JP2014179225A - 光電変換素子、その製造方法および太陽電池 - Google Patents

光電変換素子、その製造方法および太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】光電変換効率に優れる光電変換素子を提供する。
【解決手段】光電変換層が、O−Siのピーク強度:O−Tiのピーク強度の比が5:95〜30:70となるように、式(1):Si(R(R4−nまたは式(2):(RSi−NH−Si(Rで示されるシラン化合物で気相処理される、光電変換素子。
【選択図】なし

Description

本発明は、光電変換素子、特に全固体色素増感型の光電変換素子、その製造方法および該光電変換素子を用いて構成してなる太陽電池に関する。
近年、環境問題などから、エネルギー源として太陽光エネルギーが注目されており、太陽光エネルギーの光、熱を活用して、利用し易いエネルギー形態である電気エネルギーに変換する方法が実用化されている。中でも、太陽光を電気エネルギーに変換する方法がその代表的なものであり、この方法には光電変換素子が用いられる。光電変換素子としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、テルル化カドミウムおよびセレン化インジウム銅等の無機系の材料を用いた光電変換素子が広く用いられ、所謂太陽電池に広く利用されている。しかし、これらの無機系の材料を用いた光電変換素子を用いた太陽電池は、材料として用いるシリコンなどが高度な精製過程を経た高純度品である必要がある、多層pn接合構造を有するため、製造工程が複雑でプロセス数が多く、製造コストが高いなどの問題点があった。
一方、より簡素な素子として有機材料を用いた光電変換素子の研究も進められている。例えば、n型の有機色素であるペリレンテトラカルボン酸誘導体とp型の有機色素である銅フタロシアニンとを接合させた、pn接合型の有機光電変換素子が報告されている。有機光電変換素子において、弱点であると考えられている励起子拡散長の短さと空間電荷層の薄さを改良する為に、単に有機薄膜を積層するpn接合部の面積を大きく増大させ、電荷分離に関与する有機色素数を充分に確保しようという試みがその結果を出しつつある。
また、例えば、n型の電子伝導性の有機材料とp型の正孔伝導性ポリマーを膜中で複合させることによりpn接合部分を飛躍的に増大させて、膜中全体で電荷分離を行う手法がある。Heegerらは、1995年に、p型の導電性ポリマーとしての共役高分子と、電子伝導材料としてのフラーレンとを混合させた光電変換素子を提案している。
これらの光電変換素子は次第にその特性を向上させてはいるが、高い変換効率のまま安定して挙動するところまでには至っていない。
しかし、1991年にGratzelは、酸化チタン上に吸着した色素の増感光電流の膨大で詳細な実験の集大成として、酸化チタンを多孔質化し、その電荷分離の面積(電荷分離に寄与する分子数)を充分に確保することによって、安定動作し高い変換効率を有する光電変換素子の作製に成功した。
この光電変換素子では、多孔質酸化チタン表面に吸着した色素が光励起され、色素から酸化チタンに電子注入され色素カチオンとなり、対極から電荷輸送層(正孔輸送層)を通じて色素が電子を受け取るというサイクルを繰り返す。正孔輸送層としてはヨウ素を含む電解質を有機溶媒に溶解させた電解液が用いられている。この光電変換素子は酸化チタンの安定と相まって、優れた再現性を有しており、研究開発の裾野を大きく広げた。この光電変換素子は色素増感型太陽電池と呼ばれて、大きな期待と注目を浴びている。この方式は、酸化チタン等の安価な金属化合物半導体を高純度まで精製する必要がなく、半導体としては安価なものを使用することができ、さらに利用できる光は広い可視光領域にまでわたっており、可視光成分の多い太陽光を有効に電気へ変換できるという利点を有する。
しかし、光電変換層の色素として資源的制約があるルテニウム錯体を用いるため、高価なルテニウム錯体を用いる必要がある、経時での安定性が充分でないなどの問題がある。また、更なる問題点として、色素増感型太陽電池は先述のとおり電解液を用いて動作するために、電解液やヨウ素の保持や流出・散逸を防ぐ別の機構が必要となるなどの問題点を有していた。
このような電解液の溶出問題を回避すべく、全固体色素増感型の太陽電池の開発も進んでいる。例えば、アモルファス性有機正孔移動剤を用いたものや、正孔移動剤にヨウ化銅を用いたものなどが知られている。しかし、これらの正孔移動剤は伝導度が低いため未だ充分な光電変換効率を与えるには至っていない。
当該問題を解決するために、半導体電極の表面の少なくとも一部に、フッ素原子を含有するアルコキシシラン、フッ素原子を含有するクロロシラン、フッ素原子を含有するシラノール、フッ素原子を含有するピリジン類またはフッ素原子を含有するイミダゾール類(F置換有機化合物)と、色素とを含有する膜状物が形成されてなる色素増感型太陽電池が報告された(特許文献1)。特許文献1によると、半導体電極において、色素による単分子膜が形成されていない半導体粒子表面にF置換有機化合物が物理吸着または化学結合により吸着している。また、上記F置換有機化合物は、フッ素の撥水性及びその立体障害により、製造工程中にセル内に取り込まれた水分や、電解質中に添加した水分によって色素が加水分解されるのを抑えることができるため、エネルギー変換効率が高い色素増感型太陽電池を実現することができる。
特開2004−119279号公報
しかしながら、特許文献1に記載の色素増感型太陽電池では、充分な光電変換効率を達成するには至っていない。
したがって、本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、光電変換効率に優れる全固体色素増感型の光電変換素子、その製造方法および太陽電池を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、光電変換効率に加えて、耐久性にも優れる全固体色素増感型の光電変換素子、その製造方法および太陽電池を提供することである。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、特定の構造のシラン化合物で特定のO−Siのピーク強度:O−Tiのピーク強度の比となるように光電変換層を気相処理することによって、上記課題が解決されうることを見出した。上記知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の上記諸目的は、基体、第一電極、半導体および増感色素を含有する光電変換層、電荷輸送層、ならびに第二電極を有する光電変換素子において、
前記光電変換層は、X線光電子分光法(ESCA)により酸素原子分析でのO−Siのピーク強度:O−Tiのピーク強度の比が5:95〜30:70となるように、シラン化合物で気相処理され、前記シラン化合物は、下記式(1)または(2):
ただし、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜24のアルキル基または炭素原子数6〜24のアリール基を表わし;Rは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水酸基または炭素原子数1〜24のアルコキシ基を表わし;nは、1〜3である、
ただし、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数1〜24のアルコキシ基または炭素原子数6〜24のアリール基を表わす、
で示される、光電変換素子によって達成される。
また、本発明の上記諸目的は、基体、第一電極、半導体および増感色素を含有する光電変換層、電荷輸送層、ならびに第二電極を有する光電変換素子の製造方法であって、反応槽、前記反応槽を減圧するためのポンプ、前記シラン化合物を入れるためのバブラー、前記バブラーを入れるマントルヒーター、配管、前記配管を加温するためのヒーター及び不活性ガス供給装置を有する気相反応装置を用いて、前記配管の温度が前記マントルヒーターの温度より20〜80℃高い温度である条件下で、シラン化合物を気相化し、前記気相化したシラン化合物を、前記反応槽内を9×10−1〜1×10−3Paに減圧してまたは不活性ガスを用いて前記反応槽内に導入して、光電変換層を、X線光電子分光法(ESCA)により酸素原子分析でのO−Siのピーク強度:O−Tiのピーク強度の比が5:95〜30:70となるように、シラン化合物で気相処理することを有し、この際、前記シラン化合物は、上記式(1)または(2)で示される、方法によっても達成される。
さらに、本発明の上記諸目的は、本発明に係る光電変換素子を有する、太陽電池によっても達成される。
本発明により、光電変換効率に優れる光電変換素子、および太陽電池が提供できる。
本発明の光電変換素子の一例を示す模式断面図である。 本発明に係る光電変換層のシラン化合物による気相処理で好ましく使用される気相反応装置(反応系)を説明する図である。
本発明の光電変換素子は、光電変換層が、O−Siのピーク強度:O−Tiのピーク強度の比が5:95〜30:70となるように、上記式(1)または(2)のシラン化合物で気相処理することを特徴とする。なお、本明細書中では、上記式(1)または(2)のシラン化合物を一括して「本発明に係るシラン化合物」または「シラン化合物」と称することもある。
また、本発明の光電変換素子の製造方法は、配管の温度がマントルヒーターの温度より5〜40℃高い温度である条件下で、気相化した上記式(1)または(2)のシラン化合物を反応槽内を1×10−3〜9×10−1Paに減圧してまたは不活性ガスを用いて反応槽内に導入して、光電変換層をシラン化合物で気相処理することを特徴とする。
上記特許文献1では、色素による単分子膜が形成していない(色素が未吸着の)半導体粒子表面(色素非形成表面)に、フッ素原子を必須に有するF置換有機化合物が吸着する。しかし、このF置換有機化合物中のフッ素原子同士が反発しあうため、F置換有機化合物が色素非形成表面に近接して存在することが困難である。また、半導体(例えば、酸化チタン)は通常親水性であるため、撥水性を示すフッ素原子を含むF置換有機化合物は半導体電極表面(例えば、酸化チタン表面の水酸基)に結合しにくい。このため、特許文献1では、色素非形成表面をF置換有機化合物からなる緻密な膜で十分被覆できず、色素が吸着していない半導体粒子表面が残ってしまう。このため、特許文献1に記載の色素増感型太陽電池をもってしても、充分な光電変換効率を達成するには至っていない。加えて、光電変換層が支持電解質としてLi[(CFSON]等のリチウム塩を含む場合がある。このような場合には、このリチウムイオン(Li)は半導体表面に存在する必要があるが、F置換有機化合物のフッ素原子が存在すると、リチウムイオンが移動して、半導体表面に存在しなくなる。また、リチウムイオンとフッ素が反応することがある。このため、このような場合には優れた光電変換効率を達成することがさらに困難である。
これに対して、本発明の光電変換素子は、上記構成をとることにより、優れた光電変換効率、さらには耐久性(光電変換機能の安定性)を発揮できる。光電変換層は、半導体(例えば、多孔質酸化チタン)および増感色素を含有する。ここで、増感色素は、半導体表面の官能基(例えば、多孔質チタニアの場合には水酸基)と反応して半導体表面に吸着するが、すべての官能基とは反応できず、色素吸着工程後も色素が未吸着の官能基が半導体表面には多数存在し、電荷輸送剤(ホール輸送剤)との電荷再結合や逆電子移動の原因となっていた。一方、本発明によると、この半導体表面の増感色素が未吸着の官能基(例えば、酸化チタンの水酸基)を本発明に係るシラン化合物と反応させて、半導体表面の色素未吸着部分にシラン化合物による被膜(好ましくは単分子膜)を形成し、絶縁化する。ここで、本発明に係るシラン化合物は、相互に反発したり、フッ素原子等の強い撥水性を示す原子や官能基を持たないため、半導体表面に近接して存在する色素未吸着部分であっても効率的に反応(吸着)して緻密な被膜(好ましくは単分子膜)を形成できる。このため、電荷輸送剤(ホール輸送剤)との電荷再結合や逆電子移動が抑制・防止されて、本発明の光電変換素子は高い光電変換効率を発揮できる。また、シラン化合物は半導体表面の色素未吸着部分に強固に結合するので、シラン化合物による単分子膜(絶縁化)は長期間にわたって有効に保持される。ゆえに、本発明の光電変換素子は、光電変換効率の経時的な低下を抑制・防止して、耐久性に優れる。なお、本発明は、上記推測によって限定されるものではない。
