JP2014164999A - 発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光素子の光取り出し効率を向上する。
【解決手段】発光素子は、透光性基板110と、発光層を含む有機機能層140と、金属層120と、を備える。有機機能層140は、透光性基板110を基準として光取り出し側(図4における上側)とは反対側に配置されている。金属層120は、有機機能層140を基準として光取り出し側(図4における上側)に配置されている。金属層120は、島状の複数の金属塊を含む。金属層120のフラクタル次元が2.10以上2.45以下である。
【選択図】図4

Description

本発明は、発光素子に関する。
発光素子の1つに有機発光層を有する発光素子がある。この発光素子においては、有機発光層で発生した光のうち外部に放射される光の割合(光取り出し効率)を向上することが望まれている。
発光素子の光取り出し効率向上に関して、各種の先行技術がある。
特許文献1には、発光層を挟む一対の電極層と、一方の電極層と発光層との間に設けられた光散乱層とを備え、光散乱層には金属微粒子が分散された構造のEL(Electro Luminescence)素子が記載されている。金属微粒子は、粒子径が1nmから300nmである。同文献には、金属微粒子によりプラズモンを誘起して光取り出し効率を向上できる旨の記載がある。
特許文献2には、一対の電極間に発光領域を備え、発光領域からの発光光によるプラズモン共鳴を表面に生じさせる金属薄膜が発光領域の近傍に配置されたEL素子が記載されている。金属薄膜は、粒径5nm以上の金属微粒子が膜状に分散されてなるアイランド構造膜である。
特許文献3には、陽極と、発光機能を有する第1の有機層と、中間電極と、発光機能を有する第2の有機層と、陰極と、が積層され、中間電極は金属膜を含み、金属膜は、粒子が柱状に成長する金属を含む不連続膜である有機EL素子が記載されている。
非特許文献1に記載されているように、金属微粒子による大気中の光電界増強はFDTD(Finite Difference Time Domain method)シミュレーションにより一般に知られている。図1はこの光電界増強作用を示す図であり、電場増強率の入射光波長依存性についてのシミュレーション結果を示している。図1において、横軸は金属微粒子(Agの微粒子)に照射される光の波長(単位:nm)、縦軸は電場の増強率(任意単位)である。なお、図1は、非特許文献1に記載された図に若干の修正を加えたものである。図1に示すように、金属微粒子の径に対応する波長の光について、電場増強率がピークを呈する。特許文献1〜3の技術は、この光電界増強の作用をプラズモン共鳴として利用する技術であると考えられる。
一方、非特許文献2に記載されているように、微小な金属塊(金属粒子)に光が入射すると、その金属塊の周囲には伝搬光と物質場(プラズモン、エキシトン、フォノンなどの素励起)の相互作用により強い局在電場すなわち近接場光が誘起される。そして、適度な大きさと間隔のパターンで金属塊が配置されている場合には入射光に比較して増強された伝搬光が発生する。
図2はこの光増強メカニズムである近接場光相互作用を示す概念図であり、非特許文献3に記載された図に若干の修正を加えたものである。金属粒子が単体で存在する場合、その金属粒子に対する入射光により金属粒子の周囲に発生する近接場光は、金属粒子の遠方には放射されずに金属粒子の周囲に留まる。これに対し、図2に示すように、複数の金属粒子1が互いに近接して配置されている場合、近接場光2は、これら金属粒子1の相互作用により増強されて、伝搬光3となって放射される。
図3はフラクタル次元の推定法の概念図であり、非特許文献4に記載された図に若干の修正を加えたものである。
特開2007−165284号公報 特開2010−238406号公報 特開2012−169266号公報
原口、他19名、「プラズモン基礎理解の徹底と応用展開」、情報機構、2011年4月25日、p.133 大津、小林、「近接場光の基礎」、オーム社 、2003年、p.19 大津、「ナノ・フォトニクス」、米田出版 、1999年、p.163 中川、「カオス・フラクタル 感性情報工学」、日刊工業新聞社 、2010年、p.67
本発明者の検討によれば、上記特許文献1〜3の構造では、白色光に対しては非共鳴損失が大きく発生するため、必ずしも発光素子の光取り出し効率を十分に向上することができない。
本発明が解決しようとする課題としては、より効果的に発光素子の白色光について光取り出し効率を向上することが一例として挙げられる。
請求項1に記載の発明は、透光性基板と、
