JP5213159B2 - バイオフィルム生成抑制方法 - Google Patents

バイオフィルム生成抑制方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5213159B2
JP5213159B2 JP2007247718A JP2007247718A JP5213159B2 JP 5213159 B2 JP5213159 B2 JP 5213159B2 JP 2007247718 A JP2007247718 A JP 2007247718A JP 2007247718 A JP2007247718 A JP 2007247718A JP 5213159 B2 JP5213159 B2 JP 5213159B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
biofilm
composition
suppression method
biofilm production
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007247718A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009078205A (ja
Inventor
由博 山崎
哲也 岡野
英子 石塚
健二 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2007247718A priority Critical patent/JP5213159B2/ja
Publication of JP2009078205A publication Critical patent/JP2009078205A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5213159B2 publication Critical patent/JP5213159B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、微生物汚染が問題になるであろう状況において、微生物及び微生物産生物質からなるバイオフィルムの生成を抑制し、これに起因する危害を防止するためのバイオフィルム生成抑制方法に関する。
バイオフィルムは生物膜やスライムとも言われ、一般に水系で微生物が物質の表面に付着・増殖することによって微生物細胞内から多糖やタンパク質などの高分子物質を産生して構造体を形成したものを指す。バイオフィルムが形成されると、微生物を原因とする危害が発生して様々な産業分野で問題を引き起こす。例えば、食品プラントの配管内にバイオフィルムが形成されると、このバイオフィルムが剥がれ落ち、製品内への異物混入につながるだけでなく、微生物由来の毒素で食中毒の原因となる。更に、金属表面へのバイオフィルム形成は金属腐食の原因となり、設備の老朽化を促進する。有機物成分、水分が留まるような状況において、菌の繁殖並びにバイオフィルムの生成が懸念される。こういった懸念に対して、一般的には剤系中に殺菌成分を添加することにより解決される方法が主流であるが、一方菌を殺すことにより耐性菌の発現といった別の危険性が生じる可能性が出てくる。
更に、バイオフィルムを形成した微生物集合体に対しては、水系に分散浮遊状態にある微生物に対する場合と比較して、殺菌剤・静菌剤のような微生物制御薬剤の十分な効果が出ないことも多い。例えば医療の面では近年、医療器具の狭い隙間や空孔内に微生物が残存してバイオフィルムを形成し、これを原因とする院内感染例が数多く報告されている。ヒト口腔内においては歯に形成するバイオフィルム、いわゆるデンタルプラーク(歯垢)がう食や歯周病の原因となることは良く知られており、これらの問題について長い間検討されている。
これまでバイオフィルムを抑制するためには、微生物、特に細菌に対して殺菌作用又は静菌作用を与えることによって菌を増殖させない考え方が一般的に検討されてきた。特許文献1や特許文献2には脂肪酸や脂肪族アルコールなどを用いて細菌数を低減させ、結果として細菌の対象物質への付着を防止できることが開示されている。特に特許文献1では、抗菌性油相と乳化剤でエマルジョンを調製した組成物が比較的短時間で菌数低減効果を示しており、これは単位体積あたりの細菌絶対数が低くなることに基づき、対象物質表面への細菌の付着を抑制する考え方を表している。
また、特許文献3には消炎剤などの非水性有効成分を油性物質に溶解させた歯磨き組成物などが開示され、また、特許文献4には、殺菌剤とポリ(アルキレン)側鎖を含有するポリシロキサンと溶剤、更には界面活性剤も併用し、抗菌性を付与することによる硬質表面上におけるバイオフィルムの形成を防止するクリーナーが開示されている。
特表2002−524257公報 特表2004−513153公報 特開2005−289917公報 特表2004−532300公報
特許文献1又は2は、微生物を60分以内の比較的短時間殺菌又は抗菌性組成物と接触させた場合の殺菌性(菌数を約4乗低減)の評価を記載している。しかしながらバイオフィルム問題は数日〜数ヶ月の長時間単位で起きるものであり、短時間の殺菌評価でバイオフィルムの生成抑制制御に結びつけることは事実上困難である。抗菌性油相として挙げられる脂肪酸や脂肪族アルコールは全ての微生物(細菌)に対して十分な殺菌効果を有しているとは言えず、特にバイオフィルムを形成して問題をしばしば引き起こすグラム陰性菌に対して、長期間にわたる殺菌効果の指標である最少生育阻止濃度(Minimal Inhibitory Concentration、MIC)を有してはいない(防腐・殺菌剤の科学;ジョン・J・カバラ編、フレグランスジャーナル社、1990)。更に発明者らの実験よれば、グラム陰性菌の中でも緑膿菌やセラチア菌に対して、特許文献1又は2記載の組成物は記述の通り短期的な(3時間くらいまで)殺菌効果を示すものの、長期的(1日以上)には殺菌性はおろか菌増殖を抑制する静菌効果さえも示すことがなく、結果としてバイオフィルムを形成することが確認された。
