本発明は、金型を使用することなく発泡合成樹脂で特定の形状を削りだす発泡合成樹脂成型体及びその製造方法に関するものであり、特に、発泡合成樹脂で特定の形状を削りだし、その表面を塗装してなる発泡合成樹脂成型体及びその製造方法に関するものである。
従来の一般的な発泡合成樹脂成型体の成型方法及び発泡合成樹脂成型体としては、ポリスチレンを微細な泡で発泡させ硬化させた発泡ポリスチレンを使用し、その表面に塗料を塗布する方法がある。例えば、発砲ポリスチレンに木工ボンドを塗り、その木工ボンドが固まったとき、スプレーで塗装する方法がある。
また、水性ボンドに顔料を混ぜて、直接、発砲ポリスチレンに塗布する方法もある。そして、和紙を細かく粉砕し、粉体化したものに木工ボンドや和糊を混練して発砲ポリスチレンに貼り付け、それを水性塗料のネオカラーやポスターカラーで塗装する方法もある。更に、発砲ポリスチレンを基材にしてそれにFRP造形を行う方法もある。
これらはいずれも発泡合成樹脂成型体に塗布した塗装の厚みが厚くなり、形式的な見栄えが良くても、実用的な使用に耐えるものがなかった。
一方、特許文献に酷似する技術を求めると、直接、発泡合成樹脂材を特定の形状に削りだす発泡合成樹脂の成型方法及びその成型体は存在していないが、発泡層付き内装品の技術を特許文献1で開示している。
即ち、特許文献1は発泡層付きの表皮材が、基材に分散形成された吸気路からの真空吸引により基材に吸着されて接着された発泡層付き内装品において、表皮材が熱可塑性であり、その表面形状が、表皮材を加温処理により軟化させ、その状態で基材に接着させる際に、表皮材用真空吸引型による真空吸引により賦形さている構成を有し、表皮材が表皮材用真空吸引型の型面に沿って賦形される技術である。これにより、表面品質が向上するだけでなく、意匠の制約が少なくなり、その自由度が拡大され、基材表面に対して非相似形状に形成することができる。
発泡層付きの表皮材が、基材に分散形成された吸気路からの真空吸引により基材に吸着されて接着された発泡層付き内装品とすることにより、発泡層と表皮材との接着力を強くする技術が開示されている。しかし、特許文献1には、厚手の発泡層についてどのように適応できるかを開示するものはない。原理的には、発泡合成樹脂材を特定の形状に削り出して発泡合成樹脂を成形することは困難と思われる。
また、特許文献2は、発泡合成樹脂成型体よりなる芯材の一面に畳表が積層され、他面に機能化剤含有クッションシートが積層され、更に、前記クッションシートに滑り止め層が部分的に積層されることにより、薄くて軽量で、施工性に優れ、滑り難いという技術を開示している。
特開2004−361145
特開平9−229872号公報
しかし、従来の一般的な発泡合成樹脂成型体は、例えば、量産しない製品のカバー、特殊な椅子の肘掛け、特殊車両或いは改造車のダッシュボード等に使用すると、機械的強度が足りないとか、塗料が塵のように剥がれ落ちて周辺を汚したりして、廉価に実用的なものはできなかった。勿論、発砲ポリスチレンを基材にしてそれにFRP造形を行う技術は、機械的強度は上げることができるものの、弾性に欠き、また、高価であるという問題があった。
また、特許文献1及び特許文献2によって、発泡合成樹脂成型体とクッションシートとの接着力を強くすることは開示されている。ところが、形式的に試作品を形成する原材料として発泡性合成樹脂が使用されているものの、少量生産品にこの技術を使用するということは実現されていない。特に、例えば、発砲ポリスチレンのような発泡合成樹脂成型体は、脆く、表面を削って所定の形状に仕上げ、かつ、表面を見栄え良く平滑化することができなかった。
そこで、本発明は、基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、廉価な発泡合成樹脂成型体及びその製造方法の提供を課題とするものである。
請求項1の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削加工する切削処理工程と、前記切削処理工程によって生じた切削面を含み塗装しようとする前記基材の被塗装面を硬化させる表面処理工程と、前記被塗装面の凹凸面を緩和させ、平滑とすべく合成樹脂材料を塗布及び研磨する前処理工程と、前記前処理工程で形成した被塗装面に顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する後処理工程とを具備する。
ここで、上記発泡合成樹脂材料は、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))、また、フェノール樹脂(PF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア樹脂(UF)、シリコーン(SI)、ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)等の発泡化した樹脂とすることができる。特に、1枚または複数枚積層接着してなる発泡合成樹脂材料は、市販の発泡合成樹脂材料を購入する場合、自己の手によって特定の形状の発泡合成樹脂材料を形成する場合も含まれる。
また、上記切削処理工程は、ボールエンドミル等の回転切削冶具の使用に限定されるものではなく、人為的に操作する刃物を含み、工作機械が具有する刃物、特定の形状を得る研磨等を含む如何なる切削方法であってもよい。
そして、上記表面処理工程は、摩擦熱による加熱、レーザ光のスキャンによる加熱、鉄またはステンレス板からなる熱盤による加熱、超音波による振動加熱等の加熱によって切削面及び塗装しようとする前記基材の被塗装面を加熱することにより基材の被塗装面を面として硬化させるものである。このときの被塗装面は、前記基材の内面のみ、または外面のみ、またはそれらの両方または両方の一部のみとすることもできる。また、合成樹脂材料の塗布によって被塗装面が硬化すればよいことから、合成樹脂材料の塗布とすることもできる。なお、被塗装面の硬化(乾燥)速度からすると、溶剤性の合成樹脂材料が効率的である。
更に、上記前処理工程は、前記基材となる発泡合成樹脂材料の被塗装面に平滑な塗膜を作り、前記後処理工程で塗布する合成樹脂塗料との密着性をよくするパテ、塗料を含む合成樹脂材料及び/または塗料を塗布するものである。前記基材となる発泡合成樹脂材料にベントホールが存在するものでは、それらベントホールの窪みを緩和させるパテ、塗料を含む合成樹脂材料を塗布する。
このとき使用するパテとしては、ラッカーパテ、エポキシパテ、ポリエステルパテ、光硬化パテ、瞬間接着パテ等があり、発泡合成樹脂材料の種類によって選択される。また、下塗り塗料は、前記パテ及び上塗り塗料、基材の種類によって決定される。特に、パテはビーズ欠損による凹面を緩和させる穴埋めに効果的である。
更にまた、上記後処理工程は、前記前処理工程で塗布した合成樹脂塗料との接着性をよくする合成樹脂塗料を塗布し、その上面に必要に応じて耐久性、例えば、耐候性、耐酸化性を付与する保護層となる仕上げ層を作る塗料を塗布するものである。
請求項2の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記発泡合成樹脂材料は、1枚または複数枚積層接着してなるものである。
ここで、1枚または複数枚積層接着してなる発泡合成樹脂材料は、市販の発泡合成樹脂材料を購入して使用する場合、または、自己の手によって発泡合成樹脂材料を発泡形成する場合の何れであってもよい。
請求項3の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法は、前記切削処理工程によって形成した切削面を含み塗装しようとする被塗装面を硬化させる表面処理工程は、回転する加熱用冶具によって摩擦熱による加熱を行って軟化させ、そして、熱可塑性樹脂の特性により硬化させるものである。
ここで、回転する加熱用冶具によって加熱を行うのは、同一冶具で切削及び加熱を行ってもよいし、複数個の冶具によって切削と加熱を別々に行ってもよい。勿論、先端の形状及び太さ、形状は使途によって適宜形成される。
請求項4の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法は、前記切削処理工程によって形成した切削面を含み塗装しようとする被塗装面を硬化させる表面処理工程は、合成樹脂材料を塗布し、それを硬化させて塗布した合成樹脂材料の染み込み防止とした目止め材としたものである。
ここで、上記目止め材とは合成樹脂材料の染み込み防止できる合成樹脂材料であればよく、自己の粘性で染み込みが防止され、基材の発泡合成樹脂材料との接着力が確保できるものであればよい。
また、染み込みの防止とは、合成樹脂材料により染み込みが防止されるもののみを意味するものではなく、一旦、染み込みが生じた後、合成樹脂材料の硬化により、再度の染み込みができない合成樹脂材料も含むものである。特に、重ね塗りと研磨を繰り返し行うものでは、1回の塗布によって浸透が生じ難くなる合成樹脂材料も含まれるものである。
請求項5の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記前処理工程には、更に、合成樹脂材料による穴埋めを行う穴埋め処理工程を含むものである。
ここで、穴埋め処理工程の穴埋めとは、発泡条件の温度、圧力等の不均一のために部分的に欠損ができているもの、発泡成形時に圧縮したことが要因となり、外圧によりブリッジが形成され、一部に外力が行き届かなくなって欠損ができたもの等、発泡体ビーズの集合体で特定の形状に成型されるが、このとき、発泡時に欠損が存在したまま欠損を残して発泡した発泡合成樹脂材料の欠損箇所がベントホールになるので、その穴埋めをするものである。
請求項6の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記後処理工程は、耐久性の合成樹脂塗料を塗布する仕上げ処理工程を含むものである。
ここで、仕上げ処理工程では、耐久性のある、例えば、耐候性及び/または耐酸性の合成樹脂塗料を塗布するものであり、この際使用する顔料は、着色されたものに限定されるものではなく、透明体も含むものである。
請求項7の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記表面処理工程と前記前処理工程は、前記合成樹脂塗料の塗布と研磨を1〜12回の範囲で繰り返すものである。
ここで、前記表面処理工程と前記前処理工程においては、前記合成樹脂塗料の塗布と研磨を1〜12回の範囲で繰り返すものである。
また、表面処理工程と前処理工程とは、その表面処理工程の目止め剤と前処理工程の下塗り剤43の塗布と研磨を意味するものである。
請求項8の発明にかかる発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料から所定の形状の発泡合成樹脂材料本体に形成し、前記基材の塗装しようとする被塗装面を加熱によって硬化させ、及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、前記基材の被塗装面を硬化状態で研磨して平滑表面としたものである。
ここで、基材となる熱可塑性樹脂である発泡合成樹脂材料を所定の形状に形成する場合、当該基材の塗装しようとする被塗装面を加熱によって硬化させるか、または合成樹脂を塗布して塗布した合成樹脂材料で硬化させ、その被塗装面を硬化状態で研磨し、平滑表面を形成するものである。このように、被塗装面を硬化状態でして研磨すると、被塗装面側が研磨されるのを逃げるような動きが取れなくなり、硬い材料と同様の作業が可能となる。
請求項9の発明にかかる発泡合成樹脂成型体は、基材となる発泡合成樹脂材料からなり所定の形状に形成してなる発泡合成樹脂材料本体と、前記発泡合成樹脂本体を切削して生じた切削面を含み塗装しようとする被塗装面を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、前記表面処理層のビーズライン及びその凹凸面を緩和させるべく合成樹脂材料を塗布し、必要に応じて前記表面処理層のベントホールを合成樹脂材料による穴埋めを行う下地補修層を形成したものである。
ここで、上記発泡合成樹脂本体は基材となる熱可塑性材料の発泡合成樹脂材料からなるもので、目的の形状に形成されたものである。
また、上記下地補修層は、前記基材を切削して所定の形状に形成すると共に、その切削によって生じた切削面を含み塗装しようとする前記基材の被塗装面を加熱して表面を硬化させ、また、目止め処理用の塗料の塗布によって染み込みを防止すべく表面を硬化させ、被塗装面の表面を研磨して平滑化させるものである。また、被塗装面のビーズライン及びベントホール、その凹凸面を緩和させるべく合成樹脂材料を塗布し、合成樹脂材料の平滑な面を形成すべく研磨するものである。ここで、被塗装面への塗布は合成樹脂材料でもよいし、合成樹脂塗料であってもよい。即ち、ここでは着色を問題視しないが、合成樹脂塗料の材料でも使用できることを意味する。
請求項10の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の前記基材となる発泡合成樹脂材料は、1枚または複数枚積層接着してなるものである。
ここで、1枚または複数枚積層接合してなる発泡合成樹脂材料は、市販の発泡合成樹脂材料を購入して使用する場合、自己の手によって発泡合成樹脂材料を形成する場合の何れであってもよい。
請求項11の発明にかかる発泡合成樹脂成型体は、前記下地補修層に対して、更に、前記被塗装面に顔料を含む相性の良い合成樹脂材料を塗布したものであり、通常の塗料の塗布が該当する。ここで相性の良い合成樹脂材料とは互いに接着力があり、一体に混在するものに限らず、容易に分離しないものも含まれる。
請求項1の発泡合成樹脂成型体の製造方法は、切削処理工程で基体としての熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削して、前記切削処理工程によって生じた切削面を含み、塗装しようとする被塗装面を表面処理工程で、その表面を硬化させ、発泡合成樹脂材料の、発泡体の例えば、ビーズライン及びベントホール、その凹凸面を目立たなくする。しかも、前処理工程により前記表面処理工程で形成した塗装しようとする被塗装面のビーズラインを見えなくし、かつ、そのベントホール等の凹凸面を緩和させる合成樹脂材料を塗布し、また、その硬くなった面を研磨し、それを繰り返すことにより、一層、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びベントホール、その凹凸を目立たなくすることができる。そして、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びベントホール、その凹凸を目立たなくなったところで、前記前処理層で形成した面に後処理工程で顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するものである。
したがって、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネにも、環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。更に、表面処理工程及び前処理工程では、合成樹脂材料を塗布しているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。そして、発泡合成樹脂成型体の復元力は、発泡合成樹脂材料の弾性に応じたものとなっており、基材の特性を維持したままの発泡合成樹脂の成型品となる。
よって、高価な金型を使用することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して塗装し、任意の弾性に富む発泡合成樹脂成型体の製造方法となる。
請求項2の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記発泡合成樹脂材料は、1枚または複数枚積層接着してなるものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、市販の発泡合成樹脂材料を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
請求項3の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記基材の被塗装面を加熱することにより表面を硬化させる表面処理工程として、加熱用冶具の回転によってその摩擦熱で加熱を含めたものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、加熱用冶具の回転によってその摩擦熱で表面が熱可塑性樹脂の表面が軟化され、かつ、その後、硬化されるから研磨に耐える構造となり、任意の形状に研磨加工できる。また、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料は、加熱用冶具によって加熱を行うものであり、フライス盤、NC加工盤、自動工作機械等の加工制御が簡単化できる。
請求項4の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記基材の被塗装面を加熱することにより表面を硬化させる表面処理工程として、合成樹脂材料の塗布による目止め処理を含めたものであるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、目止め処理用の塗料の塗布によって染み込みを防止した状態であり、研磨可能になるから、均一な研磨状態が確保でき、良好な被塗装面が得られる。特に、先に、加熱用冶具の回転によってその摩擦熱で表面を硬化する工程を行い、その後、目止め処理用の塗料の塗布を行うと化学的及び物理的に対応でき効果的である。
請求項5の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記前処理工程には、更に、合成樹脂材料による穴埋めを行うものであるから、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、合成樹脂材料によるベントホール等の穴埋めにより、大きな窪み、発泡ビーズの欠損等を穴埋めし、平滑な面を形成しやすくなる。
請求項6の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記後処理工程は、耐久性の塗料を塗布する仕上げ処理工程を具備するものであるから、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、耐久性により見栄えの良い期間が長くなり、安定した塗装状態が維持される。
請求項7の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記表面処理工程と前記前処理工程とは、前記合成樹脂塗料を塗布と研磨を繰り返すものであるから、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、薄い変化に対しても対応できるから、耐久性の優れた、かつ、見栄えの良い製造方法となる。
請求項8の発泡合成樹脂成型体は、基材となる発泡合成樹脂材料からなる発泡合成樹脂本体の形状を所定の形状に形成すると共に、前記基材の塗装しようとする被塗装面を加熱によって硬化させ、または合成樹脂を塗布して硬化させ、そして、前記基材の被塗装面を硬化状態で研磨し、平滑面を形成したものである。
したがって、発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削し、その切削面を硬化させ、その硬化状態で研磨し、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びベントホール及びその凹凸を目立たなく研磨加工する。しかも、前記切削面のビーズライン及びベントホール及びその凹凸からなる面を緩和させる合成樹脂材料を塗布とその研磨を繰り返すことにより、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びベントホール、その凹凸を目立たなく平滑化することができる。そして、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びベントホール、その凹凸を目立たなくなったところで顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する。
故に、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は任意の形状に加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。更に、発泡合成樹脂成型体の復元力は、発泡合成樹脂材料の弾性に応じたものとなっており、基材の特性を維持したままの発泡合成樹脂の成型品となる。
更に、前記所定の形状に形成してなる発泡合成樹脂本体の被塗装面を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体の製造方法となる。
請求項9の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体となし、切削して形成した前記発泡合成樹脂本体の切削面を含み、塗装しようとする被塗装面を加熱によって硬化させ、及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、ビーズライン及びその凹凸面を緩和させるべく合成樹脂材料を塗布し、ベントホールも合成樹脂材料による穴埋めを行った下地補修層を有するものである。
したがって、発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削し、前記切削によって生じた切削面を硬化させると、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びベントホール、その凹凸を目立たなく加工することができ、しかも、切削面のビーズライン及びベントホール、その凹凸の面を緩和させる合成樹脂材料を塗布したり、その研磨をしたりし、それらを繰り返すことにより、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びベントホール、その凹凸を目立たなくすることができる。そして、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びベントホール、その凹凸を目立たなくなったところで、顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するものである。
故に、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。
更に、前記下地補修層においては、発泡合成樹脂本体を切削して生じた切削面を含み塗装しようとする前記被塗装面を加熱によって硬化させ、及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させているが、それは表面を硬化させ研磨でき平滑な面を形成するのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
請求項10の発泡合成樹脂成型体の発泡合成樹脂材料は、1枚または複数枚積層接着してなるものであるから、請求項8または請求項9に記載の効果に加えて、市販の発泡合成樹脂材料を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
請求項11の発泡合成樹脂成型体の前記下地補修層には、更に、前記下地補修層の表面に合成樹脂塗料を塗布した塗装層を具備するものであるから、請求項8乃至請求項10の何れか1つに記載の効果に加えて、安定した塗装状態が維持され、また、必要に応じて耐候性にすぐれ、紫外線に対しても変色が少ない。そして、光沢と弾性に富んだ表面層を形成することができ、長期間安定した成型体となる。
図1は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法を示す工程のフローチャートである。
図2は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料を積層接着した状態の説明図である。
図3は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の積層した発泡合成樹脂材料の切削処理工程の説明図で、(a)は切削中の説明図、(b)は切削工具を示す説明図である。
図4は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の外表面を切削する切削処理工程の説明図である。
図5は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の塗装表面を加熱する表面処理工程で使用する加熱用冶具で、(a)は単一径の加熱用冶具、(b)は2段径の加熱用冶具、(c)は3段径の加熱用冶具の斜視図である。
図6は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の内側の塗装表面を加熱する表面処理工程の説明図である。
図7は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の外側の塗装表面を加熱する表面処理工程の説明図である。
図8は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の内側底面の表面処理工程の説明図である。
図9は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の内側側面の表面処理工程の説明図である。
図10は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の層構成を説明する説明図である。
図11は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の加工工程を示す説明図で、図11(a)は切削加工直後の断面拡大説明図、図12(b)は加熱用冶具による処理工程後の断面拡大説明図、図12(c)は目止め処理工程後の断面拡大説明図、図12(d)は穴埋め処理工程後の断面拡大説明図である。
図12は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の加工工程を示す説明図で、図12(a)は下塗り処理工程後の断面拡大説明図、図12(b)は上塗り処理工程後の断面拡大説明図、図12(c)は仕上げ処理工程後の断面拡大説明図、図12(d)は穴埋めを先行させた事例の断面拡大説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
[実施の形態]
まず、図1乃至図11を用いて、本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法について、全体の概略説明を行う。
図1に示すように、ステップS1の切削処理工程で目的物の基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工する。このとき、発泡合成樹脂材料10の全体を特定の形状に切削加工するものばかりでなく、内部のみの切削加工または外部のみの切削加工もありうる。このとき使用する切削工具は、手動冶具を含む機械装置が使用可能であり、何ら切削加工において切削方法が限定されるものではない。
ステップS2の冶具による処理工程及びステップS3の目止め処理工程によって表面処理工程(ステップS10)が構成されている。