発光層を含み、前記透光性基板を基準として光取り出し側とは反対側に配置された有機機能層と、
前記有機機能層を基準として前記光取り出し側に配置された金属層と、
を備え、
前記金属層は、島状の複数の金属塊を含み、
前記金属層のフラクタル次元が2.10以上2.45以下である発光素子である。
金属微粒子による大気中の光電界増強作用を示す図である。 近接場光相互作用を示す概念図である。 フラクタル次元の推定法を示す概念図である。 実施形態に係る発光素子の断面図である。 実施例1に係る発光素子の断面図である。 実施例1に係る発光素子の金属層の表面の起伏の状態を示す図である。 実施例1に係る発光素子と比較例に係る発光素子との発光強度の対比を示す図である。 金属層のフラクタル次元の値と発光の増強度との関係を示す図である。 有機機能層の層構造の第1例を示す断面図である。 有機機能層の層構造の第2例を示す断面図である。 図11(a)は実施例2に係る発光素子の平面図であり、図11(b)は図11(a)のB−B線に沿った断面図である。 実施例3に係る発光素子の断面図である。
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図4は実施形態に係る発光素子の断面図である。この発光素子は、有機EL(Electro Luminescence)素子を含んで構成される。この発光素子は、例えばディスプレイ、照明装置、又は光通信装置の光源として用いることができる。
本願発明者は、フラクタル次元の値が適度な値のフラクタル構造の金属層120を発光層から見て光取り出し側に配置することにより、近接場光増強作用によって発光素子の光取り出し効率を向上できることを見出した。
本実施形態に係る発光素子は、透光性基板110と、発光層を含む有機機能層140と、金属層120と、を備える。有機機能層140は、透光性基板110を基準として光取り出し側(図4における上側)とは反対側に配置されている。金属層120は、有機機能層140を基準として光取り出し側(図4における上側)に配置されている。金属層120は、島状の複数の金属塊を含む。金属層120のフラクタル次元は2.10以上2.45以下である。
以下においては、説明を簡単にするため、発光素子の各構成要素の位置関係(上下関係等)が各図に示す関係であるものとして説明を行う。ただし、この説明における位置関係は、発光素子の使用時の位置関係とは無関係である。
透光性基板110は、ガラスや樹脂などの透光性を有する材料からなる板状部材である。なお、透光性基板110は、透光性のフィルムであっても良い。例えば、透光性基板110の上面、すなわち透光性基板110における有機機能層140側とは反対側の面は、光取り出し面となっている。本実施形態の場合、透光性基板110の光取り出し面に金属層120が形成されている。すなわち、金属塊121は、透光性基板110における光取り出し側の面に設けられている。
この透光性基板110の上面において、金属層120から露出している部位と、金属層120とが、光放出空間を充たす空気(屈折率1)と接している。なお、透光性基板110の上面及び金属層120を覆う光取り出しフィルムが設けられ、この光取り出しフィルムの上面が光取り出し面を構成していても良い。
金属層120は、Ag、Au、Pt、Rh、Os等の、可視光領域で大きな近接場光相互作用を示す金属材料により構成されている。この金属層120は、島状の複数の金属塊121を含んでいる。金属塊121は、透光性基板110上に島状に堆積した金属薄膜(島状の結晶粒)からなる。
金属層120は、例えば、フラクタル構造をなしており、そのフラクタル次元の値は2.10以上2.45以下である。或いは、金属層120は、フラクタル構造であるとは言えないとしても、そのフラクタル次元の値が2.10以上2.45以下である。
金属層120の複数の島状の金属塊121の平均径は10nm以上200nm以下である。また、隣り合う金属塊121どうしの平均間隔(隣り合う金属塊121どうしの隙間の長さの平均)は10nm以上200nm以下である。
金属塊121の配置密度(金属塊121の平均径と平均間隔)をこのように設定することにより、可視光領域の光電界と金属塊121の素励起(プラズモン、エキシトン、フォノンなど)とのコヒーレントな結合の局在電界が期待できるとともに、発光素子の内部から発光素子外部への光の透過性(金属塊121どうしの間隔を介した光の透過性)と、後述する近接場光増強作用とをバランス良く得ることができる。
