JP6205785B2 - 医療機器 - Google Patents
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管状本体10は、主管腔20の周囲に補強ワイヤ32を巻回してなる内側補強層30と、主管腔20よりも小径で内側補強層30の周囲に配置された副管腔42と、内側補強層30および副管腔42の周囲にメッシュ素線82を編組してなる外側補強層80と、内側補強層30、副管腔42および外側補強層80を内包する樹脂製の外層50と、を含む。操作線60は、副管腔42の内部に移動可能に挿通され先端が管状本体10の遠位部DEに接続されている。
弛緩防止構造84は、メッシュ素線82の編み弛みを防止する構造であり、外側補強層80の遠位領域86に設けられている。
外層50には無機フィラーを混合してもよい。無機フィラーとしては、硫酸バリウムや次炭酸ビスマスなどの造影剤を例示することができる。外層50に造影剤を混合することで、体腔内における管状本体10のX線造影性を向上することができる。
有機系接着剤としては、常温硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、溶液型接着剤またはホットメルト型接着剤を用いることができる。
常温硬化型接着剤としては、シアノアクリレート系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤またはアクリル樹脂系接着剤などの反応系接着剤のほか、ウレタンアクリレートやエポキシアクリレートなどの紫外線硬化系接着剤を用いることができる。
熱硬化型接着剤としては、エポキシ樹脂系接着剤を用いることができる。
溶液型接着剤としては、アクリル樹脂エマルジョン接着剤、α−オレフィン系接着剤、ウレタン樹脂溶剤系接着剤、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤またはポリ酢酸ビニル樹脂溶液系接着剤を例示することができる。
ホットメルト型接着剤としては、エチレン-酢酸ビニル樹脂ホットメルト接着剤、ポリウレタン樹脂ホットメルト接着剤、ポリオレフィン樹脂ホットメルト接着剤を例示することができる。
鑞付けとしては、ハンダまたは銀鑞を例示することができる。
サブチューブ40は、たとえば熱可塑性ポリマー材料により構成することができる。その熱可塑性ポリマー材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、または四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)などの低摩擦樹脂材料が挙げられる。
サブチューブ40は、外層50よりも曲げ剛性率および引張弾性率が高い材料で構成されている。
操作線60は、単一の線材により構成されていてもよいが、複数本の細線を互いに撚りあわせることにより構成された撚り線であってもよい。操作線60の一本の撚り線を構成する細線の本数は特に限定されないが、3本以上であることが好ましい。細線の本数の好適な例は、7本または3本である。
本実施形態に代えて、3本以上(N本)のサブチューブ40が主管腔20の周囲に均等に分散配置されている場合、保持ワイヤ70の巻回形状は、各サブチューブ40をコーナーとする角丸N角形となってもよい。ここでいう角丸N(多)角形とは、鈍形状のコーナー部以外の中間部(辺)が直線状である形状のほか、この中間部(辺)がコーナー部よりも曲率が小さい弧状である形状を含む。
保持ワイヤ70に延性の高い材料を用いることで、サブチューブ40の周囲に保持ワイヤ70をコイル巻回した際に、巻き緩むことなく塑性的に伸長変形してサブチューブ40を固定する。
主管腔20の直径は400μm〜600μm(上限値および下限値を含む。以下同じ。)、内層24の厚さは5μm〜30μm、外層50の厚さは10μm〜200μmとすることができる。サブチューブ40の肉厚は、内層24よりも薄く、かつ1μm〜10μmとすることができる。内側補強層30の内径は410μm〜660μm、内側補強層30の外径は450μm〜740μm、外側補強層80の内径は560μm〜920μm、外側補強層80の外径は600μm〜940μmとすることができる。
カテーテル100の軸心からサブチューブ40の中心までの半径(距離)は300μm〜450μm、サブチューブ40の内径(直径)は40μm〜100μm、操作線60の太さは25μm〜60μmとすることができる。
