JP2011014361A - 発光素子及びそれを利用した発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】発光素子の発光に必要な電力を少なくし、かつ光取り出し効率を向上させることが可能な発光素子を提供する。
【解決手段】
基板側から順に第1の電極層と、発光層を含む有機化合物層と、第2の電極層とを有する発光素子であって、発光層下面の内周縁の少なくとも一部と基板との間に凹凸からなる周期構造が配置され、周期構造上の両電極層の間が、電気的に絶縁している、若しくは高抵抗化していることを特徴とする発光素子。
【選択図】図1
【解決手段】
基板側から順に第1の電極層と、発光層を含む有機化合物層と、第2の電極層とを有する発光素子であって、発光層下面の内周縁の少なくとも一部と基板との間に凹凸からなる周期構造が配置され、周期構造上の両電極層の間が、電気的に絶縁している、若しくは高抵抗化していることを特徴とする発光素子。
【選択図】図1
Description
本発明は、発光素子及びそれを利用した発光装置に関する。
有機EL素子は、電界を印加することによって陽極層から注入された正孔と、陰極層から注入された電子の再結合エネルギーによって有機材料から成る発光層が発光する原理を利用した自発光素子であり、自発光による広い視野角や、充分な動画応答性を有している。そのため、ディスプレイ素子として理想的な特徴を持っている。特に、薄く軽量で、耐衝撃性に優れるため、近年ではモバイル用途向け発光装置としての技術開発が盛んである。
このような有機EL素子の開発においては、発光効率を向上させることが課題の一つである。有機EL素子は、通常、陽極層、発光層を含む有機層、及び陰極層が1次元的に積層された構成をとる。このとき、空気の屈折率1.0よりも発光層の屈折率(約1.5乃至2.0程度)の方が大きい。このため、発光層の内部から放出された光の大部分は、高屈折率から低屈折率へ変化する積層膜の界面で全反射されて、基板に水平な方向に伝播する導波光となり、有機EL素子の内部に閉じ込められることになる。有機EL素子の内部で発生した光のうち、有機EL素子の外部に取り出して利用できる光の割合(光取り出し効率)は、通常、約20%程度でしかない。
よって、有機EL素子の発光効率を改善するためには、光取り出し効率を向上させることが重要である。特許文献1及び特許文献2では、全反射を防ぎ、発光素子内部での光閉じ込めを抑制するために、有機化合物層の上部または下部に回折格子等を配置することが提案されている。また、特許文献3では、導波光として発光素子内部に閉じ込められて発光素子側面から漏れ出す光を、光取り出し方向へ反射させるために、発光素子側面に傾斜した金属反射面を配置し、光取り出し効率を向上させることが提案されている。
しかしながら、特許文献1〜特許文献3では、光取り出し効率を向上させるにあたり、発光に必要な電力を少なくすることに関する記載はない。発光に必要な電力を低減できれば、有機EL素子の長寿命化の実現にもつながる。
そこで、本発明は、発光素子の発光に必要な電力を少なくし、かつ光取り出し効率を向上させることを可能とする発光素子及びそれを利用した発光装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、基板側から順に第1の電極層と、発光層を含む有機化合物層と、第2の電極層とを有する発光素子であって、前記発光層下面の内周縁の少なくとも一部と基板との間には、凹凸からなる周期構造が配置され、前記周期構造上の前記2つの電極層の間が電気的に絶縁している、若しくは前記周期構造上の前記2つの電極層の間にかかる電圧が発光閾値電圧以下となることを特徴とする発光素子を提供するものである。
本発明によれば、発光素子の発光に必要な電力を少なくし、かつ光取り出し効率を向上させることが可能となる。
以下、本発明の発光素子について説明する。なお、下記では、有機EL素子を例に挙げて説明するが、本発明の発光素子は、これに限定されるものではなく、自発光素子であれば、実施可能である。
図7は、本発明の有機EL素子の一例を示す概略断面図である。
図7では、基板101上に、第1の電極層104(陽極層)、正孔注入層106、正孔輸送層107、発光層108、電子輸送層109、電子注入層110、第2の電極層111(陰極層)が順に積層されている。ただし、本発明の有機EL素子は、この積層構成に限定されない。第1の電極層104及び第2の電極層111は、一方が陽極層のとき、他方は陰極層とする。第1の電極層104が陰極層の場合における本発明の有機EL素子の積層構成としては、次の構成が一例として挙げられる。その構成とは、基板101上に、第1の電極層(陰極層)、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、第2の電極層(陽極層)が順に積層された構成である。なお、第1の電極層104の上に形成された層から第2の電極層111の下に形成された層までが有機化合物層112である。
発光層108は、それぞれの発光色に応じた蛍光性有機化合物若しくは燐光性有機化合物等を含んでいる。また、発光層108には、ゲスト材料、ホスト材料等の複数の材料が含まれていても良い。
このような構成からなる有機EL素子に電圧を印加すると、有機化合物層112に対して、第1の電極層104(陽極層)から正孔が注入され、第2の電極層111(陰極層)から電子が注入される。注入された正孔と電子は、発光層108において励起子を形成し、励起子が再結合する際に光(自然放出光)を放射する。
図8は、図7に示す有機EL素子等の本発明の有機EL素子の断面図である。図8に示す有機EL素子は、例えば、以下の方法等で作製する。