また、金属塊121の高さ(透光性基板110に対して直交する方向における寸法)は5nm以上25nm以下である。なお、必ずしもすべての金属塊121の高さが5nm以上25nm以下でなくても良い。例えば、金属塊121の全数のうち、過半数の高さが5nm以上25nm以下であれば良い。金属塊121の全数のうち、60%以上の金属塊121の高さが5nm以上25nm以下であることが好ましく、70%以上の金属塊121の高さが5nm以上25nm以下であることがより好ましく、80%以上の金属塊121の高さが5nm以上25nm以下であることが更に好ましい。
発光素子は、更に、第1電極130と第2電極150とを備えている。有機機能層140は、第1電極130と第2電極150との間に配置されている。第1電極130は、有機機能層140と透光性基板110との間に配置されている。
第1電極130は、例えばITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの金属酸化物導電体からなる透明電極である。ただし、第1電極130は、光が透過する程度に薄い金属薄膜であっても良い。
第2電極150は、例えば、Ag、Au、Alなどの金属層からなる反射電極である。第2電極150は、有機機能層140から第2電極150側に向かう光を、透光性基板110側に向けて反射する。ただし、第2電極150をITOやIZOなどの金属酸化物導電体からなる透明電極とし、第2電極150よりも下層に光反射層(図示略)を設けても良い。
第1電極130と第2電極150とのうちの何れか一方が陽極で、何れか他方が陰極である。陰極を構成する材料と陽極を構成する材料とは、仕事関数が互いに異なっている。
例えば、透光性基板110の一方の面(図4における下面)と第1電極130の一方の面(図1における上面)とが相互に接している。また、第1電極130の他方の面(図1における下面)と有機機能層140の一方の面(図1における上面)とが相互に接している。また、有機機能層140の他方の面(図1における下面)と第2電極150の一方の面(図1における上面)とが相互に接している。ただし、透光性基板110と第1電極130との間には他の層が存在していても良い。同様に、第1電極130と有機機能層140との間には他の層が存在していても良い。同様に、有機機能層140と第2電極150との間には他の層が存在していても良い。
上述のように、金属層120のフラクタル次元は、2.10以上2.45以下である。金属層120のフラクタル次元をこの範囲に設定することにより、詳細は実施例にて図8を用いて後述するように、発光素子の光取り出し効率を向上することができる。
フラクタル次元の値D(以下、フラクタル次元Dと表記)は、金属層120の形状を画像処理により判定することによって、次のように定義することができる。以下、図3を参照して、フラクタル次元の定義を説明する。
フラクタル次元Dを算出は、金属層120の一部の領域を評価対象として行う。すなわち図3に示すように、平面視において、一辺の長さがXで、この長さXの辺に対して直交する辺の長さがYの矩形状の平面領域(以下、X・Y領域という)を評価対象とする。
ここで、X・Y領域内の一部の平面領域を単位平面領域と称する。この単位平面領域は、平面視において、一辺の長さがh(h<X、h<Y)の正方形状の領域(h×h)である。
X・Y領域内の金属層120における単位平面領域ごとの起伏の標準偏差をσiとする。
σiを測定するためには、AFM(原子間力走査顕微鏡)のタッピングモードで、一辺の長さが数10ミクロン程度のX・Y領域内の金属層120の表面粗さとして、X・Y領域の表面の高さ(Z)分布像を測定(取得)する。次に、この測定により得られた画像の全体を単位平面領域で分割し、それぞれの単位平面領域ごとのZの標準偏差σiを求める。
また、一辺の長さがhの立方体状の立体領域を単位立体領域と称する。
そして、金属層120におけるX・Y領域内の部分をすべて覆うのに要する単位立体領域の個数をN(h)とおき、単位平面領域(h×h)を覆う単位立体領域の個数n(h)を、σi/hで近似する。
また、下記数式(1)を立てる。
N(h)=(X・Y/h)・n(h)=Σσi/h・・・・・・(1)
N(h)、すなわちΣσi/hは、金属層120におけるX・Y領域内の部分をすべて覆うのに要する単位立体領域の個数の総和(上記X・Y領域画像内の単位平面領域のσi/hの総和)である。
この画像処理および演算を、hをパラメータにしてj回(例えばh1<h2<・<hjとして各々について)実行する。上記画像処理および演算の実行回数が5の場合、jは、1以上5以下の整数である。
フラクタル次元Dの値は、hをパラメータとして、下記数式(2)で表される。
D=logN(h)/log(h)・・・・・・(2)
