JP2014172848A - 殺菌剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】黄色ブドウ球菌に対する殺菌効果が高く、その殺菌効果の持続性にも優れた殺菌剤を提供する。
【解決手段】パルミトレイン酸カルシウム(パルミトオレイン酸カルシウムともいい、cis-6-ヘキサデセン酸カルシウム、又はcis-6-ヘキサデセン酸カルシウムとcis-9-ヘキサデセン酸カルシウムとの混合物をいう。)を有効成分とする黄色ブドウ球菌殺菌剤。室温では固体であり、水、エタノール等の溶媒に対しても極めて溶解度の低いパルミトレイン酸カルシウムが、黄色ブドウ球菌に対する殺菌効果が高く、その殺菌効果の持続性にも優れる。
【選択図】なし

Description

黄色ブドウ球菌は病原性を有しており、手に付いた菌が食品に付着して増殖し、これを食べることによる食中毒を引き起こす原因となる。また、この黄色ブドウ球菌は、乾燥肌や肌荒れ状態にある人、さらには、アトピー性皮膚炎患者の皮膚に多く存在することが知られており、黄色ブドウ球菌の産生する毒素が、さらなる皮膚状態の悪化を引き起こすことも知られている。このような点から、皮膚についた黄色ブドウ球菌を、殺菌、除去することが必要であり、様々な殺菌剤や抗菌剤、付着防止剤が知られている。例えば、特許文献1には、α−D−グルコピラノシルグリセロールを有効成分とする抗菌剤が、黄色ブドウ球菌に対する抗菌剤として記載されている。また、特許文献2には、グルコオリゴ糖を有効成分とする黄色ブドウ球菌の皮膚付着阻害剤が記載されている。
一方、炭素数10〜18の分岐飽和脂肪酸、6−ヘキサデセン酸、パルミトレイン酸、リノール酸等の脂肪酸が、黄色ブドウ球菌の増殖を阻害し、且つ表皮ブドウ球菌を増殖させることにより、皮膚の状態を改善することが知られている(特許文献3)。
特開2004−331577号公報 特開2005−2087号公報 特開2001−172176号公報
しかしながら、特許文献1等に記載の抗菌剤や付着防止剤は、有効成分そのものが皮膚への付着性に乏しいため、剤を適用した後の殺菌又は抗菌効果の持続性が得られない。皮膚、特に手の皮膚は、食品を扱う場合、油との接触や、摩擦などが多く、殺菌作用の必要性が高い場面において持続性に課題がある。また、医療機関などの殺菌が必要な場面においては、エタノール等でも消毒されるため、より一層、剤の皮膚への付着が損なわれる。
本発明は、皮膚の黄色ブドウ球菌の殺菌効果が高いだけでなく、この殺菌効果の持続性に優れる黄色ブドウ球菌殺菌剤に関する。
殺菌性や抗菌性の試験は、培地へ検体と細菌とを添加し、細菌の増殖によって判断するが、この場合の検体は、細菌に効果的に接触させるため、水への溶解性や分散性を考慮し、培養環境(室温:25℃〜38℃)で液体であることが一般的である。しかし、本発明者は、室温では固体であり、水、エタノール等の溶媒に対しても極めて溶解度の低いパルミトレイン酸カルシウムが、黄色ブドウ球菌に対する殺菌効果が高く、その殺菌効果の持続性にも優れることを見出した。
本発明は、パルミトレイン酸カルシウムを有効成分とする黄色ブドウ球菌殺菌剤に関する。
また、本発明は、パルミトレイン酸カルシウムを有効成分とする黄色ブドウ球菌殺菌持続剤に関する。
本発明の殺菌剤は、黄色ブドウ球菌の殺菌効果が高く、しかもこの殺菌効果の持続性にも優れたものである。
実施例1において、各種脂肪酸カルシウムの黄色ブドウ球菌に対する殺菌効果を示す図である。 実施例1において、各種脂肪酸の黄色ブドウ球菌に対する殺菌効果を示す図である。 実施例4において、各種脂肪酸カルシウムの黄色ブドウ球菌に対する殺菌効果を示す図である。
本発明の黄色ブドウ球菌殺菌剤、黄色ブドウ球菌殺菌持続剤は、パルミトレイン酸カルシウムを有効成分とするものである。パルミトレイン酸カルシウムは、パルミトオレイン酸カルシウムともいい、cis-6-ヘキサデセン酸カルシウム、又はcis-6-ヘキサデセン酸カルシウムとcis-9-ヘキサデセン酸カルシウムとの混合物をいう。
従来、パルミトレイン酸が殺菌効果を有することは知られていたが、パルミトレイン酸カルシウムが高い殺菌作用を有することや、その持続性に優れることは知られていなかった。
