この発明は、廃棄された乾電池を適切に処理するために、乾電池の大きさや形状等によって選別を行う乾電池の選別装置に関する。
従来から、廃棄物として回収された乾電池等を、乾電池の大きさ等に応じて選別する乾電池の選別装置が知られている。
例えば、下記特許文献1には、傾斜した樋形状の搬送選別路に、開口面積が順に大きくなる開口部を設け、この樋形状の搬送選別路を加振して乾電池等を上流から下流に搬送し、この搬送選別路の各開口部で、各乾電池を小さいものから順に落下させて、選別を行う乾電池の選別装置が開示されている。
また、下記特許文献2には、複数タイプの選別機を備えた乾電池の選別装置が開示されている。具体的には、細長い矩形板(ストリップ)を複数平行に並べた傾斜スリットスクリーンと、プレート板にパンチング加工を行って複数の開口を設けたパンチングプレートスクリーン等を組み合わせて乾電池を選別する選別装置が記載されている。
もっとも、これら乾電池の大きさに応じて選別する選別装置では、乾電池を落下させる開口部やスリットの大きさをどのように設定するかが大事であり、一般に、乾電池の平面投影面積の最小寸法を基準に、開口部やスリットの大きさを決定するのが通常である。
例えば、単1、単2、単3と言われる長尺円柱形状の乾電池の場合には、乾電池の「直径」寸法を基準に開口部やスリットの大きさを設定し、コイン型やボタン型と言われる平板円盤形状の乾電池の場合には、乾電池の「高さ」寸法を基準に、開口部やスリットの大きさが設定される。
特公平3−48624号公報
特開2011−36774号公報
ところで、乾電池には、前述のように、単1、単2、単3と言われる長尺円柱形状の乾電池と、コイン型やボタン型と言われる平板円盤形状の乾電池とがあるが、一般に、長尺円柱形状の乾電池の「直径」の方が、平板円盤形状の乾電池の「高さ」よりも大きい。このため、乾電池を選別する際には、これらの「直径」や「高さ」に応じて、開口部やスリットの大きさをそれぞれの選別位置で変更して、乾電池の選別を行う。前述の特許文献1や特許文献2でも、搬送選別路の開口部やスリットの大きさを、それぞれの選別位置で変更して、乾電池の選別を行っている。
長尺円柱形状の乾電池の中で最も小さい単6等の乾電池と、平板円盤形状のコイン型の乾電池とを比較した場合、単6電池の「直径」に対して通常よく使われるコイン型電池の「高さ」は、ほとんど小さいので、単純に開口部やスリットの大きさを小さくすることで、両方の電池を選別できる。しかし、コイン電池の中には、単6電池の直径に対して、コイン電池の高さがほぼ同じか、あるいは高いものがあり、このようなコイン電池が一緒に流れると、両電池を選別できないという問題が生じる。
実際に、長尺円柱形状の乾電池の単6電池は、「直径」が約7.7〜8.3mmであり、平板円盤形状の乾電池のコイン電池には、「高さ」が約7.7mmのものが存在する。このとき、仮に、開口部の開口の大きさを8mmに設定した場合には、単6電池とコイン電池とが同じ開口部から下方に落下してしまい、乾電池の選別を行えないという問題が生じる。
そこで、本発明は、上述したような長尺円柱形状の乾電池の「直径」と平板円盤形状の乾電池の「高さ」とが同程度であったとしても両者の選別を、確実に行うことができるようにすることを目的とする。
この発明の乾電池の選別装置は、搬送選別路を上下二枚の板材で構成して、上板材に長尺円柱形状の乾電池と平板円盤形状の乾電池とが共に落込むが、平板円盤形状の乾電池のみが通り抜けて落下する大きさの開口部を形成し、下板材を平板円盤形状の乾電池だけが前記開口部を下方に通り抜けて落下するように、該開口部の下側に設定することで、長尺円柱形状の乾電池の「直径」に対して、平板円盤形状の乾電池の「高さ」がほぼ同じ又は大きいものであっても、長尺円柱形状の乾電池と平板円盤形状の乾電池との選別ができるようにしたものである。
なお、本発明では、乾電池が開口部に入り込む状態を「落込む」と称し、乾電池が開口部を通り抜けて開口部の下方に完全に出てしまう状態を「落下」と称して使用する。
具体的には、第1の発明は、上流側から下流側に向かって下側に向かうように傾斜して配置され、複数種類の乾電池が搬送される搬送選別路と、該搬送選別路を加振して該搬送選別路に振動を生じさせる加振手段とを備え、乾電池を前記搬送選別路の上流側から下流側に搬送する際に長尺円柱形状の乾電池と平板円盤形状の乾電池との選別を行う乾電池の選別装置であって、前記搬送選別路は、上下に位置する複数のプレート部材で構成され、該複数のプレート部材のうち、上側に位置する上側プレート部材には、前記長尺円柱形状の乾電池が、落込むが通り抜けない大きさで且つ、平板円盤形状の乾電池が、通り抜けて下側に位置する下側プレート部材上に落下する大きさの開口部が形成されており、該下側プレート部材と前記上側プレート部材との間には、前記開口部に落込んだ長尺円柱形状の乾電池を通過させず、開口部を通り抜けて下側プレート部材上に落下した前記平板円盤形状の乾電池のみを通過させる間隙が設けられていることを特徴とする乾電池の選別装置である。
上記構成によれば、長尺円柱形状の乾電池と平板円盤形状の乾電池とは、共に、搬送選別路の上側プレート部材の開口部に落込む。そして、平板円盤形状の乾電池は、そのまま開口部を通り抜けて、下側プレート部材上に落下し、上側プレート部材の間との間隙を通過して、下方に落下していく。一方、長尺円柱形状の乾電池は、開口部に落込むものの、全体が下側プレート部材上に落下せず、搬送方向の前端が下側プレート部材の上面に接触した位置で留まり、後半部分が開口部から上方に突出した状態となる。その後、上流側から搬送される他の乾電池に押されたり、搬送選別路の振動によって、再度、上側プレート部材上に戻されて、搬送選別路の下流側に搬送される。
このため、平板円盤形状の乾電池と長尺円柱形状の乾電池とは、両者の「直径」寸法と「高さ」寸法とがほぼ同じ場合、又は、長尺円柱形状の乾電池の「直径」寸法より平板円盤形状の乾電池の「高さ」寸法が大きい場合であったとしても、同じ選別場所で落下しないため、確実に選別することができる。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記上側プレート部材の開口部は、最小の開口寸法が、前記平板円盤形状の乾電池の直径より大きく、最大の開口寸法が、前記長尺円柱形状の乾電池の長さより小さく設定されていることを特徴とする乾電池の選別装置である。
上記構成によれば、上側プレート部材の開口部は、最小の開口寸法が平板円盤形状の乾電池の直径より大きく、最大の開口寸法が長尺円柱形状の乾電池の長さより小さく設定されているため、平板円盤形状の乾電池については、この開口部を通り抜けて、下側プレート部材側に全て落下するものの、長尺円柱形状の乾電池については、この開口部で一部しか下側プレート部材側に落込まない。
このため、平板円盤形状の乾電池は、確実に開口部を通過して、上側プレート部材と下側プレート部材との間の間隙に導かれるが、長尺円柱形状の乾電池については、開口部で引っ掛かり、上側プレート部材と下側プレート部材との間の間隙には導かれず、この開口部の位置で留まる。
よって、平板円盤形状の乾電池と長尺円柱形状の乾電池とを、上側プレート部材と下側プレート部材とによって、確実に選別することができる。
第3の発明は、第2の発明において、前記開口部は、円形状であることを特徴とする乾電池の選別装置である。
上記構成によれば、開口部を円形状にしたことで、乾電池がどのような向きで搬送された場合であっても、常に、開口部の開口寸法が、最小の開口寸法であり、且つ最大の開口寸法となるため、より確実に、平板円盤形状の乾電池が開口部を通過して、長尺円柱形状の乾電池が開口部に留まることになる。
よって、より確実に、平板円盤形状の乾電池と長尺円柱形状の乾電池の選別を行うことができる。
第4の発明は、第3の発明において、前記上側プレート部材には、上流側から下流側に亘り複数の前記開口部が千鳥足状に配置されて形成されていることを特徴とする乾電池の選別装置。
上記構成によれば、搬送選別路において複数の開口部が千鳥足状に配置されることで、平板円盤形状の乾電池が搬送選別路内のどの位置を流れても、その位置上に開口部が必ず位置するようになり、より確実に平板円盤形状の乾電池を下側プレート部材側に落下させることができる。例えば、仮に、開口部を格子状に整列配置した場合には、たまたま乾電池が開口部間の中央位置を通過すると、開口部に落込まないおそれもある。しかし、開口部を千鳥足状に配置した場合には、こうした問題が生じないため確実に乾電池を開口部に落込ませることができる。
よって、さらに確実に、平板円盤形状の乾電池と長尺円柱形状の乾電池の選別が行える。
第5の発明は、第1乃至第4の発明において、前記搬送選別路よりも上流側位置には、前記平板円盤形状の乾電池よりも小さな乾電池を選別除去する第一選別路が設けられている一方、前記搬送選別路よりも下流側位置には、前記長尺円柱形状の電池以上の大きさの乾電池を選別除去する第二選別路が設けられていることを特徴とする乾電池の選別装置である。
上記構成によれば、搬送選別路よりも上流側位置には第一選別路を設けて、搬送選別路よりも下流位置には第二選別路を設けたため、乾電池等が搬送選別路に搬送されてくる前には、事前に小さな乾電池(例えば、小さいボタン電池やコイン電池等)が第一選別路で選別除去され、搬送選別路での選別後には、搬送選別路で落下しなかった乾電池(例えば、大きい単1電池や単3電池等)が第二選別路で選別除去されることになる。
このため、搬送選別路以外でも、多くの種類の乾電池を選別することができ、搬送選別路では、より効率的に平板円盤形状の乾電池と長尺円柱形状の乾電池を選別することできる。特に小さな乾電池を選別する第一選別路と、大きな乾電池を選別する第二選別路との間に、搬送選別路を配置したことで、限定された種類の乾電池の選別だけを搬送選別路で行えば良いため、より精度よく選別することができる。
よって、選別する乾電池の種類を増加させることができつつ、搬送選別路での乾電池の選別を、より効率的かつ正確に行うことができる。
本願発明によれば、平板円盤形状の乾電池と長尺円柱形状の乾電池とは、両者の「直径」寸法と「高さ」寸法とがほぼ同じ場合、又は、長尺円柱形状の乾電池の「直径」寸法より平板円盤形状の乾電池の「高さ」寸法が大きい場合であったとしても、同じ選別場所で落下しないため、確実に選別することができる。
よって、平板円盤形状の乾電池と長尺円柱形状の乾電池との選別を、確実に行うことができる。
本発明の実施形態にかかる電池選別装置の全体斜視図である。
電池選別装置の全体平面図である。
電池選別装置の全体側面図である。
電池選別装置の要部詳細平面図である。
図4のA−A線矢視断面図である。
図4のB−B線矢視断面図である。
図2のC−C線矢視断面図である。
図2のD−D線矢視断面図である。
図2のE−E線矢視断面図である。
電池選別装置の選別方法のフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態にかかる電池選別装置の全体斜視図、図2は電池選別装置の全体平面図、図3は電池選別装置の全体側面図、図4は一部の構成を除いた電池選別装置の要部詳細平面図、図5は図4のA−A線矢視断面図、図6は図4のB−B線矢視断面図、図7は図2のC−C線矢視断面図、図8は図2のD−D線矢視断面図、図9は図2のE−E線矢視断面図、図10は電池選別装置の選択方法のフローチャートである。
図1〜図3に示すように、本実施形態の電池選別装置Mは、ベースフレーム1に対してコイルスプリング部材2によって振動可能にフローティング支持され、かつ長手方向で上流側から下流側に向かって下向きに傾斜して配置される傾斜搬送選別路3と、この傾斜搬送選別路3の下側に配置され、この傾斜搬送選別路3を振動させる加振機構4(加振手段)と、前記傾斜搬送選別路3の下側に配置され、この傾斜搬送選別路3で選別される各乾電池を乾電池毎に下側側方に排出する複数の選別シュート5…と、を備えている。
そして、傾斜搬送選別路3の上流端の上方には、該傾斜搬送選別路3の上流端に乾電池Zを投入する電池投入装置6を配置している。また、各選別シュート5…の下側側方には、各選別シュート5から落下する選別後の乾電池を受ける複数の受け容器7…を配置している。
なお、以下、本明細書では、前記傾斜搬送選別路3の長手方向を「前後方向」と定義し、傾斜搬送選別路3の短手方向を「幅方向」と定義する。さらに、傾斜搬送選別路3の電池投入装置6を配置した側を「後方側」、また、その反対側を「前方側」と定義する。
前記電池投入装置6は、上部にドラム缶状の投入容器61を設けており、この投入容器61を傾動機構62によって前方側に傾動することで、内部に蓄えた乾電池Z等を、前記傾斜搬送選別路3の上流端に投入するように構成している。
前記加振機構4は、前記傾動搬送路本体3の下方に設置した電動モータMと、電動モータMの回転力を伝達するVプーリー41と、傾斜搬送選別路3の下部に軸受部材43を介して回転自在に取り付けられ、偏心した重心を有する偏心ロータ42と、を備えており、電動モータMとVプーリー41がVベルト44を介して動力が伝達されるように構成され、また同様に、Vプーリー41と偏心ロータ42がVベルト45を介して動力が伝達されるように構成されている。
そして、この加振機構4では、電動モータMが回転駆動すると、電動モータM→Vベルト44→Vプーリー41→Vベルト45→偏心ロータ42という経路で、回転駆動力が偏心ロータ42に伝達される。偏心ロータ42が回転すると、偏心ロータ42の重心位置が変動して、偏心ロータ42が上下及び前後方向に揺動する。これにより、偏心ロータ42に加振力が発生するようになっている。
また、傾斜搬送選別路3は、前述のようにコイルスプリング部材2を介してフローティング支持されているため、偏心ロータ42が回転しながら揺動して、偏心ロータ42から加振力を受けると、上下及び前後方向に振動することになる。
この実施形態では、電動モータM、Vプーリー41、Vベルト44,45、及び偏心ロータ42により傾斜搬送選別路3を加振して、該傾斜搬送選別路3に振動を生じさせる加振機構3が構成されている。
こうして、加振機構4によって傾斜搬送選別路3を振動させることにより、傾斜搬送選別路3に乾電池Z等を投入した場合には、乾電池Zが傾斜搬送選別路3の上流から下流側に徐々に滑りながら移動する(搬送される)ことになる。
前記傾斜搬送選別路3は、平面視で前後方向に延びる長尺略矩形形状の搬送路面部31と、該搬送路面部31の左右側部を前後方向に延びる本体側面部32と、該傾斜搬送選別路3の前後端を幅方向に延びる本体端面部33と、を一体的に備えている。
このうち、搬送路面部31には、図2に示すように、上流側から下流側に向かって投入受け部10と、ダスト分離部11と、コインボタン選別部12と、オーバーコイン選別部13と、長尺電池選別部14と、オーバー電池選別部15とが、順に設けられており、さらに、長尺電池選別部14には、単4・6選別部14Aと、単3選別部14Bと、平角選別部14Cと、単2選別部14Dと、単1選別部14Eとが、それぞれ設けられている。なお、投入受け部10とダスト分離部11の周囲には、脱落防止用のカバーフィンFを設けている。
