ところで、上記従来の装置では、転動し易い形状の重量物はコンベアベルト上を下降するが、本来は有用物である偏平な重量物がコンベアベルトを上昇し、軟性物質を含む軽量物と共に異物として分別される場合がある。
また、同様に、有用物であるが、比較的長い棒状の重量物が、上記コンベアベルトと共に上昇し、軟性物質を含む軽量物と共に異物として分別される場合がある。
従って、このような異物選別装置においては、一次的に選別された被選別物の中に含まれる有用な重量物、即ち、偏平な重量物、或いは比較的長い形状の重量物等を、軟性物質を含む軽量な異物から如何に分別するか、が課題となっている。
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、異物としての軽量物と、偏平或いは長い形状の重量物等とを簡易に分別することができる分別機構を提供することを目的とする。
また本発明は、このような分別機構を使用した異物選別装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、回動軸となる軸受部と、該軸受部から前方及び後方に各々突設された前方棒体及び後方棒体と、上記後方棒体に設けられた錘により一の回動棒状体が構成され、上記前方棒体に直交する横軸に複数の上記回動棒状体が上記各軸受部を以って回動自在に軸支され、上記錘の方向に回動しようとする複数の上記回動棒状体の上記各前方棒体に当接して上記各回動棒状体の上記回動を規制する回動規制部材が設けられ、複数の上記回動棒状体は上記錘の重量に抗して上記前方棒体が上記回動規制部材から離間する方向又は戻り方向に回動可能とされ、複数の上記前方棒体により櫛状の回動分別部が形成されたものである分別機構により構成される。
上記軸受部は軸受管(3)、上記回動規制部材は回動規制板(11)により構成することができる。このように構成すると、当該分別機構を異物選別装置の被選別物の出口近傍に被選別物が回動分別部に当接するように、当該回動分別部を下向きに傾斜した状態で設置することにより、被選別物が回動分別部に当接した際、被選別物が軽量物であれば、前方棒体は回動することなく、上記軽量物が傾斜状態の前方棒体を通過して前方棒体の前端部から下方に落下させることができる。一方、被選別物が上記回動棒状体を回動し得る重量の重量物であれば、その重量物が当接した前方棒体のみが、錘の重量に抗して回動して、その重量物を軽量物より手前側に落下させることができるため、上記被選別物に含まれる重量物のみを軽量物から分離除去することができる。また、各回動棒状体に各々錘が設けられているので、各回動棒状体の慣性モーメントが小さく、よって、各回動棒状体の回動及び戻りを迅速に行うことができ、分離効率を上げることができる。また、重量物が偏平な形状、或いは比較的長い形状であっても、重量物の形状に対応する複数の前方棒体のみを回動させることができるため、重量物の形状に応じて分別すべき重量物の重量の幅を広く設定することができる。
第2に、複数の上記回動棒状体の上記前方棒体及び上記後方棒体は、一定の間隔を以って並設されているものである上記第1記載の分別機構により構成される。
このように構成すると、重量物が回動分別部に当接したとき、重量物の形状に応じて当接した例えば複数の前方棒体のみが回動し、当該重量物を落下させることができるため、例えば3本の前方棒体を回動させる大きさの重量物も、6本の前方棒体を回動させる大きさの重量物も確実に軽量物から分別することができ、特に、偏平な形状、或いは、比較的長い形状の重量物を軽量物から適切に分離することができる。
第3に、上記後方棒体に設けられた上記錘の位置は、上記後方棒体に沿って移動可能である上記第1又は第2記載の分別機構により構成される。
このように構成すると、後方棒体における錘の位置を変更することにより、上記前方棒体を回動させるための力を調整することができ、これにより前方棒体を回動させて分別すべき重量物の重量設定を調整することができる。
