JP2014181724A - 貯油板を備えた直動案内ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】この直動案内ユニットは,保持板に貯油室を形成するパイプを配設し,製造コストを低減させると共に潤滑メンテナンスフリーの期間を更に延長させる。
【解決手段】保持板6には,ケーシング3に保持するためのパイプ7が配設され,パイプ7の両端部69がエンドキャップ4に支持されている。パイプ7には,中空部に潤滑油を貯留する貯油室55が形成されており,貯油室55の両端部69が貯油板10にそれぞれ連通して貯油室55の潤滑油が貯油板10に流動可能に構成されている。保持板6には,パイプ7を嵌挿するため長手方向に伸びる通し孔9が形成され,貯油板10には,パイプ7の端部69が嵌合するパイプ用突出部27が形成されている。
【選択図】図3

Description

この発明は,例えば,貯油板に更なる潤滑油を供給できる貯留部を保持板に備え,潤滑メンテナンスフリーの期間を更に延長することができる貯油板を備えた直動案内ユニットに関する。
従来,無限直線運動用ころ軸受では,円筒ころが保持板によって脱落しないように保持されているものが知られている。該直動案内ユニットは,転動体を保持する保持板が固定バンドによってケーシングに固定され,固定バンドの両端がエンドキャップに掛け止めされている。該直動案内ユニットは,円筒ころを保持する保持手段をスライダにワンタッチで確実に固定でき,定格荷重をアップできるものであり,ケーシングの上側軌道面と下側軌道面上に配置される円筒ころの間に保持板を配置し,保持板の係合溝とエンドキャップに形成された係合溝に固定バンドの保持部を係止させ,エンドキャップに形成された係止穴に固定バンドの屈曲部の先端の係止爪を係合させ,円筒ころを保持する保持手段がスライダに組み込まれ,軌道レールとケーシングとで形成される軌道路に円筒ころを保持できる。また,該直動案内ユニットは,保持板はボルトによってケーシングに固定されており,ケーシングの両側袖部には、ボルト用の貫通孔が形成されており,ケーシングの軌道面とは反対側となる袖部外側にボルト頭部用の座ぐり孔を形成して、袖部外側から貫通孔にボルトを挿通している。保持板にはねじ孔が形成され、ケーシングに挿通したボルトを保持板のねじ孔にねじ込み,ボルトを締めこむことで、保持板はケーシング袖部側に引っ張られ、ケーシングに固定されている(例えば,特許文献1参照)。
また,直動案内ユニットでは,転動体への潤滑剤の給油を方向転換路において行い,給油手段の構成を単純化し,確実に安定して給油してメンテナンスフリーを達成したものが知られている。該直動案内ユニットは,エンドキャップの端面側から方向転換路に連通する連通孔を形成する。エンドキャップの端面に形成された凹部に潤滑剤含浸の多孔質成形体から成る貯油板を配設し,貯油板の突出部を連通孔に嵌入して突出部の端面が方向転換路の壁面の一部を形成して露出している。方向転換路を転走するローラは,貯油板の突出部に接触し,それによって,貯油板の突出部を通じてローラに潤滑剤が給油され,軌道路を転動するローラが潤滑される。ローラを保持する保持板は,ボルトでケーシングに固定されており,その構成は保持板に凹溝を形成し,凹溝に固定金具を組み合わせ,保持板にはボルトを挿通する貫通孔,固定金具にはボルトをねじ込むねじ孔,ケーシング袖部には貫通孔がそれぞれ形成されている。ボルトはケーシング袖部外側からケーシングの貫通孔と保持板の貫通孔を通り,保持板固定金具にねじ込み,ボルトを締めることで,保持板は固定金具を介してケーシング側に引っ張られて固定される。また,該直動案内ユニットは,転動体への潤滑剤供給のメンテナンスフリーを実現するために,スライダ端部に潤滑剤を含浸した多孔質成形体の貯油板を設けて,エンドキャップの方向転換路内でローラに潤滑油を給油している(例えば,特許文献2参照)。
