JP2014186313A - 液体現像剤、画像形成装置、画像形成方法、液体現像剤カートリッジ、およびプロセスカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】65℃での貯蔵弾性率G’(65)と90℃での貯蔵弾性率G’(90)との比G’(65)/G’(90)が1×10以上1×103以下であるトナーと、前記トナーとのSP値の差(ΔSP(tc))が1.5以上7.0以下であるキャリア液と、を含有する液体現像剤。
【選択図】なし
Description
請求項1に係る発明は、
65℃での貯蔵弾性率G’(65)と90℃での貯蔵弾性率G’(90)との比G’(65)/G’(90)が1×10以上1×103以下であるトナーと、
前記トナーとのSP値の差(ΔSP(tc))が1.5以上7.0以下であるキャリア液と、
を含有する液体現像剤である。
静電潜像保持体と、
前記静電潜像保持体の表面を帯電する帯電装置と、
前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
請求項1に記載の液体現像剤を貯留し且つ前記静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像を前記液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
前記記録媒体上の前記トナー像に加熱および加圧を施して記録媒体に定着させる定着装置と、
を有する画像形成装置である。
前記トナーは、前記65℃での貯蔵弾性率G’(65)が1×107Pa以上1×108Pa以下であり且つ前記90℃での貯蔵弾性率G’(90)が1×105Pa以上1×106Pa以下であり、
前記定着装置は、前記トナー像中のトナーの貯蔵弾性率が1×106Paとなる温度(A)以上の温度にまで、前記トナー像に対し非接触で加熱を施す第1加熱装置と、該第1加熱装置での加熱後に前記温度(A)以上の温度で加熱しつつ加圧を施す第2加熱加圧装置と、を有する請求項2に記載の画像形成装置である。
前記記録媒体と前記トナーとのSP値の差(ΔSP(pt))が、前記記録媒体と前記キャリア液とのSP値の差(ΔSP(pc))よりも小さい請求項2または請求項3に記載の画像形成装置である。
静電潜像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
前記静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像を請求項1に記載の液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体上の前記トナー像に加熱および加圧を施して記録媒体に定着させる定着工程と、
を有する画像形成方法である。
前記トナーは、前記65℃での貯蔵弾性率G’(65)が1×107Pa以上1×108Pa以下であり且つ前記90℃での貯蔵弾性率G’(90)が1×105Pa以上1×106Pa以下であり、
前記定着工程は、前記トナー像中のトナーの貯蔵弾性率が1×106Paとなる温度(A)以上の温度にまで、前記トナー像に対し非接触で加熱を施す第1加熱工程と、該第1加熱工程後に前記温度(A)以上の温度で加熱しつつ加圧を施す第2加熱加圧工程と、を有する請求項5に記載の画像形成方法である。
前記記録媒体と前記トナーとのSP値の差(ΔSP(pt))が、前記記録媒体と前記キャリア液とのSP値の差(ΔSP(pc))よりも小さい請求項5または請求項6に記載の画像形成方法である。
請求項1に記載の液体現像剤を収納し、且つ画像形成装置に脱着される液体現像剤カートリッジである。
請求項1に記載の液体現像剤を収納し且つ静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像を該液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置を備え、画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジである。
ここで、トナーとキャリア液の分離は、親和性の差から溶融したトナーが表面張力によりキャリア液を弾くことで実現されるものと考えられる。但し、定着の際のトナーの溶融過程でトナーに溶け残りがありトナー間の隙間が埋まっていないと、トナー間にキャリア液が入り込んで残留キャリア液となり、結果として定着性を悪化させる原因になると考えられる。
これに対し、上記の通り弾性率の急峻な変化が生じるトナーを用いることで、定着の際の溶融過程でトナーの溶け残りが抑制されトナー間の隙間が低減されて、定着画像中でのキャリア液の残留が抑制されるものと推察される。定着画像中での残留キャリア液が抑制されることでトナー同士が強固に結びつき合うものと考えられ、その結果優れたトナー同士の定着性が得られるものと推察される。
第1加熱装置(第1加熱工程)でトナーの貯蔵弾性率が1×106Paとなる温度(A)以上の温度にまで加熱することで、トナーは軟化、溶融されて弾性率の急峻な変化が生じる。次いで弾性率が低減されたトナーに対し第2加熱加圧装置(第2加熱加圧工程)で加熱しつつ加圧が施されて定着画像が形成される。第1加熱装置(第1加熱工程)で予め弾性率の急峻な変化を生じさせることで、第2加熱加圧装置(第2加熱加圧工程)によって定着する際にはトナーの溶け残りが抑制されており、トナー間の隙間が低減されて定着画像中でのキャリア液の残留が抑制されるものと推察される。
本実施形態に係る液体現像剤では、トナーは、65℃での貯蔵弾性率G’(65)と90℃での貯蔵弾性率G’(90)との比G’(65)/G’(90)が1×10以上1×103以下である。
貯蔵弾性率の比G’(65)/G’(90)が、1×10に満たないと、定着に必要な粘度が得られないため、定着温度を高くしなければならない場合があり、前記比が1×103を超えると、耐ホットオフセット性や定着強度が得られない場合がある。なお、G’(65)/G’(90)のより好ましい値は、1×10以上5×102以下の範囲である。
一方、90℃での貯蔵弾性率G’(90)が1×105Pa以上であることで、定着時にホットオフセットの発生が抑制される。また1×106Pa以下であることで、定着画像中でのキャリア液の残留が抑制され優れた定着強度が得られる。
また、測定を行う前に、20℃から100℃まで10℃間隔で、歪量の応力依存性を確認し、各温度における応力と歪量が線形関係である歪量範囲を求める。測定中は各測定温度における歪量を0.01%以上0.5%以下の範囲に維持し、全ての測定温度域において応力と歪量とが線形関係になるよう制御し、これらの測定の結果から貯蔵弾性率を求める。
本実施形態に係る液体現像剤では、トナーとキャリア液とのSP値の差(ΔSP(tc))は1.5以上7.0以下である。
上記ΔSP(tc)は、更に1.5以上6.0以下が望ましく、1.7以上5.7以下が更に望ましい。
