JP2014151830A - 重荷重用空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

重荷重用空気入りラジアルタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】耐サイドカット性を高めることを目的とする。
【解決手段】ビードコア24が埋設された一対のビード部12と、ビード部12間を跨り、ビードコア24間に位置するカーカス本体部18Aと、該ビードコア24のタイヤ幅方向の内側から外側へ折り返された折返し部18Bとを有するカーカスプライ18と、ビード部12のタイヤ半径方向外側に夫々連なり、正規リムに組み付け正規内圧を充填した無負荷状態において、タイヤ最大幅位置(B点)が、カーカス本体部18Aの最大幅位置18Eよりタイヤ半径方向外側に位置するサイド部14と、各々のサイド部14のタイヤ半径方向外側端部同士をタイヤ幅方向に連結するトレッド部16と、サイド部14に設けられた補強層22と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、重荷重用空気入りラジアルタイヤに関する。
重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、石等の突起物による耐サイドカット性の低下のおそれを取り除くため、カーカスラインの変更をせずにタイヤ最大幅を増やし、かつその最大幅位置をサイド部のデコレーションラインからバットレス部に移設したものが開示されている(特許文献1参照)。
特開2011−111003号公報
上記した従来例では、踏面方向からサイド部に受ける深い垂直方向カットの低減を目的に、荷重時のサイド形状を路面に対して垂直化することを狙ったものであり、その低減効果は確認できている。しかしながら、タイヤ最大幅位置をサイド部のデコレーションラインからバットレス部に移設したことに伴い、深いカットを受ける位置がトレッド部側に移動し、ショルダー部における深いカットの受傷頻度が増加するという問題が残されている。
本発明は、上記事実を考慮して、耐サイドカット性を高めることを目的とする。
請求項1の発明は、ビードコアが埋設された一対のビード部と、前記ビード部間を跨り、前記ビードコア間に位置するカーカス本体部と、該ビードコアのタイヤ幅方向の内側から外側へ折り返された折返し部とを有するカーカスプライと、前記ビード部のタイヤ半径方向外側に夫々連なり、正規リムに組み付け正規内圧を充填した無負荷状態において、タイヤ最大幅位置が、前記カーカス本体部の最大幅位置よりタイヤ半径方向外側に位置するサイド部と、各々の前記サイド部のタイヤ半径方向外側端部同士をタイヤ幅方向に連結するトレッド部と、前記サイド部に設けられた補強層と、を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、前記補強層が、タイヤ半径方向において前記タイヤ最大幅位置から外側の領域に設けられている。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、前記補強層が、タイヤ半径方向において前記タイヤ最大幅位置から内側の領域に設けられている。
請求項4の発明は、請求項1に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、前記サイド部における前記ビード部側のタイヤ外面に形成され、タイヤ半径方向内側の端部が、前記折返し部の折返し端よりもタイヤ半径方向外側に位置する凹部を有する。
請求項5の発明は、請求項4に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、前記補強層が、前記凹部の領域と、タイヤ半径方向において前記凹部のタイヤ径方向外側の端部から前記タイヤ最大幅位置までの領域の少なくとも一部とに設けられている。
請求項6の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、前記補強層は、前記サイド部の外面に設けられ、モジュラスが異なるゴムを互いに重ね合わせた積層ゴムである。
請求項7の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、前記補強層は、コードを用いて構成されている。
本発明によれば、耐サイドカット性を高めることができる、という優れた効果が得られる。