特許第2918429号公報 特許第4685723号公報
しかしながら,近年では,直動案内ユニットに対して更にメンテナンスフリーの期間を延長するため,スライダ自体に潤滑油の保持量を増加させることが必要になっている。例えば,従来の直動案内ユニットでは,部品の大きさに余裕がなく,例えば,比較的サイズの小さいローラタイプの直動案内ユニットに対して,潤滑油の保有量を更に増大させるには如何に構成したらよいかの課題が有った。また,従来の保持板は,上記のように,固定バンドによってケーシングに固定されており,固定バンドは保持板の外側から組み合わせて,ケーシング両端のエンドキャップに掛け止めている。保持板は,固定バンドによって保持板全長にわたりケーシング側に押し付けられて固定されおり,構造上,部品の大きさに余裕がない状況である。
また,従来の保持板76は,図15に示すように,ケーシング3の両側の袖部64にボルト用孔59を貫通させ,軌道面22の反対側となる袖部64の外側にボルト頭部74用の座ぐり孔73を形成し,ボルト用孔59にボルト60を挿通し,保持板76に組み合わせる保持板76の凹部61に固定用金具62を配置し,ボルト60を固定用金具62に形成されたねじ穴75にねじ込んでボルト60を引っ張り,保持板76をケーシング3に固定していたので,ケーシング3へのボルト用孔59の加工コストや組み立て工数等の製造コストが上昇していた。また,転動体への潤滑剤供給のメンテナンスフリーを実現するために,スライダ端部に潤滑剤を含浸した多孔質成形体の貯油板を設けて,エンドキャップの方向転換路内でローラに潤滑剤を給油しているが,更にメンテナンスフリーを延長するためには,潤滑剤の保持量を増加させる必要があった。
この発明の目的は,上記の課題を解決することであって上記のような保持板をボルトを用いてケーシングに固定する構成に代わる固定構造として開発し,転動体への給油を方向転換路で行うため,給油手段として貯油板の一部を方向転換路に突出させて方向転換路の壁面の一部を構成し,方向転換路を転走する転動体に方向転換路に露出した貯油板に接触させることによって転動体に潤滑剤を給油し,特に,製造コストを低減させると共に潤滑メンテナンスフリーの期間を更に延長させることを実現するために,潤滑油の貯留部としてローラを保持するための保持板に潤滑油のタンクを形成し,保持板を簡単な構造でケーシングに固定しつつ保持板内部のタンク即ち貯油室に潤滑剤を保持し,保持板内部の潤滑剤を両エンドキャップの端部にそれぞれ設けた貯油板に供給できる構造に構成し,給油手段の構造そのものをシンプルに容易に形成し,転動体への給油のメンテナンスフリーを確実に容易に安定して達成することができる貯油板を備えた直動案内ユニットを提供することである。
この発明は,両側面に第1軌道面が形成された長尺な軌道レール,及び前記第1軌道面に対向して形成された第2軌道面を備え且つ前記第1軌道面と前記第2軌道面との間に形成される軌道路を転動する転動体を介して前記軌道レールに跨架して相対移動するスライダから成り,前記スライダは,前記第2軌道面と前記第2軌道面に平行に伸びるリターン路を備えたケーシング,前記ケーシングの長手方向の両端にそれぞれ固着され且つ前記リターン路と前記軌道路とを連通する方向転換路を備えたエンドキャップ,前記転動体に潤滑油を給油するため前記エンドキャップにそれぞれ配設され且つ前記潤滑油が含浸された貯油板,及び前記第2軌道面に対して前記転動体を保持する保持板を有することから成る直動案内ユニットにおいて,
前記保持板には,前記長手方向に沿って前記保持板を前記ケーシングに保持するための固定部材が配設され,前記固定部材の両端部が前記エンドキャップに支持されており,前記固定部材には,前記固定部材の長手方向に沿って前記潤滑油を貯留する貯油室が形成されており,前記貯油室の両端が前記貯油板にそれぞれ連通して前記貯油室の前記潤滑油が前記貯油板に流動可能に構成されていることを特徴とする直動案内ユニットに関する。
