JP2014177602A - 水不溶性シクロデキストリンポリマーおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 シクロデキストリンとポリカルボン酸無水物とを、塩基性溶媒中で、反応温度を100℃以上、シクロデキストリンとポリカルボン酸無水物の比率をシクロデキストリン1モルに対しポリカルボン酸無水物を3モル以上として反応させることにより得られる水不溶性シクロデキストリンポリマーに関する。
【選択図】 図1
Description
そして、このようなシクロデキストリンの性質を備え、且つ水に対して不溶である水不溶性シクロデキストリンポリマーが提案されている。
また、水不溶性シクロデキストリンポリマーの用途として、水溶液に含まれるダイオキシン類、界面活性剤等の環境汚染物質の除去技術(特許文献1、特許文献2)、ヨウ素抽出技術(特許文献3)、クロロゲン酸、カフェイン分離技術(特許文献4、特許文献5)、血液中細菌毒素除去技術(特許文献6)、微生物固定化担体構築技術(特許文献7)等が提案されている。
本発明はこのような事情に基づきなされたものであり、新規な水不溶性シクロデキストリンポリマーおよびその製造方法を提供することを目的とする。
(i)シクロデキストリンとポリカルボン酸無水物とを、塩基性溶媒中で、反応温度を100℃以上、シクロデキストリンとポリカルボン酸無水物の比率をシクロデキストリン1モルに対しポリカルボン酸無水物を3モル以上として反応させることを含む水不溶性シクロデキストリンポリマーの製造方法。
なお、本明細書において水不溶性とは、10mgのCDPを10mLの水(25℃)に添加したときに残渣が確認できることをいう。残渣が存在するか否かは、例えば、濾紙(pore size 0.20 μm)を用いて濾過を行い、当該濾紙を乾燥した後に残渣が計量できるか否かによって判定することができる。
当該反応温度および比率の関係を満足することにより、水不溶性であるシクロデキストリンポリマーを得ることができる。なお、反応時間や反応に用いる塩基性溶媒の量などは特に限定されず、当業者が適宜設定することができる。
得られる水不溶性CDPの収率の観点から、反応温度は130℃以上(より好ましくは150℃以上)が好ましい。また、水不溶性CDPの収率の観点から、シクロデキストリンとポリカルボン酸無水物の比率は、シクロデキストリン1モルに対しポリカルボン酸無水物を3.5モル以上(より好ましくは4モル以上、さらにより好ましくは5モル以上)であることが好ましい。
より好ましい態様としては、水不溶性CDPの収率の観点から、反応温度が130℃以上(より好ましくは150℃以上)であるとともに、シクロデキストリンとポリカルボン酸無水物の比率がシクロデキストリン1モルに対しポリカルボン酸無水物を3.5モル以上(より好ましくは4モル以上、さらにより好ましくは5モル以上)であることが好ましい。
なお、特に限定されないが、反応温度が260℃以下であり、シクロデキストリン1モルに対しポリカルボン酸無水物が7モル以下であることが好ましい。
したがって、本実施形態の水不溶性CDPは、例えば、水からの有機化合物や無機化合物の除去または分離処理に用いることができる。
具体的には、本実施形態の水不溶性CDPは、ビスフェノールA(BPA)、ダイオキシン類、界面活性剤などの人体や環境への悪影響が懸念される物質の除去処理に用いることができる。
さらに、本実施形態の水不溶性CDPは、人体や環境への影響が少ないと考えられているポリカルボン酸無水物を用いて製造されているため、人体や使用される環境等への影響を抑えることができる。そのため、食品分野や医療分野における使用しやすさなども期待される。
β-シクロデキストリン(β-CD)と1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸無水物(BTCA)とを反応させ、実施例の水不溶性CDPおよび比較例のCDPを得た。
具体的には、β-CD 2.27 g(2.00 mmol) とBTCAをピリジン20 ml中で24時間反応させた。β-CDの添加量に対するBTCAの添加量(モル)、反応温度を表1に示す。
反応後、メタノールと酢酸エチルを用いて反応により合成されたCDPを再結晶させた。続いて、再結晶させたCDPをデシケーター中で減圧乾燥した。
得られたβ-CDの添加量に対するBTCAの添加量(モル)、反応温度と、得られたシクロデキストリンポリマーが水不溶性か否かの関係を表1に示す。
まず、各CDP(10 mg)を蒸留水(10mL、25℃)に添加した後、濾紙(pore size 0.20 μm)を用いて濾過を行なった。当該濾紙を180℃で乾燥した後、MX-50 moisture analyzer (A&D Co. Ltd., Japan)を用いて残渣の計量を行い、水への溶解性を判定した。
水不溶性CDPの形成
β-CD 2.27 g(2.00 mmol) とBTCAをピリジン20 ml中で24時間反応させ、実施例1および2の水不溶性CDPを得た。実施例1において、β-CDとBTCAのモル比は1:3.5であり、また、反応温度は150℃とした。また、実施例2において、β-CDとBTCAのモル比は1:7であり、また、反応温度は150℃とした。
反応後、メタノールと酢酸エチルを用いて反応により合成された実施例1および2の水不溶性CDPを再結晶させた。続いて、再結晶させた水不溶性CDPをデシケーター中で減圧乾燥した。
有害物質除去能に関する試験
50mL遠沈管に0.5 mM BPA溶液 20 mLを加え,さらに20mgの実施例1、2の水不溶性CDPを入れ、室温下(25℃)で振盪した。所定時間後、波長275 nmにおける試料溶液の上清の吸光度を測定し,あらかじめ作成した検量線からBPA濃度を求め実施例1、2の水不溶性CDPのBPA吸着率を、以下の式(1)をもとに算出した。
qt = V(C0 - Ct)/W (1)
式(1)中、qt (mmol/g) はある時間における吸着量、VはBPA溶液量、C0 はBPA初期濃度(mmol L-1)、Ctはある時間tにおけるBPA濃度 (mmol/g)、Wは添加したCDP質量 (g)である。
図2から理解できるように、実施例1、2のCDPのBPAの吸着量は時間とともに増加し、20時間で平衡となった。
また、BPA溶液の濃度のみを変えて、同じ試験を行なった。その結果、図3に示すように、BPA濃度の上昇に従い吸着量は大きくなった。
当該試験結果とLangmuirの吸着等温式に基づき、実施例1、2のCDPの最大吸着量は、それぞれ0.250 mmol g-1、0.169 mmol g-1と推定され、極めて高い値を示すと考えられる。
Claims (5)
- シクロデキストリンとポリカルボン酸無水物とを、塩基性溶媒中で、反応温度を100℃以上、シクロデキストリンとポリカルボン酸無水物の比率をシクロデキストリン1モルに対しポリカルボン酸無水物を3モル以上として反応させることを含む水不溶性シクロデキストリンポリマーの製造方法。
- 前記ポリカルボン酸無水物が1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸無水物である請求項1に記載の水不溶性シクロデキストリンポリマーの製造方法。
- シクロデキストリンとポリカルボン酸無水物の比率が、シクロデキストリン1モルに対しポリカルボン酸無水物3.5モル以上である請求項1または2に記載の水不溶性シクロデキストリンポリマーの製造方法。
- 反応温度が130℃以上である請求項1から3のいずれか1つに記載の水不溶性シクロデキストリンポリマーの製造方法。
- 請求項1から4のいずれか1つに記載の方法により製造される水不溶性シクロデキストリンポリマー。
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