上述したように、本発明者らは、半導体表面の色素未吸着の官能基(例えば、多孔質チタニアの場合には水酸基)をシラン化合物で被覆(部分絶縁化)することを試みた。例えば、シラン化合物との反応を液相系で行う場合には、溶液中に増感色素が溶出してしまう。また、光電変換層をシラン化合物の溶液に浸漬する場合には、シラン化合物との反応性の方が増感色素との反応性に比して高いので、増感色素が一部半導体表面から脱離して、代わりにシラン化合物が吸着してしまう。このため、光電変換層中で部分絶縁化することができるものの、逆に性能低下を引き起こすことが判明した。そこで、気相化したシラン化合物による部分絶縁化(気相処理)を試みたところ、O−Siのピーク強度:O−Tiのピーク強度の比が5:95〜30:70と特定の範囲になるように気相処理を行うと、増感色素は半導体表面から脱離せずに、半導体表面の色素が未吸着の官能基のほとんどがシラン化合物により被覆(絶縁化)されるため、電荷輸送剤(ホール輸送剤)との電荷再結合や逆電子移動が抑制・防止されて、本発明の光電変換素子は高い光電変換効率および耐久性を発揮できる。ここで、半導体表面の色素未吸着部分にシラン化合物が単分子吸着して単分子膜を形成することが好ましいが、この単分子膜的状態はシラン化合物との反応時の温度(蒸気圧)、時間、キャリアガス流量、反応槽の減圧状態等、特に温度制御(蒸気圧)や反応槽の減圧状態を制御することにより実現可能であることが、膜表面のESCA分析、更に酸素原子のピーク分離解析を通じて知得された。例えば、反応性の高いトリクロロシランを用いて一気にチタニアの気相処理を行うと、チタニア上でシラン化合物が3次元的にポリマー化し、チタニア表面上で完全な絶縁膜を形成してしまうが、反応条件を制御することにより、シラン化合物がチタニア表面上に単分子的に膜を形成する。このようにして得た膜表面をESCAで表面分析し、酸素原子のピーク分離を行って詳細に解析すると、ポリマー化が進んだ前者ではO−Siのピーク強度が増加し、O−Siのピーク強度:O−Tiのピーク強度の比が30:70を超え(例えば、40:60)、これをセル化すると絶縁化の影響で電流値、FFの小さいI−V特性が得られる。一方、ポリマー化を抑制した後者では、O−Siのピークは抑制され、O−Siのピーク強度:O−Tiのピーク強度の比が5:95〜30:70の間に入る。これをセル化すると、Voc始め、電流値、FFも改善され、高い変換効率を得ることができる。ポリマー化を更に抑制し、O−Siのピーク強度が下がり、O−Siのピーク強度:O−Tiのピーク強度の比が5:95を下回る(例えば、2:98)と、電荷再結合が生じ、光電変換効率が低下する。このように適切に気相処理を制御することで、高い光電変換効率を得られることがわかった。また、半導体(例えば、多孔質チタニア)の隙間に部分的に露出しているバッファ層や透明導電膜の表面をもシラン化合物による気相処理で部分絶縁化する場合には、電荷輸送剤(ホール輸送剤)との電荷再結合をさらに大きく抑制できる。
したがって、本発明の光電変換素子は、高い光電変換効率及び優れた耐久性を有する。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味し、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」及び「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
[光電変換素子]
本発明の光電変換素子について、図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る光電変換素子を模式的に表す断面図である。図1に示すように、光電変換素子10は、基体1、第一電極2、バッファ層3、光電変換層6、電荷輸送層7、及び第二電極8が順次積層されてなる構成を有する。ここで、光電変換層6は、半導体5及び増感色素4を含有する。図1に示されるように、第一電極2と光電変換層6との間には、短絡防止、封止などの目的で、バッファ層3を有することが好ましい。なお、図1中では、太陽光は、図下方の矢印9の方向から入っているが、本発明は当該形態に限定されず、図上方から太陽光が入射してもよい。
次に、本発明に係る光電変換素子の製造方法の好ましい実施形態について説明する。まず、第一電極2を形成した基体1上に、バッファ層3を形成した後、バッファ層3上に半導体5からなる半導体層を形成し、その半導体表面に増感色素4を吸着させた後、シラン化合物で気相処理して光電変換層6を形成する。その後、光電変換層6の上に電荷輸送層7を形成する。この際、電荷輸送層7は、増感色素4を担持した半導体5からなる光電変換層6に侵入し、かつ、その上に存在している。そして、電荷輸送層7の上に第二電極8を形成する。第一電極2及び第二電極8に端子を付けることにより電流を取り出すことができる。
以下、本発明の光電変換素子の各部材について説明する。
[基体]
基体は、電極を塗布方式で形成する場合における、塗布液の被塗布部材としての役割を有する。基体側から光が入射する場合、基体はこの光を透過させることが可能な、すなわち、光電変換すべき光の波長に対して透明な部材であることが好ましい。具体的には、光電変換効率の観点から、光透過率が10%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、80%〜100%であることが特に好ましい。なお、本明細書において、「光透過率」とは、JIS K 7361−1:1997(ISO 13468−1:1996に対応)の「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法」に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率を意味するものとする。
基体としては、その材料、形状、構造、厚み、硬度等については公知のものの中から適宜選択することができるが、上記のように高い光透過性を有していることが好ましい。
基体の材料としては、剛性を有する基体、及び可撓性を有する基体を用いることができる。剛性を有する基体と可撓性を有する基体とを組み合わせて用いてもよい。
剛性を有する基体としては、特に制限されず、公知のものを用いることができる。具体的には、ガラス板及びアクリル板が挙げられる。これらのうち、耐熱性の観点からガラス板を用いることが好ましい。剛性を有する基体の厚さは、特に制限されないが、0.1〜100mmが好ましく、0.5〜10mmがより好ましい。
一方、可撓性を有する基体としては、特に制限されず、公知のものを用いることができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、環状オレフィン等のポリオレフィン系樹脂フィルム;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム;ポリビニルブチラール(PVB)等のポリビニルアセタール樹脂フィルム;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム;ポリスルホン(PSF)樹脂フィルム;ポリエーテルスルホン(PES)樹脂フィルム;ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム;ポリアミド樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;アクリル樹脂フィルム;トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルムなどが挙げられる。特に、太陽光エネルギーを利用することを考慮し、可視領域の波長(400〜700nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムを基体として用いることが好ましい。当該樹脂フィルムとしては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、及びポリカーボネートフィルム等が挙げられ、これらのうち、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムを用いることが好ましい。なお、可撓性を有する基体の厚さは、特に制限されないが、1〜1000μmが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。可視域の波長(400〜700nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムが、本発明に特に好ましく適用することができる。中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度およびコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
上記基体には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理や易接着層を設けてもよい。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理により表面処理を行うことができる。また、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、及びエポキシ系共重合体等を易接着層として使用することができる。
[第一電極]
第一電極は、基体と光電変換層との間に配置される。ここで、第一電極は、基体の光入射方向に対して反対側となる一方の面上に設けられる。第一電極は、光電変換効率の観点から、光透過率が10%以上であることが好ましく、50%以上(上限:100%)であることがより好ましく、80%〜100%であることが特に好ましい。
第一電極を構成する材料としては、特に制限されず、公知の材料が使用できる。例えば、金属およびその酸化物、並びにSn、Sb、FおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種を含む複合(ドープ)材料を用いることができる。前記金属としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、及びインジウム等が挙げられ、金属酸化物としては、SnO、CdO、ZnO、CTO系(CdSnO、CdSnO、CdSnO)、In、及びCdIn等が挙げられ、複合(ドープ)材料としては、SnをドープしたIn(ITO)、SbをドープしたSnO、FをドープしたSnO(FTO)等が挙げられる。これらのうち、金属として好ましくは、銀が挙げられ、光透過性を持たせるために、開口部を持つグリッドパターニングされた膜、あるいは微粒子やナノワイヤーを分散し塗布した膜が好ましく用いられる。また、金属酸化物として好ましくは、上記の金属酸化物に、Sn、Sb、FおよびAlから選ばれる1種または2種以上を添加した複合(ドープ)材料が挙げられる。より好ましくは、SnをドープしたIn(ITO)、SbをドープしたSnO、FをドープしたSnO(FTO)等の導電性金属酸化物が好ましく用いられ、耐熱性の点からFTOが最も好ましい。
第一電極を形成する材料の基体への塗布量は、特に制限されないが、基体1m当たり、1〜100g程度であることが好ましい。なお、本明細書では、基体とその上に形成された第一電極との積層体を「導電性支持体」とも称する。
導電性支持体の膜厚としては、特に制限されないが、0.1mm〜5mmであることが好ましい。導電性支持体の表面抵抗値としては、可能な限り低い値であることが好ましい。具体的には、表面抵抗値が500Ω/cm以下であることが好ましく、10Ω/cm以下であることがより好ましい。なお、導電性支持体の表面抵抗の下限は、可能な限り低いことが好ましいため、特に規定する必要はないが、0.01Ω/cm以上であれば十分である。導電性支持体の光透過率の好ましい範囲は、上記基板の光透過率の好ましい範囲と同様である。
[バッファ層(バリア層)]
バッファ層は、受光により発生し、電荷輸送層に注入されたホールと、第一電極の電子との再結合である短絡を防止する観点などから、設けられる任意の構成要素である。バッファ層は、第一電極と後述する光電変換層との間に、膜状(層状)に配置されうる。
バッファ層の構成材料としては、特に限定されず、公知の材料を用いることができる。なかでも光電変換層の半導体材料と同等の電気伝導性を有するものであることが好ましい。具体的には、亜鉛、ニオブ、スズ、チタン、バナジウム、インジウム、タングステン、タンタル、ジルコニウム、モリブデン、マンガン、鉄、銅、ニッケル、イリジウム、ロジウム、クロム、ルテニウム等の金属又はこれらの酸化物;チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、ニオブ酸ストロンチウム等のペロブスカイト又はこれらの複合酸化物もしくは酸化物混合物;CdS、CdSe、TiC、Si、SiC、BN等の金属化合物が挙げられる。これらの材料は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電荷輸送層がp型半導体であり、バッファ層に金属を使用する場合には、当該バッファ層には、電荷輸送層よりも仕事関数の値が小さく、ショットキー型の接触をするものを用いることが好ましい。また、バッファ層に金属酸化物を用いる場合には、当該バッファ層には、透明導電層とオーミックに接触し、かつ、伝導帯のエネルギー準位が半導体層よりも低いところにあるものを使用することが好ましい。用いる酸化物を選択することにより、多孔質半導体層(光電変換層)からバッファ層への電子移動効率を向上させることも可能である。中でも、半導体層(光電変換層)と同等の電気伝導性を有するものであるのが好ましく、特に、酸化チタンを主とするものがより好ましい。
バッファ層は、後述する光電変換層中の半導体層とともに、多孔質であることが好ましい。この場合、バッファ層の空孔率をC[体積%]とし、半導体層の空孔率をD[体積%]としたとき、D/C値が、1.1以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、10以上であることがさらに好ましい。一方、D/Cの上限は、可能な限り大きいことが好ましいため、特に規定する必要はないが、通常、1000以下程度である。これにより、バッファ層と半導体層とは、それぞれ、それらの機能をより好適に発揮することができる。
当該D/C値を上記の値とするために、バッファ層の空孔率Cは、20体積%以下であることが好ましく、5体積%以下であることがより好ましく、2体積%以下であることがさらに好ましい。すなわち、バッファ層は、緻密層(緻密な多孔質状)であることが好ましい。これにより、バッファ層が短絡防止効果を有効に発揮することができる。ここで、バッファ層の空孔率Cの下限は、可能な限り小さいことが好ましいため、特に規定する必要はないが、通常、0.05体積%以上程度である。
バッファ層の平均厚さ(膜厚)としては、短絡防止効果を発揮することができる膜厚であれば特に制限はない。具体的には、0.01〜10μmであることが好ましく、0.03〜0.5μmであることがより好ましい。
[光電変換層]
