JP4815232B2 - 複合ヒートポンプシステム - Google Patents
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この複合ヒートポンプシステムは、圧縮式ヒートポンプ回路が有する圧縮機の高圧側と、吸収式ヒートポンプ回路が有する再生器の冷媒流出側とが、当該両ヒートポンプ回路が共有する凝縮器の冷媒流入側に接続されていると共に、圧縮式ヒートポンプ回路が有する圧縮機の冷媒流入側と、吸収式ヒートポンプ回路が有する吸収器の冷媒流入側とが、当該両ヒートポンプ回路が共有する蒸発器の冷媒流出側に接続されているという形態で、圧縮式ヒートポンプ回路と吸収式ヒートポンプ回路とが、凝縮器及び蒸発器を共有する形態で構成されている。そして、上記圧縮式ヒートポンプ回路と上記吸収式ヒートポンプ回路とを作動させることで、蒸発器で冷房用等の冷熱が得られ、又、吸収器及び凝縮器で給湯用又は暖房用等の温熱が得られる。
この圧縮式ヒートポンプシステムは、原動機を定格運転等の高効率な運転状態に維持して、原動機の軸出力の余剰分により発電機を作動して、システム効率を向上することができるものとされている。
また、このような複合ヒートポンプシステムにおいて、上記特許文献2のように、原動機の軸動力により作動されて発電を行う発電機を備えることで、原動機を定格運転等の高効率な運転状態に維持して、原動機の軸出力の余剰分により発電機を作動するように構成した場合でも、熱負荷が低いときにおける両ヒートポンプ回路の作動ロスが大きく、システム効率を充分に向上することができない。更に、熱負荷が無いときにおいては、吸収式ヒートポンプ回路において原動機の排熱を有効利用することができないので、システムを停止するか、又は、原動機の軸出力のみを利用して発電機を作動するという低効率な運転を行うことになる。
前記原動機の排熱を、吸収液を加熱して冷媒を分離する再生器の熱源として利用する吸収式ヒートポンプ回路とを備え、
前記圧縮式ヒートポンプ回路が有する圧縮機の高圧側と、前記吸収式ヒートポンプ回路が有する再生器の冷媒流出側とが、当該両ヒートポンプ回路が共有する凝縮器の冷媒流入側に接続されていると共に、
前記圧縮式ヒートポンプ回路が有する圧縮機の低圧側と、前記吸収式ヒートポンプ回路が有する吸収器の冷媒流入側とが、当該両ヒートポンプ回路が共有する蒸発器の冷媒流出側に接続されている複合ヒートポンプシステムであって、その第1特徴構成は、前記原動機と前記圧縮機とを連結する連結部が、前記原動機の軸動力を前記圧縮機に伝達させて前記圧縮機を冷媒を圧縮する流体ポンプとして作動させるポンプ作動状態と、前記原動機の軸動力を前記圧縮機に伝達させない原動機軸動力否伝達状態とで連結状態を切換自在に構成され、
熱負荷に基づいて前記連結部の連結状態の切換制御を行う連結状態制御手段を備え、
前記圧縮機が、前記流体ポンプとして作動したときの圧縮方向とは逆方向の冷媒の流通により軸出力を出力する流体モータとして作動するように構成され、
前記連結部が、前記連結状態を、前記原動機軸動力否伝達状態として、前記圧縮機をモータとして作動させて当該圧縮機の軸出力を前記原動機の軸動力に付加するモータ作動状態に切換自在に構成されているとともに、
前記凝縮器への冷媒の流入を断続可能な冷媒流入側開閉弁を備え、
前記連結状態制御手段が、前記連結部の連結状態を前記モータ作動状態としたときに前記冷媒流入側開閉弁を閉状態として、前記凝縮器への冷媒の流入を阻止した状態で前記再生器から前記圧縮機へ冷媒を供給するように構成されている点にある。
加えて、上記特徴構成によれば、上記連結部を、圧縮機を上記流体モータとして作動させるモータ作動状態とすれば、圧縮式ヒートポンプ回路及び吸収式ヒートポンプ回路の作動を停止すると共に、再生器で原動機の排熱を熱源として吸収液を加熱して得た冷媒を、圧縮機において上記圧縮方向とは逆方向に流通させて、圧縮機を流体モータとして作動させ、原動機の軸出力に加えて、流体モータとして作動する圧縮機の軸出力を、熱負荷に対する冷熱又は温熱の発生以外の別の用途に利用することができる。