また,この直動案内ユニットにおいて,前記固定部材は,断面形状が円形又は多角形状のパイプに形成されており,前記パイプの中空部が前記貯油室に構成されている。また,前記保持板には,前記パイプを嵌挿するため長手方向に伸びる通し孔,又は前記パイプを嵌入するため長手方向に伸びる前記軌道レール側に開口する凹溝が形成されているものである。また,前記パイプの前記両端部は,前記エンドキャップに形成されたパイプ保持用孔にそれぞれ嵌挿されて,前記保持板を前記ケーシングに対して接する状態に位置決め支持されているものである。更に,前記パイプの前記両端部には,前記貯油板に設けた突出部がそれぞれ嵌入して,前記突出部が前記貯油室に露出し,前記パイプが前記スライダの長手方向に位置決め支持されているものである。
また,前記パイプに形成された前記貯油室は,中空状,又はファイバーや多孔質成形体の潤滑油含浸部材が充填されている。また,前記第1軌道面と前記第2軌道面には,前記転動体であるローラがそれぞれ転動し,前記保持板は,断面が実質的に三角形状に形成され,該三角形状の二辺から形成される凸部は,二条列の前記ローラの端面をそれぞれ案内する長手方向に伸びる案内面に形成されている。また,前記凸部は,前記ケーシングの前記軌道面間に形成された長手方向に伸びる凹溝に係合しているものである。更に,この直動案内ユニットでは,前記貯油板は,前記潤滑油を含浸した多孔質成形体やファイバで形成されているものである。
この発明による直動案内ユニットは,上記のように構成されているので,保持板をエンドキャップにシンプルに且つ容易に保持すると共に,スライダに保持できる潤滑油の量を保持板に貯留した分だけ増加させることができ,転動体への潤滑油の供給のメンテナンスフリーの期間を延長させることができる。また,保持板は,エンドキャップによって幅方向が位置決めされ且つスライダに設けた貯油板によって長手方向が位置決めされて,スライダに位置決め固定されるので,保持板をケーシングに固定するためケーシングの袖部にボルト用貫通孔を加工する必要が無くなり,金属製のケーシングの加工コストを低減でき,また,組み立て工数を減らすことができる。また,従来の保持板のボルト固定構造に比べて保持板の案内面を大きく形成でき,より大きな転動体を利用でき,直動案内ユニットの定格荷重をアップすることができる。更に,この直動案内ユニットは,保持板を固定する構造,及び固定部材であるパイプに潤滑油を貯留するという極めて簡潔な構成であるにもかかわらず,極めて容易に安定して転動体に潤滑油を長期間にわたって供給でき,転動体への潤滑剤供給のメンテナンスフリーの期間を固定部材に形成した貯油室に貯留した潤滑油量分だけ増大させることができる。
この発明による直動案内ユニットについて,断面部分を含んだ状態で示す斜視図である。 図1の直動案内ユニットのA−A平面における横断面図である。 図1の直動案内ユニットにおけるスライダにおける固定部材のパイプの取付け状態を説明するための分解斜視図である。 図2の直動案内ユニットのB部の一実施例を示す拡大断面図である。 図2の直動案内ユニットのB部の別の実施例を示す拡大断面図である。 図2のC−C位置における断面図であって,軌道レールから抜き取ったスライダを示す断面図である。 この発明による直動案内ユニットの循環路の領域を示す断面図である。 図1のスライダからエンドシールを取り外した状態を示す正面図である。 図8のエンドキャップを示す正面図である。 図9のエンドキャップを示す下面図である。 図9のエンドキャップを示す背面図である。 図11のエンドキャップからスペーサを取り外したエンドキャップ本体を示す背面図である。 図12のエンドキャップ本体のD−D位置を示す断面図である。 図12のエンドキャップ本体のE−E位置を示す断面図である。 従来の直動案内ユニットを示す横断面図である。
以下に,図面を参照して,この発明による貯油板を備えた直動案内ユニットの実施例について説明する。
