JP2014150183A - 偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】絶縁電源1におけるトランス10の磁心11は、角部11aの内周側と外周側には孔部11b,11cが形成されており、内周側孔部11bに巻き付けられた内周側検出巻線21と、外周側孔部11cに巻き付けられた外周側検出巻線22が設けられている。そして、検出装置20は、インバータ回路40により1次巻線12に正或いは負の電圧が印加されている電圧印加期間中、内周側或いは外周側検出巻線の誘導電圧を測定し、測定結果に基づき磁心11に生じている偏磁を検出する。
【選択図】図1
Description
[構成の説明]
まず、第1実施形態の絶縁電源1の構成について説明する。図1に記載されているように、該絶縁電源1は、インバータ回路40と、トランス10と、整流回路30と、トランス10の磁心11の偏磁もしくは磁気飽和を検出する検出装置20とを備える。
また、トランス10は、インバータ回路40にて生成された交流電圧の振幅を変換するよう構成されており、矩形環状に形成された磁心11と、該交流電圧が印加される1次巻線12と、変換した電圧を出力する2次巻線13とを有する。
内周側検出巻線21は、内周側孔部11bを貫通した状態で配され、磁心11の内周側側面と内周側孔部11bにより挟まれた不均一断面11dの一部領域11d−1を取り巻く電線により構成されている。また、外周側検出巻線22は、外周側孔部11cを貫通した状態で配され、磁心11の外周側側面と外周側孔部11cにより挟まれた不均一断面11dの一部領域11d−2を取り巻く電線により構成されている。なお、内周側,外周側検出巻線21,22が上記一部領域を周回する回数は、適宜設定される。
次に、検出装置20にてトランス10の磁心11に生じた偏磁を検出する方法について説明する。
なお、長さrは稜部101からの距離、θは稜部101の角度、Binは磁束密度である。
ここで、Vcoilは、トランス等として構成された媒質(磁心)の1次巻線(もしくは2次巻線)に印可される電圧である。
なお、偏磁が発生した際、各誘導電圧の最大期間や最小期間がどちらの方向に偏るかは、1次巻線12と内周側,外周側検出巻線21,22の磁気結合の極性によって決定される。また、偏磁が発生する方向が異なれば、最大期間等が偏る方向も異なるため、該方向を検出することで、偏磁の極性を判定することができる。
次に、検出装置20におけるトランス10の磁心11の偏磁検出方法について、具体的に説明する。
まず、1次巻線12に対する電圧印加期間における所定のタイミングで、内周側,外周側誘導電圧と閾値とを比較することで、磁心11の偏磁を検出する判定処理1について説明する。
S200では、検出装置20の制御部23は、インバータ回路40から入力された電圧信号に基づき、上記比較を行う測定タイミングが到来したか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S200:Yes)、S205に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S200:No)、本処理を終了する。
また、正弦波状或いは三角波状に変化する電圧が1次巻線12に印加される場合であっても、同様にして、予め定められた測定タイミングにおける正常時の内周側或いは外周側誘導電圧に基づき、閾値を設定しても良い。そして、制御部23は、測定タイミングにおいて内周側或いは外周側誘導電圧を測定し、測定値と閾値とを比較することで、偏磁の検出や偏磁方向の検出を行っても良い。
しかし、1次巻線12から磁心11内を通らずに漏洩する磁束が大きい場合には、1次巻線12の印加電圧が、磁心11を通過する全磁束量φの時間勾配dφ/dtに十分に反映されなくなる。このため、1次巻線12に印加される交流電圧の振幅に基づき閾値を算出したり、該振幅で内周側或いは外周側誘導電圧の測定値を規格化しても、偏磁の検出等を適切に行うことができなくなるおそれがある。
次に、1次巻線12に対する電圧印加期間の開始直後と終了直前とにおいて測定された2つの内周側誘導電圧(或いは外周側誘導電圧)を比較することで、磁心11の偏磁を検出する判定処理2について説明する。
S250では、検出装置20の制御部23は、インバータ回路40から入力された電圧信号に基づき、電圧印加期間の開始直後のタイミングTsta、或いは、終了直前のタイミングTendが到来したか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S250:Yes)、S255に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S250:No)、本処理を終了する。
次に、内周側誘導電圧と外周側誘導電圧との比較結果の時間的偏りに基づき、磁心11の偏磁を検出する判定処理3について説明する。
S300では、検出装置20の制御部23は、比較回路24からの比較信号に基づき、内周側,外周側誘導電圧の比較結果に変化があったか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S300:Yes)、S305に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S300:No)、本処理を終了する。