この搬送路面部31の分離部11や各選別部12〜14の下方には、幅方向に延びて、分離部11及び各選別部12〜14毎に選別した乾電池等を前記各選別シュート5…に集める各案内ダクト8…が設けられている。また、前記搬送路面部31の幅方向両側周囲には、前記本体側面部32から搬送路面部31より高く上方に延びる周縁側壁9が設けられている。これにより、搬送路面部31からの乾電池の脱落を防止している。
次に、前記搬送路面部31の各箇所について、図2によって、より詳細に説明する。
まず、前記投入受け部10は、横長矩形の平板部材10aで形成されており、電池投入装置6からの乾電池Zの投入を確実に受けられるように構成している。なお、図示しないが、投入受け部10の表面にはゴム製シートを装着して、電池投入時の衝撃音を抑えるように構成することが好ましい。
次に、前記ダスト分離部11は、小径の開口孔11bを複数設けた網目状の板部材11aで形成されており、乾電池に付着したサビや砂等のダストを、この板部材11aの開口孔11bから落下させて、乾電池から分離除去するように構成されている。ここで、開口孔11bは、例えば、直径5mmで、8mmピッチの千鳥足状配置で穿設されて、サビや砂等のダストだけを落下させるように構成することが好ましい。
次に、前記コインボタン選別部12は、幅方向に延びる複数の丸軸棒12a(図4参照)を前後方向に所定の隙間12bを開けて平行に並べて配置した、いわゆる「バースクリーン」で構成している。このように、コインボタン選別部12をバースクリーンで構成することで、小さいコイン電池とボタン電池だけを、隙間12bから下方に落下させるように構成している。ここで、丸軸棒12aは、例えば直径6mmに設定して、隙間12bを7.5mmに設定することで、7.5mm以下の高さのコイン電池やボタン電池を落下させるように構成することが好ましい。
そして、このコインボタン選別部12で脱落しない大きい乾電池については、そのまま下流側に搬送される。なお、このコインボタン選別部12では、乾電池の表面を被覆していた被覆フィルム等も落下するように構成している。
次に、前記オーバーコイン選別部13は、前述のコインボタン選別部12で選別できなかった大きなコイン電池を選別するように構成している。具体的には後述するが、上下二枚のプレート部材13A,13Bで構成して、確実に大きなコイン電池だけを選別するように構成している。
次に、前記長尺電池選別部14は、前後方向に延びる複数の凹溝部101が幅方向に並べられた断面波形の凹凸状の板部材100で形成しており、複数の凹溝部101がいわゆる「樋形状」となって上流側から下流側に向かって延びるように構成されている。そして、この長尺電池選別部14では、単1電池等の長尺円柱形状の乾電池が選別できるように構成されている。
具体的には、長尺電池選別部14の凹溝部101に、長尺円柱形状の乾電池を位置させて、前記加振機構4で振動を与えると、その乾電池が凹溝部101内を徐々に滑りながら移動して上流側から下流側に搬送される。この時に、前記各選別部14A,14B,14C,14D,14Eの凹溝部101の底部に開口形成した前後方向に細長い電池落下口110,120,130,140,150で各乾電池を順番に落下させることで、乾電池の選別を行うように構成している。
まず、前記単4・6選別部14Aにおいては、長尺円柱形状の乾電池の中で最も直径の小さい単6電池と単4電池が選別できるように、最も幅の小さい電池落下口110を設けている。ここで、この電池落下口110は、例えば、幅を13mm、長さを121.6mmに設定することで、単6電池(直径8.3mm〜7.7mm、長さ42.5mm〜41.5mm)や、単4電池(直径10.5mm〜9.5mm、長さ44.5mm〜42.5mm)が落下するように構成することが好ましい。
次に、単3選別部14Bにおいては、単3電池が選別できるように、二番目に幅の小さい電池落下口120を設けている。ここで、この電池落下口120は、例えば、幅を16mm、長さを121.5mmに設定することで、単3電池(直径15.5mm〜13.5mm、長さ50.5mm〜49.0mm)が落下するように構成することが好ましい。
さらに、平角選別部14Cは、平角電池が選別できるように、三番目に幅の小さい電池落下口130を設けている。ここで、この電池落下口130は、例えば、幅を22mm、長さを121.5mmに設定することで、平角電池(幅20.5mm〜18.5mm、長さ48.5mm〜46.5mm)が落下するように構成することが好ましい。
また、単2選別部14Cは、単2電池が選別できるように、二番目に幅の大きい電池落下口140を設けている。ここで、この電池落下口140は、例えば、幅を30mm、長さを121.5mmに設定することで、単2電池(直径26.2mm〜24.7mm、長さ50.0mm〜48.5mm)が落下するように構成することが好ましい。
最後に、単1選別部14Eは、単1電池が選別できるように、一番幅の大きい電池落下口150を設けている。ここで、この電池落下口150は、例えば、幅を36mm、長さを121.5mmに設定することで、単1電池(直径34.2mm〜32.2mm、長さ61.5mm〜59.5mm)が落下するように構成することが好ましい。
以上のように長尺電池選別部14を構成することで、複数種の長尺円柱形状の乾電池を選別することができる。
なお、これらの各選別部14A,14B,14C,14D,14Eにおいて、落下しなかった規格外の乾電池については、長尺電池選別部14の下流端のオーバー電池選別部15からそのまま下方の下流端シュート5Aに落下するように構成されている。
一方、この搬送路面部31の上方位置には、この搬送路面部31を流れる乾電池を滞留又は整列させるために複数の堰形状のゲートバーG1,G2,G3を設けている。具体的には、第一ゲートバーG1を、コインボタン選別部12とオーバーコイン選別部13との間に設け、第二ゲートバーG2を、長尺電池選別部14の単4・6選別部14Aの直上流位置に設け、さらに、第三ゲートバーG3を、単3選別部14Bの直上流位置に設けている。
各ゲートバーG1,G2,G3は、図1〜図3に示すように、搬送路面部31の上方位置を幅方向に延びて搬送路面部31の両側端間に架け渡された断面略L字状のメンバー部材等によって構成しており、こうして幅方向全域に亘って設置されることで、搬送路面部31を搬送される乾電池を一旦堰き止め等することにより、乾電池の流れを整理等するようにしている。
これら各ゲートバーG1,G2,G3について、詳細に説明する。図7に示すように、第一ゲートバーG1は、本体側面部32の上部に設置された周縁側壁9に対して、両端部が固定ボルト201によって固定されている。第一ゲートバーG1は、断面略L字状のメンバー部材202と、このメンバー部材202に取り付けられるゴム製のカーテン部材203と、このゴム製のカーテン部材203をメンバー部材202に取り付ける5つの締結ボルト204を備えている。そして、メンバー部材202には、カーテン部材203の上下位置を調整できるように、締結ボルト204の締結位置を調整する上下方向に延びる長穴205を形成している。
また、カーテン部材203には、複数箇所において下端から上方向に延びるスリット206が形成され、このスリット206による部分的な分離により、カーテン部材203がいわゆる「のれん状」に構成されている。さらに、メンバー部材202の両端には脚部207が設けられており、この脚部207で周縁側壁9に固定されている。
この第一ゲートバーG1は、コインボタン選別部12とオーバーコイン選別部13との間に設置されることで、一旦、カーテン部材203によって乾電池を堰き止めて、コインボタン選別部12における乾電池の滞留時間を確保している。
これにより、大量に搬送される複数種類が混在した乾電池の中からコイン電池やボタン電池を、確実にコインボタン選別部12で落下させることができる。このため、コインボタン選別部12を必要以上に長尺に設ける必要がないため、コインボタン選別部12のレイアウトスペースをコンパクトにできる。
前記第二ゲートバーG2も、図8に示すように、本体側面32の上部に設置された周縁側壁9に対して、両端部が固定ボルト211によって固定されている。この第二ゲートバーG2も、断面略L字状のメンバー部材212と、このメンバー部材212に取り付けられるゴム製のカーテン部材213と、このゴム製のカーテン部材213をメンバー部材212に取り付ける5つの締結ボルト214を備えている。
この第二ゲートバーG2のカーテン部材213は、第一ゲートバーG1のカーテン部材203と形状が異なる。具体的には、スリット215,216が形成されて、いわゆる「のれん状」に構成される点は同じであるものの、各片217,218の形状が異なる。すなわち、各片217、218の下端部が、長尺電池選別部14の凹凸形状に対応してギザギザに形成されて、一方の突出片217が凹溝部101の一方の傾斜溝側面101aに沿う傾斜辺217aを有しているのに対して、他方の平坦片218が他方の傾斜溝側面101bに隙間を開けて水平に延びる水平辺218aを有している。
この第二ゲートバーG2は、カーテン部材213をこのように構成することで、長尺電池選別部14で搬送される乾電池を、凹溝部101で確実に一つずつ整列させることができる。
例えば、図8の仮想線で示すように、1つの凹溝部101の中を2つの乾電池Z1,Z2が重なって搬送される場合、カーテン部材213の突出片217が1つの乾電池Z1に接触して、この乾電池Z1の搬送を遅らせるように機能する。このため、平坦片218の側の乾電池Z2は平坦片218の下側をそのまま下流側に搬送されて、結果的に、1つの乾電池が凹溝部101の中を1つずつ搬送されることになる。
よって、第二ゲートバーG2では、搬送される乾電池の凹溝部101での整列を行うことができる。これにより、この第二ゲートバーG2の下流位置の各選別部14A等では、確実に乾電池を一つずつ落下させることができ、各乾電池の選別を確実に生じさせることができる。
前記第三ゲートバーG3も、図9に示すように、本体側面32の上方に設置された周縁側壁9に対して、両端部が固定ボルト211によって固定されている。この第三ゲートバーG3も断面略L字状のメンバー部材222を備えているが、他のゲートバーと異なり上下方向に延びる複数の寸切りボルト223,224…を、幅方向に並べて取り付けている。具体的には、寸切りボルト223,224の下端が、各凹溝部101の各傾斜溝側面101a,101bに上下方向に対応するように設置されている。
この第三ゲートバーG3では、この寸切りボルト223,224の上下位置を調整することで、搬送される乾電池が、凹溝部101の中で確実に一つずつ整列して搬送されるように構成している。例えば、図9の仮想線に示すように、1つの凹溝部101を2つの乾電池Z3,Z4が重なって搬送される場合には、一方の寸切りボルト223が下方に下がっていると、寸切りボルト223の下端が1つの乾電池Z3に接触して、この乾電池Z3の搬送を遅らせるように機能する。このため、寸切りボルト224に接触しない乾電池Z4は、そのまま下流側に搬送されることになり、結果的に、凹溝部101の中で乾電池が1つずつ搬送されるようになるのである。
よって、この第三ゲートバーG3でも、搬送される乾電池の整列を行うことができ、第三ゲートバーGよりも下流位置の各選別部14B等で、各乾電池の落下を確実に生じさせることができる。
なお、この第三ゲートバーG3の下流位置の単3選別部14Bにおいて、その電池落下口120の側方(凹溝部101の一方の傾斜溝側面101a)には、タッピングネジ230を螺合固定している。このタッピングネジ230は、単3電池が案内されて単3選別部14Bの電池落下口120に確実に落ちるように設けている。ここで、タッピングネジ230は、例えば、M5のタッピングネジ230を用いて、ネジ頭部230aが凹溝部101内にあまり突出しないように構成することが好ましい。
次に、前記オーバーコイン選別部13を、図4〜図6を利用して詳細に説明する。オーバーコイン選別部13は、上側に位置する矩形形状の上側プレート部材13Aと、この上側プレート部材13Aの下側に位置する矩形形状の下側プレート部材13Bと、この下側プレート部材13Bと上側プレート部材13Aとの間を一定間隔に確保して締結固定する複数のカラー付の締結ボルト・ナット13Cと、を備えて構成される。
前記上側プレート部材13Aは、比較的大きな矩形の平板で構成しており、円形の開口孔13Dを複数設けている。この複数の開口孔13Dは、図4に示すように、例えば、前後方向に縦4列、幅方向に横15列の千鳥足状の配置で穿設されており、上側プレート部材13A上を、乾電池が搬送される際には、全ての乾電池が開口孔13Dに落ち込むように設定されている。具体的には、開口孔13Dは、長尺円柱形状の乾電池(Z6)が落込むが通り抜けない大きさで、かつ、平板円盤形状の乾電池(Z5)が全て通り抜けて下側プレート部材13B上に落下する大きさとされている。ここで、開口孔13Dは、例えば、直径d1(図6参照)を32mmに設定することで、直径d2が最も大きなコイン電池Z5(直径30.0mm)が落下するように構成することが好ましい。
前記下側プレート部材13Bは、上側プレート部材13Aよりやや短い矩形の平板で構成しており、特に加工は施していない。下側プレート部材13Bの下流端13Baの位置を、上側プレート部材13Bの最下流位置の開口孔13Dの直下流位置に設定することで、上側プレート部材13の開口孔13Dから落下したコイン電池Z5が、下側プレート部材13Bを滑ってすぐに案内ダクト8内に落下するように構成されている。
前記カラー付の締結ボルト・ナット13Cは、図5、図6に示すように、上側プレート部材13Aと下側プレート部材13Bを貫通して配置され、かつ頭部が上側プレート部材13Aの上面に突出するボルト部材13Caと、上側プレート部材13Aと下側プレート部材13Bの間に位置するカラー部材13Cbと、ボルト部材13Caの下端に下側プレート部材13Bの下側から螺合されるナット部材13Ccとから構成される。このカラー付の締結ボルト・ナット13Cは、上側プレート部材13Aと下側プレート部材13Bの間隙Wが、全域で一定となるように、例えば前後方向に縦3列、幅方向に横8列の並列配置で設けられている。上側プレート部材13Aと下側プレート部材13Bとの間には、上側プレート部材13Aの開口孔13Dに落込んだ長尺円柱形状の乾電池(Z6)を通過させず、その開口孔13Dを通り抜けて下側プレート部材13B上に落下した平板円盤形状の乾電池(Z5)のみを通過させる間隙Wが形成されている。
ここで、例えば、カラー部材13Cbは、長さを8mmに設定することで、上側プレート部材13Aと下側プレート部材13Bの間隙Wを8mmに設定して、最も高さtの大きなコイン電池Z5(高さ7.7mm)が通過できるように構成することが好ましい。
なお、ここでのコイン電池Z5は、出願時点での現在、最も直径が大きいコイン電池と、最も高さの高いコイン電池とを、仮想の大型のコイン電池として表したものであり、現実には存在していない。
また、本実施形態では、上側プレート部材13Aと下側プレート部材13Bの間隔Wを一定としたが、流れる電池の種類や大きさに応じて、可変できるようにしても良い。また、開口部13Dの大きさも、同様にして可変にしても良い。
その他、幅方向に横5列で、やや大きな頭部で構成される締結部Gは、オーバーコイン選別部13を傾斜搬送選別路3において下部に形成したクロスメンバー35に固定するための締結部Gである。この締結部Gは、図4に示すように、オーバーコイン選別部13だけでなく、長尺電池選別部14においても、前後方向に一定の間隔で設けられている。
