JP2014172588A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】グリップ性能に優れる空気入りタイヤ2の提供。
【解決手段】このタイヤ2のトレッド4は、ベース層20と、このベース層20の半径方向外側に位置するキャップ層22とを備えている。上記キャップ層22は、半径方向に積層された複数の層からなる。上記複数の層のうち、最も外側に位置する第一層34の、120℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC1aは0.13MPa−1以上である。この第一層34の、70℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC1bは0.13MPa−1以上である。上記第一層34の内側に位置する第二層36の、100℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC2は0.19MPa−1以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。詳細には、本発明は、二輪自動車に装着される空気入りタイヤに関する。
タイヤのトレッドは、架橋ゴムからなる。トレッドは、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッドは、トレッド面を備えている。このトレッド面において、タイヤは接地する。
二輪自動車は、その車体を傾斜して旋回する。旋回容易の観点から、二輪自動車用タイヤのトレッドは小さな曲率半径を有する。
このタイヤでは、直進走行時、トレッドの赤道面の部分(センター部)が接地する。旋回走行においては、このセンター部よりも軸方向外側の部分が接地する。レースにおいてライダーは、たびたび自動二輪車を極限まで傾斜させて旋回させる。この状態は、「フルバンク」と称されている。このフルバンクにおいては、トレッドの端の部分(ショルダー部)が接地する。
レース用タイヤでは、グリップ性能が重視される。グリップ性能の向上の観点から、トレッドについて様々な検討がなされている。この検討の例が、特開平07−195906号公報、特開2002−059709公報及び特開2009−173247公報に開示されている。
特開平07−195906号公報 特開2002−059709公報 特開2009−173247公報
走行を開始してからしばらくの間は、タイヤのトレッドの温度は上昇していく。トレッドでは、路面との接触が繰り返される。このため、走行によりトレッドは摩耗する。摩耗が進むと、トレッドの厚みは減少する。トレッドが薄くなると、逆にトレッドの温度は低下していく。走行状態が続くレースにおいては、トレッドの温度は変動する。
タイヤのトレッドが、ベース層と、このベース層に積層されたキャップ層とで構成されることがある。このタイヤでは、キャップ層が接地する。グリップ性能の向上には、大きなコンプライアンスを有するキャップ層の採用が有効である。
ロスコンプライアンスは、温度によって変動する。このため、例えば、120℃において十分なロスコンプライアンスを有していても、100℃においてはロスコンプライアンスが不足することがある。しかも大きなロスコンプライアンスを有するキャップ層は摩耗しやすい。このタイヤでは、グリップ性能を安定に発揮し続けることは難しい。
本発明の目的は、グリップ性能に優れる空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれが上記トレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれが上記サイドウォールよりも半径方向内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及び上記サイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスとを備えている。上記トレッドは、ベース層と、このベース層の半径方向外側に位置するキャップ層とを備えている。上記キャップ層は、半径方向に積層された複数の層からなる。上記複数の層のうち、最も外側に位置する第一層の、120℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC1aは0.13MPa−1以上である。この第一層の、70℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC1bは0.13MPa−1以上である。上記第一層の内側に位置する第二層の、100℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC2は0.19MPa−1以上である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記第一層のロスコンプライアンスLC1aは0.17MPa−1以上0.24MPa−1以下である。上記第一層のロスコンプライアンスLC1bは、0.13MPa−1以上0.20MPa−1以下である。上記第二層のロスコンプライアンスLC2は、0.19MPa−1以上0.29MPa−1以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記キャップ層は上記第二層の半径方向内側に第三層を備えている。この第三層の、80℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC3は0.17MPa−1以上0.25MPa−1以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記第一層のロスコンプライアンスLC1aは0.13MPa−1以上0.20MPa−1以下である。上記第一層のロスコンプライアンスLC1bは、0.17MPa−1以上0.23MPa−1以下である。上記第二層のロスコンプライアンスLC2は、0.20MPa−1以上0.30MPa−1以下である。
本発明に係る空気入りタイヤでは、トレッドのキャップ層は半径方向に積層された複数の層からなる。このタイヤでは、半径方向において最も外側に位置する第一層の、120℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC1aは0.13MPa−1以上であり、70℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC1bは0.13MPa−1以上である。この第一層は、走行を開始してからしばらく続く温度上昇過程において、タイヤのグリップ性能に寄与しうる。
このタイヤでは、走行により第一層は摩耗する。この摩耗が進むと、トレッドは薄くなり、このトレッドの温度は低下していく。
このタイヤでは、第一層の内側に位置する第二層の、100℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC2は0.19MPa−1以上である。このタイヤでは、走行により第一層が摩耗し第二層が露出しても、この第二層がグリップ性能に寄与しうる。
このように、このタイヤでは、トレッドの状態に応じて各層のロスコンプライアンスが適切に調節されている。摩耗によりトレッドが薄くなりこのトレッドの温度が低下しても、このタイヤは良好なグリップ性能を安定に発揮し続ける。本発明によれば、グリップ性能に優れる空気入りタイヤが得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図3(a)は図2のタイヤにおけるトレッドのセンター部の一部が示された拡大断面図であり、図3(b)はこのトレッドのミドル部の一部が示された拡大断面図であり、図3(c)はこのトレッドのショルダー部の一部が示された拡大断面図である。 図4は、本発明のさらに他の実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、第一実施形態としての空気入りタイヤ2が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ2は、トレッド4、サイドウォール6、ウィング8、ビード10、カーカス12、バンド14及びインナーライナー16を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、二輪自動車に装着される。詳細には、このタイヤ2は二輪自動車の後輪に装着される。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接触するトレッド面18を形成する。このタイヤ2では、トレッド面18には溝は刻まれていない。このトレッド面18に溝が刻まれて、トレッドパターンが形成されてもよい。
