JP2014185157A - 化合物及びそれからなる酸発生剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式(b1−11)で表される化合物。式(b1−11)中、R7”〜R9”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基であり、R7”〜R9”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成していてもよく、R7”〜R9”のうち少なくとも1つは、置換基として下記一般式(I)で表される基を有する置換アリール基であり、X−はアニオンである。式(I)中、R53は水素原子またはフッ素化アルキル基を表し、R54は水素原子、アルキル基またはフッ素化アルキル基を表し、fは0または1を表し、hは1または2を表す。
[化1]
【選択図】なし
Description
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のF2エキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
これは、酸発生剤から発生する酸の作用によって、樹脂成分のカルボキシ基と架橋剤のアルコール性水酸基とが反応することにより、樹脂成分をアルカリ可溶性から不溶性に変化させるタイプである。
また、カルボキシ基またはカルボン酸エステル基とアルコール性水酸基とを両方有する樹脂成分と、酸発生剤を含むネガ型レジスト組成物であって、樹脂成分中のカルボキシ基またはカルボン酸エステル基とアルコール性水酸基とを酸発生剤から発生する酸の作用によって分子間で反応させることにより、当該樹脂成分をアルカリ可溶性から不溶性に変化させるタイプのものも提案されている(例えば、非特許文献1〜4、特許文献2参照)。
現在、酸発生剤としては、カチオン部にトリフェニルスルホニウム等のオニウムイオンを有するオニウム塩系酸発生剤が用いられている。オニウム塩系酸発生剤のアニオン部としては、アルキルスルホン酸イオンやそのアルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたフッ素化アルキルスルホン酸イオンが一般的である(たとえば特許文献4参照)。
かかるオニウム塩系酸発生剤を用いる場合、露光後のレジスト膜中での酸の拡散を抑制するためには、アニオン部のアルキル基またはフッ素化アルキル基の長さが長い方が好ましいと考えられる。ところが、炭素数6以上のアルキル基またはフッ素化アルキル基は難分解性であり、該アニオン部としては、生体蓄積性を考慮した取り扱いの安全のために、炭素数4以下のもの、たとえばノナフルオロブタンスルホン酸イオン等が用いられている。
従来のレジスト材料に用いられているオニウム塩系酸発生剤のカチオンとして、例えば、トリフェニルスルホニウム等のカチオンが一般的に用いられている。かかるカチオンを有するオニウム塩系酸発生剤は、当該カチオンの疎水性が比較的高いため、レジストの基材成分との親和性や有機溶剤への溶解性に優れ、リソグラフィー特性の向上に寄与すると考えられる。
しかし、疎水性が高くなるほどアルカリ現像液に対する溶解性が悪い傾向があり、酸発生剤のアルカリ現像液に対する溶解性が悪くなると、現像時に充分に溶解せず、ディフェクトやパターン裾引き等の問題を引き起こすおそれがある。ディフェクトとは、例えば、KLAテンコール社の表面欠陥観察装置(商品名「KLA」)により、現像後のレジストパターンを真上から観察した際に検知される不具合全般のことである。この不具合とは、例えば現像後のスカム、泡、ゴミ、レジストパターン間のブリッジ、色むら、析出物等である。
そのため、優れた現像液溶解性と、良好なリソグラフィー特性とを両立でき、レジスト組成物用の酸発生剤として有用な新規な化合物に対する要求がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、レジスト組成物用の酸発生剤として有用な新規な化合物、該化合物からなる酸発生剤、該酸発生剤を含有するレジスト組成物および該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「低級アルキル基」は、炭素数1〜5のアルキル基である。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「構成単位」とは、樹脂成分(重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
本発明の第一態様である、レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)(以下、(A)成分という。)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)とを含有する。
かかるレジスト組成物においては、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が変化する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が変化する一方、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解性は変化しない。そのため、これをアルカリ現像することによりレジストパターンが形成される。
本発明のレジスト組成物は、ポジ型レジスト組成物であってもよく、ネガ型レジスト組成物であってもよく、前記(A)成分、(B)成分に加えて、さらに、後述する含フッ素高分子化合物(F)(以下、(F)成分という。)を含んでいてもよい。
本発明のレジスト組成物がネガ型レジスト組成物である場合には、前記(A)成分、(B)成分に加えて、さらに、後述する架橋剤成分(C)(以下、(C)成分という。)を含むことが好ましい。
以下、本発明のレジスト生物がポジ型の場合とネガ型の場合とで区別して、各成分を詳細に説明する。
(A)成分としては、通常、化学増幅型レジスト用の基材成分として用いられている有機化合物を1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
ここで、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
前記基材成分として用いられる分子量が500以上の有機化合物は、分子量が500以上2000未満の低分子量の有機化合物(低分子材料)と、分子量が2000以上の高分子量の有機化合物(高分子材料)とに大別される。前記低分子材料としては、通常、非重合体が用いられる。高分子材料としては樹脂(重合体、共重合体)が用いられる。樹脂の場合、「分子量」としてはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。以下、単に「樹脂」という場合は、分子量が2000以上の樹脂を示すものとする。
(A)成分としては、酸の作用によりアルカリ溶解性が変化する樹脂を用いてもよく、酸の作用によりアルカリ溶解性が変化する低分子材料を用いてもよく、これらを併用してもよい。
該(A1)成分は、露光前はアルカリ現像液に対して難溶性であり、露光により前記(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を基板上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部は、アルカリ現像液に対して難溶性から可溶性に変化する一方で、未露光部はアルカリ難溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりレジストパターンが形成できる。
本発明のレジスト組成物がポジ型レジスト組成物である場合、(A)成分としては、共重合体(A1−1)を含有するものが好ましい。
該ネガ型レジスト組成物は、露光により(B)成分から酸が発生すると、当該酸が作用して(A2)成分と架橋剤との間で架橋が起こり、アルカリ現像液に対して難溶性へ変化する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ネガ型レジスト組成物を基板上に塗布して得られるレジスト膜を選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して難溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ現像液に対して可溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりレジストパターンが形成できる。
本発明のレジスト組成物がネガ型レジスト組成物である場合、(A)成分としては、共重合体(A2−1)を含有するものが好ましい。
また、共重合体(A1−1)は、構成単位(a1)に加えて、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有することがより好ましい。
また、共重合体(A1−1)は、構成単位(a1)に加えて、または構成単位(a1)および構成単位(a2)に加えて、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有することが特に好ましい。
また、共重合体(A1−1)は、前記構成単位(a1)〜(a3)以外の、その他の構成単位(a4)を有していてもよい。
また、共重合体(A2−1)は、前記構成単位(a1’)、(a2’)以外の、その他の構成単位(a3’)を有していてもよい。
以下、本発明において好適に用いられる、(A1)成分、(A2)成分について、例を挙げて説明する。
[共重合体(A1−1)]
共重合体(A1−1)としては、通常、化学増幅型レジスト用の基材成分として用いられている樹脂成分(ベース樹脂)を1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。本発明において、共重合体(A1−1)としては、アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有するものが好ましい。なかでも酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する樹脂が、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成できるので好ましい。ここで、「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。また、「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。置換基としては、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことを意味する。
構成単位(a1)は、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基は、解離前は(A1)成分全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、酸により解離してこの(A1)成分全体のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるものであり、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。
なお、前記鎖状または環状のアルキル基は、置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。
「脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。
また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、炭素数4〜8の第3級アルキル基が好ましく、具体的にはtert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘプチル基等が挙げられる。
構成単位(a1)における「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、炭素数1〜5の低級アルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。
また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。「脂肪族環式基」は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
R1’,R2’の低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R1’,R2’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基」と同様のものが例示できる。
R19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
R19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
R19が環状の場合は、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式においては、R17及びR19が、それぞれ独立に、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であってR19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17とR19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
X1は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定されることはなく、例えば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
X2は、式(a1−0−1)中のX1と同様である。
該脂肪族環式基としては、水素原子が2個以上除かれた基が用いられること以外は、前記「脂肪族環式基」の説明と同様のものを用いることができる。
Y2がアルキレン基である場合、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。
Y2が2価の脂肪族環式基である場合、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が2個以上除かれた基であることが特に好ましい。
Y2が「−A−O−B−」である場合、AおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が、水素原子以外の基または原子で置換されていることを意味する。
Aにおける脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基[−(CH2)2−]、トリメチレン基[−(CH2)3−]、テトラメチレン基[−(CH2)4−]、ペンタメチレン基[−(CH2)5−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
