JP2013124989A - 簡易ベクトル磁気特性測定装置 - Google Patents

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祐一郎 甲斐
Masato Ezono
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OITA KEN SANGYOSOZOKIKO
OITA-KEN SANGYOSOZOKIKO
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Abstract

【課題】電磁鋼板の局所的なX、Y方向の磁気特性を簡易にかつ短時間で測定でき、かつ装置の小型化および低コスト化も図れる簡易ベクトル磁気特性測定装置を提供する。
【解決手段】主励磁コイル付きの上下の主励磁コアを十字配置した主励磁器と、両主励磁コアの磁極に配設した2対の磁束密度検出コイルを有し、電磁鋼板のX、Y方向の磁束密度を測定する磁束密度測定手段と、両主励磁コイルを流れる電流を検出する一対の電流検出部を有し、主励磁器により励磁した電磁鋼板のX、Y方向の磁界強度を測定する磁界強度測定手段と、両主励磁コアから発生した磁束の磁束密度波形が、目標の磁束密度波形となるように制御する磁束密度アナログ波形制御手段とを備え、磁束密度アナログ波形制御手段に、磁束密度検出コイルの誘起電圧と目標電圧との電位差から、誘起電圧と目標電圧とが等しくなる電圧を両主励磁コイルに出力する一対の差動増幅回路を設けた。
【選択図】図1

Description

この発明は、板形状の磁性体の2次元平面における磁気特性を簡便に測定するための簡易ベクトル磁気特性測定装置に関する。
電気機器に使用される磁性材料を有効活用するため、例えば、非特許文献1に開示されたベクトル磁気特性技術が提案されている。ベクトル磁気特性技術とは、磁束密度と磁界強度とをベクトル量として直接測定し、磁性材料の磁気異方性や磁気損失を正確に評価するものである。非特許文献1には、ベクトル磁気特性技術を利用した簡易2次元磁気特性測定装置が記載されている。簡易2次元磁気特性測定装置は、電磁鋼板の上方に、主励磁器、磁束密度(B)センサおよび磁界強度(H)センサをそれぞれ配置したものである。
このうち、主励磁器は、主励磁コイルが巻回された下向きU字形状の一対の主励磁コアを、上下に離間して十字配置したものである。また、磁束密度センサは、X、Y方向に離間して配置した2組の探針を有したものであって、磁界強度センサは、矩形状のベース板にそれぞれの巻き方向が成す角度が90度になるように2本のコイルを巻いたHコイルである。主励磁器から発生したX、Yの2方向からの励磁電圧により、電磁鋼板の局所的なX、Y方向の磁束密度が磁束密度センサにより検出される一方、電磁鋼板の局所的なX、Y方向の磁界強度が磁界強度センサによって検出される。
榎園正人、田邊郁雄「簡易2次元磁気特性測定装置」日本応用磁気学会誌Vol.21、No.4−2(1997)、713頁〜716頁
しかしながら、非特許文献1に記載された簡易2次元磁気特性測定装置にあっては、電磁鋼板の局所的なX、Y方向の磁界強度を測定するため、Hコイルと称される磁界強度センサと、磁界強度センサからの出力電圧(検出信号)を増幅する高性能なプリアンプとが必要であった。そのため、簡易2次元磁気特性測定装置が大型化し、かつ装置コストも高騰していた。
また、電磁鋼板の局所的なX、Y方向の磁束密度の測定時には、X、Y方向の磁束密度波形を、電気機器内の励磁状態を模擬した磁束条件に制御しなければならない。その際、非特許文献1の簡易2次元磁気特性測定装置にあっては、測定された誘起電圧と、目標電圧と、1つ前の励磁電圧とから次の励磁電圧を計算し、誘起電圧が目標電圧に等しくなるまで、磁束密度波形の修正を繰り返し行わなければならなかった。そのため、X、Y方向の磁束密度の測定に長時間を要していた。
そこで、発明者らは、鋭意研究の結果、電磁鋼板の局所的なX、Y方向の磁束密度の測定手段として、非特許文献1のX、Y方向に離間して配置した2対の探針を利用したものに代えて、十字配置された一対の主励磁コアの両端部に巻回した2対の磁束密度検出コイルを有するものを採用した。さらに、電磁鋼板の局所的なX、Y方向の磁界強度の測定手段として、非特許文献1のHコイルおよびプリアンプを利用したものに代えて、一対の主励磁コアに巻回したX、Y方向の主励磁コイルに流れる電流の検出を行う電流検出部を有するものを採用した。これらの構成によって、簡易ベクトル磁気特性測定装置の小型化が図れるとともに、この装置の低コスト化も可能になることを知見し、この発明を完成させた。
しかも、発明者らは、鋭意研究の結果、電磁鋼板の局所的なX、Y方向の磁束密度の測定手段として、非特許文献1のデジタルフィードバック制御によるデジタル波形制御回路を利用したものに代えて、磁束密度アナログ波形制御手段を利用したものを採用すれば、この磁束密度アナログ波形制御手段に、電気機器内の励磁状態を模擬した磁束条件に対応した目標電圧と、磁束密度検出コイルの出力電圧とを入力することで、磁束密度検出コイルの出力電圧を、目標となる電圧波形に短時間で制御可能なことを知見し、この発明を完成させた。
すなわち、この発明は、電磁鋼板の局所的なX、Y方向における磁気特性を簡易にかつ短時間で測定することができるとともに、装置の小型化および低コスト化も図ることができる簡易ベクトル磁気特性測定装置を提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、磁極となる長さ方向の両端部を除く部分にそれぞれ主励磁コイルが巻回され、かつU字形状に屈曲した一対の主励磁コアを、上下に離間した状態で、前記長さ方向の両端部を2次元平面上で直交するX、Y方向に向けて十字配置した主励磁器と、前記一対の主励磁コアの長さ方向の両端部にそれぞれ巻回されて前記一対の主励磁コアの磁束密度を検出する2対の磁束密度検出コイルを有し、かつ前記主励磁器により励磁された電磁鋼板の前記X、Y方向における磁束密度を測定する磁束密度測定手段と、前記それぞれの主励磁コイルを流れる電流を検出する一対の電流検出部を有し、かつ前記主励磁器により励磁された前記電磁鋼板のX、Y方向における磁界強度を測定する磁界強度測定手段と、前記2対の磁束密度検出コイルからそれぞれ得られた誘起電圧に基づき、前記それぞれの主励磁コアから発生した磁束の磁束密度波形が、目標の磁束密度波形となるようにアナログ波形で制御する磁束密度アナログ波形制御手段と、前記主励磁器、前記磁束密度測定手段、前記磁界強度測定手段および前記磁束密度アナログ波形制御手段をそれぞれ制御する制御部とを備え、前記磁束密度アナログ波形制御手段は、入力された前記磁束密度検出コイルの誘起電圧と制御目標となる目標電圧との電位差から、前記誘起電圧と前記目標電圧とが等しくなる電圧を前記それぞれの主励磁コイルに出力する一対の差動増幅回路を有した簡易ベクトル磁気特性測定装置である。
