JP2005016326A - 発熱体の廃熱利用装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関等の発熱体の廃熱を利用するランキンサイクル回路を備え、発熱体の運転状態等に係わらず、ランキンサイクル回路への安定した熱量供給が可能な発熱体の廃熱利用装置を提供する。
【解決手段】内燃機関10の廃熱エネルギーを伝達する媒体と熱交換して作動流体を加熱する加熱器210と、加熱器210により加熱され蒸発する作動流体を膨張させて駆動力を発生する膨張機220とを有するランキンサイクル回路200を備え、加熱器210内は、媒体を導く廃熱媒体経路210aと、作動流体を導く作動流体経路210bとを区画する境界壁211を有し、境界壁211の内部には、熱エネルギーを蓄熱および放熱可能な蓄熱材215が設けられる。
【選択図】 図2
【解決手段】内燃機関10の廃熱エネルギーを伝達する媒体と熱交換して作動流体を加熱する加熱器210と、加熱器210により加熱され蒸発する作動流体を膨張させて駆動力を発生する膨張機220とを有するランキンサイクル回路200を備え、加熱器210内は、媒体を導く廃熱媒体経路210aと、作動流体を導く作動流体経路210bとを区画する境界壁211を有し、境界壁211の内部には、熱エネルギーを蓄熱および放熱可能な蓄熱材215が設けられる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機、熱機関等の発熱体の廃熱利用装置に関し、例えば自動車等の車両用内燃機関の廃熱を利用する動力回収の技術に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
発熱体の廃熱利用装置としては、例えば自動車等の車両用内燃機関において、冷凍サイクルの構成部品を利用してランキンサイクルを形成することで内燃機関の廃熱を動力回収し、その回収した動力で内燃機関の軸出力をアシストするものが知られている(特許文献1参照)。この技術によると、冷凍サイクル回路はコンプレッサと蒸発器とを含んで構成されており、そのコンプレッサは、内燃機関10を駆動源とする圧縮機として使用されるとともに、内燃機関10をアシストする膨張機として兼用される。また、その蒸発器は、内燃機関10の冷却水回路と兼用するヒータ回路の冷却水を熱源とする高温蒸発器210と選択的に切換えられるように構成されている。蒸発器に換えて、高温蒸発器210を冷凍サイクル回路に接続することで、ランキンサイクル回路が形成される(模式図11参照)。
【0003】
なお、この図11は、内燃機関10およびラジエータ21間を冷却水の循環する冷却水回路に着目して作図され、冷却水回路とランキンサイクル回路(詳しくは、高温蒸発器)の接続関係を模式的に表した。図11は、高温蒸発器210に切換えた状態を表し、蒸発器は図示しない。
【0004】
さらになお、冷却水回路は、一般的に、サーモスタットを用いた切換弁26を備え、内燃機関の始動時等の冷却水温が低い場合、ラジエータ21に冷却水を流さず、迂回させるように構成されている。
【0005】
なお、ここで、一般に、冷却水回路内の冷却水を循環させるための温水ポンプ22は、内燃機関の回転速度(回転数)に比例するメカ式のものを使用している。切換弁に用いるサーモスタットは内部のワックスが熱によって膨張、収縮する性質を利用して、冷却水の水温に感応し、ラジエータを迂回する冷却水の流量を調節する。
【0006】
さらになお、ここで、冷却水回路は、発熱体である内燃機関との間で熱媒体としての冷却水が循環され、冷却水を冷却する冷却用熱交換器としてのラジエータを有する熱媒体循環回路を構成している。
【0007】
【特許文献1】
特許第2540738号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術では、内燃機関10により加熱された冷却水を熱源とし、この冷却水から高温蒸発器210を通じてランキンサイクル回路へ供給される熱量供給量を安定化させる配慮がなされていない。温水ポンプ22は内燃機関の回転数に比例するため、低回転領域では流量に制限がある。サーモスタット26は温度感応の応答性が劣る。このため、メカ式温水ポンプ22およびサーモスタット26を使用する冷却水回路は、例えば車両の走行状態により冷却水の水温、流量の変動が大きく、高温蒸発器210つまりランキンサイクル回路への熱量供給が不安定となる可能性がある。
【0009】
また、近年、燃費向上のため開発されたアイドルストップを採用する車両(エコラン車両と呼ぶ)、ハイブリット車両等車両仕様により、内燃機関に生じる廃熱エネルギー量が大きく変化する。このため、ランキンサイクル回路への熱供給量も大きく変化するおそれがある。その結果、冷却水回路を流通する冷却水と、ランキンサイクル回路を流通する作動流体とを熱変換する高温蒸発器210で熱回収する熱伝達量も大きく変化する可能性がある。高温蒸発器210が熱回収する熱伝達量が大きく変化してしまうと、ランキンサイクル回路の安定した運転ができず、動力回収効率が低下してしまうおそれがある。
【0010】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、内燃機関等の発熱体の廃熱を利用するランキンサイクル回路を備えたものにおいて、発熱体の運転状態等に係わらず、ランキンサイクル回路への安定した熱量供給が図れることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1によると、発熱体の廃熱エネルギーを伝達する媒体と熱交換して作動流体を加熱する加熱器と、加熱器により加熱され蒸発する作動流体を膨張させて駆動力を発生する膨張機とを有するランキンサイクル回路を備え、加熱器内は、媒体を導く廃熱媒体経路と、作動流体を導く作動流体経路とを区画する境界壁を有し、境界壁の内部には、熱エネルギーを蓄熱および放熱可能な蓄熱材が設けられている。
【0012】
加熱器は、内燃機関等の発熱体の廃熱エネルギーを伝達する媒体を熱源として、その媒体と作動流体とを熱交換し、熱回収する。ランキンサイクル回路は、熱回収した作動流体から、膨張機を介して駆動力等の動力エネルギーを得る。加熱器内には、媒体を導く経路と作動流体を導く経路を区画する境界壁が設けられている。この境界壁の内部には、蓄熱および放熱可能な蓄熱材が設けられているため、境界壁を通じて媒体から作動流体へ伝熱される熱供給量を安定化させることが可能である。例えば媒体によって伝達される廃熱エネルギー量が比較的大きく変化したとしても、廃熱エネルギー量が大きいときには蓄熱材に蓄えられ、廃熱エネルギー量が小さいときには蓄熱材に蓄えられたエネルギーを放出することで、安定した熱量を、動力回生するランキンサイクル回路に供給することが可能である。
【0013】
本発明の請求項2によると、蓄熱材は、境界壁を形成する構造用材料とは異なり、構造用材料に比べて相転移が可能な材料からなる。
【0014】
これにより、媒体を介して廃熱エネルギーが境界壁に伝熱され、蓄熱材が、例えば固相から液相に相転移可能な温度に加熱されると、相転移の前後で潜熱として、多すぎる廃熱エネルギーを吸収する。また、例えば廃熱エネルギーが少なすぎるときは、潜熱として蓄えた熱エネルギーを放出することができる。
【0015】
さらに、蓄熱材が相転移することで、固相に比べて比較的変形し易い液相等になっても、構造用材料から形成される境界壁の内部に封入されるため、蓄熱材が外部へ漏れ出てしまうことを防止可能である。
【0016】
本発明の請求項3によると、境界壁のうち、作動流体経路側には、境界壁と一体的に形成された境界壁部が延設され、境界壁部は、作動流体経路に導かれた作動流体同士を区分けしている。
【0017】
これにより、加熱器は、作動流体が流通する作動流体経路側に、蓄熱材を比較的高容量に配置することが可能なる。そのため、蓄熱材に蓄熱されたエネルギーを、作動流体へ効果的に供給することが可能である。
【0018】
なお、境界壁部により、作動流体に接する界面面積の拡大が図れるため、蓄熱材に蓄熱されたエネルギーを、作動流体へ効率的に供給できる。
【0019】
本発明の請求項4によると、加熱器は、ほぼ全外周を断熱材で覆われている。
【0020】
これにより、加熱器を、加熱器内に貯留される媒体および作動流体を蓄熱しておく蓄熱器として機能させることが可能である。
【0021】
本発明の請求項5によると、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発熱体の廃熱利用装置は、発熱体との間で冷却水が循環され、冷却水を冷却する冷却用熱交換器を有する冷却水回路を備え、媒体は、冷却水である。
【0022】
これにより、内燃機関等の発熱体の廃熱エネルギーを、ラジエータ等の冷却用熱交換器を有する冷却水回路内を循環し、発熱体で加熱された冷却水を熱源として、ランキンサイクル回路に熱回収することができる。
【0023】
なお、冷却水は、発熱体と冷却用熱交換器との間を循環し、発熱体を冷却するものであれば、冷却水等の液体に限らず、発熱体に生じる廃熱を輸送するいずれの熱媒体であってもよい。この場合、発熱体と冷却用熱交換器との間を循環し、冷却用熱交換器を有する熱媒体循環回路が形成される。
【0024】
本発明の請求項6によると、蓄熱材は、冷却水回路内で温度制御される冷却水の制御温度範囲とほぼ同じ温度帯に、融解温度を有する材料からなる。
【0025】
内燃機関等の発熱体の運転状態、例えば車両等の走行状態つまり内燃機関の運転状態により変化する冷却水が温度制御される制御温度範囲に、蓄熱材の融解温度があるため、蓄熱材の潜熱変化を利用して、蓄熱材に蓄える熱量を向上させることが可能である。
【0026】
本発明の請求項7によると、蓄熱材の材料は、水和物からなる。
【0027】
媒体を冷却水とする蓄熱材の材料としては、融解温度を超えると完全に相転移する材料に限らず、昇温を続けると一部が塩あるいは無水物となる水和物であってもよい。
【0028】
本発明の請求項8によると、請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の発熱体の廃熱利用装置において、発熱体は熱機関であって、加熱器とは別個の加熱器を有し、別個の加熱器には、熱機関が生成する排気ガスが第2の媒体として導かれ、第2の媒体と冷却水とを熱交換する。
【0029】
これにより、内燃機関等の発熱体の廃熱エネルギーの他の一つである排気熱を、別固の加熱器により冷却水に取り込み、冷却水の廃熱に加えて一緒にした後、この冷却水を熱源として、別個の加熱器とは異なる加熱器によりランキンサイクル回路に熱回収することが可能である。
【0030】
本発明の請求項9によると、別個の加熱器を構成する蓄熱材は、別個の加熱器に導かれる排気ガスの温度範囲とほぼ同じ温度帯に、融解温度を有する材料からなる。
【0031】
これにより、別個の加熱器によって排気ガスからなる第2の媒体と冷却水とを熱交換し、冷却水の廃熱に加える際、排気ガスの熱エネルギーによって蓄熱材が融解温度に加熱されると、固相から液相への相転移の前後で潜熱として、多すぎる排気熱エネルギーを吸収する。また、例えば排気熱エネルギーが少なすぎるときは、潜熱として蓄えた熱エネルギーを放出することができる。その結果、例えば排気熱エネルギー量が比較的大きく変化したとしても、冷却水への安定した熱伝達量の供給が可能である。
【0032】
本発明の請求項10によると、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発熱体の廃熱利用装置において、発熱体は熱機関であって、媒体は、熱機関が生成する排気ガスである。これにより、ランキンサイクル回路に熱回収される媒体として、内燃機関等の熱機関が生成する排気ガスを用いることができる。
【0033】
本発明の請求項11によると、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発熱体の廃熱利用装置において、発熱体は熱機関であって、媒体は、熱機関が生成する排気ガスのエネルギーにより加熱されたものである。これにより、ランキンサイクル回路に熱回収される媒体として、内燃機関等の熱機関が生成する排気ガスのエネルギーにより加熱された媒体、例えば排気により駆動されるターボチャージャを冷却する冷却用熱交換器を有する冷却オイル回路を流通する冷却オイルを用いることができる。
【0034】
本発明の請求項12によると、蓄熱材は、媒体の温度範囲とほぼ同じ温度帯に、融解温度を有する材料からなる。これにより、内燃機関等の発熱体の運転状態、例えば車両の走行状態つまり内燃機関の運転状態により変化する排気ガスの温度範囲に、蓄熱材の融解温度があるため、蓄熱材の潜熱変化を利用して、蓄熱材に蓄えられる熱量を向上させることが可能である。
【0035】
本発明の請求項13によると、発熱体に生じる駆動力を伝達可能な駆動機構と、駆動機構により作動され、循環する冷媒を圧縮する圧縮機を有する冷凍サイクル回路とを備え、膨張機は圧縮機に接続され、膨張機に駆動力が発生したときには、圧縮機および駆動機構のうち少なくとも圧縮機に駆動力が付加される。
【0036】
これにより、ランキンサイクル回路と、冷凍サイクル回路とを独立に設けるため、冷凍サイクル回路の作動の有無に係らず、膨張機を作動させることが可能である。その結果、内燃機関等発熱体の廃熱を、冷却水等の媒体を熱源として加熱器によって廃熱回収することで、膨張機に駆動力を生じさせるので、例えば冷凍サイクル回路の圧縮機を駆動する駆動機構の動力が軽減される。つまり、内燃機関が駆動機構を介して圧縮機を駆動する駆動力の軽減が図れる。
【0037】
なお、圧縮機を駆動するのに必要な駆動力以上の駆動力が膨張機に生じる場合には、膨張機の余剰の駆動力は、駆動機構を介して内燃機関の軸出力に付加される。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の発熱体の廃熱利用装置を、自動車等の車両用内燃機関の廃熱利用装置に適用して、具体化した実施形態を図面に従って説明する。