図1には,この発明による直動案内ユニットの実施例として,貯油板10を備えた四条列ローラタイプの直動案内ユニットが図示されている。この直動案内ユニットの実施例では,スライダ2を構成するケーシング3の下面の長手方向に伸びる凹溝46には,防塵構造として内面シール5が設けられている。この直動案内ユニットは,転動体であるローラ11をスライダ2に保持するため保持板6が設けられている。この実施例では,転動体としてローラ11を使用したタイプが図示されているが,ボールタイプにも適用できることは勿論である。この直動案内ユニットは,例えば,軌道レール1の幅寸法が45mm程度のサイズで長尺に形成されており,転動体としてローラ11が使用され,ローラ11間にはセパレータ12が配列されているタイプが使用されている。また,この実施例は,スライダ2の形状がフランジタイプであり,スライダ2には,ワーク,機器等の相手部材との固定用の取付け用ねじ孔56が形成されている。この直動案内ユニットは,両側面39に形成された逃げ溝38に一対の軌道面21(第1軌道面)が形成された長尺な軌道レール1,及び軌道面21に対向してそれぞれ形成された軌道面22(第2軌道面)を備え且つ軌道面21と軌道面22との間に形成される軌道路18を転走する転動体であるローラ11を介して軌道レール1に跨架して相対移動するスライダ2から構成されている。スライダ2は,軌道面22及びそれらに平行に伸びるリターン路13が形成されたケーシング3,ケーシング3の長手方向の両端面52にそれぞれ固着され且つリターン路13と軌道路18とを連通する方向転換路19,20が形成されたエンドキャップ4,ローラ11に潤滑油を給油するためエンドキャップ4にそれぞれ配設された貯油板10,貯油板10側に位置してエンドキャップ4の端面53に配設されたリップ部17を備えたエンドシール16,並びに軌道面22に対してローラ11を保持する保持板6から構成されている。保持板6は,金属やプラスチック等の樹脂材料で形成されている。ここで,貯油板10としては,多孔質成形体やファイバに潤滑油を含浸した潤滑油含浸部材で形成されている。この直動案内ユニットでは,図3に示すように,ケーシング3にねじ穴40が形成されており,固定ボルト41がエンドシール16の取付け用穴及びエンドキャップ4の取付け用穴48に挿通されてケーシング3のねじ穴40にねじ込まれ,それによってケーシング3に,エンドキャップ4,エンドシール16及びエンドキャップ4とエンドシール16とに挟持された貯油板10が固定される。軌道レール1には,ベース等に取り付けるための取付け用孔57が形成され,また,ケーシング3には,ワークや機器を取り付けるための取付け用ねじ孔56が形成されている。
更に,ケーシング3は,軌道レール1に跨架するため上部63と上部63の両側から垂下する対向状態の袖部64から形成されている。同様に,エンドキャップ4は,軌道レール1に跨架するため上部65と上部65の両側から垂下する対向状態の袖部66から形成されている。また,図8に示すように,貯油板10は,エンドキャップ4の凹部58に嵌合配設され,軌道レール1に跨架するため上部71と上部71の両側から垂下する対向状態の袖部72から形成されている。図2及び図6に示すように,ケーシング3の上部63の下面には,長手方向に伸びる凹溝46が形成され,凹溝46に内面シール5が配設されている。また,エンドキャップ4には,貯油板10を配設するため凹部58が枠部47に囲まれて形成されている。図7に示すように,ケーシング3には,嵌挿孔35が形成され,嵌挿孔35には,リターン路13を形成するスリーブ54が嵌挿されている。ケーシング3の嵌挿孔35には,エンドキャップ4に設けられた接続凸部28が嵌入され,エンドキャップ4に形成される方向転換路19,20がリターン路13に連通されることになる。ケーシング3に形成された軌道面22には,ローラ11の転動面11Aが転動し,軌道面22に隣接してケーシング3に形成された案内面24には,ローラ11の端面11Bが案内される。