トレッド4は、ベース層20とキャップ層22とを有している。キャップ層22は、ベース層20の半径方向外側に位置している。キャップ層22は、ベース層20に積層されている。ベース層20は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。ベース層20の典型的な基材ゴムは、天然ゴムである。キャップ層22は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
サイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。サイドウォール6は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。サイドウォール6は、カーカス12の損傷を防止する。
ウィング8は、トレッド4とサイドウォール6との間に位置している。ウィング8は、トレッド4及びサイドウォール6のそれぞれと接合している。ウィング8は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。
ビード10は、サイドウォール6よりも半径方向内側に位置している。ビード10は、コア24と、このコア24から半径方向外向きに延びるエイペックス26とを備えている。コア24はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス26は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス26は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス12は、カーカスプライ28からなる。カーカスプライ28は、両側のビード10の間に架け渡されている。カーカスプライ28は、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。カーカスプライ28は、コア24の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ28には、主部30と折り返し部32とが形成されている。
カーカスプライ28は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス12はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。カーカス12が、2枚以上のカーカスプライ28から形成されてもよい。
バンド14は、カーカス12よりも半径方向外側に位置している。このバンド14は、トレッド4の半径方向内側においてカーカス12と積層されている。図示されていないが、このバンド14は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド14は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。バンド14は、タイヤ2の半径方向の剛性に寄与しうる。バンド14は、走行時に作用する遠心力の影響を抑制しうる。このタイヤ2は、高速安定性に優れる。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
インナーライナー16は、カーカス12の内側に位置している。インナーライナー16は、カーカス12の内面に接合されている。インナーライナー16は、架橋ゴムからなる。インナーライナー16には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー16の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー16は、タイヤ2の内圧を保持する。
図1に示されるように、トレッド4のキャップ層22は半径方向に積層された複数の層からなる。このタイヤ2では、キャップ層22は3層からなる。これらの層のうち、半径方向において最も外側に位置する層は第一層34と称される。この第一層34の内側に位置する層は、第二層36と称される。この第二層36のさらに内側に位置する層は、第三層38と称される。このキャップ層22は、第一層34、第二層36及び第三層38を備えている。
このタイヤ2では、トレッド4を構成する各層のロスコンプライアンスLCが適切に調整されている。これにより、グリップ性能の向上が図られている。
ロスコンプライアンスLCは、複素弾性率E*の2乗に対する損失弾性率E”の比[E”/(E*)]で表される。ロスコンプライアンスLCの算出には、複素弾性率E*及び損失弾性率E”が用いられる。この複素弾性率E*及び損失弾性率E”は、「JIS K 6394」の規定に準拠して、下記の測定条件により、粘弾性スペクトロメーター(岩本製作所社製)を用いて計測される。この計測では、トレッド4を構成する各層について、ゴム組成物から板状の試験片(長さ=45mm、幅=4mm、厚み=2mm)が形成される。この試験片が、計測に用いられる。
初期歪み:10%
振幅:±2.5%
周波数:10Hz
変形モード:引張
測定温度:70℃、80℃、100℃、120℃
二輪自動車が走行を開始すると、タイヤ2の温度は上昇していく。この温度上昇過程は、走行を開始してからしばらく続く。気温が25℃以上である、又は、路面温度が40℃以上であるサーキットコースでは、タイヤ2の温度は上昇しやすい。
このタイヤ2では、第一層34の、120℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC1aは0.13MPa−1以上である。これにより、温度上昇過程において、第一層34がグリップ性能に寄与しうる。この観点から、このロスコンプライアンスLC1aは0.17MPa−1以上が好ましい。過大なロスコンプライアンスLC1aは、耐摩耗性に影響する。この観点から、ロスコンプライアンスLC1aは0.24MPa−1以下が好ましい。
このタイヤ2では、第一層34の、70℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC1bは0.13MPa−1以上である。これにより、走行開始直後の、タイヤ2が冷えた状態においても、第一層34がグリップ性能に寄与しうる。過大なロスコンプライアンスLC1bは、耐摩耗性に影響する。この観点から、ロスコンプライアンスLC1bは0.20MPa−1以下が好ましい。
走行により第一層34は摩耗する。摩耗が進むと、トレッド4の厚みは減少していく。トレッド4が薄くなると、トレッド4の温度は低下していく。このタイヤ2では、第一層34の内側に第二層36が位置している。この第二層36の、100℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC2は0.19MPa−1以上である。このタイヤ2では、第一層34が摩耗し第二層36が露出した場合、この第二層36がグリップ性能に寄与しうる。過大なロスコンプライアンスLC2は、耐摩耗性に影響する。この観点から、ロスコンプライアンスLC2は0.29MPa−1以下が好ましい。
走行により第二層36も摩耗する。摩耗が進むと、トレッド4の厚みはさらに減少していく。これにより、トレッド4の温度はさらに低下していく。グリップ性能の維持の観点から、第二層36の内側に位置する第三層38の、80℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC3は0.17MPa−1以上が好ましい。これにより、第二層36が摩耗し第三層38が露出した場合、この第三層38がグリップ性能に寄与しうる。過大なロスコンプライアンスLC3は、耐摩耗性に影響する。この観点から、ロスコンプライアンスLC3は0.25MPa−1以下が好ましい。
