JP2014181169A - 黒鉛材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微粉砕された原材料コークスを用い高密度、高強度の黒鉛材料が得られ、かつ着火及び発火しにくい製造方法を提供する。
【解決手段】黒鉛材料の製造方法は、コークス粉にバインダピッチを加え、閉鎖空間で混練しコークス粉の集合体を形成する第1の段階と、空気または酸素を導入しながら前記コークス粉の集合体を混練し、コークス粉の集合体を構成するバインダピッチを縮合させ混練体を得る第2の段階とからなる混練工程と、混練体を粉砕し粉砕原料を得る粉砕工程と、粉砕原料を成形し成形体を得る成形工程と、成形体を焼成し焼成体を得る焼成工程と、焼成体を黒鉛化し黒鉛材料を得る黒鉛化工程と、を含む。
【選択図】図1
【解決手段】黒鉛材料の製造方法は、コークス粉にバインダピッチを加え、閉鎖空間で混練しコークス粉の集合体を形成する第1の段階と、空気または酸素を導入しながら前記コークス粉の集合体を混練し、コークス粉の集合体を構成するバインダピッチを縮合させ混練体を得る第2の段階とからなる混練工程と、混練体を粉砕し粉砕原料を得る粉砕工程と、粉砕原料を成形し成形体を得る成形工程と、成形体を焼成し焼成体を得る焼成工程と、焼成体を黒鉛化し黒鉛材料を得る黒鉛化工程と、を含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、黒鉛材料及びその製造方法に関する。
黒鉛材料は、シリコン単結晶引き上げ装置用部材、放電加工用電極、太陽電池などに用いられる多結晶シリコン用鋳型、ホットプレス用部材など多岐にわたる産業分野に使用されている。このような黒鉛材料は、一般的に下記の(1)〜(5)の工程に従って製造されることが知られている。
(1)ピッチと、コークス粉の混練体を得る混練工程
(2)混練体を粉砕し、成形原料を得る粉砕工程
(3)粉砕原料を成形し成形体を得る成形工程
(4)成形体を加熱することにより、揮発分を除去し焼成体を得る焼成工程
(5)焼成体を焼成工程よりも高い温度で熱処理し、黒鉛化する黒鉛化工程
(2)混練体を粉砕し、成形原料を得る粉砕工程
(3)粉砕原料を成形し成形体を得る成形工程
(4)成形体を加熱することにより、揮発分を除去し焼成体を得る焼成工程
(5)焼成体を焼成工程よりも高い温度で熱処理し、黒鉛化する黒鉛化工程
黒鉛材料の骨材である原材料コークスは、ピッチをコーキングして得られた材料である。原材料コークスは、製造する際に原材料のピッチから熱分解ガスが発生し、内部に大量の気孔を有する多孔質の原材料である。黒鉛材料は大量の気孔を含有するコークスを原材料としているので、高密度の材料を得られにくい。
このため、骨材であるコークスを細かく粉砕し製造することにより、さらに高強度、高密度の黒鉛材料を得ることができる。それは以下の理由による。
(1)骨材を細かく粉砕し原材料コークスそのものに含まれる気孔を少なくすることにより高密度の黒鉛材料が得られる。
(2)細かく粉砕した原材料コークスをバインダで結合し、きめの細かな組織にすることにより気孔サイズを小さくし高強度の黒鉛材料が得られる。
(2)細かく粉砕した原材料コークスをバインダで結合し、きめの細かな組織にすることにより気孔サイズを小さくし高強度の黒鉛材料が得られる。
このような黒鉛材料は、原材料コークスを粉砕したコークス粉を、バインダと共に混練して得られた混練物を粉砕し、成形、焼成、黒鉛化して得られるので、きめの細かい組織を有する多孔質の材料である。
黒鉛材料の原材料であるコークス粉自体は結合力が弱いため、ピッチがコークス粉を結合する役割を果たしている。特に有機成分(揮発分)をほとんど含有しないか焼コークスは、結合力をほとんど持っていない。一方、ピッチは、溶融し原材料コークスを結合した後そのまま炭素化するので、原材料コークス同士を結びつけることができる。ピッチは、炭素化する際にその一部が熱分解し、分解ガスとなって揮散する。ピッチの添加量が少なすぎるとバインダとしての機能が不足し、高密度、高強度の黒鉛材料を得ることは難しい。一方、ピッチの添加量が多すぎると、大量の分解ガスが発生し炭素材料の気孔が増え、高密度、高強度の黒鉛材料が得られにくい上に、内部クラックなどの原因となる。
高密度、高強度の黒鉛材料を得るために特許文献1では、「平均粒径が15ミクロン以下の生ピッチコークスと、平均粒径が44ミクロン以下のか焼ピッチコークスを主体とした配合物にコールタールピッチを添加してなる特殊炭素材用組成物であって、前記生ピッチコークスとか焼ピッチコークスからなる配合物100重量部のうち、生ピッチコークスが40重量部以上であることを特徴とする特殊炭素材用組成物(黒鉛材料)。」が記載されている。
具体的にこの文献における製造方法では、特殊炭素材の主原料として、生ピッチコークスと、か焼ピッチコークスとを使用することにより、両原料の微粒子とコールタールピッチとの相容性などを改善し、黒鉛の構造の形成、素材内の均一性を一段と向上させることにより、従来の生石油コークスとか焼コークスとの組合せ原料では得られなかった高耐酸化性及び特に高強度かつ高密度で、高純度の特殊炭素材を得ることが記載されている。