まず初めに、基板101上に、反射膜102を形成する。反射膜102としては、金属等を用いることができる。反射膜102には、基板101と反対側の面の一部に、凹凸からなる周期構造103を形成する。本発明では、発光領域を確保するため、周期構造103を、例えば発光層108下面の内周縁の少なくとも一部と反射膜102上(反射膜102の基板101と反対側の面上)に設ける。図8では、周期構造103を反射膜102上に形成しているが、発光層108下面の内周縁の少なくとも一部と基板101との間にあれば、反射膜102上でなくても良い。例えば、第1の電極層104上(第1の電極層104の基板と反対側の面の表面上)に周期構造103を設けても良い。ここで、発光層下面の内周縁とは、発光層下面の輪郭の内側に位置し、前記輪郭に沿った部分である。例えば、発光層下面の輪郭と、前記輪郭から発光層下面の中心に向かって一定の長さ(前記輪郭から発光層下面の中心までの長さよりも短い長さ)だけ離れた位置との間の部分を発光層下面の内周縁という。
次に、反射膜102及び周期構造103上に、第1の電極層104(陽極層)を形成する。そして、隔壁105を形成した後に、隔壁105で囲まれた領域内に発光層を含む有機化合物層112及び第2の電極層111(陰極層)を順に積層して形成する。このように積層すると、隔壁105で囲まれた領域内の周期構造103が形成されていない領域が発光領域となる。
なお、以下では、周期構造の形成領域の上に位置する第1の電極層、有機化合物層、第2の電極層も含めて「周期構造の形成領域」ということもある。また、以下では、周期構造の非形成領域の上に位置する第1の電極層、有機化合物層、第2の電極層も含めて「発光領域」ということもある。
図8では、第2の電極層111は、発光点115に対して光取り出し側となり、周期構造103の形成領域は、面内方向、例えば基板101と他の層との接触面に水平な方向等に対してプレーナー型の光導波路として機能する。発光領域内の発光点115から発せられた光は、光取り出し側への伝播光116と、上述の面内方向に伝わる導波光117となる。導波光117は、周期構造103によって回折光118に変換され、有機EL素子の外部に取り出される。故に、周期構造103の凹凸により、光取り出し効率を向上させることが可能となる。
図9(a)は、本発明の有機EL素子を上部から見た模式図である。なお、以下では、隔壁105で囲まれた領域を「画素領域」ということもある。画素領域内の周期構造の形成領域201を除く領域が発光領域202である。図9(a)では、周期構造103は、画素領域の長辺である2辺の内周縁に形成されている。ただし、必ずしもこのとおりに形成しなくても良い。そして、画素領域に第1の電極層、発光層を含む有機化合物層を順に積層して形成後、全画素共通の電気的導通をとるための第2の電極層を形成している。
本発明では、発光層下面の内周縁の少なくとも一部と基板との間に凹凸からなる周期構造が配置されている。そして、周期構造上に位置する2つの電極層の間が、電気的に絶縁している、若しくは高抵抗化している。なお、高抵抗化しているとは、正確には、周期構造上に位置する2つの電極層の間の電圧が、本発明の有機EL素子の発光閾値電圧を超えない値になることを意味する。
本発明の有機EL素子は、上記の構成を有するため、周期構造の形成領域201においては、発光が起こらず、発光のための電力消費がなくなる。
ここで、第1の電極層と第2の電極層の間の高抵抗化について詳細に説明する。図9(b)及び図9(c)では、第2の電極層のシート抵抗の高抵抗化について示している。
図9(b)は、本発明の有機EL素子における周期構造の形成領域201の電気特性を集中定数等価回路で示した図である。駆動回路から給電された電流を電流源で示し、有機EL素子のダイオード特性をダイオードで示している。また、図中の抵抗は、第2の電極層111のシート抵抗である。
図9(c)は、本発明の有機EL素子の電気特性(I−V)を示した図である。ここで、各画素の有機EL素子の発光領域202に給電される最大電流密度をJmax、その時の発光領域202に印加される電圧をVmax、発光領域202において有機EL素子が発光を開始する発光閾値電圧をVthとする。第2の電極層のシート抵抗をRとすると、シート抵抗Rが(Vmax−Vth)/Jmaxよりも大きければ、周期構造の形成領域201に対して発光閾値電圧Vthを超える電圧は印加されない。このとき、第2の電極層のシート抵抗Rは、周期構造の形成領域201に対する印加電圧が発光閾値電圧Vthを超えないように高抵抗化している。その結果、周期構造の形成領域201は駆動範囲内で発光することはなく、発光のための電力は発生しない。よって、第2の電極層のシート抵抗Rを(Vmax−Vth)/Jmaxよりも大きくする程度まで、第2の電極層を高抵抗化することが必要である。
図10は、周期構造上に位置する2つの電極層の間を電気的に絶縁、若しくは高抵抗化させる仕組みについて説明するための有機EL素子の概略断面図である。このとき、周期構造上の第2の電極層111は、周期構造の凹凸を反映した凹凸を有している。なお、周期構造上の2つの電極層の少なくとも一方が周期構造の凹凸を反映していれば、周期構造上の2つの電極層の間を電気的に絶縁、若しくは高抵抗化することができる。
図10に示す有機EL素子は、基板上に、反射膜102、第1の電極層104(陽極層)、正孔輸送層107、発光層108、電子輸送層109、電子注入層110、第2の電極層111(陰極層)が順に積層された構成である。例えば、周期構造の凹凸の上に、第1の電極層、有機化合物層、第2の電極層の順で、それぞれ均一な厚さで形成することにより、第2の電極層の基板と反対側の面に凹凸からなる領域が形成される。第2の電極層の基板と反対側の面の上記状態が周期構造の凹凸を反映した状態である。
図10では、周期構造の凹部と凸部の段差119を幾つか変化させた有機EL素子を作製し、電気特性を測定すると共に、有機EL素子の断面をSEM/TEMにより観察した。なお、第2の電極層111の成膜方法については、成膜粒子の直進性が高い手法、例えば、蒸着等により形成することが好ましい。なぜなら、蒸着等ならば周期構造の凸部の側壁120へのステップカバレージが不十分となり、第2の電極層111の膜厚が段切れしやすく、絶縁させることがより確実になるからである。
図10(a)は、周期構造の凹部と凸部の段差119が第2の電極層111の膜厚と同程度である場合の図である。周期構造の凹部と凸部の段差119がこの高さ以下であれば、第2の電極層111の膜内部においてクラックが発生したり、周期構造上の第2の電極層111のシート抵抗Rが絶縁、若しくは高抵抗化することはなかった。