光電変換層は、光起電力効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する。本発明において、光電変換層は半導体、増感色素およびシラン化合物を必須に含む。より詳しくは、当該光電変換層は、半導体を含有する半導体層に増感色素及びシラン化合物が担持された構成を有し、この際、X線光電子分光法(ESCA)により酸素原子分析でのO−Siのピーク強度:O−Tiのピーク強度の比が5:95〜30:70である。このようなピーク強度比を有する光電変換層を有する光電変換素子は、高い光電変換効率及び優れた耐久性を有する。ここで、O−Siのピーク強度:O−Tiのピーク強度の比が30:70を超える(例えば、40:60)と、増感色素の吸着量が十分でなく、また、シラン化合物による単分子膜の形成(絶縁化)が過度に起こっているため、光電変換素子の光電変換効率の低下が著しい上、耐久性も低下する。逆に、O−Siのピーク強度:O−Tiのピーク強度の比が5:95を下回る(例えば、2:98)と、電荷再結合が生じ、やはり光電変換素子の光電変換効率の低下が著しい。光電変換効率や耐久性のより優れた向上を考慮すると、光電変換層の、X線光電子分光法(ESCA)により酸素原子分析を行った後ピーク分離を行いO−Si及びO−Tiの合計ピーク強度を100とした際の、O−Siのピーク強度:O−Tiのピーク強度の比は、10:90〜27:73が好ましく、13:87〜25:75がより好ましい。なお、O−Siのピーク強度は半導体表面に吸着したシリカ化合物部分を示し、O−Tiのピーク強度は半導体表面に吸着した増感色素部分を示す。
本明細書において、O−Siのピーク強度:O−Tiのピーク強度は、下記方法により測定される。すなわち、測定は、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製完全自動X線光電子分光装置 K−Alphaを用いて行なった。測定時のX線スポットサイズは400μm、イオン銃の設定は3000eV、電流量はHigh、putter Rate Estimateは0.03mm/secとした。測定後の解析はAvantageソフトウエアを用いて行なった。ピークフィット時のパラメーターとしてはmaximum Iterationを1500、convergenceを1e-006、fitting algorithmをpowellに設定した。以下にO原子のメインピークを分離する過程を説明する。まず、ソフト上で、Add Fitted Peakを選択し、残差の大きな箇所に出たマーカーの箇所をピークとして追加する。同様の操作を行うと次に大きな残差の箇所にマーカーが出るので同様にピークとして追加する。このようにして、530eV、533eVのピークが追加される迄続ける。530eV、533eVのピークまで追加し終わったら、Fit This Levelをクリックしピークのフィッティングを行い、ピーク強度を算出する。次に530eV±1eV範囲の中で、最も低eV側のピークを基準のO−Tiピーク位置とする。次いで、基準のO−Tiピーク位置+2.5eV〜+3.5eVの範囲での最大ピークをO−Siピークとする。これらO−TiとO−Siのピーク位置での強度(cps)を求め、O−Siのピーク強度:O−Tiのピーク強度の比とする。
(半導体)
半導体層に用いられる半導体の材料としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体、周期表(元素周期表ともいう)の第3族〜第5族、第13族〜第15族系の元素を有する化合物、金属のカルコゲニド(例えば、酸化物、硫化物、セレン化物等)、金属窒化物等が使用されうる。金属のカルコゲニドの具体例としては、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、又はタンタルの酸化物;カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン又はビスマスの硫化物;カドミウム又は鉛のセレン化物;カドミウムのテルル化物等が挙げられる。また、その他の半導体の材料としては、亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物;ガリウム−ヒ素又は銅−インジウムのセレン化物;銅−インジウムの硫化物;チタンの窒化物等が挙げられる。より詳細には、TiO、SnO、Fe、WO、ZnO、Nb、CdS、ZnS、PbS、Bi、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS、CuInSe、Ti等が挙げられる。これらのうち、TiO、ZnO、SnO、Fe、WO、Nb、CdS、又はPbSを用いることが好ましく、TiO又はNbを用いることがより好ましく、TiO(酸化チタン)を用いることが特に好ましい。これらの材料は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせた形態としては、例えば、酸化チタン半導体に20重量%の窒化チタン(Ti)を混合する形態、J. Chem. Soc. Chem. Commun., 15(1999)に記載の酸化亜鉛/酸化スズの複合の形態等が挙げられる。なお、金属酸化物又は金属硫化物に、その他の半導体材料を組み合わせて使用する場合には、当該その他の半導体材料の添加量は、本発明による効果を阻害しない程度であれば特に制限されないが、金属酸化物又は金属硫化物半導体に対する重量比が0%を超えて30%以下であることが好ましい。なお、上記他の半導体材料は、単独で使用されてもまたは2種以上の半導体を併用して用いてもよい。
半導体の形状としては、特に制限されず、球状、柱状、管状等の任意の形状を有しうる。半導体の大きさもまた、特に制限されず、例えば、半導体が球状である場合には、半導体の平均粒径が1〜5000nmであることが好ましく、2〜500nmであることがより好ましく、5〜100nmであることが特に好ましい。なお、上記半導体の「平均粒径」とは、100個以上のサンプルを電子顕微鏡で観察したときの1次粒子直径の平均粒径(1次平均粒径)を意味する。
上記半導体は、有機塩基を用いて表面処理してもよい。表面処理に用いられる有機塩基としては、特に制限はなく、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン、キノリン、ピペリジン、アミジン等が挙げられる。これらのうち、ピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジンを用いて表面処理することが好ましい。表面処理方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができ、当該方法は、当業者が必要に応じて適宜変更することができる。例えば、有機塩基が液体の場合はそのまま、固体の場合は有機溶媒に溶解した溶液(有機塩基溶液)を準備し、本発明に係る半導体を上記液体有機塩基または有機塩基溶液に0〜80℃で1分〜24時間浸漬することで、半導体の表面処理を実施できる。
(増感色素)
本発明に係る増感色素は、下述するような半導体の増感処理により、半導体に担持されており、光照射時、光励起され起電力を生じ得るものである。
また、本発明に係る増感色素は、光電変換素子に用いられる公知の色素であってよいが、半導体層への電子の注入を効率的に行うためには、酸性基(吸着基)および電子吸引性基または電子吸引性環構造を有することが好ましい。ここで、酸性基としては、カルボキシル基、スルホ基[−SOH]、スルフィノ基、スルフィニル基、ホスホン酸基[−PO(OH)]、ホスホリル基、ホスフィニル基、ホスホノ基、チオール基、ヒドロキシ基、ホスホニル基、およびスルホニル基;ならびにこれらの塩などが挙げられる。これらのうち、酸性基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、ヒドロキシ基が好ましく、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基がより好ましく、電荷の半導体への効率的な注入の観点から、上記増感色素はカルボキシル基を有することが特に好ましい。また、増感色素中に存在する酸性基の数は、特に制限されないが、電荷の半導体への効率的な注入の観点から、増感色素は酸性基を2個有することが特に好ましい。
また、電子吸引性基としては、シアノ基、ニトロ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、パーフルオロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基)、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、パーフルオロアルキルスルホニル基、パーフルオロアリールスルホニル基などが挙げられる。これらのうち、シアノ基、ニトロ基、フルオロ基、クロロ基が好ましく、シアノ基、ニトロ基がより好ましい。電子吸引性環構造としては、ローダニン環、ジローダニン環、イミダゾロン環、ピラゾロン環、ピラゾリン環、キノン環、ピラン環、ピラジン環、ピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、インドール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアジアゾール環などが挙げられる。これらのうち、ローダニン環、ジローダニン環、イミダゾロン環、ピラゾリン環、キノン環、チアジアゾール環が好ましく、ローダニン環、ジローダニン環、イミダゾロン環、ピラゾリン環がより好ましい。これにより、光電子を効果的に半導体(特に酸化物半導体)に注入できる。また、酸性基と、電子吸引性基または電子吸引性環構造とは、酸素原子(O)、硫黄原子(S)、セレン原子(Se)、またはテルル原子(Te)等の原子を介して結合してもよい。または、部分構造Zは、電荷、特に正の電荷を帯びてもよく、この際、Cl、Br、I、ClO 、NO 、SO 2−、HPO 等の対イオンを有していてもよい。
以下に、酸性基(吸着基)および電子吸引性基または電子吸引性環構造の好ましい組み合わせを示す。
また、本発明に係る増感色素の好ましい例を以下に示す。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。下記実施例において、増感色素を下記化合物番号にて規定する。
また、本発明に好ましいカルボキシル基を有する増感色素と他の増感色素を併用して用いることもできる。併用して用いることのできる増感色素としては、本発明に係る半導体層を分光増感しうるものならばいずれの増感色素も用いることができる。光電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ光電変換効率を上げるため2種類以上の増感色素を混合することも好ましい。また、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように混合する増感色素とその割合を選ぶことができる。
特に、本発明の光電変換素子の用途が後述する太陽電池である場合には、光電変換の波長域をできるだけ広くして太陽光を有効に利用できるように、吸収波長の異なる二種類以上の増感色素を混合して用いることも好ましい。
併用して用いる増感色素の中では、光電子移動反応活性、光耐久性、光化学的安定性等の総合的な観点から、金属錯体色素、フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、ポリメチン系色素が他の増感色素として好ましく用いられる。また、本発明に好ましいカルボキシル基を有する増感色素と併用して用いることのできる増感色素としては、例えば、米国特許第4,684,537号明細書、同4,927,721号明細書、同5,084,365号明細書、同5,350,644号明細書、同5,463,057号明細書、同5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2000−150007号公報等に記載の増感色素を挙げることができる。
(シラン化合物)
本発明に係るシラン化合物は、増感色素が吸着されない半導体部位に吸着させるために、増感色素と共に半導体に担持されている。
ここで、シラン化合物は、下記式(1)または(2)で示される。
上記式(1)中、Rは、水素原子、炭素原子数1〜24のアルキル基または炭素原子数6〜24のアリール基を表わす。この際、Rが複数存在する(即ち、nが2または3である)場合には、各Rは同一であっても異なるものであってもよい。このうち、炭素原子数1〜24のアルキル基としては、特に制限されないが、炭素鎖長1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルキル基であることが好ましい。より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−イソプロピルブチル基、2−メチル−1−イソプロピル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、n−ヘンエイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基などが挙げられる。これらのうち、炭素原子数1〜16の直鎖若しくは分岐状のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜8の直鎖若しくは分岐状のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜3の直鎖若しくは分岐状のアルキル基が特に好ましい。また、炭素原子数6〜24のアリール基としては、以下に制限されないが、フェニル基、ナフチル基、トリル基、ビフェニル基、フルオレニル基、アンスリル基、ピレニル基、アズレニル基、アセナフチレニル基、ターフェニル基、フェナンスリル基などが挙げられる。