一方、S315では、制御部23は、判定用期間の継続時間の計測を終了すると共に、該継続時間を保存し、S320に処理を移行する。
また、比較回路24を用いて誘導電圧の比較を行った場合には、制御部23にてADコンバータを使用すること無く偏磁を検出することができ、制御部23のハードウェアリソースを節約することができる。
次に、内周側誘導電圧や外周側誘導電圧の積分結果に基づき磁心11の偏磁を検出する判定処理4について説明する。
そして、図16に記載されているように、判定処理4を行う検出装置20は、さらに、オペアンプ等から構成される反転回路25と、積分回路26とを備える。
また、積分回路26には、内周側誘導電圧(或いは外周側誘導電圧)、或いは、反転回路25による反転がなされた内周側誘導電圧(或いは外周側誘導電圧)が入力され、入力された誘導電圧により形成される信号の積分が行われる。
S350では、検出装置20の制御部23は、インバータ回路40から入力された電圧信号に基づき、電圧印加期間が開始されたか否かを判定する。無論、トランス10の磁心11に上述した基準巻線50が設けられている場合には、基準誘導電圧に基づき該判定を行っても良い。そして、肯定判定が得られた場合には(S350:Yes)、S355に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S350:No)、S360に処理を移行する。
一方、S360では、制御部23は、該経過時間に基づき、電圧印加期間の後半期間が開始されたか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S360:Yes)、S365に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S360:No)、S370に処理を移行する。
一方、S370では、制御部23は、インバータ回路40からの電圧信号(或いは、基準巻線50に誘導された基準誘導電圧)に基づき、電圧印加期間が終了したか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S370:Yes)、S375に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S370:No)、本処理を移行する。
このような判定方法であれば、内周側誘導電圧等の積分結果が用いられるため、内周側誘導電圧等にインバータ回路40等によるノイズが重畳した場合であっても、ノイズの影響を抑えつつ磁心11に生じた偏磁を検出することができる。
さらに、判定方法1のような閾値が不要となり、より容易に偏磁を検出することができると共に、1次巻線12に印加される交流電圧の振幅が変動する場合であっても、容易に偏磁を検出することができる。
すなわち、増幅回路21a,22aを介して制御部23に内周側,外周側誘導電圧が検出装置20の制御部23に入力される構成とする。そして、制御部23は、内周側,外周側誘導電圧を周期的にサンプリングし、非極性反転期間においては、電圧値に基づき被積分値を算出すると共に、極性反転期間においては、電圧値を反転した値に基づき被積分値を算出する。さらに、これらの期間における被積分値を加算し、該加算値が0付近であれば、磁心11に偏磁が生じていないと判定し、そうでない場合には、偏磁が生じていると判定する。
なお、1次巻線12から磁心11を通らずに漏洩する磁束が多い場合には、1次巻線の一定の電圧を印加していても、電圧印加期間の開始時点と終了時点で磁心11を通過する全磁束量φの時間勾配dφ/dtが一致しないことがある。
次に、判定処理4と同じく、内周側誘導電圧や外周側誘導電圧の積分結果に基づき磁心11の偏磁を検出する判定処理5について説明する。
S400では、制御部23は、積分回路26により生成された内周側誘導電圧(或いは外周側誘導電圧)の積分信号を測定し、測定値を保存する(S405)。
すなわち、検出装置20を、増幅回路21a,22aを介して制御部23に内周側,外周側誘導電圧が入力される構成とする。そして、制御部23は、内周側,外周側誘導電圧を周期的にサンプリングすると共に、積分値を算出し、積分結果の波形からその直流成分を取り除く処理を行う。そして、制御部23は、その結果として得た積分信号の測定値に替えて、算出した積分値を用いて判定処理5と同様にして偏磁の有無を判定する。
また、前述の判定処理4と同様に1次巻線12の漏洩磁束が大きい場合には、偏磁が発生しなくても内周側誘導電圧や外周側誘導電圧の対称性が失われる恐れがある。
あるいは、電圧印加期間の間、印加電圧が一定とみなせないために、内周側誘導電圧や外周側誘導電圧の対称性が失われる場合には、これらの誘導電圧に替えて基準誘導電圧で規格化した電圧を用いても良いほか、1次巻線の印加電圧で規格化した電圧を用いても良い。
既に述べたように、判定処理1〜5により磁心11に生じた偏磁が検出されると共に、偏磁方向が検出されるが、偏磁が生じている場合、偏磁方向に磁束が生じるように1次巻線12に電圧が印加されると、磁気飽和が生じ易くなる。そして、磁気飽和が生じた結果、損失が増加したり、巻線に過大な励磁電流が発生するおそれがある。