請求項1に記載の発明によれば、例えば上向きに配置した主励磁器の一対の主励磁コアと、その上方に配置された電磁鋼板とにより閉磁路を構成し、この状態で2対の主励磁コイルに電圧を印加する。これにより、両主励磁コアから発生した磁束は、両主励磁コアを通って各電極にそれぞれ達し、2対の磁束密度検出コイルに誘起電圧が発生する。これらの誘起電圧はデジタル変換後に制御部に送られ、ここで磁束密度演算部による下記式1を利用した演算によって、一対の主励磁コアの磁束密度が求められる。その結果、電磁鋼板の局部的なX、Y方向における磁束密度(B)を簡易に求めることができる。
Figure 2013124989
ここで、VBxとVByはX方向およびY方向のBコイルの誘起電圧、NBxとNByはX方向およびY方向のBコイルの巻数、SBxとSByはX方向およびY方向の主励磁コアの断面積である。
その際、電磁鋼板が使用される実機内で発生する励磁状態を模擬するため、X、Y方向の磁束密度波形を正弦波に制御し、磁束密度を測定する。具体的には、制御部のストレージに入力された磁束条件に対応した目標の電圧波形をアナログ変換し、これを磁束密度アナログ波形制御手段に入力する。これにより、磁束密度検出コイルの誘起電圧と目標電圧とが差動増幅回路に入力され、この差動増幅回路からは、入力した2つの電圧が等しくなるような電圧が出力される。その結果、磁束密度アナログ波形制御手段では、制御部において設定した目標電圧を1回だけ差動増幅回路に出力すれば、磁束密度検出コイルの誘起電圧は目標電圧と等しくなる。よって、電磁鋼板の局所的なX、Y方向における磁束密度を短時間で測定することができる。
また、一対の主励磁コイルに流れる電流(励磁電流)を電流検出部により検出することで、この検出結果が送信された制御部において、下記式2を利用した磁界強度演算部による演算によって、電磁鋼板の局部的なX方向およびY方向における磁界強度(H)を簡易に測定することができる。
Figure 2013124989
ここで、IxとIyはX方向およびY方向の主励磁コイルに流れる励磁電流、NxとNyはX方向およびY方向の主励磁コイルの巻数、LCXとLCYはX方向およびY方向の主励磁コアの磁路長、LGXとLGYはX方向およびY方向の主励磁コアと電磁鋼板との間の磁路長、LSXとLSYはX方向およびY方向の電磁鋼板の磁路長である。
これらの構成によって、電磁鋼板のベクトル磁気特性(磁束密度および磁界強度)を簡易に測定することができるとともに、従来の磁界強度センサとプリアンプとが不要となって装置の小型化および低コスト化も図ることができる。
簡易ベクトル磁気特性測定装置とは、磁束密度と磁界強度とをベクトル量として直接測定し、磁性材料(電磁鋼板)の磁気異方性および磁気損失を評価するベクトル磁気特性技術を利用して、電磁鋼板の局所的なX、Y方向における磁束密度および磁界強度の測定を簡易化したものである。
電磁鋼板とは磁性および導電性を有した鋼からなる板材である。電磁鋼板の厚さは0.1〜0.5mmである。
主励磁器とは、電磁鋼板の局所的なX、Y方向の磁束密度および磁界強度を測定するため、一対の主励磁コイルによりU字形ヨークである一対の主励磁コア(ヨーク)の励磁を行う装置である。一対の主励磁コアは、長さ方向をX方向に向けたX側の主励磁コアと、長さ方向をY方向に向けたY側の主励磁コアとからなる。X、Y側の主励磁コアは、薄板を重ね合わせた多層式のものでも、厚肉な単層式のものでもよい。両主励磁コアの素材としては、無方向性電磁鋼板、方向性電磁鋼板、フェライトコア、アモルファスコアなどを採用することができる。
一対(X、Y側)の主励磁コア(鉄心、継鉄)は、その長さ方向の両端部が磁極となり、両主励磁コアは上向きのU字形状に配置しても、下向きのU字形状に配置してもよい。
主励磁コアの長さ方向の両端部とは、主励磁コアのU字形状の曲がりを延ばして主励磁コアを細長い板形状としたとき、この板の長さ方向の両端部(磁極)に該当する部分をいう。
一対の主励磁コア上での主励磁コイルの具体的な巻回位置としては、例えば、U字形状の主励磁コアの屈曲した両側部(脚部)のうち、磁極となる先端部を除いた部分などが挙げられる。その他、各主励磁コアの長さ方向の中間部などでもよい。
主励磁コイルとしては、外径が0.2〜1mmのエナメル線を採用することができる。これにより、コイルは巻き数が増えても嵩張りにくく、結果として主励磁器の小型化が図れる。
また、磁束密度検出コイルとしては、外径が0.1〜0.5mmのエナメル線を採用することができる。
電流検出部としては、主励磁コイルを流れる励磁電流を検出可能なものであれば限定されない。例えば、電流検出用抵抗部を採用することができる。その他、電流プローブなどでもよい。
磁束密度アナログ波形制御手段は、X方向に長い主励磁コアの磁極側の両端部に配置された一対の(X側の)磁束密度検出コイルから得られた誘起電圧を、目標の磁束密度波形となるように制御するとともに、Y方向に長い主励磁コアの磁極側の両端部に配置された一対の(Y側の)磁束密度検出コイルから得られた誘起電圧を、目標の磁束密度波形となるように制御するものである。磁束密度アナログ波形制御手段としては、差動増幅回路の他、差動増幅回路から出力された電圧を増幅する電力増幅回路などを有したものを採用することができる。
目標電圧とは、主励磁コアから発生した磁束が目標の磁束密度波形となるように制御する際の指標となる電圧である。
差動増幅回路は、入力された誘起電圧と目標電圧との電位差を、一定係数(差動利得)で増幅して出力する回路である。
制御部は、簡易ベクトル磁気特性測定装置の電気系統の全体を制御するものである。具体的には、主励磁器、磁束密度測定手段、磁界強度測定手段および磁束密度アナログ波形制御手段などを制御するパソコンを採用することができる。制御部(パソコン)は、例えば、各磁束密度検出コイルにより発生したアナログの誘起電圧をデジタルに変換するA/D(アナログデジタル)コンバータ、目標電圧などを記憶するストレージ、このストレージに記憶されたデジタルの目標電圧を磁束密度アナログ波形制御手段に出力するにあたってアナログ変換するD/A(デジタルアナログ)コンバータなどを有している。
また、請求項2に記載の発明は、前記一対の主励磁コアの長さ方向の両端部には、該一対の主励磁コアの幅方向の両側部分に前記主励磁コアの表裏面を貫通する一対のスリットを離間して形成することで、前記一対の主励磁コアの幅方向の中間部にコイル巻回用板片を形成し、前記磁束密度検出コイルは、前記それぞれのコイル巻回用板片のみに巻回された請求項1に記載の簡易ベクトル磁気特性測定装置である。
