JP2006100187A - 有機el表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】有機EL表示装置の光の取り出し効率を高めること。
【解決手段】本発明の有機EL表示装置1は、互いに向き合った一対の電極41,43とそれら電極41,43間に介在すると共に発光層を含んだ有機物層42とを備えた有機EL素子40と、前記有機EL素子40と向き合った光取り出し層30とを具備し、前記光取り出し層30の二次元周期配列にバンドギャップ制御部33が導入されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の有機EL表示装置1は、互いに向き合った一対の電極41,43とそれら電極41,43間に介在すると共に発光層を含んだ有機物層42とを備えた有機EL素子40と、前記有機EL素子40と向き合った光取り出し層30とを具備し、前記光取り出し層30の二次元周期配列にバンドギャップ制御部33が導入されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置に関する。
有機EL表示装置は自己発光表示装置であるため、視野角が広く、応答速度が速い。また、バックライトが不要であるため、薄型軽量化が可能である。これらの理由から、近年、有機EL表示装置は、液晶表示装置に代わる表示装置として注目されている。
有機EL表示装置の主要部である有機EL素子は、光透過性の前面電極と、これと対向した光反射性または光透過性の背面電極と、それらの間に介在するとともに発光層を含んだ有機物層とで構成されている。有機EL素子は、有機物層に電気を流すことにより発光する電荷注入型の自発光素子である。
ところで、有機EL素子の輝度は、これに流す電流の大きさに応じて増加する。しかしながら、電流密度を高めると、消費電力が大きくなるのに加え、有機EL素子の寿命が著しく短くなる。したがって、高輝度、低消費電力、長寿命を同時に実現するには、有機EL素子が放出する光を有機EL表示装置の外部へとより効率的に取り出すこと,すなわち光の取り出し効率を向上させること,が重要である。
なお、以下の特許文献1には、本発明に関連した技術が記載されている。但し、この文献に記載されている技術は、光通信に関するものである。
特開2004−30964号公報
本発明の目的は、有機EL表示装置の光の取り出し効率を高めることにある。
本発明の一側面によると、互いに向き合った一対の電極とそれら電極間に介在すると共に発光層を含んだ有機物層とを備えた有機EL素子と、前記有機EL素子と向き合った光取り出し層とを具備し、前記光取り出し層の二次元周期配列にバンドギャップ制御部が導入されていることをを特徴とする有機EL表示装置が提供される。
本発明によると、有機EL表示装置の光の取り出し効率を高めることが可能となる。
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一態様に係る有機EL表示装置を概略的に示す断面図である。図2は、図1の有機EL表示装置で使用可能な光取り出し層の一例を概略的に示す平面図である。図1では、有機EL表示装置1を、その表示面,すなわち前面又は光出射面,が下方を向き、背面が上方を向くように描いている。
図1に示す有機EL表示装置1は、アクティブマトリクス型駆動方式を採用した下面発光型の有機EL表示装置である。この有機EL表示装置1は、例えば、ガラス基板などのように光透過性を有する絶縁基板10を含んでいる。
絶縁基板10上では、複数の画素がマトリクス状に配列している。各画素は、画素回路と有機EL素子40とを含んでいる。
画素回路は、例えば、一対の電源端子間で有機EL素子40と直列に接続された駆動制御素子(図示せず)及び出力制御スイッチ20と、画素スイッチ(図示せず)とを含んでいる。駆動制御素子は、その制御端子が画素スイッチを介して映像信号線(図示せず)に接続されており、映像信号線から供給される映像信号に対応した大きさの電流を出力制御スイッチ20を介して有機EL素子40へ出力する。また、画素スイッチの制御端子は走査信号線(図示せず)に接続されており、走査信号線から供給される走査信号によりスイッチング動作が制御される。なお、これら画素には、他の構造を採用することも可能である。