すなわち、フラクタル次元Dは、縦軸がlog(N(h))で、横軸がlog(h)の両対数グラフに(hj,N(hj))をプロットした最小2乗法の直線の傾き(絶対値)として求められる。
このように、金属層120におけるX・Y領域内の部分をすべて覆うのに要する単位立体領域の個数を算出すると、N(h)〜h−Dのフラクタル関係が成立する。
なお、本明細書におけるフラクタル次元は、ハウスドルフ次元であり、狭義にはコルモゴロフの容量次元である。
次に、動作を説明する。
第1電極130と第2電極150との間に電圧が印加されることにより、有機機能層140の発光層が発光する。透光性基板110、第1電極130及び有機機能層140は、いずれも、有機機能層140の発光層が発光した光の少なくとも一部を透過する。発光層が発光した光の一部は、透光性基板110の光取り出し面から、発光素子の外部(つまり上記光放出空間)に放射される(取り出される)。
ここで、透光性基板110と光放出空間との界面における臨界角未満の光は、光取り出し面から取り出される。
また、透光性基板110と光放出空間との界面における臨界角以上の光についても、金属層120の金属塊121に照射されることにより近接場光が発生し、互いに隣接する金属塊121の周囲に発生する近接場光どうしの相互作用により増強された伝搬光が発生し、この伝搬光が発光素子の外部に放射される(図2参照)。つまり、金属層120が存在しない場合には透光性基板110と光放出空間との界面にて全反射してしまうことにより発光素子の外部に取り出されない光を利用した近接場相互作用によって、発光素子の光取り出し効率を向上することができる。
ここでいう近接場相互作用とは、非特許文献2等に記載されたドレストフォトン(電子の集団運動だけでなく格子振動や励起子(電子−ホール対)を含む物質の励起状態(素励起)と光が相互作用し総合された物質に局在した励起電場)を利用した光増強作用である。このドレストフォトンを発現し、近接場光を伝搬光としてとりだすことにより、光増強が起こる。上記のような構成の島状の金属塊121を、有機機能層140を基準として光取り出し側に配置することにより、このような光増強を実現することができる。
ここで、金属塊121の形状、寸法、配置間隔等のパラメータにより、金属塊121の周囲に発生する近接場光から伝搬光への変換効率が影響を受ける。詳細は実施例において図8を用いて後述するように、金属層120のフラクタル次元を2.10以上2.45以下とすることにより、この変換効率を高めることができる。すなわち、上記の光増強作用を高めることができる。
また、金属塊121の平均径を10nm以上200nm以下とし、隣り合う金属塊121どうしの平均間隔を10nm以上200nm以下とすることにより、更に、上記の光増強作用を高めることができる。
また、金属塊121の高さを5nm以上25nm以下とすることにより、更に、上記の光増強作用を高めることができる。
次に、本実施形態に係る発光素子を製造する方法の一例を説明する。
先ず、透光性基板110の上面に、金属層120を成膜する。上述した構造の島状の金属塊121が形成されるように、金属層120の成膜を行う。
次に、透光性基板110の下面に、スパッタ法などによりITOやIZOなどの金属酸化物導電体からなる透光性の導電膜を成膜し、エッチングによりこれをパターニングして第1電極130を形成する。
次に、第1電極130の下面に有機材料を成膜することにより有機機能層140を形成する。
次に、有機機能層140の下面に、マスクを用いた蒸着法などによりAg、Au、Al等の金属材料を所望のパターンに堆積させて、第2電極150を形成する。
なお、必要に応じてバスライン170や隔壁部180(図11(b)参照)をそれぞれ適切なタイミングで形成しても良い。また、第2電極150の下面には必要に応じて封止層を形成しても良い。
以上、本実施形態によれば、発光素子は、透光性基板110と、発光層を含み透光性基板110を基準として光取り出し側とは反対側に配置された有機機能層140と、有機機能層140を基準として光取り出し側に配置された金属層120と、を備える。そして、金属層120は、島状の複数の金属塊121を含み、金属層120のフラクタル次元が2.10以上2.45以下である。
これにより、近接場光増強作用によって発光素子の光取り出し効率を向上することができる。
なお、この構造においては、発光層から金属層120までの距離に依存せず、光取り出し効率を向上することができる。