SP値算出は、Van KreverenとHoftyzerの推算法により求められる。同方法は、凝集エネルギー密度が置換基の種類および数に依存していると考え、置換基毎に定められた凝集エネルギー値を基に、高分子のSP値をセグメント単位で計算するものである。同方法で計算された凝集エネルギーの値の多くは実験値の範囲内にあり、値として実用性が高いことが特徴である。凝集エネルギーを物質のモル容積で割り、平方根を取ったものがSP値となる。(参考文献:SP値 基礎・応用と計算方法、山本秀樹著、株式会社情報機構 2005年出版)
尚、参考までに、SP値をSI単位(J1/2/m3/2)に換算する場合には、2046を乗ずればよい。
次いで、本実施形態に係る液体現像剤の構成について詳細に説明する。
本実施形態におけるトナーは、65℃での貯蔵弾性率G’(65)と90℃での貯蔵弾性率G’(90)との比G’(65)/G’(90)が1×10以上1×103以下である。
また、更に本実施形態におけるトナーは、65℃での貯蔵弾性率が1×107Pa以上1×108Pa以下であり且つ90℃での貯蔵弾性率が1×105Pa以上1×106Pa以下であることが好ましい。
また、上記第IA族元素としては、Na、Kを含むことが望ましい、
また、第IIA族元素としてはMg、Ca、第IIIB族元素としてはAl、第IVB族元素としてはSiを含むことが望ましい。
本実施形態におけるトナーは、結着樹脂と着色剤とを含むことが望ましい。
本実施形態のトナーに用いられる結着樹脂は、特に制限されないが、重付加反応または重縮合反応により合成されたものであることが、低温定着性、保存安定性の点で望ましい。具体的には、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオール樹脂等が挙げられる。この中では、組み合わせて用いる結晶性樹脂との相溶性、離型剤の内包性の観点からポリエステル樹脂が望ましく用いられる。
尚、本実施形態において「結晶性樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものをいうが、少なくとも重量平均分子量が5000を超える結晶性の樹脂を意味し、通常は、重量平均分子量が10000以上の結晶性の樹脂を意味する。
結晶性樹脂は、溶融温度を有するため特定温度における粘度の低下が大きく、定着の際にトナーが加熱された際に、結晶性樹脂分子が熱的に活動を開始してから定着し得る領域までの温度差を小さくし得るため、更に優れた低温定着性を付与し得る。トナー粒子中の結晶性樹脂の望ましい含有量は、1質量%以上10質量%以下の範囲、更に望ましくは2質量%以上8質量%以下の範囲である。
尚、本実施形態において「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂における各構成成分(カルボン酸成分、アルコール成分)を1単位(モル)としたときの百分率を指す。
具体例としては、ジカルボン酸の場合、コハク酸、マロン酸、シュウ酸等のアルキルジカルボン酸類、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ホモフタル酸、4,4’−ビ安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、ジピコリン酸、ジニコチン酸、キノリン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸等の含窒素芳香族ジカルボン酸類が挙げられ、ジオール類の場合、コハク酸、マロン酸、アセトンジカルボン酸、ジグリコール酸等の短鎖アルキルのジオール類が挙げられ、短鎖アルキルのビニル系重合性単量体の場合、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等の短鎖アルキル、アルケニルの(メタ)アクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン類、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類等が挙げられる。これらの重合性単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に用いられる非晶性樹脂としては、公知のトナー用の非晶性結着樹脂が利用され、例えば、スチレン−アクリル樹脂等を利用し得るが、非晶性ポリエステル樹脂を用いることが好適である。
用いる非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は50℃以上80℃以下の範囲が望ましく、55℃以上65℃以下の範囲がより望ましい。また、重量平均分子量は8000以上30000以下の範囲であることが望ましく、8000以上16000以下の範囲であることがより望ましい。そして、第三成分を共重合してもよい。
また、非晶性ポリエステル樹脂は、これと組み合わせて用いる結晶性ポリエステル化合物と共通のアルコール成分またはカルボン酸成分を持つことが混和性を高める上で望ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の合成に用いるカルボン酸成分としては、結晶性ポリエステル樹脂に関して挙げた種々のジカルボン酸が用いられる。前記アルコール成分としても、非晶性ポリエステル樹脂の合成に用いる種々のジオールが用いられるが、結晶性ポリエステル樹脂に関して挙げた脂肪族ジオールに加えて、ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物や水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールSエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSプロピレンオキサイド付加物等を用いてもよい。
さらに、トナー製造性・耐熱性・透明性の観点から、ビスフェノールS、ビスフェノールSエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSプロピレンオキサイド付加物等のビスフェノールS誘導体を用いることが特に望ましい。また、カルボン酸成分、アルコール成分とも複数の成分を含んでもよく、特に、ビスフェノールSは耐熱性を高める効果をもつ。
結着樹脂の合成に際しては、他の成分を共重合させてもよく、親水性極性基を有する化合物を用いてもよい。