【0039】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の内燃機関の廃熱利用装置の構成を示す模式図である。図2は、図1中の加熱器を示す模式的断面図である。図3は、図1中の電動式の切換手段を示す模式的断面図であって、図3(a)はラジエータへ流れる冷却水の流量配分を零にした切換え状態、図3(b)はラジエータへ流れる冷却水の流量配分を最大にした切換え状態を示す断面図である。図4は、図1中のランキンサイクル回路の膨張機と冷凍サイクル回路の圧縮機とを接続する駆動機構を示す模式図である。図5は、実施形態に係る加熱器による熱伝達量の経時変化を示すグラフである。
【0040】
図1に示すように、内燃機関の廃熱利用装置100は、ランキンサイクル回路200と、冷凍サイクル回路300とを含んで構成されている。
【0041】
内燃機関10は、冷却水の循環により冷却される水冷式の内燃機関である。内燃機関10は燃焼室(図示せず)周りのシリンダブロック等の内部に冷却水を流す循環経路(図示せず)を有し、この循環経路に冷却水を流すことにより内燃機関の燃焼室内で行なわれる燃焼により発生するエネルギーのうち、熱エネルギーが冷却水と熱交換される。内燃機関10で加熱された冷却水は、内燃機関10(詳しくは、循環経路)との間で循環し、ラジエータ21を有する冷却水回路20で冷却される。なお、ここで、冷却水は、内燃機関の廃熱エネルギーを伝達する媒体を構成する。
【0042】
なお、加熱された冷却水(温水)を熱源として空調空気を加熱するヒータ回路30を設けてもよい。なお、以下の本実施形態では、内燃機関10には冷却水回路20とヒータ回路30とを有するものとして説明する。
【0043】
ランキンサイクル回路200は、図1に示すように、加熱器210、膨張機220、凝縮器230、受液器240、およびポンプ250を含んで構成されている。このランキンサイクル回路200には、作動流体が封入されており、加熱器210、膨張機220、凝縮器230、受液器240、およびポンプ250へと、作動流体が順次流れる閉回路が形成される。この作動流体は電動式のポンプ250の作動によってランキンサイクル回路200内を循環される。
【0044】
加熱器210は、図1に示すように、ポンプ250から送られる作動流体と冷却水回路20を流通する高温の冷却水(詳しくは、後述のバイパス回路25を流通する冷却水)との間で熱交換することにより作動流体を加熱する熱交換器である。
【0045】
図2に示すように、加熱器210内には、冷却水を導く廃熱媒体経路210aと、作動流体を導く作動流体経路210bとが形成され、廃熱媒体経路210aと作動流体経路210bとを区画する境界壁211が設けられている。境界壁211の内部には、蓄熱材215が配設されている。なお、蓄熱材215は、境界壁211内に封入されている。蓄熱材215は、熱エネルギーを蓄熱および放熱可能である。これにより、境界壁211の内部に、蓄熱および放熱可能な蓄熱材215が設けられているため、境界壁211を介して冷却水から作動流体へ伝熱される熱供給量(以下、冷却水から作動流体へ熱交換される熱伝達量と呼ぶ)を安定化させることが可能である。内燃機関の運転状態(車両の走行状態)によって内燃機関が冷却水を加熱する廃熱エネルギー量が比較的変化する場合であっても、廃熱エネルギー量が大きいときには蓄熱材215に蓄えられ、廃熱エネルギー量が小さいときには蓄熱材215に蓄えられたエネルギーを放出することで、冷却水から作動流体へ熱交換される熱伝達量の安定化が図れる。その結果、ランキンサイクル回路200に安定した熱量を供給されるため、ランキンサイクル回路200の安定運転が可能である。
【0046】
蓄熱材215は、境界壁211の外周側を形成する外周部212の材料と異なる。外周部212は境界壁211の構造上の強度を確保するための構造用材料から形成されている。これに対して、蓄熱材215は、構造用材料に比べて、例えば固相から液相、あるいは液相から気相に相転移可能な材料からなる。蓄熱材215における相転移可能な材料としては、廃熱エネルギーを生成する内燃機関の運転温度の範囲、あるいは廃熱エネルギーを伝達する冷却水が流通する冷却水回路20における出口水温の範囲において、例えば固相から液相に融解可能な材料であれば、いずれの材料でもよい。また、内燃機関の運転温度の範囲あるいは出口水温の範囲において、例えば液相から気相に沸騰可能な材料であってもよい。
【0047】
なお、以下、本実施形態で説明する蓄熱材215の材料は、固相から液相に融解可能な材料として説明する。
【0048】
これにより、蓄熱材215が相転移することで、固相に比べて比較的変形し易い液相になったとしても、構造用材料からなる外周部212の内部に封入されるため、蓄熱材215が境界壁211の外部へ漏れ出て、流出してしまうことを防止可能である。
【0049】
さらに、蓄熱材215は、相転移の前後で潜熱として、多すぎる廃熱エネルギーを吸収、少なすぎる廃熱エネルギーには潜熱として蓄えた熱エネルギーを放出可能である。すなわち、冷却水によって伝達された廃熱エネルギーが比較的多すぎるときには、その多すぎる廃熱エネルギーは蓄熱材215によって吸収される。また、比較的少なすぎるときには、蓄熱材215によって蓄熱された潜熱エネルギーを放出する。このように、蓄熱材215は、相転移の前後で潜熱変化する。
【0050】
さらになお、本実施形態では、図2に示すように、境界壁211のうち、作動流体経路210b側には、境界壁211と一体的に形成された境界壁部211aが延設され、境界壁部211aは、作動流体経路210bに導かれた作動流体同士を区分けすることが好ましい。これにより、加熱器210は、作動流体が流通する作動流体経路210b側に、蓄熱材215を比較的高容量に配置することが可能なる。そのため、蓄熱材215に蓄熱されたエネルギーを、作動流体へ効果的に供給することが可能である。なお、この境界壁部211aによって、作動流体に接する界面面積の拡大が図れるため、蓄熱材215に蓄熱されたエネルギーを、作動流体へ効率的に供給することが可能である。
【0051】
膨張機220は、加熱器210で加熱され過熱蒸気の状態となる作動流体の膨張によって回転等に係る駆動力を発生させる流体機器である。凝縮器230は、膨張機220から吐出される作動流体を外気との熱交換によって凝縮液化する熱交換器である。受液器240は、凝縮器230で凝縮された作動流体を気液二層に分離するレシーバであり、ここで分離された液化作動流体のみをポンプ250側に流出させる。
【0052】
冷却水回路20には、図1に示すように、ラジエータ21が設けられており、ラジエータ21は、温水ポンプ22の作動によって循環される冷却水を外気との熱交換により冷却する。温水ポンプ22は、内燃機関10に装着され、内燃機関10の回転数に比例するメカ式のポンプであっても、電動式のポンプであってもいずれでもよい。この温水ポンプ22は、冷却水回路内で冷却水を循環させるポンプ手段を構成する。
【0053】
なお、以下の本実施形態では、温水ポンプ22は、電動式のポンプとして説明する。
【0054】
冷却水回路20には、図1に示すように、内燃機関10とラジエータ21との間から分岐し、ラジエータ21を迂回してラジエータ21の下流に合流するバイパス回路25が設けられている。図1に示すように、ランキンサイクル回路200を構成する加熱器210が、バイパス回路25に配置されていることが好ましい。加熱器210は、バイパス回路25を流れる冷却水を熱源として、このバイパス回路25を流通する冷却水と作動流体との間で熱交換し、作動流体を加熱する。これにより、ラジエータ21を流れる冷却水の流れと、加熱器210内の作動流体と熱交換するために加熱器210へ流れる冷却水の流れとが並列に流れるため、ラジエータ21を有する冷却水回路20の通水抵抗を低減することが可能である。なお、加熱器210は、冷却水の流れに対してラジエータ21と並列に配置されている(図1参照)。その結果、従来の加熱器とラジエータ21とが冷却水の流れに対して直列に配置されているものに比べて、ラジエータ21へ流れる冷却水の流量が増加され、内燃機関10の冷却性能の向上が図れる。なお、冷却水の流れに対して加熱器210をラジエータ21と並列に配置することが可能な構成であれば、バイパス回路25に限らず、冷却水回路20内に形成され、冷却水の流れが分岐、合流する分岐回路であっても、冷却水回路20に接続し、冷却水の流れが冷却水回路20から分岐、合流する外部接続回路等のいずれの並列的回路であってもよい。例えば冷却水回路20から分岐し、内燃機関10により加熱された冷却水(温水)と熱交換して送風空気を加熱するヒータコア31等の暖房用熱交換器を有するヒータ回路30に加熱器210が配置されてもよい。
【0055】
なお、本実施形態では、ラジエータ21の下流側の冷却水回路部20aとバイパス回路25との合流部、あるいは冷却水回路部20aのうちラジエータ21と合流部との間(本実施例では、図1に示すようにラジエータ21と合流部との間)には、冷却水の流量を調整する切換弁26が設けられていることが好ましい。これにより、バイパス回路25を流れる冷却水の流量とラジエータ21へ通水される冷却水の流量とを、冷却水温に応じて流量配分することが可能である。その結果、ランキンサイクル回路200は、内燃機関10の本体温度を維持しながら、加熱器210を通じて廃熱回収することが可能である。なお、内燃機関10の本体温度とは、発熱体である内燃機関10は熱媒体である冷却水を循環させることで冷却されるが、内燃機関10から吐出される冷却水の温度、例えば内燃機関の出口水温で代表される温度である。
【0056】
なお、この切換弁26は、従来のサーモスタットを用いた切換弁に限らず、電動式の切換弁であってもいずれでもよい。切換弁26は、バイパス回路25を流れる冷却水の流量、つまり加熱器210へ熱交換するための冷却水の流量とラジエータ21へ通水される冷却水の流量との流量配分を切換え可能な切換手段を構成する。なお、ここで、この切換弁26により調整されたラジエータ21へ通水される冷却水の流量を、ラジエータ流量配分と呼ぶ。また、加熱器210へ熱交換するための冷却水の流量を、加熱器流量配分と呼ぶ。
【0057】
なお、以下の本実施形態では、切換弁26は、電動式の切換弁として説明する。
【0058】
切換弁26は、図1に示すように、流通する冷却水の流量を可変にする切換弁部26aと、この切換弁部26aを駆動する電動駆動部26bとからなり、電動駆動部26aは後述の制御手段(以下、制御装置と呼ぶ)600に電気的に接続されている。図3に示すように、冷却水回路部20aには、切換弁部26aが流通、遮断可能に配置されている。切換弁26は、いわゆるロータリー式の切換弁であって、切換弁部26aを貫通する冷却水用流路26aaが形成されており、切換弁部26aが回転可能である。切換弁26は、電動駆動部26aの作動によって、冷却水用流路26aaが冷却水回路部20a内の冷却水の流れに略直交する回転位置に切換えると、図3(a)に示すように、冷却水用流路26aaの流れを遮断し(全閉状態)、ラジエータ流量配分が零となる。また、冷却水用流路26aaが冷却水回路部20a内の冷却水の流れに略平行となる回転位置に切換えると、図3(b)に示すように、冷却水用流路26aaの流れを流通し(全開状態)、ラジエータ流量配分が最大となる。
【0059】
次に、図1に示すように、ヒータ回路30には、ヒータコア31が設けられており、温水ポンプ22によって冷却水(温水)が循環されるように構成されている。ヒータコア31は、空調ユニット700の空調ケース710内に配設されており、送風機720によって送風される空調空気を温水との熱交換により加熱する。なお、ヒータコア31にはエアミックスドア730が設けられており、このエアミックスドア730の開閉により、ヒータコア31を流通する空調空気量が可変される。なお、ヒータ回路30は、冷却水回路20に接続し、冷却水(温水)の流れが冷却水回路20から分岐、合流する外部接続回路を構成する。
【0060】
冷凍サイクル回路300は、図1に示すように、圧縮機310、凝縮器320、受液器330、膨張弁340、および蒸発器350を含んで構成されている。この冷凍サイクル回路300には、冷媒が封入されており、圧縮機310、凝縮器320、受液器330、膨張弁340、および蒸発器350へと、冷媒が順次流れる閉回路が形成される。圧縮機310は、冷凍サイクル300内の冷媒を高温高圧に圧縮する流体機器であり、ここでは1回転当たりの吐出容量が所定量となる固定容量型の圧縮機とする。なお、圧縮機310を、制御装置600によって吐出容量が可変にされる可変容量型のものであってもよい。圧縮機310を可変容量とすれば、例えば春秋等の冷凍サイクル回路300の負荷が比較的小さい運転状態において、圧縮機310を駆動するための駆動力を小さくすることが可能である。次に、凝縮器320は、圧縮機310の吐出側に接続され、外気との熱交換によって冷媒を凝縮液化する熱交換器である。受液器330は、凝縮器320で凝縮された冷媒を気液二層に分離するレシーバであり、ここで分離された液化冷媒のみを膨張弁340側に流出させる。膨張弁340は、受液器330からの液化冷媒を減圧膨脹させるもので、本実施形態では、冷媒を等エンタルピ的に減圧すると共に、圧縮機310に吸入される冷媒の過熱度が所定値となるように絞り開度を制御する温度式膨脹弁を採用している。次に、蒸発器350は、ヒータコア31と同様に空調ユニット700の空調ケース710内に配設されており、膨張弁340によって減圧膨張された冷媒を蒸発させて、その時の蒸発潜熱によって送風機720からの空調空気を冷却する熱交換器である。そして、蒸発器350の冷媒出口側は、圧縮機310の吸入側に接続されている。なお、蒸発器350によって冷却された空調空気とヒータコア31によって加熱された空調空気は、エアミックスドア730の開度に応じて混合比率が可変され、車両に搭乗する乗員等によって設定される所定温度に調節される。