これらのうち、Rは、水素原子、炭素原子数1〜8の直鎖若しくは分岐状のアルキル基であることが好ましく、水素原子、炭素原子数1〜3の直鎖若しくは分岐状のアルキル基であることがより好ましい。
また、上記式(1)中、Rは、ハロゲン原子、水酸基(OH)または炭素原子数1〜24のアルコキシ基を表わす。Rが反応性官能基として半導体表面に対して作用することで、シラン化合物がRを介して半導体表面に吸着する。この際、Rが複数存在する(即ち、nが1または2である)場合には、各Rは同一であっても異なるものであってもよい。このうち、ハロゲン原子としては、以下に制限されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。上述したように、フッ素原子が存在する場合は、フッ素原子同士が反発しあうため、Rはフッ素原子ではないことが好ましい。これらのうち、塩素原子であることが特に好ましい。また、炭素原子数1〜24のアルコキシ基としては、特に制限されないが、炭素鎖長1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルコキシ基であることが好ましい。より具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基などが挙げられる。これらのうち、炭素原子数1〜16の直鎖若しくは分岐状のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1〜8の直鎖若しくは分岐状のアルコキシ基がより好ましく、炭素原子数1〜3の直鎖若しくは分岐状のアルコキシ基が特に好ましい。
これらのうち、Rは、塩素原子、臭素原子、メトキシ基、エトキシ基であることが好ましく、塩素原子、メトキシ基であることがより好ましい。
また、上記式(1)中、nは、1〜3の整数であり、2であることが好ましい。
すなわち、上記式(1)のシラン化合物の好ましい例としては、クロロジメチルシラン、クロロジエチルシラン、クロロメチルエチルシラン、クロロジプロピルシラン、クロロジイソプロピルシラン、クロロジフェニルシラン、ジクロロメチルシラン、ジクロロエチルシラン、ジクロロプロピルシラン、ジクロロイソプロピルシラン、ジクロロフェニルシラン、トリクロロメチルシラン、トリクロロエチルシラン、トリクロロプロピルシラン、トリクロロイソプロピルシラン、ヒドロキシジメチルシラン、ヒドロキシジエチルシラン、ヒドロキシメチルエチルシラン、ヒドロキシジプロピルシラン、ヒドロキシジイソプロピルシラン、ヒドロキシジフェニルシラン、ジヒドロキシメチルシラン、ジヒドロキシエチルシラン、ジヒドロキシプロピルシラン、ジヒドロキシイソプロピルシラン、ジヒドロキシフェニルシラン、トリヒドロキシメチルシラン、トリヒドロキシエチルシラン、トリヒドロキシプロピルシラン、トリヒドロキシイソプロピルシラン、メトキシジメチルシラン、メトキシジエチルシラン、メトキシメチルエチルシラン、メトキシジプロピルシラン、メトキシジイソプロピルシラン、メトキシジフェニルシラン、ジメトキシメチルシラン、ジメトキシエチルシラン、ジメトキシプロピルシラン、ジメトキシイソプロピルシラン、ジメトキシフェニルシラン、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシエチルシラン、トリメトキシプロピルシラン、トリメトキシイソプロピルシラン、エトキシジメチルシラン、エトキシジエチルシラン、エトキシメチルエチルシラン、エトキシジプロピルシラン、エトキシジイソプロピルシラン、エトキシジフェニルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジエトキシエチルシラン、ジエトキシプロピルシラン、ジエトキシイソプロピルシラン、ジエトキシフェニルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリエトキシエチルシラン、トリエトキシプロピルシラン、トリエトキシイソプロピルシランなどが挙げられる。これらのうち、ジクロロメチルシラン、クロロジメチルシランが好ましい。
また、上記式(2)中、RおよびRは、水素原子、ハロゲン原子、水酸基(OH)、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数1〜24のアルコキシ基または炭素原子数6〜24のアリール基を表わす。この際、RおよびRは、同一であっても異なるものであってもよい。また、3つ存在するR、および3つ存在するRは、それぞれ、同一であっても異なるものであってもよい。このうち、ハロゲン原子、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数1〜24のアルコキシ基および炭素原子数6〜24のアリール基は、それぞれ、上記式(1)の定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。
これらのうち、RおよびRは、炭素原子数1〜8のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基であることがより好ましい。
すなわち、上記式(2)のシラン化合物の好ましい例としては、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ヘキサプロピルジシラザン、ヘキサイソプロピルジシラザン、トリメチルトリエチルジシラザン、トリメチルトリプロピルジシラザン、トリメチルトリイソプロピルジシラザン、トリエチルトリプロピルジシラザン、トリエチルトリイソプロピルジシラザン、トリプロピルトリイソプロピルジシラザンなどが挙げられる。これらのうち、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサプロピルジシラザンが好ましく、ヘキサメチルジシラザンがより好ましい。
(光電変換層の作製方法)
次に、光電変換層の作製方法について説明する。光電変換層の作製方法は、(1)導電性支持体上への半導体層の形成、(2)半導体の増感処理、および(3)半導体層のシラン化合物による気相処理に大別される。(1)において、半導体の材料が粒子状の場合には、半導体の分散液又はコロイド溶液(半導体含有塗布液)を導電性支持体に塗布或いは吹き付ける方法、及び半導体微粒子の前駆体を導電性支持体上に塗布し、水分(例えば、空気中の水分)によって加水分解後に縮合を行う方法(ゾル−ゲル法)等によって半導体層を形成することができる。上記2つの方法によって得られた半導体層は焼成することが好ましい。この場合、焼成後、半導体に水分が吸着する前に素早く増感色素による増感処理を行うことが好ましい。また、(1)において、半導体の材料が膜状であり、導電性支持体上に保持されていない場合には、半導体を導電性支持体上に貼合することによって半導体層を形成することができる。(2)の増感処理方法は、増感色素の半導体層への吸着等を包含する。(3)の半導体層のシラン化合物による気相処理方法は、半導体表面の増感色素が未吸着の官能基とシラン化合物との反応を包含する。なお、上記(2)および(3)の順番はいずれでもよいが、(2)後に(3)を行う、即ち、半導体を含有する半導体層に増感色素を担持した後、シラン化合物で気相処理することが好ましい。具体的には、増感色素を適当な溶媒に溶解した溶液に、半導体層を有する積層体(基板上に第1電極と半導体層を順に設けた積層体)を浸漬し増感色素の吸着処理を行った後、上記増感色素を吸着させた積層体と気相化したシラン化合物とを接触させて、シラン化合物による気相処理を行うことが好ましい。これにより、増感色素の未吸着部分により効率的にシラン化合物を吸着させることができる。
以下では、上記(1)、(2)及び(3)の工程をこの順で行う本発明に光電変換層の作製方法の好ましい形態について詳細に説明する。なお、本発明は、下記形態に限定されない。
(1)導電性支持体上への半導体層の形成
(1−1)半導体含有塗布液の調製
まず、半導体、好ましくは半導体の微粉末を含む塗布液(半導体含有塗布液)を調製する。当該半導体微粉末はその1次粒子径が微細であることが好ましい。1次粒子径としては、1〜5000nmであることが好ましく、2〜500nmであることがより好ましく、5〜100nmであることが特に好ましい。半導体含有塗布液は、半導体微粉末を溶媒中に分散させることによって調製することができ、溶媒中に分散された半導体微粉末は1次粒子状で分散する。溶媒中の半導体微粉末の濃度は0.1〜70重量%であることが好ましく、0.1〜30重量%であることがより好ましい。
半導体含有塗布液に用いられうる溶媒としては、半導体微粉末を分散できるものであれば特に制約されず、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液が用いられうる。前記有機溶媒の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン;ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素;アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。塗布液中には、必要に応じて、界面活性剤、酸(酢酸、硝酸など)、粘度調節剤(ポリエチレングリコール等の多価アルコール等)、キレート剤(アセチルアセトンなど)を添加してもよい。
(1−2)半導体含有塗布液の塗布
上記(1−1)によって調製した半導体含有塗布液を、導電性支持体上に塗布又は吹き付け、乾燥等を行うことにより、半導体層が形成される。当該塗布は、特に制限されず、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法、スクリーン印刷法など公知の方法によって行われる。上記塗布又は吹き付け、及び乾燥によって得られた半導体層は、半導体微粒子の集合体からなるものであり、その微粒子の粒径は使用した半導体微粉末の1次粒子径に対応する。なお、半導体含有塗布液は2種以上の半導体材料を含むものであってもよいし、2種以上の半導体材料を用いて塗布又は吹き付けを行い、層状構造の半導体層を形成してもよい。
(1−3)半導体層の焼成処理
上記(1−2)によって形成された半導体層は、空気中又は不活性ガス中で焼成することが好ましい。焼成を行うことにより、(1−2)で形成された半導体層と導電性支持体との結合力及び半導体微粒子どうしの結合力を高め、機械的強度が向上しうる。焼成条件は、所望の実表面積や空孔率を有する半導体層を形成することができれば特に制限されない。焼成温度は、特に制限されないが、1000℃以下であることが好ましく、100〜800℃であることがより好ましく、200〜600℃であることが特に好ましい。また、基体がプラスチック等で耐熱性に劣る場合には、加圧により半導体微粒子−基体間及び半導体微粒子どうしを固着させてもよいし、マイクロ波を用いて半導体層のみを焼成してもよい。焼成時間も特に制限されないが、10秒〜12時間であることが好ましく、1〜240分であることがより好ましく、10〜120分であることが特に好ましい。また、焼成雰囲気も特に制限されないが、通常、焼成工程は、大気中又は不活性ガス(例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガスなど)雰囲気中で行われる。なお、上記焼成は、単一の温度で1回のみ行ってもよいし、温度や時間を変化させて2回以上繰り返し行ってもよい。
焼成された半導体層の構造は、特に制限されないが、増感色素との吸着を効果的に行う観点から多孔質構造(空隙を有するポーラスな構造)であることが好ましい。よって、半導体層の空孔率(D)は、1〜90体積%であることが好ましく、10〜80体積%であることがさらに好ましく、20〜70体積%であることが特に好ましい。なお、半導体層の空孔率は、誘電体の厚み方向に貫通性のある空孔率を意味し、水銀ポロシメーター(島津ポアサイザー9220型)等の市販の装置を用いて測定することができる。なお、半導体層が多孔質構造膜である場合には、電荷輸送層を構成する材料がこの空隙にも存在するように光電変換素子を製造することが好ましい。
焼成された半導体層の膜厚は、特に制限されないが、10nm以上であることが好ましく、500nm〜30μmであることがさらに好ましい。
得られた半導体層の見かけ表面積に対する実表面積の比は、半導体微粒子の粒径及び比表面積、並びに焼成温度等により制御することができる。また、得られた半導体層は、焼成後、例えば、四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行うことにより、半導体粒子の表面積及び半導体粒子近傍の純度を制御し、色素から半導体粒子への電子注入効率を高めてもよい。
(2)増感色素による半導体の増感処理
増感色素による半導体の増感処理は、例えば、増感色素を適切な溶媒に溶解し、当該溶液中によく乾燥させた半導体層を浸漬することによって行われる。当該増感処理によって、増感色素が半導体に吸着されうる。この際、半導体層が多孔質構造を有する場合には、浸漬前に減圧処理、加熱処理等の前処理を行い、膜中の気泡や空隙中の水分を除去することが好ましい。当該前処理によって、増感色素が半導体層内部にも吸着されうる。なお、増感処理は、増感色素含有溶液への半導体層の浸漬に限定されず、その他の公知の増感処理方法も適宜適用することができる。
増感処理条件は特に制限はないが、増感色素が半導体層に深く進入して吸着等が充分に進行できるような条件に設定することが好ましい。例えば、溶液中における増感色素の分解及び分解物の半導体層への吸着を防止する観点から、増感処理の温度は、5〜100℃であることが好ましく、25〜80℃であることがより好ましい。また、増感処理の時間は、15分〜20時間であることが好ましく、3〜24時間であることがより好ましい。特に、室温(25℃)で2〜48時間、特に3〜24時間、増感処理を行うことが好ましいが、設定する温度によって増感処理の時間は適宜変更してもよい。また、増感処理の時間の短縮及び半導体層の深部まで吸着させる観点から、減圧下又は真空下で増感処理を行ってもよい。
