JP2014156399A - 化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】皮膚へ塗布するときに、より優れたさっぱり感とともに軽い触感を有する化粧料を提供すること。
【解決手段】親水性増粘剤を含有する化粧料であって、水及び0.5質量%の当該親水性増粘剤からなるpH6.8〜7.0の水性液の、25℃におけるゼロせん断粘度η、降伏応力σ及び降伏歪γが、以下(1)、(2)及び(3)の特性を有する、化粧料。
(1)1×10Pa・s≦η≦1×10Pa・s
(2)η及びσの関係を式−1:η=a×σ で表すとき、500≦a≦25000である。
(3)0.1%≦γ≦3%
【選択図】図3

Description

本発明は、親水性増粘剤を含有する化粧料に関する。
親水性増粘剤として、キサンタンガム、グアーガム等に代表される天然物系増粘剤、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等に代表される半合成物系増粘剤、及び、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキサイド等に代表される合成物系増粘剤が広く使用されている。
特に、カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマー等の、カルボキシル基を有する親水性重合体は、少量の使用で優れた増粘性を示し、さっぱりした使用感が得られることから、化粧品及びトイレタリー等の分野において有用な増粘剤、分散剤又は乳化安定剤等として好適に使用されている。
例えば、特許文献1では、アルキル変性カルボキシビニルポリマーとトラネキサム酸とを配合することにより、さっぱりした使用感を保ちつつ、優れた皮膚改善効果を有し、さらに従来から乳化剤として汎用されてきた界面活性剤を配合することなしに経時安定性に優れた乳化組成物を提供し得ることが示されている。
特許文献2では、特定の尿素安定剤を含有し、長期安定性を有し、かつ、べたつき感が少なく、さっぱりとした使用感を有し、肌なじみが良好な使い勝手に優れた透明ジェル化化粧料が提案されている。
特許文献3では、カルボキシビニルポリマーおよび/またはアルキル変性カルボキシビニルポリマーをアルカリ剤により中和することにより、透明性が付与されると共に、さっぱりとした使用感が付与されたボディ用化粧料が提案されている。
特許文献4では、疎水性吸油粉体、アルキル変性カルボキシビニルポリマー及び塩基性物質を組合わせて使用することにより、皮膚に塗布した際、のびがよく、べとつき感や皮脂によるテカリのないジェル状化粧料が得られるとされている。
特許文献5では、特定の多価アルコール変性シリコーン化合物と、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、環状シリコーン、粉体及び水とを配合すると、低粘度領域においても乳化安定性に優れ、粉体の分散性が良好で、かつ経時による粘度変化もなく長期にわたり良好な流動性を保ち、熱や光に対しても安定で、さらには、べたつきがなく、さっぱりとした使用感に優れた水中油型化粧料が得られるとされている。
特許文献6では、(a)アルキル変性カルボキシビニルポリマー、(b)キサンタンガム、(c)ペンチレングリコールおよび/または1,2−ヘキサンンジオール、(d)多価アルコール脂肪酸エステル、アルキルグルコシドから選ばれた1種または2種、および水を含有する化粧組成物は、酸化エチレン、酸化プロピレン付加重合物を含む界面活性剤やパラベンを含有せず、使用感に優れ、かつ長期保存しても粘度低下、分離等の変質が生じないとされている。
特許文献7は、有機粉体、油性成分、カルボキシビニルポリマー及び/又はアルキル付加カルボキシビニルポリマー、平均粒径0.001〜0.1μmの無水珪酸とを含有する水中油型化粧料に関する。更に詳しくは、特許文献7は、顔面の好ましくないツヤを抑えることにより、マット感を演出する化粧効果に優れ、且つ、肌上で粉体がよれたりせずに均一に伸び広がり、みずみずしく、さっぱりとした水中油型化粧料に関する。
特開平9−263510号公報 特開2009−190986号公報 特開平11−322539号公報 特開平9−249543号公報 特開2005−232088号公報 特開2009−196954号公報 特開2002−3338号公報
近年、ユーザーニーズの多様性から、より優れたさっぱり感に加えて、軽い触感を併せ持つ化粧料を求める傾向がある。
しかし、従来用いられていたカルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーのような従来の親水性増粘剤によれば、このようなニーズに十分に対応することが困難となっている。
そこで、本発明は、皮膚へ塗布するときに、より優れたさっぱり感とともに軽い触感を有する化粧料を提供することを目的とする。
本発明は、親水性増粘剤を含有する化粧料に関する。水及び0.5質量%の当該親水性増粘剤を含むpH6.8〜7.0の水性液の、25℃におけるゼロせん断粘度η、降伏応力σ及び降伏歪γが、以下(1)、(2)及び(3)の特性を有する。