【0061】
次に、ランキンサイクル回路200を構成する膨張機220と、冷凍サイクル回路300を構成する圧縮機310とを接続する駆動伝達装置500を、図4に従って説明する。駆動伝達装置500は、膨張機220と圧縮機310との間を接続可能にする一方向クラッチ520と、内燃機関10の回転力が伝達されるプーリ410と、圧縮機310との間を接続可能にする、一方向クラッチ530および電磁クラッチ510とを備えている。なお、ここで、駆動伝達装置520、530、510、およびプーリ410は、内燃機関の駆動力を伝達可能な駆動機構を構成する。
【0062】
一方方向クラッチ520は、膨張機220が作動するときには、図示しない噛合機構が接続状態となって、圧縮機310に接続し、逆に、膨張機220が作動停止しているときには、噛合機構が接続状態が解除され、圧縮機310の回転動作等に協働しなくなる構成を有する。その結果、膨張機220に生じた回転駆動力を圧縮機310に付加し、圧縮機310の冷媒圧縮動作のアシストを可能にする。なお、膨張機220に駆動力が生じないとき、つまりランキンサイクル回路300が作動停止しているときには、冷凍サイクル回路300が作動状態になっても、圧縮機310の冷媒圧縮のための回転動作のみを許容し、膨張機310は回転動作しない。
【0063】
プーリ410は、ベルト11を介して内燃機関10の駆動力を受ける回転体である。冷凍サイクル回路300を作動停止状態にするときには、電磁クラッチ510を切断動作させ、内燃機関の回転力が伝達される方向にプーリ410の回転のみが許容され、プーリ410から相手部材(一方方向クラッチ530、圧縮機31)への回転力の伝達を停止する。なお、電磁クラッチ510を接続動作させると、プーリ410と相手部材への回転力の伝達が可能となる。
【0064】
一方方向クラッチ530は、プーリ410の回転力が伝達可能な状態にあるとき、図示しない噛合機構が接続状態となって、プーリ410と圧縮機310との回転動作が協働可能となる。このため、膨張機220に生じた回転駆動力が、プーリ410によって圧縮機310を回転駆動するのに必要なお駆動力以上となった場合には、膨張機220の余剰の駆動力は、駆動機構520、530、510、410を介して内燃機関10に付加され、内燃機関の軸出力のアシストを可能とする。
【0065】
制御装置600は、図1に示すように、冷却水回路20を流通する冷却水の温度を検出する冷却水温検出手段(以下、水温センサと呼ぶ)27、温水ポンプ22、および切換弁26の電動駆動部26bに接続されている。制御装置600には、水温センサ27で検出された冷却水温を示す冷却水温検出信号、冷却された空調空気と加熱された空調空気とを所定混合率で混合等するために冷凍サイクル回路300とヒータ回路30の作動要求をするA/C信号、および切換弁26の流量配分信号(本実施例では、図3に示す切換弁部26aaの開度信号)等が入力される。制御装置600は、冷却水温検出信号、流量配分信号等の信号に基いて、温水ポンプ22、切換弁26を駆動制御する。なお、制御装置600は、温水ポンプ22のモータ部(図示せず)に出力する駆動信号から、温水ポンプ22の吐出能力を推定する。駆動信号は、モータ部構造が電動モータの場合は電圧値、ブラシレスモータの場合には電流値を表す信号となる。
【0066】
また、制御装置600は、ポンプ250および電磁クラッチ510の作動等を制御する。なお、制御装置600は、図示しないリードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、マイクロプロセッサ(CPU)、入力ポート35、および出力ポート36を相互に双方向性バスで接続した公知の構成を有するマイクロコンピュータとして機能する。
【0067】
なお、本実施形態では、上記水温センサ27で検出される冷却水温としては、内燃機関10の出口温度であることが好ましい。水温センサ27の配置位置としては、図1に示すラジエータ21と内燃機関10との間の冷却水回路上流部に限らず、内燃機関10内の循環経路の出口部、あるいはその出口部の近傍等であっても、少なくともラジエータ21の上流側を流通する冷却水温度が検出できる位置に配置されていれば、いずれの配置位置でもよい。これにより、制御装置600は、ラジエータ21内を流通する冷却水におけるラジエータ水温でなく、内燃機関10の出口水温に基いて、温水ポンプ22、切換弁26を駆動制御することが可能である。
【0068】
なお、以下の本実施形態では、水温センサ27で検出される冷却水温は、内燃機関の出口水温として説明する。
【0069】
さらになお、制御装置600は、少なくとも温水ポンプ22を駆動制御することで、内燃機関の出口水温に応じて、内燃機関10の回転数に関係なく、温水ポンプ22の吐出能力つまり吐出量を精度よく増減することが可能である。また、制御装置600は、少なくとも切換弁26を駆動制御することで、内燃機関の出口水温に応じて、ラジエータ流量配分を精度よく増減することが可能である。
【0070】
車両の走行状態つまり内燃機関10の運転状態により内燃機関10の廃熱エネルギー量が変化するため、冷却水回路20を流通する冷却水の温度が変化する。そのため、制御装置600は、温水ポンプ22、切換弁26を駆動制御することことで、出口水温を、目標冷却水温の所定温度範囲(以下、制御温度範囲と呼ぶ)に制御する。出口水温が制御温度範囲より低いときには、切換弁26を全閉(ラジエータ流量配分を零)にし、全ての冷却水の流量がバイパス回路25を通流するように、切換弁26を駆動制御する。出口水温が制御温度範囲より高いときには、温水ポンプ22の吐出能力に余裕がある限り、制御装置600は温水ポンプ22を駆動制御して吐出量を増加させる。その結果、制御装置600は、出口水温を制御温度範囲内へ安定させる。なお、温水ポンプ22の吐出能力に余裕がなく(吐出量が最大)、かつ出口水温が制御温度範囲内より高いときには、切換弁26を全開側へ作動させ、冷却水の流量がラジエータ21を通流する(ラジエータ流量配分が増加する)ように、切換弁26を駆動制御する。これにより、制御装置600は、優先順に高いものから並べると、内燃機関の出口水温の確保、加熱器210の作動流体と熱交換する冷却水を流通するバイパス回路25の流量確保の順で、温水ポンプ22および切換弁26を駆動制御するため、冷却水回路20は、バイパス回路25を流通する冷却水を熱源として、加熱器210つまりランキンサイクル回路200側への安定した熱量の確保が可能である。
【0071】
以上説明した本実施形態によれば、加熱器210内には、廃熱エネルギーを伝達する媒体としての冷却水を導く廃熱媒体経路210aと、ランキンサイクル回路200を循環する作動流体を導く作動流体経路210bとを区画する境界壁211が設けられ、この境界壁211の内部には、熱エネルギーを蓄熱および放熱可能な蓄熱材215が配設されているので、境界壁211を通じて冷却水から作動流体へ伝熱される熱伝達量を安定化させることが可能である。図5に示すように、加熱器210に境界壁211に蓄熱材215がない従来構成による熱伝達量の経時変化特性(図5に示す破線の特性)に比べて、本発明に係る加熱器210を有するランキンサイクル回路200では、熱伝達量の経時変化を小さくすることができ(図5に示す実線の特性)、ランキンサイクル回路200への安定した熱量供給が図れる。
【0072】
さらになお、以上説明した本実施形態によれば、蓄熱材215は、境界壁211を構成する外周部211を形成する構造用材料と異なり、構造用材料に比べて相転移可能な材料からなるため、蓄熱材215が冷却水の廃熱エネルギーにより加熱され、固相から液相に転移可能な融解温度に加熱されると、相転移前後で潜熱として多すぎる廃熱エネルギー量を吸収し、廃熱エネルギー量が少なくすぎるようになると、潜熱として蓄えた熱エネルギーを放出する。その結果、内燃機関の運転状態(車両の走行状態)に係らず、境界壁211を通じて冷却水から作動流体へ伝熱される熱伝達量の安定化が図れる。
【0073】
さらになお、境界壁211のうち、作動流体経路210b側には、境界壁211と一体的に形成された境界壁部211aが延設され、境界壁部211aは、作動流体経路210bに導かれた作動流体同士を区分けするため、作動流体が流通する作動流体経路210b側に、蓄熱材215を比較的高容量に配置することが可能なる。蓄熱材215に蓄熱されたエネルギーを、作動流体つまりランキンサイクル回路200へ効果的に供給することが可能である。さらに、この境界壁部211aによって、作動流体に接する界面面積の拡大が図れるため、蓄熱材215に蓄熱されたエネルギーを、ランキンサイクル回路200へ効率的に供給することが可能である。
【0074】
さらになお、以上説明した本実施形態によれば、ランキンサイクル回路200を構成する加熱器210は、冷却水の流れに対してラジエータ21と並列に配置されていることが好ましい。これにより、加熱器210を流通する冷却水の流量の安定した確保がされるとともに、ラジエータ21を有する冷却水回路20の通水抵抗を下げることができ、内燃機関10の冷却性能の向上が図れる。なお、冷却水の流れに対してラジエータ21と並列となる加熱器210の配置位置としては、本実施形態で説明したバイパス回路25に配置するものに限らず、冷却水回路20内に形成され、冷却水の流れが分岐、合流する分岐回路に配置するもの、あるいは冷却水回路20に接続し、冷却水の流れが冷却水回路20から分岐、合流する外部接続回路に配置するもの等、いずれの並列的回路に配置するものであってもよい。
【0075】
さらになお、以上説明した本実施形態によれば、制御装置600は、優先順位が高いものから並べると、内燃機関の出口水温の確保、加熱器210の作動流体と熱交換する冷却水を流通するバイパス回路25の流量確保の順で、温水ポンプ22および切換弁26を駆動制御することが好ましい。これにより、冷却水回路20は、バイパス回路25を流通する冷却水を熱源として、加熱器210つまりランキンサイクル回路200側への安定した熱量の確保が可能である。
【0076】
(第2の実施形態)
以下、本発明を適用した他の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態においては、第1の実施形態と同じもしくは均等の構成には同一の符号を付し、説明を繰返さない。
【0077】
第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した加熱器210において、図6に示すように、加熱器210のほぼ全外周が断熱材217で覆われるようにする。図6は、本実施形態に係る加熱器を示す模式的断面図である。
【0078】
この様な構成であっても、第1の実施形態と同様な効果を得られる。
【0079】
さらに、図6に示すように、加熱器210内に形成された廃熱媒体経路210aに冷却水を導く冷却水経路20、および作動流体経路210bに作動流体を導くランキンサイクル200には、それぞれ、廃熱媒体経路210a内を流通する冷却水の流れを流通、遮断する第1の開閉弁28、作動流体経路210b内を流通する作動流体の流れを流通、遮断する第2の開閉弁260が設けられている。これにより、車両走行(内燃機関の運転)時に発生した熱エネルギーを、車両が停止(本実施例では、内燃機関の運転が停止)したとき、第1の開閉弁28および第2の開閉弁260を閉じることで、その熱エネルギーの一部を、断熱材217に覆われた加熱器210内の冷却水(温水)状態で蓄えることが可能である。内燃機関の運転モードとして、以下の様な効果を得られる。長期間停止した後のいわゆる始動運転モード等では、内燃機関10の冷却水温が低いため、内燃機関10の始動動作と同時に、加熱器210内で保温されていた冷却水(温水)と、蓄熱材で蓄えられている熱エネルギーを冷却水側へ放出し、温水ポンプ22による冷却水の循環により内燃機関10へ送る。その結果、内燃機関10の暖機を早めることができる。
【0080】
したがって、加熱器210に蓄熱器の機能を持たせ、蓄熱器を加熱器210に一体化することで、車両への搭載性向上が図れる。さらに、内燃機関10を早期に暖機できるため、冷間始動時における燃費向上、および排気ガスのエミッション低減が可能である。
【0081】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、図7に示すように、第1の実施形態で説明した蓄熱材215に代えて、制御装置600によって温度制御される出口水温の制御温度範囲(本実施例では、例えば60〜110℃)に、融解温度を有する材料からなる蓄熱材216とする。図7は、本実施形態に係る加熱器を示す模式的断面図である。
【0082】
これにより、内燃機関の運転状態(車両の走行状態)に応じて内燃機関の廃熱エネルギーが変化する冷却水が温度制御される制御温度範囲に、蓄熱材216の融解温度があるため、蓄熱材216の潜熱変化を利用して、蓄熱材216に蓄える熱量を向上させることが可能である。
【0083】
なお、蓄熱材216は、融解温度が制御温度範囲にある材料に限らず、蓄熱材216の潜熱変化を利用できるものであれば、融解温度が制御温度範囲とほぼ同じ温度帯にある材料であってもよい。
【0084】
さらになお、制御温度範囲とほぼ同じ温度帯に融解温度を有する材料としては、水酸化バリウム(八水和物)Ba(OH)28H2O、硝酸マグネシウム(六水和物)Mg(NO3)26H2O等の水和物からなる。これにより、廃熱エネルギーを伝達する媒体を、冷却水とする蓄熱材216の材料としては、融解温度を超えると完全に相転移する材料に限らず、昇温を続けると一部が塩あるいは無水物となる水和物であってもよい。
【0085】