また、金属塊121の平均径を10nm以上200nm以下とし、隣り合う金属塊121どうしの平均間隔を10nm以上200nm以下とすることにより、可視光領域の光電界と金属塊121の素励起(プラズモン、エキシトン、フォノンなど)とのコヒーレントな結合の局在電界が期待できるとともに、発光素子の内部から発光素子外部への光の透過性と近接場光増強作用とをバランス良く得ることができる。
また、金属塊121の高さを5nm以上25nm以下とすることにより、可視光領域で近接場光を効率よく発生させることができる。
また、金属層120は、透光性基板110における光取り出し側の面に設けられているので、発光素子における透光性基板110と発光層との間の部分の構成をシンプルにすることができる。
(実施例1)
図5は本実施例に係る発光素子の断面図である。本実施例に係る発光素子は、以下に説明する点で、上記の実施形態に係る発光素子と相違し、その他の点では、上記の実施形態に係る発光素子と同様に構成されている。
本実施例の場合、透光性基板110上には、透光性の第1絶縁膜161が形成され、この第1絶縁膜161上に金属層120が形成されている。更に、この金属層120を覆う透光性の第2絶縁膜162が形成されている。
第1絶縁膜161および第2絶縁膜162の材料は、例えば、SiO、SiC、Cなどである。
また、透光性基板110と第1電極130との間には、バリア膜115が形成されている。バリア膜115は、例えば、SiO薄膜、又はグラフェンなどである。
金属層120の成膜は、例えば、以下のようにして行う。
透光性基板110上に第1絶縁膜161を成膜した後、透光性基板110を室温以下の温度に保持し、第1絶縁膜161上に、0.5Å/秒以下の低い成膜レートで金属層120を成膜し、その後、アニール処理を行う。
より具体的には、金属層120の材料がAgの場合、ガラス基板である透光性基板110上に第1絶縁膜161を成膜した後、透光性基板110を25℃に保持し、第1絶縁膜161上に、0.5Å/秒以下の成膜レートで10nmの膜厚のAg膜を成膜する。その後、N雰囲気中又は高真空中(例えば1×10−7Torr以上1×10−5Torr以下の圧力下)で透光性基板110を300℃以上400℃以下に保持した状態で、30分以下のアニール処理を行う。これにより、上記のような島状の金属薄膜である金属塊121を形成することができる。
その後、金属層120を覆う第2絶縁膜162を形成する。
図6は金属層120の表面の起伏の状態を示す図である。
図6は、原子間力走査顕微鏡のタッピングモードにより得られた、金属層120の表面の高さ分布像である。この画像は、0.1Å/秒の成膜レートで10nmの膜厚のAg膜を成膜し、上記の条件のアニール処理を行った後の金属層120の画像である。ここで、原子間力走査顕微鏡のプローブとして、先端径が20nm程度のものを用いた。このため、金属塊121どうしの間隔が20nm〜30nmの場合、図6に示すように、金属層120が連続した薄膜であるものとして計測される。図6において、金属塊121は、金属層120における個々の隆起部に対応している。この金属層120について、上記の実施形態で説明した手法でフラクタル次元Dを求めたところ、D=2.313であった。
図7は本実施例に係る発光素子と比較例に係る発光素子との発光強度の対比を示す図である。図7の横軸は発光素子から取り出された光の波長、縦軸は発光素子から取り出された光の強度(発光強度)である。図7に発光強度のデータが示される、本実施例に係る発光素子の金属層120のフラクタル次元Dは、2.313である。また、有機機能層140の発光層の材料としては、Alq3を用いた。
比較例に係る発光素子(図示略)は、金属層120を有していない点で、本実施例に係る発光素子と相違し、その他の点では、本実施例に係る発光素子と同様に構成されている。
図7に示すように、本実施例に係る発光素子によれば、比較例に係る発光素子と比べて、様々な波長の光について、発光強度が向上している。すなわち、本実施例に係る発光素子によれば、比較例に係る発光素子と比べて、様々な波長(特に450nm以上850の範囲)の光について、光取り出し効率が向上している。
図8は金属層120のフラクタル次元の値と発光の増強度との関係を示す図である。図8の横軸はフラクタル次元Dの値(任意単位)、縦軸は発光増強度(任意単位)である。金属層120の材料をAgとし、金属塊121の平均径を10nm以上200nm以下とし、隣り合う金属塊121どうしの平均間隔を10nm以上200nm以下とし、金属塊121の高さを5nm以上25nm以下として、金属層120のフラクタル次元Dの値が2.00から2.60の範囲内の任意の点で、それぞれ発光増強度を計測した。発光増強度は、上記比較例に係る発光素子からの発光強度を1とした相対値で表される。