基板10上には、アンダーコート層12として、例えば、SiNx層とSiOx層とが順次積層されている。アンダーコート層12上には、例えばチャネル及びソース・ドレインが形成されたポリシリコン層である半導体層13、例えばTEOS(TetraEthyl OrthoSilicate)などを用いて形成され得るゲート絶縁膜14、及び例えばMoWなどからなるゲート電極15が順次積層されており、それらはトップゲート型の薄膜トランジスタ(以下、TFTという)を構成している。この例では、これらTFTは、画素スイッチ、出力制御スイッチ20、駆動制御素子のTFTとして利用している。また、ゲート絶縁膜14上には、ゲート電極15と同一の工程で形成可能な走査信号線(図示せず)がさらに配置されている。
ゲート絶縁膜14及びゲート電極15は、例えばプラズマCVD法などにより成膜されたSiOxなどからなる層間絶縁膜17で被覆されている。層間絶縁膜17上にはソース・ドレイン電極21が配置されており、それらは、例えばSiNxなどからなるパッシベーション膜18で埋め込まれている。ソース・ドレイン電極21は、例えば、Mo/Al/Moの三層構造を有しており、層間絶縁膜17に設けられたコンタクトホールを介してTFTのソース・ドレインに電気的に接続されている。また、層間絶縁膜17上には、ソース・ドレイン電極21と同一の工程で形成可能な映像信号線(図示せず)がさらに配置されている。
パッシベーション膜18上には、平坦化層19が形成されている。平坦化層19の材料としては、例えば、硬質樹脂を使用することができる。
平坦化層19上には、光取り出し層30が配置されている。光取り出し層30は、二次元フォトニック結晶構造に部分的に結晶構造の周期性を乱すバンドギャップ制御部33を配して構成される。二次元フォトニック結晶構造とは、内部に周期的な屈折率分布をもつ結晶構造をいい、光子エネルギーに対しバンド構造が形成される。つまり、層内で屈折率を変化させた領域を周期的に配列することで、二次元平面内でフォトニックバンドを有する構造をいう。
光取り出し層30は、第1屈折率領域31と、第1屈折率領域31内に第1屈折率領域とは屈折率の異なる部分が周期的に配列してなる第2屈折率領域32と、第2屈折領域の周期配列に導入され、その周期性を乱すバンドギャップ制御部33を含んでいる。例えば、第2屈折率領域32は、正方格子又は三角格子などの周期構造を形成している。
第2屈折率領域32の各部分は、典型的には、円柱状などの柱状であり、その高さ方向は光取り出し層30の主面に略垂直である。
また、バンドギャップ制御部33は、例えば、第1領域31と同一の材料からなる。
光取り出し層30上には、光透過性の第1電極41が互いから離間して並置されている。各第1電極41は、パッシベーション膜18、平坦化層19、光取り出し層30に設けた貫通孔を介して、ドレイン電極21に接続されている。
第1電極41は、この例では陽極である。第1電極41の材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)のような透明導電性酸化物を使用することができる。
光取り出し層30上には、さらに、隔壁絶縁層50が配置されている。この隔壁絶縁層50には、第1電極41に対応した位置に貫通孔が設けられている。隔壁絶縁層50は、例えば、有機絶縁層であり、フォトリソグラフィ技術を用いて形成することができる。
隔壁絶縁層50の貫通孔内で露出した第1電極41上には、発光層を含んだ有機物層42が配置されている。発光層は、例えば、発光色が赤色、緑色、または青色のルミネセンス性有機化合物を含んだ薄膜である。この有機物層42は、発光層以外の層をさらに含むことができる。例えば、有機物層42は、第1電極41から発光層への正孔の注入を媒介する役割を果たすバッファ層をさらに含むことができる。また、有機物層42は、正孔輸送層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層などもさらに含むことができる。
隔壁絶縁層50及び有機物層42は、光透過性の第2電極43で被覆されている。第2電極43は、この例では、各画素共通に連続して設けられた陰極である。第2電極43は、パッシベーション膜18、平坦化層19、光取り出し層30、隔壁絶縁層50に設けられたコンタクトホール(図示せず)を介して、映像信号線と同一の層上に形成された電極配線に電気的に接続されている。
それぞれの有機EL素子40は、これら第1電極41、有機物層42、及び第2電極43で構成されている。有機EL素子40は、発光層が放出する光が共振するマイクロキャビティ構造の少なくとも一部を形成していてもよい。
図1に示す有機EL表示装置1では、通常、水分や酸素などとの接触により有機EL素子40が劣化するのを防止するために、ガラス基板などによる中空封止又は保護膜封止を行う。また、この有機EL表示装置1では、通常、有機EL素子40及び光取り出し層30の前面側,典型的には表示面上,に光散乱層及び偏光板を配置する。