請求項2に記載の発明によれば、一対の主励磁コアの長さ方向の両端部のうち、磁束密度検出コイルが巻回される部分を、一対のスリットを介して、主励磁コアの幅方向の中間部に設けたコイル巻回用板片のみとした。これにより、電磁鋼板の磁気特性評価領域が、主励磁器の内部空間の平面視した中央部と対向し、直線的な磁束が発生する狭い領域に限定され、主励磁コアの磁極から発生した磁束と磁気特性評価領域の磁束量とに差異が発生し難い。その結果、電磁鋼板の局所的なX、Y方向における磁束密度の測定誤差が減少する。これに対して、主励磁コアの長さ方向の両端部の全域に磁束密度検出コイルを巻回した場合には、主励磁コアから発生した磁束は、磁気特性評価領域のうち、磁束方向と直交する両端部で円弧形状に湾曲する。そのため、主励磁コアの磁極から発生した磁束と磁気特性評価領域の磁束量とに差異が生じ、磁束密度に測定誤差が発生し易い。
主励磁コアの磁極側の端部のうち、コイル巻回用板片が形成される主励磁コアの幅方向の中間部とは、例えば、主励磁コアの磁極側の端部をその幅方向に向かって3等分割した際の中間部分をいう。ただし、この3等分割に限定されない。コイル巻回用板片のうち、主励磁コアの幅方向の両側には、一対のスリットが形成されている。これらのスリットは、磁束密度検出コイルをコイル巻回用板片に巻回する際の巻き溝となる。
さらに、請求項3に記載の発明は、磁極となる長さ方向の両端部を除く部分にそれぞれ主励磁コイルが巻回され、かつU字形状に屈曲した一対の主励磁コアを、上下に離間した状態で、前記長さ方向の両端部を2次元平面上で直交するX、Y方向に向けて十字配置した主励磁器と、磁極となる長さ方向の両端部を除く部分にそれぞれ補助励磁コイルが巻回されたU字形状に屈曲する一対の補助励磁コアを、上下に離間した状態で、かつ前記長さ方向の両端部を2次元平面上で直交するX、Y方向に向けて十字配置するとともに、平面視してこの十字の中心部を前記一対の主励磁コアの十字の中心部に一致させて前記主励磁器の内部空間に、該主励磁器と非接触状態で収納される補助励磁器と、前記一対の主励磁コアの長さ方向の両端部にそれぞれ巻回されて前記一対の主励磁コアの磁束密度を検出する2対の磁束密度検出コイルを有するとともに、前記一対の補助励磁コアの長さ方向の両端部にそれぞれ巻回されて、前記一対の主励磁コアから発生して前記一対の補助励磁コアに鎖交した磁束を検出する2対の補助磁束密度検出コイルを有し、かつ前記主励磁器により励磁された電磁鋼板の前記X、Y方向における磁束密度を測定する磁束密度測定手段と、前記それぞれの補助励磁コイルを流れる電流を検出する一対の電流検出部を有し、かつ前記主励磁器により励磁された前記電磁鋼板のX、Y方向における磁界強度を測定する磁界強度測定手段と、前記2対の磁束密度検出コイルからそれぞれ得られた誘起電圧に基づき、前記一対の主励磁コアから発生した磁束の磁束密度波形が、目標の磁束密度波形となるようにアナログ波形を利用して制御する磁束密度アナログ波形制御手段と、前記2対の補助磁束密度検出コイルからそれぞれ得られた誘起電圧に基づき、前記一対の補助励磁コアから発生した磁束の磁束密度が見かけ上ゼロとなるようなアナログ制御を行う磁束ゼロアナログ制御手段と、前記主励磁器、前記補助励磁器、前記磁束密度測定手段、前記磁界強度測定手段、前記磁束密度アナログ波形制御手段および前記磁束ゼロアナログ制御手段を制御する制御部とを備え、前記磁束密度アナログ波形制御手段は、入力された前記磁束密度検出コイルの誘起電圧と制御目標となる目標電圧との電位差から、前記誘起電圧と前記目標電圧とが等しくなる電圧を前記それぞれの主励磁コイルに出力する一対の差動増幅回路を有し、前記磁束ゼロアナログ制御手段は、入力された前記補助磁束密度検出コイルの誘起電圧とゼロ電圧との電位差から、前記誘起電圧がゼロとなる電圧を前記それぞれの補助励磁コイルに出力する一対の補助差動増幅回路を有した簡易ベクトル磁気特性測定装置である。
請求項3に記載の発明によれば、例えば上向きに配置した主励磁器の一対の主励磁コアおよび補助励磁器の一対の補助励磁コアと、これらの上方に配置された電磁鋼板との間で閉磁路が構成される。この状態で一対の主励磁コイルに電圧を印加すれば、両主励磁コアから発生した磁束が、両主励磁コアを通って各電極にそれぞれ到達し、2対の磁束密度検出コイルに誘起電圧が発生する。これらの誘起電圧はデジタル変換後に制御部に送られ、ここで前記式1を利用した誘起電圧の演算がなされる。これにより、電磁鋼板の局部的なX、Y方向における磁束密度が簡易に求められる。
また、磁界強度の測定にあっては、小型の簡易ベクトル磁気特性測定装置の使用および高い磁束密度条件での磁気特性の測定に際して、主励磁コア内の磁束密度が増加し、主励磁コアの磁気損失も増加する。そのため、測定した励磁電流(磁界強度)には、電磁鋼板だけでなく主励磁コアの磁気特性の影響も含まれる。
そこで、この問題を解消するため、磁束ゼロアナログ制御手段の補助差動増幅回路には、補助磁束密度検出コイルからの出力電圧を入力し、2つの入力端子の一方にはゼロ電圧を入力する(または何も入力しない)。補助差動増幅回路は、入力した2つの電圧が等しくなるような電圧を出力するため、その出力電圧を補助励磁コイルに送ることで、補助励磁コイルは、補助磁束密度検出コイルの誘起電圧が見かけ上ゼロ(零)となるような補助励磁コアの励磁を行う。この状態で、補助励磁コイルに流れる励磁電流を測定すれば、補助励磁コアの磁気特性の影響を受けず、電磁鋼板の磁路長のみから局所的なX、Y方向の磁界強度を測定することができる。
補助励磁器とは、主励磁器より小型で、かつ主励磁器によって一対の主励磁コアの励磁を行う電気機器である。一対の補助励磁コア(ヨーク)は、長さ方向をX方向に向けたX側の補助励磁コアと、長さ方向をY方向に向けたY側の補助励磁コアとからなる。X、Y側の補助励磁コアは、薄板を重ね合わせた多層式のものでも、厚肉な単層式のものでもよい。補助励磁コアの素材としては、例えば無方向性電磁鋼板、方向性電磁鋼板、フェライトコア、アモルファスコアなどを採用することができる。
一対(X、Y側)の補助励磁コアは、その長さ方向の両端部が磁極となり、両補助励磁コアは両主励磁コアのU字の向き(開口部の方向)と一致させて、上向きのU字形状に配置しても、下向きのU字形状に配置してもよい。
補助励磁器を主励磁器の内部空間に収納する際には、主励磁器のX、Y側の主励磁コアの平面視した中心点と、補助励磁器のX、Y側の補助励磁コアの平面視した中心点とが直交する仮想のXラインと仮想のYラインとの交差点上で重なるように配置する。また、両主励磁コアの磁極と両補助励磁コアの磁極とは、それぞれの先端面の高さが同一の水平面上に配置されるように構成する。