ステップS2の冶具による処理工程では、ステップS1の切削処理工程によって生じた切削面及びその切削面14を含みこれから塗装しようとする基材としての発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を加熱用冶具30の摩擦熱で硬化させている。
ステップS2の冶具による処理工程における発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の硬化は、切削工程が終了した発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に対して加熱用冶具30を回転させ、その回転している加熱用冶具30が軽く被塗装面18に当たることによって生じる摩擦熱によって得ている。
このとき、ステップS1の切削処理工程によって、加熱用冶具30と接触する面に摩擦熱が発生する。この摩擦熱は、後述する図11(a)に示すように、被塗装面18には、刃物21で切断されないで糸状に伸びて部分的に単数または複数が毛羽立っている糸W、その糸状部が丸まって連結されて粒子化した粒子X、発泡合成樹脂材料10の切削されたものの、その際の付着により連結された粉体W、随所に存在するφ2〜10mm程度のベントホールZ(図10参照)を強行に分離したり、または軟化させて加熱用冶具30で押圧して発泡合成樹脂材料10に一体化させたり、また、切削中に発泡合成樹脂材料10が軟化して糸状に伸びた発泡合成樹脂材料10の部分的な個所の除去を行ったり、それを軟化させて加熱用冶具30の押圧力で発泡合成樹脂材料10と一体化したりする。そして、起立するビーズラインを軟化させ押圧して平滑化し、また、そのビーズの凹凸を少なくし、かつ、ベントホールZの周囲を硬くする。
ステップS2の冶具による処理工程では、加熱用冶具30によって発泡合成樹脂材料10の切削した切削面14を加熱し、温度上昇によって軟化させ、毛羽立ち及び粉体化を防止した平滑化した面を形成しているが、本発明を実施する場合、レーザ光のスキャンにより、または熱盤により、発泡合成樹脂材料10の表面が熱可塑性樹脂として軟化し、結果的に、硬く形成されればよい。
なお、本発明で説明する平滑化とは、「平滑」が「平らで、なめらかなこと」を意味するが、広い範囲の「平ら」を意味するものではなく、「例えば、コーナー部分の面取りした角度変化においても、急激な凹凸変化がないこと」程度の部分的な平坦を意味する。
また、表面処理工程(ステップS10)はステップS3の目止め処理工程を含んでいる。ステップS3の目止め処理工程は、一般的な合成樹脂塗料の材料として使用されているトルエン、セルロースアセテートブチリート(CAB)、酢酸ブチルからなる合成樹脂材料を目止め剤41とし、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に塗布している。この目止め剤41は、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬くし、研磨作業の際の逃げを防止し、サンドペーパー(紙やすり)、耐水ペーパー等で研磨自在にし、精度の良い表面形状を得るものである。ステップS1の切削処理工程によって生じた切削面14を含み塗装しようとする発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させるということで、両者は物理的、化学的な違いがあるものの、実質的に同じ表面処理を行うものである。発泡合成樹脂材料10の材質によっては、何れか一方のみの選択も可能であるが、商品の耐久性を考慮すると、ステップS2の冶具による処理工程及びステップS3の目止め処理工程を採用する方が良い。
ステップS4の下塗り処理工程は、基材としての発泡合成樹脂材料10の被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を緩和させ平滑な面とする合成樹脂材料を塗布する前処理工程(ステップS20)である。通常、発泡合成樹脂材料10には、φ2〜10mm程度のベントホールZが生じているので、その対策としてステップS5の穴埋め処理工程(ステップS5)を進行させるのが好適である。
即ち、前処理工程(ステップS20)では、硬化剤、プラサフ、粘度を調整するシンナーからなる混合物の下塗り剤43を作成し、これを発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に塗布し、乾いた状態で研磨し、それを1〜12回繰り返し、被塗装面18を平滑な面にする。このとき、発泡合成樹脂材料10にベントホールZが存在している場合には、ステップS5で穴埋め処理工程を行い、穴埋め剤42としてポリエステル樹脂パテを使用し、その窪みの大きさに応じて、ステップS4の下塗り処理工程の塗布、乾燥、研磨を繰り返す。ベントホールZの大きさによっては、先に穴埋め剤42でベントホールZの穴埋めを行い、次いで、被塗装面18の塗布、乾燥、研磨を繰り返すのが好ましい場合もある。
したがって、図1の本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の流れ図においては、ステップS4の下塗り処理工程とステップS5の穴埋め処理工程が分離されているが、同時に行うこともあり得るし、ステップS5の穴埋め処理工程を行わない場合もあり得る。また、その前後を逆にする場合もある。
何れにせよ、ステップS20の前処理工程は、ステップS4の下塗り処理工程及びステップS5の穴埋め処理工程からなり、硬化剤、プラサフ、シンナー、パテにより、被塗装面のビーズライン及びその凹凸面、Z等が表から確認して現出しない程度に処理する。
次に、前処理工程(ステップS20)の後に後処理工程(ステップS30)を施している。後処理工程(ステップS30)では、前処理工程(ステップS20)で形成した被塗装面18に、顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する工程である。後処理工程(ステップS30)のステップS6の上塗り処理工程で使用する上塗り剤44は、硬化剤、樹脂塗料、プラサフ、シンナーの配合で混合した混合剤であり、硬化剤、プラサフ、シンナーはステップS4の下塗り処理工程で使用した下塗り剤43と同じであり、両者間の相性が良く、両者間の接着力が確保されるようにしている。樹脂塗料は白色を使用しているが、他の特定の色を使用してもよい。
後処理工程(ステップS30)は、ステップS7の仕上げ処理工程を別に設けてもよい。ステップS7の仕上げ処理工程は、仕上げ剤45として、硬化剤、樹脂塗料、シンナーを配合とした樹脂塗料を塗布する工程である。ステップS7の仕上げ処理工程を別に設けた場合には、顔料も勿論、硬化剤、樹脂塗料、プラサフ、シンナーの配合で混合した上塗り剤は、仕上げ剤との相性を良くする必要がある。
即ち、ステップS7の仕上げ処理工程は、塗膜を形成することによって、耐久性、例えば、耐候性、耐酸性を得るものであり、本発明を実施する場合には、通常の塗装と同様に、機械装置に応じて同時に全体の塗装を行うこともできるが、別に、発泡合成樹脂成型体を塗装した上で機械装置の本体等に組付けることもできる。
勿論、塗料としては、着色した顔料の入った塗料に限らず、透明な紫外線をカットする塗料とすることもできる。
更に、図1の本実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法並びに図10及び図11の発泡合成樹脂成型体について詳述する。
発泡合成樹脂材料10は、発泡させた熱可塑性樹脂であり、主な合成樹脂原料は、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))であり、他にも、フェノール樹脂(PF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア樹脂(UF)、シリコーン(SI)、ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)等も発泡化して用いることができる。しかし、発泡合成樹脂材料10の切削面14を加熱することにより硬化させることを前提とすると、80〜200℃の範囲内の温度で変形する合成樹脂材料の使用が望ましい。また、本発明を実施する場合には、発泡率を問うものではないが、使途によっては硬く仕上げるために発泡率の制限を受けるものもある。
なお、本実施例の発泡樹脂粒子(発泡ビーズ)としては、ポリエチレン(C2H4)n及びポリプロピレン(C3H6)nについては、発泡から特定のブロックを形成したもの、規格製品を積層したものの何れも実験し、両者が使用できることを確認した。
具体的には、直径1mm程度の細粒状ポリエチレンであるポリエチレンビーズに炭化水素ガスを吸収させ、これに100℃以上の高温蒸気を通して樹脂を軟化させると共に圧力を加えて発泡させると、発泡したビーズ相互は融着し合い、冷却時にビーズ単位の変形された形状となって発泡ポリエチレンとなる。
発明者らは、図2に示すように、市販されている3枚の特定の縦・横・高さ(1200×900×60mm)の規格化されたポリエチレンからなる発泡合成樹脂材料11,12,13を使用した。ポリエチレンからなる発泡合成樹脂材料11,12,13は、各規格化サイズが単体で発泡成形されており、表面の発泡密度が高いスキン層となっている。そのベントホールZはφ2〜10mm程度の材料である。本実施例で50mmよりも厚い製品を得るには、規格化された発泡合成樹脂材料11,12,13の表面がスキン層となっているから、その両面の接着面にゴム系の接着剤を塗布して積層接着した。
ゴム系の接着剤15としては、ゴム糊(ノントルエン缶入り(丸末油業))またはゴム糊であるボンド(G700X7 (コニシ株))を接着する両面に薄く塗り、そして乾燥させ、接着面を対向させて圧縮し接着した。ゴム系の接着剤15はボンド(G700X7 (コニシ株))であり、シクロヘキサン、n−ヘプタン、アセトンが主成分である。
ここで、接着剤15の厚みは、その存在が視認できない程度に可能な限り薄くし、接着機能のみが維持できればよい。ここで使用するゴム糊は、基材としての発泡合成樹脂材料11,12,13と同じポリエチレンからなる接着剤15も使用できる。
ここで使用するゴム系の他の接着剤としては、市販されているスプレー糊55(住友スリーエム)、バルカーン(マル二)等の加硫接着剤の使用が可能である。
勿論、発泡合成樹脂材料11,12,13としてのポリエチレンと、ゴム系の接着剤15とは性質が異なるが、ゴム系の接着剤15をこの接着に使用するのは100μm以下の厚みにすることができ、結果的に製品の加工には支障がなかったことから使用した。発明者らは、加熱した熱盤によって発泡合成樹脂材料11,12,13の両接着面を接触させ瞬間的に加熱し、その熔融面によって接着を行ったが、熟練を必要とするものの、良好な接着が可能であることを確認した。また、発泡合成樹脂材料11,12,13と同系統のポリエチレン系の接着剤を使用することもできる。そして、レーザ光のスキャンにより、発泡合成樹脂材料10の両接着面を加熱してもよい。何れにせよ、発泡合成樹脂材料11,12,13の表面が溶けて硬くなる体積が殆ど無視できる程度、即ち、溶融も含めて300μm以下、望ましくは、100μ程度以下の接着面厚さであればよい。勿論、発泡合成樹脂材料10と同じ系統の接着剤とすることもできる。
発明者らは、粘り気のあるポリエチレン、ポリプロピレンの材料を特定の縦・横・高さ(1200×900×60mm)の規格化された発泡合成樹脂材料11,12,13として使用するために積層し、単位面積当たり0.5〜10t以上の圧力によって押圧して一体に接着した。なお、本発明を実施する場合に、必要な厚みのものが市販されておれば、積層化する必要はない。なお、この押圧力は、発泡体の発泡率によっても、基材の発泡材料によっても変化するから、一義的に決定されるものではない。
このように、本発明の実施物における発泡合成樹脂材料10(11,12,13;以下、複数枚を特定しないときには、単に『10』という)としては、1枚または複数枚積層して用いてもよい。勿論、本発明の実施物における直接基材となる発泡合成樹脂材料10は、任意の概略形状に発泡させてもよい。
発泡合成樹脂材料10を削り出すには、図3に示すように、切削加工に用いる工具(切削工具)であるボールエンドミル20を使用した。ボールエンドミル20は、フライスの一種であるドリルに似た外観を有している。ドリルは軸方向に進行し、円形の穴を空けるのに使用されるが、ボールエンドミル20は、側面の刃で切削し、軸に直交する方向に穴を削り広げる用途に用いられる。また、端面を平滑に仕上げる際にも用いられる。中心部の切れ刃が不完全であるため、端部を弧状に形成することにより、端面を平滑に仕上げることができる。ボールエンドミル20の回転数5000〜15000rpm及び送り速度500〜3000mmで処理している。通常は回転数10000rpm、及び送り速度2000mm程度である。
本発明の実施の形態では、通常の切削加工するボールエンドミル20によって、全体の概観形態を削り出している。その後、ボールエンドミル20によって全体の概観形態を削り出した面は、削り屑の一部が外力によって分離してボロボロの状態であったり、部分的に毛のように繋がっていたり、凹凸が発生していたりしている。
そこで、一般にボールエンドミル20は、図3の(a)及び(b)に示すように、側面の刃21で切削し、軸に直交する方向に穴を削り広げる用途に用いられるが、本発明の実施の形態で使用するボールエンドミル20もそれに相違するものではない。その最下端から側面の刃21までは、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))加工が施されており、切削された発泡合成樹脂材料10、その切削屑が付着しないようにしている。
しかし、下端が若干下に凸状に湾曲させた端部22を有する刃物は、ボールエンドミル20の回転によって摩擦熱が発生し、表面を摩擦熱で平滑にする機能がある。表面を摩擦熱で平滑にするとは、発泡合成樹脂材料10の表面に付着した刃21で完全に切断されていない微粒の分離または軟化した微粒の押圧による平滑化、切削中に発泡合成樹脂材料10が軟化して糸状に伸びた部位の除去または押圧による平滑化、起立するビーズラインを軟化させ押圧してなる平滑化等により、凹凸が少なくなっている。
図4のボールエンドミル20は、発泡合成樹脂材料10に形成した内側の切削面14に対して、外側を切削する状態を示すものである。
即ち、ボールエンドミル20と発泡合成樹脂材料10の接触角度並びに移動距離及び移動角度等によって発泡合成樹脂成型体の外径形状を削り出すことができる。この技術は一般的な切削加工の技術であるから、詳細な説明を省略する。
図5の加熱用冶具30は、市販のボールエンドミル20によって切削加工した後に、専用の先端を弧状とした面を有する摩擦面31によって、発泡合成樹脂材料10に形成した切削面14を摩擦によって加熱する冶具である。図5(a)乃至(c)は、異なった種類の加熱用冶具30の斜視図を示すものである。(a)は単一径の加熱用冶具30であり、(b)は2段径の加熱用冶具30であり、(c)は3段径の加熱用冶具30の斜視図である。
即ち、加熱用冶具30の太さの下端が任意の曲面からなる摩擦面31となっており、発泡合成樹脂材料10の切削した個所の切削面14を含み塗装しようとする基材の被塗装面を摩擦熱で加熱し、温度上昇によって軟化させて、発泡合成樹脂材料10の切削面14に平滑面を形成する。これは、平滑面で説明したが、下に凸面及び/または下に凹面を形成する場合も同様に加工できる。
例えば、下に凸面の狭い凹部溝16を有する切削面14を形成する場合には、切削面14を加熱する加熱用冶具30の太さを図4の(b)に示すようにし、全体的または部分的に細くする摩擦面32を形成する必要がある。勿論、必要に応じてテーパー面とすることもできる。この加熱用冶具30は、図8に示す凹部溝16の加工等に好適となる。
図5(b)に示す加熱用冶具30は、直径を2段としているが、3段以上とすることも、図5(a)に示すように、単一の太さとすることもできる。
図9に示す側面に形成した凹状溝17を摩擦し、内面側の切削面14に加熱面を形成するには、その内側湾曲部に下側環状部分33を、凹状溝17に上側環状部分35を必要な間隔を維持し、連結部34を取付部37に連結部36を介して形成した加熱用冶具30の使用が、同時に摩擦加熱することができる。この加熱用冶具30は、何れも摩擦熱を発生させる位置は、フッ素樹脂のコーティングがなされており、加熱用冶具30に軟化した樹脂が付着しないようにしている。
なお、本発明を実施する場合の加熱用冶具30は、図5に示すように、各種の形状とすることができるが、通常、発泡合成樹脂材料10の内部の切削面14は内側にあり、露出面になる確率は低い。発泡合成樹脂材料10の外面が意匠面となり、発泡合成樹脂材料10の内部の切削面14側は機器等を収容する場合が多い。当然ながら、そのような使用状態に一義的に決定されるものではないが、確率的に高いものである。
なお、熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10をボールエンドミル20等の刃物で特定の形状に切削加工する工程を、本実施の形態ではステップS1の切削処理工程という。また、それによって形成された面は加熱用冶具30によって物理化学的に硬化された硬化層の面となる。但し、加熱用冶具30による硬化層は、一般的に数10μmから100μm以下の層であり、連続的に変化しているから通常は面と認識されるに過ぎない。
本実施の形態における実施物からの加熱用冶具30による硬化層の確認では、発泡合成樹脂材料10の微粒子粉体が付着してないこと、糸状に伸びた部位が存在してないことにより、ステップS2の冶具による処理工程がなされているか否かが確認される。
本実施の形態では、加熱用冶具30によって発泡合成樹脂材料10の切削した個所の切削面14を加熱し、温度上昇によって軟化させ、発泡合成樹脂材料10の微粒子粉体が付着しているか、糸状に伸びて部分的に毛羽立っているか、粉体化した面を有しているかの場合には、それらを物理化学的に平滑化することができる。しかし、本発明を実施する場合には、加熱用冶具30の摩擦に代えて、レーザ光のスキャンにより、発泡合成樹脂材料10の表面を軟化させ、平面的に薄く、硬く形成したものであっても同様の効果が得られた。
なお、ステップS1の切削処理工程によって生じた切削面14を含み塗装しようとする発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させる工程を、ここでは、表面処理工程(ステップS10)という。即ち、表面処理工程(ステップS10)には加熱用冶具30による摩擦加熱、レーザ光のスキャンにより、基材である発泡合成樹脂材料10の被塗装面を硬化させる工程が含まれる。
切削によって生じた切削面14を加熱した後に、前記切削、加熱で形成した切削加熱面に凹凸面を緩和させるステップS3の目止め剤41としての合成樹脂材料を塗布する。この目止め剤41は、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させるもので、発泡合成樹脂材料10の表面にトルエン28Wt%、セルロースアセテートブチリート(CAB)15〜20Wt%、酢酸ブチル55〜60Wt%からなる混合物の目止め剤41を5〜10回塗布し、この合成樹脂材料からなる目止め剤41の塗布により発泡合成樹脂材料10のビーズの発泡の際に生ずる微細孔に対する染み込みを防止させている。しかし、気泡等の存在で1回の塗布で完全な目止めができないので、サンドペーパー(紙やすり)、耐水ペーパー等の研磨と塗布とを繰り返し行っている。
発明者らは、トルエン、セルロースアセテートブチリート(CAB)、酢酸ブチルからなる混合物以外の合成樹脂材料も目止め剤41として使用できるかを試験したが、発泡合成樹脂材料10の表面に接着するものであり、粘度が適当に高いもので、乾燥によって剥がれない合成樹脂材料であれば、使用に耐えることが確認された。即ち、目止め剤41は、合成樹脂材料の塗布による染み込みを防止する平滑な合成樹脂膜を作るものであり、その種類は水性目止め剤、油性目止め剤、合成樹脂目止め剤等が使用でき、特に、発泡合成樹脂材料10との接着が維持できれば、いずれでも使用が可能である。また、塗料でも使用可能であるが、価格的に不経済となることを無視すれば使用可能である。
目止め剤41は、1〜12回塗布されるが、その間に塗布し、硬化した層は、研磨による磨きを入れ、研磨ができ難くなったとき、再度の塗布を行い、その繰り返しを行う。この工程をステップS3の目止め処理工程という。この目止め剤41は研磨が可能になるように、表面をサンドペーパー(紙やすり)、耐水ペーパー等で研磨し、最初は100番程度から徐々に細かいものに変化させて研磨している。
研磨による磨きの効果が生じ難くなったとき、ステップS3の目止め処理工程から次の前処理工程(ステップS20)のステップS4の下塗り処理工程に移行する。
本実施の形態で説明した加熱用冶具30による摩擦加熱、レーザ光のスキャンにより基材である発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させるステップS2の冶具による処理工程は、ステップS3の目止め処理工程は合成樹脂材料の塗布による染み込みを防止するという機能を有するが、ステップS2の冶具による処理工程においても、摩擦加熱及び押圧により、発泡合成樹脂材料10の表面密度を上げる機能を有するから、両工程の基本的機能として同一の効果がある。したがって、何れか一方の工程を省略することもできるし、両者を使用することもできる。
次に、硬化剤1Wt%、プラサフ1Wt%、粘度を調整するシンナー13Wt%の配合比率からなる下塗り剤43を混合し、それを塗布した。硬化剤としては、シクロヘキサノンパーオキサイド(サイポックスペースクリアー(静岡川口薬品))を使用した。このサイポックスペースクリアーは、シクロヘキサノンパーオキサイド48Wt%、トリエチルホスフェート14Wt%、酢酸エチル7Wt%、アセト酢酸エチル7Wt%、フタル酸ジメチル13Wt%、二酸化珪素11Wt%である。
プラサフとは「プライマーサフェーサ」と呼ばれ、上から塗る塗料の乗りをよくするプライマと、サンドペーパー等によって出来た細かい傷を埋めるサフェーサの機能を有するものである。本実施の形態で使用したプラサフは、オートSPSプラサフ(大日本塗料(♯1100ZN)、R-Mマルチフィーラー(ダイアモンド)、R-Mプロフ(ダイアモンド)等である。
本発明の具体的実施例としては、硬化剤としては♯ウレタックス硬化剤(斎藤塗料)を使用した。成分は、ヘキサメチレン=ジイソシアネート1Wt%、酢酸ブチル50〜60Wt%、プロピレングリコ一ルモノメチルエーテルアセテート1〜10Wt%、キシレン3Wt%、エチルベンゼン3Wt%、変性ポリイソシアネート30〜40Wt%である。
また、プラサフとしてKARプラサフ(関西ペイント)を使用し、成分は二酸化チタン1〜5Wt%、トルエン18Wt%、キシレン2.4Wt%、エチルベンゼン2Wt%、メチルアルコール1〜5Wt%、エチルアルコール0.1〜1Wt%、イソプロピルアルコール1〜5Wt%、イソブチルアルコール1〜5Wt%、メチルイソブチルケトン1〜5Wt%、酢酸エチル5〜10Wt%、酢酸イソブチル10〜15Wt%、ニトロセルロース5〜10Wt%、酸化重合型樹脂5〜15Wt%である。
また、粘度を調整するシンナーとして、ウレタックスシンナー(斎藤塗料)を使用した。成分は、酢酸ブチル30〜40Wt%、トルエン36Wt%、キシレン10Wt%、プロピレングリコールモノメチルエ一テルアセテート1〜10Wt%、エチルベンゼン10Wt%である。
このステップS4の下塗り処理工程は、目止め剤41を塗布し、研磨した表面に複数回下塗り剤43を塗布し、そして、研磨する。塗布の仕方は、スプレーガンで噴霧するのが一般的である。このとき、噴霧する硬化剤及びプラサフの粘度は、シンナーの量によって調整される。
また、この下塗り剤43を塗布した後、下塗り剤43で形成した面を平滑にサンドペーパー、耐水ペーパー等で研磨し、複数回の塗布とその研磨を繰り返している。ここではサンドペーパー、耐水ペーパー等で研磨すると説明したが、水研ぎ等の他の研ぎ方を採用してもよい。
ここでは、ステップS4の下塗り処理工程で発泡合成樹脂材料10の被塗装面のビーズライン及びベントホール、その凹凸面を緩和させ平滑とすべく処理する。しかし、通常、ビーズライン及びその凹凸面のみではなく、φ2〜10mm程度のベントホールが存在する。φ2〜10mm程度のベントホール及び前の工程で除去できなかったビーズライン及びその凹凸面は、ステップS5の穴埋め処理工程で除去することになる。
ステップS5の穴埋め処理工程では、本実施例の穴埋め剤42としてポリエステル樹脂パテのポリラックZ(中部化研工業)を使用した。成分はスチレン18.3Wt%、ナフテン酸コバルト0.1Wt%である。
ステップS4の下塗り処理工程では、硬化剤、プラサフ、粘度を調整するシンナーからなる混合物の下塗り剤43を作成し、これを発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に塗布し、乾いた状態で研磨し、それを1〜12回繰り返し、被塗装面18を平滑にする。同時に、発泡合成樹脂材料10にベントホールが存在している場合には、ステップS5で穴埋め処理工程を行い、穴埋め剤42としてポリエステル樹脂パテを使用し、その窪みの大きさに応じて、ステップS4の下塗り処理工程の塗布、乾燥、研磨を繰り返す。ベントホールZの大きさによっては、先に穴埋め剤23でベントホールZの穴埋めを行い、次いで、被塗装面18の塗布、乾燥、研磨を繰り返すのが好ましい場合もある。
この実施例では、ステップS4の下塗り処理工程とステップS5の穴埋め処理工程が分離されているが、同時に行うこともあり得るし、ステップS5の穴埋め処理工程を行わない場合もあり得る。何れにせよ、ステップS4の下塗り処理工程及びステップS5の穴埋め処理工程は、前処理工程(ステップS20)を構成し、被塗装面のビーズライン及びその凹凸面、ベントホールZ等が表から確認して現出しない程度に処理する。このベントホールZ等のステップS5の穴埋め処理工程を含めて、ベントホールZ及びビーズライン及びその凹凸面を見えなく処理する工程であるから、ステップS5の穴埋め処理工程を含めて前処理工程(ステップS20)という。
ステップS5の穴埋め処理工程を組み入れる場合には、その程度によってはステップS3の目止め処理工程の直後に行うこともできる。勿論、ベントホールZが生じていないものでは、穴埋め処理工程(ステップS5)を省略することができる。
次に、下塗り剤43を塗布した上を研磨し、それを複数回繰り返した後、後処理工程(ステップS30)としての上塗り剤44を塗布する。
後処理工程(ステップS30)で使用する上塗り剤44は、硬化剤1Wt%に対して、樹脂塗料1Wt%、プラサフ2Wt%、シンナー2.6Wt%の配合で混合し、それを塗布する。硬化剤、プラサフ2Wt%、シンナー2.6Wt%は下塗り処理工程(ステップS4)で使用したものと同じである。
実施例では、樹脂塗料としては、♯55ウレタックス(無鉛)ホワイト(斎藤塗料)を使用した。その成分は、酸化チタン20〜30Wt%、トルエン15Wt%、酢酸ブチル1〜10Wt%、エチルベンゼン5.4Wt%、キシレン5.4Wt%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1〜10Wt%である。
更に、ステップS6の上塗り処理工程で塗布した上塗り剤44の上面を研磨し、その塗布と研磨を複数回繰り返す。ここでは、ステップS5の下塗り処理工程で形成した被塗装面18に顔料を含む合成樹脂塗料の樹脂塗料を塗布する工程となり、ステップS6の上塗り処理工程という。
この実施例では、樹脂塗料を♯55ウレタックス(無鉛)ホワイトとし、何色でもそこに上塗りできるようにした。即ち、この時点で他の構成部品と同一の塗装を行う場合には、他の部品と同一の塗装工程に入る。