上記の通り、この有機EL表示装置1では、光取り出し層30を、有機EL素子40に隣接して配置している。バンドギャップ制御部33の大きさは、フォトニック結晶構造のバンドギャップを形成しない程度の大きさで形成することにより、フォトニック結晶内を伝播する光を出射することができ、発光強度を増加させることが可能となる。バンドギャップを形成しない程度の大きさとは、選択波長の1/2程度の大きさである。
また、バンドギャップ制御部33は、第2屈折率領域32の周期の最小単位の距離を1周期としたときに、3〜10周期毎に配置される。バンドギャップ制御部の周期が3周期以下であると、本来の選択波長に対する選択性が弱く、選択波長の取り出し効果が低減する。また、10周期以上であると、非選択波長が減衰するため、全光束での強度が小さくなる。このようにバンドギャップ制御部の周期を3周期以上10周期以下とすることで、伝播する光の減衰が小さく取り出すことができる。
また、バンドギャップ制御部33は、周期的に配置してもよく、あるいは、非周期的に配置してもよい。バンドギャップ制御部33を周期的に配置すれば、バンドギャップ制御部33からの出射光の強度を均一化することができる。また、非周期的に配置する場合には、バンドギャップ制御部33および非バンドギャップ制御部の発光強度の違いに起因するモアレを解消することが可能となる。
図1及び図2には、バンドギャップ制御部33の材料と第1屈折率領域31の材料とを同一とした例を示したが、それら材料は異なっていてもよい。例えば、バンドギャップ制御部33の材料と第2屈折率領域32の材料とを同一とし且つバンドギャップ制御部33と第2屈折率領域32とで寸法を異ならしめてもよい。
図1の光取り出し層30では、第1屈折率領域31は複数の貫通孔が設けられた薄膜であり、第2屈折率領域32は先の貫通孔を埋め込むと共に第1屈折率領域31によって互いから離間している。第1屈折率領域31及び第2屈折率領域32は、他の形状を有していてもよい。
例えば、第1屈折率領域31は、上面であって上記貫通孔に対応した位置に凹部が設けられた薄膜であってもよい。この場合、第2屈折率領域32は、第1屈折率領域31の上面全体を被覆していてもよく、或いは、先の凹部のみを埋め込んでいてもよい。或いは、第2屈折率領域32は、上面であって上記貫通孔に対応した位置に凸部が設けられた薄膜であってもよい。この場合、第2屈折率領域32は、第2屈折率領域32の上面全体を被覆していてもよく、或いは、先の凸部間の間隙のみを埋め込んでいてもよい。
また、図1には下面発光型の有機EL表示装置1を例示したが、本態様に係る有機EL表示装置は上面発光型であってもよい。
図3は、図1に示す有機EL表示装置の変形例を概略的に示す断面図である。図3では、有機EL表示装置1を、その表示面,すなわち前面又は光出射面,が上方を向き、背面が下方を向くように描いている。
図3に示す有機EL表示装置1は、アクティブマトリクス型駆動方式を採用した上面発光型の有機EL表示装置である。この有機EL表示装置1は、以下の構成を採用したこと以外は、図1の有機EL表示装置1と同様の構造を有している。
すなわち、図3の有機EL表示装置1では、平坦化層19と光取り出し層30との間に、例えばAlなどからなる反射層70が、有機EL表示装置40と向き合うように配置されている。また、図3の有機EL表示装置1では、第2電極43は光透過性である。この有機EL表示装置1でも、図1の有機EL表示装置1と同様、発光層が放出する光を、有機EL表示装置1の外部へと、高い効率で取り出すことができる。
図3の有機EL表示装置1では、有機EL素子40との積層体がマイクロキャビティ構造を形成していてもよく、反射層70と光取り出し層30と有機EL素子40との積層体がマイクロキャビティ構造を形成していてもよい。マイクロキャビティ構造とフォトニック結晶構造とを組合せることにより、斜め方向に出射する光に対し、発光強度の増加効果が高まる。そして、フォトニック結晶構造にバンドギャップ制御部を有することで、正面方向に出射する光は無条件に出射されるため全光束を増加させることができる。このように、反射層70上に光取り出し層30を配置することで、マイクロキャビティ効果が増強される。
図3の有機EL表示装置1では、平坦化層19と第1電極41との間に光取り出し層30を配置しているが、光取り出し層30は第2電極43上に配置してもよい。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例)
本例では、以下の方法により、図1の有機EL表示装置1を作製した。
(実施例)
本例では、以下の方法により、図1の有機EL表示装置1を作製した。
