JP2014182315A - 電子写真感光体、電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、感光体の耐久性を向上させ、メモリーによる画像不良の発生がなく、トナーの転写率が高く高濃度の画像が得られ、高耐久、高画質の電子写真感光体、当該電子写真感光体を使用した電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置を提供することである。
【解決手段】本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも感光層と表面保護層を有する電子写真感光体であって、当該感光層は電荷発生物質を含有し、当該表面保護層は、架橋性の重合性化合物を重合して得られた樹脂、及び前記感光層に含有される電荷発生物質とは極大吸収波長が異なる電荷発生物質を含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体、当該電子写真感光体を用いた電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置に関し、更に詳しくは、高感度で耐久性に優れ、かつ画像メモリーの発生のない高画質の画像を得ることができる電子写真感光体、当該電子写真感光体を用いた電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置に関する。
近年、電子写真感光体としては有機光導電性物質を含有する有機感光体が広く用いられている。有機感光体は可視光から赤外光まで各種露光光源に対応した材料を開発しやすいこと、環境汚染のない材料を選択できること、製造コストが安いことなどが無機系の感光体に比べて有利な点である。
一方、電子写真感光体(以下、「感光体」ともいう。)は帯電、露光、現像、転写、クリーニング等により、電気的あるいは機械的な外力を直接受けているため、画像形成が繰り返し行われても帯電安定性、感度特性などを安定して維持する耐久性が求められている。
特に近年デジタル化が進む中で、高精細、高画質の画像への要求が高まり、溶解懸濁法や乳化凝集法などによる小粒径のトナーが主流になっている。これらの小粒径のトナーは感光体表面への付着力が大きく、転写工程後、感光体表面に付着した残留トナーの除去が不十分となりやすい。ゴムブレードを用いたクリーニング方式では、トナーがブレードを通過する「トナーすり抜け」やブレードが反転する「ブレード捲れ」、あるいは感光体とブレードの擦過音の発生、いわゆる「ブレード鳴き」といった現象が発生しやすい。上記の「トナーすり抜け」を解決するためにはブレードの感光体への当接圧力を高くする必要があるが、繰り返し使用することにより、有機感光体の表面が摩耗し耐久性が不足するという問題が発生する。また帯電時に発生するオゾンや窒素酸化物による劣化に対しても十分な耐久性を有することが求められている。
このような経緯から感光体表面に表面保護層(以下、単に「保護層」ともいう。)を設けて耐摩耗性を向上させる技術が提案されている。
具体的には、感光体の表面保護層に一般に架橋性化合物と呼ばれる重合性化合物を使用し塗布した後、重合反応を行うことで、クリーニングブレード等の摩擦による表面の摩耗や傷の発生に対して、耐久性の高い感光体を作製する技術が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。また、シリカなどの無機微粒子を分散させた表面保護層とすることにより機械的強度を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかし、感光層の上に表面保護層を設けることによって、感光体の耐久性は向上するものの、メモリーの発生という新たな問題が生じる。メモリーとは、感光体の1周目の帯電、露光、現像及び転写の画像形成プロセスによって形成された画像部と非画像部の履歴が、感光体2周目の画像形成プロセスにおいて形成された画像に濃度差となって現れる現象をいう。これは特に反転現像プロセスにおいて顕著に現れる現象である。
反転現像プロセスにおいては、感光体の1周目の画像形成プロセスによって形成された感光体上のトナーの濃淡や感光体の表面保護層の影響を受け、トナー画像の転写後に感光体上に正電荷が残存するために、感光体の2周目の画像形成プロセスにおいて、感光体の帯電電位に影響を与えることが原因である。
すなわち、感光体の1周目の画像形成における画像部と非画像部の履歴が、感光体2周目の帯電により感光体上に電位差となって現れることが原因であることが分かっている。この現象を抑えるために交流除電(AC除電)プロセスを採用する方法、強力な帯電条件にする方法、あるいは第二帯電プロセスを配置する方法があるが、スペース上の制約やコストなどの新たな問題が生じる。
近年、電子写真方式の画像形成装置は、軽印刷分野への利用が急拡大しており、感光体には、更なる高耐久化、高画質化が要請されている。しかし、これらの要請に対して、従来技術では耐久性及び画質において十分満足できる感光体を得ることができず、感光体にはなお一層の高耐久化、高画質化技術が望まれていた。また、高濃度の画像を得るために感光体から転写媒体へのトナー転写率向上も望まれていた。
特開平11−288121号公報 特開2009−69241号公報 特開2002−333733号公報
本発明は上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、感光体の耐久性を向上させ、メモリーによる画像不良の発生がなく、トナーの転写率が高く高濃度の画像が得られ、高耐久、高画質の電子写真感光体、当該電子写真感光体を使用した電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、感光層上に表面保護層を有する電子写真感光体において、架橋性の重合性化合物を重合して得られた樹脂と、感光層に含有される電荷発生物質とは異なる極大吸収波長が相異する電荷発生物質を含有させることによって上記課題が解決できることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.導電性支持体上に少なくとも感光層と表面保護層を有する電子写真感光体であって、当該感光層は電荷発生物質を含有し、当該表面保護層は、架橋性の重合性化合物を重合して得られた樹脂、及び前記感光層に含有される電荷発生物質とは極大吸収波長が異なる電荷発生物質を含有することを特徴とする電子写真感光体。
2.前記表面保護層に含有される電荷発生物質が、多環キノン系化合物、ペリレン系化合物及びアゾ系化合物から選択される化合物であることを特徴とする第1項に記載の電子写真感光体。
3.前記多環キノン系化合物が、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする第2項に記載の電子写真感光体。
(一般式(1)中、Xは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ニトロ基、シアノ基又は炭素原子数1〜4のアシル基を表す。nは、0〜4の整数を表す。)
(一般式(2)中、Xは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ニトロ基、シアノ基又は炭素原子数1〜4のアシル基を表す。mは、0〜4の整数を表す。)
4.前記ペリレン系化合物が、下記一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする第2項に記載の電子写真感光体。
(一般式(3)中、R〜Rは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子、置換、若しくは未置換のアルキル基又はアリール基を表す。)
(一般式(4)中、R及びRは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子、置換、若しくは未置換のアルキル基、アルコキシ基又はアリール基を表す。)
(一般式(5)中、R及びRは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子、置換、若しくは未置換のアルキル基、アルコキシ基又はアリール基を表す。)
5.前記アゾ系化合物が、下記一般式(6)、一般式(7)、一般式(8)、一般式(9)、一般式(10)、一般式(11)又は一般式(12)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする第2項に記載の電子写真感光体。
(一般式(6)中、A及びAは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基を表す。)
(一般式(7)中、A及びAは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基を表し、R10は水素原子、アルキル基、アリール基又は複素環基を表す。アルキル基、アリール基及び複素環基は置換基を有していてもよい。kは0又は1を表す。)
(一般式(8)中、A及びAは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基を表し、Qは、酸素原子又はジシアノメチレン基を表す。Rは、水素原子、アルキル基、シクロヘキシル基、置換、若しくは未置換のフェニル基又はチエニル基を表す。)
(一般式(9)中、Ar及びArは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基又は2価の芳香族複素環基を表し、A及びAは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基を表す。)
(一般式(10)中、Ar、Ar及びArは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基又は2価の芳香族複素環基を表し、A及びA10は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基を表す。)