前述したように、ステップS6の上塗り処理工程で樹脂塗料を♯55ウレタックス(無鉛)ホワイトを使用しており、何色にも上塗り対応できるようにしているが、更に、表面に塗膜を形成し、耐久性の塗料を塗布するステップS7の仕上げ処理工程を追加することができる。
ステップS7の仕上げ処理工程では、仕上げ剤25として、硬化剤0.4Wt%に対して樹脂塗料1Wt%、シンナー0.8Wt%の配合とした塗料を塗布する。
実施例で使用した仕上げ剤25としては、硬化剤としてイソシアネート系硬化剤であるレタンPGエコスポイラー用マルチ硬化剤(関西ペイント)を使用した。その成分は、酢酸エチル5〜10Wt%、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)UR0.1〜1Wt%、ヘキサメチレンジイノシアネート・オリゴマー5〜10Wt%、HMDI系ポリイソシアネート165〜70Wt%である。
また、樹脂塗料として、レタンPG80 531ホワイト ベース(関西ペイント)を使用した。その成分は、非結晶性シリカA1〜5Wt%、二酸化チタン20〜25Wt%、トルエン36Wt%、キシレン0.1〜1Wt%、エチルベンゼン0.1〜1Wt%、エチルアルコール0.1〜1Wt%、メチルエチルケトン1〜5Wt%、酢酸エチル1〜5Wt%、酢酸イソブチル1〜5Wt%である。
そして、シンナーとして、レタンPGシンナー超遅乾形(関西ペイント)を使用した。その成分は、石油ナフサG15〜20Wt%、石油ナフサH1〜5Wt%、キシレン20Wt%、エチルベンゼン18Wt%、クメン0.1〜1Wt%、1,3,5−トリメチルベンゼン3Wt%、ナフタレン0.1〜1Wt%、1,2,4−トリメチルベンゼン9.8Wt%、メトキシブチルアセテート1〜5Wt%、酢酸ブチル1〜5Wt%である。
ここで使用する仕上げ層は、最表面に塗膜を形成することによって、耐久性、即ち、耐候性、耐酸性等を得るものであり、本発明を実施する場合には、通常の塗装と同様に、機械装置に応じて必要に応じ、同時に全体の塗装を行うこともできるが、別に、塗装した上で機械装置の本体等に組付けることもできる。
次に、図10及び図11、図12を用いて、発泡合成樹脂成型体の製造過程の切削処理工程及び表面処理工程及び前処理工程について詳述する。
図10乃至図12に示すように、ステップS1の切削処理工程で熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工し、発泡合成樹脂本体40(10)を形成する。詳しくは、図11(a)のように、発泡合成樹脂本体40の被塗装面18には、刃物21で切断されないで糸状に伸びて部分的に毛羽立っている糸W、その糸状部が丸まって連結された粒子化した粒子X等を有している。また、発泡合成樹脂材料10の切削されたものの、その際の付着により連結された粉体Wが付着している。また、随所にベントホールZが存在している。
それに対して、ステップS2による冶具による処理工程を経たものでは、図11(a)に示した刃物21で切断されないで糸状に伸びて部分的に毛羽立っている糸Wは、図11(ab)に示したように、摩擦熱を受けその表面張力により、容積が最小になる。また、図11(a)に示した糸状部が丸まって連結された粒子Xと同様、摩擦熱で平滑化したり、粉体粒子として離れて除去される。このとき、ベントホールZについては、開口を糸状に伸びて部分的に毛羽立っている糸W及び粉体粒子として離れて除去された粒子Xによって若干狭められる程度であり、大きな変化はない。
ステップS3の目止め処理工程では、一般的な合成樹脂塗料の材料として使用されているトルエン、セルロースアセテートブチリート(CAB)、酢酸ブチルから配合された合成樹脂材料の目止め剤41を発泡合成樹脂本体40(10)の被塗装面18に塗布している。この合成樹脂材料の目止め剤41は、発泡合成樹脂本体40(10)の被塗装面18を硬くし、研磨作業の際の逃げを防止して、その研磨を自在にし、図11(c)のように、精度の良い表面形状を得るものである。このとき、被塗装面18のビーズラインの浅い凹面は目止め剤41によって充填されることになる。
ステップS4の下塗り処理工程は、発泡合成樹脂本体40の被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を緩和させ平滑な面とする合成樹脂材料を塗布する前処理工程(ステップS20)である。通常、発泡合成樹脂材料10には、φ2〜10mm程度のベントホールZが生じているので、その対策としてステップS5の穴埋め処理工程を進行させるのが好適である。即ち、前処理工程(ステップS20)では、硬化剤、プラサフ、粘度を調整するシンナーからなる下塗り剤43を発泡合成樹脂本体40の被塗装面18に塗布し、乾いた状態で研磨し、それを1〜12回繰り返し、被塗装面18を平滑な面にする。同時に、発泡合成樹脂本体40にベントホールZが存在している場合には、ステップS5でベントホールZの穴埋め処理を行い、穴埋め剤42としてポリエステル樹脂パテを使用し、その窪みの大きさに応じて、ステップS4の下塗り処理工程の下塗り剤43の塗布、乾燥、研磨を繰り返す。ベントホールZの大きさによっては、図11(d)に示すように、先に穴埋め剤42でベントホールZの穴埋めを行い、次いで、下塗り剤43で被塗装面18の塗布、乾燥、研磨を繰り返すのが好ましい場合もある。
次に、前処理工程(ステップS20)の後に後処理工程(ステップS30)を施し、前処理工程(ステップS20)で形成した被塗装面18に顔料を含む硬化剤、樹脂塗料、プラサフ、シンナーの配合で混合した上塗り剤44からなる合成樹脂塗料を塗布する。後処理工程(ステップS30)で使用する上塗り剤44は、ステップS4の下塗り処理工程で使用したものと同じであり、両者間の相性が良く、両者間の接着力が確保されるようにしている。
後処理工程(ステップS30)としては、ステップS7の仕上げ処理工程を含ませることができる。ステップS7の仕上げ処理工程は、仕上げ剤45として、硬化剤、樹脂塗料、シンナーを配合とし、顔料も勿論、硬化剤、樹脂塗料、プラサフ、シンナーの配合で混合した上塗り剤44は、仕上げ剤45との相性を良くする必要がある。
このようにして、本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体を得ている。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工するステップS1からなる切削処理工程と、そのステップS1からなる切削処理工程によって生じた切削面14を含み塗装しようとする発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させて研磨し、それを1〜12回繰り返す表面処理工程(ステップS10)と、被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を平滑とすべく合成樹脂材料10を塗布及び研磨し、それを1〜12回繰り返す前処理工程(ステップS20)と、前処理工程(ステップS20)で形成した被塗装面18に顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する後処理工程(ステップS30)とを具備するものである。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法は、ステップS1の切削処理工程で基体としての熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削して、ステップS1の切削処理工程によって生じた切削面14を含み、塗装しようとする被塗装面18を表面処理工程(ステップS10)で、その表面を硬化させ、発泡合成樹脂材料10の、例えば、発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を目立たなくする。しかも、前処理工程(ステップS20)により表面処理工程(ステップS10)で形成した塗装しようとする被塗装面18のビーズラインを見えなくし、かつ、そのベントホールZ等の凹凸面を緩和させる合成樹脂材料を塗布し、また、その硬くなった面を研磨し、それを繰り返すことにより、一層、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくすることができる。そして、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくなったところで、前処理層(ステップS20)で形成した面に後処理工程(ステップS30)で顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するものである。
したがって、高価な金型を製作しなくとも、切削加工することによって金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネにも、環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料10の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。更に、表面処理工程(ステップS10)及び前処理工程(ステップS20)では、合成樹脂材料を塗布しているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
よって、高価な金型を使用することなく、発泡合成樹脂材料10を用いて、特定の形状を削り出して塗装し、任意の弾性に富む発泡合成樹脂成型体の製造方法となる。
前記基材となる発泡合成樹脂材料10は、1枚または複数枚積層接着してなるものである。したがって、市販の発泡合成樹脂材料10を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
前記基材の被塗装面18を硬化させる表面処理工程(ステップS10)は、加熱用冶具30の回転によってその摩擦熱で加熱を行う加熱用冶具30による処理工程を含むものであるから、加熱用冶具30の回転によってその摩擦熱で表面が熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10の表面が軟化され、かつ、その後、硬化されるから研磨に耐える構造となり、任意の形状に研磨加工できる。また、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10は、加熱用冶具30によって加熱を行うものであり、フライス盤、NC加工盤、自動工作機械等の加工制御が簡単化できる。
前記基材の被塗装面18を硬化させる表面処理工程(ステップS10)は、合成樹脂材料の塗布による染み込みを防止するステップS3からなる目止め処理工程を含むものであるから、ステップS3からなる目止め処理用の塗料の塗布によって染み込みを防止した状態であり、研磨可能になるから、均一な研磨状態が確保でき、良好な被塗装面18が得られる。特に、先に、加熱用冶具30の回転によってその摩擦熱で表面を硬化する工程を行い、その後、目止め処理用の塗料の塗布を行うと化学的及び物理的に対応でき効果的である。
前処理工程(ステップS20)は、合成樹脂材料による穴埋めを行うステップS5からなる穴埋め処理工程を含むものであるから、合成樹脂材料によるベントホールZ等の穴埋めにより、大きな窪み、発泡ビーズの欠損等を穴埋めし、平滑な面を形成しやすくなる。
後処理工程(ステップS30)は、耐久性の塗料を塗布するステップS7からなる仕上げ処理工程を含むものであるから、耐久性により見栄えの良い期間が長くなり、安定した塗装状態が維持される。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体40と、発泡合成樹脂本体40の所望の周囲に塗装しようとする被塗装面18を具備し、被塗装面18に塗装してなる発泡合成樹脂成型体において、前記所定の形状に形成してなる発泡合成樹脂本体40の被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、被塗装面18を硬化状態で研磨したものである。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、基材となる発泡合成樹脂材料10からなる発泡合成樹脂本体40の形状を所定の形状に形成すると共に、前記基材の塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ、または合成樹脂を塗布して硬化させ、そして、前記基材の被塗装面18を硬化状態で研磨し、平滑にしたものである。
したがって、発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削し、その切削面14を硬化させ、その硬化状態で研磨し、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ及びその凹凸を目立たなく研磨加工する。しかも、切削面14のビーズライン及びベントホールZ及びその凹凸からなる面を緩和させる合成樹脂材料を塗布とその研磨を繰り返すことにより、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなく平滑化することができる。そして、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくなったところで顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する。
故に、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は任意の形状に加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料10の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。
更に、前記所定の形状に形成してなる発泡合成樹脂本体40の被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料10を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体の製造方法となる。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体40と、発泡合成樹脂本体40を切削して生じた切削面14を含み塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、表面処理層(ステップS20)のビーズライン及びその凹凸面を緩和させるべく合成樹脂材料を塗布し、表面処理層(ステップS20)のベントホールを合成樹脂材料による穴埋めを行うステップS2からステップS5からなる下地補修層を具備するものである。
ここで、下地補修層とは、発泡合成樹脂本体40の被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、また、表面処理層(ステップS20)のビーズライン及びその凹凸面を緩和させるべく合成樹脂材料を塗布し、表面処理層(ステップS20)のベントホールZを穴埋め剤42で穴埋めを行うもので、ステップS2からステップS5から形成される層を意味する。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体40を切削して生じた切削面14を含み塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、ビーズライン及びその凹凸面を緩和させるべく合成樹脂材料を塗布し、ベントホールZを合成樹脂材料による穴埋めを行うものである。
したがって、発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削し、前記切削によって生じた切削面を硬化させると、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなく加工することができ、しかも、切削面14のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸の面を緩和させる合成樹脂材料を塗布したり、その研磨をしたりし、それらを繰り返すことにより、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくすることができる。そして、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくなったところで、顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するものである。
故に、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料10の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。
更に、ステップS2からステップS5でなる下地補修層においては、発泡合成樹脂本体40を切削して生じた切削面14を含み塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料10を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
上記実施の形態の前記基材となる発泡合成樹脂材料10は、1枚または複数枚積層接着してなるから、市販の発泡合成樹脂材料10を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
ステップS2からステップS5でなる下地補修層には、更に、前記下地補修層の表面に合成樹脂塗料を塗布した塗装層を具備するものであるから、安定した塗装状態が維持され、また、必要に応じて耐候性にすぐれ、紫外線に対しても変色が少ない。そして、光沢と弾性に富んだ表面を形成することができ、長期間安定した成型体となる。
上記実施の形態では、表面処理工程(ステップS10)と前処理工程(ステップS20)とは、その表面処理工程(ステップS10)の目止め剤41と前処理工程(ステップS20)の下塗り剤43の塗布と研磨を繰り返すものである。このとき、目止め剤と下塗り剤の塗布と研磨を繰り返す回数が多いと、その各層の厚みを薄くでき、仕上げを見栄え良く、かつ、耐久性を良くすることができる。しかし、余り繰り返し回数を多くすると、生産性が低下する。したがって、発泡合成樹脂成型体の使途に応じて1〜12回程度が生産性から維持されるべき回数となる。
上記実施の形態では、発泡合成樹脂成型体の復元力は、各層が柔らかく硬化しているので、発泡合成樹脂材料10の弾性に応じたものとなっており、基材の特性を維持したままの発泡合成樹脂の成型品となっていることが発明者らによって確認された。
加えて、発泡合成樹脂材料10として、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))、また、フェノール樹脂(PF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア樹脂(UF)、シリコーン(SI)、ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)等の発泡化した樹脂が使用できる。
切削処理工程によって生じた切削面を含み塗装しようとする被塗装面18を硬化させて研磨する表面処理工程(ステップS10)では、50〜200μmの厚みとなり、上記実施例で使用した目止め剤41に拘ることなく、被塗装面18を硬化させて研磨可能にする合成樹脂材料であればよい。
また、被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を平滑にすべく塗布する前処理工程(ステップS20)では合成樹脂材料を塗布及び研磨する前処理工程が、200〜400μmの厚みであるが、上記実施例で使用した穴埋め剤42及び下塗り剤43に拘ることなく、被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を平滑にすべく塗布及び研磨できる合成樹脂材料であればよい。
そして、前処理工程(ステップS20)で形成した被塗装面18に顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する後処理工程(ステップS30)は、上塗り剤44が300〜600μmの厚みで、仕上げ剤45が50〜400μmの厚みであるが、上塗り剤44及び仕上げ剤45に拘ることなく、前処理工程(ステップS20)で形成した被塗装面18に顔料を含む塗布自在な合成樹脂塗料であればよい。塗料として透明であるか否かは問われる理由がない。
10 発泡合成樹脂材料
11,12,13 発泡合成樹脂材料
14 切削面
18 被塗装面
20 ボールエンドミル
30 加熱用冶具
40 発泡合成樹脂本体
41 目止め剤
42 穴埋め剤
43 下塗り剤
44 上塗り剤
45 仕上げ剤
図1は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法を示す工程のフローチャートである。
図2は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料を積層接着した状態の説明図である。
図3は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の積層した発泡合成樹脂材料の切削処理工程の説明図で、(a)は切削中の説明図、(b)は切削工具を示す説明図である。
図4は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の外表面を切削する切削処理工程の説明図である。
図5は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の塗装表面を加熱する表面処理工程で使用する加熱用冶具で、(a)は単一径の加熱用冶具、(b)は2段径の加熱用冶具、(c)は3段径の加熱用冶具の斜視図である。
図6は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の内側の塗装表面を加熱する表面処理工程の説明図である。
図7は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の外側の塗装表面を加熱する表面処理工程の説明図である。
図8は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の内側底面の表面処理工程の説明図である。
図9は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の内側側面の表面処理工程の説明図である。
図10は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の層構成を説明する説明図である。
図11は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の加工工程を示す説明図で、図11(a)は切削加工直後の断面拡大説明図、図11(b)は加熱用冶具による処理工程後の断面拡大説明図、図11(c)は目止め処理工程後の断面拡大説明図、図11(d)は穴埋め処理工程後の断面拡大説明図である。
図12は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の加工工程を示す説明図で、図12(a)は下塗り処理工程後の断面拡大説明図、図12(b)は上塗り処理工程後の断面拡大説明図、図12(c)は仕上げ処理工程後の断面拡大説明図、図12(d)は穴埋めを先行させた事例の断面拡大説明図である。
本発明は、金型を使用することなく発泡合成樹脂で特定の形状を削りだす発泡合成樹脂成型体及びその製造方法に関するものであり、特に、発泡合成樹脂で特定の形状を削りだし、その表面を塗装してなる発泡合成樹脂成型体及びその製造方法に関するものである。
従来の一般的な発泡合成樹脂成型体の成型方法及び発泡合成樹脂成型体としては、ポリスチレンを微細な泡で発泡させ硬化させた発泡ポリスチレンを使用し、その表面に塗料を塗布する方法がある。例えば、発砲ポリスチレンに木工ボンドを塗り、その木工ボンドが固まったとき、スプレーで塗装する方法がある。
また、水性ボンドに顔料を混ぜて、直接、発砲ポリスチレンに塗布する方法もある。そして、和紙を細かく粉砕し、粉体化したものに木工ボンドや和糊を混練して発砲ポリスチレンに貼り付け、それを水性塗料のネオカラーやポスターカラーで塗装する方法もある。更に、発砲ポリスチレンを基材にしてそれにFRP造形を行う方法もある。
これらはいずれも発泡合成樹脂成型体に塗布した塗装の厚みが厚くなり、形式的な見栄えが良くても、実用的な使用に耐えるものがなかった。
一方、特許文献に酷似する技術を求めると、直接、発泡合成樹脂材を特定の形状に削りだす発泡合成樹脂の成型方法及びその成型体は存在していないが、発泡層付き内装品の技術を特許文献1で開示している。
即ち、特許文献1は発泡層付きの表皮材が、基材に分散形成された吸気路からの真空吸引により基材に吸着されて接着された発泡層付き内装品において、表皮材が熱可塑性であり、その表面形状が、表皮材を加温処理により軟化させ、その状態で基材に接着させる際に、表皮材用真空吸引型による真空吸引により賦形さている構成を有し、表皮材が表皮材用真空吸引型の型面に沿って賦形される技術である。これにより、表面品質が向上するだけでなく、意匠の制約が少なくなり、その自由度が拡大され、基材表面に対して非相似形状に形成することができる。
発泡層付きの表皮材が、基材に分散形成された吸気路からの真空吸引により基材に吸着されて接着された発泡層付き内装品とすることにより、発泡層と表皮材との接着力を強くする技術が開示されている。しかし、特許文献1には、厚手の発泡層についてどのように適応できるかを開示するものはない。原理的には、発泡合成樹脂材を特定の形状に削り出して発泡合成樹脂を成形することは困難と思われる。
また、特許文献2は、発泡合成樹脂成型体よりなる芯材の一面に畳表が積層され、他面に機能化剤含有クッションシートが積層され、更に、前記クッションシートに滑り止め層が部分的に積層されることにより、薄くて軽量で、施工性に優れ、滑り難いという技術を開示している。
特開2005−125736号公報
特開2010−236220号公報
しかし、従来の一般的な発泡合成樹脂成型体は、例えば、量産しない製品のカバー、特殊な椅子の肘掛け、特殊車両或いは改造車のダッシュボード等に使用すると、機械的強度が足りないとか、塗料が塵のように剥がれ落ちて周辺を汚したりして、廉価に実用的なものはできなかった。勿論、発砲ポリスチレンを基材にしてそれにFRP造形を行う技術は、機械的強度は上げることができるものの、弾性に欠き、また、高価であるという問題があった。
また、特許文献1及び特許文献2によって、発泡合成樹脂成型体とクッションシートとの接着力を強くすることは開示されている。ところが、形式的に試作品を形成する原材料として発泡性合成樹脂が使用されているものの、少量生産品にこの技術を使用するということは実現されていない。特に、例えば、発砲ポリスチレンのような発泡合成樹脂成型体は、脆く、表面を削って所定の形状に仕上げ、かつ、表面を見栄え良く平滑化することができなかった。
そこで、本発明は、基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、廉価な発泡合成樹脂成型体及びその製造方法の提供を課題とするものである。