(1)1×10Pa・s≦η≦1×10Pa・s
(2)η及びσの関係を式−1:η=a×σ で表すとき、500≦a≦25000である。
(3)0.1%≦γ≦3%
本発明者らの検討によれば、上記(1)、(2)及び(3)の特性を満足するような親水性増粘剤を用いることにより、より優れたさっぱり感とともに軽い触感を有する化粧料が容易に得られることが明らかとなった。
上記水性液における親水性増粘剤の濃度(0.5質量%)は、当該水性液の質量を基準とする値である。親水性増粘剤が、アクリル酸塩、メタクリル酸塩又は2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸塩等の、カルボン酸塩又はスルホン酸塩をモノマー単位として含む重合体である場合、それぞれ対応するカルボン酸又はスルホン酸の質量を、それぞれのモノマー単位の質量とみなして、水性液における親水性増粘剤の濃度が計算される。
クリーム及びジェル等の化粧料に於いて、親水性増粘剤の濃度は、一般に0.2質量%〜1質量%程度の範囲である。増粘剤の濃度が0.2質量%以下であると、適切なレオロジー特性が十分得られない可能性が高く、増粘剤の濃度が1質量%を超えると、べたつき感及び肌残りが生じ易い傾向がある。そのため、親水性増粘剤の濃度は、0.5質量%程度とされるのが一般的である。すなわち、濃度0.5質量%の上記水性液の粘度特性は、実際の化粧料の粘度特性とほぼ対応するとみなすことができる。
本発明によれば、より優れたさっぱり感とともに軽い触感を有する化粧料が容易に得られる。
親水性増粘剤を含む水性液の定常流粘度の測定結果を示すグラフである。 親水性増粘剤を含む水性液の歪とせん断応力との関係を示すグラフである。 親水性増粘剤を含む水性液のゼロせん断粘度と降伏応力との関係を示すグラフである。 親水性増粘剤を含む水性液の降伏歪と降伏応力との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る化粧料は、水と、親水性増粘剤とを少なくとも含有する。親水性増粘剤は、水に溶解又は分散している。
水及び親水性増粘剤と、必要により添加される中和剤とから構成され、親水性増粘剤が水に分散又は溶解している、親水性増粘剤の濃度が0.5質量%であるpH6.8〜7.0の水性液の25℃における粘度特性に基づいて、親水性増粘剤が選択される。より具体的には、親水性増粘剤は、当該水性液のゼロせん断粘度η、降伏応力σ及び降伏歪γが、以下(1)、(2)及び(3)の特性を満足するように、選択され得る。
(1)1×10Pa・s≦η≦1×10Pa・s
(2)η及びσの関係を式−1:η=a×σ で表すとき、500≦a≦25000である。
(3)0.1%≦γ≦3%
ゼロせん断粘度η、降伏応力σ及び降伏歪γは、水性液のせん断粘度を測定する定常流粘度測定により求められる。定常流粘度測定において、粘度ηは、式:η=応力(σ)/せん断速度(dγ/dt)(γ:歪)により求められる。
ゼロせん断粘度ηは、粘度とせん断速度との関係を示すグラフにおいて、粘度をせん断速度ゼロに外挿して求められる値である。後述の定常流粘度測定によれば、せん断速度1×10−5〜1×10−2の範囲の低せん断領域の粘度を高い精度で測定することができる。本実施形態に係る親水性増粘剤を含む水性液の場合、このような低せん断領域において、せん断速度に依存して粘度が実質的に変動しないとみなせる領域が観測されることが多い。この場合、この領域における粘度を、ゼロせん断粘度とみなすことができる。
本実施形態に係る親水性増粘剤の場合、水性液の歪とせん断応力との関係を表す曲線において、一定のせん断応力までは、見かけ上の線形弾性体としての挙動が示された後、せん断応力の増加に対して歪が急激に増加し始める。この降伏点におけるせん断応力及び歪を、それぞれ降伏応力σ及び降伏歪γと定義することができる。
ここで、化粧料の使用感に関するさっぱり感および軽い触感について説明する。降伏歪は、化粧料のさっぱり感及びべたつき感等の触感と関係がある。降伏歪が小さければ、さっぱりした触感となり、降伏歪が大きければべたつき感が大きくなる。また、降伏応力の大きさは化粧料を容器から取り出した際や、皮膚へ塗り始めた際の触感に於ける、軽さや、重さ等の触感と関係がある。降伏応力が小さければ軽い触感となり、降伏応力が大きければ重い触感となる。
ゼロせん断粘度の値は、皮膚への塗布の際等に化粧料に対してせん断応力を加えたときに、化粧料を粘性体として流動させるために必要な最低限のせん断応力の大きさに対応すると理解することができる。(1)の特性のように、ゼロせん断粘度ηが1×10Pa・s〜1×10Pa・sの範囲内にあることにより、過度に流動することなく適度な硬さを有しながら、なめらかな触感を有する化粧料を得ることができる。ゼロせん断粘度が1×10Pa・s未満であると、化粧料がゾル状でせん断応力に対して降伏点を有しないものとなり易い。同様の観点から、ゼロせん断粘度ηはより好ましくは2×10Pa・s〜8×10Pa・sである。