よって、上記連結状態制御手段により、熱負荷に基づいて上記連結部の連結状態を制御して、熱負荷が極めて小さいとき、又は、熱負荷が無いときでも、運転を停止することなく、原動機軸動力否伝達状態としてのモータ作動状態とすれば、吸収式ヒートポンプ回路及び圧縮式ヒートポンプ回路の作動を停止して、原動機の軸出力と流体モータとして作動する圧縮機の軸出力とを、発電用等の別の用途に有効利用することができる。
また、上記特徴構成によれば、上記連結状態制御手段により、熱負荷に基づいて上記連結部の連結状態の切換制御を行うにあたり、連結部の連結状態を上記モータ作動状態するときには、上記冷媒流入側開閉弁を閉状態として、凝縮器への冷媒の流入を阻止し、当該冷媒を流体モータとして作動する圧縮機側に逆流させて、当該圧縮機から軸出力を発生させることができる。
一方、上記連結状態制御手段により、熱負荷に基づいて上記連結部の連結状態の切換制御を行うにあたり、連結部の連結状態をポンプ作動状態又は下記第3特徴構成における連結解離状態とするときには、上記冷媒流入側開閉弁を開状態として、凝縮器への冷媒の流入を許容し、吸収式ヒートポンプ回路Yを作動させて、冷熱又は温熱を得ることができる。
尚、本願において、上記圧縮式ヒートポンプ回路や上記吸収式ヒートポンプ回路を作動させるとは、夫々のヒートポンプ回路のポンプや弁等の各種補機を、蒸発器又は吸収器及び凝縮器により冷熱又は温熱を得るように動作させることを言う。逆に、夫々のヒートポンプ回路の作動を停止するとは、夫々のヒートポンプ回路のポンプや弁等の各種補機を、蒸発器又は吸収器及び凝縮器により冷熱又は温熱を得るようには動作させないことを言うが、このとき、夫々の補機については、冷熱又は温熱を得るという目的以外の目的で動作させても構わない。
前記エンジンの排ガスを熱源として前記再生器から流出する冷媒を過熱可能な過熱部を備え、
前記連結状態制御手段が、前記連結部の連結状態を前記モータ作動状態としたときに前記過熱部を作動させるように構成されている点にある。
一方、上記連結状態制御手段により、熱負荷に基づいて上記連結部の連結状態の切換制御を行うにあたり、連結部の連結状態をポンプ作動状態又は上記第3特徴構成における連結解離状態とするときには、上記過熱部の作動を停止して、エンジンの冷却水や排ガス等から得られる排熱の多くを再生器の熱源として利用し、再生器において吸収液から良好に冷媒を分離することで、COPの向上を図ることができる。
本システムは、原動機としてのエンジン20の軸出力を、アンモニアである冷媒Aを圧縮する圧縮機10の動力源として利用する圧縮式ヒートポンプ回路Xと、エンジン20の排熱を、上記アンモニアを吸収可能且つアンモニアよりも沸点が高い水である吸収液Bを加熱して冷媒を分離する再生器4の熱源として利用する吸収式ヒートポンプ回路Yとを、凝縮器1及び蒸発器2を共有する形態で備えて構成されており、上記圧縮式ヒートポンプ回路Xと上記吸収式ヒートポンプ回路Yとを作動させることで、エンジン20の軸出力及び排熱を有効利用することができる。
尚、本願において、凝縮器1や圧縮機及び吸収器3に供給される蒸気を冷媒蒸気A1と呼ぶが、その蒸気には、冷媒の蒸気に加えて、当該冷媒よりも沸点が高い吸収液の蒸気が含まれる場合がある。また、このように冷媒蒸気A1に吸収液が含まれている場合には、当然凝縮器1から蒸発器2に供給される冷媒液A2にも吸収液が含まれることになる。
また、上記蒸発器2には、下方に溜まる冷媒液A2を伝熱管2aに散布する冷媒液循環路2bが設けられており、これにより、蒸発器2における冷媒液A2が、良好に、伝熱管2a内に流通する冷熱用水Cから吸熱して蒸発することができる。
そして、吸収式ヒートポンプ回路Yを作動するときには、エンジン冷却水JWを上記排ガス熱交換器24に流通させた後に再生器4の伝熱管4aに供給する状態として、できるだけ高温のエンジン冷却水JWを再生器4の熱源として供給するが、吸収式ヒートポンプ回路Yの作動を停止して後述する発電運転モードとするときには、エンジン冷却水JWを排ガス熱交換器24に流通させずに再生器4の伝熱管4aに供給する状態として、若干低温のエンジン冷却水JWを再生器4の熱源として供給する。