図10(b)は、周期構造の凹部と凸部の段差119が、電子輸送層109、電子注入層110、第2の電極層111(陰極層)の合計膜厚と同程度の場合の図である。ここでは、段差119を前記合計膜厚と同程度又は前記合計膜厚よりも大きくすることにより、例えば、凹部の第2の電極層から凸部の電子輸送層を介して凸部の発光層へ電子が流れるパスが減り、電力消費が低減できるため、前記合計膜厚と同程度としている。周期構造の凹部と凸部の段差119がこの高さ程度になると、周期構造の凸部の側壁120に成膜される膜厚は明らかに薄くなった。しかも、角近傍121を中心として膜応力と思われるクラックが発生していた(不図示)。このとき、周期構造上の第2の電極層111のシート抵抗Rを測定してみると、図10(a)の場合よりも高抵抗化しており、周期構造の形成領域から光は発光しなかった。シート抵抗Rが高抵抗化した理由は、周期構造の凹部と凸部の段差119が電子輸送層109、電子注入層110、第2の電極層111(陰極層)の合計膜厚より大きくなったことにより、周期構造の凸部の側壁120への成膜が薄くなったためである。また、このことに加えて、微細構造の集積により電流パスの高抵抗化が進んだためである。
さらに、周期構造の凹部と凸部の段差119を、図10(b)のときの高さ以上に大きくすると、周期構造上の第2の電極層111のシート抵抗Rは30V以下で絶縁になった。
図10の例から、周期構造の形成領域から光を発光させないようにするためには、2つの電極層のいずれかの凸部の側壁への成膜が薄くなればよい。そのためには、例えば、周期構造の凹部と凸部の段差を、第1の電極層104の膜厚又は第2の電極層111の膜厚よりも大きくするのが良い。そうすることで、周期構造の形成領域で消費される電力量が低減される。2つの電極層のいずれかを高抵抗化することができる。但し、電子輸送層109は導電性が高いので、周期構造の凹部と凸部の段差を、電子輸送層109の下面から第2の電極層111の上面までの合計膜厚より大きくすることが好ましい。そうすることで、周期構造の形成領域で消費される電力量がより低減される。なお、発光層と第1の電極層104との間に正孔輸送層がある場合には、周期構造の凹部と凸部の段差を、第1の電極層104の下面から正孔輸送層の上面までの合計膜厚より大きくすることが好ましい。そうすることで、周期構造の形成領域で消費される電力量がより低減される。また、これまでは第1の電極層104が陽極、第2の電極層111が陰極の場合について述べてきたが、第1の電極層104が陰極、第2の電極層111が陽極である場合においても同様の構成を採ることで周期構造の形成領域で消費される電力量がより低減される。具体的には、発光層と第1の電極層104との間に電子輸送層がある場合には、周期構造の凹部と凸部の段差を、第1の電極層104の下面から電子輸送層の上面までの合計膜厚より大きくすることが好ましい。また、発光層と第2の電極層111との間に正孔輸送層がある場合には、周期構造の凹部と凸部の段差を、第2の電極層111の下面から正孔輸送層の上面までの合計膜厚より大きくすることが好ましい。
上記では、周期構造の凹部と凸部の段差を調整することによって、第2の電極層の凸部の側壁の膜厚が薄くなり、周期構造上の2つの電極層の間が絶縁し、若しくは高抵抗化し、周期構造上の発光層が発光しなくなる例について説明した。
また、本発明において、光取り出し効率を上げるためには、導波光117の導波モードの条件が重要になる。
まず、導波光117の導波モードの条件として、導波光117の導波モードは少ない方が良い。即ち、図8において、発光領域から周期構造の形成領域に導波光117が伝わる際に、導波モードを増やさないことが好ましい。
本発明の有機EL素子では、周期構造の形成領域が発光領域と略同構成で形成されている。そのため、周期構造の形成領域における、基板面に対して垂直方向の光学的距離Σ(nWi・dWi)は、発光領域における基板面に対して垂直方向の光学的距離Σ(nEi・dEi)と略同等であり、導波モードが増えることはない。なお、基板面とは、基板101と他の層との接触面のことであり、以下でも、基板101と他の層との接触面のことを「基板面」ということもある。周期構造の形成領域における各層の厚さをdWi、各層の屈折率をnWiとし、発光領域における各層の厚さをdEi、各層の屈折率をnEiとする。また、基板面に対して垂直方向の光学的距離とは、導波光117が導波する領域における上部の反射面と下部の反射面の基板面に対する垂直方向の距離を指す。図8においては、反射膜102と、第2の電極層111との間の距離となる。
さらに、導波光117の導波モードの条件としては、発光領域から周期構造の形成領域に導波光117が伝わる際に、導波モードを減らさないことが好ましい。導波モードが減ってしまうと、そのモードの導波光117は反射されてしまい、周期構造の形成領域に入っていかない。そのため、周期構造の形成領域の基板面に対して垂直方向の光学的距離は、発光領域の基板面に対して垂直方向の光学的距離と同等にすることが好ましい。
本発明の有機EL素子では、周期構造の形成領域が発光領域と略同構成で形成されているため、導波モードの増減について心配する必要は全くない。
ここで、発光領域の光取り出し効率を干渉効果によって良くすることもできる。そのためには、発光領域の基板面に対して垂直方向の光学的距離を、発光ピーク波長λの3/8倍以上11/8倍以下程度にすることが好ましい。具体的には、可視光の波長域が380nm乃至780nmであることから、140乃至1073nmであることが好ましい。よって、周期構造の形成領域における基板面に対して垂直方向の光学的距離も、発光ピーク波長λの3/8倍乃至11/8倍以下程度である140乃至1073nmであることが好ましい。なお、発光ピーク波長とは、発光素子から取り出される光のスペクトルの最大ピーク波長のことである。
また、導波光117から回折光118への結合効率を大きくし、回折効果をより機能させることも可能である。そのためには、周期構造103における光導波路(周期構造の形成領域)の誘電率変化を大きくすることが望ましい。そして、誘電率変化を大きくするためには、光導波路を形成する材料(本発明では、第1の電極層104と有機化合物層112と第2の電極層111)に対して、誘電率が大きく異なる材料で周期構造103を構成すれば良い。例えば、金属等により周期構造103を構成することが好ましい。