その他、殺菌性の高いカチオン性界面活性剤や次亜塩素酸塩など即効性の特徴を持つ殺菌性の高い殺菌薬剤もあるが、系内に有機物が存在すると殺菌性は速やかに失われるため、前述の通り長期間にわたって菌数低減効果を維持することは難しい。
これらの理由から、細菌を殺菌や静菌の観点から根本的にバイオフィルムの生成を抑制することは困難であった。
従って、本発明は、微生物汚染が問題になるであろう状況において、微生物及び微生物産生物質からなるバイオフィルムの生成を抑制し、これに起因する危害を防止するためのバイオフィルム生成抑制方法を提供することを目的とする。
そこで本発明者は、微生物汚染及びバイオフィルム生成が問題になる種々の硬質表面におけるバイオフィルム生成を抑制すべく種々検討したところ、後記式(1)で表される化合物に、界面活性剤と溶剤とを組み合せて使用し、対象物に適用後濯がないで使用する手段により、当該対象物上に長時間式(1)で表される化合物を残存させることができ、微生物を殺菌することなく長期的なバイオフィルム生成抑制効果が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C)
(A)一般式(1)
RO−(EO)n−H (1)
(式中、Rは炭素数8〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、nは0〜5の整数を示す。)で表される化合物から選ばれる1種以上、
(B)界面活性剤、
(C)溶剤
を含有する組成物を対象物に適用し、濯がないで使用することを特徴とするバイオフィルム生成抑制方法を提供するものである。
また、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)一般式(1)
RO−(EO)n−H (1)
(式中、Rは炭素数8〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、nは0〜5の整数を示す。)で表される化合物から選ばれる1種以上、
(B)界面活性剤、
(C)溶剤
を含有する、濯がないで使用するためのバイオフィルム生成抑制剤組成物を提供するものである。
本発明によれば、硬質表面等のバイオフィルムの生成を長期間効果的に抑制することができ、微生物を積極的に殺菌することがないため薬剤耐性獲得等の問題が生じない。また、通常の硬質表面の洗浄とは相違し、塗布等の簡便な手段により対象物に適用するだけで良く、使用性にも優れている。
本発明のバイオフィルム生成抑制方法の成分(A)は、一般式(1):
RO−(EO)n−H (1)
で表される化合物から成り、Rは炭素数8〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、EOはエチレンオキシ基、そしてnは0〜5の整数である。
Rで示されるアルキル基又はアルケニル基は、直鎖でも分岐鎖でもよいが、バイオフィルム生成抑制効果の点から炭素数10〜12であるのが好ましい。EOで示されるエチレンオキシ基の数nは0又は1〜4がより好ましく、0又は1〜3が更に好ましい。
本発明の成分(A)は、長期的なバイオフィルムの生成抑制効果を発揮できる濃度として、系内に1ppm以上存在すればよいが、経済性と効果の観点から微生物に対して10〜10,000ppmの濃度接触させるのが好ましく、10〜5,000ppmがより好ましく、更に10〜2,000ppmが好ましく、より更に10〜1,000ppmが好ましい。
また、成分(A)の組成物中の濃度は、特に制限されないが、バイオフィルム生成抑制効果の点から0.001〜1重量%、より0.001〜0.5重量%、更に0.001〜0.2重量%が好ましい。
本発明に用いられる(B)界面活性剤は、成分(A)を系中に均一に分散又は可溶化させることができるものであれば特に制限されないが、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤が好ましい。
ノニオン界面活性剤としては、非イオン界面活性剤としては、成分(A)以外のもの、例えばアルキルポリグリコシド、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。これらのうち、オキシアルキレン基を含むものは、オキシエチレン基、オキシプロピレン基を含むことが好ましく、平均付加モル数は1〜12が好ましい。
アニオン界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸塩、N−アシルメチルタウリン塩、アシルグルタミン酸塩、アシロイル−β−アラニン塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルスルホコハク硫酸塩、脂肪酸塩等が挙げられる。これらのうち、オキシアルキレン基を含むものは、平均付加モル数0.5〜8、更に3〜8、より更に6〜8が好ましく、オキシエチレン基、オキシプロピレン基を含むことが好ましい。また、疎水性基として、炭素数10〜20、更に10〜18、より更に12〜16の炭化水素基、好ましくはアルキル基を有することが好ましい。
界面活性剤は単独で、あるいはより乳化・分散・可溶化性能を高めるために2種以上を組み合わせて用いることができる。