一対の補助励磁コア上での補助励磁コイルの具体的な巻回位置としては、例えば、U字形状の補助励磁コアの屈曲した両側部(脚部)のうち、電極となる先部を除いた部分などが挙げられる。その他、各補助励磁コアの長さ方向の中間部でもよい。
補助励磁コイルとしては、外径が0.2〜1mmのエナメル線を採用することができる。これにより、補助励磁コイルは巻き数が増えても嵩張りにくく、結果として主励磁器の小型化が図れる。
補助磁束密度検出コイルとしては、外径が0.1〜0.5mmのエナメル線を採用することができる。
補助励磁コイルから発生した励磁電流を測定する電流検出部としては、補助励磁コイルを流れる励磁電流を検出する電流検出用抵抗部、電流プローブなどを採用することができる。
補助励磁コアの幅は、前記コイル巻回用板片の幅と同一としてもよい。
請求項1に記載の発明によれば、X方向を長さ方向としたX側の主励磁コアの両端部に一対のX側の磁束密度検出コイルを配設し、かつY方向を長さ方向としたY側の主励磁コアの両端部に一対のY側の磁束密度検出コイルを配設している。そのため、X、Y側の2対の磁束密度検出コイルにより、X、Y側の主励磁コアの磁束密度がそれぞれ検出されることで、電磁鋼板のX、Yの2次元方向における磁束密度を検知することができる。
また、十字配置された一対の主励磁コアに巻回された主励磁コイルを流れる電流を電流検出部により測定するようにしたので、得られた電流値に基づく制御部での演算により、電磁鋼板の局所的なX、Y方向における磁界強度を簡易に測定することができる。
以上の構成によって、電磁鋼板のベクトル磁気特性を簡易に測定することができるとともに、従来の測定装置では必須構成体であったHコイルおよびプリアンプが不要となり、簡易ベクトル磁気特性測定装置の小型化および低コスト化も図ることができる。
さらに、ここでは、電磁鋼板の磁束密度測定手段として、従来のデジタルフィードバック制御方式のデジタル波形制御手段に代えて、差動増幅回路を有し、かつ主励磁コアの磁束密度を目標の磁束密度波形となるように制御する磁束密度アナログ波形制御手段を採用している。これにより、実機内で発生する励磁状態を模擬するため、X、Y方向の磁束密度の正弦波形を制御して磁束密度を測定するとき、磁束密度検出コイルの誘起電圧と目標電圧とを差動増幅回路に入力し、差動増幅回路から2つの電圧が等しくなるような電圧を主励磁コイルに出力する。その結果、設定した目標電圧を制御部から差動増幅回路に1回だけ出力すれば、磁束密度検出コイルの誘起電圧は目標電圧と等しくなる。よって、電磁鋼板の局所的なX、Y方向における磁束密度を短時間で測定することができる。
請求項2に記載の発明によれば、一対の主励磁コアの長さ方向の両端部(磁極部分)のうち、磁束密度検出コイルが巻回される部分を、主励磁コアの幅方向の中間部に設けたコイル巻回用板片のみとした。これにより、電磁鋼板の磁気特性評価領域が、主励磁器の内部空間の平面視した中央部と対向する狭い領域に限定される。その結果、磁束の進行方向に直交する方向への円弧形状の広がりが抑えられ、主励磁コアの磁極から発生した磁束と磁気特性評価領域の磁束量とに差異が生じ難くなり、電磁鋼板の局所的なX、Y方向における磁束密度の測定誤差を減少させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、十字配置された一対の補助励磁コアの十字の中心部と、十字配置された一対の主励磁コアの十字の中心部とを一致させて、補助励磁器を主励磁器の内部空間に収納させ、この状態で、一対の主励磁コアと、電磁鋼板と、一対の補助励磁コアとの間に形成された閉磁路での磁界強度を測定する。このとき、主励磁コイルの励磁電流の測定値から主励磁コアの磁気特性の影響を排除するため、磁束ゼロアナログ制御手段の補助差動増幅回路に、補助磁束密度検出コイルからの誘起電圧とゼロ電圧とを入力する。これにより、補助差動増幅回路からは、入力した2つの電圧が等しくなるような電圧が補助励磁コイルに出力される。その結果、補助励磁コイルでは、補助磁束密度検出コイルの誘起電圧が見かけ上ゼロとなる補助励磁コアの励磁が行われる。この状態で、X、Y側の補助励磁コイルにそれぞれ流れる励磁電流を測定し、これらの測定値に基づき、電磁鋼板の局所的なX、Y方向の磁界強度を測定すれば、補助励磁コアの磁気特性の影響を受けず、電磁鋼板の局所的なX、Y方向の磁界強度を測定することができる。
この発明の実施例1に係る簡易ベクトル磁気特性測定装置のブロック図である。 この発明の実施例1に係る簡易ベクトル磁気特性測定装置の分解斜視図である。 この発明の実施例1に係る簡易ベクトル磁気特性測定装置の主励磁器の斜視図である。 この発明の実施例1に係る簡易ベクトル磁気特性測定装置の主励磁器の分解斜視図である。 この発明の実施例1に係る簡易ベクトル磁気特性測定装置の磁束密度アナログ波形制御手段を含む制御系統のフローシートである。 この発明の実施例1に係る簡易ベクトル磁気特性測定装置の主励磁器での磁束の発生状況を示す横断面図である。 この発明の実施例1に係る簡易ベクトル磁気特性測定装置の閉磁路における電流の流れを示す縦断面図である。 この発明の実施例2に係る簡易ベクトル磁気特性測定装置の主励磁器の斜視図である。 この発明の実施例2に係る簡易ベクトル磁気特性測定装置の主励磁器での磁束の発生状況を示す横断面図である。 この発明の実施例2に係る簡易ベクトル磁気特性測定装置の閉磁路における電流の流れを示す縦断面図である。 この発明の実施例3に係る簡易ベクトル磁気特性測定装置のブロック図である。 この発明の実施例3に係る簡易ベクトル磁気特性測定装置の主励磁器および補助励磁器の斜視図である。 この発明の実施例3に係る簡易ベクトル磁気特性測定装置の磁束密度アナログ波形制御手段を含む制御系統のフローシートである。 この発明の実施例3に係る簡易ベクトル磁気特性測定装置の主励磁器での磁束の発生状況を示す横断面図である。 この発明の実施例3に係る簡易ベクトル磁気特性測定装置の閉磁路における電流の流れを示す縦断面図である。
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。まず、図1〜図7を参照して、この発明の実施例1に係る簡易ベクトル磁気特性測定装置について述べる。
