JP2014159926A - 熱機関駆動式蒸気圧縮式ヒートポンプシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原動機2を冷媒を圧縮する圧縮機11の動力源として利用する圧縮式ヒートポンプ回路10と、原動機2の排熱を再生器21の熱源として利用する吸収式ヒートポンプ回路20とを備え、圧縮式ヒートポンプ回路10において蒸発した冷媒を吸収式ヒートポンプ回路20の吸収器22に循環し、再生器21による再生後に冷媒を分離し、この冷媒を圧縮式ヒートポンプ回路10内を循環するよう構成し、吸収式ヒートポンプ回路20の再生器21により再生した冷媒を圧縮式ヒートポンプ回路10の圧縮機11の吸込口11Aに供給するように構成し、再生器21に供給する排熱の温度を検出する温度センサ62が検出した排熱の温度が、所定温度に保たれるように吸収液の循環ポンプを制御する制御手段60とを備えた。
【選択図】図1
Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、吸収式ヒートポンプ回路の効率低下を抑制した自己排熱利用自己完結型の熱機関駆動式蒸気圧縮式ヒートポンプシステムを提供することを目的とする。
図1は、本実施形態に係る熱機関駆動式蒸気圧縮式ヒートポンプシステムを示す回路図である。図2は、再生器及び気液分離器を示す模式図である。
熱機関駆動式蒸気圧縮式ヒートポンプシステム1は、エンジン(原動機、熱機関)2の軸出力を、冷媒を圧縮する圧縮機11の動力源として利用する圧縮式ヒートポンプ回路10と、エンジン2の排熱を、吸収液を加熱する再生器21の熱源として利用する吸収式ヒートポンプ回路20とを備えた、いわゆるハイブリッドシステムである。
利用側熱交換器12は、冷媒の冷熱又は温熱を図示しない熱負荷に供給する熱交換器であり、冷媒の冷熱又は温熱を放熱する放熱装置12A(例えば、ファン)を有している。放熱装置12Aには、熱負荷に供給する熱の温度を検出する温度センサ61が設けられている。
放熱器13は、冷媒の熱を放熱するものであり、当該放熱器13の熱を放熱する放熱装置13A(例えば、ファン)を有している。
なお、図1中、放熱装置12Aを含めた利用側熱交換器12及び膨張弁14は熱機関駆動式蒸気圧縮式ヒートポンプシステム1の室内機1Aを構成し、その他の構成部品は熱機関駆動式蒸気圧縮式ヒートポンプシステム1の室外機1Bを構成している。
冷熱運転時には、四方弁15が、圧縮機11の吸込側を利用側熱交換器12に、圧縮機11の吐出側を放熱器13にそれぞれ連通するように切り替えられる。
利用側熱交換器12において蒸発した冷媒蒸気は、冷媒熱交換器17を経由して吸収器22に供給され、吸収器22において吸収液に吸収される。冷媒を吸収した濃吸収液は、循環ポンプP1によって吸収液熱交換器24を経由して再生器21に供給される。この濃吸収液は、図2に示すように、再生器21の冷却水用伝熱管21A内を流通するエンジン冷却水から吸熱して再生温度まで加熱される。加熱された濃吸収液は、気液分離器23に供給され、気液分離器23において冷媒蒸気が分離される。冷媒蒸気が分離された稀吸収液は、図1に示すように、吸収液熱交換器24に供給され、吸収液熱交換器24において濃吸収液管41を流通する濃吸収液を加熱し、吸収器22に戻される。
放熱器13において蒸発した冷媒蒸気は、冷媒熱交換器17を経由して吸収器22に供給される。吸収式ヒートポンプ回路20における冷媒の再生は冷熱運転時と同様であるため、ここでは説明を省略する。
吸収式ヒートポンプ回路20において再生された冷媒蒸気は、圧縮機11において圧縮されて高温高圧状態となり、高温高圧状態の冷媒は利用側熱交換器12において熱負荷に放熱して冷却される。冷却された冷媒は、膨張弁14において膨張して低温低圧状態となり、冷媒熱交換器17において放熱器13の下流側の冷媒蒸気によって冷却され、放熱器13において蒸発する。そして、放熱器13において蒸発した冷媒蒸気は、再度、冷媒熱交換器17を経由して吸収器22に供給されるという循環を繰り返す。