(一般式(11)中、Y及びYは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子又はシアノ基を表し、Ar及びArは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基又は2価の芳香族複素環基を表し、A11及びA12は、それぞれ独立に、フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基を表す。)
(一般式(12)中、Y、Y、Y及びYは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子又はシアノ基を表し、Ar、Ar及びAr10は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基又は2価の芳香族複素環基を表し、A13及びA14は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基を表す。)
6.前記架橋性の重合性化合物が、分子中にアクリロイル基又はメタクリロイル基の少なくともいずれかを有する重合性単量体であることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
7.前記表面保護層が、金属酸化物粒子を含有することを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
8.前記感光層に含有される電荷発生物質が、表面保護層に含有される電荷発生物質の長波長側の吸収端より長波長側に極大吸収帯の光吸収領域を有する電荷発生物質であることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
9.第1項から第8項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を有し、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、及び除電工程を有することを特徴とする電子写真画像形成方法。
10.前記除電工程が、光を照射することによる光除電工程であって、当該光が、前記表面保護層に含有される電荷発生物質と前記感光層に含有される電荷発生物質の両方が吸収する波長の光を含む光であることを特徴とする第9項に記載の電子写真画像形成方法。
11.第1項から第8項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を有し、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び除電手段を有することを特徴とする電子写真画像形成装置。
12.前記除電手段が、光を照射することによる光除電手段であって、当該光が、前記表面保護層に含有される電荷発生物質と前記感光層に含有される電荷発生物質の両方が吸収する波長の光を含む光であることを特徴とする第11項に記載の電子写真画像形成装置。
本発明の上記手段により、感光体の耐久性を向上させ、メモリーによる画像不良の発生がなく、トナーの転写率が高く高濃度の画像が得られ、高耐久、高画質の電子写真感光体、当該電子写真感光体を使用した電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
電子写真画像形成プロセスは、一般に、(1)感光体上に一様に電荷を付与する帯電工程(感光体を負帯電する工程)、(2)像露光工程(感光体上に静電潜像を形成する工程)、(3)現像工程(静電潜像をトナーで現像し可視化する工程)、(4)転写工程(転写媒体を介して感光体を正帯電(帯電工程とは逆極性の帯電)することにより、感光体上のトナー画像を転写媒体上に転写する工程)、(5)除電工程(感光体上の電荷を除去する工程)の繰り返しで行われる。この除電工程の前、又は後に(6)クリーニング工程(感光体上の転写残トナー(転写媒体に転写せずに感光体上に残ったトナー)をクリーニングする工程)を有してもよい。
この転写工程での正帯電によって、転写工程後に感光体の表面に正電荷が残るが、この正電荷量が、感光体上のトナーの有無、すなわち画像部と非画像部で差が生じる。このため、感光体2周目の画像形成プロセスにおける帯電工程での負帯電時にその影響を受け、1周目の画像形成プロセスで画像形成された部分(画像部)と地肌部分(非画像部)とで、2周目の画像形成プロセスにおいて、帯電工程による負帯電電位に差が生じる。
この帯電電位の差が、感光体2周目の画像形成プロセスで形成された画像に画像濃度差、すなわち画像メモリーとして現れる。反転現像プロセスにおいては、転写工程の帯電極性は、帯電工程における帯電極性(負帯電)とは、逆極性の正帯電になるので、メモリーが発生しやすくなる。また、感光層上に表面保護層を設けることで、この現象は更に顕著になる。
そこで、表面保護層に電荷発生物質を添加し、転写工程後、電荷発生物質の吸収波長領域の光を含む除電光を照射すると表面保護層中に存在する電荷発生物質が発生した電子で感光体表面の正電荷を相殺させることができるので、2周目の帯電工程で生じた電位差を小さくすることができ、その結果メモリーが低減できるものと推察される。
さらに理由は明らかではないが、表面保護層中の電荷発生物質の含有量を増やすことで、感光体表面が正帯電しにくくなる傾向があり、このため感光体の履歴によって転写工程で発生する電位差を小さくすることができるので、これもメモリー低減に寄与しているものと推察される。
表面保護層中の電荷発生物質の含有量を増やすことで、感光体表面が正帯電しにくくなる理由は熱励起キャリア密度が上がったため、さらに電荷注入効率が上がったことにより表面の電荷が相殺されたためと考えられる。
トナーの転写率が向上した理由は明らかではないが、表面保護層に電荷発生物質を添加することによって、感光体表面の表面エネルギーが低下し、トナーと感光体との付着力が低下することにより、トナーが転写されやすくなったものと推定している。
本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す模式図 本発明の電子写真画像形成装置の構成の一例を説明する模式図 本発明の電子写真感光体のメモリー評価に用いるチャートを説明する模式図 図3のチャートを用いてメモリーが発生した画像を説明する図
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも感光層と表面保護層を有する電子写真感光体であって、当該感光層は電荷発生物質を含有し、当該表面保護層は、架橋性の重合性化合物を重合して得られた樹脂、及び前記感光層に含有される電荷発生物質とは極大吸収波長が異なる電荷発生物質を含有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項12までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様として、前記表面保護層に含有される電荷発生物質が、多環キノン系化合物、ペリレン系化合物又はアゾ系化合物から選択される少なくとも1種であることが、光感度が高く、メモリー低減効果が大きいので好ましい。
また、前記多環キノン系化合物が、前記一般式(1)又は一般式(2)で表される構造を有する化合物であることが、光感度が高く、メモリー低減効果が大きいので好ましい。
また、前記ペリレン系化合物が、一般式(3)、前記一般式(4)又は一般式(5)で表される構造を有する化合物であることが、光感度が高く、メモリー低減効果が大きいので好ましい。
また、前記アゾ系化合物が、一般式(6)、一般式(7)、一般式(8)、一般式(9)、一般式(10)、一般式(11)又は一般式(12)で表される構造を有する化合物であることが、光感度が高く、メモリー低減効果が大きいので好ましい。
さらに、前記架橋性の重合性化合物が、分子中にアクリロイル基、又はメタクリロイル基の少なくともいずれかを有する重合性単量体であることが、反応性が高く、硬度の高い表面保護層が形成できるので好ましい。
さらに、前記表面保護層が、金属酸化物粒子を含有することが、更に硬度の高い表面保護層とすることができるので好ましい。
また、前記感光層に含有される電荷発生物質が、表面保護層に含有される電荷発生物質の長波長側の吸収端より長波長側に極大吸収帯の光吸収領域を有する電荷発生物質であると、表面保護層の電荷発生物質で画像露光の光が吸収されることがないため、高い光感度を得ることができるので好ましい。
また、本発明の電子写真感光体は、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、及び除電工程を有することを特徴とする電子写真画像形成方法に好適に用いられる。
さらに、前記除電工程が、光を照射することによる光除電工程であって、当該光が、前記表面保護層に含有される電荷発生物質と前記感光層に含有される電荷発生物質の両方が吸収する波長の光を含む光であると、効果的に除電できるので好ましい。
また、本発明の電子写真感光体は、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び除電手段を有することを特徴とする電子写真画像形成装置に好適に用いられる。
さらに、前記除電手段が、光を照射することによる光除電手段であって、当該光が、前記表面保護層に含有される電荷発生物質と前記感光層に含有される電荷発生物質の両方が吸収する波長の光を含む光であると、効果的に除電できるので好ましい。
以下本発明の構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で用いる。
≪電子写真感光体の構成≫