管状本体10の直径は700μm〜980μm、すなわち外径が直径1mm未満であり、腹腔動脈などの血管に挿通可能である。
本実施形態の弛緩防止構造84は、メッシュ素線82を焼鈍処理することにより形成されている点で第一実施形態と相違する。
この医療機器は、主管腔の周囲に補強ワイヤを巻回してなる内側補強層と、上記主管腔よりも小径で上記内側補強層の周囲に配置された副管腔と、上記内側補強層および上記副管腔の周囲にメッシュ素線を編組してなる外側補強層と、上記内側補強層、上記副管腔および上記外側補強層を内包する樹脂製の外層と、を含む長尺の管状本体と、上記副管腔の内部に移動可能に挿通され先端が上記管状本体の遠位部に接続された操作線と、を備え、上記メッシュ素線の一部または全部の長さ領域が、上記補強ワイヤよりも延性の高い材料からなる医療機器である。
そして、上記メッシュ素線は、補強ワイヤと同種の金属材料を焼鈍処理することにより延性の高い材料とすることができる。
図5は、主芯線22の周囲に内層24および内側補強層30を形成した内側構造体26の縦断面図である。
図6は、内側構造体26の周囲に有芯チューブ46を配置して第一外層樹脂管52a〜52cを被覆した状態を示す縦断面図である。
図7は、メッシュ素線82が編組された第一外層52の周囲に第二外層樹脂管54aを被覆した状態を示す縦断面図である。
はじめに、内側構造体26を作成する。
まず、図5に示すように、主芯線22の周囲に内層24を形成する。主芯線22はマンドレル(芯材)であり、主管腔20を画定する断面円形の線材である。主芯線22の材料は特に限定されないが、ステンレス鋼を用いることができる。内層24は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系ポリマーを溶剤に分散させたコーティング液に主芯線22をディッピングしたうえで乾燥させて形成することができる。
つぎに、多条の補強ワイヤ32を内層24の外表面でメッシュ状に編組して内側補強層30を形成する。補強ワイヤ32の先端部の周囲にマーカー14をカシメ固定したうえで、マーカー14の遠位側で補強ワイヤ32を切除する。
以上により内側構造体26が作成される。
図6に示すように、内側補強層30および有芯チューブ46を取り囲むように第一外層樹脂管52a〜52cを被覆する。遠位側に配置される第一外層樹脂管52aは最も硬度が低く、第一外層樹脂管52cは最も硬度が高い。第一外層樹脂管52bの硬度はこれらの中間である。第一外層樹脂管52a〜52cを内側構造体26の長手方向に沿って隙間なく連接して並べる。
図7に示すように、第一外層52の外周面に、多条のメッシュ素線82を編組してなる外側補強層80を形成する。マーカー14よりも基端側の所定の位置で、外側補強層80の周囲に液状の接着材を帯状に塗布してメッシュ素線82に含浸させることで弛緩防止構造84を形成する。接着材には常温硬化型の瞬間接着剤を用いることができる。
弛緩防止構造84よりも遠位側に延出するメッシュ素線82の延出部82aを、レーザー溶断等の手法により切断し、除去する。第一外層52の表面には、除去された延出部82aの圧痕が残ってもよい。または、続く第二外層54の賦形工程にて第一外層52の表面が溶融して、延出部82aの圧痕は消失してもよい。
(1)主管腔の周囲に補強ワイヤを巻回してなる内側補強層と、前記主管腔よりも小径で前記内側補強層の周囲に配置された副管腔と、前記内側補強層および前記副管腔の周囲にメッシュ素線を編組してなる外側補強層と、前記内側補強層、前記副管腔および前記外側補強層を内包する樹脂製の外層と、を含む長尺の管状本体と、前記副管腔の内部に移動可能に挿通され先端が前記管状本体の遠位部に接続された操作線と、を備え、前記外側補強層の遠位領域に、前記メッシュ素線の編み弛みを防止する弛緩防止構造が設けられていることを特徴とする医療機器。
(2)前記外側補強層の遠位端は前記操作線の前記先端よりも基端側で終端している上記(1)に記載の医療機器。
(3)前記弛緩防止構造が前記外側補強層と同層に設けられている上記(1)または(2)に記載の医療機器。
(4)前記弛緩防止構造が、前記外層と異なる材料の接着材からなり前記外側補強層の前記遠位領域に周回状に設けられている上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の医療機器。