組成物中の成分(A)と成分(B)の重量比率(A)/(B)は、長期的なバイオフィルム生成抑制効果の点から10/1〜1/10が好ましく、5/1〜1/10がより好ましく、更に1/1〜1/10が好ましい。
本発明に用いられる(C)溶剤としては、成分(A)及び成分(B)を均一に分散、可溶化できる溶剤、例えばアルコール、グリコール、グリコールエーテル、グリセリン、ジアルキルグリコールエーテル、グリセリルエーテル、石油系溶剤、塩素系溶剤、フッ素系溶剤、臭素系溶剤及びシリコーン系溶剤から選ばれる一種以上が好ましい。
アルコールとしては、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、2−ブチルアルコール等の1価アルコールが挙げられる。
グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ブチルジグリコール、フェニルジグリコール、フェニルトリグリコールヘキシルグリコール、ヘキシルジグリコール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール等が挙げられる。
グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
ジアルキルグリコールエーテルとしては、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
グリセリルエーテルとしては、R1O−CH2−CH(OH)−CH2−OH〔式中、R1は炭素数3〜11のアルキル基又はアルケニル基である。〕で表される化合物が挙げられる。好ましくはR1が炭素数3〜6のアルキル基又はアルケニル基の化合物である。
石油系溶剤としては、n−デカン等のパラフィン系炭化水素、オレフィン系炭化水素、芳香族炭化水素、テルペン系炭化水素が挙げられる。また、これらの化合物を複数含有する混合物(原油精製物)を用いることもできる。通常、原油精製物は、n−パラフィン、iso−パラフィン、ナフテン、芳香族化合物等から選ばれる化合物を含有する。
塩素系溶剤としては、テトラクロロエチレン(パークレン)、トリクロロエチレン、トリクロロエタン等が挙げられる。
フッ素系溶剤としては、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、パーフロロカーボン(PFC)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、ハイドロフロロカーボン(HFC)、クロロフルオロカーボン(CFC)等が挙げられ、具体的には、デカフルオロペンタン、オクタフルオロシクロペンタン、トリクロロトリフルオロエタン、フルオロトリクロロメタン、メトキシ−ノナフルオロブタン(C49OCH3)等が挙げられる。
臭素系溶剤としては、1−ブロモプロパン等の臭化炭化水素等が挙げられる。
シリコーン系溶剤としては、環状シリコーン、直鎖シリコーンが挙げられる。環状シリコーンは、オクタメチル−シクロテトラシロキサン(テトラマー)、デカメチル−シクロペンタシロキサン(ペンタマー)、ドデカメチル−シクロヘキサシロキサン(ヘキサマー)として知られているものが使用できる。
組成物中の成分(A)と成分(C)の重量比率(A)/(C)は、長期的なバイオフィルム生成抑制効果の点から、1/1000〜1/1、より1/500〜1/10、更に1/500〜1/100が好ましい。
また、組成物中の成分(B)及び(C)の含有量は特に限定されないが、成分(B)は安定性及び溶解性の点から0.001〜5重量%、更に0.01〜5重量%、より更に0.05〜5重量%であるのが好ましい。成分(C)は安定性及び溶解性の点から1〜30重量%、より1〜20重量%、更に1〜10重量%が好ましい。
本発明のバイオフィルム生成抑制方法には必要に応じて、適量の殺菌剤や抗菌剤を併用することも可能である。一般にバイオフィルムが形成すると殺菌剤が効きにくい状況が起こるが、本発明のバイオフィルム生成抑制剤によってバイオフィルムの形成が抑制されるため、殺菌剤の効力を十分に引き出すことが可能になる。
上記の殺菌剤や抗菌剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩酸クロルヘキシジン等の四級塩、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸ポリヘキサメチレンビグアニジン、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、トリクロロカルバニリド、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
本発明のバイオフィルム生成抑制方法では、その粘度を上昇させて対象物への付着性を向上させるために、増粘剤を用いることも可能である。
更に、本発明のバイオフィルム生成抑制方法にはキレート剤を併用してもよい。該キレート剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ニトリロ3酢酸(NTA)、コハク酸、サリチル酸、シュウ酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、トリポリリン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、ポリアクリル酸、アクリル酸/マレイン酸共重合物及びそれらの塩が挙げられる。