(2)の特性に関して、本発明者らの知見によれば、ゼロせん断粘度と降伏応力は、式−1のように、一定の係数aの範囲で降伏応力σの2乗と相関している。このとき、係数aは、ゼロせん断粘度に対応する降伏応力の大きさの尺度として捉えることができる。ゼロせん断粘度と降伏応力との関係を、係数aを指標として調整することにより、さっぱりとした軽い触感の化粧料を得ることができる。
係数aが500〜25000の範囲内にあることにより、化粧料がせん断応力に対する降伏点を有するものとなり易い。係数aが500未満であると、化粧料の触感が重くなる傾向がある。同様の観点から、係数aはより好ましくは1000〜15000である。
降伏歪γが0.1%未満であるような増粘剤は、硬く変形し難いものであり、増粘剤としての効果を発揮し難い。降伏歪γが3%を超えると、化粧料のべたつき感が強くなる傾向がある。
例えば、アクリル酸若しくはメタクリル酸をモノマー単位として含むカルボキシビニルポリマー、又はアクリル酸若しくはメタクリル酸のアルキルエステルをモノマー単位として含むアルキル変性カルボキシビニルポリマーのような、従来の親水性増粘剤の場合、通常、水及び親水性増粘剤の水性液のηは1.0×10〜1×10Pa・sであるものの、式−1の係数aが100〜400であり、(2)の特性を満足しない。また、降伏歪γは1〜10%であり、(3)の特性の範囲と比較して大きくなり易い。
本実施形態に係る化粧料に含まれる親水性増粘剤は、(1)、(2)及び(3)の特性を満足するものであれば特に限定されないが、例えば、以下に説明するような実施形態に係る構成を有する。
本実施形態に係る親水性増粘剤は、例えば、水溶性架橋剤によって架橋された、水溶性エチレン性不飽和単量体の重合体である。この親水性増粘剤は、例えば、水溶性エチレン性不飽和単量体を、水溶性架橋剤の存在下で懸濁重合法により重合させる工程を含む方法により得ることができる。懸濁重合法のなかでも、水溶性エチレン性不飽和単量体、水溶性架橋剤及び水を含む水相の液滴を疎水性溶媒中に分散させながら重合反応を行う逆相懸濁重合法が好ましい。この方法において、生成するポリマー粒子(粒子状の親水性増粘剤)のサイズ、水溶性架橋剤の水溶性エチレン性不飽和単量体に対する割合、ラジカル重合開始剤の量等を調整することにより、上述の(1)、(2)及び(3)の特性を有する親水性増粘剤を容易に製造することができる。
水溶性エチレン性不飽和単量体は、特に限定されるものではないが、好ましくは、アクリル酸及びその塩、メタクリル酸及びその塩、2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸及びその塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、並びに、N,N−ジメチルアクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である。これらの中でも、十分な増粘性を得やすいこと等の観点から、カルボキシル基を有する単量体、すなわち、アクリル酸及びその塩、並びに、メタクリル酸及びその塩が好ましい。
水溶性架橋剤は、好ましくは、重合性不飽和基及び/又は反応性官能基を2個以上有する化合物である。反応性官能基は、水溶性エチレン性不飽和単量体が有するカルボキシル基等の官能基と反応して、架橋構造を形成し得る官能基である。その具体例としては、グリシジル基がある。2個以上のグリシジル基を有する水溶性架橋剤の例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル及びポリエチレングリコールジグリシジルエーテルがある。2個以上の重合性不飽和基を有する水溶性架橋剤の例としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート及び水溶性ショ糖アリルエーテルがある。
水溶性ショ糖アリルエーテルのエーテル化度は、好ましくは2.0〜3.5、より好ましくは2.2〜3.2である。水溶性ショ糖アリルエーテルのエーテル化度が低いと、架橋反応に関わる官能基であるアリル基が不足して、架橋反応が効果的に進行し難くなる傾向がある。水溶性ショ糖アリルエーテルのエーテル化度が高いと、水に対する溶解性が低下するため、水相中においてショ糖アリルエーテルと水溶性エチレン性不飽和単量体との架橋反応が進行し難くなる傾向がある。このエーテル化度は、ショ糖に対するアリルエーテル基のモル比の平均値である。エーテル化度は、例えば、ショ糖アリルエーテル中に残存する水酸基を、ピリジン中で無水酢酸と反応させ、このとき消費される無水酢酸の量から算出することができる。
水溶性ショ糖アリルエーテルは、例えば、ショ糖水性液に触媒の水酸化ナトリウムを加え、ショ糖をアルカリショ糖に転化した後、臭化アリルを滴下してエーテル化を行う方法により得ることができる。このとき、臭化アリルの量を、ショ糖に対して2〜6倍モルの、好ましくは2〜5倍モルの範囲に調整することにより、効率的に水溶性ショ糖アリルエーテルを得ることができる。エーテル化の反応温度は、例えば80℃程度である。通常、臭化アリルの滴下後3時間程度で反応が完結する。反応液から分離した水相にアルコールを添加し、析出する塩類を濾別した後、余分なアルコールと水分を留去させることにより、水溶性ショ糖アリルエーテルを回収することができる。