第1実施形態に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤのうち、タイヤ赤道面の片側部分を示す断面図である。 第2実施形態に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤのうち、タイヤ赤道面の片側部分を示す断面図である。 第3実施形態に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤのうち、タイヤ赤道面の片側部分を示す断面図である。 第4実施形態(実施例1)に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤのうち、タイヤ赤道面の片側部分を示す断面図である。 第5実施形態(実施例2)に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤのうち、タイヤ赤道面の片側部分を示す断面図である。 第6実施形態(実施例3)に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤのうち、タイヤ赤道面の片側部分を示す断面図である。 第7実施形態(実施例4)に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤのうち、タイヤ赤道面の片側部分を示す断面図である。 従来例1に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤのうち、タイヤ赤道面の片側部分を示す断面図である。 従来例2に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤのうち、タイヤ赤道面の片側部分を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1において、本実施形態に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤ100は、一対のビード部12と、カーカスプライ18と、サイド部14と、トレッド部16と、補強層22と、を有している。
一対のビード部12は、リム(図示せず)に嵌め込まれる部位である。このビード部12には、ビードコア24が夫々埋設されている。
カーカスプライ18は、ビード部12間を跨り、ビードコア24間に位置するカーカス本体部18Aと、該ビードコア24のタイヤ幅方向の内側から外側へ折り返された折返し部18Bとを有している。カーカスプライ18のコードには、スチールや有機繊維等が用いられる。カーカスプライ18のクラウン域の外周側には、複数のベルト層21が配置されている。
カーカスプライ18において、タイヤ幅方向におけるカーカス本体部18Aと折返し部18Bとの間の距離は、ビードコア24からタイヤ半径方向外側(矢印Y方向)に向かって漸減してから漸増に転じている。折返し部18Bは、ビード部12内に位置する折返し端18Cで終端している。つまり、カーカスプライ18は、低い折返し高さを有している(後述する図3から図5の例との比較による。)。また、折返し部18Bには、タイヤ幅方向内側(矢印XI方向)に凸に湾曲する湾曲部18Dが設けられている。これにより、カーカス本体部18Aと折返し部18Bとの間隔が部分的に狭められている。湾曲部18Dの曲率半径は、タイヤサイズにより異なるが、例えば8〜10mmである。
サイド部14は、ビード部12のタイヤ半径方向外側に夫々連なり、正規リムに組み付け正規内圧を充填した無負荷状態において、タイヤ最大幅位置(B点)が、カーカス本体部18Aの最大幅位置18Eよりタイヤ半径方向外側に位置している。即ち、タイヤ最大幅位置(B点)は、カーカス本体部18Aの最大幅位置18Eよりタイヤ半径方向外側の所謂バットレス部38に位置している。またこのとき、凹部20のタイヤ半径方向外側の端部(G点)は、カーカス本体部18Aの最大幅位置18Eよりタイヤ半径方向内側に位置している。これにより、サイド部14のうち、凹部20とカーカス本体部18Aの最大幅位置18Eとの間におけるカーカス本体部18Aのタイヤ外側のゴムゲージを厚くすることが可能となっている。このサイド部14は、タイヤ幅方向外側(矢印XO方向)に凸に湾曲している。タイヤ幅方向とは、タイヤ軸方向と平行でかつ該タイヤ軸方向を含む方向である。
サイド部14におけるビード部12側のタイヤ外面には、凹部20が形成されている。凹部20のタイヤ半径方向内側の端部(F点)は、カーカスプライ18の折返し部18Bの折返し端18Cよりもタイヤ半径方向外側に位置している。
ビード部12のリムベースラインBLを基準とした端部(F点)のタイヤ半径方向高さh3は、リムフランジ高さ(図示せず)に対して1.28〜1.5倍である。凹部20は、サイド部14の外面を抉ったような形状となっている。凹部20のタイヤ半径方向内側の端部(F点)とは、タイヤ幅方向断面において、ビード部12のタイヤ外面とサイド部14のタイヤ外面とを結ぶ仮想輪郭線(図示せず)から、凹部20の落込みが始まる位置をいう。後述する凹部20のタイヤ半径方向外側の端部(G点)についても同様である。
ビード部12のリムベースラインBL(正規リムのリム半径R)を基準とした、凹部20のタイヤ半径方向内側の端部(F点)のタイヤ半径方向高さh3は、リムベースラインBLを基準とした正規リムのリムフランジ高さをHfとすると、例えばh3=1.28〜1.5Hfである。
タイヤ幅方向断面において、タイヤ最大幅位置(B点)と凹部20との間に位置するタイヤ外面上の点をA点とすると、ビード部12のリムベースラインBLを基準としたA点のタイヤ半径方向高さh2は、タイヤ断面高さSHに対して0.40SH〜0.45SHである。
またタイヤセンターC(タイヤ赤道面CL)からB点までのタイヤ幅方向の距離OW(タイヤ最大半幅)は、TRA規格等で規定される呼び幅に対して、例えば0.97〜1.03倍である。この距離OWは、従来タイヤ(特許文献1)よりも小さく設定されている。これは、路面の障害物とタイヤ外面との相対距離を大きくして、カット受傷頻度を低減させるためである。