このタイヤ2では、ベース層20の、100℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLCbは0.07MPa−1以上0.12MPa−1以下が好ましい。このロスコンプライアンスLCbが0.07MPa−1以上に設定されることにより、ベース層20がトレッド4の剛性に寄与しうる。このロスコンプライアンスLCbが0.12MPa−1以下に設定されることにより、このベース層20の変形に伴う発熱が抑えられる。このベース層20は、転がり抵抗の低減に寄与しうる。
このタイヤ2では、気温が25℃以上である、又は、路面温度が40℃以上であるサーキットコースにおいて、第一層34がグリップ性能に効果的に寄与するとの観点から、この第一層34のロスコンプライアンスLC1aは0.17MPa−1以上0.24MPa−1以下とされ、この第一層34のロスコンプライアンスLC1bは0.13MPa−1以上0.20MPa−1以下とされるのが好ましい。さらにこのサーキットコースにおいて第二層36がグリップ性能に効果的に寄与するとの観点から、この第二層36のロスコンプライアンスLC2は0.19MPa−1以上0.29MPa−1以下とされるのが好ましい。そしてこのサーキットコースにおいて第三層38がグリップ性能に効果的に寄与するとの観点から、この第三層38のロスコンプライアンスLC3は0.17MPa−1以上0.25MPa−1以下とされるのが好ましい。
このように、このタイヤ2では、トレッド4の状態に応じて各層のロスコンプライアンスが適切に調節されている。摩耗によりトレッド4が薄くなりこのトレッド4の温度が低下しても、このタイヤ2は良好なグリップ性能を安定に発揮し続ける。特に、このタイヤ2のトレッド4は、気温が25℃以上である、又は、路面温度が40℃以上であるサーキットコースにおいて、グリップ性能に効果的に寄与しうる。本発明によれば、グリップ性能に優れる空気入りタイヤ2が得られる。
このタイヤ2では、第一層34の、120℃の温度下で計測される硬さH1aは30以上40以下が好ましい。この硬さH1aが30以上に設定されることにより、特に、二輪自動車が走行を開始してからしばらく続く、温度上昇過程において、第一層34がタイヤ2の剛性に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性及びトラクション性能に優れる。この硬さH1aが40以下に設定されることにより、第一層34による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ2は、グリップ性能及び乗り心地に優れる。
このタイヤ2では、第一層34の、70℃の温度下で計測される硬さH1bは38以上47以下が好ましい。この硬さH1bが38以上に設定されることにより、特に、二輪自動車の走行開始直後の、タイヤ2が冷えた状態において、第一層34がタイヤ2の剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性及びトラクション性能に優れる。この硬さH1bが47以下に設定されることにより、第一層34による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ2は、グリップ性能及び乗り心地に優れる。
本発明において、硬さはJIS−A硬さである。この硬さは、「JIS−K6253」の規定に準拠して、タイプAのデュロメータによって測定される。より詳細には、硬さは、図1に示された断面にタイプAのデュロメータが押し付けられることで測定される。後述する、第二層36の硬さH2、第三層38の硬さH3及びベース層20の硬さHbも、前述された硬さH1a及び硬さH1bと同様にして測定される。なお、所定の温度に設定されたオーブンにタイヤ2を投入し、このオーブン内でこのタイヤ2を3時間静置した後、前述された硬さが測定される。
このタイヤ2では、第二層36の100℃の温度下で計測される硬さH2は30以上40以下が好ましい。この硬さH2が30以上に設定されることにより、この第二層36がタイヤ2の剛性に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性及びトラクション性能に優れる。この硬さH2が40以下に設定されることにより、第二層36による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ2は、グリップ性能及び乗り心地に優れる。
このタイヤ2では、第三層38の80℃の温度下で計測される硬さH3は30以上40以下が好ましい。この硬さH2が30以上に設定されることにより、この第三層38がタイヤ2の剛性に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性及びトラクション性能に優れる。この硬さH3が40以下に設定されることにより、第三層38による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ2は、グリップ性能及び乗り心地に優れる。
このタイヤ2では、ベース層20の、100℃の温度下で計測される硬さHbは35以上50以下が好ましい。この硬さHbが35以上に設定されることにより、このベース層20がトレッド4の剛性に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。この硬さHbが50以下に設定されることにより、ベース層20による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ2は、乗り心地に優れる。
このタイヤ2では、第一層34のモジュラスM1は4.5MPa以上7.0MPa以下が好ましい。このモジュラスM1が4.5MPa以上に設定されることにより、第一層34がタイヤ2の剛性に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性及びトラクション性能に優れる。このモジュラスM1が7.0MPa以下に設定されることにより、第一層34による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ2は、グリップ性能及び乗り心地に優れる。
本発明において、モジュラスM1は300%伸張時の引張応力である。このモジュラスM1は、「JIS−K6251」の規定に準拠して測定される。条件は、下記の通りである。
試験片の形状=4号ダンベル
環境温度=100℃
試験機=東洋精機製作所社製の商品名「ストログラフ」
引張速度=500mm/min
後述する、第二層36のモジュラスM2、第三層38のモジュラスM3及びベース層20のモジュラスMbも、この第一層34のモジュラスM1と同様にして測定される。
このタイヤ2では、第二層36のモジュラスM2は3.0MPa以上5.0MPa以下が好ましい。このモジュラスM2が3.0MPa以上に設定されることにより、第二層36がタイヤ2の剛性に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性及びトラクション性能に優れる。このモジュラスM2が5.0MPa以下に設定されることにより、第二層36による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ2は、グリップ性能及び乗り心地に優れる。
このタイヤ2では、第三層38のモジュラスM3は2.5MPa以上4.5MPa以下が好ましい。このモジュラスM3が2.5MPa以上に設定されることにより、第三層38がタイヤ2の剛性に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性及びトラクション性能に優れる。このモジュラスM3が4.5MPa以下に設定されることにより、第三層38による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ2は、グリップ性能及び乗り心地に優れる。