また、特許文献1に記載の製造方法では生ピッチコークスなど、揮発分を含有し、骨材自身が粘結性を有する原材料コークスを用いているので、分解ガスが発生することにより気孔を形成しやすいバインダの添加量を減らすことができ、高密度、高強度の黒鉛材料が得られている。
しかしながら、微粉炭の粉塵爆発などで知られているように、原材料コークスは可燃性物質である。原材料コークスは細かく粉砕しメジアン径が小さくなると比表面積が大きくなり、化学的反応性が高く、酸素などと反応しやすい。特に揮発分を含有する生コークスは、化学的反応性が特に高く、酸素などと反応しやすい。
加熱された混練装置にこのように微粉砕されたコークス粉を添加し、加熱しながら混練すると、コークス粉と酸素が結合し、着火することがある。特に加熱された混練装置では、着火限が無くても、加熱したコークス自体が着火源となり発火することがある。特に生コークスを原材料に用いると着火及び発火が起きやすくなる。
また、粘結性が強く揮発分の高い生コークスは、前の粉砕工程でも着火しやすく、揮発分の多い生コークスの粉砕には着火しないように窒素雰囲気で粉砕するなど特別の粉砕装置を必要とする。
このため、組織の細かな高密度、高強度の黒鉛材料を得るために、揮発分の高い細かな原材料コークスを用いると、原材料が着火しやすいためリスクがある。
本発明では、微粉砕された原材料コークスを用い高密度、高強度の黒鉛材料が得られ、かつ着火及び発火しにくい製造方法を提供することを目的とする。
(1)本発明の黒鉛材料の製造方法は、コークス粉にバインダピッチを加え、閉鎖空間で混練しコークス粉の集合体を形成する第1の段階と、空気または酸素を導入しながら前記コークス粉の集合体を混練し、コークス粉の集合体を構成する前記バインダピッチを縮合させ混練体を得る第2の段階とからなる混練工程と、前記混練体を粉砕し粉砕原料を得る粉砕工程と、前記粉砕原料を成形し成形体を得る成形工程と、前記成形体を焼成し焼成体を得る焼成工程と、前記焼成体を黒鉛化し黒鉛材料を得る黒鉛化工程と、を含む。
(2)本発明の一形態であって、例えば、前記第1の段階は、前記バインダピッチの軟化点以上の温度環境下で行われる。
(3)本発明の一形態であって、例えば、前記第2の段階は、混練装置の内壁温度よりもコークス粉の集合体の温度が高い。
(4)本発明の一形態であって、例えば、前記第1の段階と前記第2の段階との境界で、前記コークス粉の集合体の昇温速度は、非連続的に上昇している。
(2)本発明の一形態であって、例えば、前記第1の段階は、前記バインダピッチの軟化点以上の温度環境下で行われる。
(3)本発明の一形態であって、例えば、前記第2の段階は、混練装置の内壁温度よりもコークス粉の集合体の温度が高い。
(4)本発明の一形態であって、例えば、前記第1の段階と前記第2の段階との境界で、前記コークス粉の集合体の昇温速度は、非連続的に上昇している。
本発明によれば、混練工程は、コークス粉にバインダピッチを加え、閉鎖空間で混練しコークス粉の集合体を形成する第1の段階と、空気または酸素を導入しながら前記コークス粉の集合体を混練し、コークス粉の集合体を構成する前記バインダピッチを縮合させ混練体を得る第2の段階とからなることを特徴にしている。したがって、第1の段階でメジアン径が小さく比表面積の大きいコークス粉にバインダピッチを加えてコークス粉の集合体を形成するので、メジアン径が小さく比表面積の大きいコークス粉を酸素に接触させることなく黒鉛材料を製造することができる。このため、微細な組織を有する高密度、高強度の黒鉛材料を着火することなく形成することができる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
本明細書においてメジアン径とは50%体積累積径を示し、径とは直径のことを示す。
本明細書において、粘結性とは、特に石炭および炭素系材料に使用される用語であり、軟化状態を経て炭化しうる性質のことを示し、軟化状態においては粘着性を有しているので互いに結合することができる。
本明細書において、「バインダピッチ」とは、「ピッチ」に包含される。バインダピッチとは、混練、混合の際に添加する目的で使用するピッチを示している。他にも、ピッチには含浸のために使用される含浸ピッチなどもある。含浸ピッチでもバインダピッチであっても、ピッチとしては同じものを使用することができる。
本実施形態の黒鉛材料の製造方法は、基本的に以下の(a)〜(e)の工程を備える。
(a)コークス粉にバインダピッチを加え、閉鎖空間で混練しコークス粉の集合体を形成する第1の段階と、空気または酸素を導入しながら前記コークス粉の集合体を混練し、コークス粉の集合体を構成する前記バインダピッチを縮合させ混練体を得る第2の段階とからなる混練工程
(b)前記混練体を粉砕し粉砕原料を得る粉砕工程
(c)前記粉砕原料を成形し成形体を得る成形工程
(d)前記成形体を焼成し焼成体を得る焼成工程
(e)前記焼成体を黒鉛化し黒鉛材料を得る黒鉛化工程
(b)前記混練体を粉砕し粉砕原料を得る粉砕工程
(c)前記粉砕原料を成形し成形体を得る成形工程
(d)前記成形体を焼成し焼成体を得る焼成工程
(e)前記焼成体を黒鉛化し黒鉛材料を得る黒鉛化工程