第4に、上記錘は、上記後方棒体各々に固定されているものである上記第1〜3の何れかに記載の分別機構により構成される。
例えば錘を貫通する孔を設け、当該孔に後方棒体を挿通することにより、該後方棒体に上記錘を固定することができる。
第5に、上記錘は、上記各後方棒体に線状体にて吊り下げられているものである上記第1〜3の何れかに記載の分別機構により構成される。
例えば、各後方棒体に紐等の線状体によって錘を釣り上げることができる。この場合、隣接する錘の高さを変えることにより、隣接する錘の相互干渉を防止することができる。
第6に、上記回動規制部材は、上面が平坦な板状体により構成され、上記回動規制部材の前縁より前方側における上記各前方棒体の上部は、上記上面と同一高さ及び同一傾斜角度に位置しているものである上記第1〜5の何れかに記載の分別機構により構成される。
このように構成すると、回動規制板の上面に落下した被選別物を前方棒体に円滑に誘導することができる。
第7に上記各前方棒体の上部には、各前方棒体に沿った細長板状体が各々水平に固定されており、隣接する上記各細長板状体同士は、小間隙を介して隣接している上記第1〜6の何れかに記載の分別機構により構成される。
このように構成すると、小さな軽量物或いは短い軽量物等が前方棒体間の隙間から下方に落下することを防止することができ、より分離効率を向上させることができる。
第8に、上記第1〜7の何れかに記載の分別機構を用いた異物選別装置であって、原料を選別した後の被選別物の出口近傍に上記分別機構が設置されており、上記分別機構の上記回動分別部が下向きに傾斜した状態で設けられ、上記回動分別部の上面側に上記被選別物が当接可能に設けられている異物選別装置により構成される。
このように構成すると、被選別物としての軽量物の中に分別すべき重量物が含まれている場合、上記被選別物が分別機構の回動分別部に当接したとき、重量物のみを前方棒体の回動により分別することができる。
第9に、上記第1〜7の何れかに記載の分別機構を用いた異物選別装置であって、上記異物選別装置は、上昇方向に回転駆動される傾斜ベルトコンベアの途中に原料を投入して異物を選別するものであり、上記傾斜ベルトコンベアの下流側の上端部の被選別物の出口近傍に上記分別機構が設置されており、上記分別機構の上記回動分別部が下向きに傾斜した状態で設けられ、上記回動分別部の上面側に上記被選別物が当接可能に設けられている異物選別装置により構成される。
このように構成すると、傾斜ベルトコンベアにより選別された被選別物の内、被選別物の中に軽量物と共に分別すべき重量物が含まれている場合、上記被選別物が分別機構の回動分別部に当接したとき、重量物のみを前方棒体の回動により分別することができる。
本発明によれば、被選別物等の原料に含まれる重量物のみを、軽量物から正確に分別することができ、重量物が偏平な形状、或いは比較的長い形状であっても、確実に軽量物と分別することができる。
また、各回動棒状体の慣性モーメントが小さいため、各回動棒状体の回動及び戻りを迅速に行うことができ、これにより分離効率を上げることができる。
また、重量物が偏平な形状等であっても、重量物の形状に対応する前方棒体のみを回動させることができ、重量物の形状に応じて分別すべき重量物の重量の幅を広く設定することができる。
また、動力を必要とせず、既存の異物選別装置に容易に設置することができ、既存の異物選別装置の選別精度を向上することができる。
また、重量物が回動分別部に当接したとき、重量物の形状に応じて当接した前方棒体のみが回動して当該重量物を落下させることができるため、重量物の形状に拘わらず軽量物を含む被選別物から適切に重量物を分別することができる。
また、後方棒体における錘の位置を変更することにより、上記前方棒体を回動させるための力を調整することができ、これにより前方棒体を回動させて分別すべき重量物の重量設定を調整することができる。
また、例えば傾斜ベルトコンベアにより構成された既存の異物選別装置の被選別物の出口近傍に容易に設置し得て、既存の異物選別装置の選別精度を向上させることができる。