また,軌道レール1に形成された軌道面21には,ローラ11の転動面11Aが転動し,ローラ11の他方の端面11Bは保持板6に形成された案内面23には,ローラ11の端面11Bが案内される。保持板6は,断面が実質的に三角形状に形成され,該三角形状の二辺から形成される凸部26は,二条列のローラ11の端面11Bをそれぞれ案内する長手方向に伸びる案内面23に形成されている。即ち,保持板6に形成された一対の案内面23は,互いに90°に交差して保持板6の三角形状の二辺を形成している。また,図11に示すように,エンドキャップ4の上部65には,逃がし凹溝30が形成され,該逃がし凹溝30に係止部29が設けられて係止穴31が形成され,係止穴31に内面シール5の端部が配設されて内面シール5がエンドキャップ4に係止されている。更に,エンドキャップ4には,グリースニップル37(図3)を取り付けるためのねじ穴51や給油孔32が形成されており,ねじ穴51や給油孔32はエンドキャップ4に形成された油溝33に連通し,油溝33の潤滑油は,ローラ11に供給されてローラ11を潤滑する。
この直動案内ユニットにおいて,ケーシング3の袖部64には,保持板6の凸部26が嵌合するための凹溝25がそれぞれ形成され(図4及び図5参照),凹溝25の両側(図4又は図5では上下)にはローラ11が転動する軌道面22が形成されている。また,エンドキャップ4は,貯油板10が配設される凹部58が形成されたエンドキャップ本体14,及びエンドキャップ本体14に形成された嵌入凹部67L(図12)に嵌入するスペーサ15Lと嵌入凹部67Lに交差する嵌入凹部67S(図12)に嵌入するスペーサ15S(図11)から構成されている。嵌入凹部67Lは,エンドキャップ4に形成される方向転換路19の外側壁面を構成し,スペーサ15Lの外周面が方向転換路19の内側壁面を構成している。また,嵌入凹部67Sは,エンドキャップ4に形成される方向転換路20の外側壁面を構成し,スペーサ15Sの外周面が方向転換路20の内側壁面を構成している。更にエンドキャップ本体14の下面には,下面シール44を取り付けるためのフック45が形成されている。更に,エンドキャップ本体14に形成された嵌入凹部67Lには,貯油板10の突出部36の端面が露出する開口部68(図13)が形成されている。この直動案内ユニットは,貯油板10の突出部36の端面が露出面となって開口部68から方向転換路19に露出し,露出面に接触して転走するローラ11が貯油板10から給油されることになる。また,この直動案内ユニットは,エンドキャップ4の方向転換路19内で貯油板10に接触するローラ11に給油する構造に形成されており,貯油板10は,超高分子量の合成樹脂微粒子を押し固めた状態で加熱成形され,合成樹脂微粒子間が連通して多孔になる多孔質構造の焼結樹脂で形成され,多孔質構造に潤滑剤が含浸されている。貯油板10は,潤滑剤を保持できるものであれば,発泡して連通した多孔質構造のポリウレタン,ポリエチレンと潤滑剤を混合して加熱成形したもの,繊維を部分的に熱接着した多孔質構造の繊維から構成することも可能である。
この発明による直動案内ユニットは,特に,保持板6の構成に特徴を有しており,図2及び図3に示すように,保持板6には,長手方向に沿って保持板6をケーシング3に保持するための固定部材としてのパイプ7が配設されている。パイプ7は,断面形状が円形又は多角形の形状に形成されており,固定部材であるパイプ7の両端部69は,エンドキャップ4に支持されており,パイプ7には,その中空部が長手方向に沿って潤滑油を貯留する貯油室55に形成されており,貯油室55の両端が貯油板10の突出部27にそれぞれ連通しており,貯油室55に貯められた流動可能な潤滑油が貯油板10の突出部27に含浸され,貯油板10に潤滑油が供給されるように構成されている。エンドキャップ4の対向する袖部66には,内方に対向して突出する突出部42が形成されている。エンドキャップ4の対向した突出部42には,パイプ7の端部69を支持するためのパイプ保持用孔34(図3)が形成されている。貯油板10は,対向する袖部72には,内方に対向して突出する突出部43が形成されている。貯油板10の突出部43には,パイプ7の端部69が嵌入するパイプ用突出部27が形成されている。