Bとしては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基またはアルキルメチレン基が特に好ましい。
アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
R1’、R2’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性溶解抑制基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR1’、R2’、n、Yと同様のものが挙げられる。
Y2としては、上記一般式(a1−0−2)におけるY2と同様のものが挙げられる。
その中でも、一般式(a1−1)又は(a1−3)で表される構成単位が好ましく、具体的には(a1−1−1)〜(a1−1−3)、(a1−1−20)〜(a1−1−23)、(a1−3−25)〜(a1−3−30)からなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
さらに、構成単位(a1)としては、特に式(a1−1−1)〜式(a1−1−3)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−01)で表されるもの、式(a1−1−16)〜(a1−1−17)および式(a1−1−20)〜(a1−1−23)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−02)で表されるもの、式(a1−3−25)〜(a1−3−26)の構成単位を包括する下記一般式(a1−3−01)で表されるもの、式(a1−3−27)〜(a1−3−28)の構成単位を包括する下記一般式(a1−3−02)で表されるもの、又は式(a1−3−29)〜(a1−3−30)の構成単位を包括する下記一般式(a1−3−03)で表されるものも好ましい。
R13は、水素原子が好ましい。
R14の低級アルキル基は、Rにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基またはエチル基が好ましい。
前記一般式(a1−3−01)または(a1−3−02)においてaは、1〜8の整数が好ましく、2〜5の整数が特に好ましく、2が最も好ましい。
前記一般式(a1−3−03)においてaは、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数が特に好ましく、1が最も好ましい。
(A1)成分中、一般式(a1−3−01)〜(a1−3−03)で表される構成単位の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して5〜50モル%が好ましく、5〜30モル%がより好ましく、5〜25モル%がさら好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
塩基の存在下、下記一般式(X−1)で表される化合物(以下「化合物(X−1)」という。)が反応溶媒に溶解した溶液に、下記一般式(X−2)で表される化合物(以下「化合物(X−2)」という。)を添加し、反応させることにより下記一般式(X−3)で表される化合物(以下「化合物(X−3)」という。)を得た後、化合物(X−3)が溶解した溶液に、下記一般式(X−4)で表される化合物を、塩基の存在下で添加し、反応させることにより、モノマーWが得られる。
化合物(X−2)は、たとえば、X11−B−C(=O)−OHと、X2−Hとを反応させることにより得られる。また、化合物(X−2)の代わりに、X11−B−C(=O)−OHと、X2−Hとをそれぞれ別個に用いてもよい。
塩基としては、たとえば水素化ナトリウム、K2CO3、Cs2CO3等の無機塩基;トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ピリジン等の有機塩基等が挙げられる。
反応溶媒としては、原料である化合物(X−1)および化合物(X−2)を溶解できるものであればよく、具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル等が挙げられる。
X10、X11およびX12におけるハロゲン原子としては、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等が挙げられる。
X10またはX12のハロゲン原子としては、反応性に優れることから、塩素原子、臭素原子が好ましい。
X11としては、反応性に優れることから、臭素原子または塩素原子が好ましい。
上記モノマーWの製造方法は、u=0の場合、前記一般式(a1−3−01)又は(a1−3−02)で表される構成単位を誘導する各モノマーの製造方法を示し、u=1の場合、前記一般式(a1−3−03)で表される構成単位を誘導する各モノマーの製造方法を示す。
構成単位(a2)は、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、共重合体(A1−1)をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりするうえで有効なものである。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトン、メバロニックラクトン等の単環ラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
R’の低級アルキル基としては、前記構成単位(a1)におけるRの低級アルキル基と同じである。
R”が直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
一般式(a2−1)〜(a2−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
A”の酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基として、具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、−O−CH2−、−CH2−O−CH2−、−S−CH2−、−CH2−S−CH2−等が挙げられる。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)の具体的な構成単位を例示する。
構成単位(a2)として、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。なかでも、化学式(a2−1−1)、(a2−2−1)、(a2−2−7)、(a2−3−1)および(a2−3−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
共重合体(A1−1)が構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、水酸基が特に好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該多環式基の炭素数は7〜30であることが好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
jは1であることが好ましく、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが特に好ましい。
共重合体(A1−1)中、構成単位(a3)の割合は、共重合体(A1−1)を構成する全構成単位に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより、構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
共重合体(A1−1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1)〜(a3)以外の他の構成単位(a4)を含んでいてもよい。
構成単位(a4)は、上述の構成単位(a1)〜(a3)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位などが好ましい。該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特に、トリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
本発明おいては、共重合体(A1−1)としては、特に下記の様な構成単位の組み合わせを含むものが好ましい。
R14の低級アルキル基は、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
aは1〜10の整数であり、1または2が特に好ましく、1が最も好ましい。
bは1〜10の整数であり、1または2が特に好ましく、1が最も好ましい。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH2−CH2−CH2−C(CF3)2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF3)2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(A1−2)成分としては、分子量が500以上2000未満であって、上述の共重合体(A1−1)の説明で例示したような酸解離性溶解抑制基と、親水性基とを有する低分子化合物が好ましい。具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部が上記酸解離性溶解抑制基で置換されたものが挙げられる。
(A1−2)成分は、たとえば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や、耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性溶解抑制基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
かかる低分子量フェノール化合物としては、たとえば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2、3、4核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。
酸解離性溶解抑制基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
上記のなかでも、(A1)成分としては、共重合体(A1−1)を含有することが好ましい。
本発明のレジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
[共重合体(A2−1)]
・構成単位(a1’)について
(A2)成分は、前述のようにフッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を主鎖に有する構成単位(a1’)を含有するものが好ましい。
係る構成単位(a1’)において、「フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基」とは、脂肪族環式基の環を構成する炭素原子に、フッ素化されたヒドロキシアルキル基が結合した基を意味する。
また、「脂肪族環式基を主鎖に有する」とは、該脂肪族環式基の環上の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の炭素原子が、共重合体(A2−1)の主鎖を構成することを意味する。
本発明においては、(A2)成分が、係る構成単位(a1’)を含む共重合体(A2−1)を含むことにより、アルカリ現像液に対する溶解性が高まって、レジストパターン形状やラインワイズラフネス(LWR)等のリソグラフィー特性が向上し得る。また、脂肪族環式基(たとえば、ノルボルナンまたはテトラシクロドデカンの構造など)を主鎖に有することにより、炭素密度が高まってエッチング耐性も向上し得る。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基においては、フッ素化によって、ヒドロキシ基の水素原子が遊離しやすくなっている。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基において、アルキル基は、直鎖または分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。
該アルキル基の炭素数は、特に限定するものではないが、1〜20が好ましく、4〜16がより好ましく、4〜12であることが最も好ましい。
ヒドロキシ基の数は、特に限定するものではないが、1つであることが好ましい。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基としては、なかでもヒドロキシ基が結合した炭素原子(ここではヒドロキシアルキル基のα位の炭素原子を指す。)に、フッ素化アルキル基および/またはフッ素原子が結合しているものが好ましい。
ここで、当該α位に結合するフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換されていることが好ましい。また、該フッ素化アルキル基のアルキル基としては、炭素数が1〜5の直鎖または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1がより好ましい。
「単環の脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基であることを意味し、「多環の脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない多環式基であることを意味する。
構成単位(a1’)において、脂肪族環式基は、エッチング耐性等に優れることから、多環であることが好ましい。
脂肪族環式基は、炭素及び水素からなる炭化水素基(脂環式基)、および該脂環式基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロ環式基等が含まれる。これらの脂肪族環式基は置換基を有していてもよく、該置換基としては炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
ここで、「置換基を有する」とは、脂肪族環式基の環を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の原子または基)で置換されていることを意味する。本発明において、脂肪族環式基としては、脂環式基が好ましい。
脂肪族環式基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、ArFエキシマレーザー等に対する透明性が高く、解像性や焦点深度幅(DOF)等にも優れることから、飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基の炭素数は、5〜15であることが好ましい。