このような構成によれば、磁心11に過大な磁気飽和が生じ、損失が増加したり、巻線に過大な励磁電流が発生することを防ぐことができる。
次に、磁気飽和解消処理1の変形例について説明する。
上述した磁気飽和解消処理1では、内周側誘導電圧の絶対値が漸次減少するか否か(或いは、外周側誘導電圧の絶対値が漸次増加するか否か)を判定した上で、内周側或いは外周側誘導電圧の絶対値と閾値とを比較し、比較結果に基づき過大な磁気飽和が生じているか否かを判定している。
また、磁気飽和解消処理1や該変形例における閾値は、インバータ回路40により1次巻線12に印加される交流電圧の振幅に応じた値となるが、該振幅が固定されている場合であれば、閾値を予め定めておき、制御部23のROM等に保存しておいても良い。
しかし、磁心11を通らずに1次巻線12から漏洩する磁束が大きい場合には、1次巻線12の印加電圧が、磁心11を通過する全磁束量φの時間勾配dφ/dtに十分に反映されなくなる。このため、1次巻線12に印加される交流電圧の振幅に基づき閾値を算出したり、該振幅で内周側或いは外周側誘導電圧の測定値を規格化しても、過大な磁気飽和の検出を適切に行うことができなくなるおそれがある。
次に、トランス10の磁心11の角部11aについて詳しく説明する。
既に述べたように、大きく屈曲する磁心の角部や曲部では、磁束と交差する断面の磁束密度の偏りが大きくなるが、第1実施形態では、検出巻線が設けられる磁心11の角部11aは、90°に屈曲している。このため、当該部位における不均一断面の磁束密度の偏りを大きくすることができ、磁気飽和の影響が検出巻線の誘導電圧に顕著に現れるようになり、誘導電圧に基づく偏磁の検出がより容易となる。
次に、内周側,外周側検出巻線21,22について詳しく説明する。
既に述べたように、磁心11の角部11aの内周側の部分や外周側の部分の磁束密度は、磁心11全体の磁束が高くなった際に磁気飽和の影響を受け易い。
なお、磁心11に内周側検出巻線21と外周側検出巻線22の一方を設ける構成としても良い。1つの検出巻線しか設けられていない場合であっても、判定処理1,2,4,5により偏磁を検出することができると共に、磁気飽和解消処理1を行うことができる。
なお、角部11aの不均一断面の中央部分の領域には、その磁束密度が不均一断面全体の磁束密度と同一となる領域が存在する可能性がある。そして、このような領域を取り巻く検出巻線を設けた場合、磁心11の全体を取り巻いた状態で検出巻線を設けた場合と変わらないため、該検出巻線の誘導電圧に基づき偏磁を検出することはできないと考えられる。
[構成の説明]
次に、第2実施形態の絶縁電源1の構成について説明する。第2実施形態の絶縁電源1は、検出巻線に関する構成において第1実施形態と相違している。
第2実施形態においては、磁心11の磁束が変化した場合には、2重検出巻線28における第1領域11i−1の周縁を周回する部分(第1部分)と、第2領域11i−2の周縁を周回する部分(第2部分)とには、異なる極性の電圧が誘導される。そして、各部分に生じた誘導電圧の総和が、2重検出巻線28全体の誘導電圧(全体誘導電圧とも記載)となる。
そして、各領域における電線の巻き付け方向が反対であるため、各領域に対応する誘導電圧の極性は異なるものとなり、全体誘導電圧は、内周側誘導電圧と外周側誘導電圧の差分に相当するものとなる。
<判定処理1,2,4,5について>
全体誘導電圧は内周側,外周側誘導電圧の差分に相当するため、内周側,外周側誘導電圧を全体誘導電圧に置き換えて第1実施形態における判定処理1,2,4,5を実行することで、偏磁の検出や偏磁方向の検出ができる。
<判定処理3について>
また、第1実施形態の判定処理3では、内周側誘導電圧と外周側誘導電圧との比較結果の時間的偏りに基づき、磁心11の偏磁が検出される。これに対し、全体誘導電圧は、内周側誘導電圧と外周側誘導電圧の差分に相当するものであり、内周側誘導電圧と外周側誘導電圧との比較結果を示すため、判定処理3と同様の考え方で、全体誘導電圧に基づき偏磁や偏磁方向を検出することができる。
次に、第2実施形態の磁気飽和解消処理について説明する。全体誘導電圧は内周側誘導電圧と外周側誘導電圧との差分であるため、第1実施形態と同様、全体誘導電圧の変動に基づき過大な磁気飽和を検出し、1次巻線12への電圧の印加を中止させることができる。
上述した2重検出巻線28は、電線を1つの孔部11hに複数回にわたり挿通させることで、磁心11の角部11aに8の字状に巻き付けられている。しかしながら、これに限定されること無く、例えば、角部11aの内周側と外周側に2つの孔部を形成しても良い。そして、内周側の孔部と角部11aの内周側側面とに挟まれる領域を第1領域とすると共に、外周側の孔部と角部11aの外周側側面とに挟まれる領域を第2領域とした状態で、2重検出巻線を構成しても良い。
第3実施形態では、上述した検出装置20にて直流磁束量を検出すると共に、該直流磁束量に基づき昇圧チョッパ回路75に設けられたリアクトル70の磁心71の磁気飽和の状態を検出する(図30参照)。この昇圧チョッパ回路75は、リアクトル70のほか、直流電源75cと、第1,第2スイッチング素子75a,75bを備える。