これに対し、例えば、吸収式ヒートポンプ回路の再生器により再生した冷媒が、圧縮式ヒートポンプ回路の圧縮機の吐出口に供給されるように、圧縮式ヒートポンプ回路と吸収式ヒートポンプ回路とをパラレルに配置する場合には、圧縮式ヒートポンプ回路と吸収式ヒートポンプ回路の高圧を合わせる必要がある。
本実施形態では、圧縮式ヒートポンプ回路10と吸収式ヒートポンプ回路20とをシリーズに配置しているため、圧縮式ヒートポンプ回路10と吸収式ヒートポンプ回路20の高圧を合わせる機構を設ける必要がなく、構成を簡素化することができる。
より詳細には、バイパス管35には、当該バイパス管35を開閉するバイパス弁16が設けられている。バイパス弁16は、バイパス管35を流れる冷媒の流量を制御する制御弁であり、このバイパス弁16により、バイパス管35を流れる冷媒の流量、及び、冷媒管33を流れる吸収器22に流れる冷媒の流量が制御されることとなる。なお、以下の説明では、冷媒管33の冷媒流量をFa、バイパス管35の冷媒流量をFbとし、冷媒の流量比をFa/(Fa+Fb)とする。また、エンジン冷却水管51の再生器21入口側にはエンジン冷却水温度(再生器21に供給する排熱の温度)を検出する温度センサ62が設けられており、制御装置60は温度センサ62が検出した温度に基づいてバイパス弁16を制御する。
図1及び図3に示すように、制御装置60は、熱機関駆動式蒸気圧縮式ヒートポンプシステム1の始動時には、バイパス弁16を全開にしてエンジン2を始動し、エンジン冷却水が所定の温度(例えば、45℃)に到達した後に、循環ポンプPを作動させ、その後、バイパス弁16を除々に閉止方向に制御し、定格運転状態で完全に閉止させる。これにより、エンジン2を立ち上がり時等に、吸収式ヒートポンプ回路20側に冷媒が過剰に送られることが防げるので、適切な量の冷媒を吸収器22に送ることが可能になる。
熱機関駆動式蒸気圧縮式ヒートポンプシステム1では、エンジン2での燃料消費量を増減すると排熱量も比例して増減するため、圧縮式ヒートポンプ回路のみの場合よりもエンジン冷却水の排熱活用分だけ能力変動は大きくなる。したがって、制御装置60は、熱負荷の負荷変動に対して、圧縮式ヒートポンプ回路のみの場合よりも、熱機関駆動式蒸気圧縮式ヒートポンプシステム1の全能力に対する吸収式ヒートポンプ回路20への排熱利用の寄与比率分(本実施形態では、25%程度)だけ、エンジン2の動力源(本実施形態では、燃料)の入力変化を小さくするように制御している。これにより、エンジン2の動力源の入力を変化させた場合に、熱負荷に供給する冷熱又は温熱が急激に変化することを防止できる。なお、制御装置60は、圧縮式ヒートポンプ回路10の利用側熱交換器12から熱負荷に供給する冷熱又は温熱の熱容量を制御する熱容量制御手段として機能している。
このように、熱機関駆動式蒸気圧縮式ヒートポンプシステム1は、エンジン2の排熱利用のみで吸収式ヒートポンプ回路20を作動可能であり、排熱利用自己完結型であると言える。したがって、熱機関駆動式蒸気圧縮式ヒートポンプシステム1では、外部(熱負荷)への接続を、通常のガスヒートポンプ(GHP)と変わらない構成とすることができる。
また、圧縮式ヒートポンプ回路10では、圧縮機11の潤滑油が、圧縮機11から当該回路中に飛沫状に流出し、冷媒と一体となって回路中を循環する。圧縮機11を出た潤滑油は、冷媒とともに移動して吸収器22へ至り、吸収液と渾然一体となって、吸収式ヒートポンプ回路20内を循環する。これを放置すると、いずれは圧縮機11に保持されていた潤滑油が減少してしまう。また、冷媒や吸収液に潤滑油が混じることになるので、潤滑油によって冷媒や吸収液の熱交換が阻害されるおそれがある。