このように構成されるオーバーコイン選別部13によって、従来困難であった大きなコイン電池の選別が行える。
すなわち、従来構造のように、単に開口孔を設けた選別部であれば、長尺円柱形状の乾電池の中で最も小さい単6電池と、最も高さの大きなコイン電池とでは、単6電池の「直径」とコイン電池の「高さ」がほぼ同じであるため、共に、開口部で落下して、両乾電池を選別できない。
実際に、単6電池の直径は約7.7mmで、コイン電池の高さは約7.7mmのものが存在するが、このとき、開口部の径を8mmに設定した場合には、単6電池とコイン電池とが共に同じ開口孔に落下してしまい、選別を行えない。
しかし、この実施形態にかかるオーバーコイン選別部13によれば、図4及び図6に示すように、開口孔13Dに乾電池Z5,Z6が搬送されると、コイン電池Z5は、その直径d2が開口孔13Dの直径d1よりも小さいので、全てが上側プレート部材13Aから落込んで通り抜けるものの、単6電池Z6は、長さL1が開口孔13Dの直径d2よりも長いので全てが落込まず、一部が上側プレート部材13A上に残る(例えば、開口孔の直径d1が32mmの場合、単6電池Z6の長さL1が42.5mm〜41.5mmであるため、約10mm程度が残る)。
このように、開口孔13Dをコイン電池Z5が全て通り抜けて下側プレート部材13上に落下すると、図6に示すように、コイン電池Z5は、上側プレート部材13Aと下側プレート部材13Bの間隙Wが、コイン電池Z5の高さtよりも大きいので、そのまま下側プレート部材13B上を滑って下方に移動していく。
一方、単6電池Z6は、図6に示すように、開口孔13Dに対して、下側プレート部材13Bが存在するため、一部が引っ掛った状態で、この開口孔13Dの位置に留まる。このため、単6電池Z6は、コイン電池Z5とは異なり下側プレート部材13B上を滑らず、下方に移動して行かない。その後、引っ掛かった単6電池Z6は、振動や上流側から搬送される別の乾電池Z7に押されて、例えば、前回りに転がることで、開口孔13Dから抜け出し、再度、上側プレート部材13A上に戻って、下流側に搬送されていく。
こうして、本実施形態のオーバーコイン選別部13では、単6電池Z6と大きなコイン電池Z5の直径寸法と高さ寸法とがほぼ同じであったとしても、同じ選別場所で落下しないため、確実に選別することができる。
よって、従来困難であった、単6電池Z6と大きなコイン電池Z5の選別を、確実に行うことができる。
また、この実施形態では、上側プレート部材13の開口孔13Dが、上流側から下流側に亘り複数設けられており、開口孔13Dが千鳥足状に配置されている。
このように、開口孔13Dが千鳥足状に配置されることにより、隣接する開口部13D同士の間隔を近接できるので、コイン電池Z5がオーバーコイン選別部13のどの位置を流れても、その途中に開口孔13Dが必ず位置するため、より確実にコイン電池Z5を下側プレート部材13B側に落下させることができる。例えば、仮に、開口孔を格子状に配置した場合には、乾電池が開口孔間の中央位置を通過すると、開口孔に落下しないおそれもある。しかし、開口孔13Dを千鳥足状に配置した場合には、こうした問題は生じない。
以上にように構成される、電池選別装置Mの乾電池の選別方法について、図10のフローチャートを使って説明する。
まず、ステップS1で、乾電池を電池選別装置Mに投入する。この投入作業は、前記した電池投入装置6によって行う。この投入作業によって、搬送路面部31には大量の乾電池が投入される。
次に、ステップS2で、砂や小石を分離する。この分離作業は前記したダスト分離部11によって行う。この砂・小石の分離作業によって、選別対象の乾電池Zから初めに砂や小石などのダストを分離することができる。
さらに、ステップS3で、ボタン電池やコイン電池を選別する。この選別作業は、前記したコインボタン選別部12によって行う。このコインボタン選別部12による選別作業によって、ほとんどのコイン電池とボタン電池が選別される。これは、前述のように、バースクリーンの隙間12bが、ほとんどのコイン電池やボタン電池の高さよりも広く設定されているためである。
また、第一ゲートバーG1を設けているために、一旦、コインボタン選別部12で大量の乾電池を滞留させることができる。これにより、コインボタン選別部12で、確実にコイン電池とボタン電池の選別を行うことができる。
次に、ステップS4で、オーバーコイン電池を選別する。この選別作業は、前記したオーバーコイン選別部13によって行う。このオーバーコイン選別部13による選別作業では、コインボタン選別部12で選別できなかった大きなオーバーコイン電池を選別する。このとき、前述のように、単6電池Z6と大きなコイン電池Z5の直径寸法と高さ寸法とが、ほぼ同じであっても、コイン電池Z5だけを落下させることができるため、コイン電池Z5だけを、確実に選別することができる。
次に、ステップS5で、単4電池と単6電池を選別する。この選別作業は、前記した単4・6選別部14Aによって行う。この単4・6選別部14Aによる選別作業では、長尺円柱形状の電池の中で最も小さい単6電池と単4電池を、最も幅の小さい電池落下口110から落下させることで行う。
この選別においても、第二ゲートバーG2を、単4・6選別部14Aの直前に設けているため、凹溝部101内で一つずつ乾電池が整列されて、確実に、単4・6選別部14Aで単4電池、単6電池の選別を行うことができる。
次に、ステップS6で、単3電池を選別する。この選別作業は、前記した単3選別部14Bによって行う。この単3選別部14Bによる選別作業でも、単3電池を二番目に幅の小さい電池落下口120から落下させることで行う。この選別においても、第三ゲートバーG3とタッピングネジ230を単3選別部14Bの直上流側に設けているため、凹溝部101内で一つずつ乾電池が整列されるようになり、確実に、単3選別部14Bで単3電池の選別を行うことができる。
次に、ステップS7で、平角電池を選別する。この選別作業は、平角選別部14Cによって行う。この平角選別部14Cによる選別作業でも、平角電池を三番目に幅の小さい電池落下口130から落下させることで行う。
次に、ステップS8で、単2電池を選別する。この選別作業は、単2選別部14Dによって行う。この第2選別部14Dによる選別作業でも、単2電池を二番目に幅の大きい電池落下口140から落下させることで行う。
次に、ステップS9で、単1電池を選別する。この選別作業は、単1選別部14Eによって行う。この選別作業でも、単1電池を最も幅の大きな電池落下口150から落下させることで行う。
最後に、ステップS10で、以上のステップで選別できなかった(落下しなかった)規格外の大型のオーバーサイズ電池を選別する。この選別作業については、そのまま、長尺電池選別部14の下流端のオーバー電池選別部15から落下させることで行う。
以上のようなステップを経ることで、本実施形態の電池選別装置Mは、複数種の乾電池を適切に選別することができる。
本実施形態の電池選別装置Mでは、オーバーコイン選別部13の上流位置に、コインボタン選別部12を設けて、ほとんどのコイン電池とボタン電池を選別し、また、オーバーコイン選別部13の下流位置に、単4・6選別部14Aなどの長尺円柱形状の乾電池を選別する長尺電池選別部14を設けて、長尺円柱形状の乾電池を選別している。
これにより、乾電池がオーバーコイン選別部13に搬送されてくる前に、ほとんどの小さなボタン電池やコイン電池等が、コインボタン選別部12で選別され、オーバーコイン選別部13で選別した後には、大きな単1電池や単3電池等の乾電池が、その後の長尺電池選別部14で選別されることになる。
このため、オーバーコイン選別部13以外でも、多様な種類の乾電池を選別することができ、オーバーコイン選別部13では、より効率的に特定の大きなコイン電池だけを選別落下させることできる。
特に、コイン電池やボタン電池を選別するコインボタン選別部12と、長尺円柱形状の電池を選別する長尺電池選別部14との間に、オーバーコイン選別部13を配置したことで、限定された乾電池の選別だけをオーバーコイン選別部13で行えば良いため、より精度よく選別することができる。
よって、本実施形態の電池選別装置Mでは、選別する乾電池の種類を増加させることができつつ、オーバーコイン選別部13での乾電池の選別を、より効率的かつ正確に行うことができる。
(他の実施形態)
以上、1つの実施形態で本発明を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、オーバーコイン選別部13だけで、この構造だけで電池選別装置を構成しても良いし、また、コインボタン選別部12とオーバーコイン選別部13とで電池選別装置を構成しても良い。さらに、オーバーコイン選別部13と長尺電池選別部14とで電池選別装置を構成しても良い。
加えて、オーバーコイン選別部13の構造についても、二枚のプレート部材の構造に限定されず、三枚のプレート部材や四枚のプレート部材を使って、開口孔の大きさやプレート部材の間隔の大きさを変更して、選別される電池の種類等を増やすようにしても良い。
さらに、開口孔の形状についても、円形に限定されずに、四角形や六角形、さらには楕円形であってもよい。このように円形以外で開口孔を形成する場合には、最小の開口寸法をコイン電池の直径よりも大きく設定して、最大の開口寸法を単6電池の長さより長くしておけば良い。
また、この実施形態は、コイン電池の高さと単6電池の直径がほぼ同じもので説明したが、本発明は、コイン電池の高さが、単6電池の直径よりもやや高いものであってもよい。
以上説明したように、本発明にかかる乾電池の選別装置は、例えば、廃棄物として回収された廃乾電池を乾電池の大きさや形状等に応じて選別を行う選別装置において有用である。
M…電池選別装置(乾電池の選別装置)
Z…乾電池
Z5…コイン電池(平板円盤形状の乾電池)
Z6…単6電池(長尺円柱形状の乾電池)
3…傾斜搬送選別路
4…加振機構(加振手段)
12…コインボタン選別部(第一選別路)
13…オーバーコイン選別部(搬送選別路)
13A…上側プレート部材
13B…下側プレート部材
13C…カラー付の締結ボルト・ナット
13D…開口孔(開口部)
14…長尺電池選別部(第二選別路)
W…間隙
この発明は、廃棄された乾電池を適切に処理するために、乾電池の大きさや形状等によって選別を行う乾電池の選別装置に関する。
従来から、廃棄物として回収された乾電池等を、乾電池の大きさ等に応じて選別する乾電池の選別装置が知られている。
例えば、下記特許文献1には、傾斜した樋形状の搬送選別路に、開口面積が順に大きくなる開口部を設け、この樋形状の搬送選別路を加振して乾電池等を上流から下流に搬送し、この搬送選別路の各開口部で、各乾電池を小さいものから順に落下させて、選別を行う乾電池の選別装置が開示されている。
また、下記特許文献2には、複数タイプの選別機を備えた乾電池の選別装置が開示されている。具体的には、細長い矩形板(ストリップ)を複数平行に並べた傾斜スリットスクリーンと、プレート板にパンチング加工を行って複数の開口を設けたパンチングプレートスクリーン等を組み合わせて乾電池を選別する選別装置が記載されている。
もっとも、これら乾電池の大きさに応じて選別する選別装置では、乾電池を落下させる開口部やスリットの大きさをどのように設定するかが大事であり、一般に、乾電池の平面投影面積の最小寸法を基準に、開口部やスリットの大きさを決定するのが通常である。
例えば、単1、単2、単3と言われる長尺円柱形状の乾電池の場合には、乾電池の「直径」寸法を基準に開口部やスリットの大きさを設定し、コイン型やボタン型と言われる平板円盤形状の乾電池の場合には、乾電池の「高さ」寸法を基準に、開口部やスリットの大きさが設定される。
特公平3−48624号公報
特開2011−36774号公報
ところで、乾電池には、前述のように、単1、単2、単3と言われる長尺円柱形状の乾電池と、コイン型やボタン型と言われる平板円盤形状の乾電池とがあるが、一般に、長尺円柱形状の乾電池の「直径」の方が、平板円盤形状の乾電池の「高さ」よりも大きい。このため、乾電池を選別する際には、これらの「直径」や「高さ」に応じて、開口部やスリットの大きさをそれぞれの選別位置で変更して、乾電池の選別を行う。前述の特許文献1や特許文献2でも、搬送選別路の開口部やスリットの大きさを、それぞれの選別位置で変更して、乾電池の選別を行っている。
長尺円柱形状の乾電池の中で最も小さい単6等の乾電池と、平板円盤形状のコイン型の乾電池とを比較した場合、単6電池の「直径」に対して通常よく使われるコイン型電池の「高さ」は、ほとんど小さいので、単純に開口部やスリットの大きさを小さくすることで、両方の電池を選別できる。しかし、コイン電池の中には、単6電池の直径に対して、コイン電池の高さがほぼ同じか、あるいは高いものがあり、このようなコイン電池が一緒に
流れると、両電池を選別できないという問題が生じる。
実際に、長尺円柱形状の乾電池の単6電池は、「直径」が約7.7〜8.3mmであり、平板円盤形状の乾電池のコイン電池には、「高さ」が約7.7mmのものが存在する。このとき、仮に、開口部の開口の大きさを8mmに設定した場合には、単6電池とコイン電池とが同じ開口部から下方に落下してしまい、乾電池の選別を行えないという問題が生じる。
そこで、本発明は、上述したような長尺円柱形状の乾電池の「直径」と平板円盤形状の乾電池の「高さ」とが同程度であったとしても両者の選別を、確実に行うことができるようにすることを目的とする。
この発明の乾電池の選別装置は、搬送選別路を上下二枚の板材で構成して、上板材に長尺円柱形状の乾電池と平板円盤形状の乾電池とが共に落込むが、平板円盤形状の乾電池のみが通り抜けて落下する大きさの開口部を形成し、下板材を平板円盤形状の乾電池だけが前記開口部を下方に通り抜けて落下するように、該開口部の下側に設定することで、長尺円柱形状の乾電池の「直径」に対して、平板円盤形状の乾電池の「高さ」がほぼ同じ又は大きいものであっても、長尺円柱形状の乾電池と平板円盤形状の乾電池との選別ができるようにしたものである。
なお、本発明では、乾電池が開口部に入り込む状態を「落込む」と称し、乾電池が開口部を通り抜けて開口部の下方に完全に出てしまう状態を「落下」と称して使用する。
具体的には、第1の発明は、上流側から下流側に向かって下側に向かうように傾斜して配置され、複数種類の乾電池が搬送される搬送選別路と、該搬送選別路を加振して該搬送選別路に振動を生じさせる加振手段とを備え、乾電池を前記搬送選別路の上流側から下流側に搬送する際に長尺円柱形状の乾電池と平板円盤形状の乾電池との選別を行う乾電池の選別装置であって、前記搬送選別路は、上下に位置する複数のプレート部材で構成され、該複数のプレート部材のうち、上側に位置する上側プレート部材には、前記長尺円柱形状の乾電池が、落込むが通り抜けない大きさで且つ、平板円盤形状の乾電池が、通り抜けて下側に位置する下側プレート部材上に落下する大きさの開口部が形成されており、該下側プレート部材と前記上側プレート部材との間には、前記開口部に落込んだ長尺円柱形状の乾電池を通過させず、開口部を通り抜けて下側プレート部材上に落下した前記平板円盤形状の乾電池のみを通過させる間隙が設けられており、さらに、前記複数のプレート部材の上流位置には、搬送される前記乾電池を滞留又は整列させる堰状のゲート部材を設けていることを特徴とする乾電池の選別装置である。