具体例としては、結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、スルホニル−テレフタル酸ナトリウム塩、3−スルホニルイソフタル酸ナトリウム塩等の芳香環に直接スルホニル基が置換したジカルボン酸化合物が挙げられる。また結着樹脂がビニル系樹脂の場合は、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等の不飽和脂肪族カルボン酸類、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、脂肪酸変性グリシジル(メタ)アクリレート、ジンクモノ(メタ)アクリレート、ジンクジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸とアルコール類等とのエステル類、オルト、メタ、パラ位のいずれかにスルホニル基を有するスチレンの誘導体、スルホニル基含有ビニルナフタレン等のスルホニル基置換芳香族ビニル等が挙げられる。
架橋剤の具体例としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族の多ビニル化合物類、フタル酸ジビニル、イソフタル酸ジビニル、テレフタル酸ジビニル、ホモフタル酸ジビニル、トリメシン酸ジビニル/トリビニル、ナフタレンジカルボン酸ジビニル、ビフェニルカルボン酸ジビニル等の芳香族多価カルボン酸の多ビニルエステル類、ピリジンジカルボン酸ジビニル等の含窒素芳香族化合物のジビニルエステル類、ピロール、チオフェン等の不飽和複素環化合物類、ピロムチン酸ビニル、フランカルボン酸ビニル、ピロール−2−カルボン酸ビニル、チオフェンカルボン酸ビニル等の不飽和複素環化合物カルボン酸のビニルエステル類、ブタンジオールメタクリレート、ヘキサンジオールアクリレート、オクタンジオールメタクリレート、デカンジオールアクリレート、ドデカンジオールメタクリレート等の直鎖多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ、1,3−ジアクリロキシプロパン等の分枝、置換多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類、コハク酸ジビニル、フマル酸ジビニル、マレイン酸ビニル/ジビニル、ジグリコール酸ジビニル、イタコン酸ビニル/ジビニル、アセトンジカルボン酸ジビニル、グルタル酸ジビニル、3,3’−チオジプロピオン酸ジビニル、trans−アコニット酸ジビニル/トリビニル、アジピン酸ジビニル、ピメリン酸ジビニル、スベリン酸ジビニル、アゼライン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、ドデカン二酸ジビニル、ブラシル酸ジビニル等の多価カルボン酸の多ビニルエステル類等が挙げられる。
ここで用いる界面活性剤は、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、アルキルアルコールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤、および、種々のグラフトポリマー等が挙げられるが、特に制限されるものではない。
本実施形態に用いられる離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;シリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウのごとき動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物系、石油系のワックス、およびそれらの変性物などが挙げられる。
これらの離型剤粒子は、トナーの作製に際して、その他の樹脂粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段に添加してもよい。
また、離型剤の分散径の標準偏差は0.05以下であることが望ましく、0.04以下であることがより望ましい。
尚、トナー中に分散含有される離型剤の平均分散径は、TEM(透過型電子顕微鏡)写真を、画像解析装置(ニレコ社製、Luzex画像解析装置)で解析し、100個のトナー粒子中の離型剤の分散径(=(長径+短径)/2)の平均値を計算することで求められ、標準偏差はこのとき得られた個々の分散径を元に求められる。
ここで露出率はXPS(X線光電子分光)測定により求められる。XPS測定装置としては、日本電子社製、JPS−9000MXを使用し、測定は、X線源としてMgKα線を用い、加速電圧を10kV、エミッション電流を30mAに設定して実施される。ここで、C1Sスペクトルのピーク分離法によってトナー表面の離型剤量を定量する。ピーク分離法は、測定されたC1Sスペクトルを、最小二乗法によるカーブフィッティングを用いて各成分に分離する。分離のベースとなる成分スペクトルには、トナーの作製に用いた離型剤、結着樹脂、結晶性樹脂を単独に測定して得られたC1Sスペクトルを用いる。
本実施形態に用いられる着色剤としては、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレートなどの種々の顔料や、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料などを1種または2種以上を併せて使用し得る。
尚、着色剤粒子の体積平均粒径も、レーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD2000A)を用い測定される。尚、着色剤の添加量は、トナー粒子全体に対し、1質量%以上20質量%以下の範囲に設定するのが望ましい。
なお着色剤の表面処理に用いるポリマーとしては、アクリロニトリル重合体、メチルメタクリレート重合体等が挙げられる。
本実施形態のトナーを磁性トナーとして用いる場合は、磁性粉を含有させるが、ここで使用する磁性粉としては、フェライトやマグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金またはこれら金属を含む化合物などが挙げられる。さらに、4級アンモニウム塩、ニグロシン系化合物やトリフェニルメタン系顔料など、通常使用される種々の帯電制御剤を添加してもよい。
本実施形態のトナーは、公知のいかなるトナー製造方法によって作製してもよいが、特にいわゆる湿式製法、すなわち、水若しくは有機溶媒中、またはそれらの混合溶媒中で、結着樹脂と着色剤とを含む着色粒子を造粒する造粒工程と、着色粒子を洗浄・乾燥する洗浄・乾燥工程とを経て製造されることが、前述のトナー粒子表面の元素組成を制御する上で望ましい。
本実施形態のトナーを乳化重合凝集法により作製する場合、凝集工程と、融合工程とを少なくと経て作製されるものであるが、凝集工程を経て形成された凝集粒子(コア粒子)の表面に樹脂粒子を付着させたコア−シェル構造を有する凝集粒子を形成する付着工程を設けてもよい。
凝集工程においては、非晶性樹脂や結晶性樹脂等の結着樹脂を分散させた樹脂粒子分散液(尚、非晶性樹脂や結晶性樹脂等をそれぞれ別々の分散液として準備してもよい)と、着色剤を分散させた着色剤分散液と、離型剤を分散させた離型剤分散液と、を混合した原料分散液中にて、凝集粒子を形成する。