本発明のバイオフィルム生成抑制方法は、バイオフィルムの危害が懸念される広い分野に使用することが可能である。例えば菌汚染リスクの高い食品又は飲料製造プラント用洗浄方法に応用することができる。また、バイオフィルムが形成しやすい医療機器、例えば内視鏡や人工透析機等、の洗浄方法にも応用できる。更に、高い安全性を有することから、ヒト対象の洗浄剤、歯磨き剤、口腔ケア剤、入れ歯ケア剤などの応用利用に使用することも可能である。このうち、金属、樹脂、木材、ガラス等の硬質表面のバイオフィルム生成抑制に用いるのが更に好ましい。
本発明のバイオフィルム生成抑制方法は、前記組成物を硬質表面等の対象物に適用し、濯がないで使用することが重要である。適用後に濯いでしまうと、長期的なバイオフィルム生成抑制効果が得られない。本発明においては、前記組成物を対象物に適用した後、当該組成物が対象物上に長期間残存していることが必要である。このように、前記組成物を対象物上に残存させておくための手段としては、(1)前記組成物を塗布又はスプレーにより対象物に付着させてから拭く手段、(2)前記組成物に対象物を浸漬する手段、(3)前記組成物を繊維製品に含浸させ、当該繊維製品で対象物を拭く手段、(4)前記組成物を繊維製品に含浸させる手段等が挙げられる。このとき、成分(A)の濃度が対象物上において10〜10,000ppmになるのが好ましい。従って、塗布液、スプレー液、浸漬液又は繊維製品に含浸させる液(前記組成物)の成分(A)濃度は10〜10,000ppmとするのが好ましい。
なお、前記組成物の形態としては、前記成分(A)、(B)及び(C)を含有する液状、クリーム状又はゲル状組成物が好ましく、更に液状組成物が好ましい。
成分(A) RO−(EO) n −H
(A−1)C12アルコール〔カルコール2098、花王(株)製、R1=C12アルキル、n=0〕
(A−2)C12アルコールエチレンオキサイド3モル付加物〔NIKKOL BL−3SY、日光ケミカルズ(株)製、R=C12アルキル、n=3〕
成分(A') RO−(EO) n −H
(A'−1)C18アルコール〔カルコール8098、花王(株)製、R=C18アルキル、n=0〕
(A'−2)C12アルコールエチレンオキサイド8モル付加物〔NIKKOL BL−8SY、日光ケミカルズ(株)製、R=C12アルキル、n=8〕
成分(B)界面活性剤
界面活性剤〔( )内の数字はエチレンオキシド平均付加モル数を示す。〕
(ノニオン界面活性剤1)
ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル〔エマルゲン120、花王(株)製〕
(ノニオン界面活性剤2)
ラウリルグリコシド〔マイドール12、花王(株)製〕
(アニオン界面活性剤1)
(B−1)ラウリル硫酸ナトリウム〔エマール0、花王(株)製〕
成分(C)溶剤
溶剤1
ブチルジグリコール(BDG)
溶剤2
プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)
(評価方法1 スプレー、拭く)
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa NBRC13275)を、Soybean-Casein Digest Agar〔SCD寒天培地:日本製薬(株)製〕を用いて37℃、24時間前培養した。培地上に発育したコロニーを掻きとり、10mM滅菌リン酸バッファー(pH7.2)に懸濁した後、5,000×g、15分、10℃の条件で2回遠心洗浄し、再度10mM滅菌リン酸バッファー(pH7.2)に懸濁して、菌の濃度を600nm吸光度で1.0(OD600=1.0)に調整した菌液を作製した。その後、200mL滅菌スクリューカップ(栄研器材(株)製)の中にミューラーヒントン培地〔日本ベクトン・ディッキンソン(株)製〕を99mL入れて、同時に調製済のバイオフィルム生成抑制剤組成物を1mL投入してよく混合し、調製済み菌液をガラス板(20cm×20cm)上に0.1mL滴下した。
そのガラス板に表1に示した配合組成物を溶解もしくは攪拌分散させた液を1.0gスプレーし、10秒後綿布にて軽く拡げ拭いた。
その後35℃×85RH%の条件で48時間放置し、バイオフィルム生成を目視で観察した。バイオフィルム生成状態は、全く生成しないものを○、バイオフィルムが生成開始して表面がやや色づいたものを△、明らかにバイオフィルムが生成したものを×とした。
結果を表1に示す。
Figure 0005213159
(評価方法2 (含浸、絞り、拭く))
表2に示した配合組成物1000gを1Lビーカーに入れ、よく攪拌した後、布フキン(20cm×20cm)を浸漬し、軽く絞った後、 前記調整済みの菌液0.1g滴下したガラス板(20cm×20cm)を、布フキンで軽く拡げ拭いた。
その後後35℃×85RH%の条件で48時間放置し、フキン表面のバイオフィルム生成を目視で観察した。バイオフィルム生成状態は、全く生成しないものを○、バイオフィルムが生成開始して表面がやや色づいたものを△、明らかにバイオフィルムが生成したものを×とした。
結果を表2に示す。
Figure 0005213159
(評価方法3 (フキン浸漬))
前記調整済みの菌液1gと、表3に示した配合組成物1000gを1Lビーカーに入れ、よく攪拌した後、中に布フキン(20cm×20cm)を浸漬した。
その後35℃で72時間攪拌放置し、フキン表面のバイオフィルム生成を目視で観察した。バイオフィルム生成状態は、全く生成しないものを○、バイオフィルムが生成開始して表面がやや色づいたものを△、明らかにバイオフィルムが生成したものを×とした。
結果を表3に示す。
Figure 0005213159
なお、実施例1−3、1−6、2−3、2−6、3−3、3−6は参考例であり、本発明の範囲に含まれるものではない。
表1〜表3より、本発明方法により、バイオフィルムの生成は著しく抑制できることが確認された。