請求項1の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削加工する切削処理工程と、前記切削処理工程によって生じた切削面を含み塗装しようとする前記基材の被塗装面を硬化させる表面処理工程と、前記被塗装面の凹凸面を緩和させ、平滑とすべく合成樹脂材料を塗布及び研磨する前処理工程と、前記前処理工程で形成した被塗装面に顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する後処理工程とを具備する。
ここで、上記発泡合成樹脂材料は、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))、また、フェノール樹脂(PF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア樹脂(UF)、シリコーン(SI)、ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)等の発泡化した樹脂とすることができる。特に、1枚または複数枚積層接着してなる発泡合成樹脂材料は、市販の発泡合成樹脂材料を購入する場合、自己の手によって特定の形状の発泡合成樹脂材料を形成する場合も含まれる。
また、上記切削処理工程は、ボールエンドミル等の回転切削冶具の使用に限定されるものではなく、人為的に操作する刃物を含み、工作機械が具有する刃物、特定の形状を得る研磨等を含む如何なる切削方法であってもよい。
そして、上記表面処理工程は、摩擦熱による加熱、レーザ光のスキャンによる加熱、鉄またはステンレス板からなる熱盤による加熱、超音波による振動加熱等の加熱によって切削面及び塗装しようとする前記基材の被塗装面を加熱することにより基材の被塗装面を面として硬化させるものである。このときの被塗装面は、前記基材の内面のみ、または外面のみ、またはそれらの両方または両方の一部のみとすることもできる。また、合成樹脂材料の塗布によって被塗装面が硬化すればよいことから、合成樹脂材料の塗布とすることもできる。なお、被塗装面の硬化(乾燥)速度からすると、溶剤性の合成樹脂材料が効率的である。
更に、上記前処理工程は、前記基材となる発泡合成樹脂材料の被塗装面に平滑な塗膜を作り、前記後処理工程で塗布する合成樹脂塗料との密着性をよくするパテ、塗料を含む合成樹脂材料及び/または塗料を塗布するものである。前記基材となる発泡合成樹脂材料にベントホールが存在するものでは、それらベントホールの窪みを緩和させるパテ、塗料を含む合成樹脂材料を塗布する。
このとき使用するパテとしては、ラッカーパテ、エポキシパテ、ポリエステルパテ、光硬化パテ、瞬間接着パテ等があり、発泡合成樹脂材料の種類によって選択される。また、下塗り塗料は、前記パテ及び上塗り塗料、基材の種類によって決定される。特に、パテはビーズ欠損による凹面を緩和させる穴埋めに効果的である。
更にまた、上記後処理工程は、前記前処理工程で塗布した合成樹脂塗料との接着性をよくする合成樹脂塗料を塗布し、その上面に必要に応じて耐久性、例えば、耐候性、耐酸化性を付与する保護層となる仕上げ層を作る塗料を塗布するものである。
加えて、前記切削処理工程によって形成した切削面を含み塗装しようとする被塗装面を硬化させる表面処理工程は、回転する加熱用冶具によって摩擦熱による加熱を行って軟化させ、そして、熱可塑性樹脂の特性により硬化させるものである。
ここで、回転する加熱用冶具によって加熱を行うのは、同一冶具で切削及び加熱を行ってもよいし、複数個の冶具によって切削と加熱を別々に行ってもよい。勿論、先端の形状及び太さ、形状は使途によって適宜形成される。
また、前記切削処理工程によって形成した切削面を含み塗装しようとする被塗装面を硬化させる表面処理工程は、合成樹脂材料を塗布し、それを硬化させて塗布した合成樹脂材料の染み込み防止とした目止め材としたものである。
ここで、上記目止め材とは合成樹脂材料の染み込み防止できる合成樹脂材料であればよく、自己の粘性で染み込みが防止され、基材の発泡合成樹脂材料との接着力が確保できるものであればよい。
また、染み込みの防止とは、合成樹脂材料により染み込みが防止されるもののみを意味するものではなく、一旦、染み込みが生じた後、合成樹脂材料の硬化により、再度の染み込みができない合成樹脂材料も含むものである。特に、重ね塗りと研磨を繰り返し行うものでは、1回の塗布によって浸透が生じ難くなる合成樹脂材料も含まれるものである。
そして、前記前処理工程には、更に、合成樹脂材料による穴埋めを行う穴埋め処理工程を含むものである。
ここで、穴埋め処理工程の穴埋めとは、発泡条件の温度、圧力等の不均一のために部分的に欠損ができているもの、発泡成形時に圧縮したことが要因となり、外圧によりブリッジが形成され、一部に外力が行き届かなくなって欠損ができたもの等、発泡体ビーズの集合体で特定の形状に成型されるが、このとき、発泡時に欠損が存在したまま欠損を残して発泡した発泡合成樹脂材料の欠損箇所がベントホールになるので、その穴埋めをするものである。
更に、前記後処理工程は、耐久性の合成樹脂塗料を塗布する仕上げ処理工程を含むものである。
ここで、仕上げ処理工程では、耐久性のある、例えば、耐候性及び/または耐酸性の合成樹脂塗料を塗布するものであり、この際使用する顔料は、着色されたものに限定されるものではなく、透明体も含むものである。
請求項2の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記発泡合成樹脂材料は、1枚または複数枚積層接着してなるものである。
ここで、1枚または複数枚積層接着してなる発泡合成樹脂材料は、市販の発泡合成樹脂材料を購入して使用する場合、または、自己の手によって発泡合成樹脂材料を発泡形成する場合の何れであってもよい。
請求項3の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記表面処理工程と前記前処理工程は、前記合成樹脂塗料の塗布と研磨を1〜12回の範囲で繰り返すものである。
ここで、前記表面処理工程と前記前処理工程においては、前記合成樹脂塗料の塗布と研磨を1〜12回の範囲で繰り返すものである。
また、表面処理工程と前処理工程とは、その表面処理工程の目止め剤と前処理工程の下塗り剤の塗布と研磨を意味するものである。
請求項4の発明にかかる発泡合成樹脂成型体は、基材となる発泡合成樹脂材料からなり所定の形状に形成してなる発泡合成樹脂材料本体と、前記発泡合成樹脂本体を切削して生じた切削面を含み塗装しようとする被塗装面を加熱によって硬化させ、合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、前記表面処理層のビーズライン及びその凹凸面を緩和させるべく合成樹脂材料を塗布し、必要に応じて前記表面処理層のベントホールを合成樹脂材料による穴埋めを行う下地補修層を形成したものである。
ここで、上記発泡合成樹脂本体は基材となる熱可塑性材料の発泡合成樹脂材料からなるもので、目的の形状に形成されたものである。
また、上記下地補修層は、前記基材を切削して所定の形状に形成すると共に、その切削によって生じた切削面を含み塗装しようとする前記基材の被塗装面を加熱して表面を硬化させ、また、目止め処理用の塗料の塗布によって染み込みを防止すべく表面を硬化させ、被塗装面の表面を研磨して平滑化させるものである。また、被塗装面のビーズライン及びベントホール、その凹凸面を緩和させるべく合成樹脂材料を塗布し、合成樹脂材料の平滑な面を形成すべく研磨するものである。ここで、被塗装面への塗布は合成樹脂材料でもよいし、合成樹脂塗料であってもよい。即ち、ここでは着色を問題視しないが、合成樹脂塗料の材料でも使用できることを意味する。
そして、前記下地補修層に対して、更に、前記被塗装面に顔料を含む相性の良い合成樹脂材料を塗布したものであり、通常の塗料の塗布が該当する。ここで相性の良い合成樹脂材料とは互いに接着力があり、一体に混在するものに限らず、容易に分離しないものも含まれる。
請求項5の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の前記基材となる発泡合成樹脂材料は、1枚または複数枚積層接着してなるものである。
ここで、1枚または複数枚積層接合してなる発泡合成樹脂材料は、市販の発泡合成樹脂材料を購入して使用する場合、自己の手によって発泡合成樹脂材料を形成する場合の何れであってもよい。
請求項1の発泡合成樹脂成型体の製造方法は、切削処理工程で基体としての熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削して、前記切削処理工程によって生じた切削面を含み、塗装しようとする被塗装面を表面処理工程で、その表面を硬化させ、発泡合成樹脂材料の、発泡体の例えば、ビーズライン及びベントホール、その凹凸面を目立たなくする。しかも、前処理工程により前記表面処理工程で形成した塗装しようとする被塗装面のビーズラインを見えなくし、かつ、そのベントホール等の凹凸面を緩和させる合成樹脂材料を塗布し、また、その硬くなった面を研磨し、それを繰り返すことにより、一層、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びベントホール、その凹凸を目立たなくすることができる。そして、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びベントホール、その凹凸を目立たなくなったところで、前記前処理層で形成した面に後処理工程で顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するものである。
したがって、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネにも、環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。更に、表面処理工程及び前処理工程では、合成樹脂材料を塗布しているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。そして、発泡合成樹脂成型体の復元力は、発泡合成樹脂材料の弾性に応じたものとなっており、基材の特性を維持したままの発泡合成樹脂の成型品となる。
よって、高価な金型を使用することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して塗装し、任意の弾性に富む発泡合成樹脂成型体の製造方法となる。
また、前記基材の被塗装面を加熱することにより表面を硬化させる表面処理工程として、加熱用冶具の回転によってその摩擦熱で加熱を含めたものであるから、加熱用冶具の回転によってその摩擦熱で表面が熱可塑性樹脂の表面が軟化され、かつ、その後、硬化されるから研磨に耐える構造となり、任意の形状に研磨加工できる。また、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料は、加熱用冶具によって加熱を行うものであり、フライス盤、NC加工盤、自動工作機械等の加工制御が簡単化できる。
そして、前記基材の被塗装面を加熱することにより表面を硬化させる表面処理工程として、合成樹脂材料の塗布による目止め処理を含めたものであるから、目止め処理用の塗料の塗布によって染み込みを防止した状態であり、研磨可能になるから、均一な研磨状態が確保でき、良好な被塗装面が得られる。特に、先に、加熱用冶具の回転によってその摩擦熱で表面を硬化する工程を行い、その後、目止め処理用の塗料の塗布を行うと化学的及び物理的に対応でき効果的である。
前記前処理工程には、更に、合成樹脂材料による穴埋めを行うものであるから、合成樹脂材料によるベントホール等の穴埋めにより、大きな窪み、発泡ビーズの欠損等を穴埋めし、平滑な面を形成しやすくなる。
加えて、前記後処理工程は、耐久性の塗料を塗布する仕上げ処理工程を具備するものであるから、耐久性により見栄えの良い期間が長くなり、安定した塗装状態が維持される。
請求項2の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記発泡合成樹脂材料は、1枚または複数枚積層接着してなるものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、市販の発泡合成樹脂材料を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
請求項3の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記表面処理工程と前記前処理工程とは、前記合成樹脂塗料を塗布と研磨を繰り返すものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、薄い変化に対しても対応できるから、耐久性の優れた、かつ、見栄えの良い製造方法となる。
請求項4の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体となし、切削して形成した前記発泡合成樹脂本体の切削面を含み、塗装しようとする被塗装面を加熱によって硬化させ、合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、ビーズライン及びその凹凸面を緩和させるべく合成樹脂材料を塗布し、ベントホールも合成樹脂材料による穴埋めを行った下地補修層を有するものである。
したがって、発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削し、前記切削によって生じた切削面を硬化させると、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びベントホール、その凹凸を目立たなく加工することができ、しかも、切削面のビーズライン及びベントホール、その凹凸の面を緩和させる合成樹脂材料を塗布したり、その研磨をしたりし、それらを繰り返すことにより、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びベントホール、その凹凸を目立たなくすることができる。そして、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びベントホール、その凹凸を目立たなくなったところで、顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するものである。
故に、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。
更に、前記下地補修層においては、発泡合成樹脂本体を切削して生じた切削面を含み塗装しようとする前記被塗装面を加熱によって硬化させ、合成樹脂材料を塗布して硬化させているが、それは表面を硬化させ研磨でき平滑な面を形成するのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
前記下地補修層には、更に、前記下地補修層の表面に合成樹脂塗料を塗布した塗装層を具備するものであるから、安定した塗装状態が維持され、また、必要に応じて耐候性にすぐれ、紫外線に対しても変色が少ない。そして、光沢と弾性に富んだ表面層を形成することができ、長期間安定した成型体となる。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
請求項5の発泡合成樹脂成型体の発泡合成樹脂材料は、1枚または複数枚積層接着してなるものであるから、請求項4に記載の効果に加えて、市販の発泡合成樹脂材料を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
図1は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法を示す工程のフローチャートである。
図2は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料を積層接着した状態の説明図である。
図3は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の積層した発泡合成樹脂材料の切削処理工程の説明図で、(a)は切削中の説明図、(b)は切削工具を示す説明図である。
図4は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の外表面を切削する切削処理工程の説明図である。
図5は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の塗装表面を加熱する表面処理工程で使用する加熱用冶具で、(a)は単一径の加熱用冶具、(b)は2段径の加熱用冶具、(c)は3段径の加熱用冶具の斜視図である。
図6は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の内側の塗装表面を加熱する表面処理工程の説明図である。
図7は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の外側の塗装表面を加熱する表面処理工程の説明図である。
図8は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の内側底面の表面処理工程の説明図である。
図9は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の内側側面の表面処理工程の説明図である。
図10は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の層構成を説明する説明図である。
図11は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の加工工程を示す説明図で、図11(a)は切削加工直後の断面拡大説明図、図11(b)は加熱用冶具による処理工程後の断面拡大説明図、図11(c)は目止め処理工程後の断面拡大説明図、図11(d)は穴埋め処理工程後の断面拡大説明図である。
図12は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の加工工程を示す説明図で、図12(a)は下塗り処理工程後の断面拡大説明図、図12(b)は上塗り処理工程後の断面拡大説明図、図12(c)は仕上げ処理工程後の断面拡大説明図、図12(d)は穴埋めを先行させた事例の断面拡大説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
[実施の形態]
まず、図1乃至図11を用いて、本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法について、全体の概略説明を行う。
図1に示すように、ステップS1の切削処理工程で目的物の基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工する。このとき、発泡合成樹脂材料10の全体を特定の形状に切削加工するものばかりでなく、内部のみの切削加工または外部のみの切削加工もありうる。このとき使用する切削工具は、手動冶具を含む機械装置が使用可能であり、何ら切削加工において切削方法が限定されるものではない。
ステップS2の冶具による処理工程及びステップS3の目止め処理工程によって表面処理工程(ステップS10)が構成されている。
ステップS2の冶具による処理工程では、ステップS1の切削処理工程によって生じた切削面及びその切削面14を含みこれから塗装しようとする基材としての発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を加熱用冶具30の摩擦熱で硬化させている。
ステップS2の冶具による処理工程における発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の硬化は、切削工程が終了した発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に対して加熱用冶具30を回転させ、その回転している加熱用冶具30が軽く被塗装面18に当たることによって生じる摩擦熱によって得ている。
このとき、ステップS1の切削処理工程によって、加熱用冶具30と接触する面に摩擦熱が発生する。この摩擦熱は、後述する図11(a)に示すように、被塗装面18には、刃物21で切断されないで糸状に伸びて部分的に単数または複数が毛羽立っている糸W、その糸状部が丸まって連結されて粒子化した粒子X、発泡合成樹脂材料10の切削されたものの、その際の付着により連結された粉体W、随所に存在するφ2〜10mm程度のベントホールZ(図10参照)を強行に分離したり、または軟化させて加熱用冶具30で押圧して発泡合成樹脂材料10に一体化させたり、また、切削中に発泡合成樹脂材料10が軟化して糸状に伸びた発泡合成樹脂材料10の部分的な個所の除去を行ったり、それを軟化させて加熱用冶具30の押圧力で発泡合成樹脂材料10と一体化したりする。そして、起立するビーズラインを軟化させ押圧して平滑化し、また、そのビーズの凹凸を少なくし、かつ、ベントホールZの周囲を硬くする。
ステップS2の冶具による処理工程では、加熱用冶具30によって発泡合成樹脂材料10の切削した切削面14を加熱し、温度上昇によって軟化させ、毛羽立ち及び粉体化を防止した平滑化した面を形成しているが、本発明を実施する場合、レーザ光のスキャンにより、または熱盤により、発泡合成樹脂材料10の表面が熱可塑性樹脂として軟化し、結果的に、硬く形成されればよい。
なお、本発明で説明する平滑化とは、「平滑」が「平らで、なめらかなこと」を意味するが、広い範囲の「平ら」を意味するものではなく、「例えば、コーナー部分の面取りした角度変化においても、急激な凹凸変化がないこと」程度の部分的な平坦を意味する。
また、表面処理工程(ステップS10)はステップS3の目止め処理工程を含んでいる。ステップS3の目止め処理工程は、一般的な合成樹脂塗料の材料として使用されているトルエン、セルロースアセテートブチリート(CAB)、酢酸ブチルからなる合成樹脂材料を目止め剤41とし、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に塗布している。この目止め剤41は、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬くし、研磨作業の際の逃げを防止し、サンドペーパー(紙やすり)、耐水ペーパー等で研磨自在にし、精度の良い表面形状を得るものである。ステップS1の切削処理工程によって生じた切削面14を含み塗装しようとする発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させるということで、両者は物理的、化学的な違いがあるものの、実質的に同じ表面処理を行うものである。発泡合成樹脂材料10の材質によっては、何れか一方のみの選択も可能であるが、商品の耐久性を考慮すると、ステップS2の冶具による処理工程及びステップS3の目止め処理工程を採用する方が良い。
ステップS4の下塗り処理工程は、基材としての発泡合成樹脂材料10の被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を緩和させ平滑な面とする合成樹脂材料を塗布する前処理工程(ステップS20)である。通常、発泡合成樹脂材料10には、φ2〜10mm程度のベントホールZが生じているので、その対策としてステップS5の穴埋め処理工程(ステップS5)を進行させるのが好適である。
即ち、前処理工程(ステップS20)では、硬化剤、プラサフ、粘度を調整するシンナーからなる混合物の下塗り剤43を作成し、これを発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に塗布し、乾いた状態で研磨し、それを1〜12回繰り返し、被塗装面18を平滑な面にする。このとき、発泡合成樹脂材料10にベントホールZが存在している場合には、ステップS5で穴埋め処理工程を行い、穴埋め剤42としてポリエステル樹脂パテを使用し、その窪みの大きさに応じて、ステップS4の下塗り処理工程の塗布、乾燥、研磨を繰り返す。ベントホールZの大きさによっては、先に穴埋め剤42でベントホールZの穴埋めを行い、次いで、被塗装面18の塗布、乾燥、研磨を繰り返すのが好ましい場合もある。
したがって、図1の本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の流れ図においては、ステップS4の下塗り処理工程とステップS5の穴埋め処理工程が分離されているが、同時に行うこともあり得るし、ステップS5の穴埋め処理工程を行わない場合もあり得る。また、その前後を逆にする場合もある。
何れにせよ、ステップS20の前処理工程は、ステップS4の下塗り処理工程及びステップS5の穴埋め処理工程からなり、硬化剤、プラサフ、シンナー、パテにより、被塗装面のビーズライン及びその凹凸面、Z等が表から確認して現出しない程度に処理する。
次に、前処理工程(ステップS20)の後に後処理工程(ステップS30)を施している。後処理工程(ステップS30)では、前処理工程(ステップS20)で形成した被塗装面18に、顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する工程である。後処理工程(ステップS30)のステップS6の上塗り処理工程で使用する上塗り剤44は、硬化剤、樹脂塗料、プラサフ、シンナーの配合で混合した混合剤であり、硬化剤、プラサフ、シンナーはステップS4の下塗り処理工程で使用した下塗り剤43と同じであり、両者間の相性が良く、両者間の接着力が確保されるようにしている。樹脂塗料は白色を使用しているが、他の特定の色を使用してもよい。
後処理工程(ステップS30)は、ステップS7の仕上げ処理工程を別に設けてもよい。ステップS7の仕上げ処理工程は、仕上げ剤45として、硬化剤、樹脂塗料、シンナーを配合とした樹脂塗料を塗布する工程である。ステップS7の仕上げ処理工程を別に設けた場合には、顔料も勿論、硬化剤、樹脂塗料、プラサフ、シンナーの配合で混合した上塗り剤は、仕上げ剤との相性を良くする必要がある。
即ち、ステップS7の仕上げ処理工程は、塗膜を形成することによって、耐久性、例えば、耐候性、耐酸性を得るものであり、本発明を実施する場合には、通常の塗装と同様に、機械装置に応じて同時に全体の塗装を行うこともできるが、別に、発泡合成樹脂成型体を塗装した上で機械装置の本体等に組付けることもできる。
勿論、塗料としては、着色した顔料の入った塗料に限らず、透明な紫外線をカットする塗料とすることもできる。
更に、図1の本実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法並びに図10及び図11の発泡合成樹脂成型体について詳述する。
発泡合成樹脂材料10は、発泡させた熱可塑性樹脂であり、主な合成樹脂原料は、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))であり、他にも、フェノール樹脂(PF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア樹脂(UF)、シリコーン(SI)、ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)等も発泡化して用いることができる。しかし、発泡合成樹脂材料10の切削面14を加熱することにより硬化させることを前提とすると、80〜200℃の範囲内の温度で変形する合成樹脂材料の使用が望ましい。また、本発明を実施する場合には、発泡率を問うものではないが、使途によっては硬く仕上げるために発泡率の制限を受けるものもある。
なお、本実施例の発泡樹脂粒子(発泡ビーズ)としては、ポリエチレン(C2H4)n及びポリプロピレン(C3H6)nについては、発泡から特定のブロックを形成したもの、規格製品を積層したものの何れも実験し、両者が使用できることを確認した。