以下、本発明に係る分別機構及びそれを使用した異物選別装置について詳細に説明する。
図1に本発明に係る分別機構1の全体斜視図、図6(a)(b)に、上記分別機構1を構成する一つの回動棒状体2を示す。本発明の分別機構1は、上記回動棒状体2を複数(本実施形態の場合は15本)用意し、その回転軸としての軸受管3を横軸4に挿通して回動可能に軸支することにより構成されている。
尚、図1において、回動棒状体2の前方棒体5の先端部方向を「前方」、後方棒体6の錘7の方向を「後方」、前方から後方を向いた場合の左右を「左右方向」、水平方向、横方向、前方から後方を向いた場合の上下を「上下方向」と定義する。また、以下の説明において、一般廃棄物、産業廃棄物等の廃棄物を「原料」という。従って、「原料」という場合は、当該原料には、軽量物及び重量物を含む廃棄物の全体を意味するものとする。原料を異物選別装置にて選別した後の原料を「被選別物」という。よって、「被選別物」の概念中には、正常に分別された軽量物を含み、本来は除去されるべきであった扁平な重量物或いは比較的長い重量物等も含まれる。
上記分別機構1を構成する一つの回動棒状体2は、図6(a)(b)に示すように、回動軸となる軸受管(軸受部)3と、該軸受管3から前方及び後方に各々突設された前方棒体5及び後方棒体6と、上記後方棒体6に固定された(設けられた)錘7により構成されている。より具体的には、上記軸受管3は、横向きの短い円筒により構成されており、その円筒の周面の前方側に上記前方棒体5が、その後端を接した状態で、取付リブ8により固定されている。また、この前方棒体5は、水平面Lから下方にθ1=30度、下向きに傾斜した状態で上記軸受管3に固定されている。
一方、上記軸受管3の円筒の周面の後方側には後方棒体6が、その前端を接した状態で、取付リブ8’により固定されている。この後方棒体6は、上記水平面Lに沿って水平に固定されている。よって、上記前方棒体5と上記後方棒体6は、上記軸受管3の外周に沿って、互いにθ2=150度の角度差を以って固定されている。
さらに、上記後方棒体6の後端部には錘7が固定されている。また、上記後方棒体6の外周には雌螺子が切ってある。上記錘7は、図1に示すように略直方体形状であり、その中心を前後方向に貫通する孔7aが形成され、上記後方棒体6にナットN1を螺合した上で、上記孔7aを以って上記後方棒体6に挿通し、ナットN2を螺合することで、上記後方棒体6の後端部の所定位置に固定されるものである。尚、上記錘7の位置は、上記ナットN1,N2の螺合位置により、上記後方棒体6に沿って移動調整可能であり、上記後方棒体6における上記錘7の位置を調整することで、回動中心Pから錘7までの距離t1を増減することができ(図6参照)、これにより上記前方棒体5を錘7の重量に抗して矢印B方向(図4参照)に回動するに要する力を調整することができる。本実施形態では、上述のように構成された同一の上記回動棒状体2を15本用意する。尚、勿論、錘7自体の重量を変更可能に構成しても良い。
次に、図5に示すように、上記前方棒体5に直交する横軸4に複数(15個)の上記回動棒状体2を、上記各軸受管3を以って回動自在に軸支する。より具体的には、上記横軸4に、上記回動棒状体2をその軸受管3を以って挿通する。この挿通状態においては、上記横軸4の外周と上記軸受管3の内周は若干の間隙を有しており、上記回動棒状体2は上記横軸4に対して、当該横軸4を回動中心軸(回動中心P)として回動中心軸の周りに矢印A,B方向に回動自在となっている。
そして、上記横軸4に対して、一の上記回動棒状体2を挿通し、その後、短い円筒状のスペーサ管9を挿通し、その後、一の上記回動棒状体2を挿通し、その後、上記スペーサ管9を挿入して行き、同様に、上記横軸4に、上記回動棒状体2と上記スペーサ管9を交互に挿通して行き、最終的に、15本の回動棒状体2と14個のスペーサ管9を、上記回動棒状体2が上記横軸4の両端部に位置する構成で、図5に示すように挿通し、その後、上記横軸4の両端に抜止円盤10,10を固定して、各回動棒状体2の抜け止めを行う。
