JP2014188213A - 医療用機器および医療用機器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カテーテル100は、長尺の管状本体10、操作線60、操作部および保持コイル70を備えている。管状本体10は、主管腔20よりも小径の副管腔を画定する樹脂製のサブチューブ40と、ワイヤ補強層30およびサブチューブ40を内包する樹脂製の外層50と、を含む。保持コイル70は、外層50に内包され、サブチューブ40とワイヤ補強層30とを共巻きしている。多条のコイル素線の少なくとも一部長さ同士は互いに離間させてピッチ巻回されており、これらのコイル素線同士のピッチ間隔が管状本体10の軸心方向の位置により相違している。
【選択図】図3
Description
管状本体10は、主管腔20の周囲に補強ワイヤ32を巻回してなるワイヤ補強層30と、このワイヤ補強層30の外側に配置され主管腔20よりも小径の副管腔42を画定する樹脂製のサブチューブ40と、ワイヤ補強層30およびサブチューブ40を内包する樹脂製の外層50と、を含む。操作線60は、副管腔42の内部に移動可能に挿通され先端が管状本体10の遠位部DE(図3、図4を参照)に接続されている。操作部90は、操作線60を牽引操作して管状本体10の遠位部DEを屈曲させる。保持コイル70は、外層50に内包され、サブチューブ40とワイヤ補強層30とに多条のコイル素線70a、70b(図4を参照)を共巻きしてなる。
本実施形態のカテーテル100は、多条のコイル素線70a、70bの少なくとも一部長さ同士が互いに離間させてピッチ巻回されており、保持コイル70のピッチ間隔WP(図5を参照)が管状本体10の軸心方向の位置により相違していることを特徴とする。
外層50には無機フィラーを混合してもよい。無機フィラーとしては、硫酸バリウムや次炭酸ビスマスなどの造影剤を例示することができる。外層50に造影剤を混合することで、体腔内における管状本体10のX線造影性を向上することができる。
第二補強層80は第二補強ワイヤ82をコイル巻回またはメッシュ状に編組してなる。第二補強ワイヤ82には、ワイヤ補強層30の補強ワイヤ32として例示した上記の材料を用いることができる。第二補強ワイヤ82と補強ワイヤ32とは同種の材料でもよく、または異種の材料でもよい。本実施形態では、第二補強ワイヤ82として、補強ワイヤ32と同種の材料(ステンレス鋼)からなる細線をメッシュ状に編組したブレード層を例示する。
また、ワイヤ補強層30を構成する補強ワイヤ32の条数と、第二補強層80を構成する第二補強ワイヤ82の条数との大小も特に限定されないが、本実施形態では同数とする。図1では、ワイヤ補強層30、第二補強層80ともにそれぞれ16条のワイヤ(補強ワイヤ32、第二補強ワイヤ82)からなるブレード層を図示してある。
サブチューブ40は、外層50よりも曲げ剛性率および引張弾性率が高い材料で構成されている。
操作線60が単線の素線からなる場合は、その単線の直径を操作線60の線径という。操作線60が複数本の素線を互いに撚り合わせた撚り線である場合は、複数本の素線を包含する外接円の直径を操作線60の線径という。
本実施形態に代えて、3本以上(N本)のサブチューブ40が主管腔20の周囲に均等に分散配置されている場合、保持コイル70の巻回形状は、各サブチューブ40をコーナーとする角丸N角形となってもよい。ここでいう角丸N(多)角形とは、鈍形状のコーナー部以外の中間部(辺)が直線状である形状のほか、この中間部(辺)がコーナー部よりも曲率が小さい弧状である形状を含む。
管状本体10が屈曲した際に、屈曲の外側は伸張し、内側は圧縮される。上記のように、サブチューブ40は、外層50よりも曲げ剛性率および引張弾性率が高い材料からなるため、外層50は柔軟に伸張または圧縮されるのに対して、サブチューブ40の伸張または圧縮は小さい。このため管状本体10が屈曲するとサブチューブ40と外層50との界面に剪断力が生じるが、保持コイル70が外層50とサブチューブ40の双方に対して係合するアンカーとして働くとともに、保持コイル70が弾性変形して上記の剪断力を緩和する。これによりサブチューブ40と外層50との界面の剥離(以下、界面剥離という)が防止される。
第1の状態は、図2に示すように、保持コイル70の嵌入部位においてサブチューブ40が局所的に薄肉になっている、本実施形態の状態である。本実施形態のサブチューブ40は、円形の横断面形状を維持したまま、その肉厚が局所的に薄くなっている。