具体的には、各種の分散液を混合して得た原料分散液を加熱し、原料分散液中の粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。尚、加熱は、非晶性樹脂のガラス転移温度を下回る温度で実施する。望ましい温度範囲は、5℃から25℃下回る範囲である。
前記凝集工程に用いられる凝集剤は、原料分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、すなわち無機金属塩の他、2価以上の金属錯体が好適に用いられる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上するため特に望ましい。
無機粒子分散液は前述の着色剤分散液等における方法で作製され、無機粒子の分散平均粒径は100nm以上500nm以下の範囲とすることが望ましい。
凝集工程、または、凝集工程および付着工程を経た後に実施される融合工程は、これらの工程を経て形成された凝集粒子を含む懸濁液のpHを必要な範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。
尚、このときのpH値のねらい目によって、特に前記第IA族元素(水素除く)の存在割合が望ましい範囲に制御される。
第IA族元素(水素除く)の存在割合を本実施形態の範囲とするためには、pHを6.0以上8.0以下の範囲とすることが望ましく、6.5以上7.5以下の範囲とすることがより望ましい。
尚、融合は、非晶性樹脂のガラス転移温度(または結晶性樹脂の溶融温度)以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。
重合開始剤は、原料分散液を作製する段階であらかじめこの分散液に混合しておいてもよいし、凝集工程で凝集粒子に取り込ませてもよい。さらには、融合工程、または、融合工程の後に導入してもよい。凝集工程、付着工程、融合工程、または融合工程の後に導入する場合は、重合開始剤を溶解、または乳化した液を、分散液に加える。これらの重合開始剤には、重合度を制御する目的で、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
凝集粒子の融合合一工程を終了した後、洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程等を行なってもよく、これらの工程を経て求められるトナー粒子を得る。洗浄工程は帯電性を考慮すると、イオン交換水で置換洗浄することが望ましい。また、固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が望ましく用いられる。また、乾燥後のトナー粒子には、種々の外添剤を添加してもよい。
本実施形態のトナーにおいては、正弦波振動法による動的粘弾測定における測定周波数1(rad/sec)での貯蔵弾性率G’(65)と90℃での貯蔵弾性率G’(90)との比G’(65)/G’(90)が、1×10以上1×103以下の範囲である。尚、G’(65)/G’(90)のより望ましい値は、1×10以上5×102以下の範囲である。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、前記マルチサイザーII型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて、粒径が2.0μmから60μmの範囲の粒子の粒度分布を測定する。尚、サンプリングする粒子数は50000個である。
これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2の式によって求められる。
本実施形態に係る液体現像剤におけるキャリア液には、前記トナーとのSP値の差(ΔSP(tc))が1.5以上7.0以下であるキャリア液が用いられる。従って、用いるトナーのSP値によって、ΔSP(tc)が上記範囲となるキャリア液を選択して用いる。
シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル(市販品では信越シリコーン社製、KF−96、KF−965、KF−968等)、メチルハイドロジェンシリコーンオイル(同KF−99等)、メチルフェニルシリコーンオイル(同KF−50、KF−54等)等が挙げられる。
ポリオールとしては、例えばエチレングリコール(市販品では和光純薬社製)、ジエチレングリコール(同)、プロピレングリコール(同)等が挙げられる。
上記のΔSP(pt)およびΔSP(pc)を上記範囲に制御する観点から、特に結晶性ポリエステルを含有するトナーと、キャリア液としてシリコーンオイルと、記録媒体としてセルロース繊維を含む用紙と、を組み合わせることが有効である。
上記引火点は、JIS K2265−4(2007年)により測定される。
本実施形態に係る画像形成装置は、少なくとも前述の本実施形態に係る液体現像剤を用いていれば特に限定されるものではなく、例えば、静電潜像保持体と、前記静電潜像保持体の表面を帯電する帯電装置と、前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、本実施形態に係る液体現像剤を貯留し且つ前記静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像を前記液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、前記記録媒体上の前記トナー像に加熱および加圧を施して記録媒体に定着させる定着装置と、を有する画像形成装置が挙げられる。
尚、前記第1加熱装置(第1加熱工程)では、トナーの流動性を確保する観点から、非接触で加熱を行う、つまり接触せずに加熱する加熱装置で記録媒体のトナー像が形成されている側から加熱するか、記録媒体の背面側(トナー像が形成されていない側)から加熱するか、またはその両者の併用であることが望ましい。
記録媒体としては、特に限定されず公知の記録媒体が適用され、例えばセルロース繊維を含む用紙、セルロース繊維上に各種コート層が形成された用紙(塗工紙)、ラベル、フィルム(ポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコールのフィルムなど)等が挙げられる。
尚、ΔSP(pt)およびΔSP(pc)を上記範囲に制御する観点から、特に結晶性ポリエステルを含有するトナーと、キャリア液としてシリコーンオイルと、記録媒体としてセルロース繊維を含む用紙と、を組み合わせることが有効である。
画像形成装置100は、感光体(静電潜像保持体)10、帯電装置20、露光装置(潜像形成装置)12、現像装置14、中間転写体16、クリーナ18、転写ローラ(転写装置)28、非接触加熱装置(第1加熱装置)32、加熱加圧ロール(第2加熱加圧装置)34Aおよび34Bを含んで構成される。