即ち、圧縮式ヒートポンプ回路Xが有する圧縮機10の高圧側(冷媒蒸気A1を圧縮する場合に圧縮後の冷媒蒸気A1が流出する側)と、吸収式ヒートポンプ回路Yが有する再生器4の冷媒流出側(分離後の冷媒蒸気A1が流出する側)とが、両ヒートポンプ回路X,Yが共有する凝縮器1の冷媒流入側(凝縮前の冷媒蒸気A1が流入する側)に接続されている。更に、圧縮式ヒートポンプ回路Xが有する圧縮機10の低圧側(冷媒蒸気A2を圧縮する場合に圧縮前の冷媒蒸気A1が流入する側)と、吸収式ヒートポンプ回路Yが有する吸収器3の冷媒流入側(吸収前の冷媒蒸気A1が流入する側)とが、両ヒートポンプ回路X,Yが共有する蒸発器2の冷媒流出側(蒸発後の冷媒蒸気A1が流出する側)に接続されている。
また、本システムには、エンジン20の軸出力により作動されて発電を行う発電機15が設けられており、この発電機15には、エンジン20の軸出力が、ベルト伝動部20a及び発電機15とエンジン20との連結を断続可能なクラッチ15aとを通じて伝達される。
即ち、ポンプ作動状態では、クラッチ10aが圧縮機10とエンジン20とを連結する状態に維持されると共に、回転方向切換部10bが正転状態に維持される。よって、エンジン20の軸動力が流体ポンプとして作動する圧縮機10に伝達され、圧縮機10において冷媒蒸気A1を圧縮することができる。
また、連結解離状態では、クラッチ10aが圧縮機10とエンジン20との連結を解離させる連結解離状態に維持される。よって、エンジン20の軸動力が圧縮機10に伝達されず、圧縮機10の作動を停止することができる。
更にまた、モータ作動状態では、クラッチ10aが圧縮機10とエンジン20とを連結する状態に維持されると共に、回転方向切換部10bが逆転状態に維持される。よって、流体モータとして作動する圧縮機10の軸出力をエンジン20の軸出力に付加して、発電機15側に伝達させることができる。
更に、再生器4の冷媒流出側は、複数の開閉弁28の開閉状態を切り換えることで、流出した冷媒蒸気A1を、排ガス熱交換器24に流通させて排熱により過熱する状態と、排ガス熱交換器24に流通させない状態とに切換自在に構成されている。
即ち、上記排ガス熱交換器24は、開閉弁25,28の開閉状態の切換操作により、エンジン冷却水JWと冷媒蒸気A1とを択一的に流通可能に構成されている。
また、上記排ガス熱交換器24は、上記冷媒蒸気A1を流通させる状態において、再生器4から流出する冷媒蒸気A1を過熱可能な過熱部として機能することになる。
尚、排ガス熱交換器24において、エンジン冷却水JWと冷媒Aとの混合が発生するが、吸収式ヒートポンプ回路Yにおいて、冷媒A及び吸収液Bとしてアンモニア及び水を使用し、エンジン冷却水JWについても水を使用していることから、これらの混合は特に問題ない。
また、本実施形態では、エンジン冷却水JWの加熱用、及び、冷媒蒸気A1の過熱用に、共通の上記排ガス熱交換器24を使用するように構成したが、それらを別々に配置するように構成しても構わない。
図1に示すように、連結状態制御手段40は、熱負荷が予め設定された設定値よりも大きいときに、高熱負荷運転モードとして、連結部14の連結状態を上述したポンプ作動状態に切り換えて、エンジン20の軸動力を圧縮機10に伝達させる。
この高熱負荷運転モードにおいて、冷媒流入側開閉弁18は開状態に維持され、凝縮器1への冷媒蒸気A1の流入が許容され、更に、高圧側開閉弁16は閉状態に維持されて、圧縮部10における冷媒蒸気A1の逆流が阻止されている。
また、この高熱負荷運転モードにおいては、上記エンジン20の軸出力は、主に圧縮機10に伝達されるのであるが、その余剰分で発電機15を作動して発電を行うことができる。また、この余剰分の軸出力が期待できない場合には、発電機15側のクラッチ15aを、発電機15とエンジン20との連結を解離させる状態としても構わない。
