JP2006282633A - スルホニウム化合物および重合組成物 - Google Patents

スルホニウム化合物および重合組成物 Download PDF

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Abstract

【構成】化1(ただし、R1は水素,メトキシカルボニル基,アセチル基,ベンジルオキシカルボニル基を、R2は水素,C1〜C4のアルキル基のいずれかを、R3はC1〜C4のアルキル基,C1〜C4のアルキル基で置換されていてもよいベンジル基,α−ナフチルメチル基のいずれかを、R4はC1〜C4のアルキル基のいずれかを示す。Xは、テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート基を示す。)で表わされる新規スルホニウム化合物。
【効果】この新規化合物は、エポキシ硬化開始剤として有用に作用する。

【化1】





Description

この発明は、新規なスルホニウム化合物に関する。さらに詳しくは、光および熱硬化組成物の硬化開始剤として有用であり、特にエポキシ樹脂の重合硬化開始剤としての効果を有する新規なスルホニウム化合物、および当該スルホニウム塩を開始剤として加えた良好な物性をもった硬化物を得るためのカチオン重合性組成物、その重合のための重合開始剤、これを放射線および/または熱により重合させることを特徴とするカチオン重合性物質の重合方法に関する。
公開特許公報平成2年第1470号 公開特許公報平成4年第214704号 公開特許公報昭和54年第53181号
特許文献1によれば、この出願とカチオン部が同一あるいは類似しているエポキシ樹脂等の重合開始剤、具体的には、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート、ベンジル−4−メトキシカルボニルオキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモナートなどを開示している。また、特許文献3にはp−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアルセネート類を光硬化剤とすることが開示されている。
これらを始めとして、現在、提供されている重合開始剤のうち、オニウム ヘキサフルオロアンチモナート型の多くは臭気はないものの、特許文献2にも記載されているが、高温または高湿状態に露呈されると安定性を失い、フッ素イオンが分離し、純度が低下し、あるいは混合されたモノマーを所望する温度以下で重合を開始させることが知られている。このため、通常のオニウム ヘキサフルオロアンチモナート型化合物は、その不安定さゆえに一液性潜在性重合開始剤として使用するための特性としては不十分であると考えられている。
また、スルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート化合物の開示は、特許文献2のみによってなされており、これによれば、
その実施例7で、トリエチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート類が調製されている。また、その実施例15でエポキシ化合物であるシクロヘキセンオキシドの重合開始剤として使用できることが開示されている。しかしながら、本出願の構成である、4−置換オキシフェニルスルホニウムのテトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート塩は開示されていない。
さらに、特許文献2に記載のトリエチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナートは強い臭気のあるジエチルスルフィドを原料としているため、製造自体が困難であるばかりか、製品も特有の臭気が残存している。このため、当該化合物を重合、硬化に使用する際には、強力な臭気対策が必要となる。
また、アンチモン化合物は毒劇物取締法の劇物であり、化学物質管理法の指定物質であるとともに、重金属化合物であるので、昨今の電子機器における有害物質使用規制で制限されるなど、環境問題も考慮されなければならない。従って、臭気等の不都合がなく、安全であり、光または熱に対して高活性でかつ保存条件下で分解性のない重合開始剤が求められている。
本発明は、上記の課題を解決すべく検討された、化2で表わされる新規なスルホニウム化合物に関するものである。この化合物は、4−ヒドロキシあるいは置換オキシフェニルスルホニウムのテトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート塩を要件としており、ここに新規性が存在するものである。
また、本発明は、カチオン重合性物質と、これを放射線および/または熱により重合させることのできる化2で示されるスルホニウム化合物を含む重合性組成物、および化2のスルホニウム化合物を主成分とする重合開始剤、更には重合方法に関する。さらに本発明の目的は、放射線および/または熱でエポキシ樹脂などのカチオン重合性物質を重合することができ、かつまた、貯蔵安定性に優れ、封止剤、複合材用マトリックス樹脂などに利用されるカチオン重合性組成物を提供し、その重合の方法、重合用の開始剤を提案することにある。
(ただし、R1は水素,メトキシカルボニル基,アセチル基,ベンジルオキシカルボニル基を、R2は水素,C1〜C4のアルキル基のいずれかを、R3はC1〜C4のアルキル基,C1〜C4のアルキル基で置換されていてもよいベンジル基,α−ナフチルメチル基のいずれかを、R4はC1〜C4のアルキル基のいずれかを示す。Xは、テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート基を示す。)
本発明のスルホニウム化合物を具体的に例示すれば、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート、2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート、4−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート、4−ヒドロキシフェニルメチル−1−ナフチルメチルスルホニウム テトラキス(トリフル
オロメタンスルホナト)アルミナート、4−メトキシカルボニルオキシフェニルジメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート、ベンジル−4−メトキシカルボニルオキシフェニルメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート、4−メトキシカルボニルオキシフェニルメチル−2−メチルベンジルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート、4−メトキシカルボニルオキシフェニルメチル−4−メチルベンジルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート、4−アセトキシフェニルメチル−4−メチルベンジルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート等である。