さらに、図5の状態において、上記横軸4を固定すると、当該横軸4に対して上記回動棒状体2は、上記錘7の重量により、矢印A方向(図6参照、錘7の方向)に回動しようとするが、図1、図4に示すように、上記錘7の方向に回動しようとする複数の上記回動棒状体2の上記各前方棒体5の上側(上面側)に当接して、上記各回動棒状体5の上記矢印A方向の回動を規制する回動規制板11が設けられている。
上記回動規制板11は、図1に示すように、長方形状の板状(上面が平坦)の平面基板(板状体)11aと、該基板11aの下側の前縁に沿って左右方向に固定された角棒状の前方当接材11bと、上記基板11aの下側の後縁に沿って左右方向に設けられた角棒状の後方当接材11b’と、上記平面基板11aの左右方向両側縁の下側に各々設けられた軸受リブ11c,11c’とから構成されている(図3参照)。この回動規制板11は、図1に示すように、上記基板11aが上記各回動棒状体2の上側(上面側)に位置するように、両側の上記軸受リブ11c,11c’の各孔12,12に、上記横軸4の両端部を挿通し、上記各回動棒状体5の矢印A方向の回動を規定するものである。尚、上記平面基板11aの前縁及び後縁に沿って設けられた複数の孔は、上記前方当接材11b及び後方当接材11b’の固定用ボルトの挿通孔である。
この回動規制板11は、例えば、図4に示すように、異物選別装置の被選別物の出口近傍に、下り傾斜(例えば水平面Lから下方にθ3=30度の角度)の状態となるように、上記異物選別装置の傾斜軸受29等(図7参照)に固定される。この状態では、矢印A方向に回動しようとする上記前方棒体5の上面側は、上記回動規制板11の上記前方当接材11bの下面11dに当接し、矢印A方向の回動が規制された状態となる。
上記前方棒体5の上面側は、上記前方当接材11bの下面11dに平行な状態で、上記下面11dに当接しており、上記下面11dは左右方向に同一高さなので、上記回動棒状体2の前方棒体5は、図1、図4に示すように、同一高さ(水平面Lに対して同一傾斜角度θ3’=30度)にて左右方向に各前端部の位置が揃った状態で、回動規制されている。勿論、上記後方棒体6及び錘7も同一高さ(水平面Lに平行)にて左右方向に位置が揃った状態で(同一高さで)、回動規制されている。
この状態においては、複数の上記回動棒状体2は、上記錘7の重量Mに抗して上記前方棒体5が上記回動規制板11から離間する方向(図4の矢印B方向)にのみ回動可能とされ(勿論、回動規制板11まで戻り方向(矢印A方向)に回動可能)、このように下向きに傾斜した複数の上記前方棒体5により櫛状の回動分別部13が構成されている(図1参照)。上記前方棒状体5の回動範囲は、図4に示すように、当該前方棒体5が矢印B方向に回動し、上記後方棒体6の上面側が上記位置規制板11の上記後方当接角材11b’の下面11d’に当接するまで(回動可能角度θ4=30度)である。即ち、上記回動棒状体2は、上記θ4の範囲でのみ矢印A,B方向に回動又は戻り方向に回動を行う。
従って、上記回動選別部13上の上方から原料が前方棒体5に落下してきたとき、その原料が上記前方棒体5を矢印B方向に回動することができない軽量物の場合、当該軽量物は上記前方棒体5を回動することなく、下向きに傾斜した上記前方棒体5の上を下方に移動し、各前方棒体5の各前端部より、矢印C方向に移送され(図4参照)、落下していくことになる。
一方、上記回動選別部13上の上方から原料が前方棒体5に落下してきたとき、その原料が、上記錘7の重量に抗して、上記前方棒体5を矢印B方向に回動可能な重量物の場合、当該重量物は対応する上記前方棒体5を矢印B方向に回動するため、矢印B方向に回動した前方棒体5の各前端部から、矢印D方向(矢印C方向より手前側)に移送され、落下していくことになる。勿論、重量物が落下した後は、前方棒体5は錘7の重量により、矢印A方向の戻り、初期位置に回動復帰する。