図1〜図4において、10はこの発明の実施例1に係る簡易ベクトル磁気特性測定装置(以下、測定装置)で、この測定装置10は、磁極となる長さ方向の両端部を除く部分にそれぞれ主励磁コイル11が巻回され、かつU字形状に屈曲した一対の主励磁コア12を、上下に離間した状態で、長さ方向の両端部を2次元平面上で直交するX、Y方向に向けて十字配置した主励磁器13と、主励磁器13を収納するとともに、電磁鋼板14が載置される蓋体15が付いたケーシング16と、一対の主励磁コア12の長さ方向の両端部にそれぞれ巻回されて一対の主励磁コア12の磁束密度を検出する2対の磁束密度検出コイル(磁束密度測定手段)17と、一対の主励磁コイル11を流れる電流を検出する一対の電流検出部である電流検出用抵抗部(磁界強度測定手段)18と、2対の磁束密度検出コイル17からそれぞれ得られた誘起電圧に基づき、それぞれの主励磁コア12から発生した磁束の磁束密度波形が、目標の磁束密度波形となるようにアナログ正弦波で制御する磁束密度アナログ波形制御手段20と、主励磁器13、磁束密度検出コイル17を含む磁束密度測定手段、電流検出用抵抗部18を含む磁界強度測定手段および磁束密度アナログ波形制御手段20をそれぞれ制御する制御部(パソコン)21とを備えている。
以下、これらの構成部品を具体的に説明する。
電磁鋼板14は、磁性および導電性を有した鋼からなる厚さが0.5mmで、一辺が80mmの正方形の薄板である(図2)。
主励磁器13は、長さ方向をX方向に向けたX側の主励磁コア12と、長さ方向をY方向に向け、かつX側の主励磁コア12に比べて屈曲した両側部(脚部)の長さが短いY側の主励磁コア12とを、上下に数mmの隙間をあけ、かつ平面視したとき、それぞれの中心点(主励磁コア12の長さ方向の中間点でかつその幅方向の中間点)を重ね合わせて十字配置したものである(図2〜図4)。X、Y側の主励磁コア12は、方向性電磁鋼板の上向きU字形状のヨークで、これらの主励磁コア12は、多数の薄板を重ね合わせた多層式のものである。
両主励磁コア12の屈曲した両側部(脚部)のうち、電極となる端部を除いた部分には、2対の主励磁コイル11がそれぞれ所定の巻数で巻き付けられている。具体的には、例えばX側の一対の主励磁コイル11は、外径が0.4mmの1本のエナメル線をX側の主励磁コア12の一方の屈曲した側部に所定巻数だけ巻回した後、さらにエナメル線の先部を外方へ延出し、X側の主励磁コア12の他方に屈曲した側部に、所定の巻数だけ巻回している。なお、図1では、便宜上、1本のエナメル線により構成された一対のX側の主励磁コイル11を、X側の主励磁コア12の長さ方向の中間部に、一纏めに巻き付けている。また、X側の主励磁コア12の長さ方向の中間部から導出されたエナメル線には、X側の主励磁コイル11を流れる電流を検出するX側の電流検出用抵抗部(電流検出部)18が接続されている。図示しないものの、一対のY側の主励磁コイル11と、Y側の主励磁コア12との関係も同様である。また、Y側の主励磁コア12から導出されたエナメル線には、Y側の主励磁コイル11を流れる電流を検出するY側の電流検出用抵抗部18が接続されている。
また、X、Y側の主励磁コア12の長さ方向の両端部(磁極側の両端部)には、2対の磁束密度検出コイル(一対のX側の磁束密度検出コイル、一対のY側の磁束密度検出コイル)17が、所定の巻数でそれぞれ巻回されている。各対の磁束密度検出コイル17は、外径が0.2mmの1本のエナメル線からなる。具体的には、1本のエナメル線をX側の主励磁コア12の長さ方向の一端部に所定の巻数だけ巻き付けた後、そこからエナメル線の先部が外方へさらに延出し、X側の主励磁コア12の長さ方向の他端部に、所定の巻数だけ巻回されている。図示しないものの、一対のY側の磁束密度検出コイル17と、Y側の主励磁コア12との関係も同様である。なお、図1では、便宜上、1本のエナメル線により構成された一対のX側の磁束密度検出コイル17を、X側の主励磁コア12の長さ方向の一端部に、一纏めに巻き付けた状態で図示している。
主励磁器13は、X側およびY側の主励磁コア12が、それぞれ上向きのU字形状となるように、ケーシング16の底板16aの上面の中央部に固定されている。ケーシング16は非磁性体(布ベーク)からなり、かつ平面視して正方形で深さが主励磁器13の高さと同一となった上面開口式の容器である。また、蓋体15はケーシング16と同一素材で、かつ電磁鋼板14より大判な正方形の板材である。蓋体15の中央部には、両主励磁コア12の各磁極を、それぞれの磁極面(先端面)が蓋体15の表面と等しくなるように収納可能な細長い短冊状の4本の長孔15aが、平面視して矩形枠状に配設されている。
次に、図1を参照して、磁束密度アナログ波形制御手段20を詳細に説明する。
磁束密度アナログ波形制御手段20は、X方向に長い主励磁コア12の磁極側の両端部に配置された一対のX側の磁束密度検出コイル17から得られた誘起電圧を、目標の磁束密度波形となるように制御するとともに、Y方向に長い主励磁コア12の磁極側の両端部に配置された一対のY側の磁束密度検出コイル17から得られた誘起電圧を、目標の磁束密度波形となるように制御するものである。
磁束密度アナログ波形制御手段20は、入力されたX、Y側の磁束密度検出コイル17の誘起電圧と、交流電源19から出力された制御目標となる目標電圧との電位差を一定係数(差動利得)で増幅して、誘起電圧と目標電圧とが等しくなる電圧を出力するX、Y側の差動増幅回路22と、これらの差動増幅回路22から出力された電圧を一定係数で増幅して、それぞれの主励磁コイル11に出力するX、Y側の電力増幅回路23とを有している。差動増幅回路22はオペアンプおよび抵抗などによって構成されている。
次に、図5のフローシートを参照して、制御部21を具体的に説明する。
制御部21は、測定装置10の電気系統の全体を制御するもので、例えば主励磁器13、磁束密度検出コイル17を有した磁束密度測定手段、電流検出用抵抗部18を有した磁界強度測定手段および磁束密度アナログ波形制御手段20などを、A/Dコンバータ30とD/Aコンバータ31とを介して制御する。具体的には、制御部21は、目標電圧などを記憶するストレージと、X、Y側の磁束密度検出コイル17から出力された誘起電圧から、一対の主励磁器13により励磁された電磁鋼板14のX、Y方向における磁束密度を演算する磁束密度演算部と、X、Y側の電流検出用抵抗部18によって検出された電流値から、X、Y側の主励磁器13により励磁された電磁鋼板14のX、Y方向における磁界強度を演算する磁界強度演算部とを有している。なお、A/Dコンバータ30は、各磁束密度検出コイル17により発生したアナログの誘起電圧をデジタルに変換するもので、またD/Aコンバータ31は、ストレージに記憶されたデジタルの目標電圧を磁束密度アナログ波形制御手段20へ出力する際にアナログ変換するものである。
次に、図1、図2および図5〜図7を参照して、この発明の実施例1に係る測定装置10を用いて、電磁鋼板14の磁気測定を行う方法について説明する。