図1の二点鎖線は、従来タイヤ(特許文献1)の形状を示している。凹部20の位置に対応する従来形状の曲率半径をR1とし、凹部20の曲率半径をR2とすると、例えばR2/R1=0.75〜0,98である。ここで、曲率半径R1,R2の中心は、何れもA点を通るタイヤ幅方向の線分LA上で、かつサイド部14のタイヤ内側にあるものとする。
カーカス本体部18Aのうち、A点と同じ高さ位置をD点とすると、タイヤ赤道面CLからD点までのタイヤ幅方向の距離PWは、例えば0.85〜0.9OWである。
凹部20のタイヤ半径方向内側部分は、曲率半径R3の断面円弧形状となっている。この曲率半径R3は、例えば50mm以上である。ここで、曲率半径R3の中心は、曲率半径R1,R2とは異なり、サイド部14のタイヤ外側にあるものとする。なお、曲率中心がサイド部14のタイヤ外側にある断面円弧形状の曲率半径は、単一に限られず、互いに曲率半径が異なる断面円弧形状が複数存在していてもよい。
タイヤ幅方向におけるG点の位置は、タイヤ赤道面CLからA点までの距離をSWとすると、該タイヤ赤道面CLを基準として、SW×(0.9〜1.0)の範囲内にある。またタイヤ半径方向におけるG点の位置は、リムベースラインBLを基準として、h2×(0.9〜1.0)の範囲内にある。
トレッド部16は、各々のサイド部14のタイヤ半径方向外側端部同士をタイヤ幅方向に連結する部位である。タイヤ幅方向断面において、トレッド部16のトレッドセンターをC点とし、トレッド端をT点とすると、C点を基準としたB点までのタイヤ半径方向の距離h1は、例えば、タイヤ断面高さSHに対して0.20SH〜0.40SHである。
ここで、距離h1が0.20SH未満では、耐サイドカット性は向上するが、バットレス部38のゴム量が過多となることでゴム体積が増加して発熱量が増加することになる。一方で、0.40SHを超えると、所望の耐サイドカット性が得られない。
タイヤ幅方向断面において、B点を通るタイヤ半径方向の線分に対するB点とA点の間のタイヤ外面の鋭角側の角度αは、例えば、0<α≦30°である。角度αが30°を超えると、バットレス部38のゴム量が増加することで、その領域の発熱量が増加するおそれがある。なお、重荷重用空気入りラジアルタイヤ100に対し、正規荷重(規格上の最大荷重)が作用した際に、路面と、B点とA点の間のタイヤ外面とのなす角度が90°以上となることが望ましい。また重荷重用空気入りラジアルタイヤ100に対し、正規荷重の例えば120〜130%の過荷重が作用した際にも、A点付近が最大幅とならないように、路面と、B点とA点の間のタイヤ外面とのなす角度が90°以上となることが望ましい。
タイヤ幅方向断面において、タイヤ半径方向の線分に対するB点とT点との間のタイヤ外面の鋭角側の角度βは、例えば、0≦β<30°である。角度βが30°以上では、カット受傷頻度やカット深さが増大し、耐サイドカット性を向上できないおそれがある。この角度βは対地角度であり、できるだけ小さいことが望ましい。ここで、T点とは、タイヤ外面のうち、トレッド幅TWに位置する点である。T点のタイヤ幅方向内側には、トレッド部16の接地端となるE点が存在している。タイヤ外面において、E点とT点との間の区間と、該T点とB点との間の区間は、該T点で交差している。E点とT点を結ぶ直線と、タイヤ半径方向の線分とがなす鋭角側の角度γは、例えば35〜75°である。
補強層22は、サイド部14のうち、例えば、タイヤ半径方向においてタイヤ最大幅位置(B点)から外側の領域に設けられている。この補強層22は、サイド部14の外面に設けられ、モジュラスが異なるゴムを互いに重ね合わせた積層ゴムである。なお、「タイヤ最大幅位置(B点)から外側の領域」とは、タイヤ最大幅位置(B点)より内側の領域を除外するものではない。従って、補強層22は、タイヤ半径方向において、タイヤ最大幅位置(B点)の外側から内側まで設けられていてもよい。また「モジュラス」とは、25℃における300%伸長モジュラスである。
本実施形態において、「正規リム」とは、例えばJATMAが発行する2013年版のYEAR BOOKに定められた適用サイズにおける標準リムを指し、「正規内圧」とは、同様に、JATMAが発行する2013年版のYEAR BOOKに定められた適用サイズ・プライレーティングにおける最大荷重に対する空気圧を指す。
「接地端」とは、重荷重用空気入りラジアルタイヤ100を正規リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%の内圧を充填し、最大負荷能力を負荷したときの接地領域におけるタイヤ幅方向最外側の端部である。
「トレッド幅」とは、JATMA YEAR BOOKに定められた「トレッド幅」のことである。
使用地又は製造地において、TRA規格、ETRTO規格が適用される場合は、各々の規格に従う。