まず、ガラス基板10のアンダーコート層12が形成された面に対し、通常のTFT形成プロセスと同様に成膜とパターニングとを繰り返し、TFT20、層間絶縁膜17、電極配線(図示せず)、ソース・ドレイン電極21、及びパッシベーション膜18を形成した。
次に、図3に示すように、パッシベーション膜18上に、硬質樹脂からなる平坦化層19を形成した。続いて、この平坦化層19上に、マスクスパッタリング法により、Alからなる反射層70を形成した。
次いで、平坦化層19及び反射層70上にSiO2膜を成膜した。これをパターニングすることにより、第2屈折率領域32を形成した。ここでは、各第2屈折率領域32は、直径が10nmであり且つ高さが100nmの円柱形とした。また、第2屈折率領域32が形成する二次元周期配列は、図2に示すように正方格子状とし、バンドギャップ制御部33は5周期毎に設けた。
続いて、第2屈折率領域32間の間隙を、第2屈折率領域32と比較して屈折率がより小さな材料(屈折率〜1.2)で埋め込んだ。これにより、第1屈折率領域31を形成した。以上のようにして、光取り出し層30を得た。
次に、光取り出し層30上に、マスクスパッタリング法を用いてITOを堆積させることにより第1電極41を得た。第1電極41の厚さは、5nmとした。
次いで、基板11の第1電極41を形成した面に、感光性樹脂を塗布し、得られた塗膜をパターン露光及び現像した。これにより、第1電極41の位置で開口した隔壁絶縁層50を形成した。
次に、第1電極41上に、蒸着法により、CuPc、α−NPD、Alqを順次堆積して、有機物層42を形成した。続いて、有機物層42上に、蒸着法により、アルカリ金属及びAlを順次堆積して、第2電極を形成した。
さらに、ガラスからなる封止基板(図示せず)を用いて有機EL素子40を封止した。なお、封止基板の内面には乾燥剤(図示せず)を貼り付けた。以上のようにして、図1に示す有機EL表示装置1を完成した。
(比較例)
光取り出し層30にバンドギャップ制御部33を導入しなかったこと以外は、上記実施例で説明したのと同様の方法により有機EL表示装置1を作製した。
光取り出し層30にバンドギャップ制御部33を導入しなかったこと以外は、上記実施例で説明したのと同様の方法により有機EL表示装置1を作製した。
次に、同一条件のもと、実施例及び比較例に係る有機EL表示装置1で画像を表示し、これら有機EL表示装置1が放出する全光束を測定した。その結果、実施例に係る有機EL表示装置1が放出する全光束は、比較例に係る有機EL表示装置1が放出する全光束の1.2倍であった。
1…有機EL表示装置、10…絶縁基板、12…アンダーコート層、13…半導体層、14…ゲート絶縁膜、15…ゲート電極、17…層間絶縁膜、18…パッシベーション膜、19…平坦化層、20…出力制御スイッチ、21…ソース・ドレイン電極、30…光取り出し層、31…第1屈折率領域、32…第2屈折率領域、33…バンドギャップ制御部、40…有機EL素子、41…第1電極、42…有機物層、43…第2電極、50…隔壁絶縁層。
Claims (6)
- 互いに向き合った一対の電極とそれら電極間に介在すると共に発光層を含んだ有機物層とを備えた有機EL素子と、前記有機EL素子と向き合った光取り出し層とを具備し、前記光取り出し層の二次元周期配列にバンドギャップ制御部が導入されていることを特徴とする有機EL表示装置。
- 前記光取り出し層は、前記有機EL素子の前面側に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置。
- 前記有機EL素子と向き合った反射層をさらに具備し、前記光取り出し層は、前記有機EL素子と前記反射層との間に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置。
- 前記有機EL素子は前記発光層が放出する光が共振するマイクロキャビティ構造の少なくとも一部を形成していることを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置。
- 前記二次元周期配列には前記バンドギャップ制御部が周期的に導入されていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置。
- 前記二次元周期配列には前記バンドギャップ制御部がランダムに導入されていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置。
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