水溶性架橋剤の水溶性エチレン性不飽和単量体に対する割合により、親水性増粘剤の架橋度を調整することができる。親水性増粘剤の架橋度が大きくなると、ゼロせん断粘度が大きくなる傾向がある。上述の式(1)及び(2)の特性を満足する親水性増粘剤を得るために、水溶性架橋剤の水溶性エチレン性不飽和単量体に対するモル比は、好ましくは1×10−4〜5×10−3、より好ましくは2×10−4〜3×10−3である。
逆相懸濁重合に用いられる疎水性溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素及び芳香族炭化水素から選ばれる石油系炭化水素溶媒が用いられる。脂肪族炭化水素としては、n−ペンタン、n−ヘキサン及びn−ヘプタン等が挙げられる。脂環式炭化水素としては、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサン等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン及びキシレン等が挙げられる。特に、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン及びトルエンから選ばれる少なくとも1種の疎水性溶媒が、工業的な汎用溶媒として好適に使用される。疎水性溶媒の比率は、水溶性エチレン性不飽和単量体等を含む水相100質量部に対して、例えば100〜200質量部である。
逆相懸濁重合の際、水溶性エチレン性不飽和単量体等を含む水相、又は前記疎水性溶媒は、界面活性剤及びラジカル開始剤等の他の成分を含んでいてもよい。
界面活性剤は、主に重合中の懸濁状態を安定化させるために用いられる。界面活性剤は、逆相懸濁重合において通常用いられるものであれば特に限定されない。好ましくは、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、変性ポリエチレンワックス、変性ポリプロピレンワックス、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、セルロースエーテル(ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース等)、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩から選ばれる1種又は2種以上の界面活性剤が用いられる。
界面活性剤の量は、水溶性エチレン性不飽和単量体に対して好ましくは0.1〜10.0質量%、より好ましくは0.5〜5.0質量%である。界面活性剤の量が少ないと重合の際の懸濁状態の安定性に問題が生じる可能性があり、界面活性剤の量が多いと経済的に不利となる傾向がある。
ラジカル開始剤は、通常のラジカル重合に用いられるものであれば特に限定されないが、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及びアゾ系開始剤などが好適に使用される。例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩をラジカル開始剤として用いることができる。
ラジカル開始剤の量は、水溶性エチレン性不飽和単量体に対して好ましくは0.01〜0.5質量%、より好ましくは0.02〜0.2質量%である。ラジカル開始剤の量が少ないと重合反応が進行し難くなったり、反応に長時間が必要となったりする傾向がある。ラジカル開始剤の量が多くなると、生成する重合体の鎖長が短くなって、親水性増粘剤の水性液のゼロせん断粘度ηが低下する傾向がある。
逆相懸濁重合の際、水溶性エチレン性不飽和単量体等を含む液滴のサイズは、得られるポリマー粒子のサイズと密接な関係がある。反応容器及び製造スケール等の条件により異なるが、例えば2Lのフラスコを反応容器として用いた場合、撹拌速度600〜1000回転/分の条件で逆相懸濁重合を行うことにより、上述の特性(1)、(2)及び(3)を満足するために適したサイズのポリマー粒子を得ることができる可能性が高い。また、添加する水溶性架橋剤の量により、架橋重合体の分子量及び架橋度を調整させることができる。このように、重合反応時の撹拌速度及び水溶性架橋剤の添加量を調整し、ポリマー粒子のサイズ、分子量及び架橋度を制御することで、親水性増粘剤としての特性をそれぞれの用途に応じて容易に適性化させることができる。このようにして得られたポリマー粒子は通常、球状であり、この形状は、0.5質量%水性液においても保持される。当該形状はこれを用いた化粧料において、種々の特性や触感・使用感に影響を及ぼすこともあると察せられる。
重合反応のその他の諸条件、例えばラジカル開始剤の量、重合反応温度、反応時間等も適宜調整される。重合反応温度は、例えば50〜80℃であり、反応時間は、例えば30分〜3時間である。例えば2Lのフラスコを反応容器として用いる場合、その浴温を60℃に調整して重合反応を開始させることができる。この場合、重合反応の開始は、反応容器内の温度が重合熱で70数℃に上昇することから確認できる。その後、30分〜3時間程度の熟成反応を行うことで、通常は重合反応が完結する。熟成時間が、それより短いと反応が充分に完了せず、残存する水溶性エチレン性不飽和単量体が多くなることがある。熟成反応後、浴温を上昇させて反応容器内の水及び石油系炭化水素溶媒を留去させることで、生成物を取得することができる。