単環式基としては、シクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサンから2個以上の水素原子を除いた基が挙げられ、シクロヘキサンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
なお、この様な脂肪族環式基は、例えばArFエキシマレーザープロセス用のホトレジスト組成物用樹脂において多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
これらの中でも、工業上入手しやすいことから、シクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
これら例示した脂環式基の中でも、後述する構成単位(a1’−1)のように、ノルボルナンまたはテトラシクロドデカンから3個の水素原子を除いた基が好ましく、特にノルボルナンから3個の水素原子を除いた基が好ましい。
なお、「ラインエッジラフネス(LER)」とは、ライン側壁の不均一な凹凸のことをいう。
低級アルキル基としては、炭素数5以下の直鎖または分岐鎖状の低級アルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基が好ましい。
なかでも、R11”、R12”が共に水素原子であることが好ましい。
qは1〜5の整数であり、より好ましくは1〜3の整数であり、最も好ましくは1である。
m”およびn”は、それぞれ独立して1〜5の整数であり、より好ましくは1〜3の整数である。特に、合成上および本発明の効果の面において優れていることから、m”およびn”が1であるものが好ましい。
共重合体(A2−1)中、構成単位(a1’)の割合は、共重合体(A2−1)を構成する全構成単位の合計に対して、45〜90モル%が好ましく、50〜90モル%がより好ましく、55〜80モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a1)を含有することによる効果が向上し、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
共重合体(A2−1)は、ヒドロキシアルキル基を有する構成単位(a2’)を含有するものが好ましい。
本発明においては、(A2)成分が、係る構成単位(a2’)を含む共重合体(A2−1)を含むことにより、アルカリ現像液に対する溶解性が向上し得る。また、(C)成分との架橋性が高まり、露光部と未露光部とのアルカリ現像液に対する溶解性の差(コントラスト)が大きくなって、ネガ型レジストとして充分に機能することができる。
係る構成単位(a2’)としては、たとえば、ヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を主鎖に有する構成単位(a210)(以下、構成単位(a210)と略記する。)が好ましく用いられる。
これら構成単位(a2’)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
本発明において、構成単位(a210)は、ヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を主鎖に有する構成単位である。
構成単位(a210)としては、前記構成単位(a1’)の「フッ素化されたヒドロキシアルキル基」において、フッ素化されていないヒドロキシアルキル基、すなわちアルキル基の水素原子の一部がヒドロキシ基で置換されたヒドロキシアルキル基中の残りの水素原子がフッ素原子によって置換されていない以外は、前記構成単位(a1’)と同様の構成単位が好適なものとして挙げられる。
係る構成単位(a210)に含まれるものとしては、なかでも下記一般式(a2’−1)で表される構成単位(a2’−1)が好ましく例示できる。当該構成単位(a2’−1)を有することにより、レジストパターン形状やラインワイズラフネス(LWR)等のリソグラフィー特性が向上する。また、良好なコントラストが得られやすく、エッチング耐性も向上し得る。
式(a2’−1)中、R13”、R14”は、それぞれ独立して水素原子または低級アルキル基である。低級アルキル基としては、前記式(a1’−1−1)中のR11”、R12”で表される低級アルキル基と同様のものが挙げられる。なかでも、R13”、R14”が共に水素原子であることが好ましい。
Y’は、水素原子またはヒドロキシアルキル基である。
ヒドロキシアルキル基としては、好ましくは炭素数が10以下の直鎖または分岐鎖状のヒドロキシアルキル基であり、より好ましくは炭素数8以下の直鎖または分岐鎖状のヒドロキシアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜3の直鎖状の低級ヒドロキシアルキル基である。
ヒドロキシアルキル基における水酸基の数と結合位置は、特に限定するものではないが、通常は1つであり、また、アルキル基の末端に結合していることが好ましい。
Y’としては、なかでも特に水素原子が好ましい。
rは0または1であり、0が好ましい。
p’は1〜3の整数であり、1または2が好ましく、1が最も好ましい。
構成単位(a210)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
共重合体(A2−1)中、構成単位(a210)の割合は、共重合体(A2−1)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜50モル%が好ましく、15〜45モル%がより好ましく、20〜40モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより、アルカリ溶解性が向上し、良好なコントラストが得られやすくなる等の構成単位(a2’)を含有することによる効果が向上する。他方、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
本発明のネガ型レジスト組成物において、(A)成分は、前記の各構成単位(a1’)、(a2’)以外の構成単位(a3’)として、従来化学増幅型レジスト組成物用として公知の(A2)成分に用いられている構成単位を適宜用いることができる。
ただし、本発明の効果の点から、共重合体(A2−1)は、構成単位(a1’)および(a2’)を主成分とする樹脂であることが好ましい。
本発明において、共重合体(A2−1)における構成単位(a1’)と構成単位(a2’)との組み合わせとしては、構成単位(a1’)と構成単位(a210)との組み合わせが好ましい。当該組合せの一例として、下記化学式(A2−1−1)〜(A2−1−4)が挙げられる。
また、構成単位(a210)の割合は、構成単位(a1’)と構成単位(a210)との合計に対して、10〜50モル%が好ましく、15〜45モル%がより好ましく、20〜40モル%がさらに好ましい。
また、上記質量平均分子量をこの範囲とすることは、レジストパターンの膨潤抑制効果も高い点から好ましい。質量平均分子量は、この範囲内において低い方が、良好な特性が得られる傾向がある。
また、分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0であることが好ましく、1.0〜2.5であることがさらに好ましい。なお、「Mn」は、数平均分子量を示す。
ただし、共重合体(A2−1)を用いる場合、(A2)成分中に含まれる共重合体(A2−1)の割合は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
ネガ型レジスト組成物中の(A2)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚に応じて調整すればよい。
本発明のレジスト組成物は、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有し、該酸発生剤成分(B)がカチオン部に塩基解離性基を有する化合物からなる酸発生剤(B1)(以下、(B1)成分という。)を含む。
ここで、「塩基解離性基」は、アルカリ現像液(アルカリ水溶液)の作用により解離する基である。アルカリ現像液としては、一般的にリソグラフィー分野において用いられているものであってよい。本発明において、塩基解離性基は、23℃で、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液の作用により解離する基であることが好ましい。
本発明において、(B)成分を含む(B1)成分は、該カチオン部に塩基解離性基を有する化合物からなる酸発生剤であれば特に限定されないが、下記一般式(b1−11)で表される化合物からなる酸発生剤であることが好ましい。
下記一般式(I)で表される基においては、−C(=O)―O―におけるC−Oの結合が前記アルカリ現像液の作用(加水分解)により切断されてカルボキシル基が形成される。
式(b1−11)中、R7”〜R9”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアルキル基である。
ただし、R7”〜R9”のうち少なくとも1つは、置換基として前記一般式(I)で表される置換基を有するアリール基であり、R7”〜R9”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成していてもよい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基であることがより好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
R7”〜R9”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、残りの1つは、アリール基であることが好ましい。該アリール基は、置換基として上記一般式(I)で表される基を有する置換アリール基であることが好ましい。
1つの置換アリール基(I)が有する一般式(I)で表される基の数は、1〜3が好ましく、1が最も好ましい。
また、置換アリール基(I)において、一般式(I)で表される基が結合するアリール基は、フェニル基またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基であることが最も好ましい。この場合、前記一般式(I)で表される基が結合するのは、フェニル基のパラ位であることが好ましい。
置換アリール基(I)は、一般式(I)で表される基以外の他の置換基を有していてもよい。該他の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、エーテル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。これらはそれぞれ前記置換アリール基における置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
1つの置換アリール基(I)が有する該他の置換基の数は、0〜2が好ましい。
この場合、残りの2つは、それぞれ、式(I)で表される基以外の他の置換基を有していてもよいアリール基であるか、または相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成していることが好ましい。
残りの2つがそれぞれ置換基を有していてもよいアリール基である場合、該アリール基は、無置換のアリール基であることが好ましく、フェニル基またはナフチル基であることがより好ましく、フェニル基であることが最も好ましい。
R53において、当該フッ素化アルキル基としては、下記に挙げる無置換のアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換された基であってもよく、下記に挙げる無置換のアルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換された基(パーフルオロアルキル基)であってもよい。
当該無置換のアルキル基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のどちらであってもよい。
当該無置換の直鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜8がより好ましい。具体的には、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基等が挙げられる。
当該無置換の分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数3〜10が好ましく、炭素数3〜8がより好ましく、特に、第3級アルキル基であることが好ましい。
R53において、当該フッ素化アルキル基としては、上に挙げた無置換のアルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換された直鎖状のパーフルオロアルキル基がより好ましく、さらに具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、およびノナフルオロ−n−ブチル基が特に好ましいものとして挙げられる。
R54における当該アルキル基としては、前記R53の説明で挙げた無置換のアルキル基と同じものが挙げられる。また、R54における当該フッ素化アルキル基としては、前記R53の説明で挙げたフッ素化アルキル基と同じものが挙げられる。
R54としては、水素原子であることが最も好ましい。
前記一般式(I)中、hは1または2を表し、1が好ましい。
前記一般式(I)中、hが2である場合には、二つのR54はそれぞれ独立に、前記R54の説明で挙げたもののいずれかの基であることが好ましい。
式(b1−11)中、X−のアニオンは特に限定されず、スルホネートアニオン、イミドアニオン、メチドアニオン等のアニオンが挙げられる。
スルホネートアニオンとして好ましいアニオンとしては、たとえば、下記一般式(x−1)で表されるアニオンが挙げられる。
該直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
該環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。該環は単環でも多環でもよく、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基等が挙げられる。
R4”がアルキル基の場合は、弱い酸強度となるが例えばネガレジスト組成物に好適に使用することができる。
R4”におけるハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
該ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるので好ましい。
前記R4”におけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R4”におけるアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
R4”における置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、式:Z−Q1−[式中、Q1は酸素原子を含む2価の連結基であり、Zは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、R4”において挙げたハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子として挙げたもの同様のものが挙げられる。