なお、Ba(OH)28H2Oの融解温度は約78℃、Mg(NO3)26H2Oの融解温度は約89℃である。
【0086】
したがって、融解温度いわゆる融点で温度がほぼ一定となるため、冷却水から作動流体へ伝わる温度、熱伝達量を安定化させることができる。さらに、蓄熱材216へ蓄える熱密度を向上させることが可能であるため、加熱器210を小型化することが可能である。
【0087】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、第1の実施形態で説明した廃熱エネルギーを伝達する媒体としての冷却水に代えて、図8に示すように、排気ガスの排気熱とする。図8は、本実施形態に係る加熱器を示す模式的断面図である。
【0088】
図8に示すように、加熱器810は、排気ガスを導く廃熱媒体経路810aと、作動流体を導く作動流体経路810bとが形成され、廃熱媒体経路810aと作動流体経路810bとを区画する境界壁811が設けられている。境界壁811の内部には、蓄熱材815が配設されている。
【0089】
なお、この蓄熱材815は、加熱器810に導かれる排気ガスの排気熱の温度範囲(本実施例では、例えば100〜200℃)、もしくは排気熱の温度範囲とほぼ同じ温度帯にあることが好ましい。排気熱の温度範囲に、蓄熱材815の融解温度があるため、蓄熱材815の潜熱変化を利用して、蓄熱材815に蓄える熱量を向上させることが可能である。なお、境界壁811および境界壁部811aは、第1の実施形態の境界壁211および境界壁部211aに対応する。
【0090】
これにより、冷却水より高温である排気熱から加熱器810を通じてランキンサイクル回路200へ安定した熱量を供給可能である。
【0091】
なお、排気熱は一般に冷却水に比べ高温のため、ランキンサイクル回路200内の作動流体における圧力差を大きくすることができ、加熱器810による回収効率を大幅に向上させることが可能である。
【0092】
なお、上述の説明では、排気ガス自体を媒体として説明したが、ランキンサイクル回路200に熱回収される媒体として、内燃機関10が生成する排気ガスのエネルギーにより加熱された媒体、例えば排気により駆動されるターボチャージャ(図示せず)を冷却する冷却オイル回路(図示せず)を流通する冷却オイルを用いてもよい。この様な構成であっても、本実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0093】
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、図9に示すように、第1の実施形態で説明した加熱器210と、第4の実施形態で説明した加熱器810の両方が、ランキンサイクル回路200に直列に配置される。図9は、本実施形態に係る加熱器を示す模式的断面図である。
【0094】
図9に示すように、ランキンサイクル回路200には、冷却水と作動流体とを熱交換する加熱器210と、排気熱と作動流体とを熱交換する加熱器810が配置されている。
【0095】
これにより、加熱器210を介して冷却水から廃熱を回収した後、更に温度の高い排気から廃熱を回収することで、廃熱回収量を大幅に増加させることが可能である。したがって、廃熱伝達量が増加するため、ランキンサイクル回路200における作動流体の流量を増やすことができ、動力回生量の増加が図れる。
【0096】
(第6の実施形態)
第6の実施形態は、図10に示すように、第1の実施形態の内燃機関の廃熱利用装置に、排気熱と冷却水とを熱交換する加熱器910を設ける。図10は、本実施形態に係る加熱器を示す模式的断面図である。なお、加熱器910は、加熱器810(図8参照)とほぼ同じ構造を有する。
【0097】
図10に示すように、冷却水と作動流体とを熱交換する加熱器210を有するランキンサイクル回路200とは別に、加熱器910によって内燃機関10の廃熱エネルギーの他の一つである排気熱を冷却水に取り込む。これにより、内燃機関10の廃熱エネルギーの他の一つである排気熱を、加熱器910により冷却水に取り込み、冷却水の廃熱に加えて一緒にした後、この冷却水を熱源として、加熱器910とは異なる加熱器210によりランキンサイクル回路200に熱回収することが可能である。
【0098】
したがって、冷却水および排気ガスによる廃熱エネルギーの両方を廃熱回収することができ、廃熱回収量を大幅に増加させることが可能である。廃熱伝達量が増加するため、ランキンサイクル回路200における作動流体の流量を増やすことができ、動力回生量の増加が図れる。
【0099】
以上説明した第1から第6の実施形態によれば、内燃機関10および内燃機関の廃熱利用装置100が、以下の作動モードに応じて作動される。
【0100】
▲1▼ランキンサイクル停止中の冷凍サイクル運転モード
この運転モードは、ランキンサイクルが停止中、例えば内燃機関10の運転状態が、主に内燃機関10を作動させた直後等で冷却水が充分に昇温(本実施例では、例えば80℃以上)していない場合、しかも、A/C要求がある(A/C信号が制御装置600に入力された)ものである。
【0101】
冷却水回路20の温水ポンプ22(122)を作動し、切換弁26がラジエータ流量配分がほぼ零となるように切換えられ、冷却水がバイパス回路25側に迂回する。そして、ポンプ250を停止させランキンサイクル200を停止状態とする。また、電磁クラッチ510を接続する。すると、エンジン10からの駆動力がプーリ410、電磁クラッチ510を介して圧縮機310に伝達され、圧縮機310が作動され、冷凍サイクル回路300が作動する。
【0102】
▲2▼ランキンサイクルによる冷凍サイクル運転モード
この運転モードは、A/C要求がある場合で、内燃機関10による廃熱が充分に得られる運転状態にあるときには、ランキンサイクル回路200を作動させ、そこから得られた駆動力を圧縮機310に付加して冷凍サイクル回路300を作動させるものである。
【0103】
制御装置600は、ポンプ250を作動させ、作動流体がランキンサイクル回路200内を循環できるようにし、ランキンサイクル回路200を作動可能な状態とする。また、電磁クラッチ510は切断状態にし、内燃機関10の駆動力がプーリ410を介して圧縮機310に伝達されないようにする。
【0104】
ランキンサイクル回路200においては、ポンプ250の作動によって作動流体が昇圧されて加熱器210に送られ、加熱器210において作動流体は高温のエンジン冷却水によって加熱され、過熱蒸気作動流体となって膨張機220に送られる。膨張機220において作動流体は等エントロピー的に膨張減圧され、その熱エネルギーと圧力エネルギーの一部が回転駆動力に変換される。そして、減圧された作動流体は凝縮器230で凝縮され、受液器240で気液分離され、液化作動流体が再びポンプ250へ吸引される。
【0105】
その結果、膨張機220で得られた駆動力は、圧縮機310に伝達され、圧縮機310は内燃機関10の駆動力を不要として作動する。そのため、内燃機関10の燃費低減が図れる。
【0106】
▲3▼ランキンサイクルと冷凍サイクルの複合運転モード
この運転モードは、A/C要求がある場合で、内燃機関10の廃熱は充分あるものの、夏場などで冷房負荷が比較的高い運転状態にあるときには、膨張機220の駆動力と内燃機関10の駆動力を複合的に用いて圧縮機310を作動させるものである。
【0107】
制御装置600は、ポンプ250を作動させ、作動流体がランキンサイクル回路200内を循環できるようにし、ランキンサイクル回路200を作動可能な状態とする。また、電磁クラッチ510は接続状態にし、内燃機関10の駆動力がプーリ410を介して圧縮機310に伝達されるようにする。
【0108】
すると、圧縮機310には、膨張機220からの駆動力と内燃機関10からの駆動力とが付加され、冷媒吐出量を増加させて冷房能力を高めることが可能となる。
【0109】
▲4▼ランキンサイクルによる冷凍サイクル運転と動力回生運転モード
この運転モードは、A/C要求がある場合で、春秋などで冷房負荷が比較的低い運転状態にあるときには、圧縮機310を駆動するために必要な駆動力が比較的小さいため、ランキンサイクル回路200で得られる駆動力のうち、余剰となった駆動力を内燃機関10へ付加するものである。
【0110】
制御装置600は、▲3▼ランキンサイクルと通常冷凍サイクルの複合運転モードと同様に、ポンプ250を作動させ、作動流体がランキンサイクル回路200内を循環できるようにし、ランキンサイクル回路200を作動可能な状態とする。また、電磁クラッチ510は接続状態にし、内燃機関10の駆動力がプーリ410を介して圧縮機310に伝達されるようにする。
【0111】
すると、圧縮機310には膨張機220からの駆動力が冷房負荷に見合った分だけ加えられ、圧縮機310が作動するとともに、余剰となる膨張機220の駆動力分はプーリ410に付加され、内燃機関10の駆動力を低減可能する。その結果、内燃機関10の軸出力をアシストする動力回生運転が可能となる。
【0112】
▲5▼動力回生運転モード
この運転モードは、圧縮機310の構造が可変容量型のものである場合であって、例えば▲4▼ランキンサイクルによる冷凍サイクル運転と動力回生運転モードにおいて、A/C要求がない運転状態にあるときには、制御装置600によって圧縮機310を駆動するために必要な駆動力をほぼ零にし、内燃機関10の軸出力をアシストするものである。
【0113】
なお、制御装置600は、圧縮機310の吐出容量をほぼ零になるように制御する。
【0114】
以上説明した第1から第4の実施形態において、廃熱を利用する熱源として内燃機関10として説明したが、内燃機関等の熱機関、モータまたはインバータ等の回転電機、あるいはFCスタック等の燃料電池に限らず、廃熱エネルギーを回収可能な発熱体であればいずれであってもよい。
【0115】
なお、インバータ等回転電機を搭載するハイブリット車両、あるいはFCスタック等の燃料電池により走行する燃料電池自動車に冷凍サイクル回路300を搭載するものに適用して好適である。なお、燃料電池自動車に搭載されるFCスタックは、水素と酸素を反応させて電気をつくりだすとき発熱するため、冷却水等の熱媒体を循環させることでFCスタックを冷却する熱媒体循環回路を有する。また、ハイブリット車両に搭載されるインバータは、車両の走行状態に応じて内燃機関とインバータとに選択的に動力切換されるとともに、車両の走行中に停止させるときには発電機として使用され、使用時には発熱するので冷却水等の熱媒体を循環させることでインバータを冷却する熱媒体循環回路を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の内燃機関の廃熱利用装置の構成を示す模式図である。
【図2】図1中の加熱器を示す模式的断面図である。
【図3】図1中の電動式の切換手段を示す模式的断面図であって、図3(a)はラジエータへ流れる冷却水の流量配分を零にした切換え状態、図3(b)はラジエータへ流れる冷却水の流量配分を最大にした切換え状態を示す断面図である。
【図4】図1中のランキンサイクル回路の膨張機と冷凍サイクル回路の圧縮機とを接続する駆動機構を示す模式図である。
【図5】第1の実施形態に係る加熱器による熱伝達量の経時変化を示すグラフである。
【図6】第2の実施形態に係る加熱器を示す模式的断面図である。
【図7】第3の実施形態に係る加熱器を示す模式的断面図である。
【図8】第4の実施形態に係る加熱器を示す模式的断面図である。
【図9】第5の実施形態に係る加熱器を示す模式的断面図である。
【図10】第6の実施形態の内燃機関の廃熱利用装置の構成を示す模式図である。
【図11】従来技術による内燃機関の廃熱利用装置の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
10 内燃機関(発熱体)
20 冷却水回路(発熱体循環回路)
21 ラジエータ(冷却用熱交換器)
20a 冷却水回路部
22 温水ポンプ(ポンプ手段)
25 バイパス回路
26 切換弁
27 水温センサ(冷却水温検出手段)
30 ヒータ回路
31 ヒータコア(暖房用熱交換器)
100 内燃機関の廃熱利用装置(発熱体の廃熱利用装置)
200 ランキンサイクル回路
210 加熱器
210a 廃熱媒体経路
210b 作動流体経路
211 境界壁
211a 境界壁部
212 外周部
215 蓄熱材
220 膨張機
250 ポンプ
300 冷凍サイクル回路
310 圧縮機
410 プーリ(駆動機構の一部)
500 駆動伝達装置(駆動機構の一部)
510 電磁クラッチ
520、530 一方向クラッチ
600 制御装置(制御手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機、熱機関等の発熱体の廃熱利用装置に関し、例えば自動車等の車両用内燃機関の廃熱を利用する動力回収の技術に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
発熱体の廃熱利用装置としては、例えば自動車等の車両用内燃機関において、冷凍サイクルの構成部品を利用してランキンサイクルを形成することで内燃機関の廃熱を動力回収し、その回収した動力で内燃機関の軸出力をアシストするものが知られている(特許文献1参照)。この技術によると、冷凍サイクル回路はコンプレッサと蒸発器とを含んで構成されており、そのコンプレッサは、内燃機関10を駆動源とする圧縮機として使用されるとともに、内燃機関10をアシストする膨張機として兼用される。また、その蒸発器は、内燃機関10の冷却水回路と兼用するヒータ回路の冷却水を熱源とする高温蒸発器210と選択的に切換えられるように構成されている。蒸発器に換えて、高温蒸発器210を冷凍サイクル回路に接続することで、ランキンサイクル回路が形成される(模式図11参照)。
【0003】