Claims (15)

  1. 次の成分(A)、(B)及び(C):
    (A)一般式(1)
    RO−(EO)n−H (1)
    (式中、Rは炭素数8〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、nは1〜4の整数を示す。)で表される化合物から選ばれる1種以上、
    (B)成分(A)以外のノニオン界面活性剤、
    (C)溶剤
    を含有する組成物を対象物に適用し、濯がないで対象物に残存させることを特徴とするバイオフィルム生成抑制方法。
  2. 組成物中の成分(A)と成分(B)の重量比率(A)/(B)が、10/1〜1/10である請求項1に記載のバイオフィルム生成抑制方法。
  3. 組成物中の成分(A)と成分(C)の重量比率(A)/(C)が、1/1000〜1/1である請求項1又は2に記載のバイオフィルム生成抑制方法。
  4. 組成物中の成分(B)の含有量が、0.001〜5重量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載のバイオフィルム生成抑制方法。
  5. 組成物中の成分(C)の含有量が、1〜30重量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオフィルム生成抑制方法。
  6. 成分(B)が、成分(A)以外の、アルキルポリグリコシド、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド及び脂肪酸アルカノールアミドから選ばれるノニオン界面活性剤である請求項1〜5のいずれか1項に記載のバイオフィルム生成抑制方法。
  7. 適用時の成分(A)の濃度が10〜10,000ppmである請求項1〜6のいずれか1項に記載のバイオフィルム生成抑制方法。
  8. 成分(A)濃度が10〜10,000ppmに調整した組成物を、塗布又はスプレーにより対象物に付着させてから拭くことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のバイオフィルム生成抑制方法。
  9. 成分(A)濃度が10〜10,000ppmに調整した組成物を繊維製品に含浸させ、当該繊維製品で対象物を拭くことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のバイオフィルム生成抑制方法。
  10. 成分(A)濃度が10〜10,000ppmに調整した組成物に対象物を浸漬することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のバイオフィルム生成抑制方法。
  11. 対象物が硬質表面である請求項1〜10のいずれか1項記載のバイオフィルム生成抑制方法。
  12. 対象物に組成物を残存させる時間が、1日以上である請求項1〜11のいずれか1項に記載のバイオフィルム生成抑制方法。
  13. 次の成分(A)、(B)及び(C):
    (A)一般式(1)
    RO−(EO)n−H (1)
    (式中、Rは炭素数8〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、nは1〜4の整数を示す。)で表される化合物から選ばれる1種以上、
    (B)成分(A)以外のノニオン界面活性剤、
    (C)溶剤
    を含有する、濯がないで残存させるためのバイオフィルム生成抑制剤組成物。
  14. 使用時の成分(A)の濃度が10〜10,000ppmである請求項13記載のバイオフィルム生成抑制剤組成物。
  15. 硬質表面処理用である請求項13又は14記載のバイオフィルム生成抑制剤組成物。
JP2007247718A 2007-09-25 2007-09-25 バイオフィルム生成抑制方法 Expired - Fee Related JP5213159B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007247718A JP5213159B2 (ja) 2007-09-25 2007-09-25 バイオフィルム生成抑制方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007247718A JP5213159B2 (ja) 2007-09-25 2007-09-25 バイオフィルム生成抑制方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009078205A JP2009078205A (ja) 2009-04-16
JP5213159B2 true JP5213159B2 (ja) 2013-06-19