上記構成によれば、長尺円柱形状の乾電池と平板円盤形状の乾電池とは、共に、搬送選別路の上側プレート部材の開口部に落込む。そして、平板円盤形状の乾電池は、そのまま開口部を通り抜けて、下側プレート部材上に落下し、上側プレート部材の間との間隙を通過して、下方に落下していく。一方、長尺円柱形状の乾電池は、開口部に落込むものの、全体が下側プレート部材上に落下せず、搬送方向の前端が下側プレート部材の上面に接触した位置で留まり、後半部分が開口部から上方に突出した状態となる。その後、上流側から搬送される他の乾電池に押されたり、搬送選別路の振動によって、再度、上側プレート部材上に戻されて、搬送選別路の下流側に搬送される。
このため、平板円盤形状の乾電池と長尺円柱形状の乾電池とは、両者の「直径」寸法と「高さ」寸法とがほぼ同じ場合、又は、長尺円柱形状の乾電池の「直径」寸法より平板円盤形状の乾電池の「高さ」寸法が大きい場合であったとしても、同じ選別場所で落下しないため、確実に選別することができる。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記上側プレート部材の開口部は、最小の開口寸法が、前記平板円盤形状の乾電池の直径より大きく、最大の開口寸法が、前記長尺円柱形状の乾電池の長さより小さく設定されていることを特徴とする乾電池の選別装置である。
上記構成によれば、上側プレート部材の開口部は、最小の開口寸法が平板円盤形状の乾電池の直径より大きく、最大の開口寸法が長尺円柱形状の乾電池の長さより小さく設定されているため、平板円盤形状の乾電池については、この開口部を通り抜けて、下側プレート部材側に全て落下するものの、長尺円柱形状の乾電池については、この開口部で一部しか下側プレート部材側に落込まない。
このため、平板円盤形状の乾電池は、確実に開口部を通過して、上側プレート部材と下側プレート部材との間の間隙に導かれるが、長尺円柱形状の乾電池については、開口部で引っ掛かり、上側プレート部材と下側プレート部材との間の間隙には導かれず、この開口部の位置で留まる。
よって、平板円盤形状の乾電池と長尺円柱形状の乾電池とを、上側プレート部材と下側プレート部材とによって、確実に選別することができる。
第3の発明は、第2の発明において、前記開口部は、円形状であることを特徴とする乾電池の選別装置である。
上記構成によれば、開口部を円形状にしたことで、乾電池がどのような向きで搬送された場合であっても、常に、開口部の開口寸法が、最小の開口寸法であり、且つ最大の開口寸法となるため、より確実に、平板円盤形状の乾電池が開口部を通過して、長尺円柱形状の乾電池が開口部に留まることになる。
よって、より確実に、平板円盤形状の乾電池と長尺円柱形状の乾電池の選別を行うことができる。
第4の発明は、第3の発明において、前記上側プレート部材には、上流側から下流側に亘り複数の前記開口部が千鳥足状に配置されて形成されていることを特徴とする乾電池の選別装置。
上記構成によれば、搬送選別路において複数の開口部が千鳥足状に配置されることで、平板円盤形状の乾電池が搬送選別路内のどの位置を流れても、その位置上に開口部が必ず位置するようになり、より確実に平板円盤形状の乾電池を下側プレート部材側に落下させることができる。例えば、仮に、開口部を格子状に整列配置した場合には、たまたま乾電池が開口部間の中央位置を通過すると、開口部に落込まないおそれもある。しかし、開口部を千鳥足状に配置した場合には、こうした問題が生じないため確実に乾電池を開口部に落込ませることができる。
よって、さらに確実に、平板円盤形状の乾電池と長尺円柱形状の乾電池の選別が行える。
第5の発明は、第1乃至第4の発明において、前記搬送選別路よりも上流側位置には、前記平板円盤形状の乾電池よりも小さな乾電池を選別除去する第一選別路が設けられている一方、前記搬送選別路よりも下流側位置には、前記長尺円柱形状の電池以上の大きさの乾電池を選別除去する第二選別路が設けられていることを特徴とする乾電池の選別装置で
ある。
上記構成によれば、搬送選別路よりも上流側位置には第一選別路を設けて、搬送選別路よりも下流位置には第二選別路を設けたため、乾電池等が搬送選別路に搬送されてくる前には、事前に小さな乾電池(例えば、小さいボタン電池やコイン電池等)が第一選別路で選別除去され、搬送選別路での選別後には、搬送選別路で落下しなかった乾電池(例えば、大きい単1電池や単3電池等)が第二選別路で選別除去されることになる。
このため、搬送選別路以外でも、多くの種類の乾電池を選別することができ、搬送選別路では、より効率的に平板円盤形状の乾電池と長尺円柱形状の乾電池を選別することできる。特に小さな乾電池を選別する第一選別路と、大きな乾電池を選別する第二選別路との間に、搬送選別路を配置したことで、限定された種類の乾電池の選別だけを搬送選別路で行えば良いため、より精度よく選別することができる。
よって、選別する乾電池の種類を増加させることができつつ、搬送選別路での乾電池の選別を、より効率的かつ正確に行うことができる。
本願発明によれば、平板円盤形状の乾電池と長尺円柱形状の乾電池とは、両者の「直径」寸法と「高さ」寸法とがほぼ同じ場合、又は、長尺円柱形状の乾電池の「直径」寸法より平板円盤形状の乾電池の「高さ」寸法が大きい場合であったとしても、同じ選別場所で落下しないため、確実に選別することができる。
よって、平板円盤形状の乾電池と長尺円柱形状の乾電池との選別を、確実に行うことができる。
本発明の実施形態にかかる電池選別装置の全体斜視図である。
電池選別装置の全体平面図である。
電池選別装置の全体側面図である。
電池選別装置の要部詳細平面図である。
図4のA−A線矢視断面図である。
図4のB−B線矢視断面図である。
図2のC−C線矢視断面図である。
図2のD−D線矢視断面図である。
図2のE−E線矢視断面図である。
電池選別装置の選別方法のフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態にかかる電池選別装置の全体斜視図、図2は電池選別装置の全体平面図、図3は電池選別装置の全体側面図、図4は一部の構成を除いた電池選別装置の要部詳細平面図、図5は図4のA−A線矢視断面図、図6は図4のB−B線矢視断面図、図7は図2のC−C線矢視断面図、図8は図2のD−D線矢視断面図、図9は図2のE−E線矢視断面図、図10は電池選別装置の選択方法のフローチャートである。
図1〜図3に示すように、本実施形態の電池選別装置Mは、ベースフレーム1に対して
コイルスプリング部材2によって振動可能にフローティング支持され、かつ長手方向で上流側から下流側に向かって下向きに傾斜して配置される傾斜搬送選別路3と、この傾斜搬送選別路3の下側に配置され、この傾斜搬送選別路3を振動させる加振機構4(加振手段)と、前記傾斜搬送選別路3の下側に配置され、この傾斜搬送選別路3で選別される各乾電池を乾電池毎に下側側方に排出する複数の選別シュート5…と、を備えている。
そして、傾斜搬送選別路3の上流端の上方には、該傾斜搬送選別路3の上流端に乾電池Zを投入する電池投入装置6を配置している。また、各選別シュート5…の下側側方には、各選別シュート5から落下する選別後の乾電池を受ける複数の受け容器7…を配置している。
なお、以下、本明細書では、前記傾斜搬送選別路3の長手方向を「前後方向」と定義し、傾斜搬送選別路3の短手方向を「幅方向」と定義する。さらに、傾斜搬送選別路3の電池投入装置6を配置した側を「後方側」、また、その反対側を「前方側」と定義する。
前記電池投入装置6は、上部にドラム缶状の投入容器61を設けており、この投入容器61を傾動機構62によって前方側に傾動することで、内部に蓄えた乾電池Z等を、前記傾斜搬送選別路3の上流端に投入するように構成している。
前記加振機構4は、前記傾動搬送路本体3の下方に設置した電動モータMと、電動モータMの回転力を伝達するVプーリー41と、傾斜搬送選別路3の下部に軸受部材43を介して回転自在に取り付けられ、偏心した重心を有する偏心ロータ42と、を備えており、電動モータMとVプーリー41がVベルト44を介して動力が伝達されるように構成され、また同様に、Vプーリー41と偏心ロータ42がVベルト45を介して動力が伝達されるように構成されている。
そして、この加振機構4では、電動モータMが回転駆動すると、電動モータM→Vベルト44→Vプーリー41→Vベルト45→偏心ロータ42という経路で、回転駆動力が偏心ロータ42に伝達される。偏心ロータ42が回転すると、偏心ロータ42の重心位置が変動して、偏心ロータ42が上下及び前後方向に揺動する。これにより、偏心ロータ42に加振力が発生するようになっている。
また、傾斜搬送選別路3は、前述のようにコイルスプリング部材2を介してフローティング支持されているため、偏心ロータ42が回転しながら揺動して、偏心ロータ42から加振力を受けると、上下及び前後方向に振動することになる。
この実施形態では、電動モータM、Vプーリー41、Vベルト44,45、及び偏心ロータ42により傾斜搬送選別路3を加振して、該傾斜搬送選別路3に振動を生じさせる加振機構3が構成されている。
こうして、加振機構4によって傾斜搬送選別路3を振動させることにより、傾斜搬送選別路3に乾電池Z等を投入した場合には、乾電池Zが傾斜搬送選別路3の上流から下流側に徐々に滑りながら移動する(搬送される)ことになる。
前記傾斜搬送選別路3は、平面視で前後方向に延びる長尺略矩形形状の搬送路面部31と、該搬送路面部31の左右側部を前後方向に延びる本体側面部32と、該傾斜搬送選別路3の前後端を幅方向に延びる本体端面部33と、を一体的に備えている。
このうち、搬送路面部31には、図2に示すように、上流側から下流側に向かって投入受け部10と、ダスト分離部11と、コインボタン選別部12と、オーバーコイン選別部
13と、長尺電池選別部14と、オーバー電池選別部15とが、順に設けられており、さらに、長尺電池選別部14には、単4・6選別部14Aと、単3選別部14Bと、平角選別部14Cと、単2選別部14Dと、単1選別部14Eとが、それぞれ設けられている。なお、投入受け部10とダスト分離部11の周囲には、脱落防止用のカバーフィンFを設けている。
この搬送路面部31の分離部11や各選別部12〜14の下方には、幅方向に延びて、分離部11及び各選別部12〜14毎に選別した乾電池等を前記各選別シュート5…に集める各案内ダクト8…が設けられている。また、前記搬送路面部31の幅方向両側周囲には、前記本体側面部32から搬送路面部31より高く上方に延びる周縁側壁9が設けられている。これにより、搬送路面部31からの乾電池の脱落を防止している。
次に、前記搬送路面部31の各箇所について、図2によって、より詳細に説明する。
まず、前記投入受け部10は、横長矩形の平板部材10aで形成されており、電池投入装置6からの乾電池Zの投入を確実に受けられるように構成している。なお、図示しないが、投入受け部10の表面にはゴム製シートを装着して、電池投入時の衝撃音を抑えるように構成することが好ましい。
次に、前記ダスト分離部11は、小径の開口孔11bを複数設けた網目状の板部材11aで形成されており、乾電池に付着したサビや砂等のダストを、この板部材11aの開口孔11bから落下させて、乾電池から分離除去するように構成されている。ここで、開口孔11bは、例えば、直径5mmで、8mmピッチの千鳥足状配置で穿設されて、サビや砂等のダストだけを落下させるように構成することが好ましい。
次に、前記コインボタン選別部12は、幅方向に延びる複数の丸軸棒12a(図4参照)を前後方向に所定の隙間12bを開けて平行に並べて配置した、いわゆる「バースクリーン」で構成している。このように、コインボタン選別部12をバースクリーンで構成することで、小さいコイン電池とボタン電池だけを、隙間12bから下方に落下させるように構成している。ここで、丸軸棒12aは、例えば直径6mmに設定して、隙間12bを7.5mmに設定することで、7.5mm以下の高さのコイン電池やボタン電池を落下させるように構成することが好ましい。
そして、このコインボタン選別部12で脱落しない大きい乾電池については、そのまま下流側に搬送される。なお、このコインボタン選別部12では、乾電池の表面を被覆していた被覆フィルム等も落下するように構成している。
次に、前記オーバーコイン選別部13は、前述のコインボタン選別部12で選別できなかった大きなコイン電池を選別するように構成している。具体的には後述するが、上下二枚のプレート部材13A,13Bで構成して、確実に大きなコイン電池だけを選別するように構成している。
次に、前記長尺電池選別部14は、前後方向に延びる複数の凹溝部101が幅方向に並べられた断面波形の凹凸状の板部材100で形成しており、複数の凹溝部101がいわゆる「樋形状」となって上流側から下流側に向かって延びるように構成されている。そして、この長尺電池選別部14では、単1電池等の長尺円柱形状の乾電池が選別できるように
構成されている。
具体的には、長尺電池選別部14の凹溝部101に、長尺円柱形状の乾電池を位置させて、前記加振機構4で振動を与えると、その乾電池が凹溝部101内を徐々に滑りながら
移動して上流側から下流側に搬送される。この時に、前記各選別部14A,14B,14C,14D,14Eの凹溝部101の底部に開口形成した前後方向に細長い電池落下口110,120,130,140,150で各乾電池を順番に落下させることで、乾電池の選別を行うように構成している。
まず、前記単4・6選別部14Aにおいては、長尺円柱形状の乾電池の中で最も直径の小さい単6電池と単4電池が選別できるように、最も幅の小さい電池落下口110を設けている。ここで、この電池落下口110は、例えば、幅を13mm、長さを121.6mmに設定することで、単6電池(直径8.3mm〜7.7mm、長さ42.5mm〜41.5mm)や、単4電池(直径10.5mm〜9.5mm、長さ44.5mm〜42.5mm)が落下するように構成することが好ましい。
次に、単3選別部14Bにおいては、単3電池が選別できるように、二番目に幅の小さい電池落下口120を設けている。ここで、この電池落下口120は、例えば、幅を16mm、長さを121.5mmに設定することで、単3電池(直径15.5mm〜13.5mm、長さ50.5mm〜49.0mm)が落下するように構成することが好ましい。
さらに、平角選別部14Cは、平角電池が選別できるように、三番目に幅の小さい電池落下口130を設けている。ここで、この電池落下口130は、例えば、幅を22mm、長さを121.5mmに設定することで、平角電池(幅20.5mm〜18.5mm、長さ48.5mm〜46.5mm)が落下するように構成することが好ましい。
また、単2選別部14Cは、単2電池が選別できるように、二番目に幅の大きい電池落下口140を設けている。ここで、この電池落下口140は、例えば、幅を30mm、長さを121.5mmに設定することで、単2電池(直径26.2mm〜24.7mm、長さ50.0mm〜48.5mm)が落下するように構成することが好ましい。
最後に、単1選別部14Eは、単1電池が選別できるように、一番幅の大きい電池落下口150を設けている。ここで、この電池落下口150は、例えば、幅を36mm、長さを121.5mmに設定することで、単1電池(直径34.2mm〜32.2mm、長さ61.5mm〜59.5mm)が落下するように構成することが好ましい。