なお、この図11は、内燃機関10およびラジエータ21間を冷却水の循環する冷却水回路に着目して作図され、冷却水回路とランキンサイクル回路(詳しくは、高温蒸発器)の接続関係を模式的に表した。図11は、高温蒸発器210に切換えた状態を表し、蒸発器は図示しない。
【0004】
さらになお、冷却水回路は、一般的に、サーモスタットを用いた切換弁26を備え、内燃機関の始動時等の冷却水温が低い場合、ラジエータ21に冷却水を流さず、迂回させるように構成されている。
【0005】
なお、ここで、一般に、冷却水回路内の冷却水を循環させるための温水ポンプ22は、内燃機関の回転速度(回転数)に比例するメカ式のものを使用している。切換弁に用いるサーモスタットは内部のワックスが熱によって膨張、収縮する性質を利用して、冷却水の水温に感応し、ラジエータを迂回する冷却水の流量を調節する。
【0006】
さらになお、ここで、冷却水回路は、発熱体である内燃機関との間で熱媒体としての冷却水が循環され、冷却水を冷却する冷却用熱交換器としてのラジエータを有する熱媒体循環回路を構成している。
【0007】
【特許文献1】
特許第2540738号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術では、内燃機関10により加熱された冷却水を熱源とし、この冷却水から高温蒸発器210を通じてランキンサイクル回路へ供給される熱量供給量を安定化させる配慮がなされていない。温水ポンプ22は内燃機関の回転数に比例するため、低回転領域では流量に制限がある。サーモスタット26は温度感応の応答性が劣る。このため、メカ式温水ポンプ22およびサーモスタット26を使用する冷却水回路は、例えば車両の走行状態により冷却水の水温、流量の変動が大きく、高温蒸発器210つまりランキンサイクル回路への熱量供給が不安定となる可能性がある。
【0009】
また、近年、燃費向上のため開発されたアイドルストップを採用する車両(エコラン車両と呼ぶ)、ハイブリット車両等車両仕様により、内燃機関に生じる廃熱エネルギー量が大きく変化する。このため、ランキンサイクル回路への熱供給量も大きく変化するおそれがある。その結果、冷却水回路を流通する冷却水と、ランキンサイクル回路を流通する作動流体とを熱変換する高温蒸発器210で熱回収する熱伝達量も大きく変化する可能性がある。高温蒸発器210が熱回収する熱伝達量が大きく変化してしまうと、ランキンサイクル回路の安定した運転ができず、動力回収効率が低下してしまうおそれがある。
【0010】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、内燃機関等の発熱体の廃熱を利用するランキンサイクル回路を備えたものにおいて、発熱体の運転状態等に係わらず、ランキンサイクル回路への安定した熱量供給が図れることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1によると、発熱体の廃熱エネルギーを伝達する媒体と熱交換して作動流体を加熱する加熱器と、加熱器により加熱され蒸発する作動流体を膨張させて駆動力を発生する膨張機とを有するランキンサイクル回路を備え、加熱器内は、媒体を導く廃熱媒体経路と、作動流体を導く作動流体経路とを区画する境界壁を有し、境界壁の内部には、熱エネルギーを蓄熱および放熱可能な蓄熱材が設けられている。
【0012】
加熱器は、内燃機関等の発熱体の廃熱エネルギーを伝達する媒体を熱源として、その媒体と作動流体とを熱交換し、熱回収する。ランキンサイクル回路は、熱回収した作動流体から、膨張機を介して駆動力等の動力エネルギーを得る。加熱器内には、媒体を導く経路と作動流体を導く経路を区画する境界壁が設けられている。この境界壁の内部には、蓄熱および放熱可能な蓄熱材が設けられているため、境界壁を通じて媒体から作動流体へ伝熱される熱供給量を安定化させることが可能である。例えば媒体によって伝達される廃熱エネルギー量が比較的大きく変化したとしても、廃熱エネルギー量が大きいときには蓄熱材に蓄えられ、廃熱エネルギー量が小さいときには蓄熱材に蓄えられたエネルギーを放出することで、安定した熱量を、動力回生するランキンサイクル回路に供給することが可能である。
【0013】
本発明の請求項2によると、蓄熱材は、境界壁を形成する構造用材料とは異なり、構造用材料に比べて相転移が可能な材料からなる。
【0014】
これにより、媒体を介して廃熱エネルギーが境界壁に伝熱され、蓄熱材が、例えば固相から液相に相転移可能な温度に加熱されると、相転移の前後で潜熱として、多すぎる廃熱エネルギーを吸収する。また、例えば廃熱エネルギーが少なすぎるときは、潜熱として蓄えた熱エネルギーを放出することができる。
【0015】
さらに、蓄熱材が相転移することで、固相に比べて比較的変形し易い液相等になっても、構造用材料から形成される境界壁の内部に封入されるため、蓄熱材が外部へ漏れ出てしまうことを防止可能である。
【0016】
本発明の請求項3によると、境界壁のうち、作動流体経路側には、境界壁と一体的に形成された境界壁部が延設され、境界壁部は、作動流体経路に導かれた作動流体同士を区分けしている。
【0017】
これにより、加熱器は、作動流体が流通する作動流体経路側に、蓄熱材を比較的高容量に配置することが可能なる。そのため、蓄熱材に蓄熱されたエネルギーを、作動流体へ効果的に供給することが可能である。
【0018】
なお、境界壁部により、作動流体に接する界面面積の拡大が図れるため、蓄熱材に蓄熱されたエネルギーを、作動流体へ効率的に供給できる。
【0019】
本発明の請求項4によると、加熱器は、ほぼ全外周を断熱材で覆われている。
【0020】
これにより、加熱器を、加熱器内に貯留される媒体および作動流体を蓄熱しておく蓄熱器として機能させることが可能である。
【0021】
本発明の請求項5によると、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発熱体の廃熱利用装置は、発熱体との間で冷却水が循環され、冷却水を冷却する冷却用熱交換器を有する冷却水回路を備え、媒体は、冷却水である。
【0022】
これにより、内燃機関等の発熱体の廃熱エネルギーを、ラジエータ等の冷却用熱交換器を有する冷却水回路内を循環し、発熱体で加熱された冷却水を熱源として、ランキンサイクル回路に熱回収することができる。
【0023】
なお、冷却水は、発熱体と冷却用熱交換器との間を循環し、発熱体を冷却するものであれば、冷却水等の液体に限らず、発熱体に生じる廃熱を輸送するいずれの熱媒体であってもよい。この場合、発熱体と冷却用熱交換器との間を循環し、冷却用熱交換器を有する熱媒体循環回路が形成される。
【0024】
本発明の請求項6によると、蓄熱材は、冷却水回路内で温度制御される冷却水の制御温度範囲とほぼ同じ温度帯に、融解温度を有する材料からなる。
【0025】
内燃機関等の発熱体の運転状態、例えば車両等の走行状態つまり内燃機関の運転状態により変化する冷却水が温度制御される制御温度範囲に、蓄熱材の融解温度があるため、蓄熱材の潜熱変化を利用して、蓄熱材に蓄える熱量を向上させることが可能である。
【0026】
本発明の請求項7によると、蓄熱材の材料は、水和物からなる。
【0027】
媒体を冷却水とする蓄熱材の材料としては、融解温度を超えると完全に相転移する材料に限らず、昇温を続けると一部が塩あるいは無水物となる水和物であってもよい。
【0028】
本発明の請求項8によると、請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の発熱体の廃熱利用装置において、発熱体は熱機関であって、加熱器とは別個の加熱器を有し、別個の加熱器には、熱機関が生成する排気ガスが第2の媒体として導かれ、第2の媒体と冷却水とを熱交換する。
【0029】
これにより、内燃機関等の発熱体の廃熱エネルギーの他の一つである排気熱を、別固の加熱器により冷却水に取り込み、冷却水の廃熱に加えて一緒にした後、この冷却水を熱源として、別個の加熱器とは異なる加熱器によりランキンサイクル回路に熱回収することが可能である。
【0030】
本発明の請求項9によると、別個の加熱器を構成する蓄熱材は、別個の加熱器に導かれる排気ガスの温度範囲とほぼ同じ温度帯に、融解温度を有する材料からなる。
【0031】
これにより、別個の加熱器によって排気ガスからなる第2の媒体と冷却水とを熱交換し、冷却水の廃熱に加える際、排気ガスの熱エネルギーによって蓄熱材が融解温度に加熱されると、固相から液相への相転移の前後で潜熱として、多すぎる排気熱エネルギーを吸収する。また、例えば排気熱エネルギーが少なすぎるときは、潜熱として蓄えた熱エネルギーを放出することができる。その結果、例えば排気熱エネルギー量が比較的大きく変化したとしても、冷却水への安定した熱伝達量の供給が可能である。
【0032】
本発明の請求項10によると、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発熱体の廃熱利用装置において、発熱体は熱機関であって、媒体は、熱機関が生成する排気ガスである。これにより、ランキンサイクル回路に熱回収される媒体として、内燃機関等の熱機関が生成する排気ガスを用いることができる。
【0033】
本発明の請求項11によると、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発熱体の廃熱利用装置において、発熱体は熱機関であって、媒体は、熱機関が生成する排気ガスのエネルギーにより加熱されたものである。これにより、ランキンサイクル回路に熱回収される媒体として、内燃機関等の熱機関が生成する排気ガスのエネルギーにより加熱された媒体、例えば排気により駆動されるターボチャージャを冷却する冷却用熱交換器を有する冷却オイル回路を流通する冷却オイルを用いることができる。
【0034】
本発明の請求項12によると、蓄熱材は、媒体の温度範囲とほぼ同じ温度帯に、融解温度を有する材料からなる。これにより、内燃機関等の発熱体の運転状態、例えば車両の走行状態つまり内燃機関の運転状態により変化する排気ガスの温度範囲に、蓄熱材の融解温度があるため、蓄熱材の潜熱変化を利用して、蓄熱材に蓄えられる熱量を向上させることが可能である。
【0035】
本発明の請求項13によると、発熱体に生じる駆動力を伝達可能な駆動機構と、駆動機構により作動され、循環する冷媒を圧縮する圧縮機を有する冷凍サイクル回路とを備え、膨張機は圧縮機に接続され、膨張機に駆動力が発生したときには、圧縮機および駆動機構のうち少なくとも圧縮機に駆動力が付加される。
【0036】
これにより、ランキンサイクル回路と、冷凍サイクル回路とを独立に設けるため、冷凍サイクル回路の作動の有無に係らず、膨張機を作動させることが可能である。その結果、内燃機関等発熱体の廃熱を、冷却水等の媒体を熱源として加熱器によって廃熱回収することで、膨張機に駆動力を生じさせるので、例えば冷凍サイクル回路の圧縮機を駆動する駆動機構の動力が軽減される。つまり、内燃機関が駆動機構を介して圧縮機を駆動する駆動力の軽減が図れる。
【0037】
なお、圧縮機を駆動するのに必要な駆動力以上の駆動力が膨張機に生じる場合には、膨張機の余剰の駆動力は、駆動機構を介して内燃機関の軸出力に付加される。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の発熱体の廃熱利用装置を、自動車等の車両用内燃機関の廃熱利用装置に適用して、具体化した実施形態を図面に従って説明する。
【0039】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の内燃機関の廃熱利用装置の構成を示す模式図である。図2は、図1中の加熱器を示す模式的断面図である。図3は、図1中の電動式の切換手段を示す模式的断面図であって、図3(a)はラジエータへ流れる冷却水の流量配分を零にした切換え状態、図3(b)はラジエータへ流れる冷却水の流量配分を最大にした切換え状態を示す断面図である。図4は、図1中のランキンサイクル回路の膨張機と冷凍サイクル回路の圧縮機とを接続する駆動機構を示す模式図である。図5は、実施形態に係る加熱器による熱伝達量の経時変化を示すグラフである。
【0040】
図1に示すように、内燃機関の廃熱利用装置100は、ランキンサイクル回路200と、冷凍サイクル回路300とを含んで構成されている。
【0041】
内燃機関10は、冷却水の循環により冷却される水冷式の内燃機関である。内燃機関10は燃焼室(図示せず)周りのシリンダブロック等の内部に冷却水を流す循環経路(図示せず)を有し、この循環経路に冷却水を流すことにより内燃機関の燃焼室内で行なわれる燃焼により発生するエネルギーのうち、熱エネルギーが冷却水と熱交換される。内燃機関10で加熱された冷却水は、内燃機関10(詳しくは、循環経路)との間で循環し、ラジエータ21を有する冷却水回路20で冷却される。なお、ここで、冷却水は、内燃機関の廃熱エネルギーを伝達する媒体を構成する。
【0042】
なお、加熱された冷却水(温水)を熱源として空調空気を加熱するヒータ回路30を設けてもよい。なお、以下の本実施形態では、内燃機関10には冷却水回路20とヒータ回路30とを有するものとして説明する。
【0043】
ランキンサイクル回路200は、図1に示すように、加熱器210、膨張機220、凝縮器230、受液器240、およびポンプ250を含んで構成されている。このランキンサイクル回路200には、作動流体が封入されており、加熱器210、膨張機220、凝縮器230、受液器240、およびポンプ250へと、作動流体が順次流れる閉回路が形成される。この作動流体は電動式のポンプ250の作動によってランキンサイクル回路200内を循環される。
【0044】
加熱器210は、図1に示すように、ポンプ250から送られる作動流体と冷却水回路20を流通する高温の冷却水(詳しくは、後述のバイパス回路25を流通する冷却水)との間で熱交換することにより作動流体を加熱する熱交換器である。
【0045】