前記アルキル基としては、R4”におけるアルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子(=O、−O−)、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
Q1は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合;−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。
該組み合わせとしては、たとえば、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−O−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R93−(式中、R91〜R93はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
R91〜R93におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH2−];−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CH2CH2−];−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CH2CH2CH2−];−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CH2CH2CH2CH2−];−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CH2CH2CH2CH2CH2−]等が挙げられる。
Q1としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−O−、−R91−O−、−O−C(=O)−、−O−R92−O−C(=O)−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−、または−C(=O)−O−R93−が好ましく、特に、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−、または−C(=O)−O−R93−が好ましい。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
Zにおいて、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
Zにおける「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として、具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として、具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば下記式(L1)〜(L5)、(S1)〜(S4)等が挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基、ハロゲン原子はそれぞれ前記水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L5)、(S3)〜(S4)等が好ましい。
すなわち、X−がスルホネートアニオンである場合は、下記一般式(x−11)で表されるアニオンであることが好ましい。
Y1のアルキレン基としては、前記Q1で挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
フッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
Y1として、具体的には、−CF2−、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2−、−CF(CF2CF3)−、−C(CF3)2−、−CF2CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2CF2−、−CF2CF(CF3)CF2−、−CF(CF3)CF(CF3)−、−C(CF3)2CF2−、−CF(CF2CF3)CF2−、−CF(CF2CF2CF3)−、−C(CF3)(CF2CF3)−;−CHF−、−CH2CF2−、−CH2CH2CF2−、−CH2CF2CF2−、−CH(CF3)CH2−、−CH(CF2CF3)−、−C(CH3)(CF3)−、−CH2CH2CH2CF2−、−CH2CH2CF2CF2−、−CH(CF3)CH2CH2−、−CH2CH(CF3)CH2−、−CH(CF3)CH(CF3)−、−C(CF3)2CH2−;−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−CH(CH2CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH3)−等が挙げられる。
これらの中でも、−CF2−、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、又はCH2CF2CF2−が好ましく、−CF2−、−CF2CF2−又は−CF2CF2CF2−がより好ましく、−CF2−が特に好ましい。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
R7に付された符号(r1、w1〜w5)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のR7はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
X”のアルキレン基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
X”のアルキレン基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン化アルキル基を表す。
前記Y”、Z”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、上記R4”におけるアルキル基と同様のものが挙げられる。
前記Y”、Z”におけるハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられ、上記R4”におけるアルキル基と同様のものが挙げられる。該ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるので好ましい。
前記Y”、Z”において、「置換基を有していてもよい」とは、前記アルキル基、ハロゲン化アルキル基、における水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の他の原子または基)で置換されていても良いことを意味する。Y”、Z”における置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、式:Z−Q1−[式中、Q1は酸素原子を含む2価の連結基であり、Zは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。]
前記ハロゲン原子としては、R4”において挙げたハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子として挙げたもの同様のものが挙げられる。
前記アルキル基としては、R4”におけるアルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、R4”におけるアルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
Z−Q1−で表される基において、Q1は酸素原子を含む2価の連結基である。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合;−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。
該組み合わせとしては、たとえば、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−(式中、R91〜R92はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
R91〜R92におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。具体的には、上記R4”における R91〜R92のアルキレン基と同様である。
Q1としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましい。
前記Z−Q1−で表される基において、Zの炭化水素基は、上記R4”における R91〜R92のアルキレン基と同様である。好ましくは、脂肪族炭化水素基であり、直鎖状または環状の脂肪族炭化水素基であるとより好ましい。
式(b−4)が置換基としてZ−Q1−を有する場合のアニオンとして、好ましいものとしては、下記式(b4−1)〜(b4―11)で表されるアニオンが挙げられる。
t1〜t5は、それぞれ独立に1〜4の整数であり、1又は2が好ましく、2が最も好ましい。
m1〜m5は、それぞれ独立に0又は1であり、0が好ましい。
w1〜w4は、それぞれ独立に0〜3の整数であり、0又は1が好ましく、0が最も好ましい。
R21〜R24の置換基としては、上記Zにおいて、脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R21〜R24に付された符号(w1〜w4)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のR21〜R24はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
なお、前記Y”、Z”において、一方がアルキル基、もう一方がフッ素化アルキル基の場合は、アルキル基に結合した−SO2−が−C(=O)−に置換されていてもよい。該アルキル基として、上述のR4”と同様のものが挙げられるが、好ましい具体例としては、環状アルキル基を有するもの;例えばメチルアダマンチル基、アダマンチル基等が挙げられる。
また、X−がメチドアニオンである場合は下記一般式(b−c1)で表されるアニオンが挙げられる。
式(b−c1)中、R1は、少なくとも1の水素原子がフッ素置換されている炭素数1〜10のアルキル基である。当該アルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。本発明におけるR1としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
式(b−c1)において、R2が置換基を有していてもよい炭化水素基の場合(なお、「置換基を有していてもよい炭化水素基」とは、当該炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部が置換基で置換されていてもよいことを意味する)R2の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。具体的には、上記式:Z−Q1−におけるZと同様である。
R2として好ましくは、ハロゲン化アリール基であり、炭素数6〜10のアリール基、たとえばフェニル基、ナフチル基等のアリール基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)で置換された基が挙げられる。
また、X−がハロゲンアニオンである場合は、X−として、フッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオンが挙げられる。
当該置換基を有していてもよいフッ素化アルキル基としては、R4”におけるアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換されたものが挙げられる。ただし、炭素数6以上のアルキル基またはフッ素化アルキル基は難分解性であるので、生体蓄積性を考慮した取り扱いの安全の観点から、炭素数4以下のもの、たとえばノナフルオロブタンスルホン酸イオン等が特に好ましい。
(B)成分中、(B1)成分の割合は、1〜100質量%が好ましく、20〜100質量%がより好ましく、50〜100質量%がさらに好ましい。
(B2)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤として、例えば下記一般式(b−1)または(b−2)で表される化合物を用いることができる。
また、R1”〜R3”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R1”〜R3”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R1”〜R3”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
R1”〜R3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、エーテル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基、エーテル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基としては、それぞれ、前記R7”〜R9”におけるアリール基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基、エーテル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
R1”〜R3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R1”〜R3”は、それぞれ、フェニル基またはナフチル基であることが最も好ましい。
式(b−1)におけるR1”〜R3”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、残りの1つは、アリール基であることが好ましい。前記アリール基は、前記R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR4”としては上記式(b−1)のR4”と同様のものが挙げられる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部がメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
R41〜R46に付された符号n1〜n6が2以上の整数である場合、複数のR41〜R46はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