まず、矩形状に切断された電磁鋼板14をケーシング16の蓋体15の上面に載置し、主励磁器13の一対の主励磁コア12と電磁鋼板14との間に閉磁路を形成する(図2)。この状態でX、Y側の主励磁コイル11に所定の交流電圧をそれぞれ印加する(図6および図7)。これにより、X、Y側の主励磁コア12では、それぞれ一方のN極側の主励磁コア12から他方のS極側の主励磁コア12に向かって磁束が発生する。この発生した磁束は、両主励磁コア12を通って各電極にそれぞれ到達し、X、Y側の磁束密度検出コイル17に誘起電圧が発生する。これらの誘起電圧はA/Dコンバータ30によりデジタル変換された後、制御部21に送られる。制御部21では、ストレージに記憶された式1を利用して、磁束密度演算部によるX、Y側の主励磁コア12の磁束密度の演算が行われる。その結果、電磁鋼板14の局部的なX、Y方向における磁束密度(B)を簡易に求めることができる。
Figure 2013124989
ここで、VBxとVByはX方向およびY方向のBコイルの誘起電圧、NBxとNByはX方向およびY方向のBコイルの巻数、SBxとSByはX方向およびY方向の主励磁コアの断面積である。
その際、電磁鋼板14が使用される実機内で発生する励磁状態を模擬するため、X、Y方向の磁束密度正弦波を制御し、前記磁束密度の測定が行われる。具体的には、制御部21のストレージに入力された磁束条件に対応した目標の電圧波形をD/Aコンバータ31を用いてアナログ変換し、それを磁束密度アナログ波形制御手段20に入力する。これにより、X、Y側の磁束密度検出コイル17の誘起電圧と目標電圧とが差動増幅回路22に入力され、この差動増幅回路22からは、入力した2つの電圧が等しくなるような電圧が出力され、それが電力増幅回路23により増幅される。その結果、磁束密度アナログ波形制御手段20では、制御部21において設定した目標電圧を1回だけ差動増幅回路22に出力すれば、磁束密度検出コイル17の誘起電圧は目標電圧と等しくなる。
従来のデジタルフィードバック制御では、A/Dコンバータ30によって制御部21に取り込まれたX、Y側の磁束密度検出コイル17の誘起電圧Vと、目標電圧Vと、1つ前の励磁電圧Vexとから、次の励磁電圧を計算し、誘起電圧Vが目標電圧Vに等しくなるまで正弦波形の修正を繰り返し行っていた。この際、1つ前の励磁電圧に基づいて次の励磁電圧が計算されるため、1回の励磁で目標電圧に制御することは不可能であった。すなわち、例えば、交番磁束条件でのベクトル磁気特性測定におけるパラメータを、磁束密度の大きさBmaxと磁束密度ベクトルの傾き角度θとし、回転磁束条件でのベクトル磁気特性測定におけるパラメータを、磁束密度の大きさBmax、磁束密度ベクトルの傾き角度θだけでなく、楕円の長軸と短軸の軸比αとする。ここで、Bmax=0.1〜1.4T(0.1T間隔)、α=0〜1(0.2間隔)、θ=0〜90(10°間隔)の測定条件を設定した場合には、条件数の合計は840となる。デジタルフィードバック制御において、1条件の磁束密度波形の修正回数を10回とすれば、合計8400回の波形を修正する必要があり、測定時間が膨大となる。
これに対して、実施例1の磁束密度アナログ波形制御手段20を利用したアナログ波形(正弦波形)制御では、差動増幅回路22に、磁束密度検出コイル17の誘起電圧Vと目標電圧Vを入力することで、差動増幅回路22からは入力された2つの電圧が等しくなるような電圧が出力される。その結果、アナログ波形制御では、制御部21で設定した目標電圧を1回だけ出力すれば、磁束密度検出コイル17の誘起電圧は目標電圧と等しくなる。すなわち、この磁束密度アナログ波形制御手段20(アナログフィードバック回路)を用いた場合、1条件の測定が1回で終了するため、上述したBmax=0.1〜1.4T(0.1T間隔)、α=0〜1(0.2間隔)、θ=0〜90(10°間隔)の測定条件を設定しても、840回の測定を行えばよく、従来のデジタルフィードバック制御に比べて、測定時間が1/10に短縮する。その結果、電磁鋼板14の局所的なX、Y方向における磁束密度を短時間で測定することができる。
また、磁束密度測定時には、X、Y側の主励磁コイル11に流れる電流(励磁電流)が、電流検出用抵抗部18により検出される。得られた検出結果は制御部21に送信され、ここで制御部21のストレージに記憶された式2を利用し、磁界強度演算部によって電磁鋼板14の局部的なX方向およびY方向における磁界強度が演算される。その結果、電磁鋼板14の局部的なX方向およびY方向における磁界強度(H)を簡易に測定することができる。
Figure 2013124989
ここで、IxとIyはX方向およびY方向の励磁電流、NxとNyはX方向およびY方向の主励磁コイルの巻数、LCXとLCYはX方向およびY方向の主励磁コアの磁路長、LGXとLGYはX方向およびY方向の主励磁コアと電磁鋼板(試験体)との間の磁路長、LSXとLSYはX方向およびY方向の電磁鋼板の磁路長である。
これらの構成によって、電磁鋼板14のベクトル磁気特性(磁束密度および磁界強度)を簡易に測定することができるとともに、装置の小型化および低コスト化を図ることができる。
次に、図8〜図10を参照して、この発明の実施例2に係る簡易ベクトル磁気特性測定装置(以下、測定装置)10Aを説明する。
図8に示すように、実施例2の測定装置10Aの特徴は、一対の主励磁コア12の長さ方向の両端部に、一対の主励磁コア12の幅方向の両側部分に主励磁コア12の表裏面を貫通する一対のスリットSを離間して形成し、かつ一対の主励磁コア12の幅方向の中間部にコイル巻回用板片32を現出させ、一対のスリットSをエナメル線であるコイルの巻き溝として、それぞれのコイル巻回用板片32のみに磁束密度検出コイル17を巻回させた点である。なお、コイル巻回用板片32は、主励磁コア12の磁極側の端部をその幅方向に向かって3等分割したときの中間部分に配置される。
このように構成したことで、電磁鋼板14の磁気特性評価領域A1が、主励磁器13の内部空間の平面視した中央部と対向する狭い領域に限定され、主励磁コア12の磁極から発生した磁束と磁気特性評価領域A1の磁束量とに差異が発生し難くなる。その結果、電磁鋼板14の局所的なX、Y方向における磁束密度の測定誤差を低減することができる(図9および図10)。
なお、実施例1の測定装置10のように、主励磁コア12の長さ方向の両端部の全域に磁束密度検出コイル17を巻回した場合、主励磁コア12から発生した磁束は、磁気特性評価領域Aのうち、磁束方向と直交する両端部で円弧形状に湾曲する(図6)。そのため、実施例2の測定装置10Aの磁気特性評価領域A1に比べて、主励磁コア12の磁極から発生した磁束と磁気特性評価領域Aの磁束量とに差異が生じ易く、磁束密度に測定誤差が発生し易くなる。