図8に示すように、フラクタル次元Dの値が2.10以上2.45以下のときに、およそ1.5倍以上の発光増強度を実現できる。
なお、図8の結果から、フラクタル次元Dの値は小さすぎたり大きすぎたりする場合(例えば、2.05や2.5の場合)は、上記比較例よりも光取り出し効率が低下する。このことは、単に、金属塊121の平均径、隣り合う金属塊121どうしの平均間隔、および金属塊121の高さを適切に設定するだけでは、必ずしも光取り出し効率を向上できないことを示唆している。
次に、有機機能層140の層構造の例について説明する。
図9は有機機能層140の層構造の第1例を示す断面図である。この有機機能層140は、正孔注入層141、正孔輸送層142、発光層143、電子輸送層144、及び電子注入層145をこの順に積層した構造を有している。すなわち有機機能層140は、有機エレクトロルミネッセンス発光層である。なお、正孔注入層141及び正孔輸送層142の代わりに、これら2つの層の機能を有する一つの層を設けてもよい。同様に、電子輸送層144及び電子注入層145の代わりに、これら2つの層の機能を有する一つの層を設けてもよい。
この例において、発光層143は、例えば赤色の光を発光する層、青色の光を発光する層又は緑色の光を発光する層である。この場合、平面視において、赤色の光を発光する発光層143を有する領域、緑色の光を発光する発光層143を有する領域、及び青色の光を発光する発光層143を有する領域が繰り返し設けられていても良い。この場合、各領域を同時に発光させると、発光素子は白色等の単一の発光色で発光する。
なお、発光層143は、複数の色を発光するための材料を混ぜることにより、白色等の単一の発光色で発光するように構成されていても良い。
図10は有機機能層140の層構造の第2例を示す断面図である。この有機機能層140の発光層143は、発光層143a、143b、143cをこの順に積層した構成を有している。発光層143a、143b、143cは、互いに異なる色の光(例えば赤、緑、及び青)を発光する。そして発光層143a、143b、143cが同時に発光することにより、発光素子は白色等の単一の発光色で発光する。
本実施例によっても、上記の実施形態と同様の効果が得られる。
(実施例2)
図11(a)は本実施例に係る発光素子の構成を示す平面図であり、図11(b)は図11(a)におけるB−B線に沿った断面図である。なお、図11(b)及び図11(a)においては、図4とは上下が反転している。
第1電極130は、陽極を構成する。複数の第1電極130が、それぞれ帯状にY方向に延在している。隣り合う第1電極130同士は、Y方向に対して直交するX方向において一定間隔ずつ離間している。第1電極130の各々は、例えばITOやIZO等の金属酸化物導電体等からなる。第1電極130の各々の表面には、第1電極130に電源電圧を供給するためのバスライン(バス電極)170が形成されている。金属層120及び第1電極130上には絶縁膜が形成されている。この絶縁膜には、それぞれY方向に延在するストライプ状の開口部が複数形成されている。これにより、絶縁膜からなる複数の隔壁部180が形成されている。また、この絶縁膜に形成された開口部の各々は、第1電極130に達しており、開口部の底部において各第1電極130の表面が露出している。絶縁膜の各開口部内において、第1電極130上には、有機機能層140が形成されている。有機機能層140は、正孔注入層141、正孔輸送層142、発光層143(発光層143R、143G、143B)、電子輸送層144がこの順序で積層されることにより構成されている。正孔注入層141及び正孔輸送層142の材料としては、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ベンジルフェニル誘導体、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体、シラナミン誘導体、ホスファミン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリキノリン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、カーボン等が挙げられる。発光層143R、143G、143Bは、それぞれ、赤色発光、緑色発光、青色発光を行う蛍光性有機金属化合物等からなる。発光層143R、143G、143Bは、隔壁部180によって互いに隔てられた状態で並んで配置されている。すなわち、有機機能層140は、隔壁部180によって複数の領域に仕切られている。発光層143R、143G、143Bおよび隔壁部180の表面を覆うように電子輸送層144が形成されている。電子輸送層144の表面を覆うように第2電極150が形成されている。第2電極150は、陰極を構成する。第2電極150は、帯状に形成されている。第2電極150は、仕事関数が低く且つ高反射率を有するAg、Alなどの金属または合金等からなる。