従って、軽量物は矢印C方向(回動しない前方棒体5の前端側)に落下し、重量物は矢印D方向(回動した前方棒体5の前端側)、即ち、矢印C方向より手前側に落下することになるため、有用な重量物を、軽量物から分別除去することができる。
尚、ここで上記回動選別部13の上記前方棒状体5の位置を、図5において、図面中、51〜515のように小数字で区別するものとする。
このとき、図5に示すように、上記重量物が偏平な形状のものであっても、例えば、比較的長い重量物aであれば、当該重量物aが上に存在する6個の前方棒体56,57,58,59,510,511が矢印B方向にθ4=30度回動して、当該重量物aを矢印D方向(軽量物より手前側)に誘導することができ、比較的短い重量物bであれば、当該重量物bが上に存在する4個の前方棒体51,52,53,54が矢印B方向にθ4=30度回動して、当該重量物bを矢印D方向(軽量物より手前側)に誘導することができ、比較的長い重量物cが略縦方向に進入しても、当該重量物が上に存在する2個の前方棒体512,513が矢印B方向にθ4=30度回動して、当該重量物cを矢印D方向(軽量物より手前側)に誘導することができる。
さらに、比較的小さい重量物dであっても、当該重量物dが上に存在する1個の前方棒体59が矢印B方向にθ4=30度回動して、当該重量物dを矢印D方向(軽量物より手前側)に誘導することができる。
このように各回動棒状体2の各々に錘7が設けられているので、各回動棒状体2の慣性モーメントが小さく、従って、重量物が回動分別部13に当接した際に、前方棒体5が素早く傾斜回動して、重量物が落下した後は、素早く初期位置に戻ることができ、これにより分離効率を向上させることができる。
また、重量物と軽量物が同じタイミングで落下してきたとしても、回動分別部13上に落下した位置が異なれば、軽量物の落下部分に対応する前方棒体5は、回動することなく、当該軽量物をそのまま矢印C方向に落下させ、重量物は対応する前方棒体5のみを回動させることにより、手前側の矢印D方向に誘導することができる。このように、略同一のタイミングで軽量物と重量物が落下して来ても、両者を分別することができる。
仮に、回動分別部を1枚の板により構成すると、慣性モーメントが大きくなり、回動傾斜の動きがゆっくりとなり、重量物及び軽量物が連続して落下してきたとき、及び、両者が同時に落下してきたとき、重量物と軽量物を分離することができない。本発明の分別機構はこのような課題をも解消すべく、上記構成により分離効率を高めているのである。
一方、上記前方棒体5を矢印A方向に回動し得ない重量の軽量物、例えば、軟性物質を含む軽量物(切断された電気コード、切断された送電線、紙、樹脂フィルムの切れ端等)は、上記回動選別部13に落下当接しても、上記前方棒体5を矢印B方向に回動し得ないため、前方棒体5の本来的な傾斜に沿って矢印C方向に誘導されるため、軟性物質を含む異物(軽量物)と偏平な重量物を確実に分離することができる。
上記前方棒体5を矢印B方向に回動させる基準は、上記錘7の重量M、及び、後方棒体6における錘7の位置(図6の距離t1)により調整することができる。例えば、軽量物と分別したい重量物の内、最少の重量の重量物が前方棒体5上に載置されたとき、上記前方棒体5が矢印B方向に回動し得るように、上記錘7の重量及び上記距離t1を設定する。逆に軽量物の内、最も重い軽量物が上記前方棒体5上に載置されたとき、上記前方棒体5が回動しないように、上記錘7の重量及び上記距離t1を設定する。
このように、上記回転分別部13上に軽量物が移送されても上記前方棒体5は回動せずに当該軽量物を上記前方棒体5の前端部から下降させ、上記回動分別部13に重量物が移送された場合は、当該重量物が載置している部分の上記前方棒体5(単数又は複数)のみが上記錘7の重量に抗して回動し、当該重量物を手前側に下降させ、その後は、上記前方棒体5は、錘7により初期位置に戻るものである。