なお、放熱器13は、冷媒にCO2等の高圧側で超臨界状態となる非凝縮性冷媒を用いた場合には冷熱運転時にガスクーラとして、冷媒にHFCやHFO等の凝縮性冷媒を用いた場合には冷熱運転時に凝縮器として機能する。同様に、利用側熱交換器12は、冷媒に非凝縮性冷媒を用いた場合には温熱運転時にガスクーラとして、冷媒に凝縮性冷媒を用いた場合には温熱運転時に凝縮器として機能する。
そこで、熱機関駆動式蒸気圧縮式ヒートポンプシステム1には、圧縮式ヒートポンプ回路10の冷媒の排熱によって吸収液を加熱する吸込側冷媒熱回収器18及び吐出側冷媒熱回収器19を備えている。
吸込側冷媒熱回収器18は、圧縮機11に供給される冷媒と、再生器21に供給する吸収液との間で熱交換させる熱交換器である。より詳細には、圧縮式ヒートポンプ回路10の吸込側冷媒管31は、吸込側冷媒熱回収器18を経由して圧縮機11に接続されている。吸収式ヒートポンプ回路20の濃吸収液管41は、吸収液熱交換器24の下流側で分岐する濃吸収液バイパス管44を備えており、濃吸収液バイパス管44は吸込側冷媒熱回収器18を経由して再生器21に接続されている。
したがって、吸込側冷媒熱回収器18において加熱された濃吸収液は、吐出側冷媒熱回収器19に供給され、吐出側冷媒熱回収器19において吐出側冷媒管32を流れる冷媒によってさらに加熱されて再生器21に供給される。このように、圧縮機11において圧縮されて高温となった冷媒の熱を、吸収液を再生する熱源として利用できるので、吸収液の再生に必要な熱をさらに削減できる。
これらの吸込側冷媒熱回収器18及び吐出側冷媒熱回収器19は再生器21に比べ比較的温度が低いので、吸込側冷媒熱回収器18及び吐出側冷媒熱回収器19を濃吸収液バイパス管44に設けることで、吸収器22から再生器21に向かう吸収液の全てを加熱する場合に比べ、吸収液の熱交換効率を向上させることができる。
図5は、循環ポンプP及びリバースポンプRを示す模式図である。
循環ポンプPは、その軸が駆動装置(駆動源)Mの軸MAに接続されており、駆動装置Mの回転駆動力によって回転されて、濃吸収液管41を流れる濃吸収液を搬送する。駆動装置Mには、例えば、モーター等の原動機が用いられる。
リバースポンプRは、稀吸収液管42を流れる稀吸収液によって回転駆動されるポンプである。リバースポンプRの軸(不図示)は、循環ポンプPの軸(不図示)に接続されており、リバースポンプRによる回転エネルギーを循環ポンプPにより回収し、駆動装置Mの駆動力を抑制できるようになっている。これにより、循環ポンプPの省エネルギー化を図ることができる。
Vp×n×ρp×xp=Vr×n×ρr×xr+mcomp・・・(1)
ここで、式(1)において、Vは排除容積(m3)、ρは密度(kg/m3)、xは吸収液中の冷媒の質量濃度(kg冷媒/kg吸収液)、nは回転数(回/秒)、mは圧縮式ヒートポンプ回路10の冷媒循環量(kg/秒)、添え字のpは循環ポンプP、添え字のrはリバースポンプR、添え字のcompは圧縮機11のものであること、を示す。
このように、本実施形態では、循環ポンプPを通過する吸収液の質量流量とリバースポンプRを通過する吸収液の質量流量が等しくしているため、リバースポンプRに冷媒蒸気が流入することを防止できる。また、循環ポンプPとリバースポンプRとを同軸に接続できるので、循環ポンプP及びリバースポンプRの組み付け作業を簡素化できる。
例えば、圧縮機11の潤滑油と、吸収式ヒートポンプ回路20の吸収液とを同一液としたが、必ずしも同一液とする必要はない。吸収液に潤滑性のない吸収液を用いる場合、潤滑油に吸収液に適さない潤滑油を用いる場合には、例えば、再生器21から圧縮機11に延びる冷媒管に潤滑油を分離するセパレータを設ければよい。