本発明の感光体は、導電性支持体の上に、少なくとも、感光層及び表面保護層を形成して作製されたものである。感光層は、光を吸収して電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能の両方を有し、感光層の層構成としては、電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する単層構成であってもよく、また電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層の積層構成であってもよい。また、必要に応じて導電性支持体と感光層の間に中間層を設けてもよい。感光層は、その層構成を特に制限するものではなく、表面保護層を含めた具体的な層構成として、例えば以下に示すものがある。
(1)導電性支持体上に、電荷発生層と電荷輸送層、及び表面保護層を順次積層した層構成
(2)導電性支持体上に、電荷輸送物質と電荷発生物質とを含有する単層、及び表面保護層を順次積層した層構成
(3)導電性支持体上に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層、及び表面保護層を順次積層した層構成
(4)導電性支持体上に、中間層、電荷輸送物質と電荷発生物質とを含有する単層、及び表面保護層を順次積層した層構成
本発明の感光体は、上記(1)〜(4)いずれの層構成のものでもよく、これらの中でも、導電性支持体上に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層、表面保護層を順次設けて作製された層構成のものが特に好ましい。
図1は、本発明の感光体の層構成の一例を示す模式図である。図1において、1は導電性支持体、2は感光層、3は中間層、4は電荷発生層、5は電荷輸送層、6は表面保護層、7は金属酸化物粒子を示す。
次に、本発明の感光体を構成する表面保護層、導電性支持体、中間層、感光層(電荷発生層及び電荷輸送層)の構成について順を追って説明する。
《表面保護層の構成》
本発明の感光体は耐摩耗性の向上、画像メモリーの改善及び転写率向上を課題とし、導電性支持体上に少なくとも感光層と表面保護層を順次積層した構成のものである。この表面保護層には、架橋性の重合性化合物を重合して得られた樹脂をバインダー樹脂として含有する。
本発明に係る表面保護層に含有されるバインダー樹脂は、架橋性の重合性化合物を重合して得られる樹脂である。本発明においては、架橋性の重合性化合物を重合して得られた樹脂の他に、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、又はシリコーン樹脂等の公知の樹脂を併用して用いることができる。
<架橋性の重合性化合物>
本発明に係る表面保護層に使用可能な架橋性の重合性化合物としては、ラジカル重合性反応基を二つ以上有するラジカル重合性の化合物が挙げられ、ラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合性反応基として、アクリロイル基、又はメタクリロイル基の少なくともいずれかを有するラジカル重合性単量体が好ましい。
これらのラジカル重合性単量体としては、例えば以下の化合物を例示することができるが、本発明に使用可能なラジカル重合性単量体はこれらに限定されるものではない。
上記のラジカル重合性単量体は公知であり、また市販品として入手できる。
ここで、Rは下記アクリロイル基、R′は下記メタクリロイル基を表す。
<電荷発生物質>
表面保護層に含有される電荷発生物質は、感光層に含有される電荷発生物質とは極大吸収波長が異なる電荷発生物質である。好ましくは、前記感光層に含有される電荷発生物質が、表面保護層に含有される電荷発生物質の長波長側の吸収端より長波長側に極大吸収帯の光吸収領域を有する電荷発生物質であることが好ましい。感光層に含有される電荷発生物質が、表面保護層に含有される電荷発生物質の長波長側の吸収端より長波長側に極大吸収帯の光吸収領域を有する電荷発生物質であると像露光時の光が感光層に含有される電荷発生物質によって効率よく吸収されるので、感光体としての光感度特性を損なうことがないので好ましい。
本発明に係る表面保護層に含有される電荷発生物質としては、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される構造を有する多環キノン系顔料、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表される構造を有するペリレン系顔料、及び一般式(6)〜一般式(12)で表される構造を有するアゾ系顔料が好ましい。これらの電荷発生物質は、電荷発生効率が高いので好ましい。
一般式(1)中、Xは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ニトロ基、シアノ基又は炭素原子数1〜4のアシル基を表す。nは、0〜4の整数を表す。
一般式(2)中、Xは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ニトロ基、シアノ基又は炭素原子数1〜4のアシル基を表す。mは、0〜4の整数を表す。
一般式(3)中、R〜Rは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子、置換、未置換のアルキル基又はアリール基を表す。
一般式(4)中、R及びRは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子、置換、未置換のアルキル基、アルコキシ基又はアリール基を表す。
一般式(5)中、R及びRは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子、置換、若しくは未置換のアルキル基、アルコキシ基又はアリール基を表す。
一般式(6)中、A及びAは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基を表す。
一般式(7)中、A及びAは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基を示し、R10は水素原子、アルキル基、アリール基又は複素環基を表す。アルキル基、アリール基、又は複素環基は置換基を有していてもよい。kは0又は1を表す。一般式(7)中のR10に相当するアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、及びヘキシル基などが挙げられ、アリール基としては、フェニル基、o−ターフェニル基、ナフチル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられ、複素環式基としては、例えばチエニル基、ピロリル基、ピロリジニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、2H−イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピラニル基、ピリジル基、ピベリジル基、ピペリジノ基、3−モルホリニル基、モルホリノ基、及びチアゾリル基などが挙げられる。また、芳香族環と縮合した複素環基であってもよい。
上記基に置換する置換基としては、例えばハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ基、エステル化されていてもよいカルボキシ基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアリール基を有することのある炭素数2〜6のアルケニル基などが挙げられる。
一般式(8)中、A及びAは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基を表す。Qは、酸素原子又はジシアノメチレン基を表す。Rは、水素原子、アルキル基、シクロヘキシル基、置換、若しくは未置換のフェニル基又はチエニル基を表す。
一般式(9)中、Ar及びArは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基又は2価の芳香族複素環基を表し、A及びAは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基を表す。
一般式(10)中、Ar、Ar及びArは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基又は2価の芳香族複素環基を表し、A及びA10は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基を表す。
一般式(11)中、Y及びYは水素原子又はシアノ基を表し、Ar及びArは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基又は2価の芳香族複素環基を表し、A11及びA12は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基を表す。
一般式(12)中、Y、Y、Y及びYは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子又はシアノ基を表し、Ar、Ar及びAr10は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基又は2価の芳香族複素環基を表し、A13及びA14は、それぞれ、フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基を表す。
上記フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基A〜A14の具体例としては、以下のような基が挙げられる。
上記一般式(1)〜一般式(12)で表される電荷発生物質の具体例としては、以下の公知の化合物が挙げられる。
(例示化合物)