以上のように長尺電池選別部14を構成することで、複数種の長尺円柱形状の乾電池を選別することができる。
なお、これらの各選別部14A,14B,14C,14D,14Eにおいて、落下しなかった規格外の乾電池については、長尺電池選別部14の下流端のオーバー電池選別部15からそのまま下方の下流端シュート5Aに落下するように構成されている。
一方、この搬送路面部31の上方位置には、この搬送路面部31を流れる乾電池を滞留又は整列させるために複数の堰形状のゲートバーG1,G2,G3を設けている。具体的には、第一ゲートバーG1を、コインボタン選別部12とオーバーコイン選別部13との間に設け、第二ゲートバーG2を、長尺電池選別部14の単4・6選別部14Aの直上流位置に設け、さらに、第三ゲートバーG3を、単3選別部14Bの直上流位置に設けている。
各ゲートバーG1,G2,G3は、図1〜図3に示すように、搬送路面部31の上方位置を幅方向に延びて搬送路面部31の両側端間に架け渡された断面略L字状のメンバー部材等によって構成しており、こうして幅方向全域に亘って設置されることで、搬送路面部31を搬送される乾電池を一旦堰き止め等することにより、乾電池の流れを整理等するようにしている。
これら各ゲートバーG1,G2,G3について、詳細に説明する。図7に示すように、第一ゲートバーG1は、本体側面部32の上部に設置された周縁側壁9に対して、両端部が固定ボルト201によって固定されている。第一ゲートバーG1は、断面略L字状のメンバー部材202と、このメンバー部材202に取り付けられるゴム製のカーテン部材203と、このゴム製のカーテン部材203をメンバー部材202に取り付ける5つの締結ボルト204を備えている。そして、メンバー部材202には、カーテン部材203の上下位置を調整できるように、締結ボルト204の締結位置を調整する上下方向に延びる長穴205を形成している。
また、カーテン部材203には、複数箇所において下端から上方向に延びるスリット206が形成され、このスリット206による部分的な分離により、カーテン部材203がいわゆる「のれん状」に構成されている。さらに、メンバー部材202の両端には脚部207が設けられており、この脚部207で周縁側壁9に固定されている。
この第一ゲートバーG1は、コインボタン選別部12とオーバーコイン選別部13との間に設置されることで、一旦、カーテン部材203によって乾電池を堰き止めて、コインボタン選別部12における乾電池の滞留時間を確保している。
これにより、大量に搬送される複数種類が混在した乾電池の中からコイン電池やボタン電池を、確実にコインボタン選別部12で落下させることができる。このため、コインボタン選別部12を必要以上に長尺に設ける必要がないため、コインボタン選別部12のレイアウトスペースをコンパクトにできる。
前記第二ゲートバーG2も、図8に示すように、本体側面32の上部に設置された周縁側壁9に対して、両端部が固定ボルト211によって固定されている。この第二ゲートバーG2も、断面略L字状のメンバー部材212と、このメンバー部材212に取り付けられるゴム製のカーテン部材213と、このゴム製のカーテン部材213をメンバー部材212に取り付ける5つの締結ボルト214を備えている。
この第二ゲートバーG2のカーテン部材213は、第一ゲートバーG1のカーテン部材203と形状が異なる。具体的には、スリット215,216が形成されて、いわゆる「のれん状」に構成される点は同じであるものの、各片217,218の形状が異なる。すなわち、各片217、218の下端部が、長尺電池選別部14の凹凸形状に対応してギザギザに形成されて、一方の突出片217が凹溝部101の一方の傾斜溝側面101aに沿う傾斜辺217aを有しているのに対して、他方の平坦片218が他方の傾斜溝側面101bに隙間を開けて水平に延びる水平辺218aを有している。
この第二ゲートバーG2は、カーテン部材213をこのように構成することで、長尺電池選別部14で搬送される乾電池を、凹溝部101で確実に一つずつ整列させることができる。
例えば、図8の仮想線で示すように、1つの凹溝部101の中を2つの乾電池Z1,Z2が重なって搬送される場合、カーテン部材213の突出片217が1つの乾電池Z1に接触して、この乾電池Z1の搬送を遅らせるように機能する。このため、平坦片218の側の乾電池Z2は平坦片218の下側をそのまま下流側に搬送されて、結果的に、1つの乾電池が凹溝部101の中を1つずつ搬送されることになる。
よって、第二ゲートバーG2では、搬送される乾電池の凹溝部101での整列を行うことができる。これにより、この第二ゲートバーG2の下流位置の各選別部14A等では、確実に乾電池を一つずつ落下させることができ、各乾電池の選別を確実に生じさせることができる。
前記第三ゲートバーG3も、図9に示すように、本体側面32の上方に設置された周縁側壁9に対して、両端部が固定ボルト211によって固定されている。この第三ゲートバーG3も断面略L字状のメンバー部材222を備えているが、他のゲートバーと異なり上下方向に延びる複数の寸切りボルト223,224…を、幅方向に並べて取り付けている。具体的には、寸切りボルト223,224の下端が、各凹溝部101の各傾斜溝側面101a,101bに上下方向に対応するように設置されている。
この第三ゲートバーG3では、この寸切りボルト223,224の上下位置を調整することで、搬送される乾電池が、凹溝部101の中で確実に一つずつ整列して搬送されるように構成している。例えば、図9の仮想線に示すように、1つの凹溝部101を2つの乾電池Z3,Z4が重なって搬送される場合には、一方の寸切りボルト223が下方に下がっていると、寸切りボルト223の下端が1つの乾電池Z3に接触して、この乾電池Z3の搬送を遅らせるように機能する。このため、寸切りボルト224に接触しない乾電池Z4は、そのまま下流側に搬送されることになり、結果的に、凹溝部101の中で乾電池が1つずつ搬送されるようになるのである。
よって、この第三ゲートバーG3でも、搬送される乾電池の整列を行うことができ、第三ゲートバーGよりも下流位置の各選別部14B等で、各乾電池の落下を確実に生じさせることができる。
なお、この第三ゲートバーG3の下流位置の単3選別部14Bにおいて、その電池落下口120の側方(凹溝部101の一方の傾斜溝側面101a)には、タッピングネジ230を螺合固定している。このタッピングネジ230は、単3電池が案内されて単3選別部14Bの電池落下口120に確実に落ちるように設けている。ここで、タッピングネジ230は、例えば、M5のタッピングネジ230を用いて、ネジ頭部230aが凹溝部101内にあまり突出しないように構成することが好ましい。
次に、前記オーバーコイン選別部13を、図4〜図6を利用して詳細に説明する。オーバーコイン選別部13は、上側に位置する矩形形状の上側プレート部材13Aと、この上側プレート部材13Aの下側に位置する矩形形状の下側プレート部材13Bと、この下側プレート部材13Bと上側プレート部材13Aとの間を一定間隔に確保して締結固定する複数のカラー付の締結ボルト・ナット13Cと、を備えて構成される。
前記上側プレート部材13Aは、比較的大きな矩形の平板で構成しており、円形の開口孔13Dを複数設けている。この複数の開口孔13Dは、図4に示すように、例えば、前後方向に縦4列、幅方向に横15列の千鳥足状の配置で穿設されており、上側プレート部材13A上を、乾電池が搬送される際には、全ての乾電池が開口孔13Dに落ち込むように設定されている。具体的には、開口孔13Dは、長尺円柱形状の乾電池(Z6)が落込むが通り抜けない大きさで、かつ、平板円盤形状の乾電池(Z5)が全て通り抜けて下側プレート部材13B上に落下する大きさとされている。ここで、開口孔13Dは、例えば、直径d1(図6参照)を32mmに設定することで、直径d2が最も大きなコイン電池Z5(直径30.0mm)が落下するように構成することが好ましい。
前記下側プレート部材13Bは、上側プレート部材13Aよりやや短い矩形の平板で構成しており、特に加工は施していない。下側プレート部材13Bの下流端13Baの位置を、上側プレート部材13Bの最下流位置の開口孔13Dの直下流位置に設定することで
、上側プレート部材13の開口孔13Dから落下したコイン電池Z5が、下側プレート部材13Bを滑ってすぐに案内ダクト8内に落下するように構成されている。
前記カラー付の締結ボルト・ナット13Cは、図5、図6に示すように、上側プレート部材13Aと下側プレート部材13Bを貫通して配置され、かつ頭部が上側プレート部材13Aの上面に突出するボルト部材13Caと、上側プレート部材13Aと下側プレート部材13Bの間に位置するカラー部材13Cbと、ボルト部材13Caの下端に下側プレート部材13Bの下側から螺合されるナット部材13Ccとから構成される。このカラー付の締結ボルト・ナット13Cは、上側プレート部材13Aと下側プレート部材13Bの間隙Wが、全域で一定となるように、例えば前後方向に縦3列、幅方向に横8列の並列配置で設けられている。上側プレート部材13Aと下側プレート部材13Bとの間には、上側プレート部材13Aの開口孔13Dに落込んだ長尺円柱形状の乾電池(Z6)を通過させず、その開口孔13Dを通り抜けて下側プレート部材13B上に落下した平板円盤形状の乾電池(Z5)のみを通過させる間隙Wが形成されている。
ここで、例えば、カラー部材13Cbは、長さを8mmに設定することで、上側プレート部材13Aと下側プレート部材13Bの間隙Wを8mmに設定して、最も高さtの大きなコイン電池Z5(高さ7.7mm)が通過できるように構成することが好ましい。
なお、ここでのコイン電池Z5は、出願時点での現在、最も直径が大きいコイン電池と、最も高さの高いコイン電池とを、仮想の大型のコイン電池として表したものであり、現実には存在していない。
また、本実施形態では、上側プレート部材13Aと下側プレート部材13Bの間隔Wを一定としたが、流れる電池の種類や大きさに応じて、可変できるようにしても良い。また、開口部13Dの大きさも、同様にして可変にしても良い。
その他、幅方向に横5列で、やや大きな頭部で構成される締結部Gは、オーバーコイン選別部13を傾斜搬送選別路3において下部に形成したクロスメンバー35に固定するための締結部Gである。この締結部Gは、図4に示すように、オーバーコイン選別部13だけでなく、長尺電池選別部14においても、前後方向に一定の間隔で設けられている。
このように構成されるオーバーコイン選別部13によって、従来困難であった大きなコイン電池の選別が行える。
すなわち、従来構造のように、単に開口孔を設けた選別部であれば、長尺円柱形状の乾電池の中で最も小さい単6電池と、最も高さの大きなコイン電池とでは、単6電池の「直径」とコイン電池の「高さ」がほぼ同じであるため、共に、開口部で落下して、両乾電池を選別できない。
実際に、単6電池の直径は約7.7mmで、コイン電池の高さは約7.7mmのものが存在するが、このとき、開口部の径を8mmに設定した場合には、単6電池とコイン電池とが共に同じ開口孔に落下してしまい、選別を行えない。
しかし、この実施形態にかかるオーバーコイン選別部13によれば、図4及び図6に示すように、開口孔13Dに乾電池Z5,Z6が搬送されると、コイン電池Z5は、その直径d2が開口孔13Dの直径d1よりも小さいので、全てが上側プレート部材13Aから落込んで通り抜けるものの、単6電池Z6は、長さL1が開口孔13Dの直径d2よりも長いので全てが落込まず、一部が上側プレート部材13A上に残る(例えば、開口孔の直径d1が32mmの場合、単6電池Z6の長さL1が42.5mm〜41.5mmである
ため、約10mm程度が残る)。
このように、開口孔13Dをコイン電池Z5が全て通り抜けて下側プレート部材13上に落下すると、図6に示すように、コイン電池Z5は、上側プレート部材13Aと下側プレート部材13Bの間隙Wが、コイン電池Z5の高さtよりも大きいので、そのまま下側プレート部材13B上を滑って下方に移動していく。
一方、単6電池Z6は、図6に示すように、開口孔13Dに対して、下側プレート部材13Bが存在するため、一部が引っ掛った状態で、この開口孔13Dの位置に留まる。このため、単6電池Z6は、コイン電池Z5とは異なり下側プレート部材13B上を滑らず、下方に移動して行かない。その後、引っ掛かった単6電池Z6は、振動や上流側から搬送される別の乾電池Z7に押されて、例えば、前回りに転がることで、開口孔13Dから抜け出し、再度、上側プレート部材13A上に戻って、下流側に搬送されていく。
こうして、本実施形態のオーバーコイン選別部13では、単6電池Z6と大きなコイン電池Z5の直径寸法と高さ寸法とがほぼ同じであったとしても、同じ選別場所で落下しないため、確実に選別することができる。
よって、従来困難であった、単6電池Z6と大きなコイン電池Z5の選別を、確実に行うことができる。
また、この実施形態では、上側プレート部材13の開口孔13Dが、上流側から下流側に亘り複数設けられており、開口孔13Dが千鳥足状に配置されている。
このように、開口孔13Dが千鳥足状に配置されることにより、隣接する開口部13D同士の間隔を近接できるので、コイン電池Z5がオーバーコイン選別部13のどの位置を流れても、その途中に開口孔13Dが必ず位置するため、より確実にコイン電池Z5を下側プレート部材13B側に落下させることができる。例えば、仮に、開口孔を格子状に配置した場合には、乾電池が開口孔間の中央位置を通過すると、開口孔に落下しないおそれもある。しかし、開口孔13Dを千鳥足状に配置した場合には、こうした問題は生じない。
以上にように構成される、電池選別装置Mの乾電池の選別方法について、図10のフローチャートを使って説明する。
まず、ステップS1で、乾電池を電池選別装置Mに投入する。この投入作業は、前記した電池投入装置6によって行う。この投入作業によって、搬送路面部31には大量の乾電池が投入される。
次に、ステップS2で、砂や小石を分離する。この分離作業は前記したダスト分離部11によって行う。この砂・小石の分離作業によって、選別対象の乾電池Zから初めに砂や小石などのダストを分離することができる。
さらに、ステップS3で、ボタン電池やコイン電池を選別する。この選別作業は、前記したコインボタン選別部12によって行う。このコインボタン選別部12による選別作業によって、ほとんどのコイン電池とボタン電池が選別される。これは、前述のように、バースクリーンの隙間12bが、ほとんどのコイン電池やボタン電池の高さよりも広く設定されているためである。
また、第一ゲートバーG1を設けているために、一旦、コインボタン選別部12で大量
の乾電池を滞留させることができる。これにより、コインボタン選別部12で、確実にコイン電池とボタン電池の選別を行うことができる。
次に、ステップS4で、オーバーコイン電池を選別する。この選別作業は、前記したオーバーコイン選別部13によって行う。このオーバーコイン選別部13による選別作業では、コインボタン選別部12で選別できなかった大きなオーバーコイン電池を選別する。このとき、前述のように、単6電池Z6と大きなコイン電池Z5の直径寸法と高さ寸法とが、ほぼ同じであっても、コイン電池Z5だけを落下させることができるため、コイン電池Z5だけを、確実に選別することができる。