パルミトレイン酸カルシウムは、パルミトレイン酸ナトリウムと、硬度10〜180mg/Lの水を混合して得られるものが好ましく、硬度20〜180mg/Lの水を混合して得られるものがより好ましい。パルミトレイン酸ナトリウムとかかる水との混合割合は、カルシウム塩形成の点から、1:200以上が好ましく、1:100以上がより好ましく、1:10以下が好ましく、1:20以下がより好ましい。また、パルミトレイン酸ナトリウムと上記の水との混合割合は、1:200〜1:10が好ましく、1:100〜1:20がより好ましい。このように、パルミトレイン酸ナトリウムと硬度20〜180mg/Lの水を皮膚の表面において混合することによって、皮膚に効果的にパルミトレイン酸カルシウムを付着させることができる。
また、パルミトレイン酸ナトリウムは、マカデミアナッツ油由来のものが好ましい。マカデミアナッツ油は、通常、パルミトレイン酸を15〜27質量%含むものであり、18〜24質量%含むものが好ましく、20〜24質量%含むものがさらに好ましい。このようなマカデミアナッツ油としては、ケニア産のマカデミアナッツ油がより好ましい。パルミトレイン酸ナトリウムは、マカデミアナッツ油を水酸化ナトリウムで中和することにより、製造されるのが好ましい。中和の方法は、パルミトレイン酸等の不飽和脂肪酸の酸化を防止する点から、50℃以下の低温で、水酸化ナトリウムとの中和熱を利用して反応を進めることが好ましく、反応時間の観点から中和反応の温度は、好ましくは25℃以上であり、より好ましくは30℃以上であり、さらに好ましくは40℃以上である。
また、本発明においては、有効成分として、パルミトレイン酸カルシウムとともに、リノール酸カルシウムを組み合わせて用いることができる。この場合、パルミトレイン酸カルシウムとリノール酸カルシウムの質量割合(リノール酸カルシウム/パルミトレイン酸カルシム)は、黄色ブドウ球菌の殺菌効果、殺菌効果の持続性の観点から、0.025以上であることが好ましく、0.05以上がより好ましく、0.08以上がさらに好ましく、0.1以上がよりさらに好ましく、酸化しにくさの点から1以下であることが好ましく、0.5以下がより好ましく、0.25以下がさらに好ましい。また、パルミトレイン酸カルシウムとリノール酸カルシウムの質量割合(リノール酸カルシウム/パルミトレイン酸カルシウム)は、0.025〜1が好ましく、0.05〜0.5がより好ましく、0.08〜0.5がさらに好ましく、0.1〜0.25がよりさらに好ましい。
本発明の黄色ブドウ球菌殺菌剤、黄色ブドウ球菌殺菌持続剤は、例えば、パルミトレイン酸ナトリウムを含む石鹸として、適用することができる。その場合、石鹸中のパルミトレイン酸ナトリウムの含有量は、石鹸の泡立ちの点から、全組成中に5質量%以上が好ましく10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、45質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましい。また、石鹸中のパルミトレイン酸ナトリウムの含有量は、全組成中に5〜45質量%が好ましく、10〜35質量%がより好ましく、15〜25質量%がさらに好ましい。
本発明の黄色ブドウ球菌殺菌剤、黄色ブドウ球菌殺菌持続剤は、石鹸として適用する場合、石鹸中には、パルミトレイン酸ナトリウムとともに、リノール酸ナトリウムを含有させることもできる。その場合の質量割合(リノール酸ナトリウム/パルミトレイン酸ナトリウム)は、前記パルミトレイン酸カルシウムとリノール酸カルシウムの質量割合と同様であるのが好ましい。また、石鹸中のパルミトレイン酸ナトリウムとリノール酸ナトリウムの含有量の合計は、黄色ブドウ球菌殺菌効果及び殺菌効果持続の観点から、全組成中に7質量%以上であることが好ましく、12質量%以上であることがより好ましく、17質量%以上であることがさらに好ましく、石鹸が水を吸収してふやけることを抑制する観点から、45質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。石鹸中のパルミトレイン酸ナトリウムとリノール酸ナトリウムの含有量の合計は、全組成中に7〜45質量%が好ましく、12〜35質量%がより好ましく、17〜30質量%がさらに好ましい。