具体的には、直径1mm程度の細粒状ポリエチレンであるポリエチレンビーズに炭化水素ガスを吸収させ、これに100℃以上の高温蒸気を通して樹脂を軟化させると共に圧力を加えて発泡させると、発泡したビーズ相互は融着し合い、冷却時にビーズ単位の変形された形状となって発泡ポリエチレンとなる。
発明者らは、図2に示すように、市販されている3枚の特定の縦・横・高さ(1200×900×60mm)の規格化されたポリエチレンからなる発泡合成樹脂材料11,12,13を使用した。ポリエチレンからなる発泡合成樹脂材料11,12,13は、各規格化サイズが単体で発泡成形されており、表面の発泡密度が高いスキン層となっている。そのベントホールZはφ2〜10mm程度の材料である。本実施例で50mmよりも厚い製品を得るには、規格化された発泡合成樹脂材料11,12,13の表面がスキン層となっているから、その両面の接着面にゴム系の接着剤を塗布して積層接着した。
ゴム系の接着剤15としては、ゴム糊(ノントルエン缶入り(丸末油業))またはゴム糊であるボンド(G700X7 (コニシ株))を接着する両面に薄く塗り、そして乾燥させ、接着面を対向させて圧縮し接着した。ゴム系の接着剤15はボンド(G700X7 (コニシ株))であり、シクロヘキサン、n−ヘプタン、アセトンが主成分である。
ここで、接着剤15の厚みは、その存在が視認できない程度に可能な限り薄くし、接着機能のみが維持できればよい。ここで使用するゴム糊は、基材としての発泡合成樹脂材料11,12,13と同じポリエチレンからなる接着剤15も使用できる。
ここで使用するゴム系の他の接着剤としては、市販されているスプレー糊55(住友スリーエム)、バルカーン(マル二)等の加硫接着剤の使用が可能である。
勿論、発泡合成樹脂材料11,12,13としてのポリエチレンと、ゴム系の接着剤15とは性質が異なるが、ゴム系の接着剤15をこの接着に使用するのは100μm以下の厚みにすることができ、結果的に製品の加工には支障がなかったことから使用した。発明者らは、加熱した熱盤によって発泡合成樹脂材料11,12,13の両接着面を接触させ瞬間的に加熱し、その熔融面によって接着を行ったが、熟練を必要とするものの、良好な接着が可能であることを確認した。また、発泡合成樹脂材料11,12,13と同系統のポリエチレン系の接着剤を使用することもできる。そして、レーザ光のスキャンにより、発泡合成樹脂材料10の両接着面を加熱してもよい。何れにせよ、発泡合成樹脂材料11,12,13の表面が溶けて硬くなる体積が殆ど無視できる程度、即ち、溶融も含めて300μm以下、望ましくは、100μ程度以下の接着面厚さであればよい。勿論、発泡合成樹脂材料10と同じ系統の接着剤とすることもできる。
発明者らは、粘り気のあるポリエチレン、ポリプロピレンの材料を特定の縦・横・高さ(1200×900×60mm)の規格化された発泡合成樹脂材料11,12,13として使用するために積層し、単位面積当たり0.5〜10t以上の圧力によって押圧して一体に接着した。なお、本発明を実施する場合に、必要な厚みのものが市販されておれば、積層化する必要はない。なお、この押圧力は、発泡体の発泡率によっても、基材の発泡材料によっても変化するから、一義的に決定されるものではない。
このように、本発明の実施物における発泡合成樹脂材料10(11,12,13;以下、複数枚を特定しないときには、単に『10』という)としては、1枚または複数枚積層して用いてもよい。勿論、本発明の実施物における直接基材となる発泡合成樹脂材料10は、任意の概略形状に発泡させてもよい。
発泡合成樹脂材料10を削り出すには、図3に示すように、切削加工に用いる工具(切削工具)であるボールエンドミル20を使用した。ボールエンドミル20は、フライスの一種であるドリルに似た外観を有している。ドリルは軸方向に進行し、円形の穴を空けるのに使用されるが、ボールエンドミル20は、側面の刃で切削し、軸に直交する方向に穴を削り広げる用途に用いられる。また、端面を平滑に仕上げる際にも用いられる。中心部の切れ刃が不完全であるため、端部を弧状に形成することにより、端面を平滑に仕上げることができる。ボールエンドミル20の回転数5000〜15000rpm及び送り速度500〜3000mmで処理している。通常は回転数10000rpm、及び送り速度2000mm程度である。
本発明の実施の形態では、通常の切削加工するボールエンドミル20によって、全体の概観形態を削り出している。その後、ボールエンドミル20によって全体の概観形態を削り出した面は、削り屑の一部が外力によって分離してボロボロの状態であったり、部分的に毛のように繋がっていたり、凹凸が発生していたりしている。
そこで、一般にボールエンドミル20は、図3の(a)及び(b)に示すように、側面の刃21で切削し、軸に直交する方向に穴を削り広げる用途に用いられるが、本発明の実施の形態で使用するボールエンドミル20もそれに相違するものではない。その最下端から側面の刃21までは、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))加工が施されており、切削された発泡合成樹脂材料10、その切削屑が付着しないようにしている。
しかし、下端が若干下に凸状に湾曲させた端部22を有する刃物は、ボールエンドミル20の回転によって摩擦熱が発生し、表面を摩擦熱で平滑にする機能がある。表面を摩擦熱で平滑にするとは、発泡合成樹脂材料10の表面に付着した刃21で完全に切断されていない微粒の分離または軟化した微粒の押圧による平滑化、切削中に発泡合成樹脂材料10が軟化して糸状に伸びた部位の除去または押圧による平滑化、起立するビーズラインを軟化させ押圧してなる平滑化等により、凹凸が少なくなっている。
図4のボールエンドミル20は、発泡合成樹脂材料10に形成した内側の切削面14に対して、外側を切削する状態を示すものである。
即ち、ボールエンドミル20と発泡合成樹脂材料10の接触角度並びに移動距離及び移動角度等によって発泡合成樹脂成型体の外径形状を削り出すことができる。この技術は一般的な切削加工の技術であるから、詳細な説明を省略する。
図5の加熱用冶具30は、市販のボールエンドミル20によって切削加工した後に、専用の先端を弧状とした面を有する摩擦面31によって、発泡合成樹脂材料10に形成した切削面14を摩擦によって加熱する冶具である。図5(a)乃至(c)は、異なった種類の加熱用冶具30の斜視図を示すものである。(a)は単一径の加熱用冶具30であり、(b)は2段径の加熱用冶具30であり、(c)は3段径の加熱用冶具30の斜視図である。
即ち、加熱用冶具30の太さの下端が任意の曲面からなる摩擦面31となっており、発泡合成樹脂材料10の切削した個所の切削面14を含み塗装しようとする基材の被塗装面を摩擦熱で加熱し、温度上昇によって軟化させて、発泡合成樹脂材料10の切削面14に平滑面を形成する。これは、平滑面で説明したが、下に凸面及び/または下に凹面を形成する場合も同様に加工できる。
例えば、下に凸面の狭い凹部溝16を有する切削面14を形成する場合には、切削面14を加熱する加熱用冶具30の太さを図4の(b)に示すようにし、全体的または部分的に細くする摩擦面32を形成する必要がある。勿論、必要に応じてテーパー面とすることもできる。この加熱用冶具30は、図8に示す凹部溝16の加工等に好適となる。
図5(b)に示す加熱用冶具30は、直径を2段としているが、3段以上とすることも、図5(a)に示すように、単一の太さとすることもできる。
図9に示す側面に形成した凹状溝17を摩擦し、内面側の切削面14に加熱面を形成するには、その内側湾曲部に下側環状部分33を、凹状溝17に上側環状部分35を必要な間隔を維持し、連結部34を取付部37に連結部36を介して形成した加熱用冶具30の使用が、同時に摩擦加熱することができる。この加熱用冶具30は、何れも摩擦熱を発生させる位置は、フッ素樹脂のコーティングがなされており、加熱用冶具30に軟化した樹脂が付着しないようにしている。
なお、本発明を実施する場合の加熱用冶具30は、図5に示すように、各種の形状とすることができるが、通常、発泡合成樹脂材料10の内部の切削面14は内側にあり、露出面になる確率は低い。発泡合成樹脂材料10の外面が意匠面となり、発泡合成樹脂材料10の内部の切削面14側は機器等を収容する場合が多い。当然ながら、そのような使用状態に一義的に決定されるものではないが、確率的に高いものである。
なお、熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10をボールエンドミル20等の刃物で特定の形状に切削加工する工程を、本実施の形態ではステップS1の切削処理工程という。また、それによって形成された面は加熱用冶具30によって物理化学的に硬化された硬化層の面となる。但し、加熱用冶具30による硬化層は、一般的に数10μmから100μm以下の層であり、連続的に変化しているから通常は面と認識されるに過ぎない。
本実施の形態における実施物からの加熱用冶具30による硬化層の確認では、発泡合成樹脂材料10の微粒子粉体が付着してないこと、糸状に伸びた部位が存在してないことにより、ステップS2の冶具による処理工程がなされているか否かが確認される。
本実施の形態では、加熱用冶具30によって発泡合成樹脂材料10の切削した個所の切削面14を加熱し、温度上昇によって軟化させ、発泡合成樹脂材料10の微粒子粉体が付着しているか、糸状に伸びて部分的に毛羽立っているか、粉体化した面を有しているかの場合には、それらを物理化学的に平滑化することができる。しかし、本発明を実施する場合には、加熱用冶具30の摩擦に代えて、レーザ光のスキャンにより、発泡合成樹脂材料10の表面を軟化させ、平面的に薄く、硬く形成したものであっても同様の効果が得られた。
なお、ステップS1の切削処理工程によって生じた切削面14を含み塗装しようとする発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させる工程を、ここでは、表面処理工程(ステップS10)という。即ち、表面処理工程(ステップS10)には加熱用冶具30による摩擦加熱、レーザ光のスキャンにより、基材である発泡合成樹脂材料10の被塗装面を硬化させる工程が含まれる。
切削によって生じた切削面14を加熱した後に、前記切削、加熱で形成した切削加熱面に凹凸面を緩和させるステップS3の目止め剤41としての合成樹脂材料を塗布する。この目止め剤41は、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させるもので、発泡合成樹脂材料10の表面にトルエン28Wt%、セルロースアセテートブチリート(CAB)15〜20Wt%、酢酸ブチル55〜60Wt%からなる混合物の目止め剤41を5〜10回塗布し、この合成樹脂材料からなる目止め剤41の塗布により発泡合成樹脂材料10のビーズの発泡の際に生ずる微細孔に対する染み込みを防止させている。しかし、気泡等の存在で1回の塗布で完全な目止めができないので、サンドペーパー(紙やすり)、耐水ペーパー等の研磨と塗布とを繰り返し行っている。
発明者らは、トルエン、セルロースアセテートブチリート(CAB)、酢酸ブチルからなる混合物以外の合成樹脂材料も目止め剤41として使用できるかを試験したが、発泡合成樹脂材料10の表面に接着するものであり、粘度が適当に高いもので、乾燥によって剥がれない合成樹脂材料であれば、使用に耐えることが確認された。即ち、目止め剤41は、合成樹脂材料の塗布による染み込みを防止する平滑な合成樹脂膜を作るものであり、その種類は水性目止め剤、油性目止め剤、合成樹脂目止め剤等が使用でき、特に、発泡合成樹脂材料10との接着が維持できれば、いずれでも使用が可能である。また、塗料でも使用可能であるが、価格的に不経済となることを無視すれば使用可能である。
目止め剤41は、1〜12回塗布されるが、その間に塗布し、硬化した層は、研磨による磨きを入れ、研磨ができ難くなったとき、再度の塗布を行い、その繰り返しを行う。この工程をステップS3の目止め処理工程という。この目止め剤41は研磨が可能になるように、表面をサンドペーパー(紙やすり)、耐水ペーパー等で研磨し、最初は100番程度から徐々に細かいものに変化させて研磨している。
研磨による磨きの効果が生じ難くなったとき、ステップS3の目止め処理工程から次の前処理工程(ステップS20)のステップS4の下塗り処理工程に移行する。
本実施の形態で説明した加熱用冶具30による摩擦加熱、レーザ光のスキャンにより基材である発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させるステップS2の冶具による処理工程は、ステップS3の目止め処理工程は合成樹脂材料の塗布による染み込みを防止するという機能を有するが、ステップS2の冶具による処理工程においても、摩擦加熱及び押圧により、発泡合成樹脂材料10の表面密度を上げる機能を有するから、両工程の基本的機能として同一の効果がある。したがって、何れか一方の工程を省略することもできるし、両者を使用することもできる。
次に、硬化剤1Wt%、プラサフ1Wt%、粘度を調整するシンナー13Wt%の配合比率からなる下塗り剤43を混合し、それを塗布した。硬化剤としては、シクロヘキサノンパーオキサイド(サイポックスペースクリアー(静岡川口薬品))を使用した。このサイポックスペースクリアーは、シクロヘキサノンパーオキサイド48Wt%、トリエチルホスフェート14Wt%、酢酸エチル7Wt%、アセト酢酸エチル7Wt%、フタル酸ジメチル13Wt%、二酸化珪素11Wt%である。
プラサフとは「プライマーサフェーサ」と呼ばれ、上から塗る塗料の乗りをよくするプライマと、サンドペーパー等によって出来た細かい傷を埋めるサフェーサの機能を有するものである。本実施の形態で使用したプラサフは、オートSPSプラサフ(大日本塗料(♯1100ZN)、R-Mマルチフィーラー(ダイアモンド)、R-Mプロフ(ダイアモンド)等である。
本発明の具体的実施例としては、硬化剤としては♯ウレタックス硬化剤(斎藤塗料)を使用した。成分は、ヘキサメチレン=ジイソシアネート1Wt%、酢酸ブチル50〜60Wt%、プロピレングリコ一ルモノメチルエーテルアセテート1〜10Wt%、キシレン3Wt%、エチルベンゼン3Wt%、変性ポリイソシアネート30〜40Wt%である。
また、プラサフとしてKARプラサフ(関西ペイント)を使用し、成分は二酸化チタン1〜5Wt%、トルエン18Wt%、キシレン2.4Wt%、エチルベンゼン2Wt%、メチルアルコール1〜5Wt%、エチルアルコール0.1〜1Wt%、イソプロピルアルコール1〜5Wt%、イソブチルアルコール1〜5Wt%、メチルイソブチルケトン1〜5Wt%、酢酸エチル5〜10Wt%、酢酸イソブチル10〜15Wt%、ニトロセルロース5〜10Wt%、酸化重合型樹脂5〜15Wt%である。
また、粘度を調整するシンナーとして、ウレタックスシンナー(斎藤塗料)を使用した。成分は、酢酸ブチル30〜40Wt%、トルエン36Wt%、キシレン10Wt%、プロピレングリコールモノメチルエ一テルアセテート1〜10Wt%、エチルベンゼン10Wt%である。
このステップS4の下塗り処理工程は、目止め剤41を塗布し、研磨した表面に複数回下塗り剤43を塗布し、そして、研磨する。塗布の仕方は、スプレーガンで噴霧するのが一般的である。このとき、噴霧する硬化剤及びプラサフの粘度は、シンナーの量によって調整される。
また、この下塗り剤43を塗布した後、下塗り剤43で形成した面を平滑にサンドペーパー、耐水ペーパー等で研磨し、複数回の塗布とその研磨を繰り返している。ここではサンドペーパー、耐水ペーパー等で研磨すると説明したが、水研ぎ等の他の研ぎ方を採用してもよい。
ここでは、ステップS4の下塗り処理工程で発泡合成樹脂材料10の被塗装面のビーズライン及びベントホール、その凹凸面を緩和させ平滑とすべく処理する。しかし、通常、ビーズライン及びその凹凸面のみではなく、φ2〜10mm程度のベントホールが存在する。φ2〜10mm程度のベントホール及び前の工程で除去できなかったビーズライン及びその凹凸面は、ステップS5の穴埋め処理工程で除去することになる。
ステップS5の穴埋め処理工程では、本実施例の穴埋め剤42としてポリエステル樹脂パテのポリラックZ(中部化研工業)を使用した。成分はスチレン18.3Wt%、ナフテン酸コバルト0.1Wt%である。
ステップS4の下塗り処理工程では、硬化剤、プラサフ、粘度を調整するシンナーからなる混合物の下塗り剤43を作成し、これを発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に塗布し、乾いた状態で研磨し、それを1〜12回繰り返し、被塗装面18を平滑にする。同時に、発泡合成樹脂材料10にベントホールが存在している場合には、ステップS5で穴埋め処理工程を行い、穴埋め剤42としてポリエステル樹脂パテを使用し、その窪みの大きさに応じて、ステップS4の下塗り処理工程の塗布、乾燥、研磨を繰り返す。ベントホールZの大きさによっては、先に穴埋め剤23でベントホールZの穴埋めを行い、次いで、被塗装面18の塗布、乾燥、研磨を繰り返すのが好ましい場合もある。
この実施例では、ステップS4の下塗り処理工程とステップS5の穴埋め処理工程が分離されているが、同時に行うこともあり得るし、ステップS5の穴埋め処理工程を行わない場合もあり得る。何れにせよ、ステップS4の下塗り処理工程及びステップS5の穴埋め処理工程は、前処理工程(ステップS20)を構成し、被塗装面のビーズライン及びその凹凸面、ベントホールZ等が表から確認して現出しない程度に処理する。このベントホールZ等のステップS5の穴埋め処理工程を含めて、ベントホールZ及びビーズライン及びその凹凸面を見えなく処理する工程であるから、ステップS5の穴埋め処理工程を含めて前処理工程(ステップS20)という。
ステップS5の穴埋め処理工程を組み入れる場合には、その程度によってはステップS3の目止め処理工程の直後に行うこともできる。勿論、ベントホールZが生じていないものでは、穴埋め処理工程(ステップS5)を省略することができる。
次に、下塗り剤43を塗布した上を研磨し、それを複数回繰り返した後、後処理工程(ステップS30)としての上塗り剤44を塗布する。
後処理工程(ステップS30)で使用する上塗り剤44は、硬化剤1Wt%に対して、樹脂塗料1Wt%、プラサフ2Wt%、シンナー2.6Wt%の配合で混合し、それを塗布する。硬化剤、プラサフ2Wt%、シンナー2.6Wt%は下塗り処理工程(ステップS4)で使用したものと同じである。
実施例では、樹脂塗料としては、♯55ウレタックス(無鉛)ホワイト(斎藤塗料)を使用した。その成分は、酸化チタン20〜30Wt%、トルエン15Wt%、酢酸ブチル1〜10Wt%、エチルベンゼン5.4Wt%、キシレン5.4Wt%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1〜10Wt%である。
更に、ステップS6の上塗り処理工程で塗布した上塗り剤44の上面を研磨し、その塗布と研磨を複数回繰り返す。ここでは、ステップS5の下塗り処理工程で形成した被塗装面18に顔料を含む合成樹脂塗料の樹脂塗料を塗布する工程となり、ステップS6の上塗り処理工程という。
この実施例では、樹脂塗料を♯55ウレタックス(無鉛)ホワイトとし、何色でもそこに上塗りできるようにした。即ち、この時点で他の構成部品と同一の塗装を行う場合には、他の部品と同一の塗装工程に入る。
前述したように、ステップS6の上塗り処理工程で樹脂塗料を♯55ウレタックス(無鉛)ホワイトを使用しており、何色にも上塗り対応できるようにしているが、更に、表面に塗膜を形成し、耐久性の塗料を塗布するステップS7の仕上げ処理工程を追加することができる。
ステップS7の仕上げ処理工程では、仕上げ剤25として、硬化剤0.4Wt%に対して樹脂塗料1Wt%、シンナー0.8Wt%の配合とした塗料を塗布する。
実施例で使用した仕上げ剤25としては、硬化剤としてイソシアネート系硬化剤であるレタンPGエコスポイラー用マルチ硬化剤(関西ペイント)を使用した。その成分は、酢酸エチル5〜10Wt%、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)UR0.1〜1Wt%、ヘキサメチレンジイノシアネート・オリゴマー5〜10Wt%、HMDI系ポリイソシアネート165〜70Wt%である。
また、樹脂塗料として、レタンPG80 531ホワイト ベース(関西ペイント)を使用した。その成分は、非結晶性シリカA1〜5Wt%、二酸化チタン20〜25Wt%、トルエン36Wt%、キシレン0.1〜1Wt%、エチルベンゼン0.1〜1Wt%、エチルアルコール0.1〜1Wt%、メチルエチルケトン1〜5Wt%、酢酸エチル1〜5Wt%、酢酸イソブチル1〜5Wt%である。
そして、シンナーとして、レタンPGシンナー超遅乾形(関西ペイント)を使用した。その成分は、石油ナフサG15〜20Wt%、石油ナフサH1〜5Wt%、キシレン20Wt%、エチルベンゼン18Wt%、クメン0.1〜1Wt%、1,3,5−トリメチルベンゼン3Wt%、ナフタレン0.1〜1Wt%、1,2,4−トリメチルベンゼン9.8Wt%、メトキシブチルアセテート1〜5Wt%、酢酸ブチル1〜5Wt%である。
ここで使用する仕上げ層は、最表面に塗膜を形成することによって、耐久性、即ち、耐候性、耐酸性等を得るものであり、本発明を実施する場合には、通常の塗装と同様に、機械装置に応じて必要に応じ、同時に全体の塗装を行うこともできるが、別に、塗装した上で機械装置の本体等に組付けることもできる。
次に、図10及び図11、図12を用いて、発泡合成樹脂成型体の製造過程の切削処理工程及び表面処理工程及び前処理工程について詳述する。
図10乃至図12に示すように、ステップS1の切削処理工程で熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工し、発泡合成樹脂本体40(10)を形成する。詳しくは、図11(a)のように、発泡合成樹脂本体40の被塗装面18には、刃物21で切断されないで糸状に伸びて部分的に毛羽立っている糸W、その糸状部が丸まって連結された粒子化した粒子X等を有している。また、発泡合成樹脂材料10の切削されたものの、その際の付着により連結された粉体Wが付着している。また、随所にベントホールZが存在している。
それに対して、ステップS2による冶具による処理工程を経たものでは、図11(a)に示した刃物21で切断されないで糸状に伸びて部分的に毛羽立っている糸Wは、図11(ab)に示したように、摩擦熱を受けその表面張力により、容積が最小になる。また、図11(a)に示した糸状部が丸まって連結された粒子Xと同様、摩擦熱で平滑化したり、粉体粒子として離れて除去される。このとき、ベントホールZについては、開口を糸状に伸びて部分的に毛羽立っている糸W及び粉体粒子として離れて除去された粒子Xによって若干狭められる程度であり、大きな変化はない。
ステップS3の目止め処理工程では、一般的な合成樹脂塗料の材料として使用されているトルエン、セルロースアセテートブチリート(CAB)、酢酸ブチルから配合された合成樹脂材料の目止め剤41を発泡合成樹脂本体40(10)の被塗装面18に塗布している。この合成樹脂材料の目止め剤41は、発泡合成樹脂本体40(10)の被塗装面18を硬くし、研磨作業の際の逃げを防止して、その研磨を自在にし、図11(c)のように、精度の良い表面形状を得るものである。このとき、被塗装面18のビーズラインの浅い凹面は目止め剤41によって充填されることになる。
ステップS4の下塗り処理工程は、発泡合成樹脂本体40の被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を緩和させ平滑な面とする合成樹脂材料を塗布する前処理工程(ステップS20)である。通常、発泡合成樹脂材料10には、φ2〜10mm程度のベントホールZが生じているので、その対策としてステップS5の穴埋め処理工程を進行させるのが好適である。即ち、前処理工程(ステップS20)では、硬化剤、プラサフ、粘度を調整するシンナーからなる下塗り剤43を発泡合成樹脂本体40の被塗装面18に塗布し、乾いた状態で研磨し、それを1〜12回繰り返し、被塗装面18を平滑な面にする。同時に、発泡合成樹脂本体40にベントホールZが存在している場合には、ステップS5でベントホールZの穴埋め処理を行い、穴埋め剤42としてポリエステル樹脂パテを使用し、その窪みの大きさに応じて、ステップS4の下塗り処理工程の下塗り剤43の塗布、乾燥、研磨を繰り返す。ベントホールZの大きさによっては、図11(d)に示すように、先に穴埋め剤42でベントホールZの穴埋めを行い、次いで、下塗り剤43で被塗装面18の塗布、乾燥、研磨を繰り返すのが好ましい場合もある。
次に、前処理工程(ステップS20)の後に後処理工程(ステップS30)を施し、前処理工程(ステップS20)で形成した被塗装面18に顔料を含む硬化剤、樹脂塗料、プラサフ、シンナーの配合で混合した上塗り剤44からなる合成樹脂塗料を塗布する。後処理工程(ステップS30)で使用する上塗り剤44は、ステップS4の下塗り処理工程で使用したものと同じであり、両者間の相性が良く、両者間の接着力が確保されるようにしている。
後処理工程(ステップS30)としては、ステップS7の仕上げ処理工程を含ませることができる。ステップS7の仕上げ処理工程は、仕上げ剤45として、硬化剤、樹脂塗料、シンナーを配合とし、顔料も勿論、硬化剤、樹脂塗料、プラサフ、シンナーの配合で混合した上塗り剤44は、仕上げ剤45との相性を良くする必要がある。
このようにして、本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体を得ている。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工するステップS1からなる切削処理工程と、そのステップS1からなる切削処理工程によって生じた切削面14を含み塗装しようとする発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させて研磨し、それを1〜12回繰り返す表面処理工程(ステップS10)と、被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を平滑とすべく合成樹脂材料10を塗布及び研磨し、それを1〜12回繰り返す前処理工程(ステップS20)と、前処理工程(ステップS20)で形成した被塗装面18に顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する後処理工程(ステップS30)とを具備するものである。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法は、ステップS1の切削処理工程で基体としての熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削して、ステップS1の切削処理工程によって生じた切削面14を含み、塗装しようとする被塗装面18を表面処理工程(ステップS10)で、その表面を硬化させ、発泡合成樹脂材料10の、例えば、発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を目立たなくする。しかも、前処理工程(ステップS20)により表面処理工程(ステップS10)で形成した塗装しようとする被塗装面18のビーズラインを見えなくし、かつ、そのベントホールZ等の凹凸面を緩和させる合成樹脂材料を塗布し、また、その硬くなった面を研磨し、それを繰り返すことにより、一層、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくすることができる。そして、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくなったところで、前処理層(ステップS20)で形成した面に後処理工程(ステップS30)で顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するものである。