これらの電荷発生物質は公知の合成方法により合成することができる。
表面保護層に含有される電荷発生物質は、架橋性の重合性化合物1質量部に対して、0.1〜2質量部が好ましい。更に好ましくは、0.25〜1.5質量部である。この範囲内であれば、十分な除電効果が得られ、かつ表面保護層の重合反応が阻害されない。
<金属酸化物粒子>
本発明に係る表面保護層は金属酸化物粒子を含有することが耐摩耗性が向上するので好ましい。金属酸化物粒子としては、例えば、シリカ(二酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化ジルコニウム、酸化スズ、チタニア(二酸化チタン)、酸化ニオブ、酸化モリブデン、及び酸化バナジウム等の金属酸化物粒子が例示されるが、中でも、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ(酸化アルミニウム)、及び酸化亜鉛粒子が好ましい。また、金属酸化物粒子の個数平均一次粒径は1〜300nmの範囲内であることが好ましい。特に好ましくは3〜100nmである。
(表面処理金属酸化物粒子)
本発明に係る表面保護層に含有される金属酸化物粒子は、表面処理剤で処理されたものであることが好ましく、更に反応性有機基を有する表面処理剤で表面処理されたものがより好ましい。
(表面処理剤)
本発明に係る表面処理剤としては、金属酸化物粒子の表面に存在するヒドロキシ基等と反応する表面処理剤が好ましく、これらの表面処理剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。また、本発明においては、表面保護層の硬度を更に高くする目的で、反応性有機基を有する表面処理剤が好ましく、反応性有機基を有する表面処理剤としては、ラジカル重合性反応基を有する表面処理剤が好ましい。これらのラジカル重合性反応基は、本発明に係る架橋性の重合性化合物とも反応して強固な保護膜を形成することができる。ラジカル重合性反応基を有する表面処理剤としては、ビニル基、アクリロイル基又はメタクリロイル基などのラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤が好ましく、このようなラジカル重合性反応基を有する表面処理剤の例としては、下記のような公知の化合物を挙げることができる。
S−1:CH=CHSi(CH)(OCH
S−2:CH=CHSi(OCH
S−3:CH=CHSiCl
S−4:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−5:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−6:CH=CHCOO(CHSi(OC)(OCH
S−7:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−8:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−9:CH=CHCOO(CHSiCl
S−10:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−11:CH=CHCOO(CHSiCl
S−12:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−13:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−14:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−15:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−16:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−17:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−18:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−19:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−20:CH=CHSi(C)(OCH
S−21:CH=C(CH)Si(OCH
S−22:CH=C(CH)Si(OC
S−23:CH=CHSi(OCH
S−24:CH=C(CH)Si(CH)(OCH
S−25:CH=CHSi(CH)Cl
S−26:CH=CHCOOSi(OCH
S−27:CH=CHCOOSi(OC
S−28:CH=C(CH)COOSi(OCH
S−29:CH=C(CH)COOSi(OC
S−30:CH=C(CH)COO(CHSi(OC
S−31:CH=CHCOO(CHSi(CH(OCH
S−32:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCOCH
S−33:CH=CHCOO(CHSi(CH)(ONHCH
S−34:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OC
S−35:CH=CHCOO(CHSi(C1021)(OCH
S−36:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
また、表面処理剤としては、上記S−1からS−36以外でも、ラジカル重合可能な反応性有機基を有するシラン化合物を用いてもよい。これらの表面処理剤は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
(表面処理金属酸化物粒子の作製方法)
表面処理するに際して、金属酸化物粒子100質量部に対し、表面処理剤0.1〜100質量部、溶媒50〜5000質量部を用いて湿式メディア分散型装置を使用して処理することが好ましい。また、乾式でも処理することができる。
以下に、均一に表面処理剤で表面処理された金属酸化物粒子を製造する表面処理方法について説明する。
すなわち、金属酸化物粒子と表面処理剤とを含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式粉砕することにより、金属酸化物粒子を微細化すると同時に粒子の表面処理が進行する。その後、溶媒を除去して粉体化することで均一に表面処理剤により表面処理された金属酸化物粒子を得ることができる。
本発明において用いられる表面処理装置である湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、さらに回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、金属酸化物粒子の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を有する装置である。その構成としては、金属酸化物粒子に表面処理を行う際に金属酸化物粒子を十分に分散させ、かつ表面処理できる形式であれば問題なく、例えば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式が採用できる。具体的にはサンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミル等が使用できる。これらの分散型装置は、ボール、又はビーズ等の粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、剪断、ズリ応力等により微粉砕、及び分散が行われる。
上記湿式メディア分散型装置で用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、又はフリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常、直径1〜2mm程度のものを使用するが、本発明においては0.1〜1.0mm程度のものを用いるのが好ましい。
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、及びセラミック製など種々の素材のものが使用できるが、本発明では特にジルコニア又はシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁が好ましい。
以上のような湿式処理により、表面処理剤によって表面処理された金属酸化物粒子を得ることができる。上述した表面処理金属酸化物粒子は、架橋性の重合性化合物100質量部に対して、30〜250質量部含有されることが、表面保護層の耐摩耗性向上の観点から好ましい。
本発明に係る表面保護層には、これらの他に必要に応じて重合開始剤、滑剤粒子等を含有させて形成してもよい。
<重合開始剤>
本発明に係る表面保護層に使用可能な架橋性の重合性化合物を重合反応させる方法としては、電子線開裂反応を利用する方法やラジカル重合開始剤の存在下で光や熱を利用する方法等により重合反応を行うことができる。ラジカル重合開始剤を用いて重合反応を行う場合、重合開始剤として光重合開始剤、熱重合開始剤のいずれも使用することができる。また、光、熱の両方の開始剤を併用することもできる。
本発明に係る表面保護層に使用できる重合開始剤としては、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルアゾビスバレロニリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物、過酸化ベンゾイル(BPO)、ジ−tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、及び過酸化ラウロイルなどの過酸化物等の熱重合開始剤が挙げられる。