(5)前記接着材が前記外側補強層に含浸して前記メッシュ素線の先端を包埋している上記(4)に記載の医療機器。
(6)前記外層が、前記内側補強層および前記副管腔を内包する第一外層と、前記第一外層の周囲に形成されて前記外側補強層を内包する第二外層と、を含み、前記接着材は、前記第二外層に内包され、かつ前記第一外層の表面に達していることを特徴とする上記(5)に記載の医療機器。
(7)前記メッシュ素線を焼鈍処理することにより前記弛緩防止構造が形成されている上記(1)から(6)のいずれか一項に記載の医療機器。
(8)前記焼鈍処理が前記外側補強層の前記遠位領域に選択的に施されている上記(7)に記載の医療機器。
(9)前記副管腔を画定する樹脂製のサブチューブが前記外層に内包されている上記(1)から(8)のいずれか一項に記載の医療機器。
(10)前記外層に内包され前記サブチューブと前記ワイヤ補強層とを共巻きしている保持ワイヤを更に備える上記(9)に記載の医療機器。
(11)複数本の前記サブチューブが前記主管腔の周囲に対向して配置されている上記(9)または(10)に記載の医療機器。
(12)前記外側補強層が、それぞれ複数本の前記メッシュ素線を右螺旋および左螺旋に編組してなる上記(1)から(11)のいずれか一項に記載の医療機器。
(13)前記主管腔と連通して設けられてシリンジが装着されるハブを更に備えるカテーテルである上記(1)から(12)のいずれか一項に記載の医療機器。
14 マーカー
20 主管腔
22 主芯線
24 内層
26 内側構造体
30 内側補強層
32 補強ワイヤ
40 サブチューブ
42 副管腔
44 副芯線
46 有芯チューブ
50 外層
52 第一外層
52a〜52c 第一外層樹脂管
54 第二外層
54a 第二外層樹脂管
58 先端チップ
60 操作線
70 保持ワイヤ
80 外側補強層
82 メッシュ素線
82a 延出部
84 弛緩防止構造
86 遠位領域
90 操作部
92 ホイール操作部
94 本体ケース
96 ハブ
100 カテーテル
DE 遠位部
Claims (10)
- 主管腔の周囲に補強ワイヤを巻回してなる内側補強層と、前記主管腔よりも小径で前記内側補強層の周囲に配置された副管腔と、前記内側補強層および前記副管腔の周囲にメッシュ素線を編組してなる外側補強層と、前記内側補強層、前記副管腔および前記外側補強層を内包する樹脂製の外層と、を含む長尺の管状本体と、
前記副管腔の内部に移動可能に挿通され先端が前記管状本体の遠位部に接続された操作線と、を備え、
前記外側補強層の遠位領域に、前記メッシュ素線の編み弛みを防止する弛緩防止構造が設けられ、
前記弛緩防止構造が、前記外層と異なる材料の接着材からなり前記外側補強層の前記遠位領域に周回状に設けられていることを特徴とする医療機器。 - 前記接着材が前記外側補強層に含浸して前記メッシュ素線の先端を包埋している請求項1に記載の医療機器。
- 前記外層が、前記内側補強層および前記副管腔を内包する第一外層と、前記第一外層の周囲に形成されて前記外側補強層を内包する第二外層と、を含み、
前記接着材は、前記第二外層に内包され、かつ前記第一外層の表面に達していることを特徴とする請求項2に記載の医療機器。 - 前記外側補強層の遠位端は前記操作線の前記先端よりも基端側で終端している請求項1から3のいずれか一項に記載の医療機器。
- 前記弛緩防止構造が前記外側補強層と同層に設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載の医療機器。
- 前記副管腔を画定する樹脂製のサブチューブが前記外層に内包されている請求項1から5のいずれか一項に記載の医療機器。
- 前記外層に内包され前記サブチューブと前記内側補強層とを共巻きしている保持ワイヤを更に備える請求項6に記載の医療機器。
- 複数本の前記サブチューブが前記主管腔の周囲に対向して配置されている請求項6または7に記載の医療機器。
- 前記外側補強層が、それぞれ複数本の前記メッシュ素線を右螺旋および左螺旋に編組してなる請求項1から8のいずれか一項に記載の医療機器。
- 前記主管腔と連通して設けられてシリンジが装着されるハブを更に備えるカテーテルである請求項1から9のいずれか一項に記載の医療機器。
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