感光体10は円柱形状を有し、前記感光体10の外周に、帯電装置20、露光装置12、現像装置14、中間転写体16、およびクリーナ18が順次に設けられ、中間転写体16に転写されたトナー像26が用紙(記録媒体)30に転写され位置に転写ローラ28が設けられ、更に用紙30の進行方向の転写ローラ28よりも下流側に非接触加熱装置(第1加熱装置)32が設けられ、更に用紙30の進行方向の非接触加熱装置32よりも下流側に加熱加圧ロール(第2加熱加圧装置)34Aおよび34Bが対を成して設けられる。本実施形態では、この非接触加熱装置(第1加熱装置)32と加熱加圧ロール(第2加熱加圧装置)34Aおよび34Bとで定着装置を構成している。
以下、この画像形成装置100の動作について簡単に説明する。
現像装置14は、現像ローラ14aと現像剤収納容器14bとを含んで構成される。現像ローラ14aは、現像剤収納容器14bに収納される液体現像剤24に一部が浸るよう設けられる。液体現像剤24中では、トナー粒子は分散されているが、例えば液体現像剤24を、さらに現像剤収納容器14b内に設けられる攪拌部材によって攪拌してもよい。
尚、非接触加熱装置32での加熱の温度は、90℃以上であることが望ましく、更には100℃以上125℃以下であることがより望ましい。また、加熱の時間は非接触加熱装置32の用紙30進行方向長さとプロセススピードとによって決まる。
加熱加圧ロール34Aおよび34Bは、用紙30を挟んでニップを形成するよう対向配置される。加熱加圧ロール34Aおよび34Bは、金属ロールに弾性ゴム層、およびトナー離型のための離型層を形成し、定められた圧力とニップ幅が得られるよう図示しない加圧機構によって用紙30を挟み込んでいる。また、少なくとも加熱加圧ロール34Aおよび34Bの一方にヒータを備えているが、該ヒータは加熱加圧ロール34Aおよび34Bの両方が備えていてもよい。
一方、中間転写体16にトナー像26を転写した感光体10では、転写残トナー粒子クリーナ18との接触位置まで運ばれ、クリーナ18によって回収される。尚、転写効率が100%に近く、残留トナーの発生が低減されている場合は、クリーナ18は設けなくともよい。
画像形成装置100に備えられる帯電装置20、露光装置12、現像装置14、中間転写体16、転写ローラ28、クリーナ18、および、非接触加熱装置(第1加熱装置)32、加熱加圧ロール(第2加熱加圧装置)34Aおよび34Bは、すべて感光体10の回転速度と同期をとって動作されている。
図2に示す画像形成装置は、シアン現像ユニット101−C、マゼンタ現像ユニット101−M、イエロー現像ユニット101−Y、黒現像ユニット101−Kを有する。各現像ユニットは、現像剤タンク102、現像剤供給ロール103、供給量規制手段104、現像ロール(現像装置)105、現像ロールクリーナ106、感光体(静電潜像保持体)107、帯電装置108、露光装置(潜像形成装置)109、一次転写装置110、および感光体クリーナ111を有する。また、4つの各現像ユニットの感光体107それぞれに接するよう中間転写体125が設けられ、更に中間転写体125に転写されたトナー像を用紙(記録媒体)127に転写する二次転写装置124、126が設けられる。用紙127の進行方向の二次転写装置124、126よりも下流側には定着ユニット(定着装置)131が設けられ、更に定着ユニット131の下流側には排出ロール135が設けられる。
定着ユニット131には、用紙127進行方向の上流側から順に非接触加熱装置(第1加熱装置)136および138と、ヒートロール132およびプレッシャーロール133(第2加熱加圧装置)と、が設けられる。
定着ユニット131は、用紙127進行方向の上流側から順に第1加熱装置および第2加熱加圧装置を有し、第1加熱装置として非接触加熱装置136および138を有する。非接触加熱装置136および138は、板状の加熱装置であり表面が金属でなる板状体の内部にはヒータが設けてある。非接触加熱装置136および138の位置でトナー像はトナーの貯蔵弾性率が1×106Paとなる温度(A)以上の温度にまで加熱される。
ヒートロール132およびプレッシャーロール133は、用紙127を挟んでニップを形成するよう対向配置される。ヒートロール132およびプレッシャーロール133のそれぞれは、金属ロールに弾性ゴム層、およびトナー離型のための離型層を形成し、定められた圧力とニップ幅が得られるよう図示しない加圧機構によって用紙127を挟み込んでいる。また、ヒートロール132およびプレッシャーロール133の両方にヒータを備えているが、該ヒータはヒートロール132およびプレッシャーロール133の一方のみに備えていてもよい。
更に、上記図1における現像装置14は画像形成装置100に脱着されるプロセスカートリッジの方式としてもよく、更に図2における現像剤タンク102、現像剤供給ロール103、供給量規制手段104、現像ロール105、現像ロールクリーナ106を一体化して、画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジの方式としてもよい。
まず、実施例、比較例で用いたトナー等の物性測定方法について説明する。
(樹脂の分子量)
以下の条件により樹脂の分子量を測定した。GPCとして「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、RI(Refractive Index)検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
トナー、樹脂粒子、着色剤粒子等の体積平均粒径は、以下の方法により測定した。
測定する粒子直径が2μm以上の場合、測定装置としてはコールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用して、粒径を測定した。
測定法としては、分散剤として界面活性剤、望ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に、測定試料を0.5mg以上50mg以下加え、これを前記電解液100ml以上150ml以下中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で1分間分散処理を行い、前記マルチサイザーII型により、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0μmから60μmの範囲の粒子の粒度分布を測定した。測定する粒子数は50,000であった。
これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2より算出され、数平均粒度指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2より算出され、小径側個数平均粒度指標(下GSDp)は{(D50p)/(D16p)}により算出される。