また、光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン−1(イルガキュアー369:BASFジャパン社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、及び1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、及びベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニルエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、及び1,4−ベンゾイルベンゼン等のベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、及び2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤が挙げられる。
その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(イルガキュアー819:BASFジャパン社製)、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、及びイミダゾール系化合物が挙げられる。また、光重合促進効果を有するものを単独又は上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、及び4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
本発明に係る表面保護層に用いられる重合開始剤としては光重合開始剤が好ましく、アルキルフェノン系化合物、及びホスフィンオキサイド系化合物が好ましく、更に好ましくは、α−ヒドロキシアセトフェノン構造、あるいはアシルホスフィンオキサイド構造を有する開始剤が好ましい。
これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、架橋性の重合性化合物100質量部に対し0.1〜40質量部、好ましくは0.5〜20質量部である。
<滑剤粒子>
また、表面保護層に各種の滑剤粒子を含有させることも可能である。例えば、フッ素原子含有樹脂粒子を加えることができる。フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
<溶媒>
表面保護層の形成に使用される溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、ベンジルアルコール、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<表面保護層の形成>
表面保護層は、架橋性の重合性化合物、必要に応じて、表面処理金属酸化物粒子、その他の樹脂、重合開始剤、滑剤粒子、酸化防止剤等を添加して調製した塗布液を、公知の方法により感光層表面に塗布し、自然乾燥又は熱乾燥を行い、その後硬化処理して作製することができる。表面保護層の膜厚は、0.2〜10μmが好ましく、0.5〜6μmがより好ましい。
本発明では、表面保護層の重合反応は、塗布膜に活性線を照射してラジカルを発生して重合し、かつ分子間及び分子内で架橋反応による架橋結合を形成して硬化し、硬化樹脂を生成することが好ましい。活性線としては、紫外線、可視光などの光や電子線が好ましく、使いやすさ等の見地から紫外線が特に好ましい。
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノン、又は紫外線LED等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常1〜20mJ/cm、好ましくは5〜15mJ/cmである。光源の出力電圧は、好ましくは0.1〜5kWであり、特に好ましくは、0.5〜3kWである。
電子線源としては、電子線照射装置に格別の制限はなく、一般にはこのような電子線照射用の電子線加速機として、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式のものが有効に用いられる。電子線照射の際の加速電圧は、100〜300kVであることが好ましい。吸収線量としては0.005Gy〜100kGy(0.5rad〜10Mrad)であることが好ましい。
活性線の照射時間は、活性線の必要照射量が得られる時間であり、具体的には0.1秒〜10分が好ましく、重合効率又は作業効率の観点から1秒〜5分がより好ましいとされる。
本発明では、活性線の照射前後、及び活性線を照射中に表面保護層を乾燥処理することができ、乾燥を行うタイミングは活性線の照射条件と組み合わせて適宜選択することができる。表面保護層の乾燥条件は、塗布液に使用する溶媒の種類や表面保護層の膜厚などにより適宜選択することが可能である。また、乾燥温度は、室温〜180℃が好ましく、80〜140℃が特に好ましい。また、乾燥時間は、1〜200分が好ましく、5〜100分が特に好ましい。本発明においては、上記乾燥条件で表面保護層を乾燥することにより、表面保護層に含有される溶媒量を20ppmから75ppmの範囲に制御することができる。
以上のようにして感光層上に表面保護層を設けることにより、感光体表面の硬度を上げ、耐摩耗性を向上させ耐久性を向上させることができる。
<ユニバーサル硬さ値(HU)>
本発明の感光体の表面保護層の硬度は、ユニバーサル硬さ値(HU)で評価することができる。ユニバーサル硬さ値(HU)は、150N/mm以上、500N/mm以下であることが、耐摩耗性向上の観点から好ましい。
ユニバーサル硬さ値(HU)をこの範囲にすることにより、キャリア粒子による傷が付くことなく、また、クリーニングブレードの擦過による感光体表面の摩耗が抑制されると同時に、効果的に感光体の表面に吸着したNOxやオゾンなどの活性物質を除去する効果の持続性が高くなる。
有機感光体のユニバーサル硬さ値(HU)は、次の式によって規定される。
前記式において、Fは試験荷重(N)、A(h)は圧子が被測定物と接触している表面積(mm)、hは試験荷重作用時の押込み深さ(mm)である。A(h)は、圧子の形状と押込み深さから計算され、圧子がビッカース圧子の場合、角錐形の貫入体の向かい合う面の角度a(136°)より26.43×hと計算される。
(ユニバーサル硬さの測定)
このユニバーサル硬さの測定は、市販の硬度測定装置を用いて行うことができ、例えば、超微小硬度計「HM−2000」(フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いて測定することができる。
(測定条件)
測定機:超微小硬度計「HM−2000」(フィッシャー・インストルメンツ社製)
圧子形状:ビッカース圧子(a=136°)
測定環境:20℃・60%RH
最大試験荷重:2mN
荷重速度:2mN/10sec
最大荷重クリープ時間:5sec
除荷速度:2mN/10sec
なお、測定は各試料とも軸方向に均等間隔で5点、周方向に均等角度で3点の合計15点測定し、その平均値を本発明で定義するユニバーサル硬さ値(HU)とする。
《導電性支持体》
本発明の感光体に用いられる支持体は、導電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛又はステンレスなどの金属をドラム又はシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又はバインダー樹脂とともに塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙などが挙げられる。
《中間層》
本発明の感光体は、導電性支持体と感光層の中間にバリア機能と接着機能を有する中間層を設けることができる。中間層は、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリウレタン及びゼラチン等のバインダー樹脂を公知の溶媒に溶解させて浸漬塗布等により形成させることができる。前記バインダー樹脂の中でもアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
また、中間層には抵抗調整の目的で各種導電性微粒子や金属酸化物粒子を含有させることができる。例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、及び酸化ビスマス等の各種金属酸化物粒子。スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ及び酸化ジルコニウムなどの超微粒子を用いることができる。これら金属酸化物粒子を1種類若しくは2種類以上混合して用いることができる。2種類以上混合して用いる場合には、固溶体又は融着の形態をとってもよい。このような金属酸化物粒子は、個数平均一次粒径が0.3μm以下のものが好ましく、0.1μm以下のものがより好ましい。
中間層の形成に使用可能な溶媒としては、前述した導電性微粒子や金属酸化物粒子等の無機微粒子を良好に分散させ、ポリアミド樹脂をはじめとするバインダー樹脂を溶解するものが好ましい。具体的には、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、及びsec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が、バインダー樹脂として好ましいとされるポリアミド樹脂に対して良好な溶解性と塗布性能を発現させることから好ましい。また、保存性や無機微粒子の分散性を向上させるために、前記溶媒に対して以下のような助溶剤を併用することができる。好ましい効果が得られる助溶媒としては、例えば、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、シクロヘキサノン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