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。本実施形態に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤ100は、サイド部に補強層22が設けられているので、該サイド部14の耐サイドカット性を高めることができる。特に、タイヤ半径方向において、タイヤ最大幅位置(B点)から外側の領域に補強層22が設けられているので、トレッド部16に近いショルダー部での深いカットの受傷頻度を低減させることができる。また、サイド部14におけるビード部12側のタイヤ外面に凹部20が形成されているので、路面の障害物による該サイド部14のカット受傷頻度を低減させることができる。更に、補強層22が積層ゴムであるので、受傷したカットの進展を抑制できる。
また凹部20のタイヤ半径方向内側の端部(F点)と、カーカスプライ18の折返し部18Bの折返し端18Cとが、タイヤ半径方向に離間しており、凹部20の高さ位置にはカーカスプライ18の折返し部18Bが存在していないので、凹部20におけるゴムゲージを確保することができ、かつサイドカットによるカーカスプライ18の折返し端18Cの露出を抑制することができる。
更に、本実施形態では、タイヤ最大幅位置(B点)が、カーカス本体部18Aの最大幅位置18Eよりタイヤ半径方向外側の所謂バットレス部38に位置している。一般にバットレス部38では、ゴムゲージが厚いため、タイヤ変形時の表面歪が小さい。路面の障害物に接触し易いタイヤ最大幅位置(B点)をバットレス部38に配置することにより、サイドカットの進展を抑制することができる。
また、凹部20を設けることにより、タイヤ最大幅位置(B点)をバットレス部38に設けたことによる質量増分を相殺することができる。更に、凹部20のタイヤ半径方向外側の端部(G点)が、カーカス本体部18Aの最大幅位置18Eよりタイヤ半径方向内側に配置されているので、タイヤ変形時には、カーカス本体部18Aの最大幅位置18Eがタイヤ幅方向外側にせり出すように撓む。これにより、この最大幅位置18Eより凹部20側のゴムゲージが薄い部分、例えばA点付近がタイヤ幅方向にせり出すことが抑制される。このため、サイド部14のカット受傷頻度を低減させることができる。
また、本実施形態では、トレッド部16のトレッドセンター(C点)からタイヤ最大幅位置(B点)までのタイヤ半径方向の距離h1を適切に設定しているので、タイヤの耐サイドカット性と発熱量の抑制とを両立させることができる。
更に、本実施形態では、B点とA点の間のタイヤ外面の鋭角側の角度αを適切に設定しているので、バットレス部38のゴム量の増加を抑制して、タイヤの発熱量を抑制することができる。
また、本実施形態では、角度βを適切に設定しているので、タイヤ最大幅位置(B点)よりビード部12側に対するサイドカットを受け難くなる。このため、タイヤの耐サイドカット性を向上させることができる。
また、本実施形態では、カーカスプライ18の折返し部18Bに、湾曲部18Dが設けられ、カーカス本体部18Aと折返し部18Bとの間隔が部分的に狭められている。このため、内圧成長によるカーカスプライ18の折返し端18Cの引抜きが生じ難い。加えて、カーカスプライ18の倒れ込みやリムフランジからの反力によるカーカス本体部18Aと折返し部18Bとの間からのゴムの押出しが抑制される。
更に、湾曲部18Dのタイヤ幅方向外側では、タイヤ外面から折返し部18Bまでのタイヤ軸方向の幅が広くなっているので、単位面積あたりのゴムの押出し量が少なくなる。このため、カーカスプライ18の折返し端18C付近に生ずる歪を抑制することができる。
[第2実施形態]
図2において、本実施形態に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤ200では、補強層22が、サイド部14のうち、凹部20の領域と、タイヤ半径方向において凹部20のタイヤ径方向外側の端部(G点)からタイヤ最大幅位置(B点)までの領域の少なくとも一部とに設けられている。本実施形態では、補強層22は、凹部20の領域と、G点からB点までの領域と、B点からトレッド端(T点)までの領域とにわたって、連続的に設けられている。換言すれば、補強層22は、タイヤ半径方向においてタイヤ最大幅位置(B点)から外側の領域と内側の領域とに設けられている。この補強層22は、コードを用いて構成されている。
他の部分については、第1実施形態と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
(作用)
本実施形態に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤ200では、タイヤ最大幅位置(B点)から内側の表面歪が大きくなる領域に補強層22が設けられているので、サイド部14にカットを受けても、そのカットの進展を抑制することができる。
また、凹部20の領域と、タイヤ半径方向において凹部20のタイヤ径方向外側の端部(G点)からタイヤ最大幅位置(B点)までの領域の少なくとも一部とに、補強層22が設けられているので、ゴムゲージが薄くなる領域の耐サイドカット性を高めることができる。更に、補強層22は、コードを用いて構成されているので、受傷カット深さを浅くできる。
[第3実施形態]