本発明の新規スルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナートは、臭気がなく、安定であり、熱潜在性で所定の温度で短時間に硬化する性質を持ち、硬化剤としての物性も優れるなど、カチオン重合性物質の重合開始剤として有効であり、これらを含有する重合組成物は光、電子線などの放射線の照射および/または加熱処理による重合方法で重合、硬化することができる。すなわち、熱または放射線で励起されたこれらのスルホニウム塩は、活性なカチオンを放出し、前述のカチオン重合性物質の重合を進行させると考えられる。また、この化合物は、毒劇物取締法や化学物質管理法に抵触するものではないばかりか、重金属化合物でもないので、安全な化合物であると理解される。
本発明に使用されるカチオン重合性物質とは、酸重合性または酸硬化性物質、とりわけエポキシ樹脂が好ましく用いられる。適当な物質の例は、エポキシド単量体類、エピサルファイド単量体類、ポリエポキシド類(あるいはエポキシ樹脂)、ポリエピサルファイド類(あるいはエピサルファイド樹脂)およびそれらの重合体であり、単独でも2種類以上の混合でもかまわない。
本発明における硬化開始剤とモノマーとの重合性組成物を調製するにあたっては、硬化開始剤を予め反応性のない有機溶媒と混合してからモノマーと混合するのが好ましい。ここで使用する有機溶媒としては、エステル類、ラクトン類が好ましい。このようにして調製された重合組成物は、ワニス、インキ、塗料、接着剤、積層板、プリプレグ、成型材料、封止材料等に使用できる。本発明の重合性組成物は、長期間保存可能で光や電子線などの放射線の照射や加熱、あるいは放射線処理と加熱の併用で速やかに重合を開始する機能を備え、高温硬化性に優れ、吸湿性がなく、耐水性、耐薬品性、電気性に優れた硬化物を与える。
この重合性組成物の特徴としては、従来困難であったモノマーと開始剤の一液化保存、更には簡単な加熱でカチオン重合反応を可能とし、実用性のある重合度の高い重合体を得ることが可能になった点にある。よって所期の目的を達成する。
本化合物は、この出願人による特許願2003−5469号で開示する、相当するスルホニウム=トリフルオロメタンスルホナート類を出発原料として、これにトリス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナートを所定の無水有機溶媒中で反応させて合成する。この場合の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、アセトニトリルである。
これ以外の例えばベンゼン、トルエン類では、原料のアルミナート塩を実質上溶解させないため、反応しない。また、DMF、DMSO類では、溶解性があるため、反応そのものは進行するものの、高沸点のために当該反応系からの除去が困難である。反応温度は20℃以下が好ましく、生成物の分解を避ける意味から、10℃以下が特に好ましい。
本発明の新規化合物は、光および/または熱硬化組成物の硬化開始剤として有用であり、特にエポキシ樹脂の重合硬化開始剤、特に潜在性重合硬化開始剤としての効果を有している。従って、必要によってはあらかじめモノマーと開始剤を適当な溶媒を用いて一液化し、保存し、あるいは商品化することも可能である。
さらに本発明の化合物の効果、作用を分析実験例などから説明する。
熱分析の一種であるDSC(示差走査熱量測定)分析は、通常、試料の発熱/吸熱速度そのものを測定していると言われている。本発明の化合物と溶剤、エポキシ樹脂を混合し、このDSCを測定したところ、一定の温度に至って急激な発熱/吸熱が認められた。比較として、同じスルホニウム基のカチオン部をもつヘキサフルオロアンチモナート化合物からなる従来の重合開始剤のDSCを測定したところ、主ピーク以外に数ヶ所の発熱/吸熱が認められた。
このことから、本発明の化合物は、特定の温度で樹脂の硬化が開始し、その後は鋭利な立ち上がりで急速に硬化させることが可能である、という性質を有することが理解できる。これに比べて、従来の、同じスルホニウム基のカチオン部をもつヘキサフルオロアンチモナート化合物からなる従来の重合開始剤のDSC解析からは、同種あるいは異種の活性種が温度上昇に従って複数種発生し、おのおのの活性種がそれぞれ重合に関与しているもようである。このことは、低温域から高温域に至るまで重合反応が進行することになり、当該開始剤の重合反応における熱不安定性を説明している。これら従来の重合開始剤の使用時においては、安定剤を添加して使用するといった方法で対応されていた。
以上の説明は、重合開始剤の硬化における性質というべきものであるが、この性質は、樹脂に添加して、試験温度を維持してその硬化時間を測定するという通常の測定試験からは判別できないものであり、DSCの解析によって確認されたものである。本発明の化合物は、重合硬化開始剤として、安定剤の不存在下においても、特定の温度以下では重合を開始させず、当該温度でのみ重合反応が一時に開始されるという格段の特徴を有している。本発明の化合物は、従来の重合硬化開始剤に比べて短時間で硬化を完了させるので、シャープな硬化反応を提供することができ、安定な一液性潜在性重合開始剤としての使用は言うに及ばず、応用の用途は広範囲に及ぶと考えられる。
即ち、本来不安定なスルホニウム化合物のアニオン部をテトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート基に置き換えることで、高純度となり、所定の温度に至るまでの良好な安定性が得られているものと考えられる。むろん、この化合物を一液化樹脂のみの使用にとどめるものではない。
本発明に使用されるスルホニウム塩は、樹脂100重量部に対して0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。0.01重量部より少ないと充分な重合物が得られない。20重量部を越える添加量では、重合後の物性において好ましいものが得られず、コストの面においても好ましくない。また、重合硬化は、放射線処理または加熱処理により行われ、必要によっては加熱と放射線照射を併用することも可能である。また、重合時には、必要により溶媒を用いることもできる。また、この化合物に公知の安定剤、更に場合によっては、増量剤、難燃剤、静電防止剤、界面活性剤、酸無水物に代表される助剤等を混合して使用することを妨げるものでもない。以下に本発明の実施例を示すが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナートの合成
ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム トリフルオロメタンスルホナート 15.0g(0.039モル)の粉末をアセトニトリル 750mLに溶解させ、これにトリス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート19.6g(0.041モル)のアセトニトリル 450mL溶液を加え、撹拌しながら、5〜10℃で20時間撹拌する。
反応液を乾燥させたあと、反応液を減圧濃縮し、真空乾燥させる。得られた油状物をヘキサンで処理し、再度真空乾燥させる。白色のベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート30.6g(収率91%)を得た。