塗布液形成時のバインダー樹脂濃度は、中間層の膜厚や塗布方式に合わせて適宜選択することができる。また、無機微粒子等を分散させたとき、バインダー樹脂に対する無機微粒子の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して無機微粒子を20〜400質量部とすることが好ましく、50〜200質量部とすることがより好ましい。
無機微粒子の分散手段は、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー、及びホモミキサー等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、中間層の乾燥方法は、溶媒の種類や形成する膜厚に応じて公知の乾燥方法を適宜選択することができ、特に熱乾燥が好ましい。
中間層の膜厚は、0.1〜15μmが好ましく、0.3〜10μmがより好ましい。
《感光層》
前述したように、本発明の感光体を構成する感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能を一つの層に付与した単層構成の他に、電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に感光層の機能を分離させた層構成のものがより好ましい。このように、機能分離型の層構成とすることにより、繰り返し使用に伴う残留電位の上昇を小さく制御できる他、各種の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすいメリットがある。負帯電性感光体は中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)を設ける構成をとり、正帯電性感光体は中間層の上に電荷輸送層(CTL)、その上に電荷発生層(CGL)を設ける構成をとる。好ましい感光層の層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体である。
以下に、感光層の具体例として機能分離型の負帯電感光体の感光層の各層について説明する。
<電荷発生層>
本発明に係る電荷発生層は、電荷発生物質(CGM)とバインダー樹脂を含有するもので、電荷発生物質をバインダー樹脂溶液中に分散させてなる塗布液を塗布して形成されたものが好ましい。
電荷発生物質は、スーダンレッドやダイアンブルー等のアゾ原料、ピレンキノンやアントアントロン等のキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ及びチオインジゴ等のインジゴ顔料、フタロシアニン顔料等が挙げられる。これらの中でも700nm以上に感度を有するフタロシアニン系顔料が好ましく、中でもチタニルフタロシアニン系顔料が好ましいが、本発明の感光体に使用できる電荷発生物質は、これらに限定されるものではない。
これらの電荷発生物質は単独、又は公知のバインダー樹脂中に分散させる形態で使用することができる。
電荷発生層を形成するバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内二つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)及びポリ−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
電荷発生層の形成は、バインダー樹脂を溶媒で溶解した溶液中に分散機を用いて電荷発生物質を分散して塗布液を調製し、塗布液を塗布機で一定の膜厚に塗布し、塗布膜を乾燥して作製することが好ましい。
電荷発生層に使用するバインダー樹脂を溶解し塗布するための溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
電荷発生物質の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
バインダー樹脂に対する電荷発生物質の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質1〜600質量部が好ましく、50〜500質量部がより好ましい。電荷発生層の膜厚は、電荷発生物質の特性、バインダー樹脂の特性及び混合割合等により異なるが0.01〜5μmが好ましく、0.05〜3μmがより好ましい。なお、電荷発生層用の塗布液は塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。前記顔料を真空蒸着することによって形成すこともできる。
<電荷輸送層>
本発明に係る電荷輸送層は、少なくとも層内に電荷輸送物質(CTM)とバインダー樹脂を含有するものであり、電荷輸送物質をバインダー樹脂溶液中に溶解、塗布して形成される。
電荷輸送物質は、公知の化合物を用いることが可能で、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン及びポリ−9−ビニルアントラセン等が挙げられる。これらの化合物を単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。
また、電荷輸送層用のバインダー樹脂は公知の樹脂を用いることが可能で、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられる。これらの中でもポリカーボネート樹脂が好ましく、更に、ビスフェノールA(BPA)、ビスフェノールZ(BPZ)、ジメチルBPAタイプのポリカーボネート樹脂、及びBPA−ジメチルBPA共重合体等のタイプのポリカーボネート樹脂が耐クラック性、耐摩耗性、帯電特性の観点から好ましいものである。
電荷輸送層は塗布法に代表される公知の方法で形成することが可能であり、例えば、塗布法では、バインダー樹脂と電荷輸送物質を溶解して塗布液を調製し、塗布液を一定の膜厚で塗布後、乾燥処理することにより所望の電荷輸送層を形成することができる。
上記バインダー樹脂と電荷輸送物質を溶解する溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等が挙げられる。なお、電荷輸送層形成用の塗布液を作製する際に使用する溶媒は上記のものに限定されるものではない。
バインダー樹脂と電荷輸送物質の混合比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質を10〜500質量部とすることが好ましく、20〜100質量部とすることがより好ましい。
電荷輸送層の厚さは、電荷輸送物質やバインダー樹脂の特性、及び、これらの混合比等により異なるが、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
電荷輸送層中には、公知の酸化防止剤を添加することが可能で、例えば特開2000−305291号公報記載の酸化防止剤が使用できる。
《感光体の塗布方法》
本発明の感光体を構成する中間層、電荷発生層、電荷輸送層、表面保護層等の各層は公知の塗布方法により形成することができる。具体的には、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、円形量規制型塗布法等が挙げられる。なお、円形量規制型塗布方法については、例えば、特開昭58−189061号公報、特開2005−275373号公報に記載されている。
≪電子写真画像形成方法≫
本発明の感光体は、電子写真方式の公知の種々の画像形成方法において用いることができる。例えば、モノクロの画像形成方法やフルカラーの画像形成方法に用いることができる。フルカラーの画像形成方法では、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各々に係る4種類のカラー現像装置と、一つの感光体とにより構成される4サイクル方式の画像形成方法や、各色に係るカラー現像装置及び感光体を有する画像形成ユニットを、それぞれ色別に搭載するタンデム方式の画像形成方法など、いずれの画像形成方法も用いることができる。
本発明の電子写真画像形成方法としては、具体的には、本発明の感光体を使用して、感光体上に帯電装置にて帯電(帯電工程)し、像露光することにより形成された静電潜像(露光工程)を、現像装置を用いて現像することにより顕像化させてトナー画像を得る(現像工程)。このトナー画像をコピー用紙又は転写ベルト等の転写媒体上に転写(転写工程)し、その後、感光体上に残存する正電荷を除去(除電工程)し、次の画像形成のサイクルが行われる。転写ベルト等の転写媒体上に転写されたトナー画像は、コピー用紙上に転写され、コピー用紙上に転写されたトナー画像を接触加熱方式等の定着処理によってコピー用紙に定着(定着工程)させることにより、可視画像を得る。転写工程の後、感光体上に残留したトナー(転写残トナー)は、ゴムブレード等により除去(クリーニング工程)される。このクリーニング工程は、除電工程の前でも後であってもよいが、除電工程が光照射による除電の場合は、クリーニング工程の後の方が、感光体上に残留するトナーが除電光の吸収を妨げることがないので、効果的に除電が行えるので好ましい。
除電工程においては、交流除電(AC除電)又は光除電のどちらでもよいが、交流除電では、交流電源の設置が必要になり、スペースの問題、あるいは装置が大がかりなるなどの問題があり、光除電の方が好ましい。
本発明の電子写真画像形成方法においては、光除電が好ましく、除電光としては、表面保護層に含有される電荷発生物質の吸収波長の光を含む光であることが好ましく、更に好ましくは、電荷発生層に含有される電荷発生物質の吸収波長の光の両方を含む光が好ましい。このような波長の光としては、可視光の光を含む白色光が好ましい。
本発明の画像形成方法においては、感光層上に電荷発生物質を含有する表面保護層を設けることによって、表面保護層中で除電光により電荷を発生させ、ここで発生した電荷(電子)によって感光体表面に残存する正電荷を除去する。これにより、感光体1周目の画像形成プロセスで発生した感光体表面の画像部と非画像部の履歴の違いによって生じる電位差を小さくすることができ、感光体2周目の画像形成プロセスで発生する画像メモリーを抑制することができる。