さらに、本発明においては、負の回折効果が生じる条件を用い、且つ遮光層となる遮光板を構成することで、よりコントラストを上げることが可能になる。
図11(a)は、負の回折効果を用いて、よりコントラストを上げることが可能な有機EL素子の一例を示す断面図である。図11(a)に示すように、周期構造103の周期は、回折光118の回折角度が、発光層内の導波光117の導波方向に対して、90°より大きくなるように構成される。基板法線を基準とすると負の角度となる。以下、導波光117の進行方向に対して、90°より大きな方向への回折を、「負の回折」ということもある。
周期構造103の周期は、有機EL素子の外部に取り出したい導波光117に対して負の回折光118を生じるように構成される。さらに、周期構造103での回折により、有機EL素子の外部に取り出される回折光118が、導波光117の導波方向に対して90°より大きい角度方向で最大強度若しくは最大輝度となることが望ましい。
図11(a)では、有機EL素子の周期構造103の上方部分(光取り出し側)に遮光板としてブラックマトリックス113を配置して遮光層を形成し、さらに、その上部に円偏光フィルター114を配置している。例えば、表示装置が複数の有機EL素子を有している場合には、発光層下面の内周縁の少なくとも一部と基板との間に形成された周期構造103は、隣り合う有機EL素子の間に形成されることになる。そのため、ブラックマトリックス113も隣り合う有機EL素子の間に形成されることになる。
発光点115からの伝播光116は、ブラックマトリックス113の開口部から有機EL素子の外部に放射される。また、有機EL素子の外部に取り出したい波長において、回折光118は、ブラックマトリックス113の開口部から有機EL素子の外部に放射されるように、光導波路中の導波光117に対して負の回折角度になるよう調整されている。
図11(b)は、本発明の有機EL素子に、外光が垂直に近い角度で入射する場合の図である。入射光(垂直近傍)122のうち、発光領域への入射光123は、円偏光フィルター114により反射光124が防止される。また、周期構造103の上方部への入射光125は、ブラックマトリックス113によって吸収されるために反射が防止される。
図11(c)は、本発明の有機EL素子に、外光が斜め方向から入射する場合の図である。斜め入射光126は、円偏光フィルター114を透過し円偏光となり、その後、周期構造103に反射して斜め反射光127となる。斜め反射光127は、周期構造103によって円偏光状態から楕円偏光となるが、ブラックマトリックス113によって吸収されるため、反射が防止される。
このように、本発明によれば、周期構造103を配置して光取り出し効率を向上させると同時に、外光入射に対する反射光を低減でき、よりコントラストを上げることも可能である。
以下では、周期構造に関してより詳しい説明を行う。
本発明において、周期構造とは凹凸を有し、発光層で発生して、上述の面内方向に導波する光を、凹凸部分により回折することができ、有機EL素子等の発光素子の外に回折された光を取り出すことが可能な構造を表す。回折条件については、後述する。
図8に示すように、発光層108で発生した光の一部は、導波光117となり、光導波路を伝わり、周期構造103によって光取り出し側に回折光118として有機EL素子の外部に取り出される。
図9(a)に示すように、本発明の有機EL素子では、発光層下面の内周縁の少なくとも一部と基板との間に形成する。ここで、周期構造103の周期を規定する2つの基本格子ベクトルをa1、a2とする。また、これらの基本格子ベクトルa1、a2に対し、下記式1の関係を満たす基本逆格子ベクトルをb1、b2とする。
有機化合物層112中の発光層108からの発光ピーク波長をλとし、波数をk=2π/λとする。また、光導波路(201、202に相当)の屈折率をn、光取り出し側媒体(通常は空気)の屈折率をnextとし、条件n>nextを満たすとする。
光導波路を伝播する導波光117に対する上述の面内方向(基板と他の層との接触面に水平な方向)への伝播係数をβとし、導波光117に対する有効屈折率neff及び有効吸収係数κeffを、下記式2により定義する。有効屈折率neffは、条件next<neff<nを満たすとする。
このとき、回折条件は、基板と他の層との接触面に水平な方向の位相整合条件から、2つの整数m1、m2を回折次数とし、基板法線方向に対する回折角度をθとして、条件next<neff<nのもとで、下記式3で与えられる。
正方格子の場合は、周期をaとして、基本格子ベクトルは下記式4となり、基本逆格子ベクトルは下記式5となる。
このとき、数3の回折条件は、下記式6となる。
ここで、どちらか一方の1次元方向に着目し、m2=0(若しくは、m1=0)、及び|m1|=m>0(若しくは、|m2|=m>0)とする。このとき、上記式6の回折条件は、簡略化され下記式7となる。さらに、next<neff<nの関係を満たす場合、各m次の回折が生じるための回折条件は、下記式8となり、さらに、負の回折が生じるための条件は、下記式9となる。
m次の負の回折光のみを発生させたい場合の条件は、上記式9より、概ね下記式10で与えられる。
本発明の有機EL素子では、通常、光導波路として、屈折率がn=1.3乃至2.5程度の材料を用いる。また、光取り出し側の屈折率はnext=1.0乃至1.5程度である。よって、主に1次から3次程度の低次の負の回折光を利用する場合は、周期構造103の周期aは、概ね発光ピーク波長λの0.26倍乃至1.74倍が望ましい。可視光の波長域が380nm乃至780nmであることから、周期構造103の周期aは、100nm乃至1360nmであることが望ましい。なお、上述した具体例に限定されるものではない。
また、周期構造103は、2次元的なフォトニック結晶構造に限定されず、1次元的な回折格子の組み合わせや3次元的なフォトニック結晶構造でも良い。2次元的なフォトニック結晶構造は、凹型、凸型のどちらの構造で形成しても良い。さらに、異なる基本格子ベクトルを持つ複数の種類の周期構造を混在させても良い。周期構造103は、完全に周期的である必要はなく、準結晶構造やフラクタル構造、連続的に周期構造が変化する構造、不規則な散乱構造、若しくは周期構造とこれらを組み合わせたものでも良い。