S505では、制御部23は、所定回数分の誘導電圧の測定結果から特定される誘導電圧の変動に基づき、第1スイッチング素子75aがオン、且つ、第2スイッチング素子75bがオフという状態であるか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S505:Yes)、S510に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S505:No)、本処理を終了する。
なお、検出した直流磁束量を、昇圧チョッパ回路75に関する各種制御に反映させても良い。
第4実施形態では、上述した検出装置20にて直流磁束量を検出すると共に、該直流磁束量に基づきフライバックトランス80の磁心81の磁気飽和の発生を検出する。図32には、スイッチング素子85aを備え、フライバックトランス80の1次巻線82に、直流電源85bにて生成された直流電圧を印加する1次側回路85と、フライバックトランス80の2次巻線83から出力される電圧を整流する整流回路86とが記載されている。
S555では、制御部23は、所定回数分の誘導電圧の測定結果から特定される誘導電圧の変動に基づき、スイッチング素子85aがオン状態であるか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S555:Yes)、S560に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S555:No)、本処理を終了する。
なお、検出した直流磁束量を、フライバックトランス80に関する各種制御に反映させても良い。
第5実施形態では、上述した検出装置20により、スイッチトリラクタンスモータ90のステータ92におけるステータ磁極92aの直流磁束量を推定する(図34参照)。
S605では、制御部23は、所定回数分の誘導電圧の測定結果から特定される誘導電圧の変動に基づき、第1スイッチング素子95aがオン状態であるか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S605:Yes)、S610に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S605:No)、本処理を終了する。
具体的には、制御部23は、今回の誘導電圧の測定値を制御回路95の直流電源95cから出力される電圧値で規格化した値を所定のテーブルで参照して、直流磁束量の推定を行う。無論、該テーブルは、検出巻線27の配置位置等に応じて変化するのは言うまでも無い。
こうすることにより、コストの上昇や、磁心の強度の低下を抑えつつ、スイッチトリラクタンスモータ90のステータ磁極92aに生じた直流磁束量を推定することができる。そして、推定した直流磁束量に基づき磁気飽和の発生を検出することや、該直流磁束量をスイッチトリラクタンスモータ90に関する各種制御に反映させることができる。
(1)第1,第2実施形態の絶縁電源1におけるトランス10の磁心11は、矩形環状に形成されており、90°に屈曲した4つの角部のうちの1つに検出巻線が設けられている。
こうすることにより、曲部における磁束密度の偏りを十分に大きくすることができ、当該曲部に設けられた検出巻線の誘導電圧に基づき、容易に偏磁の検出等を行うことができる。
(5)また、第3,第4実施形態では、リアクトル70,フライバックトランス80の磁心に生じた直流磁束を検出し、該直流磁束に基づき磁気飽和の検出等の各種処理を行う場合について例示した。また、第5実施形態では、スイッチトリラクタンスモータ90のステータ磁極に生じた直流磁束を推定し、該直流磁束に基づき各種処理を行う場合について例示した。しかしながら、これに限定されることは無く、本実施形態の検出装置20と同様の構成により、トランス等の磁心に生じた交流磁束の大きさの検出も行うことができる。
上記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲の記載に用いた用語との対応を示す。
また、第4実施形態における1次巻線82がコイルに、角部81aが曲部に、判定処理7のS550が検出巻線測定手段に、S560が検出手段に相当する。
Claims (16)
- 巻き付けられたコイル(12,62,75d,82,92c)に電圧を印加することで磁束が形成された際に、磁束密度の偏りが生じる断面である不均一断面(11d,11i)が形成される磁心(11,61,71,81,92)における、該不均一断面に沿って該磁心を貫く孔部(11b,11c,11e,11f,11g,11h,61d,61e,71b,81b,92b)を貫通した状態で配されることで、該不均一断面の一部であって、該不均一断面全体の平均的磁束密度とは異なる磁束密度が生じる検出領域(11d−1,11d−2,11i−1,11i−2)の周縁を取り巻く電線からなる検出巻線(21,22,27,28)に誘導された検出用起電力に関する測定を行う検出巻線測定手段(24,S205,S255,S300〜S315,S375,S400,S450,S500,S550,S600)と、
前記検出巻線測定手段による測定結果に基づき、前記磁心に生じた偏磁もしくは磁気飽和、或いは、前記磁心の磁束量を検出する検出手段(S210,S265,S270,S325,S330,S380,S415〜S425,S455,S460,S510,S560,S610)と、