図3は、本発明の感光体のメモリー評価に用いるチャートの模式図である。A3サイズの紙に図3のように3角形の黒化部分を設けたチャートを原稿台上に置いて複写を行う。図4は、上記図3のチャートを用いてメモリーが発生した画像を説明する図である。すなわち、感光体の直径が60φとしたときに、感光体の1周目はチャートの前半部分を複写し、2周目はチャートの後半部分を複写する。メモリーが発生すると感光体2周目で形成される画像の黒い部分の中で、1周目の黒い部分(1周目の画像部)に相当する場所の濃度が薄くなる。
≪電子写真画像形成装置≫
本発明の電子写真画像形成装置は、本発明の感光体を使用して、感光体上に帯電装置にて帯電する帯電手段、像露光することにより形成された静電潜像を形成する露光手段、現像装置を用いて現像することにより顕像化させてトナー画像を得る現像手段、このトナー画像を用紙又は転写ベルト等の転写媒体上に転写する転写手段、その後、感光体上に残存する正電荷を除去する除電手段を有している。コピー用紙上に直接転写されたトナー画像、及び転写ベルト等の転写媒体を経て用紙上に転写されたトナー画像は接触加熱方式等の定着処理によってコピー用紙に定着する定着手段により可視画像を得る。転写の後、感光体上に残留したトナー(転写残トナー)は、クリーニングブレード等のクリーニング手段によりにより除去される。
図2は、本発明の感光体を用いた電子写真画像形成装置の構成の一例を説明する模式図である。ここで、27はクリーニング手段としてのクリーニングブレード、28は光除電手段としての除電ランプ、22は露光手段としての露光用光源、20は帯電手段としての帯電極、23は現像手段としての現像器、25は転写手段としての転写電極である。露光光源22に使用可能な露光光源としては、白色光、レーザー光(半導体レーザー、He−Neレーザー)、LED等が挙げられる。
現像器23は、正転現像用、及び反転現像用のいずれでもよい。除電ランプ28は、正転現像時、及び反転現像時いずれでも有効である。除電ランプ28に使用可能な露光光源としては、感光体の表面保護層中に含有される電荷発生物質の吸収波長の光を含む光源が好ましく、更に好ましくは、電荷発生層に含有される電荷発生物質の吸収波長の光の両方を含む光源が好ましい。このような光源であれば、特に制限はないが、可視光の光を含む白色光が好ましく、白色光が得られる光源としては、タングステンランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯、白色LEDなどが挙げられる。
画像形成に際しては、露光用光源としてレーザー光源を用いた場合には、帯電極20で負極性に帯電された感光体11はレーザー光源22によって像露光され、現像器23で現像される。この場合、現像は反転現像となるため、トナーは負帯電したトナーである。これを転写電極25で転写媒体24に転写し、その後、除電ランプ28で感光体11上の電荷を除電する。感光体11上に残留したトナー(転写残トナー)はクリーニングブレード27で掻き落とされる。除電はクリーニング工程の前でも後でもよい。転写媒体としては、コピー用紙等の記録紙、若しくは転写ベルトである。転写ベルト上に転写されたトナーは、次にコピー用紙等の記録紙に転写されトナー画像が形成される。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
≪表面処理金属酸化物微粒子の作製≫
(表面処理金属酸化物微粒子1の作製)
金属酸化物微粒子として個数平均一次粒径20nmの「酸化スズ」100質量部、重合性表面処理剤として「例示化合物S−12」30質量部、メチルエチルケトン1000質量部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて6時間混合、その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズを濾別し、60℃にて乾燥し「表面処理金属酸化物微粒子1」を調製した。
≪感光体の作製≫
<感光体1の作製>
下記のようにして感光体1を作製した。
直径60mmの円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し導電性支持体を用意した。
〈中間層〉
下記組成の分散液を同じ溶媒にて2倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュ5μmフィルター使用)し、中間層塗布液を調製した。
ポリアミド樹脂CM8000(東レ社製) 1質量部
酸化チタンSMT500SAS(テイカ社製) 3質量部
メタノール 10質量部
分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行った。
上記塗布液を用いて前記支持体上に、乾燥膜厚2μmとなるようにして浸漬塗布法で塗布した。
〈電荷発生層〉
電荷発生物質:Y−TiPh(チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料で、780nmに極大吸収を有する)) 20質量部
ポリビニルブチラール樹脂(#6000−C:電気化学工業社製) 10質量部
酢酸t−ブチル 700質量部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300質量部
を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
〈電荷輸送層〉
電荷輸送物質:4,4′−ジメチル−4″−(β−フェニルスチリル)トリフェニルアミン 225質量部
バインダー:ポリカーボネートZ(Z300:三菱ガス化学社製) 300質量部
酸化防止剤(Irganox1010:BASFジャパン社製) 6質量部
テトラヒドロフラン 1600質量部
トルエン 400質量部
シリコーンオイル(KF−54:信越化学社製) 1質量部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
〈表面保護層〉
表面処理金属酸化物粒子1 100質量部
重合性化合物(例示化合物M1) 100質量部
電荷発生物質(例示化合物Q−3) 25質量部
重合開始剤(イルガキュアー819:BASFジャパン社製) 15質量部
2−ブタノール 500質量部
上記成分を混合撹拌し、十分に溶解・分散し、表面保護層塗布液を調製した。この塗布液を先に電荷輸送層まで作製した感光体上に円形スライドホッパー塗布機を用いて、表面保護層を塗布した。塗布後、キセノンランプを用いて紫外線を1分間照射して、乾燥膜厚2.0μmの表面保護層を得た。このようにして「感光体1」を作製した。
<感光体2〜感光体18の作製>
感光体1の表面保護層の電荷発生物質を表1のように変更し、同様に塗布した。塗布後、120℃70分間乾燥を行い、乾燥膜厚2.0μmの表面保護層を得た。このようにして「感光体2」〜「感光体18」を作製した。「感光体17」の表面保護層には、電荷発生物質を添加しなかった。
感光体1〜16は本発明の感光体であり、感光体17及び18は比較用の感光体である。
上記感光体1〜18について、耐久性の評価の指標として、ユニバーサル硬さ値(HU)を測定した。結果を表1に示した。
(表面保護層硬度(ユニバーサル硬さ値))
フィッシャー・インストルメンツ社製「超微小硬度計HM−2000」を用いて表面硬度(ユニバーサル硬さ値)を測定した。測定条件は2mN、及び10秒間感光体表面へ荷重をかけ、5秒のクリープ時間後に2mN、及び10秒間かけて初期状態に戻した。膜硬度の値として150N/mm以上であれば、感光体の耐久性として問題はない。
≪評価≫
以上のようにして作製した感光体1〜18について、以下のようにして評価を行った。結果を表2、表3に示した。
<評価方法>
〈メモリー〉
得られた感光体をコニカミノルタビジネステクノロジーズ社製フルカラー複合機「bizhub PRO C6500」(波長780nmのレーザー露光・反転現像・中間転写体ありのタンデム方式カラー複合機)に搭載し、シアン(C)の位置に配置した。
除電光としては、白色光として、15Wの白色LED(幅5mm、長さ360mm)を用い、赤色光として15Wの赤色LED(幅5mm、長さ360mm)を用いた。ここで用いた白色LEDは、400nmから740nm付近の間に発光波長を有する光であり、赤色LEDは、680nmの極大発光波長を有する光である。これらLEDを感光体表面から1.0cmの距離に設置して評価を行った。
そして、転写電流値を20〜100μAまで、5μA毎に変化させて、図3で示されるチャートを出力した。転写材としては「PODグロスコート(A3サイズ、100g/m)」(王子製紙社製)を用いて、上記転写材上に形成した画像のメモリーによる濃度ムラを目視観察した。画像の濃度ムラは、以下の基準で評価した。ここでは、転写電流値が高いほど厳しい評価条件であり、転写電流値が高い条件で濃度ムラが出ない感光体がメモリーに対して良好な感光体である。
(判定基準)
A:転写電流80μA以上100μA以下で、濃度ムラが全くみられない
B:転写電流60μA以上75μA以下で、濃度ムラが全くみられない
C:転写電流60μA以上75μA以下で、僅かに濃度ムラがみられるが、実用上問題ないレベル
D:転写電流40μA以上55μA以下で、僅かに濃度ムラがみられるが、実用上問題ないレベル(ただし、高画質の画像を形成する際には問題となるレベル)
E:転写電流20μ以上A35μA以下でも濃度ムラが明確にみられ、実用上問題となるレベル
〈表面電位〉