このタイヤ2では、ベース層20のモジュラスMbは4.5MPa以上7.5MPa以下が好ましい。このモジュラスMbが4.5MPa以上に設定されることにより、ベース層20がタイヤ2の剛性に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。このモジュラスMbが7.5MPa以下に設定されることにより、ベース層20による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ2は、乗り心地に優れる。
このタイヤ2では、キャップ層22をなす各層が、その半径方向内側に位置する層のモジュラスよりも高いモジュラスを有しているのが好ましい。言い換えれば、第一層34は第二層36のモジュラスM2よりも高いモジュラスM1を有し、第二層36は第三層38のモジュラスM3よりも高いモジュラスM2を有しているのが好ましい。これにより、走行状態にあるタイヤ2において、トレッド4の剛性が適切に維持される。このタイヤ2は、操縦安定性及びトラクション性能に優れる。この観点から、モジュラスM1とモジュラスM2との差(M1−M2)は0.1MPa以上が好ましい。同様の観点から、モジュラスM2とモジュラスM3との差(M2−M3)は0.1MPa以上が好ましい。摩耗によりトレッド4が薄くなった場合の剛性の変化が抑えられるとの観点から、モジュラスM1とモジュラスM2との差(M1−M2)は1.0MPa以下が好ましい。同様の観点から、モジュラスM2とモジュラスM3との差(M2−M3)は1.0MPa以下が好ましい。
図1において、両矢印T1は第一層34の厚みを表している。両矢印T2は、第二層36の厚みを表している。両矢印T3は、第三層38の厚みを表している。両矢印Tbは、ベース層20の厚みを表している。本願においては、厚みT1、厚みT2、厚みT3及び厚みTbのそれぞれは、図1に示された断面において赤道面に沿って計測される。厚みT1、厚みT2及び厚みT3の和は、赤道面に沿って計測されるキャップ層22の厚みである。
このタイヤ2では、温度上昇過程において第一層34がグリップ性能に有効に寄与しうるとの観点から、厚みT1は1.0mm以上が好ましく、4.5mm以下が好ましい。
このタイヤ2では、第一層34の摩耗により第二層36が露出した場合にこの第二層36がグリップ性能に有効に寄与しうるとの観点から、厚みT2は1.0mm以上が好ましい。この厚みT2は、4.5mm以下が好ましく、3.0mm以下がより好ましい。
このタイヤ2では、第二層36の摩耗により第三層38が露出した場合にこの第三層38がグリップ性能に有効に寄与しうるとの観点から、厚みT3は1.0mm以上が好ましい。この厚みT3は、4.5mm以下が好ましく、3.0mm以下が好ましい。
このタイヤ2では、温度上昇過程において第一層34がグリップ性能に有効に寄与しうるとの観点から、厚みT1のキャップ層22の厚みに対する比は、0.15以上が好ましく、0.70以下が好ましい。
このタイヤ2では、第一層34の摩耗により第二層36が露出した場合にこの第二層36がグリップ性能に有効に寄与しうるとの観点から、厚みT2のキャップ層22の厚みに対する比は、0.15以上が好ましく、0.70以下が好ましい。
このタイヤ2では、第二層36の摩耗により第三層38が露出した場合にこの第三層38がグリップ性能に有効に寄与しうるとの観点から、厚みT3のキャップ層22の厚みに対する比は、0.15以上が好ましく、0.70以下が好ましい。
このタイヤ2では、ベース層20の厚みTbは0.5mm以上2.0mm以下が好ましい。この厚みTbが0.5mm以上に設定されることにより、このベース層20がタイヤ2の剛性に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。この厚みTbが2.0mm以下に設定されることにより、このベース層20によるタイヤ2の剛性への影響が抑えられる。このタイヤ2は、乗り心地に優れる。
本発明では、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。後述するタイヤも、同様である。
図2には、第二実施形態としての空気入りタイヤ40が示されている。図2において、上下方向がタイヤ40の半径方向であり、左右方向がタイヤ40の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ40の周方向である。図2において、一点鎖線CLはタイヤ40の赤道面を表わす。このタイヤ40の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ40は、トレッド42、サイドウォール44、ウィング46、ビード48、カーカス50、バンド52及びインナーライナー54を備えている。このタイヤ40は、チューブレスタイプである。このタイヤ40は、二輪自動車に装着される。
トレッド42は、ベース層56とキャップ層58とを有している。このタイヤ40では、トレッド42のキャップ層58以外は図1に示されたタイヤ2と同等の構成を有している。
このタイヤ40では、キャップ層58は半径方向において積層された複数の層からなる。このキャップ層58は、一対の第一層60と、これらの第一層60が積層された第二層62と、この第二層62が積層された第三層64とを備えている。
第三層64は、ベース層56の半径方向外側に位置している。この第三層64は、ベース層56と積層されている。図2に示された断面において、第三層64はトレッド42の一端から赤道面を経由してこのトレッド42の他端まで延在している。第三層64の端は、トレッド面66の端68と一致している。
第二層62は、第三層64の半径方向外側に位置している。図2に示された断面において、第二層62はトレッド42の一端側から赤道面を経由してこのトレッド42の他端側まで延在している。第二層62の端70の部分は、軸方向略外向きに先細りな形状を呈している。第二層62の端70は、トレッド面66の端68、言い換えれば、第三層64の端よりも軸方向内側に位置している。この第二層62の端70の位置は、トレッド面66における第二層62と第三層64との境界である。
前述したように、キャップ層58は一対の第一層60を有している。このタイヤ40では、左右の第一層60は軸方向に離間して配置されている。それぞれの第一層60は、第二層62の半径方向外側に位置している。第一層60の軸方向内側端72の部分は、軸方向略内向きに先細りな形状を呈している。この第一層60の内側端72は、赤道面よりも軸方向外側に位置している。この第一層60の内側端72の位置は、トレッド面66における第一層60と第二層62との赤道面側の境界である。第一層60の軸方向外側端74の部分は、軸方向略外向きに先細りな形状を呈している。この第一層60の外側端74は、第二層62の端70よりも軸方向内側に位置している。この第一層60の外側端74の位置は、トレッド面66における第一層60と第二層62とのトレッド42の端側の境界である。
このタイヤ40では、キャップ層58における、一方の第一層60の内側端72から他方の第一層60の内側端72(図示されず)までの領域はセンター部Cと称される。このセンター部Cは、第二層62及び第三層64からなる。このキャップ層58における、第一層60の内側端72からその外側端74までの領域は、ミドル部Mと称される。このミドル部Mは、第一層60、第二層62及び第三層64からなる。このキャップ層58における、第一層60の外側端74から第二層62の端70までの領域は、第一ショルダー部Sと称される。この第一ショルダー部Sは、第二層62及び第三層64からなる。このキャップ層58における、第二層62の端70から第三層64の端、言い換えれば、トレッド面66の端68までの領域は、第二ショルダー部Tと称される。この第二ショルダー部Tは、第三層64からなる。このタイヤ40では、トレッド42のキャップ層58は、赤道面上に位置するセンター部Cと、それぞれがこのセンター部Cの軸方向外側に位置する一対のミドル部Mと、それぞれがこのミドル部Mの軸方向外側に位置する一対の第一ショルダー部Sと、それぞれがこの第一ショルダー部Sの軸方向外側に位置する一対の第二ショルダー部Tとを備えている。このキャップ層58は、軸方向において7つの領域で構成されている。
