JP2014166702A - 繊維強化樹脂成形品及びその成形方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】繊維強化樹脂成形品1は、繊維により樹脂を強化させて形成され、布状の繊維層20と、繊維層20の一方の面及び/又は他方の面に積層され、熱可塑性材料からなる薄膜状の樹脂層10と、を備え、繊維層20及び樹脂層10がそれぞれ乾燥された状態で積層されてプレス成形される。樹脂層10は、薄膜状のポリカーボネートにより構成され、繊維層20は、炭素繊維の織布により構成される。
【選択図】図2
Description
ここで、複数の樹脂層及び繊維層が積層されて形成されたプリプレグを乾燥させるためには、高温、高圧の状態を長時間保つ必要がある。そのため、従来の手法では、成形品の製造コストが高くなってしまう。
また、例えば、樹脂層を平板により形成する場合は、樹脂層が薄膜状の樹脂フィルムと比べて厚くなる。このため、板状の樹脂層には、気泡がより入りやすくなる。また、板状の樹脂層は、薄膜状の樹脂フィルムよりも高圧でプレスされるため、気泡が細かくなりやすい。このような平板状の樹脂層を再度加熱や加圧すると、細かく多量の気泡により繊維強化樹脂成形品の強度が好ましく得られない場合がある。更に、平板状の樹脂層に繊維層を積層した積層体を再度加熱及び加圧する場合は、板状の樹脂層に繊維層が含浸されている。このため、気泡を移動させて除去しようとしても、気泡が繊維に阻まれて移動させることが困難である。これに対し、樹脂層10を薄膜状のフィルムで構成し、繊維層20及び樹脂層10をそれぞれ乾燥させた状態で一度に加熱及び加圧を行うと、加熱の際に樹脂層10から気泡を移動させて、気泡を除去しながら繊維強化樹脂成形品1を成形することができる。
更に、ポリカーボネートにより樹脂層を構成することで、耐候性が高く、光沢のある繊維強化樹脂成形品1を提供することができる。
樹脂層10は、熱可塑性材料、例えばポリカーボネートの薄膜により構成される。樹脂層10は、繊維層20の一方の面及び他方の面に積層される。
即ち、繊維強化樹脂成形品1は、樹脂層10及び繊維層20が交互に重なるように積層された積層体30により構成される。より具体的には、本実施形態では、繊維強化樹脂成形品1は、上から樹脂層10、繊維層20、樹脂層10、繊維層20、樹脂層10の順に5つの層が積層されて構成される。そして、外側の樹脂層10は外側樹脂層12を構成し、繊維層20の間に挟まれる中央側の樹脂層10は、中央層11を構成する。例えば、中央層11の厚さは、外側樹脂層12の厚さと異ならせることができる。
繊維強化樹脂成形品1における中央層11の厚さは、樹脂層10と繊維層20との密着性を良好にする観点から、0.2mm〜0・3mmであることが好ましい。また、外側層12の厚さは、0.1mm〜0.3mmであることが好ましい。
この樹脂層供給工程S2において、中央層11を構成する樹脂フィルム10は、外側樹脂層12を構成する樹脂フィルム10よりも厚さの厚いものが用いられる。
繊維層乾燥工程S3における乾燥条件は、繊維ウェブ20を必要十分に乾燥させる観点から、例えば60℃〜80℃、0.5分〜2分の条件で行われる。
樹脂層乾燥工程S4における乾燥条件は、樹脂フィルム10を必要十分に乾燥させる観点から、例えば60℃〜80℃、0.5分〜2分の条件で行われる。
ここで、金型6は、図2に示すように、下面に型面が形成される上金型61と、上面に型面が形成される下金型62と、を備える。上金型61は、下方に向かって凸となる凸状部63を有している。
上金型61には、図3に示すように、複数の凸状部63が所定間隔をあけて複数形成されている。本実施形態では、凸状部63一つにより、一つの繊維強化樹脂成形品1が成形される。
金型6は、上金型61及び下金型62がそれぞれ複数の凸状部63及び凹状部64を備えているため、一つの金型6から複数の繊維強化樹脂成形品1が得られるように構成されている。
ここで、積層体30がプレス成形されるときには、樹脂層10と繊維層20との間隙に含まれる空気や、積層体30の表面に残存するわずかな水分等に起因して、気泡が発生する。本実施形態では、プレス成形時に発生する気泡は、上方に移動して凸状部63の外側に集められる。即ち、上金型61における凸状部63の外側部分は、気泡を収集する気泡収集部として機能する。
また、例えば、樹脂層を平板により形成する場合は、樹脂層が薄膜状の樹脂フィルムと比べて厚くなる。このため、板状の樹脂層には、気泡がより入りやすくなる。また、板状の樹脂層は、薄膜状の樹脂フィルムよりも高圧でプレスされるため、気泡が細かくなりやすい。このような平板状の樹脂層を再度加熱や加圧すると、細かく多量の気泡により繊維強化樹脂成形品の強度が好ましく得られない場合がある。更に、平板状の樹脂層に繊維層を積層した積層体を再度加熱及び加圧する場合は、板状の樹脂層に繊維層が含浸されている。このため、気泡を移動させて除去しようとしても、気泡が繊維に阻まれて移動させることが困難である。これに対し、樹脂層10を薄膜状のフィルムで構成し、繊維層20及び樹脂層10をそれぞれ乾燥させた状態で一度に加熱及び加圧を行うと、加熱の際に樹脂層10から気泡を移動させて、気泡を除去しながら繊維強化樹脂成形品1を成形することができる。