ここで、光取り出し側の電極層を透明電極層(光透過電極層)とする構成においては、透明電極層(光透過電極層)と空気との接触面を反射面としている。また、光取り出し側の電極層を、金属半透明電極層と誘電体層との組み合わせにしても良い。さらには、光取り出し側に位置する反射面を、金属、透明電極層(光透過電極層)、誘電体層のいずれか、若しくは全部の組み合わせによる多層干渉膜とすることも可能である。
また、有機EL素子のコントラストを向上させるためブラックマトリックスを用いた場合、周期構造の形成領域201上にはブラックマトリックスが配置される。仮に周期構造の形成領域201から光が発光したとすると、垂直近傍の発光はブラックマトリックスに吸収され有機EL素子の輝度特性に寄与しない。そのため、周期構造の形成領域201が発光領域として機能すると、余分に電力を消費することになる。本発明では、周期構造の凹部と凸部の段差を調整することで周期構造の形成領域から光を発光させない程度まで周期構造上の2つの電極層の間を高抵抗化させる。そのため上記課題を解決することができる。
また、本発明では、発光層下面の内周縁の少なくとも一部と基板との間に位置するように周期構造を形成し、画素領域内に第1の電極層、有機化合物層、第2の電極層を形成することで、セルフアライン的に高抵抗領域(周期構造の形成領域)を形成できる。そのため、周期構造の非形成領域、即ち発光領域についても略設計どおりに形成でき、製造上の観点から見ても好ましいものとなる。
例えば、3インチVGAクラスの小型高精細パネルにおいては、1画素のサイズは30μm×90μm程度になる。そのサイズにおいて、隔壁の領域を除くと、画素領域は、例えば20μm×75μm程度になる。もし、露光アライメント精度/加工精度が±5μm程度だとすると、第1の電極層を、周期構造の非形成領域を満たすように形成することは非常に難しいことが推測される。このことからもセルフアライン的に高抵抗領域を形成でき、発光領域と分離できることは好ましい。
本発明において、発光層下面の内周縁の少なくとも一部と基板との間にどのように周期構造を配置するかは、第1の電極層及び第2の電極層の給電構成によって大きく2種類に区分される。
まず、第1の電極層及び第2の電極層への給電が隔壁105上から隣接画素を通じてされる場合は、各画素領域内において隣接画素から第1の電極層及び第2の電極層への給電領域を確保する必要がある。例えば、発光層下面の内周縁の全部と基板との間に、周期構造を形成するのではなく、第1の電極層及び第2の電極層の給電領域として周期構造の非形成領域を持たせる。ここでは、図12(a)(b)に示すように、画素領域の長辺軸のみ、また画素領域の短辺軸のみに周期構造を形成することを意味する。また、図12(c)に示すように、画素領域内の4角近傍203を避けて周期構造を形成しても良い。そうすることで、第1の電極層と第2の電極層の間が絶縁若しくは高抵抗化していない領域(周期構造の非形成領域)を、第1の電極層及び第2の電極層の給電パスとして機能させる。即ち、発光領域に対して周期構造の形成領域201が開ループ型形状となるよう周期構造を形成する。このとき、第1の電極層及び第2の電極層への給電を周期構造の形成領域の外部から行うのが好適である。
もう一つの場合としては、例えば、上述の基板面側からのコンタクトホール207を介して、第1の電極層及び第2の電極層への給電が各画素領域で独立にされる場合である。つまり、第1の電極層及び第2の電極層への給電を周期構造の形成領域の内部から行う場合である。その場合は、図12(d)に示すように、各画素領域の発光領域202を完全に囲い込む、即ち発光領域に対して周期構造の形成領域201が閉ループ型形状となるよう周期構造を形成する。
周期構造上の2つの電極層の間を絶縁させるには、周期構造として、閉ループ型形状の1次元周期構造を併用することが好ましい。1次元周期構造とは1軸に沿った周期構造であり、2次元周期構造とは特定の2軸に沿った周期構造を意味する。例えば、図13に示すように、2次元周期構造を取り囲むよう1次元周期構造を閉ループ型形状に配置する。こうすることで、周期構造の形成領域201が、周期構造の凹部と凸部の段差で複数回にわたって区切られることになり、第1の電極層と第2の電極層の間の絶縁性能がより高まる。また、2次元周期構造を取り囲む閉ループ型形状は、配置スペースにゆとりがあれば1次元周期構造でなくとも、外壁のような構造体でも構わない。つまり、周期構造の形成領域は、一種以上の周期構造で構成され、周期構造とそれを取り囲む外壁、若しくは周期構造とそれを取り囲む凹凸構造で構成されていても良い。
現実のホトリソ加工精度を考慮するならば、周期構造の形成領域が、隔壁105の領域に重なったとしても問題ない。むしろ、隔壁105の境界と、周期構造の形成領域201の境界を連続的にするためには、そちらの方が好ましい。
上記では、基板と反対側から光を取り出すトップエミッション構成の有機EL素子について説明したが、本発明の有機EL素子は、基板側から光を取り出すボトムエミッション構成にも好適に用いられる。
トップエミッション構成の場合は、基板の反対側へ光を取り出すためにガラス基板、反射電極層、発光層、透明電極層という順で設けられているのが一般的である。一方、ボトムエミッション構成の場合は、基板を透過して光を取り出すためガラス基板、透明電極層、発光層、反射電極層という順で設けられているのが一般的である。
ボトムエミッション構成及びトップエミッション構成は、夫々に長所、短所があり、アプリケーションに応じて適切に構成を選択する。反射電極層は、金属膜、若しくは透明電極と金属膜を併用した組み合わせでも問題なく、設計仕様を満たすように適宜選択することが可能である。そして、有機EL素子の大気との接触側には、吸湿材を内部に配したガラスキャップ、若しくは充分な防湿機能を有する封止膜が設置され、デバイスの雰囲気安定性を確保する。
次に、有機EL素子に用いられる各部材の材料について説明する。