n1は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
n2およびn3は、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
n4は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
n5は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
n6は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
R31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
R34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は好ましくは2である。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、WO2004/074242A2(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
(B2)成分としては、上記の中でも、前記R4”が置換基を有していてもよいフッ素化アルキル基であるアニオン、すなわち置換基を有していてもよいフッ素化アルキルスルホン酸イオンを有するオニウム塩系酸発生剤が好ましい。特に、前記一般式(x−11)におけるY1が置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基であるものが好ましい。
(B)成分として(B2)成分を含有する場合、(B)成分中の(B2)成分の割合は、10〜90質量%が好ましく、50〜75質量%がより好ましい。
(B)成分中、(B1)成分と(B2)成分の配合量の比(モル比)は、(B1)成分:(B2)成分=9:1〜1:9が好ましく、4:1〜1:4がより好ましく、1:1 〜1:3がさらに好ましい。
(C)成分としては、特に限定されず、これまでに知られている化学増幅型のネガ型レジスト組成物に用いられている架橋剤の中から任意に選択して用いることができる。
具体的には、例えば2,3−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルノルボルナン、2−ヒドロキシ−5,6−ビス(ヒドロキシメチル)ノルボルナン、シクロヘキサンジメタノール、3,4,8(又は9)−トリヒドロキシトリシクロデカン、2−メチル−2−アダマンタノール、1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサンなどのヒドロキシル基又はヒドロキシアルキル基あるいはその両方を有する脂肪族環状炭化水素又はその含酸素誘導体が挙げられる。
これらのうち、メラミンを用いたものをメラミン系架橋剤、尿素を用いたものを尿素系架橋剤、エチレン尿素、プロピレン尿素等のアルキレン尿素を用いたものをアルキレン尿素系架橋剤、グリコールウリルを用いたものをグリコールウリル系架橋剤、エポキシ基を有する化合物を用いたものをエポキシ系架橋剤という。
(C)成分としては、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤、アルキレン尿素系架橋剤、グリコールウリル系架橋剤、およびエポキシ系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、特にグリコールウリル系架橋剤が好ましい。
R3’とR4’が低級アルコキシ基であるとき、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基であり、直鎖状でもよく分岐状でもよい。R3’とR4’は同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。同じであることがより好ましい。
vは、0又は1〜2の整数であり、好ましくは0又は1である。
アルキレン尿素系架橋剤としては、特に、vが0である化合物(エチレン尿素系架橋剤)および/またはvが1である化合物(プロピレン尿素系架橋剤)が好ましい。
グリコールウリル系架橋剤の具体例としては、例えばモノ,ジ,トリ及び/又はテトラヒドロキシメチル化グリコールウリル;モノ,ジ,トリ及び/又はテトラメトキシメチル化グリコールウリル;モノ,ジ,トリ及び/又はテトラエトキシメチル化グリコールウリル;モノ,ジ,トリ及び/又はテトラプロポキシメチル化グリコールウリル;モノ,ジ,トリ及び/又はテトラブトキシメチル化グリコールウリルなどが挙げられる。
エポキシ基の数は、2つ以上であることが好ましく、より好ましくは2〜4つであり、最も好ましくは2つである。
エポキシ系架橋剤として好適なものを以下に示す。
(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましく、3〜30質量部がより好ましく、3〜15質量部がさらに好ましく、5〜10質量部が最も好ましい。(C)成分の含有量が下限値以上であると、架橋形成が充分に進行し、膨潤の少ない良好なレジストパターンが得られる。また、この上限値以下であると、レジスト塗布液の保存安定性が良好であり、感度の経時的劣化が抑制される。
本発明のレジスト組成物において、含フッ素化合物成分(F)((F)成分)は、特に限定されず、構成単位の繰返しからなる高分子量の高分子化合物(重合体、共重合体)であってもよく、低分子量の低分子化合物(非重合体)であってもよい。
本発明のレジスト組成物においては、当該(F)成分を含有することによってレジスト膜表面の疎水性が高まり、液浸露光用としても好適なレジスト組成物が得られる。
また、(F)成分は、たとえば低分子化合物(非重合体)として、前記高分子化合物(重合体、共重合体)を構成するフッ素原子を含む構成単位を誘導するモノマーが挙げられる。
これらのなかでも、(F)成分としては、高分子化合物(重合体、共重合体)であることが好ましい。
フッ素原子を含む構成単位(以下「構成単位(f1)」という。)は、フッ素原子を含むものであれば特に制限されず、たとえば、フッ素原子が側鎖に含まれているものでもよく、フッ素原子が主鎖に直接結合しているものでもよく、主鎖に結合している置換基にフッ素原子が含まれているものでもよい。
なかでも、構成単位(f1)としては、フッ素原子が側鎖に含まれているものが好ましく、具体的には、下記一般式(f1−1−0)で表される基を含む構成単位、フッ素原子を含有する酸解離性溶解抑制基含有基を含む構成単位、非酸解離性の炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を含む構成単位が挙げられる。
前記式(f1−1−0)中、R2は、フッ素原子を有する有機基である。
「有機基」とは、少なくとも1つの炭素原子を含む基をいう。
R2のフッ素原子を有する有機基において、R2の構造は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。
R2において、有機基の炭素数は1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10が特に好ましく、炭素数1〜5が最も好ましい。
R2において、有機基は、レジスト膜の疎水性が高まることから、フッ素化率が25%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることが特に好ましい。
「フッ素化率」とは、当該有機基における(水素原子とフッ素原子との合計数)に対する(フッ素原子数)の割合(%)をいう。
当該フッ素化炭化水素基において、炭化水素基(フッ素化されていないもの)は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよく、なかでも脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を有さない炭化水素基である。脂肪族炭化水素基は、飽和又は不飽和のいずれでもよく、通常は飽和であることが好ましい。
すなわち、R2としては、フッ素化飽和炭化水素基又はフッ素化不飽和炭化水素基であることが好ましく、フッ素化飽和炭化水素基、すなわちフッ素化アルキル基であることが特に好ましい。
フッ素化アルキル基としては、下記に挙げる無置換のアルキル基(後述の置換基を有さないもの)の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
フッ素化アルキル基は、無置換のアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換された基であってもよく、無置換のアルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換された基(パーフルオロアルキル基)であってもよい。
無置換の直鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜8がより好ましい。具体的には、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基等が挙げられる。
無置換の分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数3〜10が好ましく、炭素数3〜8がより好ましい。分岐鎖状のアルキル基としては、第3級アルキル基が好ましい。
無置換の環状のアルキル基としては、例えば、モノシクロアルカン、またはビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が挙げられる。具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のモノシクロアルキル基;アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基等のポリシクロアルキル基などが挙げられる。
無置換の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と、環状アルキル基との組み合わせとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基に置換基として環状のアルキル基が結合した基、環状のアルキル基に置換基として直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が結合した基等が挙げられる。
R41’としては、特に、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましい。
R42’としては、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。なかでも、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が好ましい。
式(VII−2)中、R81〜R83のアルキル基としては、それぞれエチル基またはメチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。R81〜R83のアルキル基のうち、いずれか1つがフッ素化アルキル基であればよく、全てがフッ素化アルキル基であってもよい。
すなわち、「−O−R2」は、アルカリ現像液の作用により加水分解が生じ、前記一般式(f1−1−0)で表される基から解離する。そのため、前記一般式(f1−1−0)で表される基においては、「−O−R2」が解離すると同時に親水基[−C(=O)−OH]が形成される。そして、(F)成分の親水性が高まり、アルカリ現像液に対する親和性が向上する。これにより、現像の際にレジスト膜表面の親水性が高くなる。
構成単位(f1−1)は、前記一般式(f1−1−1)で表される構成単位である。
前記式(f1−1−1)中、Rは、水素原子、炭素原子数1〜5の低級アルキル基、又は炭素原子数1〜5のハロゲン化低級アルキル基である。
Rの低級アルキル基又はハロゲン化低級アルキル基は、上記アクリル酸エステルのα位に結合していてよい低級アルキル基又はハロゲン化低級アルキル基と同様である。
Q0における二価の連結基は、たとえば、置換基を有していてもよい炭化水素基、ヘテロ原子を含む基等が好適なものとして挙げられる。
Q0における二価の連結基において、炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が、水素原子以外の基または原子で置換されていることを意味する。
Q0における炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
ここでいう脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。かかる脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基[−(CH2)2−]、トリメチレン基[−(CH2)3−]、テトラメチレン基[−(CH2)4−]、ペンタメチレン基[−(CH2)5−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
鎖状(直鎖状、分岐鎖状)の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。
単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
当該2価の芳香族炭化水素基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された芳香族炭化水素基;
ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等でかつその芳香族炭化水素の核から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基等が挙げられる。
なかでも、前記2価の芳香族炭化水素基が好ましく、フェニル基から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基、ナフチル基から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基が特に好ましい。
前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
ヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外の原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む基としては、たとえば、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−NH−、−NR05(R05はアルキル基)−、−NH−C(=O)−、=N−、または「これらの基」と2価の炭化水素基との組み合わせ等が挙げられる。
2価の炭化水素基としては、上述した置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられ、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