ガラス転移温度(Tg)および溶融温度(Tm)は、ASTMD3418−8に準拠して測定された各極大ピークより求めた。なお、ガラス転移温度は吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とし、溶融温度は吸熱ピークの頂点の温度とした。測定には示差走査熱量計(DSC−7、パーキンエルマー社製)を用いた。
−非晶性ポリエステル樹脂(1)・非晶性樹脂粒子分散液(1a)の調製−
・ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
35モル部
・ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
65モル部
・テレフタル酸 80モル部
・n−ドデセニルコハク酸 15モル部
・トリメリット酸 10モル部
加熱乾燥した二口フラスコに、上記の成分と、これらの酸成分(テレフタル酸、n−ドデセニルコハク酸、トリメリット酸の合計モル数)に対して0.05モル部のジブチル錫オキサイドと、を入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、150℃以上230℃以下で12時間共縮重合反応させ、その後、210℃以上250℃以下で徐々に減圧して、非晶性ポリエステル樹脂(1)を合成した。
また、非晶性ポリエステル樹脂(1)を示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度は62℃であった。
得られた非晶性樹脂粒子分散液(1a)に含まれる樹脂粒子の体積平均粒径D50vは0.3μm、標準偏差1.2であった。
・1,4−ブタンジオール(和光純薬社製) 293部
・ドデカンジカルボン酸(和光純薬社製) 750部
・触媒(ジブチル錫オキサイド) 0.3部
加熱乾燥した3口フラスコに、上記の成分を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で2時間攪拌を行った。その後、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い5時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、結晶性ポリエステル樹脂(2)を合成した。
また、結晶性ポリエステル樹脂(2)の溶融温度(Tm)を、前述の測定方法により示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は70℃であった。
更に結晶性ポリエステル樹脂(2)を用いた以外は、樹脂粒子分散液(1a)における条件にて結晶性樹脂粒子分散液(2a)を作製した。得られた分散液に含まれる粒子の体積平均粒径D50vは0.25μm、標準偏差1.3であった。
・フタロシアニン顔料(大日精化社製、PVFASTBLUE) 25部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンRK) 2部
・イオン交換水 125部
上記成分を混合し溶解した後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で分散して着色剤分散液(1)を得た。
・ペンタエリスリトールベヘン酸テトラエステルワックス 100部
・アニオン界面活性剤(日油社製、ニューレックスR) 2部
・イオン交換水 300部
上記成分を混合し溶解した後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、離型剤粒子分散液(1)を得た。
・疎水性シリカ(日本アエロジル製、RX200) 100部
・アニオン界面活性剤(日油社製、ニューレックスR) 2部
・イオン交換水 1000部
上記成分を混合し、溶解した後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で分散した後、超音波ホモジナイザー(RUS−600CCVP、日本精機製作所)にて200パス分散させ、無機粒子分散液(1)を得た。
・非晶性樹脂粒子分散液(1a) 145部
・結晶性樹脂粒子分散液(2a) 30部
・着色剤分散液(1) 42部
・離型剤粒子分散液(1) 36部
・無機粒子分散液(1) 10部
・硫酸アルミニウム(和光純薬社製) 0.5部
・イオン交換水 300部
上記成分を丸型ステンレス製フラスコ中に収容してpH2.7に調整し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、加熱用オイルバス中で45℃まで攪拌しながら加熱した。48℃で120分間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が5.6μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
更に30分48℃で加熱攪拌を保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が6.5μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。この凝集粒子分散液のpHは3.2であった。続いて、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を穏やかに添加してpHを8.0に調整した後、攪拌を継続しながら90℃まで加熱し、3時間保持した。その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥してトナー粒子(1)を得た。
また、前述の方法によりトナー(1)のSP値を求めたところ、SP値は9.0であった。
・実施例I−1
−液体現像剤(A1)の調製−
上記より得たトナー(1)と、ジメチルシリコーンオイル(信越シリコーン社製、KF−96−20cs)と、をガラス瓶中で混合し液体現像剤(A1)を得た。
−液体現像剤(A2)の調製−
上記より得たトナー(1)と、エチレングリコール(和光純薬社製)と、をガラス瓶中で混合し液体現像剤(A2)を得た。
−比較用液体現像剤(B1)の調製−
上記より得たトナー(1)と、流動パラフィンオイル(松村石油(株)製、モレスコホワイトP40、引火点:130℃)と、をガラス瓶中で混合し液体現像剤(B1)を得た。
なお上記液体現像剤A1、A2および非架橋液体現像剤B1については、分散性評価のためには濃度10%、定着性評価のためには濃度30%の液体現像剤を用いた。
−比較用液体現像剤(B2)の調製−
上記より得たトナー(1)と、シクロヘキサン(和光純薬社製)と、をガラス瓶中で混合しトナー濃度10%の比較用の液体現像剤(B2)を得た。
−比較用液体現像剤(B3)の調製−