本発明の感光体をコニカミノルタビジネステクノロジーズ社製フルカラー複合機「bizhub PRO C6500」(波長780nmのレーザー露光・反転現像・中間転写体ありのタンデム方式フルカラー複合機)に搭載し、シアン位置の感光体の表面電位(負帯電時の表面電位、露光後の表面電位、転写後の表面電位及び除電後の表面電位)を測定した。測定条件は、比較例1の感光体17の負帯電時の表面電位が−700Vになるように調整して行った。電位計は、上記複合機内に内蔵している電位計を使用し、測定プローブをそれぞれの位置に設置しアナログ信号をモニターすることにより測定した。測定は23℃・50%RHの環境下で行った。
除電光は、上記メモリー評価と同じ白色光と赤色光を用いて行った。なお、表2、表3において、転写後の表面電位とは、転写電流値を100μAとしたときの値である。
〈トナー転写率〉
現像時の感光体上に付着したトナー質量をAとして、転写後の転写ベルト上に付着したトナー質量をBとしたとき、トナー転写率を(B/A)×100(%)と定義する。測定方法は、2×3cmの粘着テープを用いて、転写ベルト上に付着したトナー、及び転写後感光体上に残留したトナーをテープに移し取り、移し取る前後の質量の差分からトナー質量を測定した。ここでは、転写ベルト上に付着したトナー質量をB、感光体上に残留したトナー質量をCとしたとき、BとCの和をAとする。
以上の結果から明らかなように、本発明の感光体1〜16は、比較例の感光体17及び18に比べて、より厳しい条件でもメモリーの発生がなく、トナー転写率が高く、優れた特性を有している。比較例3の感光体18においては、表面保護層に含有される電荷発生物質が、像露光の光を吸収し、感光層の電荷発生層の電荷発生物質に十分光が届かないため、画像が形成されずメモリーの評価ができなかった。これは、本発明の感光体1〜16では、像露光の光が表面保護層の電荷発生物質で吸収されることがなく、感光層の電荷発生物質で効率よく吸収されるので良好な画像形成を行うことができたのに対して、感光体18では、表面保護層の電荷発生物質が、像露光の光を吸収してしまうため、露光部においても表面電位が下がらず、画像部と非画像部での表面電位の差が小さくなったためと考えられる。
除電光として白色光、赤色光どちらを用いてもほぼ同様の効果が得られたが、感光体1を用いた実施例1と2、感光体2を用いた実施例3と4、感光体8を用いた実施例15と16、及び感光体13を用いた実施例25と26では、除電光として白色光を用いた方が、メモリー改善効果が大きかった。これは、白色光を用いたことによって表面層と感光層の両方から電荷が発生することにより、赤色光を用いた場合より多くの電荷が発生することで、画像と非画像部の差が小さくなったことによるものと考えられる。
1 導電性支持体
2 感光層
3 中間層
4 電荷発生層
5 電荷輸送層
6 表面保護層
7 金属酸化物粒子
11 感光体
17 露光の光
20 帯電極
22 露光用光源
23 現像器
24 転写媒体
25 転写電極
27 クリーニングブレード
28 除電ランプ

Claims (12)

  1. 導電性支持体上に少なくとも感光層と表面保護層を有する電子写真感光体であって、当該感光層は電荷発生物質を含有し、当該表面保護層は、架橋性の重合性化合物を重合して得られた樹脂、及び前記感光層に含有される電荷発生物質とは極大吸収波長が異なる電荷発生物質を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記表面保護層に含有される電荷発生物質が、多環キノン系化合物、ペリレン系化合物及びアゾ系化合物から選択される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記多環キノン系化合物が、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体。
    (一般式(1)中、Xは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ニトロ基、シアノ基又は炭素原子数1〜4のアシル基を表す。nは、0〜4の整数を表す。)
    (一般式(2)中、Xは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ニトロ基、シアノ基又は炭素原子数1〜4のアシル基を表す。mは、0〜4の整数を表す。)
  4. 前記ペリレン系化合物が、下記一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体。
    (一般式(3)中、R〜Rは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子、置換、若しくは未置換のアルキル基又はアリール基を表す。)
    (一般式(4)中、R及びRは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子、置換、若しくは未置換のアルキル基、アルコキシ基又はアリール基を表す。)
    (一般式(5)中、R及びRは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子、置換、若しくは未置換のアルキル基、アルコキシ基又はアリール基を表す。)
  5. 前記アゾ系化合物が、下記一般式(6)、一般式(7)、一般式(8)、一般式(9)、一般式(10)、一般式(11)又は一般式(12)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体。
    (一般式(6)中、A及びAは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基を表す。)
    (一般式(7)中、A及びAは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基を表し、R10は水素原子、アルキル基、アリール基又は複素環基を表す。アルキル基、アリール基及び複素環基は置換基を有していてもよい。kは0又は1を表す。)
    (一般式(8)中、A及びAは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基を表し、Qは、酸素原子又はジシアノメチレン基を表す。Rは、水素原子、アルキル基、シクロヘキシル基、置換、若しくは未置換のフェニル基又はチエニル基を表す。)
    (一般式(9)中、Ar及びArは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基又は2価の芳香族複素環基を表し、A及びAは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基を表す。)
    (一般式(10)中、Ar、Ar及びArは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基又は2価の芳香族複素環基を表し、A及びA10は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基を表す。)
    (一般式(11)中、Y及びYは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子又はシアノ基を表し、Ar及びArは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基又は2価の芳香族複素環基を表し、A11及びA12は、それぞれ独立に、フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基を表す。)
    (一般式(12)中、Y、Y、Y及びYは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子又はシアノ基を表し、Ar、Ar及びAr10は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基又は2価の芳香族複素環基を表し、A13及びA14は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立に、フェノール性ヒドロキシ基を有するカプラー残基を表す。)
  6. 前記架橋性の重合性化合物が、分子中にアクリロイル基又はメタクリロイル基の少なくともいずれかを有する重合性単量体であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記表面保護層が、金属酸化物粒子を含有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記感光層に含有される電荷発生物質が、表面保護層に含有される電荷発生物質の長波長側の吸収端より長波長側に極大吸収帯の光吸収領域を有する電荷発生物質であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を有し、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、及び除電工程を有することを特徴とする電子写真画像形成方法。
  10. 前記除電工程が、光を照射することによる光除電工程であって、当該光が、前記表面保護層に含有される電荷発生物質と前記感光層に含有される電荷発生物質の両方が吸収する波長の光を含む光であることを特徴とする請求項9に記載の電子写真画像形成方法。
  11. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を有し、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び除電手段を有することを特徴とする電子写真画像形成装置。
  12. 前記除電手段が、光を照射することによる光除電手段であって、当該光が、前記表面保護層に含有される電荷発生物質と前記感光層に含有される電荷発生物質の両方が吸収する波長の光を含む光であることを特徴とする請求項11に記載の電子写真画像形成装置。
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