なかでも、ヘテロ原子を含む基としては、前記「これらの基」と2価の炭化水素基との組み合わせがより好ましく、具体的には、前記「これらの基」と上記脂肪族炭化水素基との組み合わせ、上記脂肪族炭化水素基と前記「これらの基」と上記脂肪族炭化水素基との組み合わせが特に好ましい。
式(f1−1−10)または(f1−1−20)において、R2としては、フッ素化炭化水素基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基がさらに好ましく、−CH2−CF3、−CH2−CF2−CF3、−CH(CF3)2、−CH2−CF2−CF2−CF3、−CH2−CH2−CF2−CF2−CF3、−CH2−CH2−CF2−CF2−CF2−CF3が特に好ましい。
また、ハロゲン化低級アルキル基として、具体的には、上記「低級アルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
本発明において、Rとしては、水素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基がより好ましい。
Xとしては、置換基を有していてもよい炭化水素基、ヘテロ原子を含む基等が好適なものとして挙げられ、それぞれ、上記Q0の二価の連結基についての説明における置換基を有していてもよい炭化水素基、ヘテロ原子を含む基と同様のものが挙げられる。
Aarylにおける芳香族環式基の環骨格としては、炭素数が6〜15であることが好ましく、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環等が挙げられる。これらの中でも、ベンゼン環又はナフタレン環が特に好ましい。
Aarylにおいて、芳香族環式基が有してもよい置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。Aarylの芳香族環式基が有してもよい置換基としては、フッ素原子であることが好ましい。
Aarylの芳香族環式基としては、置換基を有さないものであってもよく、置換基を有するものでもよく、置換基を有さないものであることが好ましい。
Aarylにおいて、芳香族環式基が置換基を有するものである場合、置換基の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよく、1つ又は2つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。
二価の連結基としては、炭素数1〜10のアルキレン基、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−NH−C(=O)−、又はこれらの組み合わせなどが挙げられ、−O−と炭素数1〜10のアルキレン基との組み合わせ、−C(=O)−O−と炭素数1〜10のアルキレン基との組み合わせがより好ましい。
炭素数1〜10のアルキレン基としては、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキレン基が挙げられ、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基、炭素数4〜10の環状のアルキレン基が好ましい。
また、前記一般式(f1−1−20)で表される構成単位の中で好適なものとして、下記一般式(f1−1−21)〜(f1−1−26)で表される構成単位が挙げられる。
式(f1−1−12)中、a2、a3は、それぞれ独立して、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
b1は、0であることが好ましい。
a5は、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
R5の置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、低級アルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。低級アルキル基としては、前記Rで挙げた低級アルキル基と同様のものが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。ハロゲン化低級アルキル基としては、前記Rで挙げたハロゲン化低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
e1は、0または1であることが好ましく、特に工業上、0であることが好ましい。
b2は、0であることが好ましい。
式(f1−1−14)中、a6は、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0または1が最も好ましい。
a7は、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
b3は、0であることが好ましい。
R5およびe1は、それぞれ前記と同様である。
R51〜R52は、それぞれ独立して直鎖、分岐鎖状または環状の炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、n―プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tertーブチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基等が挙げられ、これらの中でも炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜4が特に好ましく、メチル基またはエチル基が最も好ましい。
R53〜R54は、それぞれ独立して水素原子または直鎖、分岐または環状の炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。R53〜R54における直鎖、分岐または環状の炭素数1〜10のアルキル基としては、前記R51〜R52と同様である。
式(f1−1−16)中、A1は、炭素数4〜20の環状アルキレン基であり、炭素数5〜15の環状のアルキレン基が好ましく、炭素数6〜12の環状のアルキレン基がより好ましい。具体例としては、上述した置換基を有していていもよい炭化水素基における「環状の脂肪族炭化水素基」に例示したものが挙げられ、かかる環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
a9は、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
b4は、0であることが好ましい。
R5およびe1は、それぞれ前記と同様である。
式(f1−1−22)中、a10は、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0または1が最も好ましい。
a11は、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
b5は、0であることが好ましい。
R5およびe1は、それぞれ前記と同様である。
式(f1−1−23)中、a12は、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
R5およびe1は、それぞれ前記と同様である。
式(f1−1−24)中、a13は、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
R5およびe1は、それぞれ前記と同様である。
R51〜R52、およびR53〜R54は、それぞれ前記と同様である。
R5およびe1は、それぞれ前記と同様である。
(F)成分中の構成単位(f1)の割合は、(F)成分を構成する全構成単位の合計に対して、30〜95モル%が好ましく、40〜90モル%がより好ましく、50〜85モル%がさらに好ましい。
構成単位(f1)の割合が前記範囲の下限値以上であることにより、レジストパターンの形成において、レジスト膜の疎水性がより高くなる特性がより向上する。上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスが良好となる。
(F)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、構成単位(f1)以外の構成単位(以下「構成単位(f2)」という。)を有していてもよい。
構成単位(f2)としては、構成単位(f1)を誘導する化合物と共重合可能な化合物から誘導される構成単位であればよく、特に限定されない。
かかる構成単位(f2)としては、これまで化学増幅型レジスト用のベース樹脂の構成単位として提案されているものが挙げられ、たとえば、上述した(A1−1)成分における構成単位(a1)〜(a4)が挙げられる。なかでも、ポジ型レジス組成物に用いる場合は、構成単位(a1)が好適なものとして挙げられる。
(F)成分中の構成単位(a1)の割合は、(F)成分を構成する全構成単位の合計に対して、1〜40モル%が好ましく、5〜30モル%がより好ましい。
構成単位(a1)の割合が前記範囲とすることにより、撥水性および他の構成単位とのバランスが良好となる。
かかる含フッ素樹脂(F1−1)としては、構成単位(f1)および構成単位(f2)を有する共重合体が挙げられ、具体的には、構成単位(f1)と構成単位(a1)とを有する共重合体が好適なものとして挙げられる。
そのなかでも、含フッ素樹脂(F1−1)としては、構成単位(f1−1)と構成単位(a1)とからなる共重合体が特に好ましい。
本発明のレジスト組成物において、ポジ型レジスト組成物に用いる含フッ素樹脂(F1−1)としては、特に下記の様な構成単位の組み合わせを含むものが好ましい。
(F)成分の分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
1〜20質量部がより好ましく、1〜10質量部が特に好ましい。上記範囲の下限値以上とすることで、当該レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の疎水性が向上し、液浸露光用としても好適な疎水性を有するレジスト膜が形成される。上限値以下であると、レジスト溶剤(有機溶剤)への溶解性がより向上する。また、リソグラフィー特性が向上する。
本発明のレジスト組成物は、任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を含有してもよい。
(D)成分としては、酸拡散制御剤、すなわち露光により前記(B)成分から発生する酸をトラップするクエンチャーとして作用するものであれば特に限定されず、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良く、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜20であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、たとえば、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数20以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、トリアルキルアミンおよび/またはアルキルアルコールアミンが好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、アニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミンなどが挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチルアミン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸およびその誘導体としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分としては、有機カルボン酸が好ましく、特にサリチル酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
本発明のレジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S)成分ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることが出来るものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;
エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];
ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;
アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ELが好ましい。
また、PGMEAまたはPGMEと極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAまたはPGMEと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1であり、より好ましくは2:8〜8:2の範囲である。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
また更に、PGMEとジメチルスルホキシドとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは9:1〜1:9であり、より好ましくは8:2〜2:8であり、最も好ましくは7:3〜5:5である。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、支持体に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が2〜20質量%、好ましくは3〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
また、本発明のレジスト組成物によれば、露光後の(B1)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が高いことから、(B1)成分が再析出するリスクが低くディフェクトの少ないレジストパターンを形成できる。
係る効果が得られる理由としては、(B1)成分のカチオン部の有する前記一般式(I)で表される置換基が、レジスト膜露光後の現像工程で使用するテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)などのアルカリ現像液によって分解して、カルボキシル基が現れて、従来の酸発生剤のカチオン部に比べてアルカリ可溶性が高くなり、現像工程において除かれるべきレジスト成分がより効率的にアルカリ現像液に溶解して排除されるため、現像後再析出・溶け残り・再付着系のディフェクトを低減できるのだと考えられる。
また、現像液への溶解性が高い化合物は、通常、水への溶解性も比較的高くなるが、本発明に係る化合物は、現像液によって分解する前は水への溶解性が低いため、水に対して溶出しにくい。