第2の状態は、本実施形態に代えて、サブチューブ40の横断面形状が、全周に亘って肉厚が均一なまま全体的に凹形状となっている状態である。言い換えると、第2の状態は、サブチューブ40の横断面形状が凹欠円形や凹欠楕円形(腎臓形または曲玉形)などの凹形状をなしている。この凹欠部に保持コイル70が嵌合している状態も、保持コイル70がサブチューブ40の周面に嵌入しているという。
保持コイル70の嵌入部位の横断面における、サブチューブ40の外周の仮想表面(仮想外形)から保持コイル70の最深部までの距離を、サブチューブ40の周面に対する保持コイル70の嵌入深さDとする(図2を参照)。本実施形態のカテーテル100における嵌入深さDはサブチューブ40の肉厚より小さい。
保持コイル70に延性の高い材料を用いることで、サブチューブ40の周囲にコイル素線70a、70bをコイル巻回した際に、巻き緩むことなく塑性的に伸長変形してサブチューブ40を固定する。ワイヤ補強層30は管状本体10におけるキンクの発生を防止する部材であるため、弾性復元力が高いバネ性の材料を用いることが好ましい。
第二マーカー16は、第二補強層80の外表面に接触しているか、またはほぼ接触するように配置されている。第二マーカー16の内径は第二補強層80の外径よりも大きい。
主管腔20の直径は400μm〜600μm(上限値および下限値を含む。以下同じ。)、内層24の厚さは5μm〜30μm、外層50の厚さは10μm〜200μmとすることができる。サブチューブ40の肉厚は、内層24よりも薄く、かつ1μm〜10μmとすることができる。ワイヤ補強層30の内径は410μm〜660μm、ワイヤ補強層30の外径は450μm〜740μm、第二補強層80の内径は560μm〜920μm、第二補強層80の外径は600μm〜940μmとすることができる。
第一マーカー14の内径は450μm〜740μm、第一マーカー14の外径は490μm〜820μm、第二マーカー16の内径は600μm〜940μm、第二マーカー16の外径は640μm〜960μmとすることができる。第一マーカー14の幅寸法(管状本体10の軸心方向の寸法)は0.3mm〜2.0mm、第二マーカー16の幅寸法は0.3mm〜2.0mmとすることができる。
カテーテル100の軸心からサブチューブ40の中心までの半径(距離)は300μm〜450μm、サブチューブ40の内径(直径)は40μm〜100μm、操作線60の太さは25μm〜60μmとすることができる。
管状本体10の直径は700μm〜980μm、すなわち外径が直径1mm未満であり、腹腔動脈などの血管に挿通可能である。
次に、図7〜図10を参照して、本実施形態のカテーテル100の製造方法について説明する。図7は、主芯線22の周囲に内層24およびワイヤ補強層30を形成した内側構造体26の縦断面図である。図8は、副芯線44の周囲にサブチューブ40を形成した有芯チューブ46の側面図である。図9は、保持コイル70の巻回工程を模式的に示す斜視図である。図10は、サブチューブ40の周囲に第二補強ワイヤ82を巻回した状態を示す側面図である。
内側構造体準備工程は、主芯線22と、この主芯線22の周囲に補強ワイヤ32を巻回したワイヤ補強層30と、を含む内側構造体26を準備する工程である。
サブチューブ保持工程は、樹脂製のサブチューブ40で被覆された副芯線44を主芯線22に沿ってワイヤ補強層30の外周表面に配置し、配置された副芯線44とワイヤ補強層30とに多条のコイル素線70a、70bを共巻きする工程である。
本体形成工程は、共巻きされた副芯線44およびワイヤ補強層30ならびにコイル素線70a、70bを内包するように管状本体10を形成する工程である。
副芯線抜去工程は、副芯線44を伸張および縮径させてサブチューブ40から剥離させて副管腔42(図1を参照)を形成する工程である。
主芯線抜去工程は、主芯線22を管状本体10から抜去して主管腔20(図1を参照)を形成する工程である。
そして、本製造方法では、サブチューブ保持工程において、多条のコイル素線70a、70b同士のピッチ間隔WPが管状本体10の軸心方向の位置により相違するように互いに離間させてピッチ巻回することを特徴とする。
内側構造体準備工程では、はじめに、主芯線22の周囲に内層24を形成する。主芯線22はマンドレル(芯材)であり、主管腔20を画定する断面円形の線材である。主芯線22の材料は特に限定されないが、ステンレス鋼を用いることができる。内層24は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系ポリマーを溶剤に分散させたコーティング液に主芯線22をディッピングしたうえで乾燥させて形成することができる。