したがって、高価な金型を製作しなくとも、切削加工することによって金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネにも、環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料10の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。更に、表面処理工程(ステップS10)及び前処理工程(ステップS20)では、合成樹脂材料を塗布しているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
よって、高価な金型を使用することなく、発泡合成樹脂材料10を用いて、特定の形状を削り出して塗装し、任意の弾性に富む発泡合成樹脂成型体の製造方法となる。
前記基材となる発泡合成樹脂材料10は、1枚または複数枚積層接着してなるものである。したがって、市販の発泡合成樹脂材料10を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
前記基材の被塗装面18を硬化させる表面処理工程(ステップS10)は、加熱用冶具30の回転によってその摩擦熱で加熱を行う加熱用冶具30による処理工程を含むものであるから、加熱用冶具30の回転によってその摩擦熱で表面が熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10の表面が軟化され、かつ、その後、硬化されるから研磨に耐える構造となり、任意の形状に研磨加工できる。また、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10は、加熱用冶具30によって加熱を行うものであり、フライス盤、NC加工盤、自動工作機械等の加工制御が簡単化できる。
前記基材の被塗装面18を硬化させる表面処理工程(ステップS10)は、合成樹脂材料の塗布による染み込みを防止するステップS3からなる目止め処理工程を含むものであるから、ステップS3からなる目止め処理用の塗料の塗布によって染み込みを防止した状態であり、研磨可能になるから、均一な研磨状態が確保でき、良好な被塗装面18が得られる。特に、先に、加熱用冶具30の回転によってその摩擦熱で表面を硬化する工程を行い、その後、目止め処理用の塗料の塗布を行うと化学的及び物理的に対応でき効果的である。
前処理工程(ステップS20)は、合成樹脂材料による穴埋めを行うステップS5からなる穴埋め処理工程を含むものであるから、合成樹脂材料によるベントホールZ等の穴埋めにより、大きな窪み、発泡ビーズの欠損等を穴埋めし、平滑な面を形成しやすくなる。
後処理工程(ステップS30)は、耐久性の塗料を塗布するステップS7からなる仕上げ処理工程を含むものであるから、耐久性により見栄えの良い期間が長くなり、安定した塗装状態が維持される。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体40と、発泡合成樹脂本体40の所望の周囲に塗装しようとする被塗装面18を具備し、被塗装面18に塗装してなる発泡合成樹脂成型体において、前記所定の形状に形成してなる発泡合成樹脂本体40の被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、被塗装面18を硬化状態で研磨したものである。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、基材となる発泡合成樹脂材料10からなる発泡合成樹脂本体40の形状を所定の形状に形成すると共に、前記基材の塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ、または合成樹脂を塗布して硬化させ、そして、前記基材の被塗装面18を硬化状態で研磨し、平滑にしたものである。
したがって、発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削し、その切削面14を硬化させ、その硬化状態で研磨し、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ及びその凹凸を目立たなく研磨加工する。しかも、切削面14のビーズライン及びベントホールZ及びその凹凸からなる面を緩和させる合成樹脂材料を塗布とその研磨を繰り返すことにより、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなく平滑化することができる。そして、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくなったところで顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する。
故に、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は任意の形状に加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料10の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。
更に、前記所定の形状に形成してなる発泡合成樹脂本体40の被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料10を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体の製造方法となる。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体40と、発泡合成樹脂本体40を切削して生じた切削面14を含み塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、表面処理層(ステップS20)のビーズライン及びその凹凸面を緩和させるべく合成樹脂材料を塗布し、表面処理層(ステップS20)のベントホールを合成樹脂材料による穴埋めを行うステップS2からステップS5からなる下地補修層を具備するものである。
ここで、下地補修層とは、発泡合成樹脂本体40の被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、また、表面処理層(ステップS20)のビーズライン及びその凹凸面を緩和させるべく合成樹脂材料を塗布し、表面処理層(ステップS20)のベントホールZを穴埋め剤42で穴埋めを行うもので、ステップS2からステップS5から形成される層を意味する。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体40を切削して生じた切削面14を含み塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、ビーズライン及びその凹凸面を緩和させるべく合成樹脂材料を塗布し、ベントホールZを合成樹脂材料による穴埋めを行うものである。
したがって、発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削し、前記切削によって生じた切削面を硬化させると、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなく加工することができ、しかも、切削面14のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸の面を緩和させる合成樹脂材料を塗布したり、その研磨をしたりし、それらを繰り返すことにより、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくすることができる。そして、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくなったところで、顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するものである。
故に、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料10の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。
更に、ステップS2からステップS5でなる下地補修層においては、発泡合成樹脂本体40を切削して生じた切削面14を含み塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料10を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
上記実施の形態の前記基材となる発泡合成樹脂材料10は、1枚または複数枚積層接着してなるから、市販の発泡合成樹脂材料10を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
ステップS2からステップS5でなる下地補修層には、更に、前記下地補修層の表面に合成樹脂塗料を塗布した塗装層を具備するものであるから、安定した塗装状態が維持され、また、必要に応じて耐候性にすぐれ、紫外線に対しても変色が少ない。そして、光沢と弾性に富んだ表面を形成することができ、長期間安定した成型体となる。
上記実施の形態では、表面処理工程(ステップS10)と前処理工程(ステップS20)とは、その表面処理工程(ステップS10)の目止め剤41と前処理工程(ステップS20)の下塗り剤43の塗布と研磨を繰り返すものである。このとき、目止め剤と下塗り剤の塗布と研磨を繰り返す回数が多いと、その各層の厚みを薄くでき、仕上げを見栄え良く、かつ、耐久性を良くすることができる。しかし、余り繰り返し回数を多くすると、生産性が低下する。したがって、発泡合成樹脂成型体の使途に応じて1〜12回程度が生産性から維持されるべき回数となる。
上記実施の形態では、発泡合成樹脂成型体の復元力は、各層が柔らかく硬化しているので、発泡合成樹脂材料10の弾性に応じたものとなっており、基材の特性を維持したままの発泡合成樹脂の成型品となっていることが発明者らによって確認された。
加えて、発泡合成樹脂材料10として、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))、また、フェノール樹脂(PF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア樹脂(UF)、シリコーン(SI)、ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)等の発泡化した樹脂が使用できる。
切削処理工程によって生じた切削面を含み塗装しようとする被塗装面18を硬化させて研磨する表面処理工程(ステップS10)では、50〜200μmの厚みとなり、上記実施例で使用した目止め剤41に拘ることなく、被塗装面18を硬化させて研磨可能にする合成樹脂材料であればよい。
また、被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を平滑にすべく塗布する前処理工程(ステップS20)では合成樹脂材料を塗布及び研磨する前処理工程が、200〜400μmの厚みであるが、上記実施例で使用した穴埋め剤42及び下塗り剤43に拘ることなく、被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を平滑にすべく塗布及び研磨できる合成樹脂材料であればよい。
そして、前処理工程(ステップS20)で形成した被塗装面18に顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する後処理工程(ステップS30)は、上塗り剤44が300〜600μmの厚みで、仕上げ剤45が50〜400μmの厚みであるが、上塗り剤44及び仕上げ剤45に拘ることなく、前処理工程(ステップS20)で形成した被塗装面18に顔料を含む塗布自在な合成樹脂塗料であればよい。塗料として透明であるか否かは問われる理由がない。
10 発泡合成樹脂材料
11,12,13 発泡合成樹脂材料
14 切削面
18 被塗装面
20 ボールエンドミル
30 加熱用冶具
40 発泡合成樹脂本体
41 目止め剤
42 穴埋め剤
43 下塗り剤
44 上塗り剤
45 仕上げ剤
本発明は、金型を使用することなく発泡合成樹脂で特定の形状を削りだす発泡合成樹脂成型体及びその製造方法に関するものであり、特に、発泡合成樹脂で特定の形状を削りだし、その表面を塗装してなる発泡合成樹脂成型体及びその製造方法に関するものである。
従来の一般的な発泡合成樹脂成型体の成型方法及び発泡合成樹脂成型体としては、ポリスチレンを微細な泡で発泡させ硬化させた発泡ポリスチレンを使用し、その表面に塗料を塗布する方法がある。例えば、発砲ポリスチレンに木工ボンドを塗り、その木工ボンドが固まったとき、スプレーで塗装する方法がある。
また、水性ボンドに顔料を混ぜて、直接、発砲ポリスチレンに塗布する方法もある。そして、和紙を細かく粉砕し、粉体化したものに木工ボンドや和糊を混練して発砲ポリスチレンに貼り付け、それを水性塗料のネオカラーやポスターカラーで塗装する方法もある。更に、発砲ポリスチレンを基材にしてそれにFRP造形を行う方法もある。
これらはいずれも発泡合成樹脂成型体に塗布した塗装の厚みが厚くなり、形式的な見栄えが良くても、実用的な使用に耐えるものがなかった。
一方、特許文献に酷似する技術を求めると、直接、発泡合成樹脂材を特定の形状に削りだす発泡合成樹脂の成型方法及びその成型体は存在していないが、発泡層付き内装品の技術を特許文献1で開示している。
即ち、特許文献1は発泡層付きの表皮材が、基材に分散形成された吸気路からの真空吸引により基材に吸着されて接着された発泡層付き内装品において、表皮材が熱可塑性であり、その表面形状が、表皮材を加温処理により軟化させ、その状態で基材に接着させる際に、表皮材用真空吸引型による真空吸引により賦形さている構成を有し、表皮材が表皮材用真空吸引型の型面に沿って賦形される技術である。これにより、表面品質が向上するだけでなく、意匠の制約が少なくなり、その自由度が拡大され、基材表面に対して非相似形状に形成することができる。
発泡層付きの表皮材が、基材に分散形成された吸気路からの真空吸引により基材に吸着されて接着された発泡層付き内装品とすることにより、発泡層と表皮材との接着力を強くする技術が開示されている。しかし、特許文献1には、厚手の発泡層についてどのように適応できるかを開示するものはない。原理的には、発泡合成樹脂材を特定の形状に削り出して発泡合成樹脂を成形することは困難と思われる。
また、特許文献2は、発泡合成樹脂成型体よりなる芯材の一面に畳表が積層され、他面に機能化剤含有クッションシートが積層され、更に、前記クッションシートに滑り止め層が部分的に積層されることにより、薄くて軽量で、施工性に優れ、滑り難いという技術を開示している。
特開2005−125736号公報
特開2010−236220号公報
しかし、従来の一般的な発泡合成樹脂成型体は、例えば、量産しない製品のカバー、特殊な椅子の肘掛け、特殊車両或いは改造車のダッシュボード等に使用すると、機械的強度が足りないとか、塗料が塵のように剥がれ落ちて周辺を汚したりして、廉価に実用的なものはできなかった。勿論、発砲ポリスチレンを基材にしてそれにFRP造形を行う技術は、機械的強度は上げることができるものの、弾性に欠き、また、高価であるという問題があった。
また、特許文献1及び特許文献2によって、発泡合成樹脂成型体とクッションシートとの接着力を強くすることは開示されている。ところが、形式的に試作品を形成する原材料として発泡性合成樹脂が使用されているものの、少量生産品にこの技術を使用するということは実現されていない。特に、例えば、発砲ポリスチレンのような発泡合成樹脂成型体は、脆く、表面を削って所定の形状に仕上げ、かつ、表面を見栄え良く平滑化することができなかった。
そこで、本発明は、基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、廉価な発泡合成樹脂成型体及びその製造方法の提供を課題とするものである。
請求項1の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削加工する切削処理工程と、前記切削処理工程によって生じた切削面を含み塗装しようとする前記基材の被塗装面を硬化させる表面処理工程と、前記被塗装面の凹凸面を緩和させ、平滑とすべく合成樹脂材料を塗布及び研磨する前処理工程と、前記前処理工程で形成した被塗装面に顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する後処理工程とを具備する。
ここで、上記発泡合成樹脂材料は、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))、また、フェノール樹脂(PF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア樹脂(UF)、シリコーン(SI)、ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)等の発泡化した樹脂とすることができる。特に、1枚または複数枚積層接着してなる発泡合成樹脂材料は、市販の発泡合成樹脂材料を購入する場合、自己の手によって特定の形状の発泡合成樹脂材料を形成する場合も含まれる。
また、上記切削処理工程は、ボールエンドミル等の回転切削冶具の使用に限定されるものではなく、人為的に操作する刃物を含み、工作機械が具有する刃物、特定の形状を得る研磨等を含む如何なる切削方法であってもよい。
そして、上記表面処理工程は、摩擦熱による加熱、レーザ光のスキャンによる加熱、鉄またはステンレス板からなる熱盤による加熱、超音波による振動加熱等の加熱によって切削面及び塗装しようとする前記基材の被塗装面を加熱することにより基材の被塗装面を面として硬化させるものである。このときの被塗装面は、前記基材の内面のみ、または外面のみ、またはそれらの両方または両方の一部のみとすることもできる。また、合成樹脂材料の塗布によって被塗装面が硬化すればよいことから、合成樹脂材料の塗布とすることもできる。なお、被塗装面の硬化(乾燥)速度からすると、溶剤性の合成樹脂材料が効率的である。
更に、上記前処理工程は、前記基材となる発泡合成樹脂材料の被塗装面に平滑な塗膜を作り、前記後処理工程で塗布する合成樹脂塗料との密着性をよくするパテ、塗料を含む合成樹脂材料及び/または塗料を塗布するものである。前記基材となる発泡合成樹脂材料にベントホールが存在するものでは、それらベントホールの窪みを緩和させるパテ、塗料を含む合成樹脂材料を塗布する。
このとき使用するパテとしては、ラッカーパテ、エポキシパテ、ポリエステルパテ、光硬化パテ、瞬間接着パテ等があり、発泡合成樹脂材料の種類によって選択される。また、下塗り塗料は、前記パテ及び上塗り塗料、基材の種類によって決定される。特に、パテはビーズ欠損による凹面を緩和させる穴埋めに効果的である。
更にまた、上記後処理工程は、前記前処理工程で塗布した合成樹脂塗料との接着性をよくする合成樹脂塗料を塗布し、その上面に必要に応じて耐久性、例えば、耐候性、耐酸化性を付与する保護層となる仕上げ層を作る塗料を塗布するものである。
加えて、前記切削処理工程によって形成した切削面を含み塗装しようとする被塗装面を硬化させる表面処理工程は、回転する加熱用冶具によって摩擦熱による加熱を行って軟化させ、そして、熱可塑性樹脂の特性により硬化させるものである。
ここで、回転する加熱用冶具によって加熱を行うのは、同一冶具で切削及び加熱を行ってもよいし、複数個の冶具によって切削と加熱を別々に行ってもよい。勿論、先端の形状及び太さ、形状は使途によって適宜形成される。
また、前記切削処理工程によって形成した切削面を含み塗装しようとする被塗装面を硬化させる表面処理工程は、合成樹脂材料を塗布し、それを硬化させて塗布した合成樹脂材料の染み込み防止とした目止め材としたものである。
ここで、上記目止め材とは合成樹脂材料の染み込み防止できる合成樹脂材料であればよく、自己の粘性で染み込みが防止され、基材の発泡合成樹脂材料との接着力が確保できるものであればよい。
また、染み込みの防止とは、合成樹脂材料により染み込みが防止されるもののみを意味するものではなく、一旦、染み込みが生じた後、合成樹脂材料の硬化により、再度の染み込みができない合成樹脂材料も含むものである。特に、重ね塗りと研磨を繰り返し行うものでは、1回の塗布によって浸透が生じ難くなる合成樹脂材料も含まれるものである。
そして、前記前処理工程には、更に、合成樹脂材料による穴埋めを行う穴埋め処理工程を含むものである。
ここで、穴埋め処理工程の穴埋めとは、発泡条件の温度、圧力等の不均一のために部分的に欠損ができているもの、発泡成形時に圧縮したことが要因となり、外圧によりブリッジが形成され、一部に外力が行き届かなくなって欠損ができたもの等、発泡体ビーズの集合体で特定の形状に成型されるが、このとき、発泡時に欠損が存在したまま欠損を残して発泡した発泡合成樹脂材料の欠損箇所がベントホールになるので、その穴埋めをするものである。
更に、前記後処理工程は、耐久性の合成樹脂塗料を塗布する仕上げ処理工程を含むものである。
ここで、仕上げ処理工程では、耐久性のある、例えば、耐候性及び/または耐酸性の合成樹脂塗料を塗布するものであり、この際使用する顔料は、着色されたものに限定されるものではなく、透明体も含むものである。
加えて、発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記発泡合成樹脂材料は、1枚または複数枚積層接着してなるものである。
ここで、1枚または複数枚積層接着してなる発泡合成樹脂材料は、市販の発泡合成樹脂材料を購入して使用する場合、または、自己の手によって発泡合成樹脂材料を発泡形成する場合の何れであってもよい。
請求項2の発明にかかる発泡合成樹脂成型体は、基材となる発泡合成樹脂材料からなり所定の形状に形成してなる発泡合成樹脂材料本体と、前記発泡合成樹脂本体を切削して生じた切削面を含み塗装しようとする被塗装面を加熱によって硬化させ、合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、前記表面処理層のビーズライン及びその凹凸面を緩和させるべく合成樹脂材料を塗布し、必要に応じて前記表面処理層のベントホールを合成樹脂材料による穴埋めを行う下地補修層を形成したものである。
ここで、上記発泡合成樹脂本体は基材となる熱可塑性材料の発泡合成樹脂材料からなるもので、目的の形状に形成されたものである。
また、上記下地補修層は、前記基材を切削して所定の形状に形成すると共に、その切削によって生じた切削面を含み塗装しようとする前記基材の被塗装面を加熱して表面を硬化させ、また、目止め処理用の塗料の塗布によって染み込みを防止すべく表面を硬化させ、被塗装面の表面を研磨して平滑化させるものである。また、被塗装面のビーズライン及びベントホール、その凹凸面を緩和させるべく合成樹脂材料を塗布し、合成樹脂材料の平滑な面を形成すべく研磨するものである。ここで、被塗装面への塗布は合成樹脂材料でもよいし、合成樹脂塗料であってもよい。即ち、ここでは着色を問題視しないが、合成樹脂塗料の材料でも使用できることを意味する。
そして、前記下地補修層に対して、更に、前記被塗装面に顔料を含む相性の良い合成樹脂材料を塗布したものであり、通常の塗料の塗布が該当する。ここで相性の良い合成樹脂材料とは互いに接着力があり、一体に混在するものに限らず、容易に分離しないものも含まれる。
更に、1枚または複数枚積層接合してなる発泡合成樹脂材料は、市販の発泡合成樹脂材料を購入して使用する場合、自己の手によって発泡合成樹脂材料を形成する場合の何れであってもよい。
請求項1の発泡合成樹脂成型体の製造方法は、切削処理工程で基体としての熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削して、前記切削処理工程によって生じた切削面を含み、塗装しようとする被塗装面を表面処理工程で、その表面を硬化させ、発泡合成樹脂材料の、発泡体の例えば、ビーズライン及びベントホール、その凹凸面を目立たなくする。しかも、前処理工程により前記表面処理工程で形成した塗装しようとする被塗装面のビーズラインを見えなくし、かつ、そのベントホール等の凹凸面を緩和させる合成樹脂材料を塗布し、また、その硬くなった面を研磨し、それを繰り返すことにより、一層、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びベントホール、その凹凸を目立たなくすることができる。そして、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びベントホール、その凹凸を目立たなくなったところで、前記前処理層で形成した面に後処理工程で顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するものである。
したがって、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネにも、環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。更に、表面処理工程及び前処理工程では、合成樹脂材料を塗布しているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。そして、発泡合成樹脂成型体の復元力は、発泡合成樹脂材料の弾性に応じたものとなっており、基材の特性を維持したままの発泡合成樹脂の成型品となる。
よって、高価な金型を使用することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して塗装し、任意の弾性に富む発泡合成樹脂成型体の製造方法となる。
また、前記基材の被塗装面を加熱することにより表面を硬化させる表面処理工程として、加熱用冶具の回転によってその摩擦熱で加熱を含めたものであるから、加熱用冶具の回転によってその摩擦熱で表面が熱可塑性樹脂の表面が軟化され、かつ、その後、硬化されるから研磨に耐える構造となり、任意の形状に研磨加工できる。また、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料は、加熱用冶具によって加熱を行うものであり、フライス盤、NC加工盤、自動工作機械等の加工制御が簡単化できる。
そして、前記基材の被塗装面を加熱することにより表面を硬化させる表面処理工程として、合成樹脂材料の塗布による目止め処理を含めたものであるから、目止め処理用の塗料の塗布によって染み込みを防止した状態であり、研磨可能になるから、均一な研磨状態が確保でき、良好な被塗装面が得られる。特に、先に、加熱用冶具の回転によってその摩擦熱で表面を硬化する工程を行い、その後、目止め処理用の塗料の塗布を行うと化学的及び物理的に対応でき効果的である。
前記前処理工程には、更に、合成樹脂材料による穴埋めを行うものであるから、合成樹脂材料によるベントホール等の穴埋めにより、大きな窪み、発泡ビーズの欠損等を穴埋めし、平滑な面を形成しやすくなる。
加えて、前記後処理工程は、耐久性の塗料を塗布する仕上げ処理工程を具備するものであるから、耐久性により見栄えの良い期間が長くなり、安定した塗装状態が維持される。
また、前記発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記発泡合成樹脂材料は、1枚または複数枚積層接着してなるものであるから、市販の発泡合成樹脂材料を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