図1は本発明の一実施形態による黒鉛材料の製造方法の製造工程のフロー図を示し、図2は本発明の一実施形態による黒鉛材料の製造方法の混練工程を模式図で詳しく示す。
図2に記載されている本実施形態の製造方法における混練工程を以下に説明する。図2に記載されている内容は、図1のS1に該当する。
図2(A)は、コークス11を示している。コークス11は、層状の結晶が発達している代わりに内部に主にコーキング収縮によって生じた大きな気孔11aを有している。図2(B)は、前記コークス11を粉砕したコークス粉12を示している。図2(A)で見られたコークス内部の大きな気孔11aは、細かく粉砕することによって無くなっている。図2(C)は、コークス粉12にバインダピッチ1を添加してできたコークス粉の集合体13を示している。
図2(D)は、コークス粉の集合体13に空気または酸素を導入しながら混練し得られた混練体14を示している。前記バインダピッチ1を、縮合することによって、コークス粉を強固に結合させ、混練体に変化させる。
以下に本発明の黒鉛材料の製造方法における混練工程を、図面を参考にしつつ、説明する。
本発明において、混練工程の第1の段階では、まずコークス粉にバインダピッチ1を加え、閉鎖空間で混練することによりコークス粉12同士を結合し、コークス粉の集合体13を形成する。コークス粉が存在する段階では、微粉砕されメジアン径の小さいコークス粉12は比表面積が大きいので着火しやすいが、一旦コークス粉の集合体13が形成されると比表面積が小さくなり、加熱に際し蒸発潜熱が必要となるバインダピッチ1を含有するので着火しにくくすることができる(図2(C))。
混練工程の第2の段階では、次に、得られたコークス粉の集合体13に空気または酸素を導入しながら混練し、混練体14を得る。この段階が終了すると、コークス粉12に加えられたバインダピッチ1は縮合が進行している(図2(D))。
本発明において、混練工程では、空気または酸素を導入するので、混練体に含まれるバインダピッチから水素が引き抜かれやすくなり、バインダピッチの縮合反応が促進されると考えられる。このため、バインダピッチの低分子量成分が揮発する速度よりも、バインダピッチの縮合が速く進行し、コークス同士を強固に結びつけ、緻密な黒鉛材料が得られると考えられる。さらに、混練工程では、第1の段階でコークス粉12はコークス粉の集合体13になり、比表面積が小さく着火しにくくなっている上に、きめ細かな組織を有している。第2の段階で更にバインダピッチ1の縮合を促進させることによって、揮発分を調整し、加え粘着性を付与することにより、成形性を良くし、さらに粘結性を高め、高密度、高強度の黒鉛材料が得られるようになる。
これに対し従来の黒鉛材料の製造方法では、空気または酸素を導入することなく、コークス粉12にバインダピッチ1を加え、混練体14を形成している。このため、バインダピッチが充分に縮合せず低分子量成分が揮発しやすくなると考えられる。このため、コークス同士を強固に結びつけられず、高密度、高強度の黒鉛材料が得られにくくなると考えられる。
以下に本実施形態の黒鉛材料の製造方法についてステップ毎に詳しく説明する。
<混練工程の説明;図1のステップS1>
本実施形態において閉鎖空間とは、周囲を囲まれた空間のことを示している。具体的には例えば、混練装置に蓋をした状態など、ガスの拡散が制限される環境のことを示し、気密性までは要求しない。混練装置に蓋をした状態などガスの拡散が制限される環境であれば、外部からの空気、酸素の流入を制限されるので酸素濃度を低く維持することができ、後述するようにコークス粉又は生コークスに着火しにくくすることができる。
本実施形態において閉鎖空間とは、周囲を囲まれた空間のことを示している。具体的には例えば、混練装置に蓋をした状態など、ガスの拡散が制限される環境のことを示し、気密性までは要求しない。混練装置に蓋をした状態などガスの拡散が制限される環境であれば、外部からの空気、酸素の流入を制限されるので酸素濃度を低く維持することができ、後述するようにコークス粉又は生コークスに着火しにくくすることができる。
本発明において、空気または酸素を導入するとは、どのような方法でも良い。外部からブロアー空気または酸素を送り込んでも良いし、混練装置内で発生するバインダピッチの分解ガスを吸引することにより、外部から空気または酸素を取り込んでも良い。
本発明のコークス粉の原材料は、特に限定されない。石油系コークス、石炭系コークス及びそれらの生コークス、か焼コークスなどどのようなものでも良い。これらのコークスを微粉砕しコークス粉を得ることができる。コークス粉のメジアン径は特に限定されないが、例えば、3〜15μmに粉砕されたコークス粉が利用できる。
微粉砕されたコークス粉は、比表面積が大きいので熱を加えると、雰囲気中に含まれる酸素と反応し、酸化しやすくなる。コークス粉は、揮発成分が少ないあるいは含まれていないので気化熱を奪われることなく容易に加熱することができ、一旦反応が進み始めると急激に温度が上昇し着火あるいは発火する。
本実施形態の黒鉛材料の製造方法は、第1の段階で、まず閉鎖空間内でコークス粉とバインダピッチとが混練されることによりコークス粉同士をピッチで結合し比表面積を小さくし、酸素との反応性を小さくすると同時に、揮発成分を添加することにより加熱しにくくする。