基板材料としては、ガラス、Siウエハ、アルミナ等のセラミック、透明樹脂、ステンレスに絶縁膜を付けたもの等が用いられる。ボトムエミッション構成では、光透過性の良い部材を使用するのが好適である。基板上には、素子駆動用の配線(電源線、信号線、選択線、グランド線)、トランジスタ部(駆動素子部、選択素子部)、駆動素子部のトランジスタのゲート電圧を保持するための保持容量部、上記電子デバイスを各々導通させるための配線等を有する。前記配線等、トランジスタ部、及び保持容量部は、ホトリソ工程により形成・配置されている。
陽極層の材料としては、特に限定されないが、酸化インジウム錫合金(ITO)、酸化インジウム、酸化亜鉛系等の酸化物透明電極材料等が用いられる。また、陽極層は正孔を正孔輸送層に注入する役割を担うものであり、4.5eV以上の仕事関数を有するとより効果的である。
陰極層の材料としては、特に限定されないが、銀、インジウム、アルミニウム、マグネシウム等が用いられる。これらに限らず、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−スカンジウム−リチウム合金、マグネシウム−銀合金、並びにこれらの混合物等を用いても良い。また、陰極層は電子輸送帯域の有機化合物層又は発光層に電子を注入するため、仕事関数の小さい材料が好ましい。
ここで、これらの電極層は、陽極層、陰極層のうち何れかの電極層が可視光の領域において透明で、もう一方の電極層が高反射率を有するものとする。また、これらの電極層の厚さは電極として本来の機能を果たす厚さであれば、特に限定されないが、好ましくは0.02μm乃至2.00μmの範囲である。
本発明における有機EL素子の構造は、第1の電極層と第2の電極層の間に前述の有機化合物層を挟持した構造である。例えば、次のような構成等がある。(1)陽極層、発光層、陰極層。(2)陽極層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極層。(3)陽極層、正孔輸送層、発光層、陰極層。(4)陽極層、発光層、電子輸送層、陰極層。(5)陽極層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極層。前記(1)〜前記(5)等の構成において、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層に用いられる有機化合物は、特に限定されるものではないが、例えば、低分子材料、高分子材料もしくはその両方により構成される。さらに、必要に応じて無機化合物等を用いても良い。
正孔輸送性材料、発光材料、電子輸送材料としては、特に限定されず、従来の材料から任意に選択することができる。
正孔注入材料としては、MoO3,WO3,V2O5等の遷移金属酸化物や、銅フタロシアニン(Cupc)等が挙げられる。
電子注入材料としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属、もしくはその化合物等が挙げられ、前述した電子輸送性材料に、0.1%以上数十%以下含有させることにより、電子注入性を付与することが出来る。電子注入層は、必要不可欠な層ではないが、この後に、透明陰極層を形成する際の成膜時に受けるダメージを考慮すると、良好な電子注入性を確保するために10nm以上100nm以下程度挿入した方が好ましい。
陽極層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層、陰極層の成膜が終わった後に、酸素や水分等との接触を防止する目的で保護層が設けられる。保護層としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の金属窒化物膜や、酸化タンタル等の金属酸化物膜、ダイヤモンド薄膜、また、フッ素樹脂、ポリパラキシレン、ポリエチレン、シリコン樹脂、ポリスチレン樹脂等の高分子膜、さらには、光硬化性樹脂等が挙げられる。トップエミッション構成の場合には、光取り出し側の透明陰極層上に保護層が形成されるので、透湿度/透明度の仕様を満たす必要がある。
また、ガラス、気体不透過性フィルム、金属などをカバーし、適当な封止樹脂により素子自体をパッケージングすることもできる。また、防湿性を高める為に、保護層内に吸湿材を含有させても良い。
上記では、本発明の発光素子について説明してきたが、以下では、本発明の発光装置について説明する。
本発明の発光装置は、本発明の発光素子からなる画素を複数有する発光装置であって、各画素の各々の発光を制御する駆動回路を備えている。なお、本発明において、画素とは、独立して発光の制御が可能である最小の単位を示す。
また、本発明の発光装置は、表示装置として用いることができる。この場合には、複数の画素ユニットがマトリックス状に配列され、各画素ユニットは、発光色の異なる複数の画素、例えば、赤色発光画素、緑色発光画素及び青色発光画素で構成されるようにするのが良い。なお、画素ユニットとは、発光色の異なる複数の画素で構成され、各画素の混色によって所望の色の発光を可能とする最小の単位を示す。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限らない。
<実施例1>
図1は、本発明の有機EL素子の断面図である。
図1は、本発明の有機EL素子の断面図である。
図1の有機EL素子を、複数色(赤色(R)発光、緑色(G)発光、青色(B)発光)の副画素301(図4参照)に配置するために、以下の方法で図1の有機EL素子を作製した。
まず、基板101としてガラスを用い、基板101上に、低温ポリシリコンからなるTFT駆動回路(不図示)を形成し、その上にアクリル樹脂からなる平坦化膜(不図示)を形成して基板とした。
次に、基板101上に、反射膜102として、Ag合金を約150nmの膜厚でスパッタリングにより形成した。Ag合金からなる反射膜102は、可視光の波長域(λ=380nm乃至780nm)で分光反射率80%以上の高反射膜である。反射膜102としては、Ag合金以外に、Al合金などを用いても良い。続いて、反射膜102上に、ポジ型のレジストをスピンコートし、プリベークを行った後、レジストに、副画素毎に反射膜102が分離するようにパターンを露光し、現像、ポストベークを行い、レジストパターンを形成した。その後、エッチング加工により、反射膜102を副画素毎に分離し、レジストを除去した。