図3において、本実施形態に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤ300では、第1実施形態及び第2実施形態におけるサイド部14の凹部20が存在していない。また、カーカスプライ18の折返し部18Bの折返し端18Cが、A点のタイヤ半径方向高さh2と同等の高さに位置している。つまり、カーカスプライ18は、通常の折返し高さを有している。補強層22は、サイド部14のうち、トレッド端(T点)からビード部12近くまで連続的に設けられており、カーカスプライ18の折返し端18Cを覆っている。
本実施形態では、カーカスプライ18の折返し端18C付近の耐サイドカット性を高めることができる。またこれによって、折返し端18C付近でのセパレーションの発生を抑制することができる。
他の部分については、第1実施形態又は第2実施形態と同様であるので、主な同一部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
[第4実施形態]
図4において、本実施形態に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤ400では、補強層22が、第1実施形態と同様に、サイド部14のうち、タイヤ半径方向においてタイヤ最大幅位置(B点)から外側の領域に設けられている。この補強層22は、サイド部14の外面に設けられ、モジュラスが異なるゴムを互いに重ね合わせた積層ゴムである。
本実施形態によれば、タイヤ半径方向において、タイヤ最大幅位置(B点)から外側の領域に補強層22が設けられているので、トレッド部16に近いショルダー部での深いカットの受傷頻度を低減させることができる。
他の部分については、第1実施形態又は第3実施形態と同様であるので、主な同一部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
[第5実施形態]
図5において、本実施形態に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤ500では、第3実施形態と同様に、カーカスプライ18の折返し部18Bの折返し端18Cが、A点のタイヤ半径方向高さh2と同等の高さに位置している。
補強層22は、サイド部14のうち、タイヤ半径方向において、タイヤ最大幅位置(B点)から外側の領域に設けられる外側補強層22Aと、A点付近からタイヤ半径方向内側の領域に設けられる内側補強層22Bとに分割されている。外側補強層22Aにより、トレッド部16に近いショルダー部での深いカットの受傷頻度を低減させることができる。一方、内側補強層22Bは、カーカスプライ18の折返し端18Cを覆っている。
本実施形態によれば、カーカスプライ18の折返し端18C付近の耐サイドカット性を高めることができる。またこれによって、折返し端18C付近でのセパレーションの発生を抑制することができる。
他の部分については、第3実施形態と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
[第6実施形態]
図6において、本実施形態に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤ600では、第1実施形態と同様に、カーカスプライ18が低い折返し高さを有している。タイヤ半径方向の線分に対するB点とT点との間のタイヤ外面の鋭角側の角度β(図1参照)は、0となっている。サイド部14には、凹部20が設けられている。
補強層22は、サイド部14のうち、タイヤ半径方向において、タイヤ最大幅位置(B点)から内側の領域に設けられている。具体的には、補強層22のタイヤ半径方向内側の端部は、凹部20のタイヤ半径方向内側の端部(F点)付近まで延び、カーカスプライ18の折返し端18Cとタイヤ幅方向に重なる位置まで延びている。この補強層22は、第1実施形態と同様の積層ゴムとなっている。
本実施形態では、タイヤ半径方向において、タイヤ最大幅位置(B点)から内側の表面歪が大きくなる領域に補強層22が設けられているので、サイド部14にカットを受けても、そのカットの進展を抑制することができる。
他の部分については、第1実施形態又は第2実施形態と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
[第7実施形態]
図7において、本実施形態に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤ700では、第6実施形態と同様に、カーカスプライ18が低い折返し高さを有しており、角度β(図1参照)が0となっている。補強層22は、サイド部14のうち、タイヤ半径方向において、タイヤ最大幅位置(B点)から内側の領域に設けられている。具体的には、補強層22のタイヤ半径方向外側の端部は、カーカス本体部18Aの最大幅位置18E付近に位置している。補強層22のタイヤ半径方向内側の端部は、凹部20のタイヤ半径方向内側の端部(F点)付近まで延び、カーカスプライ18の折返し端18Cとタイヤ幅方向に重なっている。この補強層22は、第2実施形態と同様に、コードを用いて構成されている。