を備えることを特徴とする偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置。 - 請求項1に記載の偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置において、
前記磁心には、前記不均一断面に沿って1または複数の前記孔部(11h)が形成されており、
前記検出巻線をなす前記電線は、同一の前記不均一断面に形成された異なる2つの前記検出領域である第1領域(11i−1)及び第2領域(11i−2)の周縁をそれぞれ取り巻き、前記第1領域の周縁に沿って予め定められた方向に巻き付けられていると共に、前記第2領域の周縁に沿って、前記第1領域における巻き付け方向とは反対方向に巻き付けられていること、
を特徴とする偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置。 - 請求項1または請求項2に記載の偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置において、
前記磁心は環状に形成されていると共に、前記磁心における曲がった部分を曲部(11a,71a,81a)とし、
前記不均一断面とは、前記曲部における断面であること、
を特徴とする偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置。 - 請求項3に記載の偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置において、
前記曲部は、90°以下に屈曲した形状を有していること、
を特徴とする偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置。 - 請求項3または請求項4に記載の偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置において、
少なくとも1つの前記検出領域は、その周縁の一部が、前記曲部における内周側或いは外周側の外面に接していること、
を特徴とする偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置。 - 請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置において、
前記検出巻線測定手段は、前記コイルに電圧を印加する際において前記検出用起電力に関する測定を行い(S205,S450)、
前記検出手段は、前記検出巻線測定手段により測定された前記検出用起電力と、その測定に対応する閾値とに基づき、前記磁心に偏磁もしくは磁気飽和が生じたこと検出すること(S210,S455,S460)、
を特徴とする偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置。 - 請求項6に記載の偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置において、
前記検出手段は、前記コイルに電圧を印加する際において、前記検出領域における磁気飽和の度合いが一定の水準に達しているか否かを判定し、肯定判定が得られた場合には、前記磁心に磁気飽和が生じたことを検出し(S455,S460)、
前記検出手段により磁気飽和が検出されると、前記コイルへの電圧の印加を中止させる中止手段(S465)をさらに備えること、
を特徴とする偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置。 - 請求項6または請求項7に記載の偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置において、
前記磁心の外面を取り巻く電線からなる基準巻線(50)に誘導された基準起電力を測定する基準巻線測定手段(S205,S450)をさらに備え、
前記検出手段は、前記基準巻線測定手段により測定された前記基準起電力をさらに加味して、前記磁心に偏磁もしくは磁気飽和が生じたことを検出すること、
を特徴とする偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置。 - 請求項2を引用する請求項6から請求項8のうちのいずれか1項に記載の偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置において、
前記検出巻線をなす前記電線は、1または複数の回数にわたり前記第1領域の周縁及び前記第2領域の周縁に沿って周回するように、それぞれの領域に巻き付けられており、
前記検出手段による検出に用いられる閾値が零電位となるよう、前記電線が前記第1領域を周回する回数と、前記第2領域を周回する回数とが調整されていること、
を特徴とする偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置。 - 請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置において、
前記検出巻線測定手段は、前記コイルに一定の電圧が印加される印加期間の開始直後と、該印加期間の終了直前とに前記検出用起電力を測定し(S255)、