次に、反射膜102上に、周期構造103を形成した。具体的には、まず、ポジ型のレジストをスピンコートし、プリベークを行った後、レジストに、図3に示すような周期構造103のパターンを露光し、現像、ポストベークを行い、レジストパターンを形成した。その後、エッチング加工により、反射膜102の表面に形成された構造が周期構造103である。さらにその後、レジストを除去した。
本実施例の有機EL素子の周期構造103は、図3に示すような1次元構造とし、図2の形成領域201に、画素領域の4角部を避けるように形成し、発光領域における第2の電極層111の導通領域を確保した。また、各副画素の上下方向と左右方向とで周期構造の凹凸の周期(配列)を等しくした。そのため、有機EL素子を視認した場合、上下方向と左右方向とで同様の光学特性を得ることができ、視認性を高めることができる。
なお、本実施例では、赤色(R)副画素に配置する有機EL素子の周期構造は、凹凸の周期を345nm、凸部の一辺の長さを200nm、エッチング深さを95nmとした。緑色(G)副画素に配置する有機EL素子の周期構造は、凹凸の周期を250nm、凸部の一辺の長さを140nm、エッチング深さを95nmとした。青色(B)副画素に配置する有機EL素子の周期構造は、凹凸の周期を200nm、凸部の一辺の長さを140nm、エッチング深さを95nmとした。後述するように、実施例1では、有機EL素子における電子輸送層と電子注入層と第2の電極層111の合計の厚さを90nmとしたため、周期構造の凹部と凸部の段差(エッチング深さ)としては90nmを超えるようにした。
次に、反射膜102及び周期構造103上に、第1の電極層104を形成した。具体的には、まず、透明導電性材料であるITO膜を80nmの膜厚でスパッタリングにより形成した。このとき、前記ITO膜の屈折率は2.0であった。続いて、前記ITO膜上に、ポジ型のレジストをスピンコートし、プリベークを行った後、レジストに、画素領域を覆うようにパターンを露光し、現像、ポストベークを行い、レジストパターンを形成した。その後、エッチング加工により、反射膜102及び周期構造103上に形成された層が第1の電極層104である。さらにその後、レジストを除去した。
続いて、反射膜102、周期構造103、及び第1の電極層104の側面に接するように、基板101上に、隔壁105として、アクリル樹脂を形成し、陽極層付き基板101を作製した。これをイソプロピルアルコール(IPA)で超音波洗浄した後、煮沸洗浄後乾燥した。その後、UV/オゾン洗浄してから有機化合物を真空蒸着により成膜した。
次に、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各副画素に配置する有機EL素子の有機化合物層112を以下に示す作製で形成した。
まず、洗浄された第1の電極層104(陽極層)上に、正孔輸送層として、FL03を成膜した。このとき、色ごとに膜厚を異ならせるためにシャドーマスクを用い、赤色(R)副画素に配置する有機EL素子の正孔輸送層の膜厚を190nm、緑色(G)副画素に配置する有機EL素子の正孔輸送層の膜厚を130nmとした。また、青色(B)副画素に配置する有機EL素子の正孔輸送層の膜厚を80nmとした。各色の成膜時の真空度は1×10-4Pa、蒸着レートは、0.2nm/secである。
次に、各色の発光層を、シャドーマスクを用いて成膜した。このとき、赤色(R)副画素に配置する有機EL素子の発光層としては、ホストとしてCBPと、発光性化合物Ir(piq)3を共蒸着して30nmの膜厚で形成した。緑色(G)副画素に配置する有機EL素子の発光層としては、ホストとしてAlq3と、発光性化合物クマリン6を共蒸着して40nmの膜厚で形成した。青色(B)副画素に配置する有機EL素子の発光層としては、BAlqを蒸着して35nmの膜厚で形成した。各色の蒸着時の真空度は、概ね1×10-4Pa、成膜速度は0.2nm/sec程度である。
続いて、共通の電子輸送層として、バソフェナントロリン(Bphen)を10nmの膜厚で真空蒸着法により形成した。蒸着時の真空度は1×10-4Pa、成膜速度は0.2nm/secの条件である。
次に、共通の電子注入層として、BphenとCs2CO3を20nmの膜厚で共蒸着(重量比90:10)により形成した。蒸着時の真空度は3×10-4Pa、成膜速度は0.2nm/secの条件である。
続いて、電子注入層まで形成した基板を、真空を破ることなしにスパッタ装置に移動させ、第2の電極層111の半透明膜として、IZO膜を60nmの膜厚でスパッタリングにより形成した。
さらに、有機EL素子の周辺部に吸湿剤を配置し、エッチングされたキャップガラスで封止した。
前記封止後の状態で、所望画素の有機EL素子へ通電させ、有機EL素子の発光特性を観察した。すると、周期構造の形成領域201は発光していないことを確認できた。
その後、周期構造の形成領域201及び隔壁105の上に、ブラックマトリックス113を配置し、その上に円偏光フィルター114を配置して、有機EL素子を得た。
このようにして作製した有機EL素子の発光強度を評価したところ、周期構造を有さない有機EL素子と比べ、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各副画素に配置される有機EL素子の全てにおいて、約1.5倍の発光強度を得ることができた(比較例1参照)。外光に対するコントラスト特性についても、ほぼ同等の特性を得ることができた。
以上のように、本発明によれば、有機EL素子の発光に必要な電力を少なくし、かつ光取り出し効率を向上させることができる。
<実施例2>
実施例2において、有機EL素子の周期構造は、図5(b)に示す2次元配置(細密充填)と1次元配置を組み合わせたものとする。図5(b)は図5(a)の周期構造の形成領域の一部206を拡大模擬したものである。周期構造の形成領域201は、実施例1と異なり発光領域202に対して閉ループ型形状となるように形成した。この場合の第2の電極層111への給電は、各画素の発光領域202内の基板側からコンタクトホールを介して行なう。