更に、ポリカーボネートにより樹脂層を構成することで、耐候性が高く、光沢のある繊維強化樹脂成形品1を提供することができる。
第2実施形態では、金型6Aに気泡収集部としての凹溝65が形成される。より具体的には、凹溝65は、上金型61Aにおける凸状部63Aの周囲において、型面が上方に向かって凹んで形成される。また、凹溝65は、凸状部63Aにおける中央部にも形成される。
より詳細には、第2実施形態においては、成形工程S6において、積層体30Aを上金型61A及び下金型62Aにより加熱及び加圧すると、凸状部63A及び凹状部64Aにより、立体形状部分が形成されると共に、凹溝65に流れこんだ樹脂層10によってリブ31が形成される。また、成形工程S6において積層体30Aから発生する気泡は、凸状部63Aの周囲に設けられた凹溝65及び凸状部63Aに設けられた凹溝65に集められる。
例えば、積層体30の外側層に、加飾層を設け、繊維強化樹脂成形品に模様等を付して、装飾性を高めてもよい。
また、上記の実施形態では、積層体30は、樹脂層10及び繊維層20の5層の構造となっているが、これに限られず、積層の構成は何層でもよい。また、中央層は、積層体30の外側に配置される樹脂層10と厚さが同じであってもよい。
6 金型(成形型)
10 樹脂層
11 中央層
20 繊維層
30 積層体
61 上金型
62 下金型
63 凸状部
64 凹状部
65 凹溝(気泡収集部)
S1 繊維層供給工程
S2 樹脂層供給工程
S3 繊維層乾燥工程
S4 樹脂層乾燥工程
S5 積層工程
S6 成形工程
S7 切出し工程
Claims (9)
- 繊維により樹脂を強化させて形成された繊維強化樹脂成形品(1)であって、
布状の繊維層(20)と、
該繊維層(20)の一方の面及び/又は他方の面に積層され、熱可塑性材料からなる薄膜状の樹脂層(10)と、を備え、
前記繊維層(20)及び前記樹脂層(10)がそれぞれ乾燥された状態で積層されてプレス成形される繊維強化樹脂成形品(1)。 - 前記樹脂層(10)は、薄膜状のポリカーボネートにより構成され、
前記繊維層(20)は、炭素繊維の織布により構成される請求項1に記載の繊維強化樹脂成形品(1)。 - 前記樹脂層(10)からなる中央層(11)と、該中央層(11)の一方の面及び他方の面に積層される複数の前記繊維層(20)と、を含む請求項1又は2に記載の繊維強化樹脂成形品(1)。
- 前記繊維層(20)の外側に配置される外側樹脂層(12)を更に備え、
前記中央層(11)の厚さは、前記外側樹脂層(12)の厚さよりも厚い請求項3に記載の繊維強化樹脂成形品(1)。 - 金型(6)により成形される請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形品(1)。
- 前記金型(6)は、下面に型面が形成される上金型(61)と、上面に型面が形成される下金型(62)と、を備え、
前記上金型(61)の型面は、下方に向かって凸となる凸状部(63)を有し、
前記下金型(62)の型面は、下方に向かって凹となる凹状部(64)を有する請求項5に記載の繊維強化樹脂成形品(1)。 - 前記上金型(61)は、前記凸状部(63)に形成され、上方に向かって凹む凹溝(65)を更に備える請求項6に記載の繊維強化樹脂成形品(1)。
- 布状の繊維層(20)を供給する繊維層供給工程(S1)と、
熱可塑性材料からなる薄膜状の樹脂層(10)を供給する樹脂層供給工程(S2)と、
前記繊維層(20)を乾燥させる繊維層乾燥工程(S3)と、
前記樹脂層(10)を乾燥させる樹脂層乾燥工程(S4)と、
乾燥された前記繊維層(20)及び前記樹脂層(10)を積層する積層工程(S5)と、
前記積層工程(S5)により積層された前記繊維層(20)及び前記樹脂層(10)の積層体(30)を加熱された成形型(6)に配置し、加圧して成形する成形工程(S6)と、
前記成形工程(S6)により成形された前記積層体(30)を所定の大きさに切り出す切出し工程(S7)と、を備える繊維強化樹脂成形品(1)の成形方法。 - 前記成形型(6)は、前記成形工程(S6)において前記積層体(30)から発生する気泡を収集する気泡収集部を備え、
前記切出し工程(S7)において、成形された前記積層体(30)における前記気泡収集部において成形された部位を切除する請求項8に記載の繊維強化樹脂成形品(1)の成形方法。
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