このように、赤、緑、青の光をそれぞれ発する発光層143R、143G、143Bは、ストライプ状に繰り返し配置されており、光取り出し面となる透光性基板110の表面からは、赤、緑、青の光が任意の割合で混色されて単一の発光色(例えば白色)として認識される光が放出される。
本実施例によっても、上記の実施形態と同様の効果が得られる。
(実施例3)
図12は本実施例に係る発光素子の断面図である。本実施例に係る発光素子は、以下に説明する点で、上記の実施例1に係る発光素子と相違し、その他の点では、上記の実施例1に係る発光素子と同様に構成されている。
上記の実施例1では、金属層120が透光性基板110における光取り出し側の面に設けられているのに対し、本実施例では、金属層120が透光性基板110における光取り出し側とは反対側の面に設けられている。
ここで、第1電極(透光性電極)130は、透光性基板110と有機機能層140との間に配置されている。本実施例に係る発光素子は、第1電極130と透光性基板110との間に配置された透光性絶縁層190を更に備えている。そして、金属層120は、透光性絶縁層190に埋設されている。
透光性絶縁層190は、例えば、SiNx、SiONx、TaOx、HfOx、TiOx、ZrOxなどの高屈折率の酸化物材料からなる透明絶縁膜である。これら酸化物材料は、xが2以下の正の数となる非化学量論組成を有する。
本実施例の場合、透光性基板110の下面に、上記の実施例1と同様の方法で金属層120が成膜されている。更に、この金属層120を覆うように、透光性基板110の下面に透光性絶縁層190が形成されている。透光性絶縁層190の下面は平坦に形成される。更に、透光性絶縁層190の下面に第1電極130が形成されている。
本実施例によっても、上記の実施形態と同様の効果が得られる他、以下の効果が得られる。
金属層120が透光性基板110における光取り出し側とは反対側の面に設けられているので、透光性基板110の上面を平坦に維持することもできる。また、透光性基板110の表面に保護膜(上記の実施例1における第2絶縁膜162)を形成しなくても良い。
また、発光素子は、透光性基板110と有機機能層140との間に配置された第1電極(透光性電極)130と、第1電極130と透光性基板110との間に配置された透光性絶縁層190とを備え、金属層120は透光性絶縁層190に埋設されている。これにより、金属層120の表面の凹凸が第1電極130に及ばないようにすることができ、第1電極130の所望の特性を確保することができる。
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
110 透光性基板
120 金属層
121 金属塊
130 第1電極(透光性電極)
140 有機機能層
150 第2電極
190 透光性絶縁層

Claims (6)

  1. 透光性基板と、
    発光層を含み、前記透光性基板を基準として光取り出し側とは反対側に配置された有機機能層と、
    前記有機機能層を基準として前記光取り出し側に配置された金属層と、
    を備え、
    前記金属層は、島状の複数の金属塊を含み、
    前記金属層のフラクタル次元が2.10以上2.45以下である発光素子。
  2. 前記金属塊の平均径は10nm以上200nm以下であり、
    隣り合う前記金属塊どうしの平均間隔は10nm以上200nm以下である請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記金属塊の高さは5nm以上25nm以下である請求項1又は2に記載の発光素子。
  4. 前記金属層は、前記透光性基板における前記光取り出し側の面に設けられている請求項1〜3の何れか一項に記載の発光素子。
  5. 前記金属層は、前記透光性基板における前記光取り出し側とは反対側の面に設けられている請求項1〜3の何れか一項に記載の発光素子。
  6. 前記透光性基板と前記有機機能層との間に配置された透光性電極と、
    前記透光性電極と前記透光性基板との間に配置された透光性絶縁層と、
    を更に備え、
    前記金属層は、前記透光性絶縁層に埋設されている請求項5に記載の発光素子。
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