つぎに、多条の補強ワイヤ32を内層24の外表面でメッシュ状に編組してワイヤ補強層30を形成する。
図7に示すように、補強ワイヤ32の先端部の周囲に第一マーカー14をカシメ固定したうえで、第一マーカー14の遠位側で補強ワイヤ32を切除する。
以上により内側構造体26が作成される。
このほか、副芯線44の外径よりもサブチューブ40の内径が大径となるようにチューブ状に引き落とし成形したうえで、これを副芯線44の周囲に被覆して有芯チューブ46を作成してもよい。
挿通治具110には、内側構造体26を挿通する主通孔114が形成されている。一対の通孔112は主通孔114を挟んで対向位置に形成されている。
つぎに、第一外層52に埋設されたサブチューブ40の周囲に第二補強ワイヤ82を編組して第二補強層80を形成する(図10を参照)。第二補強層80の先端部の周囲に第二マーカー16をカシメ固定したうえで、第二マーカー16の遠位側で第二補強ワイヤ82を切除する。
さらに、第二補強層80および第二マーカー16を覆うように第二外層54(図1を参照)を形成する。第二外層54は、溶融した樹脂材料を第二補強層80の表面に塗工形成するコーティング押出により形成してもよく、または予め環状や管状に形成された樹脂リングや樹脂管を構造体の周囲に装着したうえで熱賦形してもよい。
(1)主管腔の周囲に補強ワイヤを巻回してなるワイヤ補強層と、前記ワイヤ補強層の外側に配置され前記主管腔よりも小径の副管腔を画定する樹脂製のサブチューブと、前記ワイヤ補強層および前記サブチューブを内包する樹脂製の外層と、を含む長尺の管状本体と、前記副管腔の内部に移動可能に挿通され先端が前記管状本体の遠位部に接続された操作線と、前記操作線を牽引操作して前記管状本体の前記遠位部を屈曲させる操作部と、前記外層に内包され、前記サブチューブと前記ワイヤ補強層とに多条のコイル素線を共巻きしてなる保持コイルと、を備え、多条の前記コイル素線の少なくとも一部長さ同士は互いに離間させてピッチ巻回されており、前記保持コイルのピッチ間隔が前記管状本体の軸心方向の位置により相違していることを特徴とする医療用機器。
(2)前記コイル素線が前記サブチューブの外径側の周面に嵌入している上記(1)に記載の医療用機器。
(3)前記保持コイルが第一の前記コイル素線と第二の前記コイル素線とを含み、前記保持コイルの3巻き分以上の長さ領域において、第一の前記コイル素線の巻き位置と、第一の前記コイル素線の基端側に隣接する第二の前記コイル素線の巻き位置と、のピッチ間隔が、漸増または漸減している上記(1)または(2)に記載の医療用機器。
(4)前記ピッチ間隔が、漸増と漸減とを複数回に亘って繰り返している上記(3)に記載の医療用機器。
(5)複数本の前記サブチューブが前記主管腔の周囲に対向して配置されている上記(1)から(4)のいずれか一項に記載の医療用機器。
(6)前記保持コイルの巻回形状が、前記サブチューブをコーナー部とする略菱形または角丸多角形である上記(5)に記載の医療用機器。
(7)前記保持コイルは前記コーナー部同士の中間位置で前記ワイヤ補強層の外表面に接している上記(6)に記載の医療用機器。
(8)前記保持コイルの延性が前記補強ワイヤの延性よりも高い上記(1)から(7)のいずれか一項に記載の医療用機器。
(9)前記主管腔と連通して設けられてシリンジが装着されるハブを更に備えるカテーテルである上記(1)から(8)のいずれか一項に記載の医療用機器。
(10)主芯線と、前記主芯線の周囲に補強ワイヤを巻回したワイヤ補強層と、を含む内側構造体を準備する工程と、樹脂製のサブチューブで被覆された副芯線を前記主芯線に沿って前記ワイヤ補強層の外周表面に配置し、配置された前記副芯線と前記ワイヤ補強層とに多条のコイル素線を共巻きする工程と、共巻きされた前記副芯線および前記ワイヤ補強層ならびに前記コイル素線を内包するように管状本体を形成する工程と、前記副芯線を伸張および縮径させて前記サブチューブから剥離させて副管腔を形成する工程と、前記主芯線を前記管状本体から抜去して主管腔を形成する工程と、を含み、前記共巻きする工程において、多条の前記コイル素線同士のピッチ間隔が前記管状本体の軸心方向の位置により相違するように互いに離間させてピッチ巻回することを特徴とする医療用機器の製造方法。