従って、重量物が回動分別部に当接したとき、重量物の形状に応じて当接した前方棒体5のみが回動して当該重量物を落下させることができるため、重量物の形状に拘わらず軽量物を含む被選別物から適切に重量物を分別することができる。
次に、上記のように構成される分別機構を、異物選別装置に設置した場合の実施形態を説明する。
図7に示すものは、上記異物選別装置として、上昇方向に回転駆動される傾斜ベルトコンベア14の中間部(落下エリアK)に原料を投入して(矢印E方向)、異物を選別するものであり、上記傾斜ベルトコンベア14の下流側の上端部(出口近傍)15から被選別物が通過する通過経路に、上記被選別物の通過方向(矢印G方向)と上記前方棒体5の回動可能方向(矢印B方向)とが合うように、上記分別機構1の上記回動分別部13を設置したものである。
上記傾斜ベルトコンベア14に直交する方向に、原料移送用のベルトコンベア16が設けられており、当該ベルトコンベア16の先端部が上記ベルトコンベア14の中間部(途中)の上方位置に固定されている。そして、当該ベルトコンベア16により搬送された原料(廃棄物)が、上記傾斜ベルトコンベア14の中間部(落下エリアK)に落下供給される。
上記傾斜ベルトコンベア14は、下流側が上、上流側が下となるように高さの異なる基台33,34により傾斜して配置されている。この傾斜ベルトコンベア14は、ヘッドプーリ17を軸支する上端フレーム18と、テールプーリ19を軸支する下端フレーム20と上記上下のフレーム18,20を接続する直線フレーム21とから構成されており、上記上端部に設けられた門型フレーム22上の駆動モータ23と上記ヘッドプーリ17とをベルト24で連結することにより、コンベアベルト25は上駆動モータ23により矢印F方向、即ち上昇方向に回転駆動される。
上記落下エリアKに対応するコンベアベルト25の裏面には、コンベアベルト25上に落下する廃棄物の衝撃を緩和する緩衝ローラ26が設けられており、さらに、上記緩衝ローラ26の上流側には回転することにより上記コンベアベルト25に振動を与える振動ローラ27が設けられている。上記緩衝ローラ26はその外周面に弾性体が巻き付けられ、上記振動ローラ27は、その外周面に複数の突起が設けられており、何れもコンベアベルト25の裏面に接触し、該コンベアベルト25の走行により回転する従動ローラである。尚、36は上記緩衝ローラ26より下流側で駆動モータ28により回転駆動されて上記コンベアベルト25に再度振動を与え、重量物と軽量物の分離を促進する振動ローラである。上記緩衝ローラ26は、上方からコンベアベルト25に落下する廃棄物の衝撃を緩和すると共に、振動ローラ27の規則的な振動により、重量物と軽量物の分離を促進させるものである。また、上記コンベアベルト25の上面には、図8に示すように、複数の突起32が設けられている。
この実施形態では、上記傾斜ベルトコンベア14の上流側の先端部(出口近傍)の下方位置の原料の通過経路に、上記分別機構1が設置されている。具体的には、上記上端フレーム18の下側の機枠18aに左右一対の傾斜軸受29,29を設け、該傾斜軸受29,29に上記回動規制板11の両側を固定し、当該回動規制板11を水平面Lから30度下向きに傾斜した状態で固定する。このとき、上記前方棒体5によって形成された回動分別部13は、上記回動規制板11によって、水平面Lから30度下向きに傾斜して設置されており、上記回動規制板11によって矢印A方向の回動が規制された状態となっている。そして、上記回動分別部13が、上記傾斜ベルトコンベア14の下流側の上端部(出口近傍)の被選別物の通過経路(矢印G方向)に位置するように、即ち、上記傾斜ベルトコンベア14を上昇してきた被選別物の落下する経路に位置するように、固定されている。このとき、上記被選別物の通過方向(矢印G方向)と、上記前方棒体5の回動可能方向(矢印B方向)は、略同様の方向となるように構成される。
そして、上記分別機構1の上記回動分別部13の前端部下方(矢印C方向)には、軽量物の収集部30が設置され、上記前方棒体5が矢印B方向に回動した位置における前方棒体5の前端部下方(矢印D方向)には、偏平等の重量物の収集部31が設置されている。