本実施形態に係る化粧料の種類は、特に限定されないが、例えば、化粧水、乳液、美容液、クリーム、クリームパック、マッサージクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングジェル、洗顔フォーム、透明シャンプー、パールシャンプー、ボディーシャンプー、保湿ジェル、ヘアーセッティングジェル、日焼け止め、スタイリングジェル、アイライナー、マスカラ、口紅及びファンデーションから選ばれる。
クリーム、クリームパック、マッサージクリーム及びクレンジングクリーム等のクリーム化粧料、又は、クレンジングジェル、保湿ジェル、ヘアーセッティングジェル及びスタイリングジェル等のジェル系化粧料として本実施形態に係る化粧料を用いると、さっぱり感及び軽さに関するメリットが特に大きい。
これらのうち、例えば水中油型乳化化粧料である乳液及びクリームは、油性成分と、水、親水性増粘剤、保湿剤、界面活性剤、及びキレート剤(エデト酸ナトリウム等)等を含む水性成分と、防腐剤、香料及び薬剤などのその他の成分から構成されている。一般的には、水中油方乳化化粧料は、水相と油相を70℃前後に加熱溶解し、ホモミキサーで乳化した後、撹拌しながら冷却する工程で製造される。親水性増粘剤はこれらの製品のレオロジーコントロール剤及び乳化安定剤として機能する。親水性増粘剤の量は、乳液では全成分に対し0.1〜0.6質量%、クリームでは0.2〜2質量%程度である。
油性成分は、特に限定されないが、肌への質感、馴染み、外観、滑り性等を考慮して、天然系オイル、シリコーン系オイル及びエステル油等であってもよい。
天然系オイルとしては、例えば、流動パラフィン等のパラフィン系炭化水素、オリーブオイル、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、ホホバ油、オレンジラフィー油、ミツロウ、ラノリン、ミネラルオイル、及びスクワラン等が挙げられる。
シリコーン系オイルとしては、例えば、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状メチルシロキサン、及びシリコーンポリエーテルコポリマー等の変性シリコーンオイル等が挙げられる。
エステル油としては、各種脂肪酸エステルが挙げられる。例えば、オレイン酸、エルカ酸、ミリスチン酸、リシノレイン酸等の各脂肪酸のオクチルドデシルエステルが好適である。
これらの油性成分は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
保湿剤は、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビット、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジグリセリン、マンニトール及びPOEメチルグリコシド等から適宣選ばれる。
界面活性剤は、ノニオン性のモノステアリン酸グリセリン、POEソルビタン脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステル等が使用されることが多い。ただし、アニオン性、カチオン性又は両性の界面活性剤を使用することもできる。
保湿ジェル、及びヘアーセッティングジェル等のジェル系化粧料は、水、保湿剤、及び必要によりヘアーセッティング剤などの薬剤と、親水性増粘剤とを含有する。親水性増粘剤の量は、ジェル系化粧料の質量を基準として好ましくは0.3〜1質量%である。
更に、従来、カルボキシビニルポリマーが主として使用されている、化粧料以外のトイレタリー、各種洗浄剤および工業用増粘剤等の分野に於いても、本実施形態に係る親水性増粘剤を用いることにより、さっぱり感及び軽さの使用感に類似の使用感や塗布感等の効果が付与された製品を提供することができる。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(水溶性ショ糖アリルエーテルの合成)
製造例1
1000mLのセパラブルフラスコに撹拌機、還流冷却管及び滴下ロートを取り付けた。このセパラブルフラスコの中で、水144gに水酸化ナトリウム48g(1.2モル)を溶解した。そこにショ糖136.8g(0.4モル)を加え、70〜85℃で120分間撹拌して、アルカリショ糖水性液を調製した。このアルカリショ糖水溶液に対して、臭化アリル145.2g(1.2モル)を、70〜85℃で1.5時間かけて滴下し、その後、80℃で3時間熟成して、ショ糖をアリルエーテル化した。冷却後、水440gを添加し、分液ロートで余分な油分を分離して、粗ショ糖アリルエーテル水溶液を得た。この粗ショ糖アリルエーテル水溶液に塩酸を加えてpHを6〜8に調整した後、ロータリーエバポレーターを用いて、水溶液の質量が480gになるまで水分を除去した。そして、エタノール200gを添加して副生成物の臭化ナトリウム等の塩類を析出させ、析出物を濾別により水溶液から除去した。さらにエバポレーターを用いて水溶液から余分な水分を除去し、エーテル化度2.4の精製された水溶性ショ糖アリルエーテル166gを得た。