次に、ステップS5で、単4電池と単6電池を選別する。この選別作業は、前記した単4・6選別部14Aによって行う。この単4・6選別部14Aによる選別作業では、長尺円柱形状の電池の中で最も小さい単6電池と単4電池を、最も幅の小さい電池落下口110から落下させることで行う。
この選別においても、第二ゲートバーG2を、単4・6選別部14Aの直前に設けているため、凹溝部101内で一つずつ乾電池が整列されて、確実に、単4・6選別部14Aで単4電池、単6電池の選別を行うことができる。
次に、ステップS6で、単3電池を選別する。この選別作業は、前記した単3選別部14Bによって行う。この単3選別部14Bによる選別作業でも、単3電池を二番目に幅の小さい電池落下口120から落下させることで行う。この選別においても、第三ゲートバーG3とタッピングネジ230を単3選別部14Bの直上流側に設けているため、凹溝部101内で一つずつ乾電池が整列されるようになり、確実に、単3選別部14Bで単3電池の選別を行うことができる。
次に、ステップS7で、平角電池を選別する。この選別作業は、平角選別部14Cによって行う。この平角選別部14Cによる選別作業でも、平角電池を三番目に幅の小さい電池落下口130から落下させることで行う。
次に、ステップS8で、単2電池を選別する。この選別作業は、単2選別部14Dによって行う。この第2選別部14Dによる選別作業でも、単2電池を二番目に幅の大きい電池落下口140から落下させることで行う。
次に、ステップS9で、単1電池を選別する。この選別作業は、単1選別部14Eによって行う。この選別作業でも、単1電池を最も幅の大きな電池落下口150から落下させることで行う。
最後に、ステップS10で、以上のステップで選別できなかった(落下しなかった)規格外の大型のオーバーサイズ電池を選別する。この選別作業については、そのまま、長尺電池選別部14の下流端のオーバー電池選別部15から落下させることで行う。
以上のようなステップを経ることで、本実施形態の電池選別装置Mは、複数種の乾電池を適切に選別することができる。
本実施形態の電池選別装置Mでは、オーバーコイン選別部13の上流位置に、コインボタン選別部12を設けて、ほとんどのコイン電池とボタン電池を選別し、また、オーバーコイン選別部13の下流位置に、単4・6選別部14Aなどの長尺円柱形状の乾電池を選別する長尺電池選別部14を設けて、長尺円柱形状の乾電池を選別している。
これにより、乾電池がオーバーコイン選別部13に搬送されてくる前に、ほとんどの小さなボタン電池やコイン電池等が、コインボタン選別部12で選別され、オーバーコイン選別部13で選別した後には、大きな単1電池や単3電池等の乾電池が、その後の長尺電池選別部14で選別されることになる。
このため、オーバーコイン選別部13以外でも、多様な種類の乾電池を選別することができ、オーバーコイン選別部13では、より効率的に特定の大きなコイン電池だけを選別落下させることできる。
特に、コイン電池やボタン電池を選別するコインボタン選別部12と、長尺円柱形状の電池を選別する長尺電池選別部14との間に、オーバーコイン選別部13を配置したことで、限定された乾電池の選別だけをオーバーコイン選別部13で行えば良いため、より精度よく選別することができる。
よって、本実施形態の電池選別装置Mでは、選別する乾電池の種類を増加させることができつつ、オーバーコイン選別部13での乾電池の選別を、より効率的かつ正確に行うことができる。
(他の実施形態)
以上、1つの実施形態で本発明を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、オーバーコイン選別部13だけで、この構造だけで電池選別装置を構成しても良いし、また、コインボタン選別部12とオーバーコイン選別部13とで電池選別装置を構成しても良い。さらに、オーバーコイン選別部13と長尺電池選別部14とで電池選別装置を構成しても良い。
加えて、オーバーコイン選別部13の構造についても、二枚のプレート部材の構造に限定されず、三枚のプレート部材や四枚のプレート部材を使って、開口孔の大きさやプレート部材の間隔の大きさを変更して、選別される電池の種類等を増やすようにしても良い。
さらに、開口孔の形状についても、円形に限定されずに、四角形や六角形、さらには楕円形であってもよい。このように円形以外で開口孔を形成する場合には、最小の開口寸法をコイン電池の直径よりも大きく設定して、最大の開口寸法を単6電池の長さより長くしておけば良い。
また、この実施形態は、コイン電池の高さと単6電池の直径がほぼ同じもので説明したが、本発明は、コイン電池の高さが、単6電池の直径よりもやや高いものであってもよい。
以上説明したように、本発明にかかる乾電池の選別装置は、例えば、廃棄物として回収された廃乾電池を乾電池の大きさや形状等に応じて選別を行う選別装置において有用である。
M…電池選別装置(乾電池の選別装置)
Z…乾電池
Z5…コイン電池(平板円盤形状の乾電池)
Z6…単6電池(長尺円柱形状の乾電池)
3…傾斜搬送選別路
4…加振機構(加振手段)
12…コインボタン選別部(第一選別路)
13…オーバーコイン選別部(搬送選別路)
13A…上側プレート部材
13B…下側プレート部材
13C…カラー付の締結ボルト・ナット
13D…開口孔(開口部)
14…長尺電池選別部(第二選別路)
W…間隙
この発明は、廃棄された乾電池を適切に処理するために、乾電池の大きさや形状等によって選別を行う乾電池の選別装置に関する。
従来から、廃棄物として回収された乾電池等を、乾電池の大きさ等に応じて選別する乾電池の選別装置が知られている。
例えば、下記特許文献1には、傾斜した樋形状の搬送選別路に、開口面積が順に大きくなる開口部を設け、この樋形状の搬送選別路を加振して乾電池等を上流から下流に搬送し、この搬送選別路の各開口部で、各乾電池を小さいものから順に落下させて、選別を行う乾電池の選別装置が開示されている。
また、下記特許文献2には、複数タイプの選別機を備えた乾電池の選別装置が開示されている。具体的には、細長い矩形板(ストリップ)を複数平行に並べた傾斜スリットスクリーンと、プレート板にパンチング加工を行って複数の開口を設けたパンチングプレートスクリーン等を組み合わせて乾電池を選別する選別装置が記載されている。
もっとも、これら乾電池の大きさに応じて選別する選別装置では、乾電池を落下させる開口部やスリットの大きさをどのように設定するかが大事であり、一般に、乾電池の平面投影面積の最小寸法を基準に、開口部やスリットの大きさを決定するのが通常である。
例えば、単1、単2、単3と言われる長尺円柱形状の乾電池の場合には、乾電池の「直径」寸法を基準に開口部やスリットの大きさを設定し、コイン型やボタン型と言われる平板円盤形状の乾電池の場合には、乾電池の「高さ」寸法を基準に、開口部やスリットの大きさが設定される。
特公平3−48624号公報
特開2011−36774号公報
ところで、乾電池には、前述のように、単1、単2、単3と言われる長尺円柱形状の乾電池と、コイン型やボタン型と言われる平板円盤形状の乾電池とがあるが、一般に、長尺円柱形状の乾電池の「直径」の方が、平板円盤形状の乾電池の「高さ」よりも大きい。このため、乾電池を選別する際には、これらの「直径」や「高さ」に応じて、開口部やスリットの大きさをそれぞれの選別位置で変更して、乾電池の選別を行う。前述の特許文献1や特許文献2でも、搬送選別路の開口部やスリットの大きさを、それぞれの選別位置で変更して、乾電池の選別を行っている。
長尺円柱形状の乾電池の中で最も小さい単6等の乾電池と、平板円盤形状のコイン型の乾電池とを比較した場合、単6電池の「直径」に対して通常よく使われるコイン型電池の「高さ」は、ほとんど小さいので、単純に開口部やスリットの大きさを小さくすることで、両方の電池を選別できる。しかし、コイン電池の中には、単6電池の直径に対して、コイン電池の高さがほぼ同じか、あるいは高いものがあり、このようなコイン電池が一緒に流れると、両電池を選別できないという問題が生じる。
実際に、長尺円柱形状の乾電池の単6電池は、「直径」が約7.7〜8.3mmであり、平板円盤形状の乾電池のコイン電池には、「高さ」が約7.7mmのものが存在する。このとき、仮に、開口部の開口の大きさを8mmに設定した場合には、単6電池とコイン電池とが同じ開口部から下方に落下してしまい、乾電池の選別を行えないという問題が生じる。
そこで、本発明は、上述したような長尺円柱形状の乾電池の「直径」と平板円盤形状の乾電池の「高さ」とが同程度であったとしても両者の選別を、確実に行うことができるようにすることを目的とする。
この発明の乾電池の選別装置は、搬送選別路を上下二枚の板材で構成して、上板材に長尺円柱形状の乾電池と平板円盤形状の乾電池とが共に落込むが、平板円盤形状の乾電池のみが通り抜けて落下する大きさの開口部を形成し、下板材を平板円盤形状の乾電池だけが前記開口部を下方に通り抜けて落下するように、該開口部の下側に設定することで、長尺円柱形状の乾電池の「直径」に対して、平板円盤形状の乾電池の「高さ」がほぼ同じ又は大きいものであっても、長尺円柱形状の乾電池と平板円盤形状の乾電池との選別ができるようにしたものである。
なお、本発明では、乾電池が開口部に入り込む状態を「落込む」と称し、乾電池が開口部を通り抜けて開口部の下方に完全に出てしまう状態を「落下」と称して使用する。
具体的には、第1の発明は、上流側から下流側に向かって下側に向かうように傾斜して配置され、複数種類の乾電池が搬送される搬送選別路と、該搬送選別路を加振して該搬送選別路に振動を生じさせる加振手段とを備え、乾電池を前記搬送選別路の上流側から下流側に搬送する際に長尺円柱形状の乾電池と平板円盤形状の乾電池との選別を行う乾電池の選別装置であって、前記搬送選別路は、上下に位置する複数のプレート部材で構成され、該複数のプレート部材のうち、上側に位置する上側プレート部材には、開口寸法が前記平板円盤形状の乾電池の直径より大きく、且つ前記長尺円柱形状の乾電池の長さより小さく設定された円形状の開口部が形成されており、下側に位置する下側プレート部材と前記上側プレート部材との間には、前記上側プレート部材の開口部の開口寸法より小さく、且つ前記平板円盤形状の乾電池の高さより大きく設定された間隙が設けられており、さらに、前記複数のプレート部材の上流位置には、搬送される前記長尺円柱形状の乾電池と前記平板円盤形状の乾電池を整列させる堰状のゲート部材を設けていることを特徴とする乾電池の選別装置である。
上記構成によれば、長尺円柱形状の乾電池と平板円盤形状の乾電池とは、共に、搬送選別路の上側プレート部材の開口部に落込む。そして、平板円盤形状の乾電池は、そのまま開口部を通り抜けて、下側プレート部材上に落下し、上側プレート部材の間との間隙を通過して、下方に落下していく。一方、長尺円柱形状の乾電池は、開口部に落込むものの、全体が下側プレート部材上に落下せず、搬送方向の前端が下側プレート部材の上面に接触した位置で留まり、後半部分が開口部から上方に突出した状態となる。その後、上流側から搬送される他の乾電池に押されたり、搬送選別路の振動によって、再度、上側プレート部材上に戻されて、搬送選別路の下流側に搬送される。
このため、平板円盤形状の乾電池と長尺円柱形状の乾電池とは、両者の「直径」寸法と「高さ」寸法とがほぼ同じ場合、又は、長尺円柱形状の乾電池の「直径」寸法より平板円盤形状の乾電池の「高さ」寸法が大きい場合であったとしても、同じ選別場所で落下しないため、確実に選別することができる。
また、上記構成によれば、上側プレート部材の開口部は、最小の開口寸法が平板円盤形状の乾電池の直径より大きく、最大の開口寸法が長尺円柱形状の乾電池の長さより小さく設定されているため、平板円盤形状の乾電池については、この開口部を通り抜けて、下側プレート部材側に全て落下するものの、長尺円柱形状の乾電池については、この開口部で一部しか下側プレート部材側に落込まない。
このため、平板円盤形状の乾電池は、確実に開口部を通過して、上側プレート部材と下側プレート部材との間の間隙に導かれるが、長尺円柱形状の乾電池については、開口部で引っ掛かり、上側プレート部材と下側プレート部材との間の間隙には導かれず、この開口部の位置で留まる。
よって、平板円盤形状の乾電池と長尺円柱形状の乾電池とを、上側プレート部材と下側プレート部材とによって、確実に選別することができる。
また、上記構成によれば、開口部を円形状にしたことで、乾電池がどのような向きで搬送された場合であっても、常に、開口部の開口寸法が、最小の開口寸法であり、且つ最大の開口寸法となるため、より確実に、平板円盤形状の乾電池が開口部を通過して、長尺円柱形状の乾電池が開口部に留まることになる。
よって、より確実に、平板円盤形状の乾電池と長尺円柱形状の乾電池の選別を行うことができる。
第2の発明は、第1の発明において、前記上側プレート部材には、上流側から下流側に亘り複数の前記開口部が千鳥足状に配置されて形成されていることを特徴とする乾電池の選別装置。
上記構成によれば、搬送選別路において複数の開口部が千鳥足状に配置されることで、平板円盤形状の乾電池が搬送選別路内のどの位置を流れても、その位置上に開口部が必ず位置するようになり、より確実に平板円盤形状の乾電池を下側プレート部材側に落下させることができる。例えば、仮に、開口部を格子状に整列配置した場合には、たまたま乾電池が開口部間の中央位置を通過すると、開口部に落込まないおそれもある。しかし、開口部を千鳥足状に配置した場合には、こうした問題が生じないため確実に乾電池を開口部に落込ませることができる。
よって、さらに確実に、平板円盤形状の乾電池と長尺円柱形状の乾電池の選別が行える。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記搬送選別路よりも上流側位置には、前記平板円盤形状の乾電池よりも小さな乾電池を選別除去する第一選別路が設けられている一方、前記搬送選別路よりも下流側位置には、前記長尺円柱形状の電池以上の大きさの乾電池を選別除去する第二選別路が設けられていることを特徴とする乾電池の選別装置である。
上記構成によれば、搬送選別路よりも上流側位置には第一選別路を設けて、搬送選別路よりも下流位置には第二選別路を設けたため、乾電池等が搬送選別路に搬送されてくる前には、事前に小さな乾電池(例えば、小さいボタン電池やコイン電池等)が第一選別路で選別除去され、搬送選別路での選別後には、搬送選別路で落下しなかった乾電池(例えば、大きい単1電池や単3電池等)が第二選別路で選別除去されることになる。
このため、搬送選別路以外でも、多くの種類の乾電池を選別することができ、搬送選別路では、より効率的に平板円盤形状の乾電池と長尺円柱形状の乾電池を選別することできる。特に小さな乾電池を選別する第一選別路と、大きな乾電池を選別する第二選別路との間に、搬送選別路を配置したことで、限定された種類の乾電池の選別だけを搬送選別路で行えば良いため、より精度よく選別することができる。
よって、選別する乾電池の種類を増加させることができつつ、搬送選別路での乾電池の選別を、より効率的かつ正確に行うことができる。
本願発明によれば、平板円盤形状の乾電池と長尺円柱形状の乾電池とは、両者の「直径」寸法と「高さ」寸法とがほぼ同じ場合、又は、長尺円柱形状の乾電池の「直径」寸法より平板円盤形状の乾電池の「高さ」寸法が大きい場合であったとしても、同じ選別場所で落下しないため、確実に選別することができる。