図2に示すように、加熱器210内には、冷却水を導く廃熱媒体経路210aと、作動流体を導く作動流体経路210bとが形成され、廃熱媒体経路210aと作動流体経路210bとを区画する境界壁211が設けられている。境界壁211の内部には、蓄熱材215が配設されている。なお、蓄熱材215は、境界壁211内に封入されている。蓄熱材215は、熱エネルギーを蓄熱および放熱可能である。これにより、境界壁211の内部に、蓄熱および放熱可能な蓄熱材215が設けられているため、境界壁211を介して冷却水から作動流体へ伝熱される熱供給量(以下、冷却水から作動流体へ熱交換される熱伝達量と呼ぶ)を安定化させることが可能である。内燃機関の運転状態(車両の走行状態)によって内燃機関が冷却水を加熱する廃熱エネルギー量が比較的変化する場合であっても、廃熱エネルギー量が大きいときには蓄熱材215に蓄えられ、廃熱エネルギー量が小さいときには蓄熱材215に蓄えられたエネルギーを放出することで、冷却水から作動流体へ熱交換される熱伝達量の安定化が図れる。その結果、ランキンサイクル回路200に安定した熱量を供給されるため、ランキンサイクル回路200の安定運転が可能である。
【0046】
蓄熱材215は、境界壁211の外周側を形成する外周部212の材料と異なる。外周部212は境界壁211の構造上の強度を確保するための構造用材料から形成されている。これに対して、蓄熱材215は、構造用材料に比べて、例えば固相から液相、あるいは液相から気相に相転移可能な材料からなる。蓄熱材215における相転移可能な材料としては、廃熱エネルギーを生成する内燃機関の運転温度の範囲、あるいは廃熱エネルギーを伝達する冷却水が流通する冷却水回路20における出口水温の範囲において、例えば固相から液相に融解可能な材料であれば、いずれの材料でもよい。また、内燃機関の運転温度の範囲あるいは出口水温の範囲において、例えば液相から気相に沸騰可能な材料であってもよい。
【0047】
なお、以下、本実施形態で説明する蓄熱材215の材料は、固相から液相に融解可能な材料として説明する。
【0048】
これにより、蓄熱材215が相転移することで、固相に比べて比較的変形し易い液相になったとしても、構造用材料からなる外周部212の内部に封入されるため、蓄熱材215が境界壁211の外部へ漏れ出て、流出してしまうことを防止可能である。
【0049】
さらに、蓄熱材215は、相転移の前後で潜熱として、多すぎる廃熱エネルギーを吸収、少なすぎる廃熱エネルギーには潜熱として蓄えた熱エネルギーを放出可能である。すなわち、冷却水によって伝達された廃熱エネルギーが比較的多すぎるときには、その多すぎる廃熱エネルギーは蓄熱材215によって吸収される。また、比較的少なすぎるときには、蓄熱材215によって蓄熱された潜熱エネルギーを放出する。このように、蓄熱材215は、相転移の前後で潜熱変化する。
【0050】
さらになお、本実施形態では、図2に示すように、境界壁211のうち、作動流体経路210b側には、境界壁211と一体的に形成された境界壁部211aが延設され、境界壁部211aは、作動流体経路210bに導かれた作動流体同士を区分けすることが好ましい。これにより、加熱器210は、作動流体が流通する作動流体経路210b側に、蓄熱材215を比較的高容量に配置することが可能なる。そのため、蓄熱材215に蓄熱されたエネルギーを、作動流体へ効果的に供給することが可能である。なお、この境界壁部211aによって、作動流体に接する界面面積の拡大が図れるため、蓄熱材215に蓄熱されたエネルギーを、作動流体へ効率的に供給することが可能である。
【0051】
膨張機220は、加熱器210で加熱され過熱蒸気の状態となる作動流体の膨張によって回転等に係る駆動力を発生させる流体機器である。凝縮器230は、膨張機220から吐出される作動流体を外気との熱交換によって凝縮液化する熱交換器である。受液器240は、凝縮器230で凝縮された作動流体を気液二層に分離するレシーバであり、ここで分離された液化作動流体のみをポンプ250側に流出させる。
【0052】
冷却水回路20には、図1に示すように、ラジエータ21が設けられており、ラジエータ21は、温水ポンプ22の作動によって循環される冷却水を外気との熱交換により冷却する。温水ポンプ22は、内燃機関10に装着され、内燃機関10の回転数に比例するメカ式のポンプであっても、電動式のポンプであってもいずれでもよい。この温水ポンプ22は、冷却水回路内で冷却水を循環させるポンプ手段を構成する。
【0053】
なお、以下の本実施形態では、温水ポンプ22は、電動式のポンプとして説明する。
【0054】
冷却水回路20には、図1に示すように、内燃機関10とラジエータ21との間から分岐し、ラジエータ21を迂回してラジエータ21の下流に合流するバイパス回路25が設けられている。図1に示すように、ランキンサイクル回路200を構成する加熱器210が、バイパス回路25に配置されていることが好ましい。加熱器210は、バイパス回路25を流れる冷却水を熱源として、このバイパス回路25を流通する冷却水と作動流体との間で熱交換し、作動流体を加熱する。これにより、ラジエータ21を流れる冷却水の流れと、加熱器210内の作動流体と熱交換するために加熱器210へ流れる冷却水の流れとが並列に流れるため、ラジエータ21を有する冷却水回路20の通水抵抗を低減することが可能である。なお、加熱器210は、冷却水の流れに対してラジエータ21と並列に配置されている(図1参照)。その結果、従来の加熱器とラジエータ21とが冷却水の流れに対して直列に配置されているものに比べて、ラジエータ21へ流れる冷却水の流量が増加され、内燃機関10の冷却性能の向上が図れる。なお、冷却水の流れに対して加熱器210をラジエータ21と並列に配置することが可能な構成であれば、バイパス回路25に限らず、冷却水回路20内に形成され、冷却水の流れが分岐、合流する分岐回路であっても、冷却水回路20に接続し、冷却水の流れが冷却水回路20から分岐、合流する外部接続回路等のいずれの並列的回路であってもよい。例えば冷却水回路20から分岐し、内燃機関10により加熱された冷却水(温水)と熱交換して送風空気を加熱するヒータコア31等の暖房用熱交換器を有するヒータ回路30に加熱器210が配置されてもよい。
【0055】
なお、本実施形態では、ラジエータ21の下流側の冷却水回路部20aとバイパス回路25との合流部、あるいは冷却水回路部20aのうちラジエータ21と合流部との間(本実施例では、図1に示すようにラジエータ21と合流部との間)には、冷却水の流量を調整する切換弁26が設けられていることが好ましい。これにより、バイパス回路25を流れる冷却水の流量とラジエータ21へ通水される冷却水の流量とを、冷却水温に応じて流量配分することが可能である。その結果、ランキンサイクル回路200は、内燃機関10の本体温度を維持しながら、加熱器210を通じて廃熱回収することが可能である。なお、内燃機関10の本体温度とは、発熱体である内燃機関10は熱媒体である冷却水を循環させることで冷却されるが、内燃機関10から吐出される冷却水の温度、例えば内燃機関の出口水温で代表される温度である。
【0056】
なお、この切換弁26は、従来のサーモスタットを用いた切換弁に限らず、電動式の切換弁であってもいずれでもよい。切換弁26は、バイパス回路25を流れる冷却水の流量、つまり加熱器210へ熱交換するための冷却水の流量とラジエータ21へ通水される冷却水の流量との流量配分を切換え可能な切換手段を構成する。なお、ここで、この切換弁26により調整されたラジエータ21へ通水される冷却水の流量を、ラジエータ流量配分と呼ぶ。また、加熱器210へ熱交換するための冷却水の流量を、加熱器流量配分と呼ぶ。
【0057】
なお、以下の本実施形態では、切換弁26は、電動式の切換弁として説明する。
【0058】
切換弁26は、図1に示すように、流通する冷却水の流量を可変にする切換弁部26aと、この切換弁部26aを駆動する電動駆動部26bとからなり、電動駆動部26aは後述の制御手段(以下、制御装置と呼ぶ)600に電気的に接続されている。図3に示すように、冷却水回路部20aには、切換弁部26aが流通、遮断可能に配置されている。切換弁26は、いわゆるロータリー式の切換弁であって、切換弁部26aを貫通する冷却水用流路26aaが形成されており、切換弁部26aが回転可能である。切換弁26は、電動駆動部26aの作動によって、冷却水用流路26aaが冷却水回路部20a内の冷却水の流れに略直交する回転位置に切換えると、図3(a)に示すように、冷却水用流路26aaの流れを遮断し(全閉状態)、ラジエータ流量配分が零となる。また、冷却水用流路26aaが冷却水回路部20a内の冷却水の流れに略平行となる回転位置に切換えると、図3(b)に示すように、冷却水用流路26aaの流れを流通し(全開状態)、ラジエータ流量配分が最大となる。
【0059】
次に、図1に示すように、ヒータ回路30には、ヒータコア31が設けられており、温水ポンプ22によって冷却水(温水)が循環されるように構成されている。ヒータコア31は、空調ユニット700の空調ケース710内に配設されており、送風機720によって送風される空調空気を温水との熱交換により加熱する。なお、ヒータコア31にはエアミックスドア730が設けられており、このエアミックスドア730の開閉により、ヒータコア31を流通する空調空気量が可変される。なお、ヒータ回路30は、冷却水回路20に接続し、冷却水(温水)の流れが冷却水回路20から分岐、合流する外部接続回路を構成する。
【0060】
冷凍サイクル回路300は、図1に示すように、圧縮機310、凝縮器320、受液器330、膨張弁340、および蒸発器350を含んで構成されている。この冷凍サイクル回路300には、冷媒が封入されており、圧縮機310、凝縮器320、受液器330、膨張弁340、および蒸発器350へと、冷媒が順次流れる閉回路が形成される。圧縮機310は、冷凍サイクル300内の冷媒を高温高圧に圧縮する流体機器であり、ここでは1回転当たりの吐出容量が所定量となる固定容量型の圧縮機とする。なお、圧縮機310を、制御装置600によって吐出容量が可変にされる可変容量型のものであってもよい。圧縮機310を可変容量とすれば、例えば春秋等の冷凍サイクル回路300の負荷が比較的小さい運転状態において、圧縮機310を駆動するための駆動力を小さくすることが可能である。次に、凝縮器320は、圧縮機310の吐出側に接続され、外気との熱交換によって冷媒を凝縮液化する熱交換器である。受液器330は、凝縮器320で凝縮された冷媒を気液二層に分離するレシーバであり、ここで分離された液化冷媒のみを膨張弁340側に流出させる。膨張弁340は、受液器330からの液化冷媒を減圧膨脹させるもので、本実施形態では、冷媒を等エンタルピ的に減圧すると共に、圧縮機310に吸入される冷媒の過熱度が所定値となるように絞り開度を制御する温度式膨脹弁を採用している。次に、蒸発器350は、ヒータコア31と同様に空調ユニット700の空調ケース710内に配設されており、膨張弁340によって減圧膨張された冷媒を蒸発させて、その時の蒸発潜熱によって送風機720からの空調空気を冷却する熱交換器である。そして、蒸発器350の冷媒出口側は、圧縮機310の吸入側に接続されている。なお、蒸発器350によって冷却された空調空気とヒータコア31によって加熱された空調空気は、エアミックスドア730の開度に応じて混合比率が可変され、車両に搭乗する乗員等によって設定される所定温度に調節される。
【0061】
次に、ランキンサイクル回路200を構成する膨張機220と、冷凍サイクル回路300を構成する圧縮機310とを接続する駆動伝達装置500を、図4に従って説明する。駆動伝達装置500は、膨張機220と圧縮機310との間を接続可能にする一方向クラッチ520と、内燃機関10の回転力が伝達されるプーリ410と、圧縮機310との間を接続可能にする、一方向クラッチ530および電磁クラッチ510とを備えている。なお、ここで、駆動伝達装置520、530、510、およびプーリ410は、内燃機関の駆動力を伝達可能な駆動機構を構成する。
【0062】
一方方向クラッチ520は、膨張機220が作動するときには、図示しない噛合機構が接続状態となって、圧縮機310に接続し、逆に、膨張機220が作動停止しているときには、噛合機構が接続状態が解除され、圧縮機310の回転動作等に協働しなくなる構成を有する。その結果、膨張機220に生じた回転駆動力を圧縮機310に付加し、圧縮機310の冷媒圧縮動作のアシストを可能にする。なお、膨張機220に駆動力が生じないとき、つまりランキンサイクル回路300が作動停止しているときには、冷凍サイクル回路300が作動状態になっても、圧縮機310の冷媒圧縮のための回転動作のみを許容し、膨張機310は回転動作しない。
【0063】
プーリ410は、ベルト11を介して内燃機関10の駆動力を受ける回転体である。冷凍サイクル回路300を作動停止状態にするときには、電磁クラッチ510を切断動作させ、内燃機関の回転力が伝達される方向にプーリ410の回転のみが許容され、プーリ410から相手部材(一方方向クラッチ530、圧縮機31)への回転力の伝達を停止する。なお、電磁クラッチ510を接続動作させると、プーリ410と相手部材への回転力の伝達が可能となる。
【0064】
一方方向クラッチ530は、プーリ410の回転力が伝達可能な状態にあるとき、図示しない噛合機構が接続状態となって、プーリ410と圧縮機310との回転動作が協働可能となる。このため、膨張機220に生じた回転駆動力が、プーリ410によって圧縮機310を回転駆動するのに必要なお駆動力以上となった場合には、膨張機220の余剰の駆動力は、駆動機構520、530、510、410を介して内燃機関10に付加され、内燃機関の軸出力のアシストを可能とする。
【0065】