(11)前記共巻きする工程において、第一の前記コイル素線を前記サブチューブに巻き付ける第一の巻点と、第二の前記コイル素線を前記サブチューブに巻き付ける第二の巻点と、を軸心方向に相対的に前後移動させながら第一および第二の前記コイル素線を螺旋巻回することを特徴とする上記(10)に記載の医療用機器の製造方法。
14 第一マーカー
16 第二マーカー
20 主管腔
22 主芯線
24 内層
26 内側構造体
30 ワイヤ補強層
32 補強ワイヤ
40,40a,40b サブチューブ
42 副管腔
44 副芯線
46 有芯チューブ
50 外層
52 第一外層
54 第二外層
60 操作線
70 保持コイル
70a、70b コイル素線
72a、72b 巻点
80 第二補強層
82 第二補強ワイヤ
90 操作部
92 ホイール操作部
94 本体ケース
95 凹部
96 ハブ
98 スライダ
99 突起
100 カテーテル
110 挿通治具
112 通孔
114 主通孔
120 ワインダ装置
122,122a,122b ボビンヘッド
D 嵌入深さ
DE 遠位部
W 目開き寸法
WP ピッチ間隔
Claims (11)
- 主管腔の周囲に補強ワイヤを巻回してなるワイヤ補強層と、前記ワイヤ補強層の外側に配置され前記主管腔よりも小径の副管腔を画定する樹脂製のサブチューブと、前記ワイヤ補強層および前記サブチューブを内包する樹脂製の外層と、を含む長尺の管状本体と、
前記副管腔の内部に移動可能に挿通され先端が前記管状本体の遠位部に接続された操作線と、
前記操作線を牽引操作して前記管状本体の前記遠位部を屈曲させる操作部と、
前記外層に内包され、前記サブチューブと前記ワイヤ補強層とに多条のコイル素線を共巻きしてなる保持コイルと、を備え、
多条の前記コイル素線の少なくとも一部長さ同士は互いに離間させてピッチ巻回されており、前記保持コイルのピッチ間隔が前記管状本体の軸心方向の位置により相違していることを特徴とする医療用機器。 - 前記コイル素線が前記サブチューブの外径側の周面に嵌入している請求項1に記載の医療用機器。
- 前記保持コイルが第一の前記コイル素線と第二の前記コイル素線とを含み、
前記保持コイルの3巻き分以上の長さ領域において、第一の前記コイル素線の巻き位置と、第一の前記コイル素線の基端側に隣接する第二の前記コイル素線の巻き位置と、のピッチ間隔が、漸増または漸減している請求項1または2に記載の医療用機器。 - 前記ピッチ間隔が、漸増と漸減とを複数回に亘って繰り返している請求項3に記載の医療用機器。
- 複数本の前記サブチューブが前記主管腔の周囲に対向して配置されている請求項1から4のいずれか一項に記載の医療用機器。
- 前記保持コイルの巻回形状が、前記サブチューブをコーナー部とする略菱形または角丸多角形である請求項5に記載の医療用機器。
- 前記保持コイルは前記コーナー部同士の中間位置で前記ワイヤ補強層の外表面に接している請求項6に記載の医療用機器。
- 前記保持コイルの延性が前記補強ワイヤの延性よりも高い請求項1から7のいずれか一項に記載の医療用機器。
- 前記主管腔と連通して設けられてシリンジが装着されるハブを更に備えるカテーテルである請求項1から8のいずれか一項に記載の医療用機器。
- 主芯線と、前記主芯線の周囲に補強ワイヤを巻回したワイヤ補強層と、を含む内側構造体を準備する工程と、
樹脂製のサブチューブで被覆された副芯線を前記主芯線に沿って前記ワイヤ補強層の外周表面に配置し、配置された前記副芯線と前記ワイヤ補強層とに多条のコイル素線を共巻きする工程と、
共巻きされた前記副芯線および前記ワイヤ補強層ならびに前記コイル素線を内包するように管状本体を形成する工程と、
前記副芯線を伸張および縮径させて前記サブチューブから剥離させて副管腔を形成する工程と、
前記主芯線を前記管状本体から抜去して主管腔を形成する工程と、
を含み、
前記共巻きする工程において、多条の前記コイル素線同士のピッチ間隔が前記管状本体の軸心方向の位置により相違するように互いに離間させてピッチ巻回することを特徴とする医療用機器の製造方法。 - 前記共巻きする工程において、第一の前記コイル素線を前記サブチューブに巻き付ける第一の巻点と、第二の前記コイル素線を前記サブチューブに巻き付ける第二の巻点と、を軸心方向に相対的に前後移動させながら第一および第二の前記コイル素線を螺旋巻回することを特徴とする請求項10に記載の医療用機器の製造方法。
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