図1に示すように、連結状態制御手段40は、熱負荷が予め設定された設定値以下且つ0よりも大きいときに、低熱負荷運転モードとして、連結部14の連結状態を上述した連結解離状態に切り換えて、エンジン20の軸動力を、圧縮機10に伝達させず、発電機15のみに伝達させて、発電に利用する。
この低熱負荷運転モードにおいて、冷媒流入側開閉弁18は開状態に維持され、凝縮器1への冷媒蒸気A1の流入が許容され、更に、高圧側開閉弁16は閉状態に維持されて、圧縮部10における冷媒蒸気A1の逆流が阻止されている。
図3に示すように、連結状態制御手段40は、熱負荷が0であるときに、発電機15による発電のみを行う発電運転モードとして、連結部14の連結状態を上述したモータ作動状態に切り換えて、エンジン20の軸動力と、モータとして作動する圧縮機10の軸出力を、発電機15に伝達させる。
この発電運転モードにおいて、冷媒流入側開閉弁18は閉状態に維持され、凝縮器1への冷媒蒸気A1の流入が阻止され、更に、高圧側開閉弁16は開状態に維持されて、圧縮部10における冷媒蒸気A1の逆流が許容されている。
2:蒸発器
3:吸収器
4:再生器
10:圧縮機
14:連結部
15:発電機
18:冷媒流入側開閉弁
20:エンジン(原動機)
24:排ガス熱交換器(過熱部)
40:連結状態制御手段
41:熱負荷計測部
A:冷媒
B:吸収液
X:圧縮式ヒートポンプ回路
Y:吸収式ヒートポンプ回路
Claims (4)
- 原動機の軸出力を、冷媒を圧縮する圧縮機の動力源として利用する圧縮式ヒートポンプ回路と、
前記原動機の排熱を、吸収液を加熱して冷媒を分離する再生器の熱源として利用する吸収式ヒートポンプ回路とを備え、
前記圧縮式ヒートポンプ回路が有する圧縮機の高圧側と、前記吸収式ヒートポンプ回路が有する再生器の冷媒流出側とが、当該両ヒートポンプ回路が共有する凝縮器の冷媒流入側に接続されていると共に、
前記圧縮式ヒートポンプ回路が有する圧縮機の低圧側と、前記吸収式ヒートポンプ回路が有する吸収器の冷媒流入側とが、当該両ヒートポンプ回路が共有する蒸発器の冷媒流出側に接続されている複合ヒートポンプシステムであって、
前記原動機と前記圧縮機とを連結する連結部が、前記原動機の軸動力を前記圧縮機に伝達させて前記圧縮機を冷媒を圧縮する流体ポンプとして作動させるポンプ作動状態と、前記原動機の軸動力を前記圧縮機に伝達させない原動機軸動力否伝達状態とで連結状態を切換自在に構成され、
熱負荷に基づいて前記連結部の連結状態の切換制御を行う連結状態制御手段を備え、
前記圧縮機が、前記流体ポンプとして作動したときの圧縮方向とは逆方向の冷媒の流通により軸出力を出力する流体モータとして作動するように構成され、
前記連結部が、前記連結状態を、前記原動機軸動力否伝達状態として、前記圧縮機をモータとして作動させて当該圧縮機の軸出力を前記原動機の軸動力に付加するモータ作動状態に切換自在に構成されているとともに、
前記凝縮器への冷媒の流入を断続可能な冷媒流入側開閉弁を備え、
前記連結状態制御手段が、前記連結部の連結状態を前記モータ作動状態としたときに前記冷媒流入側開閉弁を閉状態として、前記凝縮器への冷媒の流入を阻止した状態で前記再生器から前記圧縮機へ冷媒を供給するように構成されている複合ヒートポンプシステム。 - 前記原動機の軸動力により作動されて発電を行う発電機を備えた請求項1に記載の複合ヒートポンプシステム。
- 前記連結部が、前記連結状態を、前記原動機軸動力否伝達状態として、前記原動機と前記圧縮機との連結を解離させる連結解離状態に切換自在に構成されている請求項1又は2に記載の複合ヒートポンプシステム。
- 前記原動機がエンジンであり、
前記エンジンの排ガスを熱源として前記再生器から流出する冷媒を過熱可能な過熱部を備え、
前記連結状態制御手段が、前記連結部の連結状態を前記モータ作動状態としたときに前記過熱部を作動させるように構成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の複合ヒートポンプシステム。
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