増感色素を溶解するのに用いる溶媒は、増感色素を溶解することができかつ半導体を溶解させたり半導体と反応したりすることのないものであれば格別の制限はない。しかしながら、溶媒に溶解している水分及び気体が半導体膜に進入して、増感色素の吸着等の増感処理を妨げることを防ぐために、溶媒をあらかじめ脱気及び蒸留精製しておくことが好ましい。増感色素の溶解において好ましく用いられる溶媒としては、アセトニトリル等のニトリル系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。これらのうち、アセトニトリル、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン及び塩化メチレン、並びにこれらの混合溶媒、例えば、アセトニトリル/メタノール混合溶媒、アセトニトリル/エタノール混合溶媒、アセトニトリル/tert−ブチルアルコール混合溶媒を用いることが好ましい。
増感処理を行う場合、増感色素を単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。また他の増感色素(例えば、米国特許第4,684,537号明細書、同4,927,721号明細書、同5,084,365号明細書、同5,350,644号明細書、同5,463,057号明細書、同5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2000−150007号公報等に記載の化合物)と混合して用いてもよいが、耐久性の観点から、本発明に係る増感色素のみを用いることが好ましい。本発明の光電変換素子の用途が後述する太陽電池である場合には、光電変換の波長域をできるだけ広くして太陽光を有効に利用できるように吸収波長の異なる2種以上の増感色素を混合して用いることが好ましい。2種以上の増感色素を用いる場合に、増感処理方法は、特に限定されず、各増感色素の混合溶液に半導体層を浸漬してもよいし、各増感色素を別々の溶液として準備し、順次に半導体層を浸漬してもよい。
得られた光電変換層において、半導体層1m当たりの増感色素の総担持量は、特に制限されないが、0.01〜100ミリモルであることが好ましく、0.1〜50ミリモルであることがさらに好ましく、0.5〜20ミリモルであることが特に好ましい。
(3)半導体層(光電変換層)のシラン化合物による気相処理
半導体層(光電変換層)のシラン化合物による気相処理は、上記(2)で得られた半導体層を有する積層体(基板上に第1電極と半導体層を順に設けた積層体)を気相化したシラン化合物と接触(気相処理)させて、増感色素の未吸着部分にシラン化合物を吸着させる。この際、上記気相処理は、いずれの方法を用いてもよいが、反応槽、前記反応槽を減圧するためのポンプ、前記シラン化合物を入れるためのバブラー、前記バブラーを入れるマントルヒーター、配管、前記配管を加温するためのヒーター及び不活性ガス供給装置を有する気相反応装置を用いることが好ましい。以下、図2を参照しながら、本発明に係る光電変換層のシラン化合物による気相処理方法の好ましい実施形態を説明する。なお、本発明は、下記形態に限定されるものではない。
図2は、本発明に係る光電変換層のシラン化合物による気相処理で好ましく使用される気相反応装置(反応系)を説明する図である。図2において、気相反応装置(反応系)21は、反応槽22、前記反応槽を減圧するための減圧用ポンプ29、前記シラン化合物を入れるためのバブラー23、バブラーを入れるマントルヒーター24、配管(図中の実線部分)及び不活性ガス供給装置28を有する。ここで、各配管には、必要に応じてバルブが設置されている。また、反応槽22とバブラー23とを結ぶ配管40、41、42には、配管を加温するためのヒーター(図示せず)が設置されている。また、バブラー23と不活性ガス供給装置28を結ぶ配管には、気相化したシラン化合物が逆流するのを防止するためのバブラー逆流防止槽25および不活性ガスの流量を測定するためのマスフローメーター26が設置されている。同様にして、不活性ガスの流量を測定するためのマスフローメーター27が反応槽22と不活性ガス供給装置28との間にも設置される。
まず、反応槽22内に設置した台座(図示せず)の上に、上記(2)で作製された増感色素を吸着させた積層体を設置し、反応槽を減圧用ポンプ29を用いて減圧する。次に、配管40、41、42、およびバブラー23内を減圧用ポンプ29を用いて減圧にした後、減圧用ポンプ29を止めて、不活性ガス供給装置28から乾燥した不活性ガスを流す。これにより、反応槽22、配管40、41、42、およびバブラー23内の雰囲気は、不活性ガスで置換される。ここで、不活性ガスとしては、特に制限されないが、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスが好ましく使用できる。また、不活性ガスの湿度は、特に制限されないが、増感色素の吸着のしやすさや水分による増感色素の加水分解等を考慮すると、反応槽22内に余分な水分を混入させないことが好ましい。このため、不活性ガスの露点は−76℃〜−50℃であれば十分である。
次に、反応槽入口のバルブを閉め反応槽を減圧状態にする。このように反応槽内を減圧にすることによって、反応槽のバルブを開けた直後に、気相化したシラン化合物が素早く反応槽内に導入され、気相化したシラン化合物を光電変換層と効率的に接触できる(シラン化合物を光電変換層表面の増感色素の未吸着部分に効率的に吸着できる)。また、上記したように、まず反応槽内を減圧にし、配管を減圧にした後、配管に不活性ガスを流して反応槽及び配管内を不活性ガス雰囲気にした後、反応槽を減圧にすることによって、反応槽内の水分量を一定にすることができる。このようにシラン化合物による気相処理条件を一定にすることによって、半導体表面へのシラン吸着(結合)状態を各バッチ毎に制御することができる。
ここで反応槽内の減圧度は、後の工程で気相化したシラン化合物を素早く反応槽内に導入し、また光電変換層とシラン化合物との接触中にシラン化合物を気相状態に維持できる程度であれば特に制限されない。具体的には、反応槽内を1×10−3〜9×10−1Paに減圧することが好ましく、反応槽内を1×10−2〜5×10−1Paに減圧することがより好ましい。このような減圧度合であれば、気相化したシラン化合物を素早く反応槽内に導入し、かつ気相化したシラン化合物を光電変換層と効率的に接触できる。また、配管40、41、42、およびバブラー23内の減圧度は、バブラー内でシラン化合物が気相化しかつ気相状態を維持できる程度であれば特に制限されず、シラン化合物の種類、配管やバブラー内の温度などに応じて適宜調節できる。具体的には、配管40、41、42、およびバブラー23内を、1×10−3〜9×10−1Paに減圧することが好ましく、反応槽内を1×10−2〜5×10−1Paに減圧することがより好ましい。ここで、配管40、41、42、およびバブラー23内の減圧度は、それぞれ、同じであってもあるいは異なってもよい。また、配管40、41、42、およびバブラー23内の減圧度は、それぞれ、反応槽22内の減圧度と同じであってもあるいは異なってもよい。
反応槽22、配管40、41、42、およびバブラー23内を減圧にした後、配管ヒーターを加温する。次に、シラン化合物を、注入口(図示せず)を介してバブラー23に仕込み、注入口を閉めた後に、マントルヒーターを加温する。これにより、シラン化合物は気相化する。配管及びマントルヒーター温度が設定値であることを確認した後に、反応槽22入口のバルブを開け、気相化したシラン化合物を反応槽22内に導入する。ここで、気相化したシラン化合物は、反応槽22内の減圧状態によって迅速に反応槽22内に導入されるが、この代わりにあるいはこれに加えて、不活性ガス供給装置28から不活性ガスを流すことによって、気相化したシラン化合物を反応槽22内に導入してもよい。すなわち、光電変換層は、反応槽内を1×10−3〜9×10−1Paに減圧して前記反応槽内に導入した気相化したシラン化合物で気相処理される、または不活性ガスを用いて前記反応槽内に導入した気相化したシラン化合物で気相処理されることが好ましい。
ここで、配管温度は、シラン化合物の気相状態を維持できる程度であれば特に制限されず、使用されるシラン化合物の種類によって適宜選択される。具体的には、配管40、41、42の温度を、マントルヒーター24の温度より、好ましくは5〜40℃高い温度、より好ましくは10〜30℃高い温度に設定する。このような温度に配管を制御することによって、配管内でのシラン化合物の反応を抑制・防止できると共に、気相化したシラン化合物を効率よく反応槽22に到達させることができる。また、マントルヒーター24の温度は、バブラー23内のシラン化合物を気相化できる温度であれば特に制限されず、使用されるシラン化合物の種類によって適宜選択される。この際、マントルヒーターの温度は、シラン化合物の沸点より低くても同じでも高くてもよい。具体的には、マントルヒーター24の温度は、シラン化合物の沸点より、好ましくは0℃(即ち、シラン化合物の沸点の同じである)〜170℃低い温度に設定する。すなわち、光電変換層は、反応槽、前記反応槽を減圧するためのポンプ、前記シラン化合物を入れるためのバブラー、前記バブラーを入れるマントルヒーター、配管、前記配管を加温するためのヒーター及び不活性ガス供給装置を有する気相反応装置を用いて、配管の温度がマントルヒーターの温度より5〜40℃高い温度で、かつマントルヒーターの温度がシラン化合物の沸点より0〜170℃低い温度である条件下で、シラン化合物で気相処理されることが好ましい。このような条件であれば、シラン化合物をバブラー23で気相化し、さらにバブラー23から配管40、41、42を介して気相化した状態を維持しかつバブラー23や配管40、41、42内でのシラン化合物の反応を抑制しながら、反応槽22に導入して、反応槽22内で積層体(光電変換層)をシラン化合物で効率よく気相処理できる。なお、本明細書において、シラン化合物の「沸点」は、「常圧における沸点(℃)」を意味する。
ここで、積層体(光電変換層)と気相化されたシラン化合物との反応条件は特に制限されない。例えば、積層体(光電変換層)と気相化されたシラン化合物との接触温度(気相処理温度)は、半導体表面の色素が未吸着の官能基(例えば、酸化チタンの水酸基)とシラン化合物とが十分反応できる温度であれば特に制限されない。具体的には、積層体(光電変換層)は、気相化されたシラン化合物と、好ましくは10〜100℃、より好ましくは15〜40℃で接触させる。また、積層体(光電変換層)と気相化されたシラン化合物との接触時間(気相処理時間)は、半導体表面の色素が未吸着の官能基(例えば、酸化チタンの水酸基)とシラン化合物とが十分反応できる時間であれば特に制限されない。具体的には、積層体(光電変換層)は、気相化されたシラン化合物と、好ましくは1〜300分間、より好ましくは20〜120分間接触させる。所定時間接触させた後は、必要であれば、バブラー23の上流にある不活性ガス供給装置28から、配管44、45、46、47を介して、キャリアガスとして不活性ガス(例えば、窒素ガス)を流し、配管及びバブラー内に残留する気相化したシラン化合物を配管40を介して回収する(30)。また、反応槽22のガス出口を全開にし、不活性ガス供給装置28から、配管44、43、42を介して、反応槽22にキャリアガスとして不活性ガス(例えば、窒素ガス)を流し、反応槽22内に残留する気相化したシラン化合物を除去する(31)。
反応槽22内での気相処理後、積層体(光電変換層)を取り出し、加熱/乾燥してもよい。これにより、シラン化合物を半導体表面の色素が未吸着の官能基と強固に結合(固定化)できる。ここで、加熱/乾燥条件は、シラン化合物が半導体表面の色素が未吸着の官能基に結合(固定化)できる条件であれば特に制限されない。具体的には、加熱/乾燥温度は、好ましくは60〜150℃であり、より好ましくは100〜120℃である。また、加熱/乾燥時間は、好ましくは1〜120分間であり、より好ましくは3〜10分間である。このような条件により、シラン化合物は半導体表面の色素が未吸着の官能基と強固に結合(固定化)できる。
このようにして得られた光電変換層では、半導体表面の色素が未吸着の官能基(例えば、酸化チタンの水酸基)とシラン化合物とが反応して、半導体表面の色素未吸着部分にシラン化合物による被膜(好ましくは単分子膜)が形成して、絶縁化される。これにより、電荷輸送剤(ホール輸送剤)との電荷再結合や逆電子移動が抑制・防止されて、本発明の光電変換素子は高い光電変換効率及び耐久性を発揮できる。
(電荷輸送層(正孔輸送層))
電荷輸送層は、光吸収することにより電子を半導体に注入した後に生成する増感色素の酸化体を迅速に還元し、増感色素との界面で注入された正孔を第二電極に輸送する機能を担う層であり、固体電荷輸送層であることが好ましい。以下、本発明で好ましく使用される固体電荷輸送層について詳述する。なお、本発明は、下記形態に限定されない。
固体電荷輸送層は、下記式(3)で表される部分構造を有する化合物または前記化合物の多量体を重合して形成される重合物(以下、単に「重合体」とも称する)を含有する。
上記式(3)において、YおよびYは、−OR基である。ここで、YおよびYは、互いに同じであってもあるいは異なるものであってもよい。また、式:−OR中、Rは、炭素原子数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基である。ここで、炭素原子数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基は、上記式(1)で記載した例示と同様であるため、ここでは説明を省略する。好ましくは、Rは、炭素原子数1〜8の直鎖もしくは分岐状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基がより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が特に好ましい。この際、YおよびYは、互いに結合して環構造を形成していてもよい。