次に、当該異物選別装置の動作を説明する。
まず、駆動モータ23を駆動して、上記傾斜ベルトコンベア14を上昇方向に回転駆動すると共に、上記緩衝ローラ26及び上記振動ローラ27が回転駆動されているものとする。また、駆動モータ28を駆動して、振動ローラ36を駆動しているものとする。原料移送用のベルトコンベア16により原料(廃棄物)が搬送され、上記コンベア16の先端部から原料が傾斜ベルトコンベア14上(落下エリアK)に落下供給される。
すると、廃棄物中の重量物は、コンベアベルト25上の突起32間を下方に転動して行き、当該傾斜ベルトコンベア14の下端部(上流側)から下方に落下し、重量物収集部(図示せず)に向けて落下して行き、当該重量物収集部に収集される。
一方、切断された電気コード、切断された送電線等の比較的長い軟性物質を含む軽量物、或いは、紙類、フィルム類等の軽量物は、コンベアベルト25上の突起32と突起32の間に係合するため、当該コンベアベルト25と共に上昇し、当該傾斜ベルトコンベア14の上端部から矢印G方向に落下して行き、当該落下経路にある分別機構1の上記回動分別部13の上に落下する。
ここで、上記軽量物は、上記回動分別部13上に落下しても、軽量であるが故に、上記前方棒体5を錘7の重量に抗して矢印B方向に回動することはできない。従って、上記軽量物は、当該前方棒体5の下り傾斜に沿って下方に落下して行き、上記前方棒体5の前端部から矢印C方向に落下し、上記軽量物収集部30内に収集されていく。
ここで、上記落下エリアKに落下した原料の内、重量物であっても比較的長い物、或いは扁平な重量物は、コンベアベルト25を下方に転動せずに、コンベアベルトベルト25上の突起32に係止されて、当該コンベアベルト25により上端部まで搬送されてしまう場合がある。このとき、上記重量物は、上記傾斜ベルトコンベア14の上端部から矢印G方向に落下して行き、当該落下経路にある上記分別機構1の上記回動分別部13上に落下して当接する。
上記重量物は、上記前方棒体5上に落下(当接)したとき、図4に示すように、対応する単数又は複数の前方棒体5を矢印B方向に回動させる。例えば図5において、落下してきたものが重量物bであるとすると、対応する前方棒体51,52,53,54のみが矢印B方向に回動するため、上記重量物bは上記複数の前方棒体5の回動によって、矢印D方向に移行され、回動した前方棒体5の前端部から矢印D方向に誘導され、上記軽量物収集部30より手前側の重量物収集部31内に収集される。上記動作により、傾斜ベルトコンベア14の下流側の上端部に移送された偏平或いは比較的長い形状の重量物は、軽量物と確実に分別することができる。尚、矢印B方向に回動した前方棒体5は対応する各錘7の重量により迅速に回動復帰する。
このように、本発明の分別機構1によれば、前段の異物選別装置において、重量物と軽量物が一次選別された後であっても、一次選別された被選別物中に、軽量物だけでなく、偏平な重量物、或いは、比較的長い重量物等が含まれ、軽量物と共に、そのような重量物が出口に移動してきた場合、その被選別物の中から、重量物のみを正確に分別することができる。
また、回動分別部13が櫛状の複数の前方棒体5により構成されており、各前方棒体5に対応する後方棒体6の各々に錘7が設けられているため、偏平な重量物であっても、それに対応する前方棒状体5(単数又は複数)のみを回動させて当該重量物を分別することができるため、例えば、1枚の大きな板を重量物により回動させる場合に比較して、分別すべき重量物の重量の幅を広くとることができる。
また、上記分別機構1は、偏平或いは比較的長い形状を含む重量物を簡易に軽量物から分離除去することができ、それ自体動力を必要とせず、既存の設備への追加設置も容易に行うことができる。
尚、上記実施形態では異物選別装置として傾斜コンベア方式のものを説明したが、異物選別装置としては、これに限定されず、風力選別式、比重選別式、スクリーン選別式等の各種形式の異物選別装置が含まれる。