走行状態が継続されるレースにおいては、ミドル部Mにおいてトレッド42の温度が最大となる。このタイヤ40では、ミドル部Mは半径方向に積層された第一層60、第二層62及び第三層64からなる。
このタイヤ40では、第一層60は図1に示されたタイヤ2のキャップ層22に関して前述された第一層34と同等である。このタイヤ40では、この第一層60の、120℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC1aは0.13MPa−1以上である。この第一層60は、温度上昇過程においてグリップ性能に寄与しうる。好ましくは、この第一層60のロスコンプライアンスLC1aは0.24MPa−1以下である。この第一層60は、耐摩耗性に寄与しうる。
このタイヤ40では、第一層60の、70℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC1bは0.13MPa−1以上である。この第一層60は、走行開始直後の、タイヤ40が冷えた状態においてもグリップ性能に寄与しうる。好ましくは、この第一層60のロスコンプライアンスLC1bは0.20MPa−1以下である。この第一層60は、耐摩耗性に寄与しうる。
ミドル部Mにおいて、第二層62は第一層60の半径方向内側に位置している。この第二層62は、図1に示されたタイヤ2のキャップ層22に関して前述された第二層34と同等である。このタイヤ40では、この第二層62の、100℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC2は0.19MPa−1以上である。このタイヤ40では、第一層60が摩耗し第二層62が露出しても、この第二層62がグリップ性能に寄与しうる。好ましくは、この第二層62のロスコンプライアンスLC2は0.29MPa−1以下である。この第二層62は、耐摩耗性に寄与しうる。
ミドル部Mにおいて、第三層64は第二層62の半径方向内側に位置している。この第三層64は、図1に示されたタイヤ2のキャップ層22に関して前述された第三層38と同等である。このタイヤ40では、この第三層64の、80℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC3は0.17MPa−1以上が好ましい。これにより、第二層62が摩耗し第三層64が露出しても、この第三層64がグリップ性能に寄与しうる。好ましくは、この第三層64のロスコンプライアンスLC3は0.25MPa−1以下である。この第三層64は、耐摩耗性に寄与しうる。
このタイヤ40では、センター部Cは半径方向に積層された第二層62及び第三層64からなる。このタイヤ40では、走行状態が継続されるレースにおいては、センター部Cがミドル部Mに次いで高い温度を有する。このセンター部Cの最外層は第二層62である。前述したように、第二層62の、100℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC2は0.19MPa−1以上である。この第二層62は、グリップ性能に寄与しうる。前述したように、好ましくは、この第二層62のロスコンプライアンスLC2は0.29MPa−1以下である。この第二層62は、耐摩耗性に寄与しうる。
センター部Cにおいて、第三層64は第二層62の半径方向内側に位置している。前述したように、好ましくは、この第三層64の、80℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC3は0.17MPa−1以上である。このタイヤ40では、第二層62が摩耗し第三層64が露出しても、この第三層64がグリップ性能に寄与しうる。前述したように、好ましくは、この第三層64のロスコンプライアンスLC3は0.25MPa−1以下である。この第三層64は、耐摩耗性に寄与しうる。
このタイヤ40では、第一ショルダー部Sは、前述されたセンター部Cと同様、半径方向に積層された第二層62及び第三層64からなる。この第一ショルダー部Sの最外層は第二層62である。このタイヤ40では、走行状態が継続されるレースにおいては、第一ショルダー部Sはセンター部Cと同等又はそれ以下の温度を有する。前述したように、第二層62の、100℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC2は0.19MPa−1以上である。第一ショルダー部Sにおいて、第二層62はグリップ性能に寄与しうる。前述したように、好ましくは、この第二層62のロスコンプライアンスLC2は0.29MPa−1以下である。この第二層62は、耐摩耗性に寄与しうる。
第一ショルダー部Sにおいて、第三層64は第二層62の半径方向内側に位置している。前述したように、好ましくは、この第三層64の、80℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC3は0.17MPa−1以上である。このタイヤ40では、第二層62が摩耗し第三層64が露出しても、この第三層64がグリップ性能に寄与しうる。前述したように、好ましくは、この第三層64のロスコンプライアンスLC3は0.25MPa−1以下である。この第三層64は、耐摩耗性に寄与しうる。
このタイヤ40では、第二ショルダー部Tは第三層64からなる。このタイヤ40では、走行状態が継続されるレースにおいては、第二ショルダー部Tにおいてトレッド42の温度が最小となる。前述したように、好ましくは、第三層64の、80℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC3は0.17MPa−1以上である。このタイヤ40の第二ショルダー部Tでは、この第三層64はグリップ性能に寄与しうる。前述したように、好ましくは、この第三層64のロスコンプライアンスLC3は0.25MPa−1以下である。この第三層64は、耐摩耗性に寄与しうる。
このように、このタイヤ40では、トレッド42の状態に応じて各層のロスコンプライアンスが適切に調節されている。摩耗によりトレッド42が薄くなりこのトレッド42の温度が低下しても、このタイヤ40は良好なグリップ性能を安定に発揮し続ける。特に、このタイヤ40のトレッド42は、気温が25℃以上である、又は、路面温度が40℃以上であるサーキットコースにおいて、グリップ性能に効果的に寄与しうる。本発明によれば、グリップ性能に優れる空気入りタイヤ40が得られる。
図2において、両矢印WAは赤道面からトレッド面66の端68までの長さを表している。この長さWAは、トレッド面66の長さの半分である。両矢印WCは、赤道面から第一層60の内側端72までの長さを表している。この長さWCは、センター部Cの外面の長さの半分である。両矢印WMは、第一層60の内側端72からその外側端74までの長さを表している。この長さWMは、ミドル部Mの外面の長さである。両矢印WSは、第一層60の外側端74から第二層62の端70までの長さを表している。この長さWSは、第一ショルダー部Sの外面の長さである。両矢印WTは、第二層62の端70からトレッド面66の端68までの長さを表している。この長さWTは、第二ショルダー部Tの外面の長さである。本願においては、長さWA、長さWC、長さWM、長さWS及び長さWTは、図2に示された断面において、トレッド面66に沿って計測される。
前述したように、走行状態が継続されるレースにおいては、ミドル部Mにおいてトレッド42の温度が最大となる。センター部Cは、ミドル部Mに次いで高い温度を有する。第一ショルダー部Sは、センター部Cと同等又はそれ以下の温度を有する。第二ショルダー部Tにおいて、トレッド42の温度は最小となる。トレッド42全体として、良好なグリップ性能が得られるとの観点から、長さWCの長さWAに対する比は0.2以上が好ましく、0.3以下が好ましい。長さWMの長さWAに対する比は、0.3以上が好ましく、0.6以下が好ましい。長さWSの長さWAに対する比は、0.1以上が好ましく、0.2以下が好ましい。長さWTの長さWAに対する比は、0.1以上が好ましく、0.2以下が好ましい。
図3(a)には、キャップ層58のセンター部Cの一部が示されている。この図3(a)において、両矢印T2cはこのセンター部Cにおける第二層62の厚みを表している。両矢印T3cは、このセンター部Cにおける第三層64の厚みを表している。厚みT2c及び厚みT3cは、赤道面に沿って計測される。
走行状態が継続されるレースにおいて、センター部Cが良好なグリップ性能を発揮し続けるとの観点から、厚みT2cは1.0mm以上が好ましく、4.5mm以下が好ましい。厚みT3cは1.0mm以上が好ましく、3.0mm以下が好ましい。
図3(b)には、キャップ層58のミドル部Mの一部が示されている。この図3(b)において、符号PMは前述された長さWMが半分となる地点を表している。実線LMは、この地点PMにおけるトレッド面66の法線を表している。両矢印T1mは、このミドル部Mにおける第一層60の厚みを表している。両矢印T2mは、このミドル部Mにおける第二層62の厚みを表している。両矢印T3mは、このセンター部Cにおける第三層64の厚みを表している。厚みT1m、厚みT2m及び厚みT3mは、法線LMに沿って計測される。なお、この厚みT1m、厚みT2m及び厚みT3mの和が、このタイヤ40におけるキャップ層58の厚みである。
走行状態が継続されるレースにおいて、ミドル部Mが良好なグリップ性能を発揮し続けるとの観点から、厚みT1mは1.0mm以上が好ましく、4.5mm以下が好ましい。厚みT2mは1.0mm以上が好ましく、4.5mm以下が好ましい。厚みT3mは、1.0mm以上が好ましく、4.5mm以下が好ましい。
図3(c)には、キャップ層58のショルダー部の一部が示されている。この図3(b)において、実線LSはミドル部Mと第一ショルダー部Sとの境界におけるトレッド面66の法線を表している。実線LTは、第一ショルダー部Sと第二ショルダー部Tとの境界におけるトレッド面66の法線を表している。両矢印T2sは、第一ショルダー部Sにおける第二層62の厚みを表している。両矢印T3sは、この第一ショルダー部Sにおける第三層64の厚みを表している。両矢印T3tは、第二ショルダー部Tにおける第三層64の厚みを表している。厚みT2s及び厚みT3sは、法線LSに沿って計測される。厚みT3tは、法線LTに沿って計測される。
走行状態が継続されるレースにおいて、第一ショルダー部Sが良好なグリップ性能を発揮し続けるとの観点から、厚みT2sは1.0mm以上が好ましく、4.5mm以下が好ましい。厚みT3sは、1.0mm以上が好ましく、4.5mm以下が好ましい。第二ショルダー部Tが良好なグリップ性能を発揮し続けるとの観点から、厚みT3tは、2.0mm以上が好ましく、5.0mm以下が好ましい。
図4には、第三実施形態としての空気入りタイヤ76が示されている。図4において、上下方向がタイヤ76の半径方向であり、左右方向がタイヤ76の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ76の周方向である。図4において、一点鎖線CLはタイヤ76の赤道面を表わす。このタイヤ76の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ76は、トレッド78、サイドウォール80、ウィング82、ビード84、カーカス86、バンド88及びインナーライナー90を備えている。このタイヤ76は、チューブレスタイプである。このタイヤ76は、二輪自動車に装着される。
トレッド78は、ベース層92とキャップ層94とを有している。このタイヤ76では、トレッド78のキャップ層94以外は図1に示されたタイヤ2と同等の構成を有している。
図4に示されるように、トレッド78のキャップ層94は半径方向に積層された複数の層からなる。このタイヤ76では、キャップ層94は2層からなる。これらの層のうち、半径方向において最も外側に位置する層は第一層96と称される。この第一層96の内側に位置する層は、第二層98と称される。このキャップ層94は、第一層96及び第二層98を備えている。
このタイヤ76においても、図1に示されたタイヤ76のトレッド78と同様、トレッド78を構成する各層のロスコンプライアンスLCが適切に調整されている。これにより、グリップ性能の向上が図られている。
二輪自動車が走行を開始すると、タイヤ76の温度は上昇していく。この温度上昇過程は、走行を開始してからしばらく続く。気温が20℃以下である、又は、路面温度が35℃以下であるサーキットコースでは、タイヤ76が外気により冷やされるので、気温が25℃以上である、又は、路面温度が40℃以上であるサーキットコースを走行した場合のように、タイヤ76の温度は上昇しない。
このタイヤ76では、第一層96の、70℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC1bは0.13MPa−1以上である。これにより、温度上昇過程において、第一層96がグリップ性能に寄与しうる。この観点から、このロスコンプライアンスLC1bは0.17MPa−1以上がより好ましい。過大なロスコンプライアンスLC1bは、耐摩耗性に影響する。この観点から、ロスコンプライアンスLC1bは0.23MPa−1以下が好ましい。
このタイヤ76では、第一層96の、120℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC1aは0.13MPa−1以上である。これにより、タイヤ76がスピンをして急激に温度が上昇した場合においても、この第一層96がグリップ性能に寄与しうる。過大なロスコンプライアンスLC1aは、耐摩耗性に影響する。この観点から、ロスコンプライアンスLC1aは0.20MPa−1以下が好ましい。
走行により第一層96は摩耗する。摩耗が進むと、トレッド78の厚みは減少していく。トレッド78が薄くなると、トレッド78の温度は低下していく。このタイヤ76では、第一層96の内側に第二層98が位置している。この第二層98の、100℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC2は0.19MPa−1以上である。このタイヤ76では、第一層96が摩耗し第二層98が露出した場合、この第二層98がグリップ性能に寄与しうる。この観点から、このロスコンプライアンスLC2は0.20MPa−1以上が好ましい。過大なロスコンプライアンスLC2は、耐摩耗性に影響する。この観点から、ロスコンプライアンスLC2は0.30MPa−1以下が好ましい。
このタイヤ76では、気温が20℃以下である、又は、路面温度が35℃以下であるサーキットコースにおいて、第一層96がグリップ性能に効果的に寄与するとの観点から、この第一層96のロスコンプライアンスLC1aは0.13MPa−1以上0.20MPa−1以下とされ、この第一層96のロスコンプライアンスLC1bは0.17MPa−1以上0.23MPa−1以下とされるのが好ましい。さらにこのサーキットコースにおいて第二層98がグリップ性能に効果的に寄与するとの観点から、この第二層98のロスコンプライアンスLC2は0.20MPa−1以上0.30MPa−1以下とされるのが好ましい。
このように、このタイヤ76では、トレッド78の状態に応じて各層のロスコンプライアンスが適切に調節されている。摩耗によりトレッド78が薄くなりこのトレッド78の温度が低下しても、このタイヤ76は良好なグリップ性能を安定に発揮し続ける。特に、このタイヤ76のトレッド78は、気温が20℃以下である、又は、路面温度が35℃以下であるサーキットコースにおいて、グリップ性能に効果的に寄与しうる。本発明によれば、グリップ性能に優れる空気入りタイヤ76が得られる。
このタイヤ76では、第一層96の、70℃の温度下で計測される硬さH1bは36以上45以下が好ましい。この硬さH1bが36以上に設定されることにより、特に、二輪自動車が走行を開始してからしばらく続く、温度上昇過程において、第一層96がタイヤ76の剛性に寄与しうる。このタイヤ76は、操縦安定性及びトラクション性能に優れる。この硬さH1bが47以下に設定されることにより、第一層96による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ76は、グリップ性能及び乗り心地に優れる。
このタイヤ76では、第一層96の、120℃の温度下で計測される硬さH1aは33以上40以下が好ましい。この硬さH1aが33以上に設定されることにより、タイヤ76がスピンをして急激に温度が上昇した場合においても、第一層96がタイヤ76の剛性に寄与しうる。このタイヤ76は、操縦安定性及びトラクション性能に優れる。この硬さH1aが40以下に設定されることにより、第一層96による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ76は、グリップ性能及び乗り心地に優れる。
このタイヤ76では、第二層98の100℃の温度下で計測される硬さH2は25以上35以下が好ましい。この硬さH2が25以上に設定されることにより、この第二層98がタイヤ76の剛性に寄与しうる。このタイヤ76は、操縦安定性及びトラクション性能に優れる。この硬さH2が35以下に設定されることにより、第二層98による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ76は、グリップ性能及び乗り心地に優れる。
このタイヤ76では、第一層96のモジュラスM1は5.0MPa以上7.0MPa以下が好ましい。このモジュラスM1が5.0MPa以上に設定されることにより、第一層96がタイヤ76の剛性に寄与しうる。このタイヤ76は、操縦安定性及びトラクション性能に優れる。このモジュラスM1が7.0MPa以下に設定されることにより、第一層96による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ76は、グリップ性能及び乗り心地に優れる。
このタイヤ76では、第二層98のモジュラスM2は2.5MPa以上3.5MPa以下が好ましい。このモジュラスM2が2.5MPa以上に設定されることにより、第二層98がタイヤ76の剛性に寄与しうる。このタイヤ76は、操縦安定性及びトラクション性能に優れる。このモジュラスM2が3.5MPa以下に設定されることにより、第二層98による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ76は、グリップ性能及び乗り心地に優れる。
このタイヤ76では、第一層96は第二層98のモジュラスM2よりも高いモジュラスM1を有しているのが好ましい。これにより、走行状態にあるタイヤ76において、トレッド78の剛性が適切に維持される。このタイヤ76は、操縦安定性及びトラクション性能に優れる。この観点から、モジュラスM1とモジュラスM2との差(M1−M2)は1.5MPa以上が好ましい。摩耗によりトレッド78が薄くなった場合の剛性の変化が抑えられるとの観点から、モジュラスM1とモジュラスM2との差(M1−M2)は3.0MPa以下が好ましい。
図4において、両矢印T1は第一層96の厚みを表している。両矢印T2は、第二層98の厚みを表している。本願においては、厚みT1、厚みT2及び厚みTbのそれぞれは、図4に示された断面において赤道面に沿って計測される。厚みT1及び厚みT2の和は、赤道面に沿って計測されるキャップ層94の厚みである。
このタイヤ76では、温度上昇過程において第一層96がグリップ性能に有効に寄与しうるとの観点から、厚みT1は1.5mm以上が好ましく、5.0mm以下が好ましい。
このタイヤ76では、第一層96の摩耗により第二層98が露出した場合にこの第二層98がグリップ性能に有効に寄与しうるとの観点から、厚みT2は1.5mm以上が好ましく、5.0mm以下がより好ましい。
このタイヤ76では、温度上昇過程において第一層96がグリップ性能に有効に寄与しうるとの観点から、厚みT1のキャップ層94の厚みに対する比は、0.20以上が好ましく、0.80以下が好ましい。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実験1]
[実施例1]
図1に示された基本構成を備え、下記の表2に示された仕様を備えた実施例1の空気入りタイヤ(タイヤサイズ=200/60R420)を得た。この実施例1では、トレッドのキャップ層は、第一層、第二層及び第三層の3層からなる。
第一層の、120℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC1aは0.19MPa−1とされた。この第一層の、70℃の温度下で計測されたロスコンプライアンスLC1b、0.15MPa−1とされた。この第一層の、120℃の温度下で計測された硬さH1aは、36とされた。この第一層の、70℃の温度下で計測された硬さH1bは、40とされた。この第一層の、100℃の温度下で計測された300%モジュラスM1は、4.7MPaとされた。この第一層の厚みT1は、1.5mmとされた。
第二層の、100℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC2は0.21MPa−1とされた。この第二層の、100℃の温度下で計測された硬さH2は、35とされた。この第一層の、100℃の温度下で計測された300%モジュラスM2は、4.5MPaとされた。この第一層の厚みT1は、2.5mmとされた。
第三層の、80℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC3は0.17MPa−1とされた。この第三層の、80℃の温度下で計測された硬さH3は、38とされた。この第三層の、100℃の温度下で計測された300%モジュラスM3は、4.3MPaとされた。この第一層の厚みT3は、2.5mmとされた。
ベース層の、100℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLCbは0.10MPa−1とされた。このベース層の、100℃の温度下で計測された硬さHbは、48とされた。この第三層の、100℃の温度下で計測された300%モジュラスMbは、5.9MPaとされた。この第一層の厚みTbは、1.5mmとされた。
[実施例2−6及び比較例1]
第一層の、ロスコンプライアンスLC1a及びLC1b、硬さH1a及びH1b、並びにモジュラスM1を下記の表1の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−6及び比較例1のタイヤを得た。
[実施例7−10及び比較例2]
第二層の、ロスコンプライアンスLC2、硬さH2及びモジュラスM2を下記の表2の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例7−10及び比較例2のタイヤを得た。
[実施例11−14]
第三層の、ロスコンプライアンスLC3、硬さH3及びモジュラスM3を下記の表3の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例11−14のタイヤを得た。
[実施例16−30]
厚みT1、厚みT2及び厚みT3を下記の表4、表5及び表6の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例16−30のタイヤを得た。
[比較例3−5]
キャップ層を単一の層で構成させた他は実施例1と同様にして、比較例3−5のタイヤを得た。
[実施例15]
トレッドの構成を図2に示された通りとした他は実施例1と同様にして、実施例15のタイヤを得た。なお、トレッド面の半分の長さWAに対する、センター部の外面の半分の長さWCの比は、0.25とされた。ミドル部の外面の長さWMの長さWAに対する比は、0.50とされた。第一ショルダー部の外面の長さWSの長さWAに対する比は、0.10とされた。第二ショルダー部の外面の長さWTの長さWAに対する比は、0.15とされた。センター部における第二層の厚みT2cは、1.0mmとされた。このセンター部における第三層の厚みT3cは、1.0mmとされた。ミドル部における第一層の厚みT1mは、1.5mmとされた。このミドル部における第二層の厚みT2mは、2.5mmとされた。このミドル部における第三層の厚みT3mは、2.5mmとされた。第一ショルダー部における第二層の厚みT2sは、4.0mmとされた。この第一ショルダー部における第三層の厚みT3sは、2.5mmとされた。この第二ショルダー部における第三層の厚みT3tは、6.5mmとされた。
[グリップ性能の評価(1)]
試作タイヤを排気量が1000ccであるスポーツタイプの二輪自動車(4サイクル)の後輪に装着し、その内圧が290kPaとなるように空気を充填した。後輪のリムのサイズは、6.25×420とされた。前輪には、市販のタイヤ(サイズ=125/80R420)を装着し、その内圧が250kPaとなるように空気を充填した。前輪のリムのサイズは、3.50×420とされた。この二輪自動車を、その路面がアスファルトであるサーキットコースで走行させて(周回数は40周)、ライダーによる官能評価を行った。サーキットコースの気温は、32℃であった。路面温度は、47℃であった。評価項目は、グリップ性能である。1〜5周、6〜10周、11〜20周そして21〜40周における結果が、指数として下記表1から表6に示されている。数値が大きいほど好ましい。
Figure 2014172588
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Figure 2014172588
Figure 2014172588
Figure 2014172588
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表1から表6に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
[実験2]
[実施例31]
図4に示された基本構成を備え、下記の表8に示された仕様を備えた実施例31の空気入りタイヤ(タイヤサイズ=200/60R420)を得た。この実施例31では、トレッドのキャップ層は、第一層及び第二層の2層からなる。
第一層の、120℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC1aは0.14MPa−1とされた。この第一層の、70℃の温度下で計測されたロスコンプライアンスLC1b、0.18MPa−1とされた。この第一層の、120℃の温度下で計測された硬さH1aは、35とされた。この第一層の、70℃の温度下で計測された硬さH1bは、43とされた。この第一層の、100℃の温度下で計測された300%モジュラスM1は、6.1MPaとされた。この第一層の厚みT1は、1.5mmとされた。
第二層の、100℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC2は0.25MPa−1とされた。この第二層の、100℃の温度下で計測された硬さH2は、29とされた。この第一層の、100℃の温度下で計測された300%モジュラスM2は、3.2MPaとされた。この第一層の厚みT1は、5.0mmとされた。
ベース層の、100℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLCbは0.10MPa−1とされた。このベース層の、100℃の温度下で計測された硬さHbは、48とされた。この第三層の、100℃の温度下で計測された300%モジュラスMbは、5.9MPaとされた。この第一層の厚みTbは、1.5mmとされた。
[実施例32−36及び比較例6]
第一層の、ロスコンプライアンスLC1a及びLC1b、硬さH1a及びH1b、並びにモジュラスM1を下記の表7の通りとした他は実施例31と同様にして、実施例32−36及び比較例6のタイヤを得た。
[実施例37−39及び比較例7]
第二層の、ロスコンプライアンスLC2、硬さH2及びモジュラスM2を下記の表8の通りとした他は実施例31と同様にして、実施例37−39及び比較例7のタイヤを得た。
[実施例40−45]
厚みT1及び厚みT2を下記の表9の通りとした他は実施例31と同様にして、実施例40−45のタイヤを得た。
[比較例8−9]
キャップ層を単一の層で構成させた他は実施例31と同様にして、比較例8−9のタイヤを得た。
[グリップ性能の評価(2)]
試作タイヤを排気量が1000ccであるスポーツタイプの二輪自動車(4サイクル)の後輪に装着し、その内圧が290kPaとなるように空気を充填した。後輪のリムのサイズは、6.25×420とされた。前輪には、市販のタイヤ(サイズ=125/80R420)を装着し、その内圧が250kPaとなるように空気を充填した。前輪のリムのサイズは、3.50×420とされた。この二輪自動車を、その路面がアスファルトであるサーキットコースで走行させて(周回数は40周)、ライダーによる官能評価を行った。サーキットコースの気温は、16℃であった。路面温度は、26℃であった。評価項目は、グリップ性能である。1〜5周、6〜10周、11〜20周そして21〜40周における結果が、指数として下記表7から表10に示されている。数値が大きいほど好ましい。
Figure 2014172588
Figure 2014172588
Figure 2014172588
Figure 2014172588
表7から表10に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明された空気入りタイヤは、種々の車両にも適用されうる。
2、40、76・・・タイヤ
4、42、78・・・トレッド
6、44、80・・・サイドウォール
10、48、84・・・ビード
12、50、86・・・カーカス
20、56、92・・・ベース層
22、58、94・・・キャップ層
34、60、96・・・第一層
36、62、98・・・第二層
38、64・・・第三層

Claims (4)

  1. その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれが上記トレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれが上記サイドウォールよりも半径方向内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及び上記サイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスとを備えており、
    上記トレッドが、ベース層と、このベース層の半径方向外側に位置するキャップ層とを備えており、
    上記キャップ層が、半径方向に積層された複数の層からなり、
    上記複数の層のうち、最も外側に位置する第一層の、120℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC1aが0.13MPa−1以上であり、
    この第一層の70℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC1bが0.13MPa−1以上であり、
    上記第一層の内側に位置する第二層の、100℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC2が0.19MPa−1以上である、空気入りタイヤ。
  2. 上記第一層のロスコンプライアンスLC1aが0.17MPa−1以上0.24MPa−1以下であり、
    上記第一層のロスコンプライアンスLC1bが0.13MPa−1以上0.20MPa−1以下であり、
    上記第二層のロスコンプライアンスLC2が0.19MPa−1以上0.29MPa−1以下である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 上記キャップ層が上記第二層の半径方向内側に第三層を備えており、
    この第三層の、80℃の温度下で計測されるロスコンプライアンスLC3が0.17MPa−1以上0.25MPa−1以下である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 上記第一層のロスコンプライアンスLC1aが0.13MPa−1以上0.20MPa−1以下であり、
    上記第一層のロスコンプライアンスLC1bが0.17MPa−1以上0.23MPa−1以下であり、
    上記第二層のロスコンプライアンスLC2が0.20MPa−1以上0.30MPa−1以下である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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