上記より得たトナー(1)と、トルエン(和光純薬社製)と、をガラス瓶中で混合しトナー濃度10%の比較用の液体現像剤(B3)を得た。
−比較用液体現像剤(B4)の調製−
上記より得たトナー(1)と、テトラヒドロフラン(和光純薬社製)と、をガラス瓶中で混合しトナー濃度10%の比較用の液体現像剤(B4)を得た。
−比較用液体現像剤(B5)の調製−
上記より得たトナー(1)と、アセトン(和光純薬社製)と、をガラス瓶中で混合しトナー濃度10%の比較用の液体現像剤(B5)を得た。
−比較用液体現像剤(B6)の調製−
上記より得たトナー(1)と、水と、をガラス瓶中で混合しトナー濃度10%の比較用の液体現像剤(B6)を得た。
上記より得た液体現像剤および比較用液体現像剤のそれぞれについて、トナー(1)の分散性を目視および拡大観察にて評価し、以下の評価基準に従って評価した。尚、本評価はトナーとキャリア液とを混合して1時間放置した後に行った。結果を下記表1に示す。
・分散 :目視および拡大観察下でトナー粒子がムラなく分散している状態
・完全溶融:目視および拡大観察下でトナー粒子が観測されない状態
・凝集 :目視観察下で粗大粒子が観測される状態
・分離 :目視観察下でキャリア液とトナー粒子が完全分離している状態
下記3種類のキャリア液中で、オイルリッチな条件下で前記トナー(1)の定着画像を下記方法により形成し、該定着画像中に含まれる残存キャリア液の量を算出した。
キャリア液として、ジメチルシリコーンオイル(信越シリコーン社製、KF−96−20cs、SP値:7.2、ΔSP(tc):1.8)を用いた。
バーコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に濃度30%の液体現像剤を塗布し、トナー質量(TMA1)=8.7g/m2のサンプル膜を形成した。この際のキャリア液質量(CMA1)は20.3g/m2であった。ホットプレートを用いてサンプル膜を80℃で3分間背面側(ポリエチレンテレフタレートフィルムの液体現像剤が塗布されていない側)から加熱し定着した。サンプル膜を高揮発性溶媒であるKF−96L−2csに3min浸漬し、定着画像上のKF−96−20csキャリアを除去した。その後、サンプル膜を2時間減圧乾燥し、KF−96L−2csを乾燥させた。
得られた定着画像について質量分析を行い、定着画像中のトナー質量(TMA2)、定着画像中のキャリア液質量(CMA2)、定着画像外(定着画像に含まれなかった)キャリア液質量(CMA3)を求め、更に定着画像中でのキャリア液残存率を求めた。
キャリア液として、エチレングリコール(和光純薬社製、SP値:14.6、ΔSP(tc):5.6)を用いた。
バーコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に濃度30%の液体現像剤を塗布し、トナー質量(TMA1)=9.0g/m2のサンプル膜を形成した。この際のキャリア液質量(CMA1)は20.8g/m2であった。
その後、実施例II−1と同様の手法で定着画像を形成し、得られた定着画像について質量分析を行い、実施例II−1のごとくTMA2、CMA2、CMA3、および定着画像中でのキャリア液残存率を求めた。
キャリア液として、流動パラフィンオイル(松村石油(株)製、モレスコホワイトP40、SP値:7.9、ΔSP(tc):1.1)を用いた。
バーコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に濃度30%の液体現像剤を塗布し、トナー質量(TMA1)=9.7g/m2のサンプル膜を形成した。この際のキャリア液質量(CMA1)は22.6g/m2であった。
その後、実施例II−1と同様の手法で定着画像を形成し、得られた定着画像について質量分析を行い、実施例II−1のごとくTMA2、CMA2、CMA3、および定着画像中でのキャリア液残存率を求めた。
以上の結果を、下記表2に示す。
液体現像剤(キャリア液:ジメチルシリコーンオイル)を用いて定着された定着画像と、前記トナー(1)をドライトナーとして用いて定着された定着画像と、を形成し、それぞれの断面像を対比した。
まず、前記液体現像剤(A1)の調製において、トナー(1)とジメチルシリコーンオイルとの比率を調整して、トナー濃度30%の液体現像剤を得た。
まず、フェライトキャリアを製造した。フェライト粒子(パウダーテック社製、平均粒径:50μm)100部とメタクリレート樹脂(三菱レイヨン社製、重量平均分子量:95000)2.5部と、をトルエン500部と共に加圧式ニーダーに入れ、常温(23℃)で15分間攪拌混合した後、減圧混合しながら70℃まで昇温し、トルエンを留去した。その後冷却し、目開き105μmの篩を用いて分級することにより、フェライトキャリア(樹脂被覆キャリア)を作製した。
このフェライトキャリアと、前記トナー(1)と、を混合しトナー濃度が7質量%である二成分系のドライ現像剤を作製した。
液体現像剤(キャリア液:ジメチルシリコーンオイル)および比較用の液体現像剤(キャリア液:パラフィンオイル)を用いて定着されたそれぞれの定着画像について、以下の方法により画像耐久性を評価した。
まず、前記液体現像剤(A1)の調製において、トナー(1)とジメチルシリコーンオイルとの比率を調整して、トナー濃度30%の液体現像剤を得た。
まず、前記比較用液体現像剤(B1)の調製において、トナー(1)とパラフィンオイルとの比率を調整して、トナー濃度30%の比較用液体現像剤を得た。
上記で定着画像が形成された記録媒体の、定着画像面同士および定着画像面と記録媒体側の面とを重ねて、温度60℃、湿度50%の恒温槽で80g/cm2の荷重をかけて1日放置し、放置後に重ね合わせた面を剥離して剥離の際に定着層の破壊(画像欠損や画像の移行)が生じるか否かを観察し、以下の評価基準により評価した。結果を下記表3に示す。
G5.0:全く付着しない。
G4.5:剥離時に音が発生するが、画像欠損や移行なし。
G4.0:非常に軽微な(拡大観測下で1個以上の欠損が確認される程度の)画像欠損や移行あり。
G3.0:1/3以下の面積で画像欠損や移行あり。
G2.0:1/3を超え1/2以下の面積で画像欠損や移行あり。
G1.0:1/2を超える面積で画像欠損や移行あり。
65℃での貯蔵弾性率G’(65)と90℃での貯蔵弾性率G’(90)との比G’(65)/G’(90)が前述の範囲であるトナー(前記トナー(1))を用いた液体現像剤(キャリア液:ジメチルシリコーンオイル)と、比G’(65)/G’(90)が前述の範囲から外れるトナーを用いた比較用の液体現像剤(キャリア液:ジメチルシリコーンオイル)を用いて定着画像を形成し、定着性について評価した。
まず、前記液体現像剤(A1)の調製において、トナー(1)とジメチルシリコーンオイルとの比率を調整して、トナー濃度30%の液体現像剤を得た。
