘッドに対して移動して、前記液体噴射ヘッドに対向する領域では吸着し、前記液体噴射ヘッドに対向しなくなった領域では対向していた時に比べて吸着力を弱めるように制御されることを特徴とする請求項2記載の液体噴射装置。
  5. 前記吸着手段が、前記被吐出媒体の前記液体噴射ヘッドとは逆側の面を吸引して負圧を形成することで前記被吐出媒体を吸着する吸引手段であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
  6. 前記被吐出媒体に対し相対的に移動しながら前記被吐出媒体の前記液体噴射ヘッドとは逆側の面を支持するプラテンをさらに有し、
    前記吸着手段は、前記被吐出媒体を前記プラテンに吸着することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
  7. 前記制御手段は、前記搬送手段により前記第2の方向に前記被吐出媒体が相対的に搬送されるときは、吸着力がゼロになるまで弱めることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
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