Family

ID=40653365

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007247718A Expired - Fee Related JP5213159B2 (ja) 2007-09-25 2007-09-25 バイオフィルム生成抑制方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5213159B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5162191B2 (ja) * 2007-09-25 2013-03-13 花王株式会社 皮膚外用剤
US8536105B2 (en) * 2010-06-08 2013-09-17 Innovation Services, Inc. Method of cleaning contaminated surfaces
JP5545870B2 (ja) * 2010-12-13 2014-07-09 花王株式会社 バイオフィルム除去剤

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2131618A1 (en) * 1992-03-20 1993-09-30 Kenneth Leslie Rabone Improvements in or relating to cleaning compositions
AU2001263437B2 (en) * 2000-06-05 2005-08-11 S.C. Johnson & Son, Inc. Biocidal cleaner composition
JP2005289917A (ja) * 2004-04-01 2005-10-20 Lion Corp 歯磨組成物
JP2006036948A (ja) * 2004-07-28 2006-02-09 Asahi Denka Kogyo Kk 有機無機複合汚れ洗浄剤および人工透析機の洗浄方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009078205A (ja) 2009-04-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5103041B2 (ja) バイオフィルム生成抑制剤組成物
JP5317466B2 (ja) 医療器具用洗浄剤組成物
EP2236594B1 (en) Method for removing biofilms
JP5075551B2 (ja) バイオフィルム生成抑制方法
JP5752220B2 (ja) 硬質表面用殺菌洗浄剤組成物
EP2009993B1 (en) Composition of biofilm control agent
BRPI0707131A2 (pt) composição de peróxido de hidrogênio de atividade biocida melhorada
JP5213159B2 (ja) バイオフィルム生成抑制方法
EP1993355B1 (en) Biofilm formation inhibitor composition
JP5209864B2 (ja) バイオフィルム生成抑制剤組成物
JP5110860B2 (ja) バイオフィルム制御剤組成物
JP5322400B2 (ja) バイオフィルム制御剤組成物
JP5466904B2 (ja) 医療機器の洗浄方法
JP5118673B2 (ja) バイオフィルム生成抑制剤組成物
JP5166808B2 (ja) 洗浄機内のバイオフィルム生成抑制方法
JP6203508B2 (ja) 殺菌剤
JP2023038372A (ja) 殺菌剤組成物
JP4972375B2 (ja) バイオフィルム生成抑制剤組成物
JP2008100964A (ja) バイオフィルム生成抑制剤組成物
JP2010275398A (ja) バイオフィルム除去剤組成物
JP2017522413A (ja) 低起泡性多酵素洗浄剤
JP5188950B2 (ja) 硬質表面の洗浄殺菌方法
JP2022057215A (ja) 除菌剤組成物、及び除菌スプレー
JP2011157284A (ja) バイオフィルム生成抑制方法
JP2017052795A (ja) 殺菌剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100611

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120403

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120529

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130220

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130222

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5213159

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160308

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees