JP2014167405A - 蒸着用基板およびシンチレータパネル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板1上に反射層3及び蒸着により形成されたシンチレータ層2を有するシンチレータパネル10であって、該反射層が光散乱粒子及び特定のバインダー樹脂からなり、特定の膜厚を有することを特徴とするシンチレータパネル。反射層の表面はカレンダー処理により平滑化されていることが好ましく、光散乱粒子はアルミナ、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の光散乱粒子であることが好ましい。
【選択図】図1
Description
上記蒸着用基板において、バインダー樹脂が特定のTgを有するものであると、支持体との密着性、および断裁の際に受ける変形に対する追従性に優れるため、蒸着用基板や該蒸着用基板を含むシンチレータパネルは、断裁に供しても反射層の剥離などを生じず、該シンチレータパネルは断裁に供してもシンチレータ層の剥離等を生じないことを見出した。
本発明に係る蒸着用基板は、前記反射層に含まれる揮発物の含有量が、0.5mg/m2以下であることが好ましい。
本発明に係る蒸着用基板は、前記樹脂がポリイミドであることが好ましい。
上記課題を解決するための本発明に係る蒸着用基板の製造方法は、支持体に、バインダー樹脂を有する反射層を設ける蒸着用基板の製造方法であって、該反射層が形成された後、断裁されることを特徴とする。
本発明に係るシンチレータパネルは、前記光散乱粒子が、アルミナ、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、シリカ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、ガラスおよび樹脂から選ばれる少なくとも一種からなることが好ましい。
本発明に係るシンチレータパネルは、前記反射層が、樹脂を主成分とする支持体上に形成されていることが好ましい。
本発明に係るシンチレータパネルは、前記反射層に形成されたシンチレータ層とは反対側の面に、光吸収層を有することが好ましい。
本発明に係るシンチレータパネルは、前記保護膜が、ポリパラキシリレン膜であることが好ましい。
本発明に係るシンチレータパネルは、上記記載の蒸着用基板よりも剛性の高いサポート板に保持されていることが好ましい。
本発明のシンチレータパネルは、少なくとも、支持体と、反射層と、蒸着により形成されたシンチレータ層とを含む。
なお、本発明に係る「蛍光体(シンチレータ)」とは、入射された非可視光線であるX線等の放射線のエネルギー(通常、波長が10nm以下)を吸収して、波長が300nm〜800nmの電磁波、すなわち、可視光線を中心に紫外光から赤外光にわたる電磁波(光)を発光する蛍光体をいう。
本発明に係る蒸着用基板は、支持体と、該支持体に設けられた反射層を有し、該反射層は、光散乱粒子と、ガラス転移温度が−100℃〜60℃のバインダー樹脂を含み、かつ反射層の膜厚が5〜300μmである。
蒸着用基板全体の厚さは、ハンドリング性、断裁性の観点から、10〜1,000μmであることが好ましい。
本発明に係る蒸着用基板では、反射層は、支持体上に設けられ、光散乱粒子及び特定のバインダー樹脂からなる。
反射層の膜厚は、蒸着用基板や該蒸着用基板を含むシンチレータパネルの断裁性を優れたものとする観点、及び放射線画像を得るために該シンチレータパネルとともに用いられる受光素子面との密着性の観点から、通常5〜300μm、好ましくは15〜150μm、より好ましくは30〜100μmである。
反射層は、樹脂を主成分とする支持体上に形成されていることが、蒸着用基板の断裁性に優れるという観点から好ましい。樹脂については後述するが、中でも、ポリイミドを主成分とする支持体上に反射層が形成されていることが、蒸着用基板や該蒸着用基板を含むシンチレータパネルの断裁性の観点より特に好ましい。
本発明に係る蒸着用基板においては、反射層の支持体と接触している面の反対面を、シンチレータ層形成予定面とする。
本発明に係る蒸着用基板の反射層は、X線などの放射線透過性の観点より、後述の反射層中に空隙を設ける方法により形成された空隙を有していてもよい。
本明細書において、上記反射層の反射率は、分光式色差計SE−2000型(日本電色工業社製)を用い、JIS Z−8722に基づいて、400〜700nmの範囲の分光反射率から算出される。特に反射波長の指定がない場合は、波長550nmでの反射率を意味する。
本発明の蒸着用基板における反射層に含有される光散乱粒子は、シンチレータ層で生じた発光光の反射層内の光拡散を防止するとともに、反射層に到達した発光光をシンチレータ層の柱状結晶内に効果的に戻す機能を有する。
光散乱粒子は、反射層を構成するバインダー樹脂と異なる屈折率を有する粒子状材料であれば特に限定されるものではなく、その材料としては、アルミナ、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、シリカ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、ガラスおよび樹脂などを挙げることができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい(上記において、ガラス、樹脂のように別カテゴリーのものを2種以上用いてもよいし、例えば樹脂におけるアクリル樹脂やポリエステル樹脂のように、同じカテゴリー内で2種以上のものを用いてもよいし、ガラス、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂のように別カテゴリーのものと同じカテゴリーのものがそれぞれ1種または2種以上混在していてもよい)。
光散乱粒子として二酸化チタンを使用する場合は、二酸化チタンは、分散性および作業性を改良するために、無機化合物や有機化合物で表面処理を施したものであってもよい。上記表面処理した二酸化チタンやその表面処理方法は、例えば、特開昭52−35625号、特開55−10865号、特開57−35855号、特開62−25753号、特開62−103635号および特開平9−050093号等に開示されているものを採用することができる。上記表面処理には、酸化アルミニウム水和物、含水酸化亜鉛、二酸化珪素などの無機化合物や、2〜4価のアルコール、トリメチロールアミン、チタネートカップリング剤やシランカップリング剤などの有機化合物を表面処理剤として好ましく用いることができる。これら表面処理剤の使用量は、上記特許文献などに示されているように、それぞれの目的に応じて選択できる。
硫酸法で製造されたR−820、R−830、R−930、R−550、R−630、R−680、R−670、R−580、R−780、R−780−2、R−850、R−855、A−100、A−220、W−10(以上商品名:石原産業(株)社製)などが挙げられる。
空隙粒子としては、空隙を有している限り特に制限はなく、例えば、中空部が粒子内に一つ存在する単一中空粒子、中空部が粒子内に多数存在する多中空粒子、多孔質粒子、などが挙げられ、これらは目的に応じて適宜選択することができる。
ここで、空隙粒子とは、中空部や細孔などの空隙を有する粒子をいう。
中空粒子は、空孔(空気層)と外殻部(樹脂層等)との屈折率差によって中実粒子にはない光の反射特性、拡散特性を反射層に付与することができる。
これらの空隙粒子のなかでも、空隙率の大きさの点から単一中空粒子が特に好ましい。
光散乱粒子は、反射層を構成する成分の合計体積100体積%中、3〜70体積%となる量で含まれていることが好ましく、10〜50体積%となる量で含まれていることがさらに好ましい。光散乱粒子がこのような範囲で反射層に含まれていると、反射層の反射率や上記蒸着用基板上にシンチレータ層を形成したシンチレータパネルの感度が向上するだけでなく、支持体もしくは蛍光体層との接着性が向上するため断裁時に反射層の剥離が生じない。
また、本発明に係る蒸着用基材における反射層には、空隙が5 〜30体積%の量で含まれることが好ましい。
バインダー樹脂は、本発明の目的を損なわない限り特に制限されず、適宜入手した市販のものであってもよいし、適宜製造したものであってもよい。
蒸着用基板の断裁性の観点からは、上記ガラス転移温度を有するポリエステル樹脂が特に好ましい。
支持体の材料としては、X線等の放射線を透過させることが可能な、各種のガラス、セラミック材料、高分子材料、金属等が挙げられる。より具体的には、例えば、石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラスなどの板ガラス;アモルファスカーボン、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素などのセラミック;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素など半導体;又、セルロースアセテートフィルム、ポリエステル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、炭素繊維強化樹脂シート等の高分子フィルム(プラスチックフィルム);アルミニウムシート、鉄シート、銅シート等の金属シート或いは該金属酸化物の被覆層を有する金属シート;バイオナノファイバーフィルムなどを用いることができる。これらは単独で用いても積層して用いてもよい。
可とう性を有する高分子フィルムとしては、例えば、ポリエチレンナフタレート(7GPa)、ポリエチレンテレフタレート(4GPa)、ポリカーボネート(2GPa)、ポリイミド(7GPa)、ポリエーテルイミド(3GPa)、アラミド(12GPa)、ポリスルホン(2GPa)、ポリエーテルスルホン(2GPa)等が挙げられる(カッコ内は弾性率を示す)。中でも、蒸着時の耐熱性の観点からポリイミドが特に好ましい。なお、弾性率の値は、同種の高分子フィルムでも変動しうるので、必ずしも弾性率が括弧内の値になるわけではないが、目安として一例を示したものである。
該樹脂としては、一般的な熱可塑性樹脂が挙げられ、該顔料としては、アゾ基を有する難溶性(20℃の水100gに溶ける質量が通常1g未満)アゾ顔料やフタロシアニンブルー、チタンブラック等、一般に使用される有機系又は無機系着色顔料を使用できる。
蒸着用基板は、必要に応じて、上記反射層および支持体の他に、別途の層を含んでいてもよい。
上記遮光層や光吸収層は、遮光層または光吸収層が設けられたフィルムにより、形成されていてもよい。
これらの中でも、特に、反射層自体を色材で着色して反射率を調整する方法が、白色顔料およびバインダー樹脂の分散液に色材を配合して支持体上に塗布するという簡易な方法を採用できる観点からより好ましい。
光吸収層は、光吸収性で、着色されていれば特に制限されず、例えば、顔料およびバインダー樹脂を含む層である。光吸収層に用いられる顔料としては、従来公知の顔料も使用可能である。顔料は、より光散乱しやすい赤色の長波光成分を吸収するものの方がよく、青色の着色材が好ましい。そのような青色の着色材としては、例えば、ウルトラマリン青、プロシア青(フエローシアン化鉄)等が好ましい。また、有機青色顔料としては、フタロシアニン、アントラキノン、インジゴイド、カルボニウム等を用いることができる。これらの中でも、光吸収層の放射線耐久性、紫外線耐久性などの観点から、フタロシアニンが好ましい。またチタン系黒色顔料のチタンブラックなども好適に使用することができる。チタンブラックとは二酸化チタンから酸素の一部を取り除くことで黒色化したものであり、特に光散乱粒子として二酸化チタン使用する場合には、二酸化チタンと比重が同じであるため反射層形成用塗布液の安定性が高く、二酸化チタンとチタンブラックの混合比を調整することで、容易に蒸着用基板の反射率を調整することができるメリットがある。
光吸収層のバインダー樹脂は、上記反射層の項目で述べたものなどが挙げられる。顔料は、バインダー樹脂100重量部に対して0.01〜30重量部であることが、光吸収層の光吸収性の観点から好ましい。
遮光層は、遮光性を有する材料を含む。
遮光層は、遮光性を有する材料として、アルミニウム、銀、白金、パラジウム、金、銅、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、ステンレス等のうち1種または2種以上の元素を含む金属材料により形成されたものであることが、支持体の反射率を調製する観点より好ましい。中でも、遮光層に優れた遮光性、耐食性を付与できる観点から、アルミニウムもしくは銀を主成分とする金属材料が特に好ましい。また、遮蔽層は、1層の上記金属薄膜からなっていてもよいし、2層以上の上記金属薄膜からなっていてもよい。
本発明に係るシンチレータパネルは、支持体と、支持体上に設けられた反射層と、反射層上に蒸着により設けられたシンチレータ層を有し、反射層は、光散乱粒子と、ガラス転移温度が−100℃〜60℃のバインダー樹脂を含み、かつ反射層の厚みが5〜300μmである。
以下、本発明に係るシンチレータパネルの各構成層及び構成要素等について順に説明する。
支持体、反射層は、配列順序は上記蒸着用基板とは異なり、目的に応じて適宜変更することができるが、支持体、反射層自体については、蒸着用基板と同様であるので、ここでは説明を省略する。
本発明に係るシンチレータパネルのシンチレータ層は、前記反射層表面より柱状結晶が成長して形成されていることが好ましい。
ここで、本明細書において、賦活剤の相対含有量とは、蛍光体母体化合物1モルを100モル%としたときの賦活剤のモル%で示される。
特に、下地層の賦活剤の相対含有量が0.01モル%以上であることが、シンチレータパネルの発光輝度向上及び保存性の点で非常に好ましい。
本発明に係るシンチレータパネルには、必要に応じて、物理的にあるいは化学的に前記蛍光体層を保護するための保護層を設けてもよい。この場合、後述のシンチレータ層のシンチレータの潮解を防止するなどの観点より、シンチレータパネルのシンチレータ層全面及び反射層の一部が、連続した保護層により覆われていることが好ましい。
前述の通り、本発明に係る保護層は、主に、シンチレータ層の保護を目的とするものである。具体的には、例えば、蛍光体がヨウ化セシウム(CsI)である場合、CsIは、吸湿性が高く露出したままにしておくと空気中の水蒸気を吸湿して潮解してしまうため、これを防止することを目的として、シンチレータパネルに上記保護層が設けられる。
保護層がポリパラキシレン系樹脂を含む膜である場合、その膜厚は、上記放射線画像の鮮鋭性、保護層の防湿性の観点より、2μm以上15μm以下が好ましく、保護層を受光素子と接着する場合は、接着剤層の厚みは接着力確保の観点から10μm以上が好ましく、さらに保護層の膜厚と接着剤層の厚みがトータルで20μm以下であることが好ましい。ポリパラキシレン膜厚と接着剤層の厚みとがトータルで20μm以下であると、保護層を受光素子と接着する場合に、平面受光素子とシンチレータパネルとの間隙での発光光の広がりが抑制され、鮮鋭性の低下を好適に防止できる。
上記態様の中では、高い防湿性が得られる観点より、ポリパラキシレンによりシンチレータ層の上部、側面及び支持体のシンチレータ層外周部の全面を覆うことが好ましい。
本発明に係るシンチレータパネルは、使用目的などによって、可とう性を有さないことが好ましい場合には、蒸着用基板よりも剛性の高いサポート板に保持されていてもよい。
すなわち、本発明に係るシンチレータパネルは、バインダー樹脂が特定のTgを有するものであり、支持体との密着性、および断裁の際に受ける変形に対する追従性に優れるため、断裁に供してもシンチレータ層の剥離等を生じない。
さらに、本発明に係るシンチレータパネルは、目的のサイズのシンチレータパネルを製造する際に、該サイズの蒸着用基板を一つ一つ作成する必要がなく、目的のサイズよりも大きなサイズのシンチレータパネルを製造し、次いで、該シンチレータパネルを目的のサイズに断裁するということも可能であるので、ロット内やロット間で品質の均一なシンチレータパネルを得ることができる。
3−1. 蒸着用基板の製造方法の手順
次に、本発明に係る蒸着用基板の製造方法について説明する。
図7は、本発明に係る蒸着用基板の製造方法の典型例を説明するための模式図である。
供給工程29では、該繰り出し装置により、巻き芯に巻かれたロール状の支持体を繰り出して、次の塗布工程39に支持体を供給する。
塗布工程39では、供給工程29で用いられる繰り出し装置から連続搬送され、バックアップロール301によって保持された支持体201に、光散乱粒子、バインダー樹脂、添加剤および溶媒などを含む反射層形成用塗布液を塗布ヘッド302により塗布する。支持体201に反射層形成用塗布液を塗布する際には、塗布ヘッド302の上流側に設けられた減圧室303により、該塗布時に塗布ヘッド302から供給される塗布液と支持体201との間に形成されるビード(塗布液の溜まり)を安定化する。
上記説明では、塗布方法として押し出しコートを例に挙げているが、その他既知の任意の方法を採用することもできる、例えば、グラビアコート、ロールコート、スピンコート、リバースコート、バーコート、スクリーンコート、ブレードコート、エアーナイフコート及びディッピングなどの各種塗布方法を用いることができる。
乾燥工程49では、塗布工程39で支持体201の上に反射層形成用塗布液を塗布することで形成された反射層塗布膜を、乾燥装置401により乾燥する。乾燥工程49は、通常、反射層塗布膜の表面温度が、80〜200℃の温度になるように行われる。乾燥工程49では、反射層塗布膜を乾燥用気体により乾燥する。乾燥用気体は、乾燥用気体の導入口402から導入され、排出口403から排出される。乾燥用気体からなる乾燥風の温度及び風量は適宜決めることが可能な構成となっている。
回収工程69では、反射層塗布膜が形成された支持体201が巻き取り装置(不図示)に巻き取られる。図7中の601は、巻き芯に巻き取られ回収されたロール状の支持体を示す。
反射層を多層構造にする場合や上記以外の層を塗装により形成する場合などには、反射層の形成された支持体を製造後、回収工程69にてロール状に巻き取とられた支持体601を、再度、供給工程29の支持体201にセットし、再度、反射層形成用塗布液を反射層上に塗布、乾燥、加熱処理して、2層以上の反射層を形成する方法が挙げられる。必要に応じて、得られた蒸着用基板を加熱処理して、反射層中の2つの層の界面の接着性を強固にするなどしてもよい。
乾燥工程49及び89、熱処理工程59における各種気体の温度及び風量は、特に限定されず、非接触温度系による測定結果をもとに、塗布膜面の温度が上記設定温度になるように調整すればよい。
以上説明した本発明に係る蒸着用基板の製造方法により、残留溶媒や光散乱粒子へのガス吸着の少ない蒸着用基板が得られる。
以下、本発明に係る蒸着用基板の製造方法に用いられる支持体と反射層形成用塗布液について説明する。
本発明の蒸着用基板に使用される支持体の材料は前述した通りであるが、中でも、高分子フィルムが、図7に示したような製造装置109が好適に使用でき、ロール・ツー・ロール(roll to roll)で容易に加工できる点、および平面受光素子をカップリングする際、柔軟性があるため平面受光素子との密着性に優れる点等のメリットなどの観点から好ましい。また、高分子フィルムのガラス転移温度は、高分子フィルム上に蛍光体を蒸着する際の熱による支持体の変形を防止できるという観点より、100℃以上であることが好ましい。上記のような高分子フィルムとして、具体的には、ポリイミドフィルムが好適である。
遮光層を支持体上に被覆する方法としては、蒸着、スパッタ、あるいは、金属箔の貼り合わせ等、特に制約は無いが、遮光層の支持体への密着性の観点からスパッタが最も好ましい。
光吸収層を支持体上に被覆する方法としては、光吸収性の顔料等を含む塗布液を支持体上に塗布、乾燥などする方法などが挙げられる。
反射層形成用塗布液は、光散乱粒子、バインダー樹脂、及び必要に応じて、顔料などの色材、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、分散剤などの添加剤を、混合してからもしくは個々に、溶媒に分散または溶解して調製する。各成分の混合順序などは、本発明の目的を損なわない限り、特に制限されない。
上記分散剤は、上記光散乱粒子をバインダー樹脂中に分散される目的で、配合される。分散剤としては、用いるバインダー樹脂と光散乱粒子とに合わせて種々のものを用いることができ、例えば、多価アルコール、アミン類、シリコン、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを用いることができる。分散剤は、反射層形成後、反射層に残存していても、反射層から除去されていてもよい。
上記光散乱粒子、バインダー樹脂及び添加剤などを分散または溶解する溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、nブタノールなどの低級アルコール(炭素数1〜6のアルコールが好ましい)、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素系炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、キシレンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステル、プロプレングリコールモノメチルエーテルアセテ−トなどのエーテル及びそれらの混合物を挙げることができる。
上記空隙は、一部または全部が中空粒子により形成することが、蒸着基板のX線透過性 の観点から好ましい。
(1)アルミニウム、銀、白金、パラジウム、金、銅、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、ステンレスのうち1種または2種以上の元素を含む材料により形成された遮光層を支持体に設ける。
(2)光吸収層を支持体に設ける。
(3)遮光層、光吸収層またはそれらの少なくとも1つが設けられたフィルムを支持体に積層する。
(4)支持体に光吸収性を付与する。
(5)支持体に光反射性を付与する。
(6)反射層を着色する。
(7)反射層中の光散乱粒子の含有比率、あるいは反射層の膜厚を調整する。
(8)上記(1)〜(7)の方法のうち、少なくとも2種の方法を組み合わせる。
揮発成分量(質量%)=[(M−N)/N]×100
Mは加熱処理前の反射層の全質量で、Nは200℃で3分間の条件で加熱処理後の反射層の全質量である。
本発明に係る蒸着用基板は、必要に応じて、蒸着装置の基板ホルダのサイズに合わせて断裁された後、該基板ホルダに設置され、反射層上にシンチレータ層が蒸着される。蒸着用基板の断裁は特に限定されず、従来公知の裁断方法のいずれも適用できるが、作業性・断裁精度等の面から、押切カッター、化粧裁断機、打ち抜き機、レーザ等を用いて断裁する方法が好ましい。
また、本発明に係る蒸着用基板を上記方法により断裁することで、該蒸着用基板に欠陥部が存在していたとしても、該欠陥部を避けて断裁できるため、上記蒸着用基板の断裁方法を利用した蒸着用基板の製造方法は、生産性に優れる。
本発明に係るシンチレータパネルの製造方法は、本発明の目的を損なわない限り特に制限されないが、真空容器内に蒸発源及び支持体回転機構を有する蒸着装置を用い、蒸着用基板の支持体面が支持体回転機構の設置面に接するように蒸着用基板を該支持体回転機構に設置して、当該支持体を有する蒸着用基板を回転しながら蛍光体材料を蒸着用基板のシンチレータ形成予定面に蒸着する工程を含む蒸着法により、シンチレータパネルを製造する方法であることが好ましい。
図3に示す通り、蒸着装置81は箱状の真空容器82を有しており、真空容器82の内部の底面付近には、蒸着用基板84に垂直な中心線を中心とした円の円周上の互いに向かい合う位置に真空蒸着用の蒸着源88a、88bが配されている。蒸着源8a、8bは蒸着源の被充填部材であり、当該蒸着源88a、88bには電極が接続されている。この場合において、支持体84と蒸発源88a、88bとの間隔は100〜1500mmが好ましく、より好ましくは200〜1000mmである。また、支持体84に垂直な中心線と蒸発源88a、88bとの間隔は100〜1500mmが好ましく、より好ましくは200〜1000mmである。当該電極を通じて蒸着源88a、88bに電流が流れると、蒸着源88a、88bがジュール熱で発熱するようになっている。放射線用シンチレータパネル84の製造時においては、ヨウ化セシウムと賦活剤化合物とを含む混合物が蒸着源88a、88bに充填され、その蒸着源88a、88bに電流が流れることで、上記混合物を加熱・蒸発させることができるようになっている。なお、蒸着源88は、3個以上(8個、16個、24個等)設けることも可能であり、各々の蒸発源は等間隔に配置してもよく、間隔を変えて配置してもよい。また、支持体84に垂直な中心線を中心とした円の半径は任意に定めることができる。
上記のように反射層3を設けた支持体を含む蒸着用基板1をホルダ85に取り付けるとともに、真空容器82の底面付近において、支持体84に垂直な中心線を中心とした円の円周上に蒸発源88a、88bを配置する。次に、ルツボやボート等に、ヨウ化セシウムなどの蛍光体母体化合物とヨウ化タリウムなどの賦活剤とを含む粉末状の混合物などの蛍光体原材料を充填したものを蒸発源の数だけ用意し(この場合は2つ)、蒸着源88a、88bに充填する(準備工程)。反射層上にシンチレータ下地層を形成してからシンチレータ本層を形成する場合は、ヨウ化セシウムなどの蛍光体母体化合物とヨウ化タリウムなどの賦活剤とを蒸発源にそれぞれ別々に充填してもよい。これらの場合、蒸着源88a、88bと蒸着用基板84の反射層表面との間隔を100〜1500mmに設定し、その設定値の範囲内のままで後述の蒸着工程をおこなうのが好ましい。
準備工程の処理を終えたら、真空ポンプ83を作動させて真空容器82の内部を排気し、真空容器82の内部を0.1Pa以下の真空雰囲気下にする(真空雰囲気形成工程)。ここでいう「真空雰囲気下」とは、100Pa以下の圧力雰囲気下のことを意味し、0.1Pa以下の圧力雰囲気下であるのが好適である。その後、アルゴン等の不活性ガスを真空容器82の内部に導入し、当該真空容器82の内部を0.1Pa以下の真空雰囲気下に維持する。次に、ホルダ85のヒータと回転機構のモ−タとを駆動させ、ホルダ85に取付け済みの蒸着用基板84を蒸着源88a、88bに対向させた状態で加熱しながら回転させる(回転速度(rpm)は、装置の大きさにもよるが2〜15rpmが好ましく、4〜10rpmがより好ましい)。
上記柱状蛍光体結晶の形成方法の中では、上記面指数についての要件を満たすために、基板の表面に、空隙率が蛍光体層よりも低い値を示すシンチレータ下地層を形成する工程、及びシンチレータ下地層の表面に蛍光体を気相堆積法により形成してシンチレータ本層を形成する工程を含む態様の製造方法であることが好ましい。
上記のような蒸着条件で、反射層にシンチレータ層を形成すると、反射層界面に成長した柱状蛍光体結晶で形成されるシンチレータ層が得られることから好ましい。
得られたシンチレータパネルは、下記熱処理工程、加圧処理工程などに供することが後述の観点より好ましい。
蒸着用基板の反射層上に形成されたシンチレータ層を、ナトリウム化合物、タリウム化合物、ユーロピウム化合物、インジウム化合物のうちのいずれか1つ以上の賦活剤と共に1.0Pa以下に減圧された密閉空間に配置し、賦活化合物を昇華温度以上に加熱気化し、追加賦活を行うことがシンチレータ層の発光特性を調整できる観点から好ましい。この場合、蒸着用基板上に形成されたCsIなどの蛍光体は250℃の温度に加温しておく。この追加賦活を1時間実施後、追加賦活されたシンチレータ層の形成された蒸着用基板を50℃以下まで冷却し、シンチレータパネルを蒸着装置内の密閉空間から取り出すことで、シンチレータ層が追加賦活されたシンチレータパネルが得られる。 あるいは賦活剤化合物を用いない以外は同様の手順で1時間の熱処理のみ実施することで、蒸着時に添加された賦活剤が活性化され、発光強度の高いシンチレータパネルを得ることができる。
本発明に係る蒸着用基板の反射層上に蒸着によりシンチレータ層を形成すれば、通常は、反射層界面からの高さが揃った柱状蛍光体結晶の集合体が得られるが、一部で蛍光体の結晶の異常成長などが生じ、柱状蛍光体結晶の高さの均一性が損なわれたシンチレータ層が得られることもある(但し、本発明の目的を損なうほどのものではない)。柱状蛍光体結晶の異常成長の原因としては、ゴミ、蒸着時のスプラッシュ、傷や異物付着などの基板欠陥などが挙げられる。蒸着時のスプラッシュとは、「気化する前のCsI固形物が飛び出し蒸着用基板に付着すること」である(特開2006−335887号公報などを参照)。
また、「高さが均一」とは、シンチレータ層を形成する各柱状結晶の反射層界面からの高さの差が20μm以内のこと)をいう。
上記加圧処理は、具体的には、シンチレータパネルのシンチレータ層の表面を、ローラーや平滑なガラス面などで加圧し、異常突起を潰すなどして柱状蛍光体結晶の高さを揃える方法や、大気圧を利用する方法などがあるが、均一な加圧であれば、特に方法は限定されない(圧力は、本処理も目的が達成されるように、適宜調整すればよい)。
本発明に係るシンチレータパネルは、必要に応じて、例えば、光電素子面の面積より大である面積を有するシンチレータパネルから、用いる受光素子面に応じた面積に対応したシンチレータパネルを製造する場合などに、断裁を行う。この場合、シンチレータ層を蒸着用基板の反射層上に形成した後に断裁するため、放射線検出装置の受光素子サイズに合わせて各種大きさの蒸着用基板を複数用意し、該蒸着用基板を別途各々蛍光体の蒸着を行うなどの操作は不要である。即ち、蒸着装置で作製可能な任意のサイズ(最大サイズが後述のメリットの点で好ましい)で蒸着を実施し、必要に応じて、所望されるサイズに断裁すればよく、生産効率、出荷納期、ロット間やロット内の品質の均一性などにおけるメリットがある。
本発明に関わるシンチレータパネルを断裁する断裁工程に用いられる方法の典型的例について示す(押切カッターを用いる方法は、後述の実施例に示したので、ここでは省略する)。
レーザー断裁装置33は、箱型に形成されたパージ室333を備えている。パージ室333は、外部の空間中に浮遊する塵等が内部に侵入しないように、内部がほぼ密閉された空間となっている。なお、パージ室333内は、低湿環境であることが好ましい。また、パージ室333の上面には、レーザー光を透過させる透光窓335が設けられている。また塵等の浮遊物をパージ室333の外に導く排出管334が設けられている。
シンチレータパネルに保護層を設ける場合、保護層は、前記保護層を形成する材料を含む保護層形成用の塗布液を前記シンチレータ層の表面に直接塗布して形成してもよく、また、予め別途形成した保護層を前記蛍光体層に積層、あるいは接着剤により接着してもよい。また、保護層を形成する材料をシンチレータパネルに蒸着して保護層を形成してもよい。
CVD蒸着装置50は、ポリパラキシレンの原料であるジパラキシリレンを挿入し気化させる気化室551、気化したジパラキシリレンを加熱昇温してラジカル化する熱分解室552、ラジカル化された状態のジパラキシリレンをシンチレータが形成されたシンチレータパネル10に蒸着させる蒸着室553、防臭、冷却を行う冷却室554及び真空ポンプを有する排気系555を備える。ここで、蒸着室553は、図5に示すように熱分解室552においてラジカル化されたポリパラキシレンを導入する導入口553a及び余分なポリパラキシレンを排出する排出口553bを有すると共に、ポリパラキシレン膜の蒸着を行う試料を支持するターンテーブル(蒸着台)553cを有する。
ホットメルト樹脂を材料とした保護層の作成方法としては、以下に示す方法が挙げられる。
本発明に係る蒸着用基板は、反射層が特定のTgを有するバインダー樹脂を含み、特定の膜厚を有し、断裁性に優れ、また、感度および鮮鋭性に優れた放射線画像を提供できると共に断裁性に優れるシンチレータパネルが提供できる。従って、(放射線用)シンチレータパネルなどにおける蒸着用基板の用途に好適である。
5−1−1.シンチレータパネルと受光素子とのカップリング
本発明に係るシンチレータパネルは、2次元状に複数の受光画素が配置され、該シンチレータパネルで生じた光を光電変換する受光素子とカップリングして用いることができる。
以下に、本発明に係るシンチレータパネルの一適用例として、図4及び図5を参照しながら、放射線用シンチレータプレート10を具備した放射線画像検出器100の構成について説明する。
なお、図4は放射線画像検出器100の概略構成を示す一部破断斜視図である。また、図5は撮像パネル51の拡大断面図である。
受光素子20bは、透明電極21と、透明電極21を透過して入光した電磁波により励起されて電荷を発生する電荷発生層22と、透明電極21に対しての対極になる対電極23とから構成されており、それらは隔膜20a側から透明電極21、電荷発生層22、対電極23の順で配置される。
電荷発生層22は、透明電極21の隔膜20aと接触している面とは反対側の表面上に薄膜状に形成されている。電荷発生層22は、光電変換可能な化合物として光によって電荷分離する有機化合物を含有する。電荷を分離する有機化合物は、電荷を発生し得る電子供与体及び電子受容体としての導電性化合物である。電荷発生層22に放射線のような電磁波が入射されると、電子供与体が励起して電子を放出し、放出した電子が電子受容体に移動して、電荷発生層22内に電荷、すなわち、正孔と電子のキャリアが発生する。
次に、放射線画像検出器100の放射線画像を検出する機構について説明する。
放射線画像検出器100に入射された放射線は、放射線画像検出器100内の放射線用シンチレータパネル10のシンチレータ層2に放射線エネルギーとして吸収され、シンチレータ層2内で放射線が可視光に変換されて、シンチレータ層2から放射線の強度に応じた可視光(電磁波)が発光される。発光された可視光(電磁波)のうちの一部が、出力基板20に入光され、出力基板20の隔膜20a、透明電極21を透過し、電荷発生層22に到達する。そして、電荷発生層22において、可視光(電磁波)は吸収され、吸収された可視光(電磁波)の強度に応じて、正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。
5−3−1.蒸着用基板の断裁性の評価方法
蒸着用基板の断裁性の評価方法は、後述の実施例に記載した評価方法に準ずる。
シンチレータパネルの断裁性の評価方法は、後述の実施例に記載した評価方法に準ずる。
まず、シンチレータパネルを、押し切りカッターを用いて断裁し、シンチレータ層が反射層より剥離した長さを光学顕微鏡を用いて測定し、シンチレータパネルの断裁性を下記基準に従って評価する。なお、シンチレータ層が剥離した長さが100μm以下であれば、製品性能上問題無いと判断する。
シンチレータパネルの感度(輝度)の評価方法は、後述の実施例に記載した評価方法に準ずる。
管電圧を80Kvpに設定したX線照射装置を用いて、X線を放射線画像検出器を具備したFPDの受光面に照射し、得られたX線画像データから、該X線画像全面の平均シグナル値を求めてシンチレータパネルの感度とする。このとき、後述のシンチレータパネル1を搭載した放射線画像検出器の平均シグナル値を100とする。
管電圧を80Kvpに設定したX線照射装置を用いて、X線を、鉛製のMTFチャートを通して上記シンチレータパネルの裏面(シンチレータ層が形成されていない面)から照射し、CMOSフラットパネルで検出された画像データをハードディスクに記録した。その後、ハードディスク上の画像データの記録をコンピュータで分析して、当該ハードディスクに記録されたX線画像の変調伝達関数MTF(空間周波数1サイクル/mmにおけるMTF値)を鮮鋭性の指標とした。MTFはModulation Transfer Functionの略号であり、MTF値が高いほど得られたX線画像の鮮鋭性が優れていることを示す。
なお、以下において、「平均粒子径」は「面積平均粒子径」である。
1.蒸着用基板の作製
[実施例1:蒸着用基板1]
光散乱粒子としてルチル型二酸化チタン(石原産業製CR93、平均粒子径0.28μm)、バインダー樹脂としてポリエステル樹脂(東洋紡社製バイロン550、Tg:−15℃)を合わせて40質量部、溶剤としてシクロヘキサノン30質量部およびメチルエチルケトン(MEK)30質量部とを混合し、サンドミルで分散処理して第1の樹脂層用塗料(反射層形成用塗料1)を作製した。なお、光散乱粒子とバインダー樹脂は、固形分比率(体積%)が20/80になるようにした。この第1の樹脂層用塗料を、コンマコーターで500mm幅のポリイミドフィルム支持体(宇部興産社製ユーピレックスS、125μm厚)上に塗工後、第1の樹脂層用塗料を180℃で3分間乾燥して、樹脂層を支持体上に形成して、表5に示した支持体、反射層からなる蒸着用基板1を作製した。
実施例1において、バインダーの種類を表5のように変えた以外は実施例1と同様にして、表5に示した厚さの蒸着用基板2〜5を作製した。
実施例2において、反射層の厚さを表5のように変えた以外は実施例2と同様にして、表5に示した厚さの蒸着用基板6〜9を作製した。
実施例2において、光散乱粒子の種類を中空粒子(JSR社製SX866、平均粒子径0.3μm)に変えた以外は実施例2と同様にして、表5に示した厚さの蒸着用基板10を作製した。
実施例2において、光散乱粒子/バインダー樹脂の比率を、表5のように変えた以外は実施例2と同様にして、表5に示した厚さの蒸着用基板11を作製した。
実施例2において、光散乱粒子/バインダー樹脂の比率を表5のように変えた以外は実施例2と同様にして、表5に示した厚さの蒸着用基板12を作製した。
実施例2において、塗工後の乾燥時間を2分間に短縮した以外は実施例6と同様にして、表5に示した厚さの蒸着用基板13を作製した。
実施例2において、反射層用塗料を、スピンコーターで、500mm角のアルミ支持体上に塗工後、180℃で5分間乾燥した以外は実施例2と同様にして、表5に示した厚さの蒸着用基板14を作製した。
実施例10において、支持体の材料を表5のように変えた以外は実施例10と同様にして、表5に示した厚さの蒸着用基板15、16を作製した。
実施例1において、反射層の樹脂を表5のように変えた以外は実施例1と同様にして、表5に示した厚さの蒸着用基板17、18を作製した。
なお、上記蒸着用基板1〜4、7、8、10、11、13〜18は実施例用であり、上記蒸着用基板5、6、9、12は比較例用である。
蒸着用基板1〜13、17〜18については押し切りカッターを用いて、蒸着用基板14〜16についてはブレードダイシングを用いて断裁した。反射層が支持体より剥離した長さを光学顕微鏡を用いて測定し、蒸着用基板の断裁性を下記基準に従って評価した。なお、反射層が剥離した長さが100μm以下であれば、製品性能上問題無いと判断した。
[実施例15〜28:順にシンチレータパネル1〜4、7、8、10、11、13〜18、比較例5〜8:順にシンチレータパネル5、6、9、12]
(シンチレータ層の形成)
押し切りカッター、もしくはブレードダイシングを用いて400mm角に断裁した上記蒸着用基板1〜18について、図3に示す蒸着装置の基板ホルダ5にセットし、下記の通り蛍光体を反射層試料のシンチレータ形成予定面に蒸着することで、反射層試料にシンチレータ(蛍光体)層が形成されたシンチレータパネル1〜18を作製した(シンチレータパネル1〜4、7、8、10、11、13〜18は実施例用であり、シンチレータパネル5、6、9、12は比較例用である)。
次いで、断裁されたシンチレータパネルをCVD装置の蒸着室に入れ、ポリパラキシリレンの原料が昇華して発生した蒸気中に露出させておくことにより、蛍光体層表面が10μmの厚さのポリパラキシリレン樹脂膜で被服されたシンチレータパネル1〜18を得た。
シンチレータパネルのシンチレータ層の表面に平滑なガラス面を密着させた状態で、真空下で、ガラスが密着したシンチレータパネルの上下に樹脂フィルムを配置して該樹脂フィルムの周縁部を融着して封止し、ガラスが密着したシンチレータパネルを樹脂フィルム内で密封した後に、そのままの状態でシンチレータパネルを100℃の環境で1時間の熱処理を行った。
得られた各試料をCMOSフラットパネル(ラドアイコン社製X線CMOSカメラシステムShad−o−Box4KEV)にセットし、得られた12bitの出力データより、シンチレータフラットパネルを介して得られたX線画像の鮮鋭性を以下に示す方法で測定し、該鮮鋭性を以下に示す方法により評価した。
管電圧を80Kvpに設定したX線照射装置を用いて、X線を放射線画像検出器を具備したFPDの受光面に照射し、得られたX線画像データから、該X線画像全面の平均シグナル値を求めてシンチレータパネルの感度とした。このときシンチレータパネル1を搭載した放射線画像検出器の平均シグナル値を100とした。
管電圧を80Kvpに設定したX線照射装置を用いて、X線を、鉛製のMTFチャートを通して上記シンチレータパネルの裏面(シンチレータ層が形成されていない面)から照射し、CMOSフラットパネルで検出された画像データをハードディスクに記録した。その後、ハードディスク上の画像データの記録をコンピュータで分析して、当該ハードディスクに記録されたX線画像の変調伝達関数MTF(空間周波数1サイクル/mmにおけるMTF値)を鮮鋭性の指標とした。MTFはModulation Transfer Functionの略号であり、MTF値が高いほど得られたX線画像の鮮鋭性が優れていることを示す。
シンチレータパネル1〜18を、押し切りカッター、もしくはブレードダイシングを用いて断裁し、シンチレータ層が反射層より剥離した長さを光学顕微鏡を用いて測定し、蒸着用基板の断裁性を下記基準に従って評価した。なお、反射層が剥離した長さが100μm以下であれば、製品性能上問題無いと判断した。
1:支持体
2:シンチレータ層
2a:柱状蛍光体結晶
3:反射層
61:中心線
62:光散乱粒子
63:バインダー樹脂
81:蒸着装置
82:真空容器
83:真空ポンプ
84:蒸着用基板
85:ホルダ
86:回転機構
87:回転軸
88(88a、88b):蒸着源
89:シャッタ
29:供給工程
39:塗布工程
49:乾燥工程
59:熱処理工程
69:回収工程
89:乾燥工程
109:製造装置
201:支持体
202:巻き芯に巻かれたロール状の支持体
301:バックアップロール
302:塗布ヘッド
303:減圧室
304:塗布装置
401:乾燥装置
402:導入口
403:排出口
801:乾燥装置
802:導入口
803:排出口
501:熱処理用加熱装置
502:熱処理用気体の導入口
503:排出口
601:巻き芯に巻き取られ回収されたロール状の支持体
a:搬送ロール
b:搬送ロール
c:搬送ロール
d:搬送ロール
32:ダイシング装置
221:溝
321:ブレード
321a:回転軸
322:ダイシング台
323:ノズル
324:支持部材
33:レーザー断裁装置
331:レーザー発生装置
332:支持台
333:パージ室
334:排出管
335:透光窓
50:蒸着装置
551:気化室
552:熱分解室
553:蒸着室
553a:導入口
553b:排出口
553c:タ−ンテ−ブル(蒸着台)
554:冷却室
555:排気系
512:保護層(ポリパラキシレン膜)の蒸着
100:放射線画像検出器
51:撮像パネル
52:制御部
53:メモリ部
54:電源部
55:筐体
56:コネクタ
57:操作部
58:表示部
20:出力基板
20a:隔膜
20b:受光素子
20c:画像信号出力層
20d:基板
21:透明電極
22:電荷発生層
23:対電極
24:コンデンサ
25:トランジスタ
Claims (23)
- 支持体と、該支持体上に設けられた反射層とを有する蒸着用基板であって、
該反射層が、光散乱粒子と、ガラス転移温度が−100〜60℃のバインダー樹脂を含み、かつ該反射層の膜厚が5〜300μmであることを特徴とする蒸着用基板。 - 前記光散乱粒子が、アルミナ、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、シリカ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、ガラスおよび樹脂から選ばれる少なくとも一種からなることを特徴とする請求項1に記載の蒸着用基板。
- 前記光散乱粒子が、粒子内に中空部が存在する中空粒子、粒子内に中空部が多数存在する多中空粒子、および多孔質粒子から選ばれる少なくとも一種からなることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸着用基板。
- 前記光散乱粒子が、少なくとも二酸化チタンを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の蒸着用基板。
- 前記反射層に含まれる揮発物の含有量が、0.5mg/m2以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の蒸着用基板。
- 前記反射層が、樹脂を主成分とする支持体上に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の蒸着用基板。
- 前記樹脂がポリイミドであることを特徴とする請求項6に記載の蒸着用基板。
- 該反射層の蒸着面とは反対側の面に、光吸収層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の蒸着用基板。
- 支持体に、バインダー樹脂を有する反射層を設ける蒸着用基板の製造方法であって、
該反射層が形成された後、断裁されることを特徴とする蒸着用基板の製造方法。 - 支持体と、該支持体上に設けられた反射層と、該反射層上に蒸着により設けられたシンチレータ層とを有するシンチレータパネルであって、
該反射層が、光散乱粒子と、ガラス転移温度が−100℃〜60℃のバインダー樹脂を含み、かつ該反射層の膜厚が5〜300μmであることを特徴とするシンチレータパネル。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の蒸着用基板の反射層の、支持体とは反対側の面に、蒸着により形成されたシンチレータ層を有することを特徴とするシンチレータパネル。
- 前記光散乱粒子が、アルミナ、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、シリカ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、ガラスおよび樹脂から選ばれる少なくとも一種からなることを特徴とする請求項10または11に記載のシンチレータパネル。
- 前記光散乱粒子が、粒子内に中空部が存在する中空粒子、粒子内に中空部が多数存在する多中空粒子、および多孔質粒子から選ばれる少なくとも一種からなることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
- 前記光散乱粒子が、少なくとも二酸化チタンを含むことを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
- 前記反射層が、樹脂を主成分とする支持体上に形成されていることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
- 前記樹脂が、ポリイミドであることを特徴とする請求項15に記載のシンチレータパネル。
- 前記反射層に形成されたシンチレータ層とは反対側の面に、光吸収層を有することを特徴とする請求項10〜16のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
- 前記シンチレータ層が、ヨウ化セシウムと、少なくともタリウムを含む1種以上の添加剤とを原材料として蒸着により形成された柱状結晶構造を有することを特徴とする請求項10〜17のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
- 前記シンチレータ層の表面が、保護膜により覆われていることを特徴とする請求項10〜18のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
- 前記保護膜が、ポリパラキシリレン膜であることを特徴とする請求項19に記載のシンチレータパネル。
- 前記シンチレータ層が、該シンチレータ層と反射層との界面から成長した柱状結晶で形成されていることを特徴とする請求項10〜20のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の蒸着用基板よりも剛性の高いサポート板に保持されていることを特徴とする請求項10〜21のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
- 支持体に、バインダー樹脂を有する反射層を設け、該反射層に蒸着によりシンチレータ層を設けるシンチレータパネルの製造方法であって、
該シンチレータパネルの表面に、該バインダー樹脂のガラス転移温度以上の温度環境において1,000〜10,000,000Paの圧力をかけて、柱状結晶の高さを均一にすることを特徴とするシンチレータパネルの製造方法。
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