このような上記式(3)で表される部分構造の好ましい例としては、下記がある。なお、本発明は、下記部分構造に限定されない。
なお、固体電荷輸送層を構成する重合体は、上記式(3)で表される部分構造に加えて、他の部分構造を有するものであってもよい。ここで、他の部分構造としては、特に制限されない。具体的には、下記式(3’):
で表される部分構造;ピロール誘導体由来の部分構造、フラン誘導体由来の部分構造、チアジアゾール由来の部分構造、π共役構造を有するモノマー由来の部分構造等が挙げられる。
上記式(3’)中、ZおよびZは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜24の直鎖もしくは分岐状のアルケニル基、炭素数6〜24のアリール基、−SR基、−SeR基、または−TeR10基である。ここで、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜24の直鎖もしくは分岐状のアルケニル基、及び炭素数6〜24のアリール基は、上記式(1)の定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。また、R〜R10は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基である。ここで、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基は、上記式(1)の定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。また、ZおよびZは、互いに結合して環構造を形成していてもよい。
ここで、本発明に係る重合体が、上記式(3)で表される部分構造に加えて上記式(3’)で表される他の部分構造を有する場合の、重合体の組成は、重合体が所望の効果を奏する限り、特に制限されない。重合体における、上記式(3)で表される部分構造と上記式(3’)で表される他の部分構造とのモル比が、1:100〜1:1であることが好ましく、1:10〜1:1であることが好ましい。
このような上記式(3’)で表される他の部分構造の好ましい例としては、下記がある。なお、本発明は、下記他の部分構造に限定されない。
上記重合体の末端は特に制限されず、使用される原料(単量体、二量体、多量体など)の種類によって適宜規定されるが、通常、水素原子である。ここで、本発明に使用される重合体は、上記式(3)で表される部分構造を有する化合物のみから形成されていてもよいし、上記式(3)で表される部分構造を有する化合物および他の単量体から形成されていてもよい。好ましくは、上記式(3)で表される部分構造を有する化合物のみから形成される。また、その際、重合体は、上記式(3)で表される単一種の部分構造を有する化合物のみから形成されていてもよいし、上記式(3)で表される複数種の部分構造を有する化合物から形成されていてもよい。
また、他の単量体としては、本発明に係る重合体の特性を阻害しないものであれば特に制限されず、公知の単量体が使用できる。具体的には、上記式(3’)の化合物、ピロール誘導体あるいはフラン誘導体、チアジアゾール等のモノマーやπ共役構造を有するモノマーなどが挙げられる。
本発明に使用される重合体は、上記式(3)で表される一種又は二種以上の化合物またはこれらの化合物の多量体を、必要に応じて、その他のモノマーと共に、重合触媒としての金属錯体の存在下で、重合または共重合させる方法により、得ることができる。
ここで、上記式(3)で表される部分構造を有する化合物としては、上記に例示した化合物(単量体)を使用することができる。上記に加えて、上記式(3)で表される部分構造を有する化合物の二量体または三量体等の多量体化したもの(オリゴマー化した化合物;以後、一括して「多量体」とも称する)を、重合または共重合に使用できる。
例えば、以下に示されるような、上記化合物(H1−1)〜(H1−4)の二量体(H2−1)〜(H2〜4)が好ましく使用されうる。なお、下記実施例において、固体電荷輸送層を構成する重合体を下記記号にて規定する。
このように二量体等の多量体を用いると、単量体を用いる場合に比して、重合体形成時の酸化電位が小さくなり、重合体の合成速度が短縮されて好ましい。これらの単量体のオリゴマー化した化合物は、例えば、J.R.Reynolds et.al., Adv. Mater., 11, 1379 (1999)に記載の方法または当該方法を適宜修飾した方法によって、合成することができる。また、上記単量体の二量体は、T.M.Swager et.al., Journal of the American Chemical Society, 119, 12568 (1997)に記載の方法または当該方法を適宜修飾した方法によって、合成することができる。
以下に、例えば、上記重合体の単量体(H1−1)の二量体である、3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)ダイマー(H2−1)の製造方法の好ましい例を記載する。ただし、本発明は、下記好ましい例に限定されるわけではなく、他の同様の方法または他の公知の方法を適用することができる。
[3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)ダイマーの合成]
撹拌装置、温度計、および還流冷却管を装着した1000mLのガラス製三口フラスコに、無水テトラヒドロフラン750mL、および3,4−エチレンジオキシチオフェン25g(0.15mol)を添加し、窒素気流下で撹拌しながらアセトン/ドライアイス浴中で内温が−70℃となるまで冷却する。この後、1.6mol/L n−ブチルリチウムヘキサン溶液113mL(0.18mol)をシリンジで5分間かけて反応系に滴下する。25分後、無水塩化銅23.5g(0.17mol)を添加し、そのまま3時間程度撹拌しながら反応させる。反応液を水10Lに添加し、生成物を濾過した後、乾燥させ、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相:塩化メチレン)により精製することにより、PEDOTダイマー17.9g(収率:約72%)を黄白色結晶として得た。
(重合体の重合法)
重合方法としては、特に制限されず、例えば、特開2000−106223号公報に記載の方法など、公知の重合方法が適用できる。具体的には、重合触媒を用いる化学重合法、少なくとも作用極と対極とを備えて両電極間に電圧を印加することにより反応させる電解重合法、光照射単独あるいは重合触媒、加熱、電解等を組み合わせた光重合法等が挙げられる。これらのうち、電解重合法を用いた重合法が好ましく、より好ましくは電解重合法と光照射を組み合わせた光重合法である。電解重合法と光を照射して重合する光重合法を組み合わせて使用することにより、酸化チタン表面に緻密に重合体の層を形成できる。
電解重合法により重合体を得る場合は、重合体の合成がそのまま前記固体電荷輸送層の形成につながる。即ち、以下のような電解重合法が行われる。一般的には、重合体を構成するモノマー、支持電解質、および溶媒、ならびに必要に応じ添加剤を含む混合物を用いる。
前記式(3)で表される単量体または該単量体の多量体ならびに必要に応じて他のモノマーを、適当な溶媒に溶解し、これに支持電解質を添加して、電解重合溶液を作製する。
ここで、溶媒としては、支持電解質および上記単量体或いはその多量体を溶解できるものであれば特に限定されないが、電位窓の比較的広い有機溶剤を使用することが好ましい。具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、ブチレンオキシド、クロロホルム、シクロヘキサノン、クロロベンゼン、アセトン、各種アルコールのような極性溶媒、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジメチルスホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、プロピレンカーボネイト、ジクロロメタン、o−ジクロロベンゼン、塩化メチレンのような非プロトン性溶媒等の有機溶媒などが挙げられる。または、上記溶媒に、必要に応じて水やその他の有機溶剤を加えて混合溶媒として使用してもよい。また、上記溶媒は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
支持電解質としては、イオン電離可能なものが用いられ、特定のものに限定されないが、溶媒に対する溶解性が高く、酸化、還元を受けにくいものが好適に用いられる。具体的には、過塩素酸リチウム(LiClO)、テトラフルオロホウ酸リチウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、Li[(CFSON]、(n−CNBF、(n−CNPF、p−トルエンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩などの塩類が好ましく挙げられる。または、特開2000−106223号公報に記載されるポリマー電解質(例えば、同公報中のPA−1〜PA−10)を支持電解質として使用してもよい、また、上記支持電解質は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
固体電荷輸送層に添加しうる添加剤としては、例えば、N(PhBr)SbCl、NOPF、SbCl、I、Br、HClO、(n−CClO、トリフルオロ酢酸、4−ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、FeCl、AuCl、NOSbF、AsF、NOBF、LiBF、H[PMo1240]、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)などのアクセプタードーピング剤、ホールをトラップしにくいバインダー樹脂、レベリング剤等の塗布性改良剤等の各種添加剤が挙げられる。上記添加剤は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
次いで、第一電極(透明導電膜)2、バッファ層3および光電変換層6を形成した基板1をこの電解重合溶液に浸し、光電変換層6を作用電極として、白金線や白金板などを対極として用い、また、参照極としてAg/AgClやAg/AgNOなどを用いて、直流電解する方法で行われる。電解重合溶液中の前記単量体或いはその多量体の濃度は、特に制限されないが、0.1〜1000mmol/L程度が好適であり、1〜100mmol/L程度がより好ましく、5〜20mmol/L程度が特に好ましい。また、支持電解質濃度は、0.01〜10mol/L程度が好適であり、0.1〜2mol/L程度がより好ましい。また、印加電流密度としては、0.01mA/cm〜1000mA/cmの範囲であることが望ましく、特に1mA/cm〜500mA/cmの範囲であることがより望ましい。保持電圧は、−0.5〜+0.2Vであることが好ましく、−0.3〜0.0Vであることがより好ましい。電解重合溶液の温度範囲は、その溶媒が固化・突沸しない範囲が適当であって一般に−30℃〜80℃である。なお、電解電圧、電解電流、電解時間、温度等の条件は、使用する材料によって左右されるため、また、要求する膜厚に応じて適宜選択することができる。
重合体の重合度把握は、電解重合で得られた重合体では困難であるが、重合後形成された固体電荷輸送層の溶媒溶解性は大きく低下するため、重合体かどうかの確認方法としては、式(3)の化合物もしくは前記化合物の多量体の溶解が可能な溶媒である、テトラヒドロフラン(THF)に固体電荷輸送層を浸漬させ、その溶解度で判断できる。
具体的には、25mlのサンプル瓶に化合物(重合体)10mgをとり、THF 10mlを添加して、超音波(25kHz、150W 超音波工業(株)COLLECTOR CURRENT1.5A超音波工業製150)を5分間照射したときに、溶解している化合物が5mg以下の場合は重合していると規定する。好ましくは、テトラヒドロフラン(THF)に固体電荷輸送層を浸漬させた際の溶解度が0.1〜3mgである。
さらに、必要に応じて、電荷の再結合を防止する観点などから、支持電解質と有機塩基とを溶媒に溶解させた溶液に浸漬させてもよい。この際、支持電解質は、上記電解重合溶液の作製で使用されるのと同様の支持電解質が使用できる。支持電解質は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。なお、電解重合溶液中の支持電解質と、電荷再結合防止のための支持電解質と、は、同じであってもあるいは異なるものであってもよいが、同じであることが好ましい。溶液中の支持電解質の濃度は、特に制限されないが、0.1〜200mmol/L程度が好適であり、1〜50mmol/L程度がより好ましい。また、有機塩基としては、特に制限されないが、tert−ブチルピリジン、α−ピコリン、2,6−ルチジン等が挙げられる。有機塩基は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。溶液中の有機塩基の濃度は、特に制限されないが、0.1〜200mmol/L程度が好適であり、1〜100mmol/L程度がより好ましい。溶媒は、上記電解重合溶液の作製で使用されるのと同様の溶媒が使用できる。なお、電解重合溶液中の溶媒と、電荷再結合防止のための溶媒と、は、同じであってもあるいは異なるものであってもよいが、同じであることが好ましい。溶媒は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