実施例2において、有機EL素子の周期構造は、図5(b)に示す2次元配置(細密充填)と1次元配置を組み合わせたものとする。図5(b)は図5(a)の周期構造の形成領域の一部206を拡大模擬したものである。周期構造の形成領域201は、実施例1と異なり発光領域202に対して閉ループ型形状となるように形成した。この場合の第2の電極層111への給電は、各画素の発光領域202内の基板側からコンタクトホールを介して行なう。
有機EL素子の構成としては、実施例1と同等であるが、上部陰極をIZO膜(60nm)からAg(24nm)に変更した。電子輸送層+電子注入層+第2の電極層111の合計厚さは54nmであり、周期構造の高さは54nmより大きい95nmとした(実施例1と同様)。Agを用いることで、膜厚方向における干渉効果を強めると共に、周期構造の形成領域201に導波する光強度についても高めることができる。
周期構造の構成については、2次元の周期方向205と1次元の周期方向204が異なる格子とする。この場合は、方向によって視認性を調整することが可能となり、上下方向、左右方向と斜め方向とにおいて、視認性を高めることができる。
本実施例における有機EL素子の作製方法は、実施例1とほぼ同様である。
有機EL素子の周辺部に吸湿剤を配置し、エッチングされたキャップガラスで封止した状態で所望画素の有機EL素子へ通電させ、その発光特性を観察した。すると、周期構造の形成領域201は発光していないことを確認できた。
その後、周期構造の形成領域及び隔壁上にブラックマトリックスを配置し、その上に円偏光フィルターを配置し、有機EL素子を得た。
このようにして作製した有機EL素子の発光強度を評価したところ、周期構造を有さない有機EL素子と比べ、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各副画素に配置される有機EL素子の全てにおいて、約1.7倍の発光強度を得ることができた(比較例1参照)。外光に対するコントラスト特性についても、ほぼ同等の特性を得ることができた。
以上のように、本発明によれば、実施例1と同様に、有機EL素子の発光に必要な電力を少なくし、かつ光取り出し効率を向上させることができる。
<比較例1>
図6は、比較例1の有機EL素子の断面図である。比較例1として、図6に示すように、周期構造を有さない例を説明する。
図6は、比較例1の有機EL素子の断面図である。比較例1として、図6に示すように、周期構造を有さない例を説明する。
比較例1では、反射膜102上に周期構造を形成しない以外は、実施例1と同様に有機EL素子を形成する。
比較例1では、反射膜102として、Ag合金を約150nmの膜厚でスパッタリングにより形成し、副画素毎に反射膜102が分離するようにパターニングを行った後、反射膜102に周期構造パターンを形成しなかった。すなわち、比較例1は、周期構造を有さない構成とされている。
その後、キャップガラスで封止する工程までは、実施例1と同様に行う。そして、隔壁上にブラックマトリックス113を配置し、その上に円偏光フィルター114を配置し、有機EL素子を得た。
このようにして作製した有機EL素子の発光強度を評価したところ、実施例1及び実施例2の有機EL素子と比べて、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各副画素に配置される有機EL素子の全てにおいて、発光強度が小さくなった。
101:基板、103:周期構造、104:第1の電極層、108:発光層、109:電子輸送層、111:第2の電極層、117:導波光、118:回折光、119:周期構造の凹部と凸部の段差、201:周期構造の形成領域、202:発光領域
Claims (7)
- 基板側から順に第1の電極層と、発光層を含む有機化合物層と、第2の電極層とを有する発光素子であって、
前記発光層下面の内周縁の少なくとも一部と基板との間には、凹凸からなる周期構造が配置され、
前記周期構造上の前記2つの電極層の間が電気的に絶縁している、若しくは前記周期構造上の前記2つの電極層の間にかかる電圧が発光閾値電圧以下となることを特徴とする発光素子。 - 前記周期構造上の前記2つの電極層の少なくとも一方は、前記周期構造の凹凸を反映した凹凸からなることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
- 前記発光素子は、
前記周期構造の凹部と凸部の段差が、前記2つの電極層のいずれかの膜厚よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の発光素子。 - 前記第2の電極層が陰極であり、
前記発光層と前記第2の電極層との間に電子輸送層を有し、
前記周期構造の凹部と凸部の段差が、前記電子輸送層から前記第2の電極層までの全ての層の合計膜厚よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の発光素子。 - 前記周期構造の形成領域は、前記第1の電極層及び前記第2の電極層への給電が前記周期構造の形成領域の外部からされる場合には、開ループ型形状とする、また前記第1の電極層及び前記第2の電極層への給電が前記周期構造の形成領域の内部からされる場合には、閉ループ型形状とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の発光素子。
- 前記周期構造の形成領域は、一種以上の周期構造で構成され、周期構造とそれを取り囲む外壁、若しくは周期構造とそれを取り囲む凹凸構造が配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の発光素子。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の発光素子を複数有することを特徴とする発光装置。
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-
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