本発明の黄色ブドウ球菌殺菌剤、黄色ブドウ球菌殺菌剤を石鹸として適用する場合、石鹸中のパルミトレイン酸ナトリウム及びリノール酸ナトリウム以外の脂肪酸並びにその塩の含有量は、パルミトレイン酸カルシウムの皮膚への付着性の観点から、パルミトレイン酸の含有量に対して、質量割合で5倍以下であることが好ましく、4倍以下であることがより好ましく、3倍以下であることが好ましく、石鹸の酸化を抑制し、適度な硬度を得る観点から、0.1倍以上であることが好ましく、0.2倍以上であることが好ましい。また、石鹸として適用する場合の、石鹸中の(パルミトレイン酸ナトリウム及びリノール酸ナトリウム以外の脂肪酸並びにその塩)/パルミトレイン酸ナトリウムの質量割合は、0.1〜4であることが好ましく、0.2〜3であることがより好ましい。
本発明の殺菌剤、殺菌持続剤を石鹸とした場合、パルミトレイン酸の酸化を防止する観点から、酸化防止剤、又はキレート剤を含有することが好ましい。酸化防止剤としては、トコフェロール、アスコルビン酸、エリソルビン酸、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、クロロゲン酸、カテキンが挙げられ、キレート剤としてはEDTA(エデト酸)、DTPA(ジエチレントリアミンペンタ5酢酸)、HEDP(ヒドロキシエタンジホスホン酸)、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、フィチン酸、グルコン酸又はこれらの塩が挙げられ、これらから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の殺菌剤、殺菌持続剤を石鹸とした場合、この石鹸と水とを混合し、石鹸を溶解し泡立てて、皮膚を洗浄し、水ですすぐことができる。これにより、石鹸中のパルミトレイン酸ナトリウムが、水中のカルシウムにより、パルミトレイン酸カルシウムとなり、すすぎ後に皮膚の表面に付着する。そして、このパルミトレイン酸カルシウムは、皮膚への付着性が高いため、その殺菌効果が長時間持続することができる。本発明の殺菌剤、殺菌持続剤を石鹸として用いる場合、皮膚への付着性の点から、頭皮以外の皮膚に適用することが好ましい。また、本発明の殺菌剤、殺菌持続剤を石鹸とした場合、この石鹸と混合して用いる水は、パルミトレイン酸カルシウムを形成する観点から、10〜180mg/Lの硬度であることが好ましく、石鹸の泡立ちと使用感との両立の点から、20〜100mg/Lの硬度であることが好ましい。
上述した実施形態に関し、本発明は、更に以下の組成物を開示する。
<1>パルミトレイン酸カルシウムを有効成分とする黄色ブドウ球菌殺菌剤又は殺菌持続剤。
<2>パルミトレイン酸カルシウムは、好ましくは、パルミトレイン酸ナトリウムと、硬度10〜180mg/Lの水を混合して得られるものであって、硬度20〜180mg/Lの水を混合して得られるものがより好ましい前記<1>記載の黄色ブドウ球菌殺菌剤又は殺菌持続剤。
<3>パルミトレイン酸ナトリウムと水との混合割合は、好ましくは、1:200〜1:10であって、1:100〜1:20がより好ましい前記<2>記載の黄色ブドウ球菌殺菌剤又は殺菌持続剤。
<4>パルミトレイン酸ナトリウムは、好ましくは、マカデミアナッツ油由来のものである前記<2>又は<3>記載の黄色ブドウ球菌殺菌剤又は殺菌持続剤。
<5>マカデミアナッツ油は、好ましくは、パルミトレイン酸を15〜27質量%含むものであって、18〜24質量%含むものがより好ましく、20〜24質量%含むものがさらに好ましい前記<4>記載の黄色ブドウ球菌殺菌剤又は殺菌持続剤。
<6>マカデミアナッツ油は、好ましくは、ケニア産である前記<4>又は<5>記載の黄色ブドウ球菌殺菌剤又は殺菌持続剤。
<7>パルミトレイン酸ナトリウムは、好ましくは、マカデミアナッツ油を水酸化ナトリウムで中和することにより、製造される前記<2>〜<6>のいずれか1記載の黄色ブドウ球菌殺菌剤又は殺菌持続剤。
<8>有効成分として、パルミトレイン酸カルシウムと、リノール酸カルシウムを組み合わせて用いる前記<1>〜<7>のいずれか1記載の黄色ブドウ球菌殺菌剤又は殺菌持続剤。
<9>パルミトレイン酸カルシウムとリノール酸カルシウムの質量割合(リノール酸カルシウム/パルミトレイン酸カルシム)は、好ましくは、0.025〜1であって、0.05〜0.5がより好ましく、0.08〜0.5がさらに好ましく、0.1〜0.25がよりさらに好ましい前記<8>記載の黄色ブドウ球菌殺菌剤又は殺菌持続剤。