融点 80〜86℃
IR (KBr) cm-1 1252,1289,1030,1169,645,518,1605,1588
NMR
3.10ppm(s,3H,スルホニウムメチル)
4.70ppm(d,2H,フェニルメチレン)
6.90〜7.55ppm(m,9H,ベンゼン核)
実施例1の化合物であるベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート1g、溶剤としてγ−ブチロラクトン1gを混合し、この混合物0.1gをエピコート828(ジャパンエポキシレジン株式会社製 ビスフェノールA型エポキシ樹脂の商品名)5gと混合し、粘性のある混合物のまま、DSCを測定した。そのDSCチャートを表1に示す。表2は実施例1のアニオン部を交換した、従来の重合開始剤であるベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモナートを同様に溶剤、エポキシ樹脂と混合した組成物のDSCチャートである。
これらのDSCチャートを比較すると、表1は転移点が1点だけであるので、実施例1の化合物は特定の温度で分解し、カチオン性の重合開始種を放出すると推察される。従って、実施例1の化合物は、特定の温度のみで重合を開始させ、完了することができることが理解される。従って、この系の重合反応は、温度だけで重合機能を制御することができるため、熱潜在性の硬化系になりうるものである。表2は、少なくとも3点の転移点と発熱/吸熱のピークが確認できることから、複数種のラジカルまたはイオン性の重合開始種を放出すると推察される。このため、低温域から重合を開始し、高温域に至って重合を完了させることが理解される。
2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナートの合成
実施例1の原料を2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム トリフルオロメタンスルホナートに代えた以外は実施例1に準じて合成した結果、白色結晶物を得た。
融点 74〜80℃
IR (KBr) cm-1 1285,1249、1175,1032,640,1589,1606
NMR
2.27ppm(s,3H,フェニルメチル)
3.14ppm(s,3H,スルホニウムメチル)
4.76ppm(t,2H,フェニルメチレン)
7.00〜7.81ppm(m,8H,ベンゼン核)
8.33ppm(s,1H,HO)
実施例2の化合物である2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート1g、溶剤としてγ−ブチロラクトン1gを混合し、この混合物0.1gをエピコート828(ジャパンエポキシレジン株式会社製 エポキシ樹脂の商品名)5gと混合し、DSCを測定した。そのDSCチャートを表3に示す。表4は実施例2のアニオン部を交換した、従来の重合開始剤である2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモナートを同様に溶剤、エポキシ樹脂と混合した組成物のDSCチャートである。
これらのDSCチャートを比較すると、先の記載と同じく、表3は転移点が1点だけであるので、実施例2の化合物は、特定の温度のみで重合を開始させ、完了することができることが理解される。従って、この系の重合反応は、温度だけで重合機能を制御することができるため、熱潜在性の硬化系になりうるものである。表4も先の記載と同様に、少なくとも3点の転移点と発熱/吸熱のピークが確認できることから、低温域から重合を開始し、高温域に至って重合を完了させることが理解される。
4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナートの合成
4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウム トリフルオロメタンスルホナート2g(4.7ミリモル)をアセトニトリル 100mLに溶解させ、これにトリス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート2.4g(5.1ミリモル)とアセトニトリル 60mLを加え、実施例1と同様に5〜10℃で30時間反応させた。反応後、同様に処理し、真空乾燥後、白色粉末の目的物3.8g(収率90%)を得た。
融点 84℃(分解)
IR (KBr) cm-1 1261,1234,1174,1033,639,517,1605,1588,1766
NMR
2.23ppm(s,3H,アセチル)
3.15ppm(s,3H,スルホニウムメチル)
4.80ppm(d,2H,フェニルメチレン)
7.00〜7.82ppm(m,9H,ベンゼン核)
実施例3の化合物である4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート1g、溶剤としてγ−ブチロラクトン1gを混合し、この混合物0.1gをエピコート828(ジャパンエポキシレジン株式会社製 エポキシ樹脂の商品名)5gと混合し、DSCを測定した。そのDSCチャートを表5に示す。表6は実施例3のアニオン部を交換した、従来の重合開始剤である4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモナートを同様に溶剤、エポキシ樹脂と混合した組成物のDSCチャートである。
これらのDSCチャートを比較すると、先の記載と同じく、表5は転移点が1点だけであるので、実施例3の化合物は、特定の温度のみで重合を開始させ、完了することができることが理解される。従って、この系の重合反応は、温度だけで重合機能を制御することができるため、熱潜在性の硬化系になりうるものである。表6も先の記載と同様に、少なくとも3点の転移点と発熱/吸熱のピークが確認できることから、低温域から重合を開始し、高温域に至って重合を完了させることが理解される。
重合試験例1
本発明の化合物を重合開始剤として使用した例を記載する。実施例1で得られた化合物0.1gをエピコート828(ジャパンエポキシレジン株式会社製 エポキシ樹脂の商品名)10gと混合して、JISK7071(1988)の手法に準じてゲル化時間を測定した。加熱温度140℃で、9分51秒 160℃で、3分39秒であった。また、実施例1で得られた化合物0.1gをγ−ブチロラクトン0.1gに溶解させたものをエピコート828 100gと混合して、加熱温度160℃で硬化試験を行ったところ、50分で硬化が完了した。
重合試験例2
実施例1で得られた化合物0.05gをγ−ブチロラクトン1.95gに溶解させたものをセロキサイド2021(ダイセル化学工業株式会社製 エポキシ樹脂の商品名)100gと混合する。この混合物を10gとり、加熱温度130℃で硬化試験を行ったところ、30分で硬化が完了した。
重合試験例3
実施例1で得られた化合物0.1gをγ−ブチロラクトン0.4gに溶解させたものをセロキサイド2021(ダイセル化学工業株式会社製 エポキシ樹脂の商品名)100gと混合する。この混合物を10gとり、当初65℃で2時間加熱した。ここでの硬化は認められなかった。続いて温度を150℃に上げたところ、速やかに硬化が完了した。この化合物の硬化温度依存性が認められる。