(親水性増粘剤の合成)
製造例2
500mLセパラブルフラスコに撹拌機、還流冷却管及び滴下ロートを取り付けた。このセパラブルフラスコの中にアクリル酸72g及び水を入れ、80質量%のアクリル酸水溶液90gを調製した。アクリル酸水溶液を冷却しながら、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液94gを滴下して、水溶液を中和した。さらにイオン交換水56gと、架橋剤としてのN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.0184g(アクリル酸水溶液に対して0.02質量%)と、開始剤としての2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩(和光純薬工業株式会社製 V−50)0.064gとを加えて、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を調製した。
これとは別に、撹拌機、還流冷却管、滴下ロート及び窒素ガス導入管を取り付けた2Lのセパラブルフラスコにn−ヘプタン330gを入れ、さらに界面活性剤であるショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社製 S−370)2.7gを加え、これをn−ヘプタンに分散及び溶解させた。そこに、先に調製した水溶性エチレン不飽和単量体水溶液を加えた。反応容器内の雰囲気、原料および溶媒中に存在している酸素を除去するために溶液中に窒素ガスを吹き込んで系内を窒素置換しながら、浴温を60℃に保持して、撹拌速度1000回転/分で撹拌して、1時間かけて逆相懸濁重合法により重合を行った。重合終了後、水およびn−ヘプタンを留去して、アクリル酸及びそのナトリウム塩の重合体であって、N,N’−メチレンビスアクリルアミドによって架橋された重合体である親水性増粘剤Aの粉末103gを得た。
製造例3
架橋剤を、N,N’−メチレンビスアクリルアミドから水溶性ショ糖アリルエーテル0.35g(アクリル酸水溶液に対して0.4質量%)に変更したこと以外は製造例2と同様の操作により、アクリル酸及びそのナトリウム塩の重合体であって、水溶性ショ糖アリルエーテルによって架橋された重合体である親水性増粘剤Bの粉末102gを得た。
製造例4
架橋剤のN,N’−メチレンビスアクリルアミドの量を、0.0184g(アクリル酸水溶液に対して0.02質量%)から0.046g(アクリル酸水溶液に対して0.05質量%)に変更したこと以外は製造例2と同様の操作により、アクリル酸及びそのナトリウム塩の重合体であって、N,N’−メチレンビスアクリルアミドによって架橋された重合体である親水性増粘剤Cの粉末102gを得た。
製造例5
界面活性剤を、ショ糖ステアリン酸エステルからソルビタンモノステアレート(日油株式会社製、ノニオンSP-60R)3.0gに変更したこと以外は製造例3と同様の操作により、アクリル酸及びそのナトリウム塩の重合体であって、水溶性ショ糖アリルエーテルによって架橋された重合体である親水性増粘剤Dの粉末103gを得た。
製造例6
開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩(和光純薬工業株式会社製 V−50)の量を0.064gから0.037gに変更したこと以外は製造例5と同様の操作により、アクリル酸及びそのナトリウム塩の重合体であって、水溶性ショ糖アリルエーテルによって架橋された重合体である親水性増粘剤Eの粉末102gを得た。
製造例7
架橋剤である水溶性のショ糖アリルエーテルの量を0.35g(アクリル酸水溶液に対して0.4質量%)から0.7g(アクリル酸水溶液に対して0.8質量%)に変更したこと以外は製造例6と同様の操作により、アクリル酸及びそのナトリウム塩の重合体であって、水溶性ショ糖アリルエーテルによって架橋された重合体である親水性増粘剤Fの粉末103gを得た。
製造例8
撹拌機、温度計、窒素吹き込み管及び冷却管を取り付けた500mL容の四つ口フラスコに、アクリル酸45g(0.625モル)、ペンタエリトリトールアリルエーテル0.66g、ノルマルヘキサン150g及び2,2’−アゾビスメチルイソブチレート0.081g(0.00035モル)を仕込んで、反応液を調製した。反応液を撹拌して各原料を均一に混合した後、反応容器の雰囲気、原料及び溶媒中に存在している酸素を除去するために溶液中に窒素ガスを吹き込んだ。次いで、窒素雰囲気下、反応液を60〜65℃に保持して4時間反応させた。反応終了後、生成したスラリーを90℃に加熱して、n−ヘキサンを留去し、さらに、110℃、10mmHgにて8時間減圧乾燥することにより、白色微粉末状のカルボキシビニルポリマーAの粉末42gを得た。
製造例9
ペンタエリトリトールアリルエーテルの量を0.66gから1.32gに変更したこと以外は製造例8と同様の操作により、白色微粉末状のカルボキシビニルポリマーBの粉末42gを得た。
製造例10