<10>パルミトレイン酸ナトリウムを含む石鹸として、適用される前記<1>〜<9>のいずれか1記載の黄色ブドウ球菌殺菌剤又は殺菌持続剤。
<11>石鹸中のパルミトレイン酸ナトリウムの含有量は、好ましくは、全組成中に5〜45質量%であって、10〜35質量%がより好ましく、15〜25質量%がさらに好ましい前記<10>記載の黄色ブドウ球菌殺菌剤又は殺菌持続剤。
<12>パルミトレイン酸ナトリウムと、リノール酸ナトリウムを含有する石鹸として適用される前記<10>又は<11>記載の黄色ブドウ球菌殺菌剤又は殺菌持続剤。
<13>パルミトレイン酸ナトリウムとリノール酸ナトリウムの質量割合(リノール酸ナトリウム/パルミトレイン酸ナトリウム)は、好ましくは、0.025〜1であって、0.05〜0.5がより好ましく、0.08〜0.5がさらに好ましく、0.1〜0.25がよりさらに好ましい前記<12>記載の黄色ブドウ球菌殺菌剤又は殺菌持続剤。
<14>パルミトレイン酸ナトリウムとリノール酸ナトリウムの含有量の合計は、好ましくは、全組成中に7〜45質量%であって、12〜35質量%がより好ましく、17〜30質量%がさらに好ましい前記<12>又は<13>記載の黄色ブドウ球菌殺菌剤又は殺菌持続剤。
<15>パルミトレイン酸カルシウムは、好ましくは、パルミトレイン酸ナトリウムと、硬度10〜180mg/Lの水を混合して得られるものであって、硬度20〜180mg/Lの水を混合して得られるものがより好ましい、前記<1>〜<14>のいずれか1記載の黄色ブドウ球菌殺菌剤又は殺菌持続剤を皮膚に付着させる方法。
実施例1
滅菌済みの15mLの試験用容器に、50mMリン酸バッファー(pH6)溶液10mLを量りとり、さらに各脂肪酸カルシウム又は脂肪酸2質量%を含有するエタノール溶液50μLを添加した(終濃度100ppm)。なお、増粘する場合は、40℃の恒温槽で均一になるまで攪拌し室温(25℃)にもどした。
前記試験用容器に、室温(25℃)において、さらに黄色ブドウ球菌(NBRC13276)の菌液50μL(滅菌ペプチド緩衝液で1×107〜1×108CFU/mLに調整)を接種した(終濃度105個/mL)。
菌を接種した時点を0時間とし、室温(25℃)で1時間経過した時点、3時間経過した時点、及び24時間経過した時点について、1mLサンプリングして9mLのLP希釈液に懸濁させてLP希釈液を得た。
LP希釈液を用いて101〜105倍希釈液を調整し、それぞれの希釈倍率について100μLをSCDLPカンテン培地に塗沫し、これを35℃で48時間培養した。
培養後、コロニー数をカウントし、各経過時の菌数(CFU/mL)を算出した。なお、各希釈液については、30〜300CFUを観察できる希釈倍率の希釈液の結果を採用した。また、各評価は同じ条件について2件を行い、菌数の算出結果の平均値を採用した。
各脂肪酸カルシウムについて測定した菌数の結果を図1に、各脂肪酸の結果を図2に示す。
実施例1において、脂肪酸はエタノール溶液に溶解されたが、脂肪酸カルシウムはエタノール溶液中に溶解されず、粉末の状態で分散されていた。図1及び図2の結果より、パルミトレイン酸カルシウムは、粉末(固体)でありながら、黄色ブドウ球菌に対する殺菌効果が高いことが確認された。
実施例2(パルミトレイン酸カルシウムのエタノールへの溶解度)
20℃においてパルミトレイン酸カルシウムのエタノール飽和溶液を調製し、LC/MS/MS(液体クロマトグラフィー質量分析法)により、パルミトレイン酸を定量分析した。
(測定条件)
装置 LCシステム:HP1100(アジレントテクノロジーズ株式会社)
MSシステム:API3000(株式会社エービーサイエックス)
カラム Cadenza CD-C18 2.0×150mm、3μm(インタクト株式会社)
移動相 A:10mmoL/L 酢酸アンモニウム水溶液
B:アセトニトリル
AとBの混合液であり、開始時B80質量%から10分後に97質量%とし、 10分〜15分経過まではB97質量%とする。
流量: 0.3mL/min
カラム温度: 45℃
注入量: 3μL
イオン化: エレクトスプレーイオン化(ESI)法
検出: 負イオン検出、SEM(Selected Reaction Monitoring) モニタ−イオンQ1 m/z 253.3→Q3 m/z 253.3