Claims (5)

  1. 化1で表されるスルホニウム化合物。

    (ただし、R1は水素,メトキシカルボニル基,アセチル基,ベンジルオキシカルボニル基を、R2は水素,C1〜C4のアルキル基のいずれかを、R3はC1〜C4のアルキル基,C1〜C4のアルキル基で置換されていてもよいベンジル基,α−ナフチルメチル基のいずれかを、R4はC1〜C4のアルキル基のいずれかを示す。Xは、テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート基を示す。)
  2. 請求項1に記載の化合物が、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート、4−ヒドロキシフェニルメチル−2−メチルベンジルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート、4−ヒドロキシフェニルメチル−4−メチルベンジルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート、4−ヒドロキシフェニルメチル−1−ナフチルメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート、4−メトキシカルボニルオキシフェニルジメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート、ベンジル−4−メトキシカルボニルオキシフェニルメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート、4−アセトキシフェニルメチル−4−メチルベンジルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウム テトラキス(トリフルオロメタンスルホナト)アルミナートのいずれかであるスルホニウム化合物。
  3. カチオン重合性物質の一種または二種以上と、請求項1に記載の化1で示されるスルホニウム化合物を含み、その比がカチオン重合性物質100重量部に対して化1で示されるスルホニウム化合物が0.01〜20重量部である重合性組成物。
  4. 請求項1に記載の化1で示されるスルホニウム化合物を主成分とするカチオン重合性物質の重合開始剤。
  5. カチオン重合性物質の一種または二種以上に請求項1に記載の化1で示されるスルホニウム化合物の一種または二種以上を開始剤として加え、これを放射線および/または熱により重合させることを特徴とするカチオン重合性物質の重合方法。


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