よって、平板円盤形状の乾電池と長尺円柱形状の乾電池との選別を、確実に行うことができる。
本発明の実施形態にかかる電池選別装置の全体斜視図である。
電池選別装置の全体平面図である。
電池選別装置の全体側面図である。
電池選別装置の要部詳細平面図である。
図4のA−A線矢視断面図である。
図4のB−B線矢視断面図である。
図2のC−C線矢視断面図である。
図2のD−D線矢視断面図である。
図2のE−E線矢視断面図である。
電池選別装置の選別方法のフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態にかかる電池選別装置の全体斜視図、図2は電池選別装置の全体平面図、図3は電池選別装置の全体側面図、図4は一部の構成を除いた電池選別装置の要部詳細平面図、図5は図4のA−A線矢視断面図、図6は図4のB−B線矢視断面図、図7は図2のC−C線矢視断面図、図8は図2のD−D線矢視断面図、図9は図2のE−E線矢視断面図、図10は電池選別装置の選択方法のフローチャートである。
図1〜図3に示すように、本実施形態の電池選別装置Mは、ベースフレーム1に対してコイルスプリング部材2によって振動可能にフローティング支持され、かつ長手方向で上流側から下流側に向かって下向きに傾斜して配置される傾斜搬送選別路3と、この傾斜搬送選別路3の下側に配置され、この傾斜搬送選別路3を振動させる加振機構4(加振手段)と、前記傾斜搬送選別路3の下側に配置され、この傾斜搬送選別路3で選別される各乾電池を乾電池毎に下側側方に排出する複数の選別シュート5…と、を備えている。
そして、傾斜搬送選別路3の上流端の上方には、該傾斜搬送選別路3の上流端に乾電池Zを投入する電池投入装置6を配置している。また、各選別シュート5…の下側側方には、各選別シュート5から落下する選別後の乾電池を受ける複数の受け容器7…を配置している。
なお、以下、本明細書では、前記傾斜搬送選別路3の長手方向を「前後方向」と定義し、傾斜搬送選別路3の短手方向を「幅方向」と定義する。さらに、傾斜搬送選別路3の電池投入装置6を配置した側を「後方側」、また、その反対側を「前方側」と定義する。
前記電池投入装置6は、上部にドラム缶状の投入容器61を設けており、この投入容器61を傾動機構62によって前方側に傾動することで、内部に蓄えた乾電池Z等を、前記傾斜搬送選別路3の上流端に投入するように構成している。
前記加振機構4は、前記傾動搬送路本体3の下方に設置した電動モータMと、電動モータMの回転力を伝達するVプーリー41と、傾斜搬送選別路3の下部に軸受部材43を介して回転自在に取り付けられ、偏心した重心を有する偏心ロータ42と、を備えており、電動モータMとVプーリー41がVベルト44を介して動力が伝達されるように構成され、また同様に、Vプーリー41と偏心ロータ42がVベルト45を介して動力が伝達されるように構成されている。
そして、この加振機構4では、電動モータMが回転駆動すると、電動モータM→Vベルト44→Vプーリー41→Vベルト45→偏心ロータ42という経路で、回転駆動力が偏心ロータ42に伝達される。偏心ロータ42が回転すると、偏心ロータ42の重心位置が変動して、偏心ロータ42が上下及び前後方向に揺動する。これにより、偏心ロータ42に加振力が発生するようになっている。
また、傾斜搬送選別路3は、前述のようにコイルスプリング部材2を介してフローティング支持されているため、偏心ロータ42が回転しながら揺動して、偏心ロータ42から加振力を受けると、上下及び前後方向に振動することになる。
この実施形態では、電動モータM、Vプーリー41、Vベルト44,45、及び偏心ロータ42により傾斜搬送選別路3を加振して、該傾斜搬送選別路3に振動を生じさせる加振機構3が構成されている。
こうして、加振機構4によって傾斜搬送選別路3を振動させることにより、傾斜搬送選別路3に乾電池Z等を投入した場合には、乾電池Zが傾斜搬送選別路3の上流から下流側に徐々に滑りながら移動する(搬送される)ことになる。
前記傾斜搬送選別路3は、平面視で前後方向に延びる長尺略矩形形状の搬送路面部31と、該搬送路面部31の左右側部を前後方向に延びる本体側面部32と、該傾斜搬送選別路3の前後端を幅方向に延びる本体端面部33と、を一体的に備えている。
このうち、搬送路面部31には、図2に示すように、上流側から下流側に向かって投入受け部10と、ダスト分離部11と、コインボタン選別部12と、オーバーコイン選別部13と、長尺電池選別部14と、オーバー電池選別部15とが、順に設けられており、さらに、長尺電池選別部14には、単4・6選別部14Aと、単3選別部14Bと、平角選別部14Cと、単2選別部14Dと、単1選別部14Eとが、それぞれ設けられている。なお、投入受け部10とダスト分離部11の周囲には、脱落防止用のカバーフィンFを設けている。
この搬送路面部31の分離部11や各選別部12〜14の下方には、幅方向に延びて、分離部11及び各選別部12〜14毎に選別した乾電池等を前記各選別シュート5…に集める各案内ダクト8…が設けられている。また、前記搬送路面部31の幅方向両側周囲には、前記本体側面部32から搬送路面部31より高く上方に延びる周縁側壁9が設けられている。これにより、搬送路面部31からの乾電池の脱落を防止している。
次に、前記搬送路面部31の各箇所について、図2によって、より詳細に説明する。
まず、前記投入受け部10は、横長矩形の平板部材10aで形成されており、電池投入装置6からの乾電池Zの投入を確実に受けられるように構成している。なお、図示しないが、投入受け部10の表面にはゴム製シートを装着して、電池投入時の衝撃音を抑えるように構成することが好ましい。
次に、前記ダスト分離部11は、小径の開口孔11bを複数設けた網目状の板部材11aで形成されており、乾電池に付着したサビや砂等のダストを、この板部材11aの開口孔11bから落下させて、乾電池から分離除去するように構成されている。ここで、開口孔11bは、例えば、直径5mmで、8mmピッチの千鳥足状配置で穿設されて、サビや砂等のダストだけを落下させるように構成することが好ましい。
次に、前記コインボタン選別部12は、幅方向に延びる複数の丸軸棒12a(図4参照)を前後方向に所定の隙間12bを開けて平行に並べて配置した、いわゆる「バースクリーン」で構成している。このように、コインボタン選別部12をバースクリーンで構成することで、小さいコイン電池とボタン電池だけを、隙間12bから下方に落下させるように構成している。ここで、丸軸棒12aは、例えば直径6mmに設定して、隙間12bを7.5mmに設定することで、7.5mm以下の高さのコイン電池やボタン電池を落下させるように構成することが好ましい。
そして、このコインボタン選別部12で脱落しない大きい乾電池については、そのまま下流側に搬送される。なお、このコインボタン選別部12では、乾電池の表面を被覆していた被覆フィルム等も落下するように構成している。
次に、前記オーバーコイン選別部13は、前述のコインボタン選別部12で選別できなかった大きなコイン電池を選別するように構成している。具体的には後述するが、上下二枚のプレート部材13A,13Bで構成して、確実に大きなコイン電池だけを選別するように構成している。
次に、前記長尺電池選別部14は、前後方向に延びる複数の凹溝部101が幅方向に並べられた断面波形の凹凸状の板部材100で形成しており、複数の凹溝部101がいわゆる「樋形状」となって上流側から下流側に向かって延びるように構成されている。そして、この長尺電池選別部14では、単1電池等の長尺円柱形状の乾電池が選別できるように構成されている。
具体的には、長尺電池選別部14の凹溝部101に、長尺円柱形状の乾電池を位置させて、前記加振機構4で振動を与えると、その乾電池が凹溝部101内を徐々に滑りながら移動して上流側から下流側に搬送される。この時に、前記各選別部14A,14B,14C,14D,14Eの凹溝部101の底部に開口形成した前後方向に細長い電池落下口110,120,130,140,150で各乾電池を順番に落下させることで、乾電池の選別を行うように構成している。
まず、前記単4・6選別部14Aにおいては、長尺円柱形状の乾電池の中で最も直径の小さい単6電池と単4電池が選別できるように、最も幅の小さい電池落下口110を設けている。ここで、この電池落下口110は、例えば、幅を13mm、長さを121.6mmに設定することで、単6電池(直径8.3mm〜7.7mm、長さ42.5mm〜41.5mm)や、単4電池(直径10.5mm〜9.5mm、長さ44.5mm〜42.5mm)が落下するように構成することが好ましい。
次に、単3選別部14Bにおいては、単3電池が選別できるように、二番目に幅の小さい電池落下口120を設けている。ここで、この電池落下口120は、例えば、幅を16mm、長さを121.5mmに設定することで、単3電池(直径15.5mm〜13.5mm、長さ50.5mm〜49.0mm)が落下するように構成することが好ましい。
さらに、平角選別部14Cは、平角電池が選別できるように、三番目に幅の小さい電池落下口130を設けている。ここで、この電池落下口130は、例えば、幅を22mm、長さを121.5mmに設定することで、平角電池(幅20.5mm〜18.5mm、長さ48.5mm〜46.5mm)が落下するように構成することが好ましい。
また、単2選別部14Cは、単2電池が選別できるように、二番目に幅の大きい電池落下口140を設けている。ここで、この電池落下口140は、例えば、幅を30mm、長さを121.5mmに設定することで、単2電池(直径26.2mm〜24.7mm、長さ50.0mm〜48.5mm)が落下するように構成することが好ましい。
最後に、単1選別部14Eは、単1電池が選別できるように、一番幅の大きい電池落下口150を設けている。ここで、この電池落下口150は、例えば、幅を36mm、長さを121.5mmに設定することで、単1電池(直径34.2mm〜32.2mm、長さ
61.5mm〜59.5mm)が落下するように構成することが好ましい。
以上のように長尺電池選別部14を構成することで、複数種の長尺円柱形状の乾電池を選別することができる。
なお、これらの各選別部14A,14B,14C,14D,14Eにおいて、落下しなかった規格外の乾電池については、長尺電池選別部14の下流端のオーバー電池選別部15からそのまま下方の下流端シュート5Aに落下するように構成されている。
一方、この搬送路面部31の上方位置には、この搬送路面部31を流れる乾電池を滞留又は整列させるために複数の堰形状のゲートバーG1,G2,G3を設けている。具体的には、第一ゲートバーG1を、コインボタン選別部12とオーバーコイン選別部13との間に設け、第二ゲートバーG2を、長尺電池選別部14の単4・6選別部14Aの直上流位置に設け、さらに、第三ゲートバーG3を、単3選別部14Bの直上流位置に設けている。
各ゲートバーG1,G2,G3は、図1〜図3に示すように、搬送路面部31の上方位置を幅方向に延びて搬送路面部31の両側端間に架け渡された断面略L字状のメンバー部材等によって構成しており、こうして幅方向全域に亘って設置されることで、搬送路面部31を搬送される乾電池を一旦堰き止め等することにより、乾電池の流れを整理等するようにしている。
これら各ゲートバーG1,G2,G3について、詳細に説明する。図7に示すように、第一ゲートバーG1は、本体側面部32の上部に設置された周縁側壁9に対して、両端部が固定ボルト201によって固定されている。第一ゲートバーG1は、断面略L字状のメンバー部材202と、このメンバー部材202に取り付けられるゴム製のカーテン部材203と、このゴム製のカーテン部材203をメンバー部材202に取り付ける5つの締結ボルト204を備えている。そして、メンバー部材202には、カーテン部材203の上下位置を調整できるように、締結ボルト204の締結位置を調整する上下方向に延びる長穴205を形成している。
また、カーテン部材203には、複数箇所において下端から上方向に延びるスリット206が形成され、このスリット206による部分的な分離により、カーテン部材203がいわゆる「のれん状」に構成されている。さらに、メンバー部材202の両端には脚部207が設けられており、この脚部207で周縁側壁9に固定されている。
この第一ゲートバーG1は、コインボタン選別部12とオーバーコイン選別部13との間に設置されることで、一旦、カーテン部材203によって乾電池を堰き止めて、コインボタン選別部12における乾電池の滞留時間を確保している。
これにより、大量に搬送される複数種類が混在した乾電池の中からコイン電池やボタン電池を、確実にコインボタン選別部12で落下させることができる。このため、コインボタン選別部12を必要以上に長尺に設ける必要がないため、コインボタン選別部12のレイアウトスペースをコンパクトにできる。
前記第二ゲートバーG2も、図8に示すように、本体側面32の上部に設置された周縁側壁9に対して、両端部が固定ボルト211によって固定されている。この第二ゲートバーG2も、断面略L字状のメンバー部材212と、このメンバー部材212に取り付けられるゴム製のカーテン部材213と、このゴム製のカーテン部材213をメンバー部材212に取り付ける5つの締結ボルト214を備えている。
この第二ゲートバーG2のカーテン部材213は、第一ゲートバーG1のカーテン部材203と形状が異なる。具体的には、スリット215,216が形成されて、いわゆる「のれん状」に構成される点は同じであるものの、各片217,218の形状が異なる。すなわち、各片217、218の下端部が、長尺電池選別部14の凹凸形状に対応してギザギザに形成されて、一方の突出片217が凹溝部101の一方の傾斜溝側面101aに沿う傾斜辺217aを有しているのに対して、他方の平坦片218が他方の傾斜溝側面101bに隙間を開けて水平に延びる水平辺218aを有している。
この第二ゲートバーG2は、カーテン部材213をこのように構成することで、長尺電池選別部14で搬送される乾電池を、凹溝部101で確実に一つずつ整列させることができる。
例えば、図8の仮想線で示すように、1つの凹溝部101の中を2つの乾電池Z1,Z2が重なって搬送される場合、カーテン部材213の突出片217が1つの乾電池Z1に接触して、この乾電池Z1の搬送を遅らせるように機能する。このため、平坦片218の側の乾電池Z2は平坦片218の下側をそのまま下流側に搬送されて、結果的に、1つの乾電池が凹溝部101の中を1つずつ搬送されることになる。
よって、第二ゲートバーG2では、搬送される乾電池の凹溝部101での整列を行うことができる。これにより、この第二ゲートバーG2の下流位置の各選別部14A等では、確実に乾電池を一つずつ落下させることができ、各乾電池の選別を確実に生じさせることができる。
前記第三ゲートバーG3も、図9に示すように、本体側面32の上方に設置された周縁側壁9に対して、両端部が固定ボルト211によって固定されている。この第三ゲートバーG3も断面略L字状のメンバー部材222を備えているが、他のゲートバーと異なり上下方向に延びる複数の寸切りボルト223,224…を、幅方向に並べて取り付けている。具体的には、寸切りボルト223,224の下端が、各凹溝部101の各傾斜溝側面101a,101bに上下方向に対応するように設置されている。