制御装置600は、図1に示すように、冷却水回路20を流通する冷却水の温度を検出する冷却水温検出手段(以下、水温センサと呼ぶ)27、温水ポンプ22、および切換弁26の電動駆動部26bに接続されている。制御装置600には、水温センサ27で検出された冷却水温を示す冷却水温検出信号、冷却された空調空気と加熱された空調空気とを所定混合率で混合等するために冷凍サイクル回路300とヒータ回路30の作動要求をするA/C信号、および切換弁26の流量配分信号(本実施例では、図3に示す切換弁部26aaの開度信号)等が入力される。制御装置600は、冷却水温検出信号、流量配分信号等の信号に基いて、温水ポンプ22、切換弁26を駆動制御する。なお、制御装置600は、温水ポンプ22のモータ部(図示せず)に出力する駆動信号から、温水ポンプ22の吐出能力を推定する。駆動信号は、モータ部構造が電動モータの場合は電圧値、ブラシレスモータの場合には電流値を表す信号となる。
【0066】
また、制御装置600は、ポンプ250および電磁クラッチ510の作動等を制御する。なお、制御装置600は、図示しないリードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、マイクロプロセッサ(CPU)、入力ポート35、および出力ポート36を相互に双方向性バスで接続した公知の構成を有するマイクロコンピュータとして機能する。
【0067】
なお、本実施形態では、上記水温センサ27で検出される冷却水温としては、内燃機関10の出口温度であることが好ましい。水温センサ27の配置位置としては、図1に示すラジエータ21と内燃機関10との間の冷却水回路上流部に限らず、内燃機関10内の循環経路の出口部、あるいはその出口部の近傍等であっても、少なくともラジエータ21の上流側を流通する冷却水温度が検出できる位置に配置されていれば、いずれの配置位置でもよい。これにより、制御装置600は、ラジエータ21内を流通する冷却水におけるラジエータ水温でなく、内燃機関10の出口水温に基いて、温水ポンプ22、切換弁26を駆動制御することが可能である。
【0068】
なお、以下の本実施形態では、水温センサ27で検出される冷却水温は、内燃機関の出口水温として説明する。
【0069】
さらになお、制御装置600は、少なくとも温水ポンプ22を駆動制御することで、内燃機関の出口水温に応じて、内燃機関10の回転数に関係なく、温水ポンプ22の吐出能力つまり吐出量を精度よく増減することが可能である。また、制御装置600は、少なくとも切換弁26を駆動制御することで、内燃機関の出口水温に応じて、ラジエータ流量配分を精度よく増減することが可能である。
【0070】
車両の走行状態つまり内燃機関10の運転状態により内燃機関10の廃熱エネルギー量が変化するため、冷却水回路20を流通する冷却水の温度が変化する。そのため、制御装置600は、温水ポンプ22、切換弁26を駆動制御することことで、出口水温を、目標冷却水温の所定温度範囲(以下、制御温度範囲と呼ぶ)に制御する。出口水温が制御温度範囲より低いときには、切換弁26を全閉(ラジエータ流量配分を零)にし、全ての冷却水の流量がバイパス回路25を通流するように、切換弁26を駆動制御する。出口水温が制御温度範囲より高いときには、温水ポンプ22の吐出能力に余裕がある限り、制御装置600は温水ポンプ22を駆動制御して吐出量を増加させる。その結果、制御装置600は、出口水温を制御温度範囲内へ安定させる。なお、温水ポンプ22の吐出能力に余裕がなく(吐出量が最大)、かつ出口水温が制御温度範囲内より高いときには、切換弁26を全開側へ作動させ、冷却水の流量がラジエータ21を通流する(ラジエータ流量配分が増加する)ように、切換弁26を駆動制御する。これにより、制御装置600は、優先順に高いものから並べると、内燃機関の出口水温の確保、加熱器210の作動流体と熱交換する冷却水を流通するバイパス回路25の流量確保の順で、温水ポンプ22および切換弁26を駆動制御するため、冷却水回路20は、バイパス回路25を流通する冷却水を熱源として、加熱器210つまりランキンサイクル回路200側への安定した熱量の確保が可能である。
【0071】
以上説明した本実施形態によれば、加熱器210内には、廃熱エネルギーを伝達する媒体としての冷却水を導く廃熱媒体経路210aと、ランキンサイクル回路200を循環する作動流体を導く作動流体経路210bとを区画する境界壁211が設けられ、この境界壁211の内部には、熱エネルギーを蓄熱および放熱可能な蓄熱材215が配設されているので、境界壁211を通じて冷却水から作動流体へ伝熱される熱伝達量を安定化させることが可能である。図5に示すように、加熱器210に境界壁211に蓄熱材215がない従来構成による熱伝達量の経時変化特性(図5に示す破線の特性)に比べて、本発明に係る加熱器210を有するランキンサイクル回路200では、熱伝達量の経時変化を小さくすることができ(図5に示す実線の特性)、ランキンサイクル回路200への安定した熱量供給が図れる。
【0072】
さらになお、以上説明した本実施形態によれば、蓄熱材215は、境界壁211を構成する外周部211を形成する構造用材料と異なり、構造用材料に比べて相転移可能な材料からなるため、蓄熱材215が冷却水の廃熱エネルギーにより加熱され、固相から液相に転移可能な融解温度に加熱されると、相転移前後で潜熱として多すぎる廃熱エネルギー量を吸収し、廃熱エネルギー量が少なくすぎるようになると、潜熱として蓄えた熱エネルギーを放出する。その結果、内燃機関の運転状態(車両の走行状態)に係らず、境界壁211を通じて冷却水から作動流体へ伝熱される熱伝達量の安定化が図れる。
【0073】
さらになお、境界壁211のうち、作動流体経路210b側には、境界壁211と一体的に形成された境界壁部211aが延設され、境界壁部211aは、作動流体経路210bに導かれた作動流体同士を区分けするため、作動流体が流通する作動流体経路210b側に、蓄熱材215を比較的高容量に配置することが可能なる。蓄熱材215に蓄熱されたエネルギーを、作動流体つまりランキンサイクル回路200へ効果的に供給することが可能である。さらに、この境界壁部211aによって、作動流体に接する界面面積の拡大が図れるため、蓄熱材215に蓄熱されたエネルギーを、ランキンサイクル回路200へ効率的に供給することが可能である。
【0074】
さらになお、以上説明した本実施形態によれば、ランキンサイクル回路200を構成する加熱器210は、冷却水の流れに対してラジエータ21と並列に配置されていることが好ましい。これにより、加熱器210を流通する冷却水の流量の安定した確保がされるとともに、ラジエータ21を有する冷却水回路20の通水抵抗を下げることができ、内燃機関10の冷却性能の向上が図れる。なお、冷却水の流れに対してラジエータ21と並列となる加熱器210の配置位置としては、本実施形態で説明したバイパス回路25に配置するものに限らず、冷却水回路20内に形成され、冷却水の流れが分岐、合流する分岐回路に配置するもの、あるいは冷却水回路20に接続し、冷却水の流れが冷却水回路20から分岐、合流する外部接続回路に配置するもの等、いずれの並列的回路に配置するものであってもよい。
【0075】
さらになお、以上説明した本実施形態によれば、制御装置600は、優先順位が高いものから並べると、内燃機関の出口水温の確保、加熱器210の作動流体と熱交換する冷却水を流通するバイパス回路25の流量確保の順で、温水ポンプ22および切換弁26を駆動制御することが好ましい。これにより、冷却水回路20は、バイパス回路25を流通する冷却水を熱源として、加熱器210つまりランキンサイクル回路200側への安定した熱量の確保が可能である。
【0076】
(第2の実施形態)
以下、本発明を適用した他の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態においては、第1の実施形態と同じもしくは均等の構成には同一の符号を付し、説明を繰返さない。
【0077】
第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した加熱器210において、図6に示すように、加熱器210のほぼ全外周が断熱材217で覆われるようにする。図6は、本実施形態に係る加熱器を示す模式的断面図である。
【0078】
この様な構成であっても、第1の実施形態と同様な効果を得られる。
【0079】
さらに、図6に示すように、加熱器210内に形成された廃熱媒体経路210aに冷却水を導く冷却水経路20、および作動流体経路210bに作動流体を導くランキンサイクル200には、それぞれ、廃熱媒体経路210a内を流通する冷却水の流れを流通、遮断する第1の開閉弁28、作動流体経路210b内を流通する作動流体の流れを流通、遮断する第2の開閉弁260が設けられている。これにより、車両走行(内燃機関の運転)時に発生した熱エネルギーを、車両が停止(本実施例では、内燃機関の運転が停止)したとき、第1の開閉弁28および第2の開閉弁260を閉じることで、その熱エネルギーの一部を、断熱材217に覆われた加熱器210内の冷却水(温水)状態で蓄えることが可能である。内燃機関の運転モードとして、以下の様な効果を得られる。長期間停止した後のいわゆる始動運転モード等では、内燃機関10の冷却水温が低いため、内燃機関10の始動動作と同時に、加熱器210内で保温されていた冷却水(温水)と、蓄熱材で蓄えられている熱エネルギーを冷却水側へ放出し、温水ポンプ22による冷却水の循環により内燃機関10へ送る。その結果、内燃機関10の暖機を早めることができる。
【0080】
したがって、加熱器210に蓄熱器の機能を持たせ、蓄熱器を加熱器210に一体化することで、車両への搭載性向上が図れる。さらに、内燃機関10を早期に暖機できるため、冷間始動時における燃費向上、および排気ガスのエミッション低減が可能である。
【0081】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、図7に示すように、第1の実施形態で説明した蓄熱材215に代えて、制御装置600によって温度制御される出口水温の制御温度範囲(本実施例では、例えば60〜110℃)に、融解温度を有する材料からなる蓄熱材216とする。図7は、本実施形態に係る加熱器を示す模式的断面図である。
【0082】
これにより、内燃機関の運転状態(車両の走行状態)に応じて内燃機関の廃熱エネルギーが変化する冷却水が温度制御される制御温度範囲に、蓄熱材216の融解温度があるため、蓄熱材216の潜熱変化を利用して、蓄熱材216に蓄える熱量を向上させることが可能である。
【0083】
なお、蓄熱材216は、融解温度が制御温度範囲にある材料に限らず、蓄熱材216の潜熱変化を利用できるものであれば、融解温度が制御温度範囲とほぼ同じ温度帯にある材料であってもよい。
【0084】
さらになお、制御温度範囲とほぼ同じ温度帯に融解温度を有する材料としては、水酸化バリウム(八水和物)Ba(OH)28H2O、硝酸マグネシウム(六水和物)Mg(NO3)26H2O等の水和物からなる。これにより、廃熱エネルギーを伝達する媒体を、冷却水とする蓄熱材216の材料としては、融解温度を超えると完全に相転移する材料に限らず、昇温を続けると一部が塩あるいは無水物となる水和物であってもよい。
【0085】
なお、Ba(OH)28H2Oの融解温度は約78℃、Mg(NO3)26H2Oの融解温度は約89℃である。
【0086】
したがって、融解温度いわゆる融点で温度がほぼ一定となるため、冷却水から作動流体へ伝わる温度、熱伝達量を安定化させることができる。さらに、蓄熱材216へ蓄える熱密度を向上させることが可能であるため、加熱器210を小型化することが可能である。
【0087】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、第1の実施形態で説明した廃熱エネルギーを伝達する媒体としての冷却水に代えて、図8に示すように、排気ガスの排気熱とする。図8は、本実施形態に係る加熱器を示す模式的断面図である。
【0088】
図8に示すように、加熱器810は、排気ガスを導く廃熱媒体経路810aと、作動流体を導く作動流体経路810bとが形成され、廃熱媒体経路810aと作動流体経路810bとを区画する境界壁811が設けられている。境界壁811の内部には、蓄熱材815が配設されている。
【0089】
なお、この蓄熱材815は、加熱器810に導かれる排気ガスの排気熱の温度範囲(本実施例では、例えば100〜200℃)、もしくは排気熱の温度範囲とほぼ同じ温度帯にあることが好ましい。排気熱の温度範囲に、蓄熱材815の融解温度があるため、蓄熱材815の潜熱変化を利用して、蓄熱材815に蓄える熱量を向上させることが可能である。なお、境界壁811および境界壁部811aは、第1の実施形態の境界壁211および境界壁部211aに対応する。
【0090】
これにより、冷却水より高温である排気熱から加熱器810を通じてランキンサイクル回路200へ安定した熱量を供給可能である。
【0091】
なお、排気熱は一般に冷却水に比べ高温のため、ランキンサイクル回路200内の作動流体における圧力差を大きくすることができ、加熱器810による回収効率を大幅に向上させることが可能である。
【0092】
なお、上述の説明では、排気ガス自体を媒体として説明したが、ランキンサイクル回路200に熱回収される媒体として、内燃機関10が生成する排気ガスのエネルギーにより加熱された媒体、例えば排気により駆動されるターボチャージャ(図示せず)を冷却する冷却オイル回路(図示せず)を流通する冷却オイルを用いてもよい。この様な構成であっても、本実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0093】
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、図9に示すように、第1の実施形態で説明した加熱器210と、第4の実施形態で説明した加熱器810の両方が、ランキンサイクル回路200に直列に配置される。図9は、本実施形態に係る加熱器を示す模式的断面図である。