測定装置10Aのセンサ構造によれば、主励磁コア12に流れる電流から磁界強度が評価される。具体的には、主励磁コア12と電磁鋼板14とにより閉磁路が構成され、ここでは主励磁コア12の磁路長、主励磁コア12と電磁鋼板14との間の磁路長、電磁鋼板14の磁路長を含めた磁界強度が評価される(式2)。
その他の構成、作用および効果は、実施例1と同じであるため、説明を省略する。
次に、図11〜図15を参照して、この発明の実施例3に係る簡易ベクトル磁気特性測定装置(以下、測定装置)10Bを説明する。
図11〜図13に示すように、実施例3の測定装置10Bは、(1)主励磁器13の内部空間に、磁極となる長さ方向の両端部を除く部分にそれぞれ補助励磁コイル33が巻回されたU字形状に屈曲するX、Y側の一対の補助励磁コア34を、上下に離間した状態で、かつ長さ方向の両端部を2次元平面上で直交するX、Y方向に向けて十字配置するとともに、平面視してこの十字の中心部を一対の主励磁コア12の十字の中心部に一致させて主励磁器13の内部空間に、この主励磁器13と非接触状態で補助励磁器35を収納した点と、(2)磁束密度測定手段が、一対の補助励磁コア34の長さ方向の両端部にそれぞれ巻回されて、一対の主励磁コア12から発生して一対の補助励磁コア34に鎖交した磁束を検出する2対の補助磁束密度検出コイル36を有する点と、(3)磁界強度測定手段が、一対の補助励磁コイル33を流れる電流を検出する一対の電流検出用抵抗部18Aを有する点と、(4)制御部21が、2対の補助磁束密度検出コイル36からそれぞれ得られた誘起電圧に基づき、一対の補助励磁コア34から発生した磁束の磁束密度が見かけ上ゼロとなるようなアナログ制御を行う磁束ゼロアナログ制御手段37を有している点と、(5)制御部21が、主励磁器13、補助励磁器35、磁束密度測定手段、磁界強度測定手段、磁束密度アナログ波形制御手段20および磁束ゼロアナログ制御手段37とを制御する点と、(6)磁束ゼロアナログ制御手段37が、入力された補助磁束密度検出コイル36の誘起電圧とゼロ電圧との電位差から、誘起電圧がゼロとなる電圧をそれぞれの補助励磁コイル33に出力する一対の補助差動増幅回路22Aを有した点とを特徴としている。
補助励磁器35は主励磁器13より小型で、主励磁器13からの励磁電圧を利用し、X、Y側の主励磁コア12の励磁を行う。
一対の補助励磁コアは、それぞれ方向性電磁鋼板からなり、長さ方向をX方向に向けたX側の補助励磁コア34と、長さ方向をY方向に向けたY側の補助励磁コア34とからなる。X、Y側の補助励磁コア34は、薄板を重ね合わせた多層式のものである。これらの補助励磁コア34は、その長さ方向の両端部が磁極となっている。
補助励磁器35を主励磁器13の内部空間に収納する際には、主励磁器13のX、Y側の主励磁コア12の平面視した中心点aと、補助励磁器35のX、Y側の補助励磁コア34の平面視した中心点bとが重なるように配置される(図12)。また、両主励磁コア12の磁極の端面と両補助励磁コア34の磁極の端面とは、それぞれの高さが、一対の主励磁コア12の各磁極の端面と同一の水平面上に配置される。
X、Y側の補助励磁コア34上での補助励磁コイル33の巻回位置は、U字形状の補助励磁コア34の長さ方向の中間部である。補助励磁コイル33としては、外径が0.4mmのエナメル線が採用されている。これにより、補助励磁コイル33は巻き数が増えても嵩張りにくく、結果として主励磁器13の小型化が図れる。
両補助励磁コア34の長さ方向の両側部には、2対の補助励磁コイル33がそれぞれ所定の巻数で巻き付けられている。具体的には、例えばX側の一対の補助励磁コイル33は、外径が0.2mmの1本のエナメル線をX側の補助励磁コア34の長さ方向の一端部に所定巻数だけ巻回した後、さらにエナメル線の先部を外方へ延出し、X側の補助励磁コア34の他方に屈曲した側部に、所定の巻数だけ巻回している。なお、図11では、便宜上、1本のエナメル線により構成された一対のX側の補助励磁コイル33を、X側の補助励磁コア34の長さ方向の中間部に、一纏めに巻き付けている。また、X側の補助励磁コア34の長さ方向の中間部から導出されたエナメル線には、X側の補助励磁コイル33を流れる電流を検出するX側の電流検出用抵抗部(電流検出部)18Aが接続されている。図示しないものの、一対のY側の補助励磁コイル33と、Y側の補助励磁コア34との関係も同様である。また、Y側の補助励磁コア34から導出されたエナメル線には、Y側の補助励磁コイル33を流れる電流を検出するY側の電流検出用抵抗部(電流検出部)18Aが接続されている。X、Y側の補助励磁コア34の幅は、X、Y側のコイル巻回用板片32の幅と同一としている。
次に、図11〜図15を参照して、この発明の実施例3に係る測定装置10Bを用いて、電磁鋼板14の磁気測定を行う方法について説明する。
まず、矩形状に切断された電磁鋼板14をケーシング16の蓋体15の上面に載置し、主励磁器13の一対の主励磁コア12と補助励磁器35の一対の補助励磁コア34と電磁鋼板14との間に閉磁路を形成する。この状態で一対の主励磁コイル11に電圧を印加することで、両主励磁コア12から発生した磁束が、両主励磁コア12を通って各電極にそれぞれ到達し、2対の磁束密度検出コイル17に誘起電圧が発生する。これらの誘起電圧は、A/Dコンバータ30によりデジタル変換された後、制御部21に送られ、ここで式1を利用した誘起電圧の演算がなされる。これにより、電磁鋼板14の局部的なX、Y方向における磁束密度が簡易に求められる。
また、磁界強度の測定にあっては、仮に小型の簡易ベクトル磁気特性測定装置を使用したり、高い磁束密度条件で磁気特性を測定した場合には、主励磁コア12内の磁束密度が増加し、主励磁コア12の磁気損失も増加してしまうことになる。そのため、測定した励磁電流には、電磁鋼板14だけでなく主励磁コア12の磁気特性の影響が含まれる。そこで、実施例3ではこの問題を磁束ゼロアナログ制御手段37を用いた磁束ゼロ制御により解消している。すなわち、補助差動増幅回路22Aには、一方の入力端子に補助磁束密度検出コイル36からの出力電圧を入力し、他方の入力端子にゼロ電圧を入力する。補助差動増幅回路22Aは、入力した2つの電圧が等しくなるような電圧を出力するため、その出力端子から電圧を電力増幅回路23Aにより増幅して一対の補助励磁コイル33に送る。これにより、それぞれの補助励磁コイル33は、補助磁束密度検出コイル36の誘起電圧が見かけ上ゼロとなるような補助励磁コア34の励磁を行う。この状態で、補助励磁コイル33に流れる励磁電流を測定する。これにより、補助励磁コア34の磁気特性の影響を受けず、電磁鋼板14の局所的なX、Y方向の磁界強度を測定することができる。
Figure 2013124989
ここで、IxとIyはX方向およびY方向の励磁電流、NxとNyはX方向およびY方向の補助励磁コイルの巻数、LSxとLSyはX方向およびY方向の電磁鋼板の磁路長である。