前記検出手段は、前記印加期間の開始直後に測定された前記検出用起電力を反映した値と、該印加期間の終了直前に測定された前記検出用起電力を反映した値とを比較することで、前記磁心に偏磁が生じたことを検出すること(S265,S270)、
を特徴とする偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置。 - 請求項5に記載の偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置において、
前記検出巻線として、その周縁の一部が前記曲部における内周側の外面に接している前記検出領域を取り巻く前記電線からなる内周側検出巻線(21)と、その周縁の一部が前記曲部における外周側の外面に接している前記検出領域を取り巻く前記電線からなる外周側検出巻線(22)とが設けられており、
前記検出巻線測定手段は、前記内周側検出巻線に誘導された前記検出用起電力である内周側起電力と、前記外周側検出巻線に誘導された前記検出用起電力である外周側起電力とに関する測定結果の大きさを比較すると共に、比較結果に基づき、該内周側起電力を反映した値よりも該外周側起電力を反映した値が高い判定用期間を計測することで、前記検出用起電力に関する測定を行い(24,S300〜S315)、
前記検出手段は、前記検出巻線測定手段による測定結果に基づき、前記コイルに一定の電圧が印加される印加期間の開始後における前記判定用期間の長さと、該印加期間の終了前における前記判定用期間の長さとを比較することで、前記磁心に偏磁が生じたことを検出すること(S325,S330)、
を特徴とする偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置。 - 請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置において、
前記コイルに一定の電圧が印加される印加期間を2等分して得られる前半期間と後半期間とのうちの一方を反転期間とすると共に、他方を非反転期間とし、前記反転期間において、前記検出巻線に誘導された前記検出用起電力を反映した値の極性を反転させる極性反転手段(25,S365,S385)と、
前記非反転期間における前記検出用起電力を反映した値と、前記反転期間における前記極性反転手段により極性が反転された前記検出用起電力を反映した値とにより形成される信号の積分値を示す積分信号を生成する生成手段(26)と、
をさらに備え、
前記検出巻線測定手段は、前記印加期間が終了する時期における前記積分信号を測定することで、前記検出用起電力に関する測定を行い(S375)、
前記検出手段は、前記検出巻線測定手段により測定された前記積分信号の値に基づき、前記磁心に偏磁が生じたことを検出すること(S380)、
を特徴とする偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置。 - 請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置において、
前記コイルには、周期的に変化し、正方向及び負方向の振幅が同一である電圧が印加されると共に、各周期において該コイルに正方向の該電圧が印加される印加期間と、負方向の該電圧が印加される印加期間とは、略同等の長さであり、
前記検出用起電力により形成される信号の積分値から直流成分を除いた積分信号を生成する生成手段(26)をさらに備え、
前記検出巻線測定手段は、前記積分信号の値を測定することで、前記検出用起電力に関する測定を行い(S400)、
前記検出手段は、前記検出巻線測定手段による測定結果に基づき前記積分信号の最大値と最小値とを特定し、該最大値と該最小値とに基づき、前記磁心に偏磁が生じたことを検出すること(S415〜S425)、
を特徴とする偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置。 - 請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置において、
前記検出巻線測定手段は、前記コイルに電圧を印加する際において前記検出用起電力に関する測定を行い(S500,S550,S600)、
前記検出手段は、前記検出巻線測定手段による測定結果に基づき、前記磁心の磁束量を検出すること(S510,S560,S610)、
を特徴とする偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置。 - 請求項14に記載の偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置において、
前記磁心は、電動モータのステータとして用いられていること、
を特徴とする偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置。 - 請求項14に記載の偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置において、
前記磁心は、リアクトル或いはフライバックトランスに設けられていること、
を特徴とする偏磁、磁気飽和、もしくは磁束量の検出装置。
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