なお、図7の例では、可変機構4をリバースポンプRに設けているが、可変機構4は、循環ポンプPに設けてもよいし、循環ポンプP及びリバースポンプRの両方に設けてもよい。
Vp×np×ρp×xp=Vr×nr×ρr×xr+mcomp・・・(2)
これにより、図8の例においても、循環ポンプPを通過する吸収液の質量流量とリバースポンプRを通過する吸収液の質量流量が等しくなるので、リバースポンプRに冷媒蒸気が流入することを防止できる。また、図5の例のように循環ポンプP及び/又はリバースポンプRを式(1)に合わせて設計したり、図7の例のように可変機構4を循環ポンプP及び/又はリバースポンプRに設けたりする必要がなくなるので、循環ポンプP及びリバースポンプRの構成を簡素化できる。
なお、図7の例において、質量流量比を大きくするには、循環ポンプPの排除容積を大きくする、又は、リバースポンプRの排除容積を小さくする、あるいは、その両方を行う。一方、質量流量比を小さくするには、循環ポンプPの排除容積を小さくする、又は、リバースポンプRの排除容積を大きくする、あるいは、その両方を行う。
図8の例において、質量流量比を大きくするには循環ポンプPとリバースポンプRの回転数比(np/nr)を大きくし、一方、質量流量比を小さくするには回転数比を小さくする。
また、リバースポンプRは省略してもよい。
2 エンジン(原動機、熱機関)
10 圧縮式ヒートポンプ回路
11 圧縮機
11A 吸込口
16 バイパス弁
20 吸収式ヒートポンプ回路
21 再生器
22 吸収器
35 バイパス管
60 制御装置(排熱温度制御手段、熱容量制御手段)
62 温度センサ
P 循環ポンプ
Claims (3)
- 原動機の軸出力を、冷媒を圧縮する圧縮機の動力源として利用する圧縮式ヒートポンプ回路と、前記原動機の排熱を、吸収液を加熱する再生器の熱源として利用する吸収式ヒートポンプ回路とを備え、
前記圧縮式ヒートポンプ回路において蒸発した冷媒を、前記吸収式ヒートポンプ回路の吸収器に循環し、前記再生器による再生後に冷媒を分離し、この冷媒を、前記圧縮式ヒートポンプ回路内を循環するよう構成し、
前記吸収式ヒートポンプ回路の再生器により再生した冷媒を、前記圧縮式ヒートポンプ回路の圧縮機の吸込口に供給するように構成し、
前記再生器に供給する排熱の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサが検出した排熱の温度が所定温度に保たれるように吸収液の循環ポンプを制御する排熱温度制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の熱機関駆動式蒸気圧縮式ヒートポンプシステム。 - 前記圧縮式ヒートポンプ回路において蒸発した冷媒を、前記吸収式ヒートポンプ回路をバイパスして、前記圧縮機の吸込口に供給するバイパス管を設け、このバイパス管に冷媒量を制御するバイパス弁を設け、
前記排熱温度制御手段は、前記温度センサが検出した排熱の温度に基づいて前記バイパス弁を制御することを特徴とする請求項1に記載の熱機関駆動式蒸気圧縮式ヒートポンプシステム。 - 前記圧縮式ヒートポンプ回路の利用側熱交換器から熱負荷に供給する冷熱又は温熱の熱容量を制御する熱容量制御手段を備え、
前記熱容量制御手段は、前記熱機関駆動式蒸気圧縮式ヒートポンプシステムの全能力に対する前記吸収式ヒートポンプ回路の能力寄与比率分だけ、前記原動機の動力源の入力変化を小さくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱機関駆動式蒸気圧縮式ヒートポンプシステム。
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