請求項2の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体となし、切削して形成した前記発泡合成樹脂本体の切削面を含み、塗装しようとする被塗装面を加熱によって硬化させ、合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、ビーズライン及びその凹凸面を緩和させるべく合成樹脂材料を塗布し、ベントホールも合成樹脂材料による穴埋めを行った下地補修層を有するものである。
したがって、発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削し、前記切削によって生じた切削面を硬化させると、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びベントホール、その凹凸を目立たなく加工することができ、しかも、切削面のビーズライン及びベントホール、その凹凸の面を緩和させる合成樹脂材料を塗布したり、その研磨をしたりし、それらを繰り返すことにより、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びベントホール、その凹凸を目立たなくすることができる。そして、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びベントホール、その凹凸を目立たなくなったところで、顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するものである。
故に、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。
更に、前記下地補修層においては、発泡合成樹脂本体を切削して生じた切削面を含み塗装しようとする前記被塗装面を加熱によって硬化させ、合成樹脂材料を塗布して硬化させているが、それは表面を硬化させ研磨でき平滑な面を形成するのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
前記下地補修層には、更に、前記下地補修層の表面に合成樹脂塗料を塗布した塗装層を具備するものであるから、安定した塗装状態が維持され、また、必要に応じて耐候性にすぐれ、紫外線に対しても変色が少ない。そして、光沢と弾性に富んだ表面層を形成することができ、長期間安定した成型体となる。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
加えて、発泡合成樹脂成型体の発泡合成樹脂材料は、1枚または複数枚積層接着してなるものであるから、市販の発泡合成樹脂材料を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
図1は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法を示す工程のフローチャートである。
図2は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料を積層接着した状態の説明図である。
図3は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の積層した発泡合成樹脂材料の切削処理工程の説明図で、(a)は切削中の説明図、(b)は切削工具を示す説明図である。
図4は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の外表面を切削する切削処理工程の説明図である。
図5は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の塗装表面を加熱する表面処理工程で使用する加熱用冶具で、(a)は単一径の加熱用冶具、(b)は2段径の加熱用冶具、(c)は3段径の加熱用冶具の斜視図である。
図6は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の内側の塗装表面を加熱する表面処理工程の説明図である。
図7は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の外側の塗装表面を加熱する表面処理工程の説明図である。
図8は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の内側底面の表面処理工程の説明図である。
図9は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の内側側面の表面処理工程の説明図である。
図10は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の層構成を説明する説明図である。
図11は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の加工工程を示す説明図で、図11(a)は切削加工直後の断面拡大説明図、図11(b)は加熱用冶具による処理工程後の断面拡大説明図、図11(c)は目止め処理工程後の断面拡大説明図、図11(d)は穴埋め処理工程後の断面拡大説明図である。
図12は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の加工工程を示す説明図で、図12(a)は下塗り処理工程後の断面拡大説明図、図12(b)は上塗り処理工程後の断面拡大説明図、図12(c)は仕上げ処理工程後の断面拡大説明図、図12(d)は穴埋めを先行させた事例の断面拡大説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
[実施の形態]
まず、図1乃至図11を用いて、本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法について、全体の概略説明を行う。
図1に示すように、ステップS1の切削処理工程で目的物の基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工する。このとき、発泡合成樹脂材料10の全体を特定の形状に切削加工するものばかりでなく、内部のみの切削加工または外部のみの切削加工もありうる。このとき使用する切削工具は、手動冶具を含む機械装置が使用可能であり、何ら切削加工において切削方法が限定されるものではない。
ステップS2の冶具による処理工程及びステップS3の目止め処理工程によって表面処理工程(ステップS10)が構成されている。
ステップS2の冶具による処理工程では、ステップS1の切削処理工程によって生じた切削面及びその切削面14を含みこれから塗装しようとする基材としての発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を加熱用冶具30の摩擦熱で硬化させている。
ステップS2の冶具による処理工程における発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の硬化は、切削工程が終了した発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に対して加熱用冶具30を回転させ、その回転している加熱用冶具30が軽く被塗装面18に当たることによって生じる摩擦熱によって得ている。
このとき、ステップS1の切削処理工程によって、加熱用冶具30と接触する面に摩擦熱が発生する。この摩擦熱は、後述する図11(a)に示すように、被塗装面18には、刃物21で切断されないで糸状に伸びて部分的に単数または複数が毛羽立っている糸W、その糸状部が丸まって連結されて粒子化した粒子X、発泡合成樹脂材料10の切削されたものの、その際の付着により連結された粉体W、随所に存在するφ2〜10mm程度のベントホールZ(図10参照)を強行に分離したり、または軟化させて加熱用冶具30で押圧して発泡合成樹脂材料10に一体化させたり、また、切削中に発泡合成樹脂材料10が軟化して糸状に伸びた発泡合成樹脂材料10の部分的な個所の除去を行ったり、それを軟化させて加熱用冶具30の押圧力で発泡合成樹脂材料10と一体化したりする。そして、起立するビーズラインを軟化させ押圧して平滑化し、また、そのビーズの凹凸を少なくし、かつ、ベントホールZの周囲を硬くする。
ステップS2の冶具による処理工程では、加熱用冶具30によって発泡合成樹脂材料10の切削した切削面14を加熱し、温度上昇によって軟化させ、毛羽立ち及び粉体化を防止した平滑化した面を形成しているが、本発明を実施する場合、レーザ光のスキャンにより、または熱盤により、発泡合成樹脂材料10の表面が熱可塑性樹脂として軟化し、結果的に、硬く形成されればよい。
なお、本発明で説明する平滑化とは、「平滑」が「平らで、なめらかなこと」を意味するが、広い範囲の「平ら」を意味するものではなく、「例えば、コーナー部分の面取りした角度変化においても、急激な凹凸変化がないこと」程度の部分的な平坦を意味する。
また、表面処理工程(ステップS10)はステップS3の目止め処理工程を含んでいる。ステップS3の目止め処理工程は、一般的な合成樹脂塗料の材料として使用されているトルエン、セルロースアセテートブチリート(CAB)、酢酸ブチルからなる合成樹脂材料を目止め剤41とし、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に塗布している。この目止め剤41は、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬くし、研磨作業の際の逃げを防止し、サンドペーパー(紙やすり)、耐水ペーパー等で研磨自在にし、精度の良い表面形状を得るものである。ステップS1の切削処理工程によって生じた切削面14を含み塗装しようとする発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させるということで、両者は物理的、化学的な違いがあるものの、実質的に同じ表面処理を行うものである。発泡合成樹脂材料10の材質によっては、何れか一方のみの選択も可能であるが、商品の耐久性を考慮すると、ステップS2の冶具による処理工程及びステップS3の目止め処理工程を採用する方が良い。
ステップS4の下塗り処理工程は、基材としての発泡合成樹脂材料10の被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を緩和させ平滑な面とする合成樹脂材料を塗布する前処理工程(ステップS20)である。通常、発泡合成樹脂材料10には、φ2〜10mm程度のベントホールZが生じているので、その対策としてステップS5の穴埋め処理工程(ステップS5)を進行させるのが好適である。
即ち、前処理工程(ステップS20)では、硬化剤、プラサフ、粘度を調整するシンナーからなる混合物の下塗り剤43を作成し、これを発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に塗布し、乾いた状態で研磨し、それを1〜12回繰り返し、被塗装面18を平滑な面にする。このとき、発泡合成樹脂材料10にベントホールZが存在している場合には、ステップS5で穴埋め処理工程を行い、穴埋め剤42としてポリエステル樹脂パテを使用し、その窪みの大きさに応じて、ステップS4の下塗り処理工程の塗布、乾燥、研磨を繰り返す。ベントホールZの大きさによっては、先に穴埋め剤42でベントホールZの穴埋めを行い、次いで、被塗装面18の塗布、乾燥、研磨を繰り返すのが好ましい場合もある。
したがって、図1の本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の流れ図においては、ステップS4の下塗り処理工程とステップS5の穴埋め処理工程が分離されているが、同時に行うこともあり得るし、ステップS5の穴埋め処理工程を行わない場合もあり得る。また、その前後を逆にする場合もある。
何れにせよ、ステップS20の前処理工程は、ステップS4の下塗り処理工程及びステップS5の穴埋め処理工程からなり、硬化剤、プラサフ、シンナー、パテにより、被塗装面のビーズライン及びその凹凸面、Z等が表から確認して現出しない程度に処理する。
次に、前処理工程(ステップS20)の後に後処理工程(ステップS30)を施している。後処理工程(ステップS30)では、前処理工程(ステップS20)で形成した被塗装面18に、顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する工程である。後処理工程(ステップS30)のステップS6の上塗り処理工程で使用する上塗り剤44は、硬化剤、樹脂塗料、プラサフ、シンナーの配合で混合した混合剤であり、硬化剤、プラサフ、シンナーはステップS4の下塗り処理工程で使用した下塗り剤43と同じであり、両者間の相性が良く、両者間の接着力が確保されるようにしている。樹脂塗料は白色を使用しているが、他の特定の色を使用してもよい。
後処理工程(ステップS30)は、ステップS7の仕上げ処理工程を別に設けてもよい。ステップS7の仕上げ処理工程は、仕上げ剤45として、硬化剤、樹脂塗料、シンナーを配合とした樹脂塗料を塗布する工程である。ステップS7の仕上げ処理工程を別に設けた場合には、顔料も勿論、硬化剤、樹脂塗料、プラサフ、シンナーの配合で混合した上塗り剤は、仕上げ剤との相性を良くする必要がある。
即ち、ステップS7の仕上げ処理工程は、塗膜を形成することによって、耐久性、例えば、耐候性、耐酸性を得るものであり、本発明を実施する場合には、通常の塗装と同様に、機械装置に応じて同時に全体の塗装を行うこともできるが、別に、発泡合成樹脂成型体を塗装した上で機械装置の本体等に組付けることもできる。
勿論、塗料としては、着色した顔料の入った塗料に限らず、透明な紫外線をカットする塗料とすることもできる。
更に、図1の本実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法並びに図10及び図11の発泡合成樹脂成型体について詳述する。
発泡合成樹脂材料10は、発泡させた熱可塑性樹脂であり、主な合成樹脂原料は、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))であり、他にも、フェノール樹脂(PF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア樹脂(UF)、シリコーン(SI)、ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)等も発泡化して用いることができる。しかし、発泡合成樹脂材料10の切削面14を加熱することにより硬化させることを前提とすると、80〜200℃の範囲内の温度で変形する合成樹脂材料の使用が望ましい。また、本発明を実施する場合には、発泡率を問うものではないが、使途によっては硬く仕上げるために発泡率の制限を受けるものもある。
なお、本実施例の発泡樹脂粒子(発泡ビーズ)としては、ポリエチレン(C2H4)n及びポリプロピレン(C3H6)nについては、発泡から特定のブロックを形成したもの、規格製品を積層したものの何れも実験し、両者が使用できることを確認した。
具体的には、直径1mm程度の細粒状ポリエチレンであるポリエチレンビーズに炭化水素ガスを吸収させ、これに100℃以上の高温蒸気を通して樹脂を軟化させると共に圧力を加えて発泡させると、発泡したビーズ相互は融着し合い、冷却時にビーズ単位の変形された形状となって発泡ポリエチレンとなる。
発明者らは、図2に示すように、市販されている3枚の特定の縦・横・高さ(1200×900×60mm)の規格化されたポリエチレンからなる発泡合成樹脂材料11,12,13を使用した。ポリエチレンからなる発泡合成樹脂材料11,12,13は、各規格化サイズが単体で発泡成形されており、表面の発泡密度が高いスキン層となっている。そのベントホールZはφ2〜10mm程度の材料である。本実施例で50mmよりも厚い製品を得るには、規格化された発泡合成樹脂材料11,12,13の表面がスキン層となっているから、その両面の接着面にゴム系の接着剤を塗布して積層接着した。
ゴム系の接着剤15としては、ゴム糊(ノントルエン缶入り(丸末油業))またはゴム糊であるボンド(G700X7 (コニシ株))を接着する両面に薄く塗り、そして乾燥させ、接着面を対向させて圧縮し接着した。ゴム系の接着剤15はボンド(G700X7 (コニシ株))であり、シクロヘキサン、n−ヘプタン、アセトンが主成分である。
ここで、接着剤15の厚みは、その存在が視認できない程度に可能な限り薄くし、接着機能のみが維持できればよい。ここで使用するゴム糊は、基材としての発泡合成樹脂材料11,12,13と同じポリエチレンからなる接着剤15も使用できる。
ここで使用するゴム系の他の接着剤としては、市販されているスプレー糊55(住友スリーエム)、バルカーン(マル二)等の加硫接着剤の使用が可能である。
勿論、発泡合成樹脂材料11,12,13としてのポリエチレンと、ゴム系の接着剤15とは性質が異なるが、ゴム系の接着剤15をこの接着に使用するのは100μm以下の厚みにすることができ、結果的に製品の加工には支障がなかったことから使用した。発明者らは、加熱した熱盤によって発泡合成樹脂材料11,12,13の両接着面を接触させ瞬間的に加熱し、その熔融面によって接着を行ったが、熟練を必要とするものの、良好な接着が可能であることを確認した。また、発泡合成樹脂材料11,12,13と同系統のポリエチレン系の接着剤を使用することもできる。そして、レーザ光のスキャンにより、発泡合成樹脂材料10の両接着面を加熱してもよい。何れにせよ、発泡合成樹脂材料11,12,13の表面が溶けて硬くなる体積が殆ど無視できる程度、即ち、溶融も含めて300μm以下、望ましくは、100μ程度以下の接着面厚さであればよい。勿論、発泡合成樹脂材料10と同じ系統の接着剤とすることもできる。
発明者らは、粘り気のあるポリエチレン、ポリプロピレンの材料を特定の縦・横・高さ(1200×900×60mm)の規格化された発泡合成樹脂材料11,12,13として使用するために積層し、単位面積当たり0.5〜10t以上の圧力によって押圧して一体に接着した。なお、本発明を実施する場合に、必要な厚みのものが市販されておれば、積層化する必要はない。なお、この押圧力は、発泡体の発泡率によっても、基材の発泡材料によっても変化するから、一義的に決定されるものではない。
このように、本発明の実施物における発泡合成樹脂材料10(11,12,13;以下、複数枚を特定しないときには、単に『10』という)としては、1枚または複数枚積層して用いてもよい。勿論、本発明の実施物における直接基材となる発泡合成樹脂材料10は、任意の概略形状に発泡させてもよい。
発泡合成樹脂材料10を削り出すには、図3に示すように、切削加工に用いる工具(切削工具)であるボールエンドミル20を使用した。ボールエンドミル20は、フライスの一種であるドリルに似た外観を有している。ドリルは軸方向に進行し、円形の穴を空けるのに使用されるが、ボールエンドミル20は、側面の刃で切削し、軸に直交する方向に穴を削り広げる用途に用いられる。また、端面を平滑に仕上げる際にも用いられる。中心部の切れ刃が不完全であるため、端部を弧状に形成することにより、端面を平滑に仕上げることができる。ボールエンドミル20の回転数5000〜15000rpm及び送り速度500〜3000mmで処理している。通常は回転数10000rpm、及び送り速度2000mm程度である。
本発明の実施の形態では、通常の切削加工するボールエンドミル20によって、全体の概観形態を削り出している。その後、ボールエンドミル20によって全体の概観形態を削り出した面は、削り屑の一部が外力によって分離してボロボロの状態であったり、部分的に毛のように繋がっていたり、凹凸が発生していたりしている。
そこで、一般にボールエンドミル20は、図3の(a)及び(b)に示すように、側面の刃21で切削し、軸に直交する方向に穴を削り広げる用途に用いられるが、本発明の実施の形態で使用するボールエンドミル20もそれに相違するものではない。その最下端から側面の刃21までは、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))加工が施されており、切削された発泡合成樹脂材料10、その切削屑が付着しないようにしている。
しかし、下端が若干下に凸状に湾曲させた端部22を有する刃物は、ボールエンドミル20の回転によって摩擦熱が発生し、表面を摩擦熱で平滑にする機能がある。表面を摩擦熱で平滑にするとは、発泡合成樹脂材料10の表面に付着した刃21で完全に切断されていない微粒の分離または軟化した微粒の押圧による平滑化、切削中に発泡合成樹脂材料10が軟化して糸状に伸びた部位の除去または押圧による平滑化、起立するビーズラインを軟化させ押圧してなる平滑化等により、凹凸が少なくなっている。
図4のボールエンドミル20は、発泡合成樹脂材料10に形成した内側の切削面14に対して、外側を切削する状態を示すものである。
即ち、ボールエンドミル20と発泡合成樹脂材料10の接触角度並びに移動距離及び移動角度等によって発泡合成樹脂成型体の外径形状を削り出すことができる。この技術は一般的な切削加工の技術であるから、詳細な説明を省略する。
図5の加熱用冶具30は、市販のボールエンドミル20によって切削加工した後に、専用の先端を弧状とした面を有する摩擦面31によって、発泡合成樹脂材料10に形成した切削面14を摩擦によって加熱する冶具である。図5(a)乃至(c)は、異なった種類の加熱用冶具30の斜視図を示すものである。(a)は単一径の加熱用冶具30であり、(b)は2段径の加熱用冶具30であり、(c)は3段径の加熱用冶具30の斜視図である。
即ち、加熱用冶具30の太さの下端が任意の曲面からなる摩擦面31となっており、発泡合成樹脂材料10の切削した個所の切削面14を含み塗装しようとする基材の被塗装面を摩擦熱で加熱し、温度上昇によって軟化させて、発泡合成樹脂材料10の切削面14に平滑面を形成する。これは、平滑面で説明したが、下に凸面及び/または下に凹面を形成する場合も同様に加工できる。
例えば、下に凸面の狭い凹部溝16を有する切削面14を形成する場合には、切削面14を加熱する加熱用冶具30の太さを図4の(b)に示すようにし、全体的または部分的に細くする摩擦面32を形成する必要がある。勿論、必要に応じてテーパー面とすることもできる。この加熱用冶具30は、図8に示す凹部溝16の加工等に好適となる。
図5(b)に示す加熱用冶具30は、直径を2段としているが、3段以上とすることも、図5(a)に示すように、単一の太さとすることもできる。
図9に示す側面に形成した凹状溝17を摩擦し、内面側の切削面14に加熱面を形成するには、その内側湾曲部に下側環状部分33を、凹状溝17に上側環状部分35を必要な間隔を維持し、連結部34を取付部37に連結部36を介して形成した加熱用冶具30の使用が、同時に摩擦加熱することができる。この加熱用冶具30は、何れも摩擦熱を発生させる位置は、フッ素樹脂のコーティングがなされており、加熱用冶具30に軟化した樹脂が付着しないようにしている。
なお、本発明を実施する場合の加熱用冶具30は、図5に示すように、各種の形状とすることができるが、通常、発泡合成樹脂材料10の内部の切削面14は内側にあり、露出面になる確率は低い。発泡合成樹脂材料10の外面が意匠面となり、発泡合成樹脂材料10の内部の切削面14側は機器等を収容する場合が多い。当然ながら、そのような使用状態に一義的に決定されるものではないが、確率的に高いものである。
なお、熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10をボールエンドミル20等の刃物で特定の形状に切削加工する工程を、本実施の形態ではステップS1の切削処理工程という。また、それによって形成された面は加熱用冶具30によって物理化学的に硬化された硬化層の面となる。但し、加熱用冶具30による硬化層は、一般的に数10μmから100μm以下の層であり、連続的に変化しているから通常は面と認識されるに過ぎない。
本実施の形態における実施物からの加熱用冶具30による硬化層の確認では、発泡合成樹脂材料10の微粒子粉体が付着してないこと、糸状に伸びた部位が存在してないことにより、ステップS2の冶具による処理工程がなされているか否かが確認される。
本実施の形態では、加熱用冶具30によって発泡合成樹脂材料10の切削した個所の切削面14を加熱し、温度上昇によって軟化させ、発泡合成樹脂材料10の微粒子粉体が付着しているか、糸状に伸びて部分的に毛羽立っているか、粉体化した面を有しているかの場合には、それらを物理化学的に平滑化することができる。しかし、本発明を実施する場合には、加熱用冶具30の摩擦に代えて、レーザ光のスキャンにより、発泡合成樹脂材料10の表面を軟化させ、平面的に薄く、硬く形成したものであっても同様の効果が得られた。
なお、ステップS1の切削処理工程によって生じた切削面14を含み塗装しようとする発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させる工程を、ここでは、表面処理工程(ステップS10)という。即ち、表面処理工程(ステップS10)には加熱用冶具30による摩擦加熱、レーザ光のスキャンにより、基材である発泡合成樹脂材料10の被塗装面を硬化させる工程が含まれる。
切削によって生じた切削面14を加熱した後に、前記切削、加熱で形成した切削加熱面に凹凸面を緩和させるステップS3の目止め剤41としての合成樹脂材料を塗布する。この目止め剤41は、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させるもので、発泡合成樹脂材料10の表面にトルエン28Wt%、セルロースアセテートブチリート(CAB)15〜20Wt%、酢酸ブチル55〜60Wt%からなる混合物の目止め剤41を5〜10回塗布し、この合成樹脂材料からなる目止め剤41の塗布により発泡合成樹脂材料10のビーズの発泡の際に生ずる微細孔に対する染み込みを防止させている。しかし、気泡等の存在で1回の塗布で完全な目止めができないので、サンドペーパー(紙やすり)、耐水ペーパー等の研磨と塗布とを繰り返し行っている。
発明者らは、トルエン、セルロースアセテートブチリート(CAB)、酢酸ブチルからなる混合物以外の合成樹脂材料も目止め剤41として使用できるかを試験したが、発泡合成樹脂材料10の表面に接着するものであり、粘度が適当に高いもので、乾燥によって剥がれない合成樹脂材料であれば、使用に耐えることが確認された。即ち、目止め剤41は、合成樹脂材料の塗布による染み込みを防止する平滑な合成樹脂膜を作るものであり、その種類は水性目止め剤、油性目止め剤、合成樹脂目止め剤等が使用でき、特に、発泡合成樹脂材料10との接着が維持できれば、いずれでも使用が可能である。また、塗料でも使用可能であるが、価格的に不経済となることを無視すれば使用可能である。
目止め剤41は、1〜12回塗布されるが、その間に塗布し、硬化した層は、研磨による磨きを入れ、研磨ができ難くなったとき、再度の塗布を行い、その繰り返しを行う。この工程をステップS3の目止め処理工程という。この目止め剤41は研磨が可能になるように、表面をサンドペーパー(紙やすり)、耐水ペーパー等で研磨し、最初は100番程度から徐々に細かいものに変化させて研磨している。
研磨による磨きの効果が生じ難くなったとき、ステップS3の目止め処理工程から次の前処理工程(ステップS20)のステップS4の下塗り処理工程に移行する。