引き続き、第2の段階で空気または酸素を導入することによって熱を奪いながらバインダピッチに含まれる揮発分を徐々に揮散させることができる。さらに酸素には、バインダピッチを縮合させる作用があり、バインダピッチのコークス化を促進する作用がある。空気または酸素を導入しながらコークス粉の集合体を混練することにより、バインダピッチの縮合を促進することができる。バインダピッチによる結合により、コークス粉の集合体を形成し、比表面積の大きなコークス粉を酸素と接触させることなく加熱混練する混練工程を経ることによって、粘結力の強い混練体を形成することができる。
また、第2の段階の途中でバインダピッチを追加しても良い。第2の段階の途中でバインダピッチを追加投入することによって以下の効果が期待できる。
混練工程の最初に加えられたバインダピッチは、第2の段階で空気または酸素を導入しながら縮合が進行する。縮合の進行したバインダピッチは、粘着力のある低分子量成分が少なくなっているので、後の成形工程で縮合の進行したバインダピッチを含む粉砕原料の粘着力が低下し、成形性が悪くなると考えられる。成形性が悪くなると、成形体の強度が低下し、成形体が割れやすくなる。このため、第2の段階の途中でバインダピッチを追加することにより、粘着力のある低分子量成分を添加し、成形体を割れにくくすることができる。
第2の段階の途中で追加するバインダピッチの量は、過剰に添加すると混練工程でコークス粉の集合体が大きな塊を形成し、混練しにくくなる。また、第2の段階の途中で追加するバインダピッチを大量に添加すると、後の焼成工程で追加したバインダピッチから大量の分解ガスが発生し、炭素材料の気孔が増え、高密度、高強度の黒鉛材料が得られにくい上に、内部クラックなどの原因となり得る。したがって、混練工程の第2の段階で追加するバインダピッチの量は、混練工程の最初に加えられたバインダピッチの量よりも少ないことが望ましい。
第2の段階の途中でバインダピッチを追加投入する場合、望ましくは、第2の段階の途中で追加するバインダピッチの量は、混練工程の最初に加えられたバインダピッチの量の15〜25%であることが望ましい。第2の段階の途中で追加するバインダピッチの量が、混練工程の最初に加えられたバインダピッチの量の25%を超えると、余剰なバインダピッチがコークス粉の集合体の表面に多量に残留することにより、混練工程でコークス粉の集合体の大きな塊が形成され混練しにくくなる。また、第2の段階の途中で追加するバインダピッチの量が、混練工程の最初に加えられたバインダピッチの量の25%を超えると、焼成工程で第2の段階の途中で追加するバインダピッチから大量の分解ガスが発生し炭素材料の気孔が増え、高密度、高強度の黒鉛材料が得られにくい上に、内部クラックが発生しやすくなる。第2の段階の途中で追加するバインダピッチの量が、混練工程の最初に加えられたバインダピッチの量の15%以上であると、混練工程で形成される混練体に十分な粘結性を付与できるので高密度、高強度の黒鉛材料を得ることができる。
混練工程で使用するバインダピッチは、特に限定されない。たとえば、石油系ピッチ、石炭系ピッチなどが利用できるが、中でも石炭系ピッチを使用することが好ましい。石炭系ピッチは芳香環が多く含まれているので、炭化の進行したコークスとの馴染みが良く、速やかにコークス粉の集合体を形成することができ、コークス粉への着火の防止効果が高い。
混練工程で使用するバインダピッチの軟化点は特に限定されないが、60〜100℃のピッチを使用することが好ましい。軟化点が60℃以上であると、炭化収率が高いので、効率良く生コークスを製造することができる。軟化点が100℃以下であると、速やかに溶融させることができるので、速やかにコークス粉の集合体を形成することができ、コークス粉への着火の防止効果が高い。
<粉砕工程の説明;図1のステップS2>
本発明の粉砕工程は、コークス粉と、バインダピッチとからなる混練体を粉砕する。下記に述べるように、粉砕原料のメジアン径は、出発原料のコークス粉のメジアン径よりも大きいことが望ましく、さらに望ましくはコークス粉のメジアン径の150%以上であることが望ましい。粉砕工程では、混練体の軟らかい部分から粉砕される。
本発明の粉砕工程は、コークス粉と、バインダピッチとからなる混練体を粉砕する。下記に述べるように、粉砕原料のメジアン径は、出発原料のコークス粉のメジアン径よりも大きいことが望ましく、さらに望ましくはコークス粉のメジアン径の150%以上であることが望ましい。粉砕工程では、混練体の軟らかい部分から粉砕される。
混練体は、混練工程で添加されたバインダピッチとコークス粉とからなる。バインダピッチに比べ、コークス粉は硬く、粉砕されにくい。また、粘結性は、バインダピッチよりもコークス粉の方が小さい。粉砕原料のメジアン径がコークス粉のメジアン径よりも小さくなるように粉砕すると、さらにコークス粉を細かくするように作用するので、粘結性の無いコークス粉の破断面が露出する。粘結性の無いコークス粉の破断面が露出しないよう、粉砕原料のメジアン径は、コークス粉のメジアン径よりも大きくすることが望ましく、さらに粘結性の無いコークス粉の破断面が露出しないよう、粉砕原料のメジアン径はコークス粉のメジアン径の150%以以上であることが望ましい。