この第三ゲートバーG3では、この寸切りボルト223,224の上下位置を調整することで、搬送される乾電池が、凹溝部101の中で確実に一つずつ整列して搬送されるように構成している。例えば、図9の仮想線に示すように、1つの凹溝部101を2つの乾電池Z3,Z4が重なって搬送される場合には、一方の寸切りボルト223が下方に下がっていると、寸切りボルト223の下端が1つの乾電池Z3に接触して、この乾電池Z3の搬送を遅らせるように機能する。このため、寸切りボルト224に接触しない乾電池Z4は、そのまま下流側に搬送されることになり、結果的に、凹溝部101の中で乾電池が1つずつ搬送されるようになるのである。
よって、この第三ゲートバーG3でも、搬送される乾電池の整列を行うことができ、第三ゲートバーGよりも下流位置の各選別部14B等で、各乾電池の落下を確実に生じさせることができる。
なお、この第三ゲートバーG3の下流位置の単3選別部14Bにおいて、その電池落下口120の側方(凹溝部101の一方の傾斜溝側面101a)には、タッピングネジ230を螺合固定している。このタッピングネジ230は、単3電池が案内されて単3選別部14Bの電池落下口120に確実に落ちるように設けている。ここで、タッピングネジ230は、例えば、M5のタッピングネジ230を用いて、ネジ頭部230aが凹溝部101内にあまり突出しないように構成することが好ましい。
次に、前記オーバーコイン選別部13を、図4〜図6を利用して詳細に説明する。オーバーコイン選別部13は、上側に位置する矩形形状の上側プレート部材13Aと、この上側プレート部材13Aの下側に位置する矩形形状の下側プレート部材13Bと、この下側プレート部材13Bと上側プレート部材13Aとの間を一定間隔に確保して締結固定する複数のカラー付の締結ボルト・ナット13Cと、を備えて構成される。
前記上側プレート部材13Aは、比較的大きな矩形の平板で構成しており、円形の開口孔13Dを複数設けている。この複数の開口孔13Dは、図4に示すように、例えば、前後方向に縦4列、幅方向に横15列の千鳥足状の配置で穿設されており、上側プレート部材13A上を、乾電池が搬送される際には、全ての乾電池が開口孔13Dに落ち込むように設定されている。具体的には、開口孔13Dは、長尺円柱形状の乾電池(Z6)が落込むが通り抜けない大きさで、かつ、平板円盤形状の乾電池(Z5)が全て通り抜けて下側プレート部材13B上に落下する大きさとされている。ここで、開口孔13Dは、例えば、直径d1(図6参照)を32mmに設定することで、直径d2が最も大きなコイン電池Z5(直径30.0mm)が落下するように構成することが好ましい。
前記下側プレート部材13Bは、上側プレート部材13Aよりやや短い矩形の平板で構成しており、特に加工は施していない。下側プレート部材13Bの下流端13Baの位置を、上側プレート部材13Bの最下流位置の開口孔13Dの直下流位置に設定することで、上側プレート部材13の開口孔13Dから落下したコイン電池Z5が、下側プレート部材13Bを滑ってすぐに案内ダクト8内に落下するように構成されている。
前記カラー付の締結ボルト・ナット13Cは、図5、図6に示すように、上側プレート部材13Aと下側プレート部材13Bを貫通して配置され、かつ頭部が上側プレート部材13Aの上面に突出するボルト部材13Caと、上側プレート部材13Aと下側プレート部材13Bの間に位置するカラー部材13Cbと、ボルト部材13Caの下端に下側プレート部材13Bの下側から螺合されるナット部材13Ccとから構成される。このカラー付の締結ボルト・ナット13Cは、上側プレート部材13Aと下側プレート部材13Bの間隙Wが、全域で一定となるように、例えば前後方向に縦3列、幅方向に横8列の並列配置で設けられている。上側プレート部材13Aと下側プレート部材13Bとの間には、上側プレート部材13Aの開口孔13Dに落込んだ長尺円柱形状の乾電池(Z6)を通過させず、その開口孔13Dを通り抜けて下側プレート部材13B上に落下した平板円盤形状の乾電池(Z5)のみを通過させる間隙Wが形成されている。
ここで、例えば、カラー部材13Cbは、長さを8mmに設定することで、上側プレート部材13Aと下側プレート部材13Bの間隙Wを8mmに設定して、最も高さtの大きなコイン電池Z5(高さ7.7mm)が通過できるように構成することが好ましい。
なお、ここでのコイン電池Z5は、出願時点での現在、最も直径が大きいコイン電池と、最も高さの高いコイン電池とを、仮想の大型のコイン電池として表したものであり、現実には存在していない。
また、本実施形態では、上側プレート部材13Aと下側プレート部材13Bの間隔Wを一定としたが、流れる電池の種類や大きさに応じて、可変できるようにしても良い。また、開口部13Dの大きさも、同様にして可変にしても良い。
その他、幅方向に横5列で、やや大きな頭部で構成される締結部Gは、オーバーコイン選別部13を傾斜搬送選別路3において下部に形成したクロスメンバー35に固定するための締結部Gである。この締結部Gは、図4に示すように、オーバーコイン選別部13だ
けでなく、長尺電池選別部14においても、前後方向に一定の間隔で設けられている。
このように構成されるオーバーコイン選別部13によって、従来困難であった大きなコイン電池の選別が行える。
すなわち、従来構造のように、単に開口孔を設けた選別部であれば、長尺円柱形状の乾電池の中で最も小さい単6電池と、最も高さの大きなコイン電池とでは、単6電池の「直径」とコイン電池の「高さ」がほぼ同じであるため、共に、開口部で落下して、両乾電池を選別できない。
実際に、単6電池の直径は約7.7mmで、コイン電池の高さは約7.7mmのものが存在するが、このとき、開口部の径を8mmに設定した場合には、単6電池とコイン電池とが共に同じ開口孔に落下してしまい、選別を行えない。
しかし、この実施形態にかかるオーバーコイン選別部13によれば、図4及び図6に示すように、開口孔13Dに乾電池Z5,Z6が搬送されると、コイン電池Z5は、その直径d2が開口孔13Dの直径d1よりも小さいので、全てが上側プレート部材13Aから落込んで通り抜けるものの、単6電池Z6は、長さL1が開口孔13Dの直径d2よりも長いので全てが落込まず、一部が上側プレート部材13A上に残る(例えば、開口孔の直径d1が32mmの場合、単6電池Z6の長さL1が42.5mm〜41.5mmであるため、約10mm程度が残る)。
このように、開口孔13Dをコイン電池Z5が全て通り抜けて下側プレート部材13上に落下すると、図6に示すように、コイン電池Z5は、上側プレート部材13Aと下側プレート部材13Bの間隙Wが、コイン電池Z5の高さtよりも大きいので、そのまま下側プレート部材13B上を滑って下方に移動していく。
一方、単6電池Z6は、図6に示すように、開口孔13Dに対して、下側プレート部材13Bが存在するため、一部が引っ掛った状態で、この開口孔13Dの位置に留まる。このため、単6電池Z6は、コイン電池Z5とは異なり下側プレート部材13B上を滑らず、下方に移動して行かない。その後、引っ掛かった単6電池Z6は、振動や上流側から搬送される別の乾電池Z7に押されて、例えば、前回りに転がることで、開口孔13Dから抜け出し、再度、上側プレート部材13A上に戻って、下流側に搬送されていく。
こうして、本実施形態のオーバーコイン選別部13では、単6電池Z6と大きなコイン電池Z5の直径寸法と高さ寸法とがほぼ同じであったとしても、同じ選別場所で落下しないため、確実に選別することができる。
よって、従来困難であった、単6電池Z6と大きなコイン電池Z5の選別を、確実に行うことができる。
また、この実施形態では、上側プレート部材13の開口孔13Dが、上流側から下流側に亘り複数設けられており、開口孔13Dが千鳥足状に配置されている。
このように、開口孔13Dが千鳥足状に配置されることにより、隣接する開口部13D同士の間隔を近接できるので、コイン電池Z5がオーバーコイン選別部13のどの位置を流れても、その途中に開口孔13Dが必ず位置するため、より確実にコイン電池Z5を下側プレート部材13B側に落下させることができる。例えば、仮に、開口孔を格子状に配置した場合には、乾電池が開口孔間の中央位置を通過すると、開口孔に落下しないおそれもある。しかし、開口孔13Dを千鳥足状に配置した場合には、こうした問題は生じない。
以上にように構成される、電池選別装置Mの乾電池の選別方法について、図10のフローチャートを使って説明する。
まず、ステップS1で、乾電池を電池選別装置Mに投入する。この投入作業は、前記した電池投入装置6によって行う。この投入作業によって、搬送路面部31には大量の乾電池が投入される。
次に、ステップS2で、砂や小石を分離する。この分離作業は前記したダスト分離部11によって行う。この砂・小石の分離作業によって、選別対象の乾電池Zから初めに砂や小石などのダストを分離することができる。
さらに、ステップS3で、ボタン電池やコイン電池を選別する。この選別作業は、前記したコインボタン選別部12によって行う。このコインボタン選別部12による選別作業によって、ほとんどのコイン電池とボタン電池が選別される。これは、前述のように、バースクリーンの隙間12bが、ほとんどのコイン電池やボタン電池の高さよりも広く設定されているためである。
また、第一ゲートバーG1を設けているために、一旦、コインボタン選別部12で大量の乾電池を滞留させることができる。これにより、コインボタン選別部12で、確実にコイン電池とボタン電池の選別を行うことができる。
次に、ステップS4で、オーバーコイン電池を選別する。この選別作業は、前記したオーバーコイン選別部13によって行う。このオーバーコイン選別部13による選別作業では、コインボタン選別部12で選別できなかった大きなオーバーコイン電池を選別する。このとき、前述のように、単6電池Z6と大きなコイン電池Z5の直径寸法と高さ寸法とが、ほぼ同じであっても、コイン電池Z5だけを落下させることができるため、コイン電池Z5だけを、確実に選別することができる。
次に、ステップS5で、単4電池と単6電池を選別する。この選別作業は、前記した単4・6選別部14Aによって行う。この単4・6選別部14Aによる選別作業では、長尺円柱形状の電池の中で最も小さい単6電池と単4電池を、最も幅の小さい電池落下口110から落下させることで行う。
この選別においても、第二ゲートバーG2を、単4・6選別部14Aの直前に設けているため、凹溝部101内で一つずつ乾電池が整列されて、確実に、単4・6選別部14Aで単4電池、単6電池の選別を行うことができる。
次に、ステップS6で、単3電池を選別する。この選別作業は、前記した単3選別部14Bによって行う。この単3選別部14Bによる選別作業でも、単3電池を二番目に幅の小さい電池落下口120から落下させることで行う。この選別においても、第三ゲートバーG3とタッピングネジ230を単3選別部14Bの直上流側に設けているため、凹溝部101内で一つずつ乾電池が整列されるようになり、確実に、単3選別部14Bで単3電池の選別を行うことができる。
次に、ステップS7で、平角電池を選別する。この選別作業は、平角選別部14Cによって行う。この平角選別部14Cによる選別作業でも、平角電池を三番目に幅の小さい電池落下口130から落下させることで行う。
次に、ステップS8で、単2電池を選別する。この選別作業は、単2選別部14Dによって行う。この第2選別部14Dによる選別作業でも、単2電池を二番目に幅の大きい電池落下口140から落下させることで行う。
次に、ステップS9で、単1電池を選別する。この選別作業は、単1選別部14Eによって行う。この選別作業でも、単1電池を最も幅の大きな電池落下口150から落下させることで行う。
最後に、ステップS10で、以上のステップで選別できなかった(落下しなかった)規格外の大型のオーバーサイズ電池を選別する。この選別作業については、そのまま、長尺電池選別部14の下流端のオーバー電池選別部15から落下させることで行う。
以上のようなステップを経ることで、本実施形態の電池選別装置Mは、複数種の乾電池を適切に選別することができる。
本実施形態の電池選別装置Mでは、オーバーコイン選別部13の上流位置に、コインボタン選別部12を設けて、ほとんどのコイン電池とボタン電池を選別し、また、オーバーコイン選別部13の下流位置に、単4・6選別部14Aなどの長尺円柱形状の乾電池を選別する長尺電池選別部14を設けて、長尺円柱形状の乾電池を選別している。
これにより、乾電池がオーバーコイン選別部13に搬送されてくる前に、ほとんどの小さなボタン電池やコイン電池等が、コインボタン選別部12で選別され、オーバーコイン選別部13で選別した後には、大きな単1電池や単3電池等の乾電池が、その後の長尺電池選別部14で選別されることになる。
このため、オーバーコイン選別部13以外でも、多様な種類の乾電池を選別することができ、オーバーコイン選別部13では、より効率的に特定の大きなコイン電池だけを選別落下させることできる。
特に、コイン電池やボタン電池を選別するコインボタン選別部12と、長尺円柱形状の電池を選別する長尺電池選別部14との間に、オーバーコイン選別部13を配置したことで、限定された乾電池の選別だけをオーバーコイン選別部13で行えば良いため、より精度よく選別することができる。
よって、本実施形態の電池選別装置Mでは、選別する乾電池の種類を増加させることができつつ、オーバーコイン選別部13での乾電池の選別を、より効率的かつ正確に行うことができる。
(他の実施形態)
以上、1つの実施形態で本発明を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、オーバーコイン選別部13だけで、この構造だけで電池選別装置を構成しても良いし、また、コインボタン選別部12とオーバーコイン選別部13とで電池選別装置を構成しても良い。さらに、オーバーコイン選別部13と長尺電池選別部14とで電池選別装置を構成しても良い。
加えて、オーバーコイン選別部13の構造についても、二枚のプレート部材の構造に限定されず、三枚のプレート部材や四枚のプレート部材を使って、開口孔の大きさやプレート部材の間隔の大きさを変更して、選別される電池の種類等を増やすようにしても良い。
さらに、開口孔の形状についても、円形に限定されずに、四角形や六角形、さらには楕
円形であってもよい。このように円形以外で開口孔を形成する場合には、最小の開口寸法をコイン電池の直径よりも大きく設定して、最大の開口寸法を単6電池の長さより長くしておけば良い。
また、この実施形態は、コイン電池の高さと単6電池の直径がほぼ同じもので説明したが、本発明は、コイン電池の高さが、単6電池の直径よりもやや高いものであってもよい。
以上説明したように、本発明にかかる乾電池の選別装置は、例えば、廃棄物として回収された廃乾電池を乾電池の大きさや形状等に応じて選別を行う選別装置において有用である。
M…電池選別装置(乾電池の選別装置)
Z…乾電池
Z5…コイン電池(平板円盤形状の乾電池)
Z6…単6電池(長尺円柱形状の乾電池)
3…傾斜搬送選別路
4…加振機構(加振手段)
12…コインボタン選別部(第一選別路)
13…オーバーコイン選別部(搬送選別路)
13A…上側プレート部材
13B…下側プレート部材
13C…カラー付の締結ボルト・ナット
13D…開口孔(開口部)
14…長尺電池選別部(第二選別路)
W…間隙