この直動案内ユニットにおいて,保持板6には,図4に示すように,パイプ7を嵌挿するため長手方向に伸びる円形孔である通し孔9,又は,図5に示すように,パイプ7を嵌入配設するため長手方向に伸びる軌道レール1側に開口する凹溝8が形成されている。また,パイプ7の両端部69は,エンドキャップ4に形成されたパイプ保持用孔34にそれぞれ嵌挿されて,パイプ7は,エンドキャップ4のパイプ保持用孔34に嵌挿されることによって,保持板6をケーシング3に対して接する状態に位置決め支持する機能を有している。更に,パイプ7の両端部69には,貯油板10に設けた突出部27がそれぞれ嵌入して,突出部27がパイプ7の貯油室55に露出し,パイプ7がスライダ2の長手方向に位置決め支持されている。また,パイプ7に形成された貯油室55は,中空状のままになって潤滑油のタンクを構成するか,又はファイバーや貯油板10と同一材料の多孔質成形体等の潤滑油含浸部材を充填して潤滑油のタンクを構成してもよいものである。
この直動案内ユニットでは,パイプ7は,その断面形状が円形や多角形等に形成された薄肉パイプであり,その端部69が一対のエンドキャップ4の突出部42に形成されたパイプ保持用孔34にそれぞれ挿通されてスライダ2の幅方向の位置決めがされ,その端部69の貯油室55を形成する中空部がエンドキャップ4に配設された貯油板10のパイプ用突出部27に嵌入してスライダ2の軸方向の位置決めがされている。また,パイプ7は,保持板6の長手方向に伸びる貫通孔である円形孔の通し孔9(図4)に挿通して保持板6の補強,或いは別の実施例である凹溝8(図5)に嵌入して保持板6の補強をすると共に,保持板6の固定具として機能している。パイプ7は,その断面形状は円形や多角形などに形成される。保持板6の全長寸法は,ケーシング長さよりもわずかに長く両端部69がエンドキャップ4のパイプ保持用孔34にそれぞれ挿通されており,例えば,ケーシング全長が99mmであれば,保持板6の全長が102mmに形成されている。貯油板10の突出部27は,パイプ7の内径と相似形状に形成され,パイプ7の中空部は,潤滑剤を貯留するタンクの役割を果たす貯油室55に構成されている。潤滑油は,半固体のグリースや液体のオイルなどであり,保持板10をケーシング3に固定する前に予めパイプ7の中空部に充填しておく。パイプ7に液体のオイルを充填する場合は,オイルを保持して漏れないようにすることは勿論である。パイプ7に貯油板10と同じ材質の多孔質成形体部品に予め潤滑油を含浸させておき,潤滑油を含浸した部品をパイプ7に配置する。パイプ7に保持された潤滑油は,パイプ7の両端部69に組み合わせた貯油板10の突出部27に接触し,毛細管現象によって潤滑油は貯油板10側に移動して,貯油板10の本体に供給される。パイプ7と貯油板10を組み合わせる継ぎ目付近には,潤滑油の漏れ防止用パッキン類を配置してもよい。
この発明による直動案内ユニットは,工作機械,各種組立装置,搬送機械,各種ロボット,半導体製造装置,精密機械,測定・検査装置,医療機器,マイクロマシーン等の各種装置における摺動部に組み込んで利用され,潤滑剤のメンテナンスフリーを達成し,転動体への良好な潤滑,循環路での転動体の滑らかな転走を発揮できる。
1 軌道レール
2 スライダ
3 ケーシング
4 エンドキャップ
6 保持板
7 パイプ
8 凹溝
9 通し孔
10 貯油板
11 ローラ(転動体)
13 リターン路
18 軌道路
19,20 方向転換路
21,22 軌道面
23,24 案内面
25 凹溝