本発明の粉砕工程は、どのような粉砕機を用いても良く特に限定されない。ピンミル、ハンマーミルなど市販の粉砕機によって粉砕することができる。
<成形工程の説明;図1のステップS3>
本発明の成形工程はどのような方法を用いても良く特に限定されない。例えば、型押し成形、CIP成形(Cold Isostatic Press)などどのような方法でも利用することができる。また成形圧力は、特に限定されない。例えば20〜5000MPaの成形圧力で成形することができる。型押し成形では、一軸方向の加圧になり、扁平な粉砕原料の粒子が加圧方向に直交する平面に配列する傾向が高く方向性がつきやすいのに対し、CIP成形では、全方向から均等に加圧されるので方向性のつきにくい(異方比の小さな)黒鉛材料を得ることができる。このため、CIP成形によって成形することが好ましい。
本発明の成形工程はどのような方法を用いても良く特に限定されない。例えば、型押し成形、CIP成形(Cold Isostatic Press)などどのような方法でも利用することができる。また成形圧力は、特に限定されない。例えば20〜5000MPaの成形圧力で成形することができる。型押し成形では、一軸方向の加圧になり、扁平な粉砕原料の粒子が加圧方向に直交する平面に配列する傾向が高く方向性がつきやすいのに対し、CIP成形では、全方向から均等に加圧されるので方向性のつきにくい(異方比の小さな)黒鉛材料を得ることができる。このため、CIP成形によって成形することが好ましい。
<焼成工程の説明;図1のステップS4>
本発明の焼成工程は、どのような方法を用いても良い。たとえば、電気炉、燃焼炉などどのような方法でも利用することができる。焼成工程は、後の黒鉛化工程と同様に成形体あるいは焼成体を加熱するための工程である。焼成工程では、後の黒鉛化工程で割れないよう成形体の揮発分を十分に除去することが目的であり、揮発分の大半が除去できていること、昇温速度が、成形体の割れを誘発しない程度に遅いことが望ましい。望ましい処理温度は、800〜1500℃である。処理温度が800℃以上であれば、成形体の炭素化が十分に行われているので、後の黒鉛化工程で急激に加熱しても成形体にかかる熱衝撃を小さくすることができ、割れにくくすることができる。成形体から発生する分解ガスは1500℃までにほぼ収束するので、1500℃を超える温度で焼成しても、黒鉛化工程の割れ易さにほとんど影響を与えない。1500℃を超える温度で処理しても、熱エネルギーは無駄になるので、1500℃以下の処理温度で焼成されることが好ましい。
本発明の焼成工程は、どのような方法を用いても良い。たとえば、電気炉、燃焼炉などどのような方法でも利用することができる。焼成工程は、後の黒鉛化工程と同様に成形体あるいは焼成体を加熱するための工程である。焼成工程では、後の黒鉛化工程で割れないよう成形体の揮発分を十分に除去することが目的であり、揮発分の大半が除去できていること、昇温速度が、成形体の割れを誘発しない程度に遅いことが望ましい。望ましい処理温度は、800〜1500℃である。処理温度が800℃以上であれば、成形体の炭素化が十分に行われているので、後の黒鉛化工程で急激に加熱しても成形体にかかる熱衝撃を小さくすることができ、割れにくくすることができる。成形体から発生する分解ガスは1500℃までにほぼ収束するので、1500℃を超える温度で焼成しても、黒鉛化工程の割れ易さにほとんど影響を与えない。1500℃を超える温度で処理しても、熱エネルギーは無駄になるので、1500℃以下の処理温度で焼成されることが好ましい。
成形体を焼成する際の昇温速度は、成形体内部に発生する温度差に応じて適宜設定することができる。例えば、200×100×30mmのサイズの成形体であれば、20℃/hr以下の昇温速度で焼成することができ、例えば1000×500×300mmの成形体であれば、1℃/hr以下の昇温速度で焼成することができる。
<黒鉛化工程の説明;図1のステップS5>
本発明の黒鉛化工程は、どのような方法を用いても良い。アチェソン炉、誘導炉などを利用することができる。黒鉛化は、用途に応じて適宜処理温度を設定することができ、例えば2000〜3200℃の処理温度で黒鉛化することができる。
本発明の黒鉛化工程は、どのような方法を用いても良い。アチェソン炉、誘導炉などを利用することができる。黒鉛化は、用途に応じて適宜処理温度を設定することができ、例えば2000〜3200℃の処理温度で黒鉛化することができる。
<その他>