一方、重合触媒を用いて化学重合を行う場合には、例えば、上記式(3)で表される部分構造を有する化合物(単量体)またはその多量体等を以下のような重合触媒を用いて重合することができる。
重合触媒は、特に制限されないが、例えば、塩化鉄(III)(iron(III) chloride)、トリス−p−トルエンスルホン酸鉄(III)(iron(III)tris-p-toluenesulfonate)、p−ドデシルベンゼンスルホン酸鉄(III)(iron(III)p-dodecylbenzenesulfonate)、メタンスルホン酸鉄(III)(iron(III)methanesulfonate)、p−エチルベンゼンスルホン酸鉄(III)(iron(III) p-ethylbenzenesulfonate)、ナフタレンスルホン酸鉄(III)(iron(III)naphthalenesulfonate)およびその水和物等が挙げられる。
また、重合触媒に加えて、重合速度調整剤を化学重合に使用してもよい。重合速度調整剤としては、特に制限されないが、前記重合触媒における三価鉄イオンに対する弱い錯化剤があり、膜が形成できるように重合速度を低減するものであれば特に制限はない。例えば、重合触媒が塩化鉄(III)およびその水和物である場合には、5−スルホサリチル酸(5-sulphosalicylic acid)等の芳香族オキシスルホン酸などが挙げられる。また、重合触媒がトリス−p−トルエンスルホン酸鉄(III)、p−ドデシルベンゼンスルホン酸鉄(III)、メタンスルホン酸鉄(III)、p−エチルベンゼンスルホン酸鉄(III)、ナフタレンスルホン酸鉄(III)およびその水和物である場合には、イミダゾールなどが挙げられる。
重合体は、合成された後、重合体を含有する塗布液などに含有されて光電変換層上に供給されてもよいが、光電変換層上で重合し、固体電荷輸送層を形成することが好ましい態様である。すなわち、単量体またはこれらの多量体の重合を、前記光電変換層上で行うことが好ましい。
この場合、上記式(3)で表される部分構造を有する化合物(式(3)の単量体)またはその多量体等、支持電解質または重合触媒、重合速度調整剤、その他の添加剤、および溶媒を含有する固体電荷輸送層形成用溶液が用いられる。固体電荷輸送層形成用溶液の溶媒としては、電解重合溶液の溶剤として例示したものを使用することができる。
固体電荷輸送層形成用溶液における、上記各成分の合計の濃度は、用いる式(3)の単量体またはその多量体等、前記重合触媒、前記重合速度調整剤およびその他の添加剤のそれぞれの種類、その量比、塗布法に対する条件および望まれる重合後の膜厚により異なるが、概ねその重量濃度(固形分の濃度)は、1〜50重量%の範囲である。
前記固体電荷輸送層形成用溶液を光電変換層上に塗布法により塗布した後、あるいは、光電変換層を前記固体電荷輸送層形成用溶液に浸漬させたまま、重合反応を行なう。
重合反応の条件は、用いる上記式(3)の単量体またはその多量体等、前記重合触媒、および前記重合速度調整剤のそれぞれの種類、その量比、濃度、塗布した段階での液膜の厚み、望まれる重合速度により異なるが、好適な重合条件としては、空気中加熱の場合の加熱温度が25〜120℃の範囲、加熱時間が1分〜24時間の範囲が好ましい。
塗布する方法としては、特に制限されず、公知の塗布方法が同様にしてまたは適宜修飾して使用できる。具体的には、ディッピング、滴下、ドクターブレード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、ロールコーター、エアーナイフコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、グラビアコート、米国特許第2681294号記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート、および米国特許第2761418号、同3508947号、同2761791号記載の多層同時塗布方法等の各種塗布法を用いることができる。また、このような塗布の操作を繰り返し行って積層するようにしてもよい。この場合の塗布回数は、特に制限されず、所望の固体電荷輸送層の厚みに応じて適宜選択できる。
固体電荷輸送層中の式(3)で表される部分構造を有する化合物または前記化合物の多量体を重合して形成される重合物の含有量は、特に制限されない。正孔輸送特性、光電変換層の界面近傍で発生した励起子の消滅の抑制・防止能などを考慮すると、全単量体に対して、50〜100重量%であることが好ましく、さらに90〜100重量%であることが好ましい。
固体電荷輸送層の伝導度を高めるために、重合体は正孔ドープされることが好ましい。この際の、正孔ドープ量は、特に制限されないが、上記式(3)で表される部分構造を有する化合物あたり、0.15〜0.66(個)であることが好ましい。
電解重合では、上記式(3)で表される部分構造を有する重合体に電場をかけて酸化することにより、正孔ドープされる。
また、光電変換層の増感色素の酸化体を還元するためには、本発明に使用される重合体が色素吸着電極のイオン化ポテンシャルより小さいことが好ましい。重合体のイオン化ポテンシャルの好ましい範囲は、特に制限されず、使用する増感色素によって異なるが、該重合体がドープされた状態で、4.5eV以上5.5eV以下が好ましく、さらに4.7eV以上5.3eV以下であることが好ましい。
また、可視光吸収率が低いと吸収による光の損失が少なく、光による劣化も抑えられることから、好ましい固体電荷輸送層としては吸光度が1.0以下が好ましい。また、重合体の重合度が高まると吸光度はやや高まり、好ましい正孔輸送能を有する重合度を出すためには、吸光度として、0.2以上の吸光度を示す重合度を有する電荷輸送層が好ましい。したがって、本発明に係る重合体は、400〜700nmでの吸光度(400〜700nmの波長領域での吸光度の平均値)が0.2〜1.0であることが好ましい。
本明細書において、固体電荷輸送層(重合体)の吸光度は、電解重合前後での作用極の吸光度差を用いて規定され、この際、吸光度は、400〜700nmの波長領域での吸光度の平均値を意味する。吸光度は、分光光度計(JASCO V−530)を用いて測定される。作用極として、FTO導電性ガラス基板に形成した有効面積10×20mmの酸化チタン薄膜に色素を吸着したものを用い、前述の電解重合溶液と同組成の溶液に浸漬し、対極を白金線、参照電極をAg/Ag(AgNO 0.01M)、保持電圧を−0.16Vとして、半導体層方向から光を照射しながら(キセノンランプ使用、光強度22mW/cm、430nm以下の波長をカット)30分間電圧を保持して、式(3)の繰り返し単位を有する重合体を前記作用極上に形成して測定する。膜厚のばらつきの影響を補正するために、サンプルの膜厚を測定し、膜厚(μm)で除した値を用いる。膜厚測定は、Dektak3030(SLOAN TECHNOLOGY Co.製)にて測定される。
[第二電極]
第二電極は、電荷輸送層と接して配置され、任意の導電性材料で構成されうる。絶縁性の物質でも、電荷輸送層に面している側に導電性物質層が設置されていれば、これも使用することができる。第二電極は、素子の電気抵抗を低減する等の観点から、電荷輸送層との接触が良好であることが好ましい。また、第二電極は、電荷輸送層との仕事関数の差が小さく、化学的に安定であることが好ましい。このような材料としては、特に制限されないが、金、銀、銅、アルミニウム、白金、クロム、ロジウム、ルテニウム、マグネシウム、インジウム等の金属薄膜、炭素、カーボンブラック、導電性高分子、導電性の金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)等の有機導電体などが挙げられる。好ましくは金などの金属薄膜である。また、第二電極の厚みは、特に制限されないが、10〜1000nmであることが好ましい。また、第二電極の表面抵抗値は、特に制限されず、可能な限り低い値であることが好ましい。具体的には、表面抵抗値は、80Ω/cm以下であることが好ましく、20Ω/cm以下であることがより好ましい。なお、第二電極の表面抵抗の下限は、可能な限り低いことが好ましいため、特に規定する必要はないが、0.01Ω/cm以上であれば十分である。
以上のような構成を有する光電変換素子は、基体の外側から光が照射されると、素子内部の光電変換層の半導体層に担持された増感色素が励起されて電子を放出する。励起された電子は、半導体に注入され、バッファ層を通じて第一電極に移動する。第一電極に移動した電子は、外部回路を通じて第二電極に移動し、電荷輸送層に供給される。そして、(電子を放出して)酸化された増感色素は、電荷輸送層から電子を受け取り、基底状態に戻る。このようなサイクルを繰り返すことで、光が電気に変換される。
本発明に係る光電変換素子は、増感色素が太陽光の可視光を含む幅広い吸収ピークを示し、その結果、太陽光に対する光電変換効率は向上しうる。また、増感色素の分子内に同一の酸性基および/または電子吸引性基を含む1価の置換基を有することにより、当該増感色素の半導体への吸着を安定化させることができるため、光電変換素子の耐久性が向上しうる。すなわち、本発明に係る光電変換素子は、光電変換効率に優れ、かつ、高い耐久性を有する。
<太陽電池>
本発明に係る光電変換素子は、太陽電池に特に好適に使用することができる。したがって、本発明は、上述の光電変換素子を有することを特徴とする太陽電池をも提供する。
本発明に係る光電変換素子は、色素増感型の太陽電池(セル)として用いられうる。すなわち、本発明に係る太陽電池は、例えばインターコネクタにより電気的に接続された複数の太陽電池セル(本発明に係る光電変換素子)と、それを挟持する一対の保護部材と、一対の保護部材と複数の太陽電池との間の隙間に充填された封止樹脂とを有する。一対の保護部材のうちの一方は、前述の光電変換素子の基体となる。一対の保護部材は両方が透明であってもよいし、一方のみが透明であってもよい。
本発明に係る太陽電池の構造の例には、Z型モジュール、W型モジュールが含まれる。Z型モジュールは、対向する一対の保護部材のうち、一方の保護部材に複数の色素を担持した多孔質な半導体層を、他方の基体に複数の電荷輸送層を形成し、これらを貼り合わせた構造を有する。W型モジュールは、保護部材のそれぞれに一つおきに色素を担持した多孔質な半導体層及び電荷輸送層の積層体を形成し、セルが互い違いとなるように貼り合わせた構造を有する。
本発明に係る太陽電池に、太陽光又は太陽光と同等の電磁波を照射すると、半導体に担持された増感色素は照射された光もしくは電磁波を吸収して励起する。励起によって発生した電子は半導体に移動し、次いで導電性支持体及び外部負荷を経由して第二電極に移動して、電荷輸送層の正孔輸送性材料に供給される。一方、半導体に電子を移動させた増感色素は酸化体となっているが、第二電極から電荷輸送層の重合体を経由して電子が供給されることにより、還元されて元の状態に戻り、同時に電荷輸送層の重合体は酸化されて、再び第二電極から供給される電子により還元されうる状態に戻る。このようにして電子が流れ、本発明の光電変換素子を用いた太陽電池を構成することができる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
合成例1:増感色素A−1の合成
2N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(p−メチルフェニル)ベンジジン54.7g(0.1モル)を塩化メチレン250mlに溶解し、N,N−ジメチルホルムアミド31mlを加え、氷冷下5℃でオキシ塩化リン20mlを滴下した。次いで、室温で2時間撹拌した後、約40℃で還流し、放冷後、塩化メチレン200mlで希釈し、炭酸カリウム水溶液で中和した。中和液の有機相を分取し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、減圧濃縮し、得られた残査をカラムクロマトグラフィーにより精製して、ホルミル化された下記中間体A−1 38gを得た。
上記中間体2.0g、シアノ酢酸0.6g、酢酸アンモニウム0.8gを酢酸5.0gに溶解し、120℃で加熱攪拌した。30分後、加熱を停止すると直ぐに固化した。室温まで冷却後、水50mlを加えて攪拌し、結晶を濾取した。結晶をビーカーに移し、水100mlで2回洗浄し、次いで2−プロパノール(50ml)で2回洗浄し、増感色素A−1を得た。この増感色素A−1の構造は、H−NMR、13C−NMR等を用いて確認した。
実施例1:光電変換素子T1の作製
1.バッファ層の形成
表面抵抗9Ω/□のフッ素ドープ酸化スズ(FTO)透明導電膜付ガラス基板(FTOの塗布量:7g/m基体、第一電極の厚み:0.9μm、導電性支持体の厚み:1.1mm)を導電性支持体とした。この導電性支持体に、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)(チタンキレート)5部をn−プロパノール95部に溶解させた溶液を、スピンコート法により塗布した。塗布後、500℃で30分間焼成を行い、厚さ50nmの酸化チタン層をバッファ層として形成した。
2.半導体電極の作製
上記1.で形成されたバッファ層上に、二酸化チタンペースト(アナターゼ型、1次平均粒径(顕微鏡観察平均):18nm、ポリエチレングリコール分散)を、スクリーン印刷法(塗布面積5mm×5mm)により塗布した。塗布後、200℃で10分間及び500℃で15分間焼成を行い、厚さ5μmの多孔質二酸化チタン薄膜を得た。
合成例1で合成した色素Aを、アセトニトリル:tert−ブチルアルコール=1:1(体積比)の混合溶媒に溶解し、5×10−4mol/Lの増感色素含有溶液を調製した。上記半導体層が形成されたFTOガラス基体を、この溶液に室温(25℃)で3時間浸漬して増感色素の半導体への吸着処理を行い、光電変換層が形成された半導体電極を得た。