本実施形態では、タイヤ半径方向において、カーカス本体部18Aの最大幅位置18E付近から、凹部20のタイヤ半径方向内側の端部(F点)付近までの領域に補強層22が設けられているので、サイド部14にカットを受けても、そのカットの進展を抑制することができる。
他の部分については、第1実施形態、第2実施形態又は第6実施形態と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
[他の実施形態]
なお、上記実施形態は、適宜組み合わせて用いることが可能である。
(試験例)
表1に示される仕様の従来例1(図8)、従来例2(図9)、実施例1(図4)、実施例2(図5)、実施例3(図6)及び実施例4(図7)に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤを各20本ずつ用いて、廃品時のサイドカットのカーカスプライへの到達率、サイドカットによる廃品率の3項目について試験を行った。タイヤサイズは、ORR 265R25 VSMSである。
実施例1は、第4実施形態(図4)に対応している。実施例2は、第5実施形態(図5)に対応している。実施例3は、第6実施形態(図6)に対応している。そして、実施例4は、第7実施形態(図7)に対応している。
図8において、従来例1に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤ51では、カーカスプライ18が通常の折返し高さを有している。サイド部14に凹部は形成されていない。角度αは0°であり、角度βは7°である。サイド部14に補強層は設けられていない。
図9において、従来例2に係る重荷重用空気入りラジアルタイヤ52では、カーカスプライ18が通常の折返し高さを有している。サイド部14に凹部は形成されていない。角度αは10°であり、角度βは7°である。サイド部14に補強層は設けられていない。
表1において、各項目の評価は、従来例1を100とした指数により示されており、数値が小さいほど良好な結果であることを示している。この結果、従来例2は、従来例1よりも良好な結果となったが、実施例1〜4は、従来例2よりも更に良好な結果となった。
Figure 2014151830
12 ビード部、14 サイド部、16 トレッド部、18 カーカスプライ、18A カーカス本体部、18B 折返し部、18C 折返し端、18E 最大幅位置、20 凹部、24 ビードコア、100 重荷重用空気入りラジアルタイヤ、200 重荷重用空気入りラジアルタイヤ、300 重荷重用空気入りラジアルタイヤ、400 重荷重用空気入りラジアルタイヤ、500 重荷重用空気入りラジアルタイヤ、600 重荷重用空気入りラジアルタイヤ、700 重荷重用空気入りラジアルタイヤ、B タイヤ最大幅位置

Claims (7)

  1. ビードコアが埋設された一対のビード部と、
    前記ビード部間を跨り、前記ビードコア間に位置するカーカス本体部と、該ビードコアのタイヤ幅方向の内側から外側へ折り返された折返し部とを有するカーカスプライと、
    前記ビード部のタイヤ半径方向外側に夫々連なり、正規リムに組み付け正規内圧を充填した無負荷状態において、タイヤ最大幅位置が、前記カーカス本体部の最大幅位置よりタイヤ半径方向外側に位置するサイド部と、
    各々の前記サイド部のタイヤ半径方向外側端部同士をタイヤ幅方向に連結するトレッド部と、
    前記サイド部に設けられた補強層と、
    を有する重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記補強層が、タイヤ半径方向において前記タイヤ最大幅位置から外側の領域に設けられている請求項1に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記補強層が、タイヤ半径方向において前記タイヤ最大幅位置から内側の領域に設けられている請求項1又は請求項2に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
  4. 前記サイド部における前記ビード部側のタイヤ外面に形成され、タイヤ半径方向内側の端部が、前記折返し部の折返し端よりもタイヤ半径方向外側に位置する凹部を有する、請求項1に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
  5. 前記補強層が、前記凹部の領域と、タイヤ半径方向において前記凹部のタイヤ径方向外側の端部から前記タイヤ最大幅位置までの領域の少なくとも一部とに設けられている請求項4に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
  6. 前記補強層は、前記サイド部の外面に設けられ、モジュラスが異なるゴムを互いに重ね合わせた積層ゴムである請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
  7. 前記補強層は、コードを用いて構成されている請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
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