混練工程の第1の段階は、バインダピッチの軟化点以上の温度環境下で行われることが好ましい。混練工程の第1の段階では、空気あるいは酸素の供給されない閉鎖空間内でコークス粉をピッチによって結合しコークス粉の比表面積を小さくすると共に、蒸発潜熱を有するピッチを混合(混練)することによって、急速な酸化反応の起きにくい原材料を調整することを目的とする。コークス粉の集合体を形成する段階が速やかに行われるためにはバインダピッチの軟化点以上の温度環境下で行われることが好ましい。バインダピッチの軟化点以上の温度環境下であれば、バインダピッチが液状で存在するので、機械的な摩擦力を特に必要とすることなく混合までの時間を短くすることが出来る。混合までの時間を短くすることにより、混練装置内に残留する空気または酸素との接触時間を短くすることができるので、コークス粉が着火しにくくすることができる。望ましい混練工程の第1の段階における混練装置の内壁温度は、150℃〜300℃でありかつ使用するバインダピッチの軟化点以上の温度である。150℃であればバインダピッチを十分に軟化させることができ混合の時間を短縮することができる。300℃以下であればバインダピッチをゆっくりと加熱することができるので後述するように混練装置の摩擦力と熱との相互作用によって粒状の生コークスを形成することができる。混練装置の内壁温度とは、混練装置の内壁のうち内容物の接する部分の温度を示す。
混練工程の第1の段階は、バインダピッチの軟化点以上の温度環境下で行われることが好ましい。混練工程の第1の段階では、空気あるいは酸素の供給されない閉鎖空間内でコークス粉をピッチによって結合しコークス粉の比表面積を小さくすると共に、蒸発潜熱を有するピッチを混合(混練)することによって、急速な酸化反応の起きにくい原材料を調整することを目的とする。コークス粉の集合体を形成する段階が速やかに行われるためにはバインダピッチの軟化点以上の温度環境下で行われることが好ましい。バインダピッチの軟化点以上の温度環境下であれば、バインダピッチが液状で存在するので、機械的な摩擦力を特に必要とすることなく混合までの時間を短くすることが出来る。混合までの時間を短くすることにより、混練装置内に残留する空気または酸素との接触時間を短くすることができるので、コークス粉が着火しにくくすることができる。望ましい混練工程の第1の段階における混練装置の内壁温度は、150℃〜300℃でありかつ使用するバインダピッチの軟化点以上の温度である。150℃であればバインダピッチを十分に軟化させることができ混合の時間を短縮することができる。300℃以下であればバインダピッチをゆっくりと加熱することができるので後述するように混練装置の摩擦力と熱との相互作用によって粒状の生コークスを形成することができる。混練装置の内壁温度とは、混練装置の内壁のうち内容物の接する部分の温度を示す。
混練装置の内壁温度よりもコークス粉の集合体の最高温度が高いことが好ましい。コークス粉の集合体に含まれるバインダピッチが酸素と反応し縮合し、また混練装置のインペラー(羽根)の回転で摩擦熱を発し、混練装置の内壁温度よりも高くなるよう発熱することによって、縮合を進行させることができる。
コークス粉の集合体の最高温度とは、混練装置によって混練され、コークス粉の集合体の温度が時間的に推移していく中で到達する最高温度のことを指す。尚、バインダピッチの軟化点は、JIS K2425−2006の環球法によって測定することができる。
コークス粉の集合体の最高温度とは、混練装置によって混練され、コークス粉の集合体の温度が時間的に推移していく中で到達する最高温度のことを指す。尚、バインダピッチの軟化点は、JIS K2425−2006の環球法によって測定することができる。
第1の段階と第2の段階との境界で、コークス粉の集合体の昇温速度は、非連続的に上昇していることが好ましい。第1の段階では、インペラーから与えられる摩擦熱でコークス粉の集合体の温度が上昇し、第2の段階は、インペラーから与えられる摩擦熱及びバインダピッチと酸素との反応熱によってコークス粉の集合体の温度が上昇する。このため、空気または、酸素を導入することにより、コークス粉の集合体の昇温速度が非連続的に大きくなる。
非連続的に大きくなるとは、前後で上昇速度が段階的な変化を有していることを示している。第1の段階と第2の段階との境界で、コークス粉の集合体の昇温速度は、非連続的に上昇するように十分な空気または酸素を供給し混練することで、バインダピッチの縮合を促進させることができる。
混練工程の第2の段階において、バインダピッチを追加投入する場合の製造方法を以下に説明する。
混練工程の第2の段階において、コークス粉の集合体が粒状となった段階でバインダピッチを加えることが好ましい。混練工程では、まず混練装置(ニーダー)の機械的摩擦力が作用し、コークス粉と混練工程の最初に加えられたバインダピッチとが混練される。第2の段階に移り、空気または酸素が導入されると、バインダピッチは時間の経過と共に熱と雰囲気の酸素の作用で熱分解し、重合度を高めていく。バインダピッチの熱分解と共に、コークス粉とバインダピッチとの混合物は、湿った粉末状(湿粉状)から1〜30mm程度の粒状に変化していく。湿粉状のコークス粉とバインダピッチとの混合物は、混練装置のインペラーと壁面との間で摩擦力と熱とを受けバインダピッチの縮合が促進される。ピッチの縮合が進むにつれて、1〜30mm程度の粒状に変化していくので、混練装置のインペラーと壁面との間に挟まれても、転がるように作用し、摩擦力、熱を受けにくくなる。また、大きな粒は混練装置のインペラーと壁面との間に挟まれることはなく、摩擦力、熱とも受けにくい。このため、コークス粉とバインダピッチとの混合物が粒状になった段階でバインダピッチの縮合の進行が鈍化する。さらに継続し混練を続けると、バインダピッチの縮合が少しずつ進行し粒が硬くなり、粒の表面が少しずつ研磨され、粉が発生するようになる。遅くとも粉が発生し始める段階までにバインダピッチを追加投入することが好ましい。粉が形成され始めると、コークス粉の集合体の比表面積が大きく変化するので必要とされる追加投入されるバインダピッチの量が不安定になり、得られる黒鉛材料の強度及び密度が不安定になり、高強度、高密度の黒鉛材料が得られにくくなる。