3.気相処理(光電変換層の形成)
別途、図1に示される気相反応装置21を用意した。まず、反応槽22内に設置したガラス製の台座の上に、上記で得られた半導体電極を設置し、減圧用ポンプ29を用いて反応槽22内を1×10−1Paに減圧した。更に、減圧用ポンプ29を用いて、配管42、41、40およびバブラー23内を10−1Paに減圧した後、減圧用ポンプ29を止めて、乾燥窒素ガスを流した。次に、反応槽22入口のバルブを閉め、反応槽22のみを1×10−1Paに減圧した。その後、配管ヒーターを45℃に設定した。続いて、バブラー23の注入口よりジクロロメチルシラン(沸点:41℃)を1ml添加し、注入口を閉めた後に、マントルヒーター24の温度を25℃に設定した。これにより、ジクロロメチルシランは気相化した。配管及びマントルヒーターの温度が設定値であることを確認した後に、反応槽22入口のバルブを開け、気相化したシラン化合物を反応槽22(反応槽22内の温度:23℃)内に導入した。シラン化合物を導入してから2分後、バブラー23の上流にある不活性ガス供給装置28から、配管44、45、46、47を介して、キャリアガスとして窒素ガスを0.4L/分の流量で20分間流して、反応槽22内にジクロロメチルシランを導入し、光電変換層をジクロロメチルシランで気相処理した。反応終了後、反応槽22のガス出口を全開にし、バブラー23を通らない配管44、43、42を介して、反応槽に8L/分の流量で10分間窒素をガス流し、反応槽22内に残留した気相化したジクロロメチルシランガスを除去した(31)。反応槽22から半導体電極を取り出し、100℃のオーブンで3分間、加熱/乾燥した。
このようにして得られた光電変換層について、X線光電子分光法(ESCA)を用いて元素分析した。得られた酸素原子のピークを更に、O−Si、O−Ti、Ti−O−Si、及びHO−Tiに分離した。この中で、O−Siのピーク強度:O−Tiのピーク強度の比を算出したところ、13:87であった。なお、上記ピークのうち、Ti−O−Siのピーク強度は、検出限界を超えており、検出されなかった。また、HO−Tiのピーク強度は、検出限界に近いほどかなり小さく、これから本実施例で得られた光電変換層の半導体(酸化チタン)表面の水酸基はほとんど存在せず、半導体全表面に増感色素(色素A)またはシラン化合物(ジクロロメチルシラン由来のもの)が吸着しているものと、考察される。
4.電荷輸送層及び第二電極の形成
電解重合は、正孔輸送材料の原料(電荷輸送層形成材料)である2,2’−ビス−3,4−エチレンジオキシチオフェン(3,4-ethylenedioxythiophene(EDOT)の二量体:H2−1)及びLi[(CFSON]を含有するアセトニトリル溶液(H2−1の濃度:0.01mol/L、Li[(CFSON]濃度:0.1mol/L)に浸漬した。作用極を上記半導体電極、対極を白金線、参照電極をAg/Ag(AgNO 0.01M)、保持電圧を−0.2Vとした。半導体層(二酸化チタン層)方向から光を照射しながら(キセノンランプ使用、光強度:22mW/cm、430nm以下の波長をカット)10分間電圧を保持して、電荷輸送層を上記半導体電極表面に形成した。得られた半導体電極/電荷輸送層をアセトニトリルで洗浄、乾燥した。
なお、ここで得られた電荷輸送層は、溶媒には不溶の重合膜になっている。その後、Li[(CFSON]を15×10−3mol/L、tert−ブチルピリジンを50×10−3mol/Lの割合で含有するクロロベンゼン:アセトニトリル=19:1(体積比)の溶液に30分間浸漬した。次いで、真空蒸着法により金(Au)を90nm蒸着して第二電極を作製し、光電変換素子T1を作製した。
実施例2:光電変換素子T2の作製
実施例1の3.気相処理(光電変換層の形成)において、配管ヒーターの温度を60℃、マントルヒーターの温度を40℃に設定した以外は、実施例1と同様の方法に従って、光電変換素子T2を作製した。
なお、得られた光電変換層について、実施例1と同様にして、X線光電子分光法(ESCA)を用いて元素分析してO−Siのピーク強度:O−Tiのピーク強度の比を算出したところ、25:75であった。なお、上記ピークのうち、Ti−O−Siのピーク強度は、検出限界を超えており、検出されなかった。また、HO−Tiのピーク強度は、検出限界に近いほどかなり小さく、これから本実施例で得られた光電変換層の半導体(酸化チタン)表面の水酸基はほとんど存在せず、半導体全表面に増感色素(色素A)またはシラン化合物(ジクロロメチルシラン由来のもの)が吸着しているものと、考察される。
実施例3:光電変換素子T3の作製
実施例1の3.気相処理(光電変換層の形成)において、ジクロロメチルシランの代わりにヘキサメチルジシラザンを使用し、配管ヒーターの温度を80℃、マントルヒーターの温度を60℃に設定し、さらにバブラー23の上流より、配管44、45、46、47、40を介して、キャリアガスとして窒素ガスを0.4L/分の流量で60分間流して、配管及びバブラー内に残ったヘキサメチルジシラザンを除去した以外は、実施例1と同様の方法に従って、光電変換素子T3を作製した。
なお、得られた光電変換層について、実施例1と同様にして、X線光電子分光法(ESCA)を用いて元素分析してO−Siのピーク強度:O−Tiのピーク強度の比を算出したところ、18:72であった。なお、上記ピークのうち、Ti−O−Siのピーク強度は、検出限界を超えており、検出されなかった。また、HO−Tiのピーク強度は、検出限界に近いほどかなり小さく、これから本実施例で得られた光電変換層の半導体(酸化チタン)表面の水酸基はほとんど存在せず、半導体全表面に増感色素(色素A)またはシラン化合物(ヘキサメチルジシラザン由来のもの)が吸着しているものと、考察される。
実施例4:光電変換素子T4の作製
実施例3の、配管ヒーターの温度、反応時間を表1の様に変更した以外は、実施例3と同様の方法に従って、光電変換素子T3を作製した。この時の反応時間は、シラン化合物を導入してから2分後、バブラー23の上流にある不活性ガス供給装置28から、配管44、45、46、47を介して、キャリアガスとして窒素ガスを0.4L/分の流量で13分間流して、反応槽22内にシラン化合物を導入し、光電変換層をシラン化合物で気相処理した。
比較例1:光電変換素子C1の作製
実施例1の3.気相処理(光電変換層の形成)において、ジクロロメチルシランの代わりにトリクロロメチルシランを使用し、配管ヒーターの温度を80℃、マントルヒーターの温度を60℃に設定した以外は、実施例1と同様の方法に従って、光電変換素子C1を作製した。
なお、得られた光電変換層について、実施例1と同様にして、X線光電子分光法(ESCA)を用いて元素分析してO−Siのピーク強度:O−Tiのピーク強度の比を算出したところ、69:31であった。
比較例2:光電変換素子C2の作製
実施例1において、3.気相処理(光電変換層の形成)を実施しなかった以外は、実施例1と同様の方法に従って、光電変換素子C1を作製した。
上記実施例および比較例で作製した光電変換素子の気相処理反応条件を表1に要約する。
比較例3:光電変換素子C3の作製
実施例1の3.気相処理(光電変換層の形成)において、ジクロロメチルシランの代わりに3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシランルシランを使用し、配管ヒーターの温度を60℃、マントルヒーターの温度を75℃に設定し、反応時間を、シラン化合物を導入してから2分後、バブラー23の上流にある不活性ガス供給装置28から、配管44、45、46、47を介して、キャリアガスとして窒素ガスを0.4L/分の流量で10分間流して、反応槽22内にシラン化合物を導入し、光電変換層をシラン化合物で気相処理した以外は、実施例1と同様の方法に従って、光電変換素子C3を作製した。
〔光電変換素子の評価〕
(光電変換特性の測定)
上記実施例および比較例で作製した光電変換素子を、それぞれ、ソーラーシュミレータ(英弘精機製)を用い、AMフィルター(AM−1.5)を通したキセノンランプから100mW/cmの擬似太陽光を照射することにより行った。半導体層上に5mm×5mmのマスクをかけた条件下で光電変換特性の測定を行った。即ち、光電変換素子について、I−Vテスターを用いて室温にて電流−電圧特性を測定し、短絡電流(Jsc)、開放電圧(Voc)、および形状因子(F.F.)を求め、これらから光電変換効率(η(%))を求めた。なお、光電変換素子の変換効率(η(%))は下記式(A)に基づいて算出した。
ここで、Pは入射光強度[mW・cm−2]、Vocは開放電圧[V]、Jscは短絡電流密度[mA・cm−2]、F.F.は形状因子を示す。
(耐久性の評価)
上記(光電変換特性の測定)により光電変換効率を測定した光電変換素子を短絡させた上で、200mW/cmの擬似太陽光を720時間照射した後に、上記と同様に電流−電圧特性を測定し、光劣化後の短絡電流密度(Jsc1)、開放電圧(Voc1)、光電変換効率(η1(%))を求め、下記式(B)により耐久率(初期光電変換効率に対する比)を求めた。
表2に各光電変換素子の特性評価結果を示す。
表1から示されるように、本発明の実施例の光電変換素子T1〜T3は、比較例の光電変換素子C1〜C3に比して、光電変換効率及び耐久率に優れる。
1 基板、
2 第1の電極、
3 バリア層、
4 光電変換層、
5 電荷輸送層、
6 第2の電極、
9 太陽光の入射方向、
10 光電変換素子、
21 気相反応装置、
22 反応槽、
23 バブラー、
24 マントルヒーター、
25 バブラー逆流防止槽、
26,27 マスフローメーター、
28 不活性ガス供給装置、
29 減圧用ポンプ、
30 原料回収、
31 排気、
40,41,42,43,44,45,46,47 配管。

Claims (6)

  1. 基体、第一電極、半導体および増感色素を含有する光電変換層、電荷輸送層、ならびに第二電極を有する光電変換素子において、
    前記光電変換層は、X線光電子分光法(ESCA)により酸素原子分析でのO−Siのピーク強度:O−Tiのピーク強度の比が5:95〜30:70となるように、シラン化合物で気相処理され、
    前記シラン化合物は、下記式(1)または(2):
    ただし、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜24のアルキル基または炭素原子数6〜24のアリール基を表わし;Rは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水酸基または炭素原子数1〜24のアルコキシ基を表わし;nは、1〜3である、
    ただし、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数1〜24のアルコキシ基または炭素原子数6〜24のアリール基を表わす、
    で示される、光電変換素子。
  2. 前記光電変換層は、反応槽、前記反応槽を減圧するためのポンプ、前記シラン化合物を入れるためのバブラー、前記バブラーを入れるマントルヒーター、配管、前記配管を加温するためのヒーター及び不活性ガス供給装置を有する気相反応装置を用いて、前記配管の温度が前記マントルヒーターの温度より20〜80℃高い温度である条件下で、シラン化合物で気相処理される、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記光電変換層は、前記反応槽内を9×10−1〜1×10−3Paに減圧して前記反応槽内に導入した気相化したシラン化合物で気相処理される、または不活性ガスを用いて前記反応槽内に導入した気相化したシラン化合物で気相処理される、請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 前記半導体は、酸化チタンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  5. 基体、第一電極、半導体および増感色素を含有する光電変換層、電荷輸送層、ならびに第二電極を有する光電変換素子の製造方法であって、
    反応槽、前記反応槽を減圧するためのポンプ、前記シラン化合物を入れるためのバブラー、前記バブラーを入れるマントルヒーター、配管、前記配管を加温するためのヒーター及び不活性ガス供給装置を有する気相反応装置を用いて、前記配管の温度が前記マントルヒーターの温度より20〜80℃高い温度である条件下で、シラン化合物を気相化し、前記気相化したシラン化合物を、前記反応槽内を9×10−1〜1×10−3Paに減圧してまたは不活性ガスを用いて前記反応槽内に導入して、光電変換層を、X線光電子分光法(ESCA)により酸素原子分析でのO−Siのピーク強度:O−Tiのピーク強度の比が5:95〜30:70となるように、シラン化合物で気相処理することを有し、
    前記シラン化合物は、下記式(1)または(2):
    ただし、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜24のアルキル基または炭素原子数6〜24のアリール基を表わし;Rは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水酸基または炭素原子数1〜24のアルコキシ基を表わし;nは、1〜3である、
    ただし、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数1〜24のアルコキシ基または炭素原子数6〜24のアリール基を表わす、
    で示される、方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子または請求項5に記載の方法によって製造される光電変換素子を有する、太陽電池。
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