その結果、パルミトレイン酸カルシウムのエタノールへの溶解度は、8.4×10-3mol/L(4300μg/mL)であり、その溶解度が極めて低いことが確認された。一方、パルミトレイン酸のエタノールへの溶解度は、1mLに1g配合しても溶解し、10g配合しても溶解するため、パルミトレイン酸カルシウムの溶解度に比べると、溶解度は測定限界を超えるほど高いため、無限といえる。
実施例3
(パルミトレイン酸とそのカルシウム塩のエタノールに対する肌への残留性の比較)
25℃50%RHの室内で、市販の人工皮革(三洋化成社製)を5cm×5cmに切り取り、4cm×4cmの範囲に0.02gのパルミトイルオレイン酸カルシウム(実施例)とパルミトレイン酸(比較例)を、スパーテルを用いて均一に塗りつけた。その後、人工皮革を水平に対して30度の傾斜で支持し、上方より20ccのエタノールを1cc/秒の流速で表面に人口皮革に流した。エタノール流下後3分間放置して表面に残ったエタノールを蒸発させた後、表面状態を比較し、エタノールに対する肌への残留性を目視で比較した。
その結果、実施例の人工皮革の表面には白色のパルミトレイン酸カルシウムが目視で認められた。これに対し、塗布時は光沢のあった比較例の人工皮革の表面は光沢がなく、残留が認められなかった。さらに、比較例のパルミトイルオレイン酸の残留を確認するため、3M社製あぶらとり紙で、エタノールを流しエタノールを蒸発させた後の人工皮革の表面をふき取ったが、この方法でもパルミトイルオレイン酸の残留は認められなかった。
以上より、パルミトレイン酸カルシウムは、皮膚に塗布した場合、皮膚への付着性に優れ、エタノール処理後も皮膚に残留し、その殺菌効果を持続することができる。
実施例4
(パルミトレイン酸とリノール酸)
表1に示す組成の脂肪酸カルシウムについて、実施例1と同様に黄色ブドウ球菌の殺菌性を評価した。測定した菌数の結果を図3に示す。なお、図3に示す「ブランク」は、実施例1の評価方法において、脂肪酸カルシウムを添加しないエタノール溶液を加え、時間経過後の菌数を測定したものである。
図3に示すように、比較例4は、パルミトレイン酸カルシウムを含有せず、24時間後において、菌数はブランクと同程度である。一方、パルミトレイン酸カルシウムを含有する実施例は、24時間後にブランク、比較例に比べて約半分近く黄色ブドウ球菌が減少していることが認められた。また、リノール酸カルシウムを2質量%以上含有する実施例4−3、4−4は、24時間後の黄色ブドウ球菌がさらに減少していることが認められた。
実施例5
(石鹸の使用によるパルミトレイン酸カルシウムの生成)
表2に示す組成の脂肪酸ナトリウムを含有する石鹸を製造した。
すなわち、40〜50℃において、マカデミアナツ油に、グルコン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及び精製水の混合物を加え、脂肪酸を中和することにより、石鹸を製造した。
得られた石鹸56mm×56mm×30mm(105g)を40℃の水(硬度65mg/L)で2秒間ぬらした後、10秒間てのひら、および手の甲によくこすりつけた。その後、同じく40℃の水(硬度65mg/L)10ccを手のひらの上にのせ、両手をこすりつけながら60秒間泡立てた。80cc/秒の流速の40℃の水(硬度65mg/L)で両手を30秒間よくすすぎ、綿タオルで手を拭き、室温(25℃)で10分放置後に手の甲および手のひらの状態を目視で観察した。その結果、手の皮溝部分が白に付着物が認められ、白い付着物は脂肪酸カルシウムであり、エタノールでは除去できないものであった。

Claims (6)

  1. パルミトレイン酸カルシウムを有効成分とする黄色ブドウ球菌殺菌剤。
  2. パルミトレイン酸カルシウムを有効成分とする黄色ブドウ球菌殺菌持続剤。
  3. パルミトレイン酸ナトリウムと、硬度10〜180mg/Lの水を混合して得られる請求項1記載の黄色ブドウ球菌殺菌剤。
  4. パルミトレイン酸ナトリウムと、硬度10〜180mg/Lの水を混合して得られる請求項2記載の黄色ブドウ球菌殺菌持続剤。
  5. パルミトレイン酸ナトリウムが、マカダミアナッツ油由来である請求項3記載の黄色ブドウ球菌殺菌剤。
  6. パルミトレイン酸ナトリウムが、マカダミアナッツ油由来である請求項4記載の黄色ブドウ球菌殺菌持続剤。
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