ブレンマーVMA70(日本油脂株式会社製:10〜20質量部のメタクリル酸ステアリル、10〜20質量部のメタクリル酸エイコサニル、及び59〜80質量部のメタクリル酸ベヘニルを含み、メタクリル酸テトラコサニルの含有量が1質量部以下の混合物)0.45gを反応液に追加したこと以外は製造例8と同様の操作により、白色微粉末状のアルキル変性カルボキシビニルポリマー(カルボキシビニルポリマーC)の粉末43gを得た。
(化粧料の調製)
実施例1
以下に示した成分1〜4をそれぞれの割合で加えて均一に混合した。混合物をさらに撹拌しながら成分5を加え、均一に混合して、保湿ジェルを得た。「%」は、各成分の合計質量を基準とする質量%を意味する。これは以下の実施例及び比較例でも同様である。
1.グリセリン 7%
2.プロピレングリコール 5%
3.防腐剤 0.5%
4.水 86.9%
5.親水性増粘剤B 0.6%
実施例2
親水性増粘剤Bを親水性増粘剤Eに変更したこと以外は実施例1と同様の操作により、保湿ジェルを調製した。
実施例3
親水性増粘剤Bを親水性増粘剤Dに変更したこと以外は実施例1と同様の操作により、保湿ジェルを調製した。
実施例4
以下に示した成分1、2を3の水に溶解した後、攪拌しながら成分4を添加し、均一に混合して、ヘアージェルを得た。
1.グリセリン 4%
2.ポリビニルピロリドン
(ISP corp製 PVP K−90) 1%
3.水 94.4%
4.親水性増粘剤E 0.6%
実施例5
下記のオイル成分1〜3を混合し、そこに、水に加温溶解した成分4,5を加え、ホモミキサー(13000rpm)により乳化した。その後、攪拌しながら成分7を添加し、均一に混合して、クリームを得た。
1.流動パラフィン 10%
2.パルミチン酸イソプロピル 10%
3.トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル 10%
4.ポリソルベート60 3%
5.フェノキシエタノール 0.5%
6.水 66%
7.親水性増粘剤E 0.6%
実施例6
親水性増粘剤Eを親水性増粘剤Dに変更したこと以外は実施例5と同様の操作により、クリームを調製した。
実施例7
親水性増粘剤Bを親水性増粘剤Aに変更したこと以外は実施例1と同様の操作により、保湿ジェルを調製した。
実施例8
親水性増粘剤Bを親水性増粘剤Cに変更したこと以外は実施例1と同様の操作により、保湿ジェルを調製した。
実施例9
親水性増粘剤Bを親水性増粘剤Fに変更したこと以外は実施例1と同様の操作により、保湿ジェルを調製した。
比較例1
下記の成分4を水に溶解し、成分1〜3を添加してから、成分6を均一に混合して、保湿ジェルを得た。
1.グリセリン 7%
2.プロピレングリコール 5%
3.フェノキシエタノール 0.5%
4.カルボキシビニルポリマーA 0.5%
5.水 83.8%
6.6%NaOH 3.2%
比較例2
カルボキシビニルポリマーAをカルボキシビニルポリマーBに変更したこと以外は比較例1と同様の操作により、保湿ジェルを調製した。
比較例3
カルボキシビニルポリマーAを製造例10のカルボキシビニルポリマーCに変更したこと以外は比較例1と同様の操作により、保湿ジェルを調製した。
比較例4
以下の成分1〜4を3の水に溶解し、そこに成分5を均一に混合して、ヘアージェルを得た。
1.グリセリン 4%
2.ポリビニルピロリドン
(ISP corp製 PVP K−90) 1%
3.水 91.3%
4.カルボキシビニルポリマーA 0.5%
5.6%NaOH 3.2%
比較例5
下記のオイル成分1〜3を混合した。そこに、水に成分7を溶解し、更に成分4,5を加え加温溶解した溶液を加え、ホモミキサー(13000rpm)により乳化した。その後、攪拌しながら成分8を添加し、均一に混合して、クリームを得た。
1.流動パラフィン 10%
2.パルミチン酸イソプロピル 10%
3.トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル 10%
4.ポリソルベート60 3%
5.フェノキシエタノール 0.5%
6.水 62.8%
7.カルボキシビニルポリマーB 0.5%
8.6%NaOH 3.2%
比較例6
カルボキシビニルポリマーBをカルボキシビニルポリマーCに変更したこと以外は比較例6と同様の操作により、クリームを調製した。
(親水性増粘剤及びカルボキルビニルポリマーの特性評価)
評価用水性液の調製
親水性増粘剤及びカルボキルビニルポリマーを水と混合して、それぞれの水性液(濃度0.5質量%)を調製した。親水性増粘剤がアクリル酸ナトリウム塩をモノマー単位として含む場合、アクリル酸の質量を基準として親水性増粘剤の質量%を計算した。親水性増粘剤A〜Fを含む各水性液のpHは6.8〜7.0であった。カルボキルビニルポリマーを含む各水性液については、所定量の6質量%水酸化ナトリウム水溶液を中和剤として用いてpHを6.8〜7.0に調製するとともに、ポリマーの濃度を0.5質量%とした。
ゼロせん断粘度、降伏応力および降伏歪
各評価用水性液について、TAインスツルメント社製レオメーターAR−2000exを用いて定常流粘度測定を以下の条件で行った。図1は、親水性増粘剤B,Dと、カルボキシビニルポリマーA,Bの定常流粘度測定の結果を示すグラフである。