26 凸部
27 パイプ用突出部
34 パイプ保持用孔
49 側面
55 貯油室

Claims (10)

  1. 両側面に第1軌道面が形成された長尺な軌道レール,及び前記第1軌道面に対向して形成された第2軌道面を備え且つ前記第1軌道面と前記第2軌道面との間に形成される軌道路を転動する転動体を介して前記軌道レールに跨架して相対移動するスライダから成り,前記スライダは,前記第2軌道面と前記第2軌道面に平行に伸びるリターン路を備えたケーシング,前記ケーシングの長手方向の両端にそれぞれ固着され且つ前記リターン路と前記軌道路とを連通する方向転換路を備えたエンドキャップ,前記転動体に潤滑油を給油するため前記エンドキャップにそれぞれ配設され且つ前記潤滑油が含浸された貯油板,及び前記第2軌道面に対して前記転動体を保持する保持板を有することから成る直動案内ユニットにおいて,
    前記保持板には,前記長手方向に沿って前記保持板を前記ケーシングに保持するための固定部材が配設され,前記固定部材の両端部が前記エンドキャップに支持されており,
    前記固定部材には,前記固定部材の長手方向に沿って前記潤滑油を貯留する貯油室が形成されており,
    前記貯油室の両端が前記貯油板にそれぞれ連通して前記貯油室の前記潤滑油が前記貯油板に流動可能に構成されていることを特徴とする直動案内ユニット。
  2. 前記固定部材は,断面形状が円形又は多角形状のパイプに形成されており,前記パイプの中空部が前記貯油室に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の直動案内ユニット。
  3. 前記保持板には,前記パイプを嵌挿するため長手方向に伸びる通し孔が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の直動案内ユニット。
  4. 前記保持板には,前記パイプを嵌入するため長手方向に伸びる前記軌道レール側に開口する凹溝が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の直動案内ユニット。
  5. 前記パイプの前記両端部は,前記エンドキャップに形成されたパイプ保持用孔にそれぞれ嵌挿されて,前記保持板を前記ケーシングに対して接する状態に位置決め支持されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
  6. 前記パイプの前記両端部には,前記貯油板に設けた突出部がそれぞれ嵌入して,前記突出部が前記貯油室に露出し,前記パイプが前記スライダの長手方向に位置決め支持されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
  7. 前記パイプに形成された前記貯油室は,中空状,又は多孔質成形体やファイバーの潤滑油含浸部材が充填されていることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
  8. 前記第1軌道面と前記第2軌道面は,前記転動体であるローラがそれぞれ転動し,前記保持板は,断面が実質的に三角形状に形成され,該三角形状の二辺から形成される凸部は,二条列の前記ローラの端面をそれぞれ案内する長手方向に伸びる案内面に形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
  9. 前記保持板の前記凸部は,前記ケーシングの前記軌道面間に形成された長手方向に伸びる凹溝に係合していることを特徴とする請求項8に記載の直動案内ユニット。
  10. 前記貯油板は,前記潤滑油を含浸した多孔質成形体やファイバで形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
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