これらの特性から、本発明に係る化合物は、液浸レジスト組成物に用いる酸発生剤としても有用である。特に、(B1)成分のカチオン部の前記一般式(I)のR53またはR54がフッ素化アルキル基で表される置換基であると、撥水性が高まり、また、表面自由エネルギーの小さいフッ素化アルキル基が導入されていることにより、当該レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成した際、該レジスト膜の表層付近に(B1)成分が偏在化することが考えられる(すなわち撥水性の高いフッ素化アルキル基を有する(B1)成分がレジスト膜表層に偏在する)ので、より効果的である。
物質溶出を抑制できることから、本発明のレジスト組成物を用いることにより、液浸露光において、レジスト膜の変質や、液浸溶媒の屈折率の変化を抑制することができる。液浸溶媒の屈折率の変動が抑制されること等により、形状等が良好なレジストパターンを形成することができる。また、露光装置のレンズの汚染を低減でき、そのため、これらに対する保護対策を行わなくてもよく、プロセスや露光装置の簡便化に貢献することができる。
本発明の第二の態様である、レジストパターン形成方法は、支持体上に、上記本発明の第一の態様のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
本発明のレジストパターンの形成方法の好ましい一例を、レジスト膜の露光を液浸露光により行う場合を例に挙げて下記に示す。ただし本発明はこれに限定されず、該露光を、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)により行ってもよい。
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。また、支持体として、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものを用いてもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と、下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)とに分けられる。
レジスト膜の形成後、レジスト膜上にさらに有機系の反射防止膜を設けて、支持体と、レジスト膜と、反射防止膜とからなる3層積層体とすることもできる。レジスト膜上に設ける反射防止膜はアルカリ現像液に可溶であるものが好ましい。
ここまでの工程は、周知の手法を用いて行うことができる。操作条件等は、使用するレジスト組成物の組成や特性に応じて適宜設定することが好ましい。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2レーザーなどの放射線を用いて行うことができる。本発明にかかるレジスト組成物は、KrFまたはArFエキシマレーザー、特にArFエキシマレーザーに対して有効である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ上記本発明のレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、C3HCl2F5、C4F9OCH3、C4F9OC2H5、C5H3F7等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル化合物が好ましい。パーフルオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
本発明のレジスト組成物は、特に水による悪影響を受けにくく、感度、レジストパターン形状等のリソグラフィー特性にも優れることから、本発明においては、液浸媒体として、水が好ましく用いられる。また、水は、コスト、安全性、環境問題および汎用性の観点からも好ましい。
続いて、アルカリ性水溶液からなるアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて現像処理する。
現像後、好ましくは純水を用いて水リンスを行う。水リンスは、例えば、支持体を回転させながら、該支持体表面に水を滴下または噴霧して、支持体上の現像液および該現像液によって溶解したレジスト組成物を洗い流すことにより実施できる。
次いで乾燥を行うことにより、レジスト膜(レジスト組成物の塗膜)がマスクパターンに応じた形状にパターニングされたレジストパターンが得られる。
本発明の第三の態様の化合物は、前記一般式(b1−11)で表される化合物(以下、化合物(b1−11)という。)である。
化合物(b1−11)は、前記本発明の第一の態様のレジスト組成物における(B1)成分と同じものである。
化合物(b1−11)は、従来知られていない新規なものである。また、該化合物(b1−11)は、レジスト組成物の酸発生剤として有用である。
具体例を挙げると、たとえば、R7”が前記式(I)で表される基を1つ有するアリール基である場合、当該化合物(以下、化合物(b1−11−a)という。)は、以下のようにして製造できる。
まず、有機酸H+B−(B−は、例えば、メタンスルホン酸イオン等の、有機酸のアニオン部を表わす。)の溶液中に、式(b1−01)で表される化合物および式(b1−02)で表される化合物を加えて反応させた後、純水および有機溶剤(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等)を加えて、有機層を回収し、この有機層中から式(b1−03)で表される化合物を回収する。
次に、一般式(b1−03)で表される化合物を、有機溶剤(例えば、アセトン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等)に加えて冷却し、そこへ下記一般式(b1−04−1)で表される化合物を加えて反応させ、分液および水洗した後、有機層中から下記一般式(b1−05)で表される化合物を得る。
次に、式(b1−05)で表される化合物に純水を添加し、加水分解を行うことにより−ORxを解離(脱保護)させ、下記一般式(b1−06)で表される化合物を得る。加水分解は、たとえば酸(塩酸、硫酸、p-トルエンスルホン酸等)または塩基を加えて加熱する等により実施できる。
次に、式(b1−06)で表される化合物を、有機溶剤(例えば、アセトン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等)に加えて冷却し、そこへ下記一般式(b1−07)で表される化合物を加えて反応させ、分液および水洗した後、有機層中から下記一般式(b1−08)で表される化合物を得る。
次に、式(b1−08)で表される化合物を有機溶剤(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等)および水の混合溶媒に溶解させ、そこへ所望のアニオンX−のアルカリ金属塩L+X−(L+は、例えば、リチウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属カチオンを表わす。)を加えて反応させ、分液および水洗した後、有機層中から化合物(b1−11−a)を回収する。
または、別の製造方法として、下記一般式(b1−03)で表される化合物を有機溶剤(例えば、アセトン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等)に加えて冷却し、そこへ下記一般式(b1−04−2)で表される化合物を加えて反応させ、分液および水洗した後、有機層中から下記一般式(b1−08)で表される化合物を得る。
次に、式(b1−08)で表される化合物を有機溶剤(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等)および水の混合溶媒に溶解させ、そこへ所望のアニオンX−のアルカリ金属塩L+X−(L+は、例えば、リチウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属カチオンを表わす。)を加えて反応させ、分液および水洗した後、有機層中から化合物(b1−11−a)を回収する。
Xhのハロゲン原子としては、臭素原子または塩素原子が好ましい。
Rxの保護基としては、加水分解により脱保護可能な有機基であれば特に限定されず、たとえば酸性条件下で加水分解を行う場合は、上述した構成単位(a1)において挙げた酸解離性溶解抑制基が利用できる。
なお、化合物(b1−09)の製造方法は上記に限定されず、たとえば上記製造方法において、式(b1−04−1)で表される化合物の代わりにXh−(CH2)f−COOH[式中、fは前記と同じである。]を用い、式(b1−03)で表される化合物の水酸基に直接−(CH2)f−COOHを導入して式(b1−06)で表される化合物を得ることもできる。
得られた化合物の構造は、1H−核磁気共鳴(NMR)スペクトル法、13C−NMRスペクトル法、19F−NMRスペクトル法、赤外線吸収(IR)スペクトル法、質量分析(MS)法、元素分析法、X線結晶回折法等の一般的な有機分析法により確認できる。
本発明の第四の態様の酸発生剤は、前記本発明の第三の態様の化合物からなるものである。
該酸発生剤は、レジスト組成物に配合して用いられる。該酸発生剤が添加されたレジスト組成物は、ドライ露光、液浸露光のいずれにも適用でき、特に液浸露光用として好適である。
該酸発生剤が配合されるレジスト組成物としては、特に限定されないが、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分、および露光により酸を発生する酸発生剤成分を含有する化学増幅型のレジスト組成物が好適である。
[合成例1]
化合物(1−1)(16.0g)(和光純薬社製)および純水(131.7g)を三口フラスコに添加し、そこへ塩酸(5.20g)を滴下した。12時間、加熱還流を行った。水層をt−ブチルメチルエーテル(TBME)(131.7g)にて洗浄し、化合物(1−2)(10.0g)を得た。
次に、該化合物(1−2)についてNMRによる分析を行った。
1H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ(ppm)=2.30(d,6H,Ha),4.53(s,2H,Hb),7.59(s,2H,Ar),7.71−7.89(m,10H,Ar)。
上記の結果から、化合物(1−2)が下記に示す構造を有することが確認できた。
化合物(1−2)(20g)に純水(45.3g)及びジクロロメタン(90.5g)を添加し、そこへノナフルオロブタンスルホン酸カリウム(16.8g)を加えて室温で15時間攪拌した。その後、分液によりジクロロメタン層を取り出し、希塩酸(45.3g)にて2回洗浄を行った後、純水(45.3g)にて4回洗浄を行った。ジクロロメタン層を濃縮、乾固することにより、白色固体として化合物(2−1)(26.4g)を得た。
次に、該化合物(2−1)についてNMRによる分析を行った。
1H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ(ppm)=2.30(d,6H,Ha),4.39(s,2H,Hb),7.32(s,2H,Ar),7.70−7.87(m,10H,Ar)。
19F−NMR(DMSO−d6,376MHz):δ(ppm)=−123.7,−119.3,−112.4,−78.6。
上記の結果から、化合物(2−1)が下記に示す構造を有することが確認できた。
窒素雰囲気下、三口フラスコに化合物(2−1)(8.54g)及びTHF(42.7g)を加え完溶させ、5℃以下に冷却した。そこへエチル−N,N−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(4.81g)を添加し、10℃以下で5分間撹拌した後、 1H,1H‐ペンタフルオロプロパノール(3.77g)を滴下した。その後5分間撹拌した後、 N,N−ジメチルアミノピリジン(0.31g)を添加し、室温まで昇温し、室温にて30時間反応を行った。反応終了後、ろ別したTHF相を濃縮し、ジクロロメタン(42.7g)を加え完溶させた。ジクロロメタン相を希塩酸洗浄を行い、さらに中性になるまで純水にて水洗を繰り返した。その後、ジクロロメタンを減圧留去し、得られた油状物質を乾燥することによって化合物(3−1)(9.80g)を得た。
次に、該化合物(3−1)についてNMRによる分析を行った。
1H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ(ppm)= 7.75−7.87(m,10H,ArH), 7.63(s,2H,ArH), 4.94(t,2H,OCH2CF2), 4.84(s,2H,OCH2), 2.37(s,6H,CH3)
19F−NMR(DMSO−d6、376MHz):δ(ppm)=−77.8,−80.4, −111.9,−118.5,−119.7,−123
上記の結果から、化合物(3−1)が下記に示す構造を有することが確認できた。
20℃以下で制御したメタンスルホン酸(60.75g)に、酸化リン(8.53g)と、2,6−ジメチルフェノール(8.81g)と、ジフェニルスルホキシド(12.2g)とを少量ずつ添加した。温度を15〜20℃で制御しながら30分熟成した後、40℃まで昇温し、2時間熟成した。その後、15℃以下に冷却した純水(109.35g)に、反応液を滴下した。滴下終了後、ジクロロメタン(54.68g)を加え、撹拌後、ジクロロメタン層を回収した。別容器に、20〜25℃のヘキサン(386.86g)を仕込み、ジクロロメタン層を滴下した。滴下終了後、20〜25℃で30分間熟成した後、ろ過することによって化合物(4−1)を得た(収率70.9%)。
窒素雰囲気下、三口フラスコに化合物(4−1)(4.03g)及びジクロロメタン(80.4g)を加え完溶させた。そこへ炭酸カリウム(6.91g)を添加し、室温にて10分間撹拌した後、ブロモ酢酸メチル(1.84g)のジクロロメタン(5.5g)溶液を滴下し、還流下にて19時間反応を行った。反応終了後、炭酸カリウムをろ過により除去し、有機相を水洗後、ジクロロメタンを減圧留去した。得られた粗生成物を純水(30g)にて再溶解し、t-ブチルメチルエーテル(30.3g)にて洗浄した。その後、ノナフルオロブタンスルホン酸カリウム(2.71g)及びジクロロメタン(34g)を加え室温にて1時間撹拌した。反応終了後、希塩酸洗浄、水洗を行い、ジクロロメタンを減圧留去し、得られた油状物質を乾燥することによって化合物(5−1)を3.08g得た。
次に、該化合物(5−1)についてNMRによる分析を行った。
1H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ(ppm)=7.72−7.84 (m, 10H, ArH), 7.59 (s, 2H, ArH), 4.64 (s, 2H, CH2), 3.70 (s, OCH3),2.29 (s, 6H, CH3).
19F−NMR(DMSO−d6、376MHz):δ(ppm)= −77.3, −111.5, −118.1, −122.4.
上記の結果から、化合物(5−1)が下記に示す構造を有することが確認できた。
下記表1に示す各成分を混合、溶解して評価用のレジスト組成物を調製した。
なお、表1中、各略号はそれぞれ以下のものを示し、[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(B)−1:前記化合物(3−1)。