測定温度 25℃
ジオメトリー:60mm parallel prate Gap:500μm
せん断速度:1×10−5〜1×10−2(1/s)、7ポイント/桁
データ取込条件:サンプリング時間5秒、公差2%以内2回、Max測定時間4分/ポイント(ソフトのバージョン:Product version V5.7.0)
定常流粘度測定において、粘度ηは、せん断応力σ及びせん断速度dγ/dt(γ:歪)から、式:η=σ/(dγ/dt)により求めた。粘度ηとせん断速度との関係を表す曲線の低せん断領域における、せん断速度に依存して粘度が実質的に変化しないとみなせる領域の粘度を、ゼロせん断粘度ηとした。
x軸を「せん断応力σ」、y軸を「歪(%)」とする両対数プロットを作成し、得られるプロットにおいて、せん断応力の増加に対して歪が急激に増加する屈曲点(降伏点)におけるせん断応力及び歪を、それぞれ降伏応力σ及び降伏歪γとした。図2は、親水性増粘剤B,Eと、カルボキシビニルポリマーA,Bについて、歪とせん断応力との関係を示すグラフである。
(化粧料の評価)
質感官能試験
実施例、比較例で得られた各化粧料について、男女各5人の試験者によって、適量の化粧料を手の甲に塗付し、指で伸ばした時のさっぱり感および軽さを質感として以下の基準で評価した。
A:さっぱり感、軽さが良い。
B:さっぱり感、軽さがやや悪い。
C:さっぱり感、軽さが悪い。
化粧料の粘度特性
各化粧料のB型粘度を、BH型回転粘度計を用いて測定した。スピンドルローターの回転速度を毎分20回転として、25℃において、ローターの回転を開始してから1分後の粘度の値を読み取った。さらに、各化粧料の定常流粘度測定を上述と同様の条件で行い、化粧料のゼロせん断粘度、降伏応力及び降伏歪を求めた。
(評価結果)
表1に、親水性増粘剤A〜F及びカルボキシビニルポリマーA〜Cの特性の評価結果を示す。
Figure 2014156399
表1に示されるように、親水性増粘剤A〜Fの水性液の粘度特性は、(1)1×10Pa・s≦η≦1×10Pa・s、(2)500≦a≦25000、及び(3)0.1%≦γ≦3%の条件を全て満足していることが確認された。
図3は、ゼロせん断粘度ηと降伏応力σの関係を示すグラフである。図3に示す1組の補助線10の内側の領域は、式−1:η0=a×σ の関係において、500≦a≦25000の範囲に対応する。親水性増粘剤A〜Fは、いずれもこの領域の範囲内にある。一方、カルボキシビニルポリマーA〜Cの粘度特性は、100≦a≦400の範囲に対応する1組の補助線20の内側の領域に位置する。
図4は、降伏歪γと降伏応力σとの関係を示すグラフである。親水性増粘剤A〜Fは、カルボキシルビニルポリマーと比較して、降伏力応力が大きい場合にも、より小さい降伏歪を示すことがわかる。
表2に、化粧料の評価結果を示す。
Figure 2014156399
表2に示されるように、親水性増粘剤A〜Fを用いた実施例1〜9によれば、良好なさっぱり感及び軽さを有する化粧料が得られた。質感官能試験の結果から、親水性増粘剤の特性が、明確に化粧料に反映されていることが判る。
表1に示されるように、親水性増粘剤B、E及びDは、それぞれ、カルボキシルビニルポリマーA、B及びCとほぼ同等のゼロせん断粘度を有する。表2の実施例1〜6と比較例1〜6とを比較することにより、同等のゼロせん断粘度の増粘剤を用いたときの、増粘剤の水性液の降伏応力及び降伏歪等の保湿ジェル、ヘアージェル又はクリームの特性への影響を評価することができる。
実施例1〜6の化粧料は、増粘剤以外は同じ処方の比較例1〜6の化粧料と比較して、降伏歪及び降伏応力が小さく、特に降伏歪が顕著に小さかった。このことが、良好なさっぱり感及び軽さの使用感に寄与したと考えられる。
実施例7〜9の化粧料は、親水性増粘剤A,C又はFを配合した保湿ジェルである。実施例7は、親水性増粘剤A〜Fの中で最も低いゼロせん断粘度を有する親水性増粘剤Aを配合した保湿ジェルである。この様な低いゼロせん断粘度を有しながら、歪とせん断応力との関係において降伏点を有する保湿ジェルは、通常のカルボキシビニルポリマーを配合する方法では得ることができない。実施例9の化粧料は、親水性増粘剤A〜Fの中で最も高いゼロせん断粘度を有する親水性増粘剤Fを配合した保湿ジェルである。従来のカルボキシビニルポリマーを配合する方法によれば、高いゼロせん断粘度を有しながら、このような降伏応力が小さい化粧料を得ることはできない。

Claims (1)

  1. 親水性増粘剤を含有する化粧料であって、
    水及び0.5質量%の当該親水性増粘剤を含むpH6.8〜7.0の水性液の、25℃におけるゼロせん断粘度η、降伏応力σ及び降伏歪γが、以下(1)、(2)及び(3)の特性を有する、化粧料。
    (1)1×10Pa・s≦η≦1×10Pa・s
    (2)η及びσの関係を式−1:η=a×σ で表すとき、500≦a≦25000である。
    (3)0.1%≦γ≦3%
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