第2の段階の途中で追加するバインダピッチは、混練工程の最初に加えられたバインダピッチと同一であっても良いし、異なっていても良く、たとえば、石油系ピッチ、石炭系ピッチなどが利用できる。また第2の段階の途中で追加するバインダピッチと混練工程の最初に加えられたバインダピッチが同一であると、ピッチが炭化して形成された黒鉛材料組織は、不純物、結晶化度が類似するので、均質な黒鉛材料が得られ、欠陥の少ない高強度の黒鉛材料が得られると考えられる。混練形成工程に使用するバインダピッチの軟化点は特に限定されない。例えば軟化点が60〜100℃のピッチを利用することができる。
以下に本発明の実施例及び比較例を順に説明する。尚、実施例における混練装置の内容物の温度を示す図3を参照しながら説明する。
<混練工程>
混練装置は、双腕型ニーダーを使用した。双腕型ニーダーの壁面及び底面にはジャケットを有し、ジャケット内に熱媒オイルが充填され、内部のヒーターによって温度制御されている。双腕型ニーダーの混練部は上部に開口を有しているが、開口を蓋で覆うことにより混練部を閉鎖することができる。開口を蓋で覆うことによって混練部と外部との気体の移動を制限することができる。また、双腕型ニーダーの上部には、ブロアーにつながる排気管と、外気につながる吸入管を有している。吸入管には遮断弁を有し、遮断弁が解放時にブロアーで混練装置内のガスを吸引することにより、吸入管から空気を導入することができる。混練装置の内壁温度は、内容物が接する底部に設置される熱電対で測定される。
混練装置は、双腕型ニーダーを使用した。双腕型ニーダーの壁面及び底面にはジャケットを有し、ジャケット内に熱媒オイルが充填され、内部のヒーターによって温度制御されている。双腕型ニーダーの混練部は上部に開口を有しているが、開口を蓋で覆うことにより混練部を閉鎖することができる。開口を蓋で覆うことによって混練部と外部との気体の移動を制限することができる。また、双腕型ニーダーの上部には、ブロアーにつながる排気管と、外気につながる吸入管を有している。吸入管には遮断弁を有し、遮断弁が解放時にブロアーで混練装置内のガスを吸引することにより、吸入管から空気を導入することができる。混練装置の内壁温度は、内容物が接する底部に設置される熱電対で測定される。
メジアン径14μmとなるように粉砕されたか焼コークスのコークス粉と、軟化点 85℃の固形の石炭系のバインダピッチとを原材料とし、混練工程を行った。
まずコークス粉400kgとバインダピッチ188kgとを、熱媒オイルによって内壁温度が220℃に温度制御された混練装置(双腕型ニーダー)に投入し、蓋をして混練部を閉鎖したまま20分保持し、コークス粉とバインダピッチとを加熱した。加熱後、双腕型ニーダーのインペラー(羽根)を回転し、コークスとバインダピッチとを混合しながらインペラーと混練装置の壁面との間で、圧縮、剪断作用を与えた。インペラーの回転開始後32分で(図3のA点)内容物(コークス粉とバインダピッチとの混合物)の温度がバインダピッチの融点を超える185℃に到達しブロアーで内部のガスの吸引を開始した。この時点では内容物は湿粉状(湿った粉状)であった。ブロアーで混練装置内部のガスの吸引を開始する第1の段階と第2の段階との境界(すなわちA点)で、内容物であるコークス粉の集合体の昇温速度が、非連続的に上昇していることが確認された。具体的には、ブロアーで内部のガスの吸引を開始する直前の昇温速度は、43℃/hrであったのに対し、ブロアーで内部のガスの吸引を開始した直後の昇温速度は60℃/hrであり、17℃/hrの非連続的な上昇が見られた。
これは、吸入管から室温の外気を導入し、排気管から暖まったガスが排出されるので、混練装置内の熱を奪っているのに対し、実際にはブロアーで吸引することにより内容物の温度上昇の速度が大きくなるので、外気を導入することによって内容物が発熱していることがわかる。これは、バインダピッチと酸素との反応であり、酸素がバインダピッチの縮合反応に関与していることがわかる。
ブロアーで吸引を開始してから100分後、すなわちインペラーの回転開始後132分でインペラーを回転するモーターの負荷が減少に転ずるとともに(図3のB点)、内容物(コークス粉の集合体)の温度が下降に転じはじめた。このときの温度は253℃であった。このときの温度は、混練装置の内壁温度よりも高いので、インペラーから与えられる摩擦熱及び、バインダピッチと酸素とが反応し、縮合反応が促進し発熱していることがわかる。混練装置の内壁温度よりもコークス粉の集合体の温度が高くなっている。これ以降の内容物の温度は、測温する熱電対に内容物が付着し、連続的に測定できなかったため省略する。