本実施の形態で説明した加熱用冶具30による摩擦加熱、レーザ光のスキャンにより基材である発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させるステップS2の冶具による処理工程は、ステップS3の目止め処理工程は合成樹脂材料の塗布による染み込みを防止するという機能を有するが、ステップS2の冶具による処理工程においても、摩擦加熱及び押圧により、発泡合成樹脂材料10の表面密度を上げる機能を有するから、両工程の基本的機能として同一の効果がある。したがって、何れか一方の工程を省略することもできるし、両者を使用することもできる。
次に、硬化剤1Wt%、プラサフ1Wt%、粘度を調整するシンナー13Wt%の配合比率からなる下塗り剤43を混合し、それを塗布した。硬化剤としては、シクロヘキサノンパーオキサイド(サイポックスペースクリアー(静岡川口薬品))を使用した。このサイポックスペースクリアーは、シクロヘキサノンパーオキサイド48Wt%、トリエチルホスフェート14Wt%、酢酸エチル7Wt%、アセト酢酸エチル7Wt%、フタル酸ジメチル13Wt%、二酸化珪素11Wt%である。
プラサフとは「プライマーサフェーサ」と呼ばれ、上から塗る塗料の乗りをよくするプライマと、サンドペーパー等によって出来た細かい傷を埋めるサフェーサの機能を有するものである。本実施の形態で使用したプラサフは、オートSPSプラサフ(大日本塗料(♯1100ZN)、R-Mマルチフィーラー(ダイアモンド)、R-Mプロフ(ダイアモンド)等である。
本発明の具体的実施例としては、硬化剤としては♯ウレタックス硬化剤(斎藤塗料)を使用した。成分は、ヘキサメチレン=ジイソシアネート1Wt%、酢酸ブチル50〜60Wt%、プロピレングリコ一ルモノメチルエーテルアセテート1〜10Wt%、キシレン3Wt%、エチルベンゼン3Wt%、変性ポリイソシアネート30〜40Wt%である。
また、プラサフとしてKARプラサフ(関西ペイント)を使用し、成分は二酸化チタン1〜5Wt%、トルエン18Wt%、キシレン2.4Wt%、エチルベンゼン2Wt%、メチルアルコール1〜5Wt%、エチルアルコール0.1〜1Wt%、イソプロピルアルコール1〜5Wt%、イソブチルアルコール1〜5Wt%、メチルイソブチルケトン1〜5Wt%、酢酸エチル5〜10Wt%、酢酸イソブチル10〜15Wt%、ニトロセルロース5〜10Wt%、酸化重合型樹脂5〜15Wt%である。
また、粘度を調整するシンナーとして、ウレタックスシンナー(斎藤塗料)を使用した。成分は、酢酸ブチル30〜40Wt%、トルエン36Wt%、キシレン10Wt%、プロピレングリコールモノメチルエ一テルアセテート1〜10Wt%、エチルベンゼン10Wt%である。
このステップS4の下塗り処理工程は、目止め剤41を塗布し、研磨した表面に複数回下塗り剤43を塗布し、そして、研磨する。塗布の仕方は、スプレーガンで噴霧するのが一般的である。このとき、噴霧する硬化剤及びプラサフの粘度は、シンナーの量によって調整される。
また、この下塗り剤43を塗布した後、下塗り剤43で形成した面を平滑にサンドペーパー、耐水ペーパー等で研磨し、複数回の塗布とその研磨を繰り返している。ここではサンドペーパー、耐水ペーパー等で研磨すると説明したが、水研ぎ等の他の研ぎ方を採用してもよい。
ここでは、ステップS4の下塗り処理工程で発泡合成樹脂材料10の被塗装面のビーズライン及びベントホール、その凹凸面を緩和させ平滑とすべく処理する。しかし、通常、ビーズライン及びその凹凸面のみではなく、φ2〜10mm程度のベントホールが存在する。φ2〜10mm程度のベントホール及び前の工程で除去できなかったビーズライン及びその凹凸面は、ステップS5の穴埋め処理工程で除去することになる。
ステップS5の穴埋め処理工程では、本実施例の穴埋め剤42としてポリエステル樹脂パテのポリラックZ(中部化研工業)を使用した。成分はスチレン18.3Wt%、ナフテン酸コバルト0.1Wt%である。
ステップS4の下塗り処理工程では、硬化剤、プラサフ、粘度を調整するシンナーからなる混合物の下塗り剤43を作成し、これを発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に塗布し、乾いた状態で研磨し、それを1〜12回繰り返し、被塗装面18を平滑にする。同時に、発泡合成樹脂材料10にベントホールが存在している場合には、ステップS5で穴埋め処理工程を行い、穴埋め剤42としてポリエステル樹脂パテを使用し、その窪みの大きさに応じて、ステップS4の下塗り処理工程の塗布、乾燥、研磨を繰り返す。ベントホールZの大きさによっては、先に穴埋め剤23でベントホールZの穴埋めを行い、次いで、被塗装面18の塗布、乾燥、研磨を繰り返すのが好ましい場合もある。
この実施例では、ステップS4の下塗り処理工程とステップS5の穴埋め処理工程が分離されているが、同時に行うこともあり得るし、ステップS5の穴埋め処理工程を行わない場合もあり得る。何れにせよ、ステップS4の下塗り処理工程及びステップS5の穴埋め処理工程は、前処理工程(ステップS20)を構成し、被塗装面のビーズライン及びその凹凸面、ベントホールZ等が表から確認して現出しない程度に処理する。このベントホールZ等のステップS5の穴埋め処理工程を含めて、ベントホールZ及びビーズライン及びその凹凸面を見えなく処理する工程であるから、ステップS5の穴埋め処理工程を含めて前処理工程(ステップS20)という。
ステップS5の穴埋め処理工程を組み入れる場合には、その程度によってはステップS3の目止め処理工程の直後に行うこともできる。勿論、ベントホールZが生じていないものでは、穴埋め処理工程(ステップS5)を省略することができる。
次に、下塗り剤43を塗布した上を研磨し、それを複数回繰り返した後、後処理工程(ステップS30)としての上塗り剤44を塗布する。
後処理工程(ステップS30)で使用する上塗り剤44は、硬化剤1Wt%に対して、樹脂塗料1Wt%、プラサフ2Wt%、シンナー2.6Wt%の配合で混合し、それを塗布する。硬化剤、プラサフ2Wt%、シンナー2.6Wt%は下塗り処理工程(ステップS4)で使用したものと同じである。
実施例では、樹脂塗料としては、♯55ウレタックス(無鉛)ホワイト(斎藤塗料)を使用した。その成分は、酸化チタン20〜30Wt%、トルエン15Wt%、酢酸ブチル1〜10Wt%、エチルベンゼン5.4Wt%、キシレン5.4Wt%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1〜10Wt%である。
更に、ステップS6の上塗り処理工程で塗布した上塗り剤44の上面を研磨し、その塗布と研磨を複数回繰り返す。ここでは、ステップS5の下塗り処理工程で形成した被塗装面18に顔料を含む合成樹脂塗料の樹脂塗料を塗布する工程となり、ステップS6の上塗り処理工程という。
この実施例では、樹脂塗料を♯55ウレタックス(無鉛)ホワイトとし、何色でもそこに上塗りできるようにした。即ち、この時点で他の構成部品と同一の塗装を行う場合には、他の部品と同一の塗装工程に入る。
前述したように、ステップS6の上塗り処理工程で樹脂塗料を♯55ウレタックス(無鉛)ホワイトを使用しており、何色にも上塗り対応できるようにしているが、更に、表面に塗膜を形成し、耐久性の塗料を塗布するステップS7の仕上げ処理工程を追加することができる。
ステップS7の仕上げ処理工程では、仕上げ剤25として、硬化剤0.4Wt%に対して樹脂塗料1Wt%、シンナー0.8Wt%の配合とした塗料を塗布する。
実施例で使用した仕上げ剤25としては、硬化剤としてイソシアネート系硬化剤であるレタンPGエコスポイラー用マルチ硬化剤(関西ペイント)を使用した。その成分は、酢酸エチル5〜10Wt%、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)UR0.1〜1Wt%、ヘキサメチレンジイノシアネート・オリゴマー5〜10Wt%、HMDI系ポリイソシアネート165〜70Wt%である。
また、樹脂塗料として、レタンPG80 531ホワイト ベース(関西ペイント)を使用した。その成分は、非結晶性シリカA1〜5Wt%、二酸化チタン20〜25Wt%、トルエン36Wt%、キシレン0.1〜1Wt%、エチルベンゼン0.1〜1Wt%、エチルアルコール0.1〜1Wt%、メチルエチルケトン1〜5Wt%、酢酸エチル1〜5Wt%、酢酸イソブチル1〜5Wt%である。
そして、シンナーとして、レタンPGシンナー超遅乾形(関西ペイント)を使用した。その成分は、石油ナフサG15〜20Wt%、石油ナフサH1〜5Wt%、キシレン20Wt%、エチルベンゼン18Wt%、クメン0.1〜1Wt%、1,3,5−トリメチルベンゼン3Wt%、ナフタレン0.1〜1Wt%、1,2,4−トリメチルベンゼン9.8Wt%、メトキシブチルアセテート1〜5Wt%、酢酸ブチル1〜5Wt%である。
ここで使用する仕上げ層は、最表面に塗膜を形成することによって、耐久性、即ち、耐候性、耐酸性等を得るものであり、本発明を実施する場合には、通常の塗装と同様に、機械装置に応じて必要に応じ、同時に全体の塗装を行うこともできるが、別に、塗装した上で機械装置の本体等に組付けることもできる。
次に、図10及び図11、図12を用いて、発泡合成樹脂成型体の製造過程の切削処理工程及び表面処理工程及び前処理工程について詳述する。
図10乃至図12に示すように、ステップS1の切削処理工程で熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工し、発泡合成樹脂本体40(10)を形成する。詳しくは、図11(a)のように、発泡合成樹脂本体40の被塗装面18には、刃物21で切断されないで糸状に伸びて部分的に毛羽立っている糸W、その糸状部が丸まって連結された粒子化した粒子X等を有している。また、発泡合成樹脂材料10の切削されたものの、その際の付着により連結された粉体Wが付着している。また、随所にベントホールZが存在している。
それに対して、ステップS2による冶具による処理工程を経たものでは、図11(a)に示した刃物21で切断されないで糸状に伸びて部分的に毛羽立っている糸Wは、図11(ab)に示したように、摩擦熱を受けその表面張力により、容積が最小になる。また、図11(a)に示した糸状部が丸まって連結された粒子Xと同様、摩擦熱で平滑化したり、粉体粒子として離れて除去される。このとき、ベントホールZについては、開口を糸状に伸びて部分的に毛羽立っている糸W及び粉体粒子として離れて除去された粒子Xによって若干狭められる程度であり、大きな変化はない。
ステップS3の目止め処理工程では、一般的な合成樹脂塗料の材料として使用されているトルエン、セルロースアセテートブチリート(CAB)、酢酸ブチルから配合された合成樹脂材料の目止め剤41を発泡合成樹脂本体40(10)の被塗装面18に塗布している。この合成樹脂材料の目止め剤41は、発泡合成樹脂本体40(10)の被塗装面18を硬くし、研磨作業の際の逃げを防止して、その研磨を自在にし、図11(c)のように、精度の良い表面形状を得るものである。このとき、被塗装面18のビーズラインの浅い凹面は目止め剤41によって充填されることになる。
ステップS4の下塗り処理工程は、発泡合成樹脂本体40の被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を緩和させ平滑な面とする合成樹脂材料を塗布する前処理工程(ステップS20)である。通常、発泡合成樹脂材料10には、φ2〜10mm程度のベントホールZが生じているので、その対策としてステップS5の穴埋め処理工程を進行させるのが好適である。即ち、前処理工程(ステップS20)では、硬化剤、プラサフ、粘度を調整するシンナーからなる下塗り剤43を発泡合成樹脂本体40の被塗装面18に塗布し、乾いた状態で研磨し、それを1〜12回繰り返し、被塗装面18を平滑な面にする。同時に、発泡合成樹脂本体40にベントホールZが存在している場合には、ステップS5でベントホールZの穴埋め処理を行い、穴埋め剤42としてポリエステル樹脂パテを使用し、その窪みの大きさに応じて、ステップS4の下塗り処理工程の下塗り剤43の塗布、乾燥、研磨を繰り返す。ベントホールZの大きさによっては、図11(d)に示すように、先に穴埋め剤42でベントホールZの穴埋めを行い、次いで、下塗り剤43で被塗装面18の塗布、乾燥、研磨を繰り返すのが好ましい場合もある。
次に、前処理工程(ステップS20)の後に後処理工程(ステップS30)を施し、前処理工程(ステップS20)で形成した被塗装面18に顔料を含む硬化剤、樹脂塗料、プラサフ、シンナーの配合で混合した上塗り剤44からなる合成樹脂塗料を塗布する。後処理工程(ステップS30)で使用する上塗り剤44は、ステップS4の下塗り処理工程で使用したものと同じであり、両者間の相性が良く、両者間の接着力が確保されるようにしている。
後処理工程(ステップS30)としては、ステップS7の仕上げ処理工程を含ませることができる。ステップS7の仕上げ処理工程は、仕上げ剤45として、硬化剤、樹脂塗料、シンナーを配合とし、顔料も勿論、硬化剤、樹脂塗料、プラサフ、シンナーの配合で混合した上塗り剤44は、仕上げ剤45との相性を良くする必要がある。
このようにして、本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体を得ている。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工するステップS1からなる切削処理工程と、そのステップS1からなる切削処理工程によって生じた切削面14を含み塗装しようとする発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させて研磨し、それを1〜12回繰り返す表面処理工程(ステップS10)と、被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を平滑とすべく合成樹脂材料10を塗布及び研磨し、それを1〜12回繰り返す前処理工程(ステップS20)と、前処理工程(ステップS20)で形成した被塗装面18に顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する後処理工程(ステップS30)とを具備するものである。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法は、ステップS1の切削処理工程で基体としての熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削して、ステップS1の切削処理工程によって生じた切削面14を含み、塗装しようとする被塗装面18を表面処理工程(ステップS10)で、その表面を硬化させ、発泡合成樹脂材料10の、例えば、発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を目立たなくする。しかも、前処理工程(ステップS20)により表面処理工程(ステップS10)で形成した塗装しようとする被塗装面18のビーズラインを見えなくし、かつ、そのベントホールZ等の凹凸面を緩和させる合成樹脂材料を塗布し、また、その硬くなった面を研磨し、それを繰り返すことにより、一層、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくすることができる。そして、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくなったところで、前処理層(ステップS20)で形成した面に後処理工程(ステップS30)で顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するものである。
したがって、高価な金型を製作しなくとも、切削加工することによって金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネにも、環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料10の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。更に、表面処理工程(ステップS10)及び前処理工程(ステップS20)では、合成樹脂材料を塗布しているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
よって、高価な金型を使用することなく、発泡合成樹脂材料10を用いて、特定の形状を削り出して塗装し、任意の弾性に富む発泡合成樹脂成型体の製造方法となる。
前記基材となる発泡合成樹脂材料10は、1枚または複数枚積層接着してなるものである。したがって、市販の発泡合成樹脂材料10を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
前記基材の被塗装面18を硬化させる表面処理工程(ステップS10)は、加熱用冶具30の回転によってその摩擦熱で加熱を行う加熱用冶具30による処理工程を含むものであるから、加熱用冶具30の回転によってその摩擦熱で表面が熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10の表面が軟化され、かつ、その後、硬化されるから研磨に耐える構造となり、任意の形状に研磨加工できる。また、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10は、加熱用冶具30によって加熱を行うものであり、フライス盤、NC加工盤、自動工作機械等の加工制御が簡単化できる。
前記基材の被塗装面18を硬化させる表面処理工程(ステップS10)は、合成樹脂材料の塗布による染み込みを防止するステップS3からなる目止め処理工程を含むものであるから、ステップS3からなる目止め処理用の塗料の塗布によって染み込みを防止した状態であり、研磨可能になるから、均一な研磨状態が確保でき、良好な被塗装面18が得られる。特に、先に、加熱用冶具30の回転によってその摩擦熱で表面を硬化する工程を行い、その後、目止め処理用の塗料の塗布を行うと化学的及び物理的に対応でき効果的である。
前処理工程(ステップS20)は、合成樹脂材料による穴埋めを行うステップS5からなる穴埋め処理工程を含むものであるから、合成樹脂材料によるベントホールZ等の穴埋めにより、大きな窪み、発泡ビーズの欠損等を穴埋めし、平滑な面を形成しやすくなる。
後処理工程(ステップS30)は、耐久性の塗料を塗布するステップS7からなる仕上げ処理工程を含むものであるから、耐久性により見栄えの良い期間が長くなり、安定した塗装状態が維持される。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体40と、発泡合成樹脂本体40の所望の周囲に塗装しようとする被塗装面18を具備し、被塗装面18に塗装してなる発泡合成樹脂成型体において、前記所定の形状に形成してなる発泡合成樹脂本体40の被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、被塗装面18を硬化状態で研磨したものである。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、基材となる発泡合成樹脂材料10からなる発泡合成樹脂本体40の形状を所定の形状に形成すると共に、前記基材の塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ、または合成樹脂を塗布して硬化させ、そして、前記基材の被塗装面18を硬化状態で研磨し、平滑にしたものである。
したがって、発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削し、その切削面14を硬化させ、その硬化状態で研磨し、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ及びその凹凸を目立たなく研磨加工する。しかも、切削面14のビーズライン及びベントホールZ及びその凹凸からなる面を緩和させる合成樹脂材料を塗布とその研磨を繰り返すことにより、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなく平滑化することができる。そして、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくなったところで顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する。
故に、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は任意の形状に加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料10の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。
更に、前記所定の形状に形成してなる発泡合成樹脂本体40の被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料10を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体の製造方法となる。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体40と、発泡合成樹脂本体40を切削して生じた切削面14を含み塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、表面処理層(ステップS20)のビーズライン及びその凹凸面を緩和させるべく合成樹脂材料を塗布し、表面処理層(ステップS20)のベントホールを合成樹脂材料による穴埋めを行うステップS2からステップS5からなる下地補修層を具備するものである。
ここで、下地補修層とは、発泡合成樹脂本体40の被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、また、表面処理層(ステップS20)のビーズライン及びその凹凸面を緩和させるべく合成樹脂材料を塗布し、表面処理層(ステップS20)のベントホールZを穴埋め剤42で穴埋めを行うもので、ステップS2からステップS5から形成される層を意味する。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体40を切削して生じた切削面14を含み塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、ビーズライン及びその凹凸面を緩和させるべく合成樹脂材料を塗布し、ベントホールZを合成樹脂材料による穴埋めを行うものである。
したがって、発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削し、前記切削によって生じた切削面を硬化させると、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなく加工することができ、しかも、切削面14のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸の面を緩和させる合成樹脂材料を塗布したり、その研磨をしたりし、それらを繰り返すことにより、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくすることができる。そして、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくなったところで、顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するものである。
故に、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料10の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。
更に、ステップS2からステップS5でなる下地補修層においては、発泡合成樹脂本体40を切削して生じた切削面14を含み塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料10を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
上記実施の形態の前記基材となる発泡合成樹脂材料10は、1枚または複数枚積層接着してなるから、市販の発泡合成樹脂材料10を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
ステップS2からステップS5でなる下地補修層には、更に、前記下地補修層の表面に合成樹脂塗料を塗布した塗装層を具備するものであるから、安定した塗装状態が維持され、また、必要に応じて耐候性にすぐれ、紫外線に対しても変色が少ない。そして、光沢と弾性に富んだ表面を形成することができ、長期間安定した成型体となる。
上記実施の形態では、表面処理工程(ステップS10)と前処理工程(ステップS20)とは、その表面処理工程(ステップS10)の目止め剤41と前処理工程(ステップS20)の下塗り剤43の塗布と研磨を繰り返すものである。このとき、目止め剤と下塗り剤の塗布と研磨を繰り返す回数が多いと、その各層の厚みを薄くでき、仕上げを見栄え良く、かつ、耐久性を良くすることができる。しかし、余り繰り返し回数を多くすると、生産性が低下する。したがって、発泡合成樹脂成型体の使途に応じて1〜12回程度が生産性から維持されるべき回数となる。
上記実施の形態では、発泡合成樹脂成型体の復元力は、各層が柔らかく硬化しているので、発泡合成樹脂材料10の弾性に応じたものとなっており、基材の特性を維持したままの発泡合成樹脂の成型品となっていることが発明者らによって確認された。
加えて、発泡合成樹脂材料10として、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))、また、フェノール樹脂(PF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア樹脂(UF)、シリコーン(SI)、ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)等の発泡化した樹脂が使用できる。
切削処理工程によって生じた切削面を含み塗装しようとする被塗装面18を硬化させて研磨する表面処理工程(ステップS10)では、50〜200μmの厚みとなり、上記実施例で使用した目止め剤41に拘ることなく、被塗装面18を硬化させて研磨可能にする合成樹脂材料であればよい。
また、被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を平滑にすべく塗布する前処理工程(ステップS20)では合成樹脂材料を塗布及び研磨する前処理工程が、200〜400μmの厚みであるが、上記実施例で使用した穴埋め剤42及び下塗り剤43に拘ることなく、被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を平滑にすべく塗布及び研磨できる合成樹脂材料であればよい。
そして、前処理工程(ステップS20)で形成した被塗装面18に顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する後処理工程(ステップS30)は、上塗り剤44が300〜600μmの厚みで、仕上げ剤45が50〜400μmの厚みであるが、上塗り剤44及び仕上げ剤45に拘ることなく、前処理工程(ステップS20)で形成した被塗装面18に顔料を含む塗布自在な合成樹脂塗料であればよい。塗料として透明であるか否かは問われる理由がない。
10 発泡合成樹脂材料
11,12,13 発泡合成樹脂材料
14 切削面
18 被塗装面
20 ボールエンドミル
30 加熱用冶具
40 発泡合成樹脂本体
41 目止め剤
42 穴埋め剤
43 下塗り剤
44 上塗り剤
45 仕上げ剤