【0094】
図9に示すように、ランキンサイクル回路200には、冷却水と作動流体とを熱交換する加熱器210と、排気熱と作動流体とを熱交換する加熱器810が配置されている。
【0095】
これにより、加熱器210を介して冷却水から廃熱を回収した後、更に温度の高い排気から廃熱を回収することで、廃熱回収量を大幅に増加させることが可能である。したがって、廃熱伝達量が増加するため、ランキンサイクル回路200における作動流体の流量を増やすことができ、動力回生量の増加が図れる。
【0096】
(第6の実施形態)
第6の実施形態は、図10に示すように、第1の実施形態の内燃機関の廃熱利用装置に、排気熱と冷却水とを熱交換する加熱器910を設ける。図10は、本実施形態に係る加熱器を示す模式的断面図である。なお、加熱器910は、加熱器810(図8参照)とほぼ同じ構造を有する。
【0097】
図10に示すように、冷却水と作動流体とを熱交換する加熱器210を有するランキンサイクル回路200とは別に、加熱器910によって内燃機関10の廃熱エネルギーの他の一つである排気熱を冷却水に取り込む。これにより、内燃機関10の廃熱エネルギーの他の一つである排気熱を、加熱器910により冷却水に取り込み、冷却水の廃熱に加えて一緒にした後、この冷却水を熱源として、加熱器910とは異なる加熱器210によりランキンサイクル回路200に熱回収することが可能である。
【0098】
したがって、冷却水および排気ガスによる廃熱エネルギーの両方を廃熱回収することができ、廃熱回収量を大幅に増加させることが可能である。廃熱伝達量が増加するため、ランキンサイクル回路200における作動流体の流量を増やすことができ、動力回生量の増加が図れる。
【0099】
以上説明した第1から第6の実施形態によれば、内燃機関10および内燃機関の廃熱利用装置100が、以下の作動モードに応じて作動される。
【0100】
▲1▼ランキンサイクル停止中の冷凍サイクル運転モード
この運転モードは、ランキンサイクルが停止中、例えば内燃機関10の運転状態が、主に内燃機関10を作動させた直後等で冷却水が充分に昇温(本実施例では、例えば80℃以上)していない場合、しかも、A/C要求がある(A/C信号が制御装置600に入力された)ものである。
【0101】
冷却水回路20の温水ポンプ22(122)を作動し、切換弁26がラジエータ流量配分がほぼ零となるように切換えられ、冷却水がバイパス回路25側に迂回する。そして、ポンプ250を停止させランキンサイクル200を停止状態とする。また、電磁クラッチ510を接続する。すると、エンジン10からの駆動力がプーリ410、電磁クラッチ510を介して圧縮機310に伝達され、圧縮機310が作動され、冷凍サイクル回路300が作動する。
【0102】
▲2▼ランキンサイクルによる冷凍サイクル運転モード
この運転モードは、A/C要求がある場合で、内燃機関10による廃熱が充分に得られる運転状態にあるときには、ランキンサイクル回路200を作動させ、そこから得られた駆動力を圧縮機310に付加して冷凍サイクル回路300を作動させるものである。
【0103】
制御装置600は、ポンプ250を作動させ、作動流体がランキンサイクル回路200内を循環できるようにし、ランキンサイクル回路200を作動可能な状態とする。また、電磁クラッチ510は切断状態にし、内燃機関10の駆動力がプーリ410を介して圧縮機310に伝達されないようにする。
【0104】
ランキンサイクル回路200においては、ポンプ250の作動によって作動流体が昇圧されて加熱器210に送られ、加熱器210において作動流体は高温のエンジン冷却水によって加熱され、過熱蒸気作動流体となって膨張機220に送られる。膨張機220において作動流体は等エントロピー的に膨張減圧され、その熱エネルギーと圧力エネルギーの一部が回転駆動力に変換される。そして、減圧された作動流体は凝縮器230で凝縮され、受液器240で気液分離され、液化作動流体が再びポンプ250へ吸引される。
【0105】
その結果、膨張機220で得られた駆動力は、圧縮機310に伝達され、圧縮機310は内燃機関10の駆動力を不要として作動する。そのため、内燃機関10の燃費低減が図れる。
【0106】
▲3▼ランキンサイクルと冷凍サイクルの複合運転モード
この運転モードは、A/C要求がある場合で、内燃機関10の廃熱は充分あるものの、夏場などで冷房負荷が比較的高い運転状態にあるときには、膨張機220の駆動力と内燃機関10の駆動力を複合的に用いて圧縮機310を作動させるものである。
【0107】
制御装置600は、ポンプ250を作動させ、作動流体がランキンサイクル回路200内を循環できるようにし、ランキンサイクル回路200を作動可能な状態とする。また、電磁クラッチ510は接続状態にし、内燃機関10の駆動力がプーリ410を介して圧縮機310に伝達されるようにする。
【0108】
すると、圧縮機310には、膨張機220からの駆動力と内燃機関10からの駆動力とが付加され、冷媒吐出量を増加させて冷房能力を高めることが可能となる。
【0109】
▲4▼ランキンサイクルによる冷凍サイクル運転と動力回生運転モード
この運転モードは、A/C要求がある場合で、春秋などで冷房負荷が比較的低い運転状態にあるときには、圧縮機310を駆動するために必要な駆動力が比較的小さいため、ランキンサイクル回路200で得られる駆動力のうち、余剰となった駆動力を内燃機関10へ付加するものである。
【0110】
制御装置600は、▲3▼ランキンサイクルと通常冷凍サイクルの複合運転モードと同様に、ポンプ250を作動させ、作動流体がランキンサイクル回路200内を循環できるようにし、ランキンサイクル回路200を作動可能な状態とする。また、電磁クラッチ510は接続状態にし、内燃機関10の駆動力がプーリ410を介して圧縮機310に伝達されるようにする。
【0111】
すると、圧縮機310には膨張機220からの駆動力が冷房負荷に見合った分だけ加えられ、圧縮機310が作動するとともに、余剰となる膨張機220の駆動力分はプーリ410に付加され、内燃機関10の駆動力を低減可能する。その結果、内燃機関10の軸出力をアシストする動力回生運転が可能となる。
【0112】
▲5▼動力回生運転モード
この運転モードは、圧縮機310の構造が可変容量型のものである場合であって、例えば▲4▼ランキンサイクルによる冷凍サイクル運転と動力回生運転モードにおいて、A/C要求がない運転状態にあるときには、制御装置600によって圧縮機310を駆動するために必要な駆動力をほぼ零にし、内燃機関10の軸出力をアシストするものである。
【0113】
なお、制御装置600は、圧縮機310の吐出容量をほぼ零になるように制御する。
【0114】
以上説明した第1から第4の実施形態において、廃熱を利用する熱源として内燃機関10として説明したが、内燃機関等の熱機関、モータまたはインバータ等の回転電機、あるいはFCスタック等の燃料電池に限らず、廃熱エネルギーを回収可能な発熱体であればいずれであってもよい。
【0115】
なお、インバータ等回転電機を搭載するハイブリット車両、あるいはFCスタック等の燃料電池により走行する燃料電池自動車に冷凍サイクル回路300を搭載するものに適用して好適である。なお、燃料電池自動車に搭載されるFCスタックは、水素と酸素を反応させて電気をつくりだすとき発熱するため、冷却水等の熱媒体を循環させることでFCスタックを冷却する熱媒体循環回路を有する。また、ハイブリット車両に搭載されるインバータは、車両の走行状態に応じて内燃機関とインバータとに選択的に動力切換されるとともに、車両の走行中に停止させるときには発電機として使用され、使用時には発熱するので冷却水等の熱媒体を循環させることでインバータを冷却する熱媒体循環回路を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の内燃機関の廃熱利用装置の構成を示す模式図である。
【図2】図1中の加熱器を示す模式的断面図である。
【図3】図1中の電動式の切換手段を示す模式的断面図であって、図3(a)はラジエータへ流れる冷却水の流量配分を零にした切換え状態、図3(b)はラジエータへ流れる冷却水の流量配分を最大にした切換え状態を示す断面図である。
【図4】図1中のランキンサイクル回路の膨張機と冷凍サイクル回路の圧縮機とを接続する駆動機構を示す模式図である。
【図5】第1の実施形態に係る加熱器による熱伝達量の経時変化を示すグラフである。
【図6】第2の実施形態に係る加熱器を示す模式的断面図である。
【図7】第3の実施形態に係る加熱器を示す模式的断面図である。
【図8】第4の実施形態に係る加熱器を示す模式的断面図である。
【図9】第5の実施形態に係る加熱器を示す模式的断面図である。
【図10】第6の実施形態の内燃機関の廃熱利用装置の構成を示す模式図である。
【図11】従来技術による内燃機関の廃熱利用装置の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
10 内燃機関(発熱体)
20 冷却水回路(発熱体循環回路)
21 ラジエータ(冷却用熱交換器)
20a 冷却水回路部
22 温水ポンプ(ポンプ手段)
25 バイパス回路
26 切換弁
27 水温センサ(冷却水温検出手段)
30 ヒータ回路
31 ヒータコア(暖房用熱交換器)
100 内燃機関の廃熱利用装置(発熱体の廃熱利用装置)
200 ランキンサイクル回路
210 加熱器
210a 廃熱媒体経路
210b 作動流体経路
211 境界壁
211a 境界壁部
212 外周部
215 蓄熱材
220 膨張機
250 ポンプ
300 冷凍サイクル回路
310 圧縮機
410 プーリ(駆動機構の一部)
500 駆動伝達装置(駆動機構の一部)
510 電磁クラッチ
520、530 一方向クラッチ
600 制御装置(制御手段)
Claims (13)
- 発熱体の廃熱エネルギーを伝達する媒体と熱交換して作動流体を加熱する加熱器と、前記加熱器により加熱され蒸発する前記作動流体を膨張させて駆動力を発生する膨張機とを有するランキンサイクル回路を備え、
前記加熱器内は、前記媒体を導く廃熱媒体経路と、前記作動流体を導く作動流体経路とを区画する境界壁を有し、
前記境界壁の内部には、熱エネルギーを蓄熱および放熱可能な蓄熱材が設けられていることを特徴とする発熱体の廃熱利用装置。 - 前記蓄熱材は、前記境界壁を形成する構造用材料とは異なり、前記構造用材料に比べて相転移が可能な材料からなることを特徴とする請求項1に記載の発熱体の廃熱利用装置。
- 前記境界壁のうち、前記作動流体経路側には、前記境界壁と一体的に形成された境界壁部が延設され、
前記境界壁部は、前記作動流体経路に導かれた前記作動流体同士を区分けしていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発熱体の廃熱利用装置。 - 前記加熱器は、ほぼ全外周を断熱材で覆われていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発熱体の廃熱利用装置。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発熱体の廃熱利用装置は、前記発熱体との間で冷却水が循環され、前記冷却水を冷却する冷却用熱交換器を有する冷却水回路を備え、
前記媒体は、前記冷却水であることを特徴とする発熱体の廃熱利用装置。 - 前記蓄熱材は、前記冷却水回路内で温度制御される前記冷却水の制御温度範囲とほぼ同じ温度帯に、融解温度を有する材料からなることを特徴とする請求項5に記載の発熱体の廃熱利用装置。
- 前記材料は、水和物からなることを特徴とする請求項6に記載の発熱体の廃熱利用装置。
- 請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の発熱体の廃熱利用装置において、
前記発熱体は熱機関であって、
前記加熱器とは別個の加熱器を有し、
前記別個の加熱器には、前記熱機関が生成する排気ガスが第2の媒体として導かれ、前記第2の媒体と前記冷却水とを熱交換することを特徴とする発熱体の廃熱利用装置。 - 前記別個の加熱器を構成する蓄熱材は、前記別個の加熱器に導かれる前記排気ガスの温度範囲とほぼ同じ温度帯に、融解温度を有する材料からなることを特徴とする請求項8に記載の発熱体の廃熱利用装置。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発熱体の廃熱利用装置において、
前記発熱体は熱機関であって、
前記媒体は、前記熱機関が生成する排気ガスであることを特徴とする発熱体の廃熱利用装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発熱体の廃熱利用装置において、
前記発熱体は熱機関であって、
前記媒体は、前記熱機関が生成する排気ガスのエネルギーにより加熱されたものであることを特徴とする発熱体の廃熱利用装置。 - 前記蓄熱材は、前記媒体の温度範囲とほぼ同じ温度帯に、融解温度を有する材料からなることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の発熱体の廃熱利用装置。
- 前記発熱体に生じた駆動力を伝達可能な駆動機構と、
前記駆動機構により作動され、循環する冷媒を圧縮する圧縮機を有する冷凍サイクル回路とを備え、
前記膨張機は前記圧縮機に接続され、
前記膨張機に駆動力が発生したときには、前記圧縮機および前記駆動機構のうち少なくとも前記圧縮機に駆動力が付加されることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の発熱体の廃熱利用装置。
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