前記式2では、磁界強度を算出する際、主励磁コア12の磁路長、主励磁コア12と電磁鋼板14との間の磁路長を含んでいたが、補助励磁コア34および別途アナログ回路を使用することで、電磁鋼板14の磁路長のみによって磁界強度を評価することができる。そのため、測定した磁界強度には、主励磁コア12の磁路長、補助励磁コア34の磁路長、電磁鋼板14と補助励磁コア34との間の磁路長がそれぞれ含まれておらず、磁界強度の測定精度を改善することができる。
すなわち、測定装置10Bのセンサ構造では、主励磁コア12により励磁を行い、補助励磁コア34に流れる電流から磁界強度を評価する。主励磁コア12と電磁鋼板14とにより閉磁路が構成されると同時に、補助励磁コア34を設置することで、主励磁コア12の漏れ磁束が補助励磁コア34を通り、補助励磁コア34と電磁鋼板14とにより閉磁路が形成される。その際、補助励磁コア34の補助励磁コイル36を使用し、補助励磁コア34に鎖交した磁束を打ち消すように励磁を行うことによって、強制的に補助励磁コア34の磁束をゼロにする。補助励磁コア34と電磁鋼板14との閉磁路に着目すると、補助励磁コア34の磁束がゼロであるため、電磁鋼板14の磁路長のみから磁界強度を算出可能となり、測定精度を改善することができる(式3)。
その他の構成、作用および効果は、実施例2から推測可能な範囲であるため、説明を省略する。
10、10A、10B 簡易ベクトル磁気特性測定装置、
11 主励磁コイル、
12 主励磁コア、
13 主励磁器、
14 電磁鋼板、
17 磁束密度検出コイル(磁束密度測定手段)
18、18A 電流検出用抵抗部(電流検出部、磁界強度測定手段)、
20 磁束密度アナログ波形制御手段、
21 制御部、
22 差動増幅回路、
22A 補助差動増幅回路
32 コイル巻回用板片、
33 補助励磁コイル
34 補助励磁コア
35 補助励磁器、
36 補助磁束密度検出コイル(磁束密度測定手段)
37 磁束ゼロアナログ制御手段、
S スリット。

Claims (3)

  1. 磁極となる長さ方向の両端部を除く部分にそれぞれ主励磁コイルが巻回され、かつU字形状に屈曲した一対の主励磁コアを、上下に離間した状態で、前記長さ方向の両端部を2次元平面上で直交するX、Y方向に向けて十字配置した主励磁器と、
    前記一対の主励磁コアの長さ方向の両端部にそれぞれ巻回されて前記一対の主励磁コアの磁束密度を検出する2対の磁束密度検出コイルを有し、かつ前記主励磁器により励磁された電磁鋼板の前記X、Y方向における磁束密度を測定する磁束密度測定手段と、
    前記それぞれの主励磁コイルを流れる電流を検出する一対の電流検出部を有し、かつ前記主励磁器により励磁された前記電磁鋼板のX、Y方向における磁界強度を測定する磁界強度測定手段と、
    前記2対の磁束密度検出コイルからそれぞれ得られた誘起電圧に基づき、前記それぞれの主励磁コアから発生した磁束の磁束密度波形が、目標の磁束密度波形となるようにアナログ波形で制御する磁束密度アナログ波形制御手段と、
    前記主励磁器、前記磁束密度測定手段、前記磁界強度測定手段および前記磁束密度アナログ波形制御手段をそれぞれ制御する制御部とを備え、
    前記磁束密度アナログ波形制御手段は、入力された前記磁束密度検出コイルの誘起電圧と制御目標となる目標電圧との電位差から、前記誘起電圧と前記目標電圧とが等しくなる電圧を前記それぞれの主励磁コイルに出力する一対の差動増幅回路を有した簡易ベクトル磁気特性測定装置。
  2. 前記一対の主励磁コアの長さ方向の両端部には、該一対の主励磁コアの幅方向の両側部分に前記主励磁コアの表裏面を貫通する一対のスリットを離間して形成することで、前記一対の主励磁コアの幅方向の中間部にコイル巻回用板片を形成し、
    前記磁束密度検出コイルは、前記それぞれのコイル巻回用板片のみに巻回された請求項1に記載の簡易ベクトル磁気特性測定装置。
  3. 磁極となる長さ方向の両端部を除く部分にそれぞれ主励磁コイルが巻回され、かつU字形状に屈曲した一対の主励磁コアを、上下に離間した状態で、前記長さ方向の両端部を2次元平面上で直交するX、Y方向に向けて十字配置した主励磁器と、
    磁極となる長さ方向の両端部を除く部分にそれぞれ補助励磁コイルが巻回されたU字形状に屈曲する一対の補助励磁コアを、上下に離間した状態で、かつ前記長さ方向の両端部を2次元平面上で直交するX、Y方向に向けて十字配置するとともに、平面視してこの十字の中心部を前記一対の主励磁コアの十字の中心部に一致させて前記主励磁器の内部空間に、該主励磁器と非接触状態で収納される補助励磁器と、
    前記一対の主励磁コアの長さ方向の両端部にそれぞれ巻回されて前記一対の主励磁コアの磁束密度を検出する2対の磁束密度検出コイルを有するとともに、前記一対の補助励磁コアの長さ方向の両端部にそれぞれ巻回されて、前記一対の主励磁コアから発生して前記一対の補助励磁コアに鎖交した磁束を検出する2対の補助磁束密度検出コイルを有し、かつ前記主励磁器により励磁された電磁鋼板の前記X、Y方向における磁束密度を測定する磁束密度測定手段と、
    前記それぞれの補助励磁コイルを流れる電流を検出する一対の電流検出部を有し、かつ前記主励磁器により励磁された前記電磁鋼板のX、Y方向における磁界強度を測定する磁界強度測定手段と、
    前記2対の磁束密度検出コイルからそれぞれ得られた誘起電圧に基づき、前記一対の主励磁コアから発生した磁束の磁束密度波形が、目標の磁束密度波形となるようにアナログ波形を利用して制御する磁束密度アナログ波形制御手段と、
    前記2対の補助磁束密度検出コイルからそれぞれ得られた誘起電圧に基づき、前記一対の補助励磁コアから発生した磁束の磁束密度が見かけ上ゼロとなるようなアナログ制御を行う磁束ゼロアナログ制御手段と、
    前記主励磁器、前記補助励磁器、前記磁束密度測定手段、前記磁界強度測定手段、前記磁束密度アナログ波形制御手段および前記磁束ゼロアナログ制御手段を制御する制御部とを備え、
    前記磁束密度アナログ波形制御手段は、入力された前記磁束密度検出コイルの誘起電圧と制御目標となる目標電圧との電位差から、前記誘起電圧と前記目標電圧とが等しくなる電圧を前記それぞれの主励磁コイルに出力する一対の差動増幅回路を有し、
    前記磁束ゼロアナログ制御手段は、入力された前記補助磁束密度検出コイルの誘起電圧とゼロ電圧との電位差から、前記誘起電圧がゼロとなる電圧を前記それぞれの補助励磁コイルに出力する一対の補助差動増幅回路を有した簡易ベクトル磁気特性測定装置。
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