尚、前述の通り、トナー(1)は、65℃での貯蔵弾性率G’(65)が7×107Pa、90℃での貯蔵弾性率G’(90)が3×105Paであり、貯蔵弾性率G’(65)と貯蔵弾性率G’(90)との比G’(65)/G’(90)は2.3×102であった。また、トナー(1)のSP値は9.0であった。
まず、前記トナー(1)の作製において、結晶性樹脂粒子分散液(2a)を非晶性樹脂粒子分散液(1a)に置き換えたこと以外、トナー(1)と同様の作製方法により比較用トナー(2)を得た。
前述の方法により比較用トナー(2)の貯蔵弾性率を求めたところ、65℃での貯蔵弾性率G’(65)は7×107Pa、90℃での貯蔵弾性率G’(90)は1×107Paであり、貯蔵弾性率G’(65)と貯蔵弾性率G’(90)との比G’(65)/G’(90)は7.0×100であった。
また、前述の方法により比較用トナー(2)のSP値を求めたところ、SP値は9.2であった。
上記実施例V−1および比較例V−1において得られた定着画像の断面像を撮影し観察した。実施例V−1で得た定着画像では、トナーが効率的に溶融され、更にキャリア液との分離が良好に行われて定着画像中にはキャリア液が含まれていないことが確認された。
これに対し、比較例V−1で得た定着画像では、トナーの溶融が不十分となり、キャリア液との分離が良好に進行せず、定着画像中にはキャリア液が含まれていることが確認された。
但し、140℃から150℃の範囲辺りからブリスターが発生し、上記の定着温度では定着ウインドウがないことが確かめられた。また、上記の定着温度では、装置が一旦停止した際に記録媒体(紙)に焦げが発生することも確かめられた。
下記2種類のキャリア液中で、前記トナー(1)と記録媒体との親和性を評価した。
トナー:前記トナー(1)(SP値:9.0)
キャリア液:ジメチルシリコーンオイル(信越シリコーン社製、KF−96−20cs、SP値:7.2)
記録媒体:王子製紙社製、商品名:FGN85gsm(SP値:15.7)
トナー:前記トナー(1)(SP値:9.0)
キャリア液:流動パラフィンオイル(松村石油(株)製、モレスコホワイトP40、SP値:7.9)
記録媒体:王子製紙社製、商品名:FGN85gsm(SP値:15.7)
12 露光装置(潜像形成装置)
14 現像装置
16 中間転写体
18 クリーナ
20 帯電装置
24 液体現像剤
26 トナー像
28 転写ローラ
29 定着画像
30 用紙(記録媒体)
32 非接触加熱装置(第1加熱装置)
34A,34B 加熱加圧ロール(第2加熱加圧装置)
100 画像形成装置
101−C シアン現像ユニット
101−M マゼンタ現像ユニット
101−Y イエロー現像ユニット
101−K 黒現像ユニット
102 現像剤タンク
103 現像剤供給ロール
104 供給量規制手段
105 現像ロール
106 現像ロールクリーナ
107 感光体(静電潜像保持体)
108 帯電装置
109 露光装置(潜像形成装置)
110 一次転写装置
111 感光体クリーナ
112 液体現像剤
121 駆動ロール
122 支持ロール
124,126 二次転写装置
125 中間転写体
127 用紙(記録媒体)
131 定着ユニット(定着装置)
132 ヒートロール(第2加熱加圧装置)
133 プレッシャーロール(第2加熱加圧装置)
134 ヒータ
135 排出ロール
136,138 非接触加熱装置(第1加熱装置)
Claims (9)
- 65℃での貯蔵弾性率G’(65)と90℃での貯蔵弾性率G’(90)との比G’(65)/G’(90)が1×10以上1×103以下であるトナーと、
前記トナーとのSP値の差(ΔSP(tc))が1.5以上7.0以下であるキャリア液と、
を含有する液体現像剤。 - 静電潜像保持体と、
前記静電潜像保持体の表面を帯電する帯電装置と、
前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
請求項1に記載の液体現像剤を貯留し且つ前記静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像を前記液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
前記記録媒体上の前記トナー像に加熱および加圧を施して記録媒体に定着させる定着装置と、
を有する画像形成装置。 - 前記トナーは、前記65℃での貯蔵弾性率G’(65)が1×107Pa以上1×108Pa以下であり且つ前記90℃での貯蔵弾性率G’(90)が1×105Pa以上1×106Pa以下であり、
前記定着装置は、前記トナー像中のトナーの貯蔵弾性率が1×106Paとなる温度(A)以上の温度にまで、前記トナー像に対し非接触で加熱を施す第1加熱装置と、該第1加熱装置での加熱後に前記温度(A)以上の温度で加熱しつつ加圧を施す第2加熱加圧装置と、を有する請求項2に記載の画像形成装置。 - 前記記録媒体と前記トナーとのSP値の差(ΔSP(pt))が、前記記録媒体と前記キャリア液とのSP値の差(ΔSP(pc))よりも小さい請求項2または請求項3に記載の画像形成装置。
- 静電潜像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
前記静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像を請求項1に記載の液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体上の前記トナー像に加熱および加圧を施して記録媒体に定着させる定着工程と、
を有する画像形成方法。 - 前記トナーは、前記65℃での貯蔵弾性率G’(65)が1×107Pa以上1×108Pa以下であり且つ前記90℃での貯蔵弾性率G’(90)が1×105Pa以上1×106Pa以下であり、
前記定着工程は、前記トナー像中のトナーの貯蔵弾性率が1×106Paとなる温度(A)以上の温度にまで、前記トナー像に対し非接触で加熱を施す第1加熱工程と、該第1加熱工程後に前記温度(A)以上の温度で加熱しつつ加圧を施す第2加熱加圧工程と、を有する請求項5に記載の画像形成方法。 - 前記記録媒体と前記トナーとのSP値の差(ΔSP(pt))が、前記記録媒体と前記キャリア液とのSP値の差(ΔSP(pc))よりも小さい請求項5または請求項6に記載の画像形成方法。
- 請求項1に記載の液体現像剤を収納し、且つ画像形成装置に脱着される液体現像剤カートリッジ。
- 請求項1に記載の液体現像剤を収納し且つ静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像を該液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置を備え、画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
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