図9〜図12に示すものは、本発明に係る分別機構の他の実施形態であり、上記実施形態の分別機構と同一部分については同一符号を付してそれらの説明は便宜上省略する。
図9は分別機構1の第2の実施形態であり、平面基板11aの上面が平面(平坦面)の上記回動規制板11の前縁11eより前方側における上記各前方棒体5’の上部5aは、上記平面基板11aの上面と同一高さ及び同一傾斜角度に位置するように構成している。勿論全ての前方棒体5’の上部5aが同様に構成されており、上記前方棒体5’によって、上記平面基板11aの上面と同一高さ及び同一傾斜角度の櫛状の回動分別部13’が形成されている。従って、上記平面基板11aの上面と上記前方棒体5’は、同一傾斜角度で略面一に形成されている。
より具体的には、上記軸受管3に固定された前方棒体5は、上記回動規制板11の前縁11eより若干前方側で上方に直角に折れ曲がり、再び、上記回動規制部材11の平面基板11aの上面と同じ高さにて前方側に直角に折れ曲がり、折曲部5bが形成されている。このように構成すると、回動規制板11の平面基板11aの上面に落下した被選別物を前方棒体5(前方棒体5’)に円滑に誘導することができる。
図10は分別機構1の第3の実施形態であり、上記錘7に代えて、上記後方棒体6の後方位置に紐(線状体)37の上端部を固定し、上記紐37の下端部に錘38を固定したものである。即ち、上記錘38は、上記各後方棒体6に線状体37にて吊り下げられているものである。また、各隣接する錘38は、図11(a)に示すように、互いに高さを異ならせて吊下げることにより、相互に干渉することを防止している。さらに、各錘38の上面には重量調整用の調整板38aを載置し得るように構成されている。尚、上記調整板38aはボルト等により上記錘38に固定し得るように構成することが好ましい。このように構成すると、調整板38aにより錘38の重量調整を容易に行うことができる。勿論、後方棒体6に対する線状体37の係合位置を変更して上記距離t1を変更することにより、前方棒体5の回動する力を調整することができる。
図12に示すものは、分別機構の第4の実施形態であり、回動棒状体2の前方棒体5の上部に、各前方棒体5に沿った細長板状体39が各々水平に溶接固定されており、隣接する上記各細長板状体39同士は、小間隙t2を介して隣接している。従って、上記前方棒体5の上面側は、小間隔t2はあるが、略平面となり、櫛状で、かつ、上面が略平面状の回動分別部13”が形成されている。このように構成すると、小さな軽量物或いは短い軽量物等が前方棒体間の隙間から下方に落下することを防止することができ、分離効率をさらに向上させることができる。
上記図9〜図12に示す他の実施形態は、何れも、どれを組み合わせるかは任意であり、対象となる被選別物の性状に合わせて組み合わせれば良い。例えば、図9の前方棒体5’と図10の吊下げ式の錘38、さらに図12に示す細長板状体39を組み合わせても良い。
以上のように、本発明によれば、被選別物等の原料に含まれる重量物のみを、軽量物から正確に分離除去することができ、重量物が偏平な形状、或いは比較的長い形状であっても、確実に軽量物と分別することができる。
また、各回動棒状体の慣性モーメントが小さいため、各回動棒状体の回動及び戻りを迅速に行うことができ、これにより分離効率を上げることができる。
また、動力を必要とせず、既存の異物選別装置に容易に設置することができ、既存の異物選別装置の選別精度を向上することができる。
また、重量物が回動分別部13に当接したとき、重量物の形状に応じて当接した前方棒体5のみが回動して当該重量物を落下させることができるため、重量物の形状に拘わらず軽量物から適切に分別することができる。
また、後方棒体6における錘7の位置を変更することにより、前方棒体5を回動させるための力を調整することができ、これにより前方棒体5を回動させて分別すべき重量物の重量設定を調整することができる。