(B)−2:前記化合物(5−1)。
(B)−3:前記化合物(2−1)。
(B)−4:トリフェニルスルホニウムノナフルオローn−ブタンスルホネート。
(S)−1:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
8インチのシリコンウェーハ上に、表1に示した評価用のレジスト組成物をそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で100℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚120nmのレジスト膜を形成した。
当該レジスト膜に対して、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液をLD−nozzleから滴下して、23℃にて、60秒間の現像処理を行い、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。その後、さらに、100℃で60秒間加熱して乾燥させた。
次に、KLAテンコール社のウエハ表面検査装置(SP2)を用いて、前記レジスト膜表面を観察し、ディフェクト数を測定した。また、ウェーハの中心部にドーナツ状にディフェクトが発生しているかどうかを確認した。その結果を表2に示す。
なお、ドーナツ状のディフェクトは、再析出のリスクが高い酸発生剤ほど発生しやすい(上記現像後のリンス工程において、ノズルからの水はウェーハの中心部に注がれるので、中心部の現像液濃度が急激かつ極端に低くなり、現像液溶解性の低い酸発生剤ほど再析出のリスクが高まる。結果、ウェーハ中心部の欠陥数が多くなるため、ウェーハを観測した際、ドーナツのように見える)。
8インチのシリコンウェーハ上に、表1に示した評価用のレジスト組成物をそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で90℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚120nmのレジスト膜を形成した。
次に、当該レジスト膜に対して、VRC310S(商品名、エス・イー・エス株式会社製)を用いて純水1滴(150μl)を室温下で、ウェーハの中心から円を描くように等線速で液滴を移動させた(液滴が接触したレジスト膜の総接触面積221.56cm2)。
その後、前記滴下した純水を回収し、該純水中に溶出した(B)成分のカチオンとアニオンの量(10−12mol/cm2・sec)を、分析装置Agilent−HP1100 LC−MSD(商品名、Agilent Technologies社製)を用いて測定した。その結果を表2に示す。
下記表3に示す各成分を混合、溶解してネガ型のレジスト組成物を調製した。
(C)−1:テトラエトキシメチル化グリコールウリル
(D)−1:トリイソプロパノールアミン
上記で得られたネガ型レジスト組成物である実施例3〜4、および比較例3〜4について、以下のレジストパターン形成方法によりレジストパターンをそれぞれ形成した。
[ネガ型レジストパターン形成方法]
有機系反射防止膜組成物「AR−46」(商品名、ローム・アンド・ハース社製)を、スピンナーを用いてシリコンウェーハ上に均一に塗布し、ホットプレート上で215℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚31nmの有機系反射防止膜を形成した。
該有機系反射防止膜上に、各例のネガ型レジスト組成物を、スピンナーを用いて均一にそれぞれ塗布し、ホットプレート上で、90℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行うことにより、膜厚160nmのレジスト膜を形成した。
次いで、該レジスト膜に対して、ArF露光装置NSR−S302A(製品名、Nikon社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターン(6%ハーフトーン)を介して選択的に露光した。
そして、110℃で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(商品名:NMD−3、東京応化工業社製)で60秒間アルカリ現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。その後、さらに、100℃で60秒間加熱して乾燥させた。
このとき、実施例3〜4および比較例3〜4において、ライン幅120nm、ピッチ240nmのL/Sパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm2;感度)を求めた。その結果を表4に示す。
また、上記Eopにて形成されたライン幅120nm、ピッチ240nmのLSパターンの断面形状を、測長SEM(走査型電子顕微鏡、商品名:S−9220、日立製作所製)を用いて観察し、その矩形性を下記判定基準にて評価した。その結果を表4に示す。
(判定基準)
○:パターンの裾引きがなかった。
×:パターンの裾引きが見受けられ、矩形性も低かった。
よって、アルカリ現像液への溶解性が高いのに対し水への溶解性が低いことから、液浸用レジスト組成物に用いる酸発生剤にも適していると言える。
なお、一般に、ネガ型レジスト組成物の場合、未露光部(酸発生剤が反応しない部分)が溶解しないといけないため、再析出リスクが高いと考えられる。一方、ポジ型レジスト組成物は、露光部が溶解しないといけないが、露光により酸発生剤は酸を発生し分解しているので再析出のリスクは低い。
下記表5に示す各成分を混合することにより、ポジ型レジスト組成物を調整した。
(A)−2:下記参考例(A)−2で合成された高分子化合物(A)−2。
(B)−5:下記式で表される酸発生剤(B)−5。
(B)−6:下記式で表される酸発生剤(B)−6。
(D)−1:トリーn−ペンチルアミン。
(F)−1:下記参考例(F)−1で合成された高分子化合物(F)−1。(l/m=75/25、分子量23900、分散度1.5)。
下記[合成例6]〜[合成例8]により、共重合体(A)−2を得た。
温度計、冷却管及び撹拌装置を備えた2Lの三口フラスコに、グリコール酸37.6g(494mmol)、DMF700mL、炭酸カリウム86.5g(626mmol)、ヨウ化カリウム28.3g(170mmol)を入れ、室温で30分間撹拌した。その後、クロロ酢酸 2−メチル−2−アダマンチル100g(412mmol)のジメチルホルムアミド300mL溶液をゆっくりと加えた。40℃に昇温し、4時間撹拌した。反応終了後、ジエチルエーテル2000mLを加えてろ過し、得られた溶液を蒸留水500mLで3回洗浄した。トルエン(300mL)・ヘプタン(200mL)の混合溶液を用いて晶析を行い、目的物を無色固体として78g(収率67%、GC純度99%)得た。
[合成例7](2−(2−(2−メチル−2−アダマンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチル メタクリレート(化合物3)の合成)
温度計、冷却管及び撹拌装置を備えた2Lの三口フラスコに、2−(2−(2−メチル−2−アダマンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)−2−オキソエタノール165g(584mmol)、THF2000mL、トリエチルアミン105mL(754mmol)、p−メトキシフェノール0.165g(1000ppm)を入れ溶解させた。溶解後、氷浴下で塩化メタクリロイル62.7mL(648mmol)をゆっくりと加え、室温に昇温し、3時間撹拌した。反応終了後、ジエチルエーテル1000mLを加え、蒸留水200mLで5回洗浄した。抽出液を濃縮し、目的物(化合物3)を無色液体として198g(収率97%、GC純度99%)得た。
9.83g(57.80mmol)の[化合物1]、6.00g(24.20mmol)の[化合物2]、14.11g(40.32mmol)の[化合物3]、2.22g(9.41mmol)の[化合物4]を、48.24gのメチルエチルケトンに溶解させた。この溶液に重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)を3.3mmol加え、溶解させた。この反応液を窒素雰囲気下、6時間かけて75℃に加熱したメチルエチルケトン26.80gに滴下した。滴下終了後、反応液を1時間加熱攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。得られた反応重合液を減圧濃縮後、大量のメタノール/水混合溶液に滴下し、重合体を析出させる操作を行い、沈殿した共重合体をろ別、洗浄、乾燥して、目的物である共重合体2を20g得た。
この共重合体について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量は9,400であり、分散度は2.19であった。
また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n/o=51.4/28.7/9.4/10.4であった。
温度計、還流管を繋いだ3つ口フラスコに、15.00g(54.32mmol)の[化合物5]、5.21g(23.28mmol)の[化合物6]を114.52gのTHFを加えて溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)を4.66mmol添加し溶解させた。この反応液を、窒素雰囲気下にて80℃6時間過熱攪拌を行った後、室温まで冷却した。得られた反応重合液を減圧濃縮後、大量のn−ヘプタンに滴下し、重合体を析出させる操作を行い、沈殿した重合体をろ別、洗浄、乾燥して、目的物である(F)−1を5.6g得た。
標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)、分子量分散度(Mw/Mn)はGPC測定により求めた。またカーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/=75/25であった。
12インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚85nmの有機系反射防止膜を形成した。そして、該反射防止膜上に、上記実施例5,6、参考例5のポジ型レジスト組成物をそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で110℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚120nmのレジスト膜を形成した。次に、前記レジスト膜に対し、ArF液浸露光装置NSR−S609B(ニコン社製;NA(開口数)=1.07,Cross−pole=0.78/0.97)により、マスクパターンを介して、前記レジスト膜に対して、ArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。次いで、90℃60秒間でPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で10秒間の現像処理を行った。その結果、いずれの例においても、前記レジスト膜に、ライン幅約50nm、ピッチ110nmのL/Sパターンが形成された。このときの感度(最適露光量:Eop(mJ/cm2)は表6に示す。
また、上記Eopにて得られたパターンを、測長SEMにより観察し、スペース部の寸法を計測した。スペース部の寸法が50nmに近いほど、現像後の抜け性(現像溶解性)が良好であることを意味する。結果は表6に示す。
<5%ELマージンの評価>
さらに、得られたパターン寸法の±5%(52.5nm、47.5nm)で形成される際の露光量を求め、次式によりELマージン(単位:%)を求めた。その結果を表6に示す。
ELマージン(%)=(|E1−E2|/Eop)×100
[式中、E1は、寸法47.5nmのパターンが形成された際の露光量(mJ/cm2)を示し、E2は、寸法52.5nmのパターンを形成された際の露光量(mJ/cm2)を示す。]
なお、ELマージンは、その値が大きいほど、露光量の変動に伴うパターンサイズの変化量が小さく、プロセスの余裕度が高いことを示す。
実施例5および参考例5のレジストパターン、ならびに上記[ポジ型レジストパターン形成]と同様にして得られた実施例7のレジストパターン(Eop20mJ/cm2)および液浸用トップコート付きの条件にした他は上記[ポジ型レジストパターン形成]と同様にして得られた参考例6のレジストパターン(Eop18mJ/cm2)について、各パターンのEopよりも高露光量側へ露光量を変動させていった際のLSパターンの倒れの耐性を観測した。
その結果、実施例5および実施例7はLSパターンの倒れの耐性が、参考例5よりも良好であり、トップコート付きで評価した参考例6と同等以上のパターン倒れマージンを有していたことが確認できた。
「前記PAB処理により乾燥して得られた膜厚120nmのレジスト膜上に、保護膜形成用塗布液「TILC−057」(商品名、東京応化工業株式会社製)を、スピンナーを用いて塗布し、90℃で60秒間加熱することにより、膜厚35nmのトップコートを形成した。」
以下、置換基導入の合成例(B1−2)および種々のアニオンを展開した合成例(B1−3)〜(B1−24)を以下に示す。
窒素雰囲気下、三口フラスコに上記化合物(1−2)(5.00g)及びジクロロメタン(50.0g)を加え完溶させ、5℃以下に冷却した。そこへN,N−ジメチルアミノピリジン(0.28g)を添加し10℃以下で5分間撹拌した後、エチル−N,N−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(5.46g)をゆっくりと添加した。その後10分間撹拌した後、1H,1H−ペンタフルオロプロパノール(1.37g)をゆっくりと滴下した、滴下終了後室温まで昇温し、室温にて30時間撹拌した。反応終了後、分液したジクロロメタン相を希塩酸洗浄を行い、さらに中性になるまで純水にて水洗を繰り返した。その後、ジクロロメタンを減圧留去し、得られた粘性固体を乾燥する事によって化合物B1−2(3.72g)を得た。
化合物B1−2(1.30g)をジクロロメタン(10.1g)に完溶させた。そこへ純水(3.82g)、化合物D(1.32g)を加え室温にて1時間撹拌した。反応終了後、水洗を行い、ジクロロメタンを減圧留去し、得られた白色固体を乾燥することによって化合物B1−3(1.58g)を得た。
上記合成例(B1−3)と同様にして化合物(B1−4)〜(B1−24)を得た。各合成例に用いた化合物Dおよび、得られた化合物(B1−4)〜(B1−24)の化学式およびNMRデータを下記表7および表8に示す。
なお、塩交換する際の基質の物質量は同じである。
なお、塩交換する際の基質の物質量は同じである。
Claims (3)
- 前記一般式(b1−11)中のX−が、スルホネートアニオン、イミドアニオン、メチドアニオン、ハロゲンアニオンのいずれかのアニオンを有する請求項1記載の化合物。
- 請求項1または2記載の化合物からなる酸発生剤。
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