さらに混練を続けると次第に内容物が粒状に成長していった。インペラーの回転開始から189分経過した時点では内容物(コークス粉の集合体)が1〜20mm程度で表面に光沢を有する粒状に成長していた。このため、インペラーから粒状となったコークス粉の集合体に充分に摩擦力を伝えることができず、内容物(コークス粉の集合体)の温度が下降していると推定される。
この時点で(インペラーの回転開始から189分後に)、さらにバインダピッチを46kg追加投入した。バインダピッチを追加投入すると、粒状となったコークス粉の集合体が付着しあって大きな塊を形成しはじめた。これと同時にインペラーには大きな回転トルクが必要となった。その後、取り出した内容物は、混練体として次の粉砕工程で粉砕する。
混練工程において、内容物には着火することはなかった。
<粉砕工程>
前記工程で得られた混練体を、粉砕機(ピンミル)を用いて粉砕した。粉砕機で繰り返し粉砕することにより、メジアン径21.2μmの粉砕原料を得た。
前記工程で得られた混練体を、粉砕機(ピンミル)を用いて粉砕した。粉砕機で繰り返し粉砕することにより、メジアン径21.2μmの粉砕原料を得た。
<成形工程>
前記工程で得られた粉砕原料をラバーバックに充填し、蓋を被せ密封しCIP成形機で成形した。CIP成形機の圧力は100MPaであった。成形工程によって、70×150×200mmの成形体が得られた。
前記工程で得られた粉砕原料をラバーバックに充填し、蓋を被せ密封しCIP成形機で成形した。CIP成形機の圧力は100MPaであった。成形工程によって、70×150×200mmの成形体が得られた。
<焼成工程>
前記工程で得られた成形体を焼成缶に詰め、900℃の処理温度で焼成し焼成体を得た。焼成工程の昇温速度は、1.3℃/hrであった。
前記工程で得られた成形体を焼成缶に詰め、900℃の処理温度で焼成し焼成体を得た。焼成工程の昇温速度は、1.3℃/hrであった。
<黒鉛化工程>
前記工程で得られた、焼成体を黒鉛の容器に詰め、誘導炉を用いて2500℃まで加熱し、黒鉛材料を得た。得られた黒鉛材料を切断すると、内部クラックなどのない緻密で微細な組織の断面が得られていた。
前記工程で得られた、焼成体を黒鉛の容器に詰め、誘導炉を用いて2500℃まで加熱し、黒鉛材料を得た。得られた黒鉛材料を切断すると、内部クラックなどのない緻密で微細な組織の断面が得られていた。
さらに、得られた黒鉛材料からテストピースをサンプリングし、かさ密度、曲げ強度を測定した。かさ密度は、1.752g/cm3、曲げ強度は、45.5MPaであった。
メジアン径が7μmとなるように粉砕された石炭系の生コークスのコークス粉と、軟化点85℃の固形の石炭系ピッチとを原材料とし、混練工程を行った。生コークスは、水分4%、揮発分12%を含有する。生コークス自体は、自然発火しやすいので、水分が加えられている。このためロータリーキルンで乾燥し水分を除去しそのまま粉砕してコークス粉を得た。尚、揮発分はJIS M8812に準じて測定することができる。
実施例と同じ混練装置にコークス粉と、バインダとを投入し、蓋を解放したまま混練を続けると、内容物の温度が上昇し生コークスに着火し、赤熱するようになり、混練することが出来なかった。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、特許請求の範囲及び明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更又は応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
本発明によれば、微細な組織を有する高密度、高強度の黒鉛材料を安全かつ効率的に形成することができこととなる。
1 バインダピッチ
2 バインダピッチの炭化物
11 コークス
11a 気孔
12 コークス粉
13 コークス粉の集合体
14 混練体
2 バインダピッチの炭化物
11 コークス
11a 気孔
12 コークス粉
13 コークス粉の集合体
14 混練体
Claims (4)
- コークス粉にバインダピッチを加え、閉鎖空間で混練しコークス粉の集合体を形成する第1の段階と、空気または酸素を導入しながら前記コークス粉の集合体を混練し、コークス粉の集合体を構成する前記バインダピッチを縮合させ混練体を得る第2の段階とからなる混練工程と、
前記混練体を粉砕し粉砕原料を得る粉砕工程と、
前記粉砕原料を成形し成形体を得る成形工程と、
前記成形体を焼成し焼成体を得る焼成工程と、
前記焼成体を黒鉛化し黒鉛材料を得る黒鉛化工程と、
を含む黒鉛材料の製造方法。 - 請求項1に記載の黒鉛材料の製造方法であって、
前記第1の段階は、前記バインダピッチの軟化点以上の温度環境下で行われる、黒鉛材料の製造方法。 - 請求項1または2に記載の黒鉛材料の製造方法であって、
前記第2の段階は、混練装置の内壁温度よりもコークス粉の集合体の最高温度が高い、黒鉛材料の製造方法。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の黒鉛材料の製造方法であって、
前記第1の段階と前記第2の段階との境界で、前記コークス粉の集合体の昇温速度は、非連続的に上昇している、黒鉛材料の製造方法。
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