JP2018179660A - 磁化測定装置及び磁化測定方法 - Google Patents

磁化測定装置及び磁化測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被測定試料の磁化を高精度で測定することができ、被測定試料に印加された磁界の強度を高精度で測定することができる磁化測定装置を提供する。【解決手段】磁化測定装置に備えられた測定部は、同心円状に設けられたコイル51、52、53及び54と、磁化測定部55と、磁界測定部56と、を有する。磁化測定部55は、コイル51の誘導起電力の絶対値とコイル52の誘導起電力の絶対値との差分値に基づいて、磁性体の磁化を測定する。磁界測定部56は、コイル53の誘導起電力の絶対値とコイル54の誘導起電力の絶対値との差分値に基づいて、磁界の強度を測定する。コイル51の厚さTH1、コイル52の厚さTH2、コイル53の厚さTH3、及び、コイル54の厚さTH4は、いずれも7mm未満である。【選択図】図2

Description

本発明は、磁化測定装置及び磁化測定方法に関するものである。
永久磁石等の磁性体よりなる被測定試料の飽和磁化、残留磁束密度又は保磁力等を評価するために、被測定試料の磁化−磁界曲線(J−H曲線)が測定される。このようなJ−H曲線の測定方法として、励磁コイルにより磁界を掃引しながら印加して被測定試料を磁化させ、被測定試料の周りに巻回された検出コイルに生じる誘導起電力から磁化を求める方法がある。
特開2013−50390号公報(特許文献1)には、永久磁石の磁気特性を測定するための磁気特性測定センサーにおいて、永久磁石の磁束密度を測定するためのBコイルと、永久磁石の磁界強度の測定に用いるHコイル及び/又は永久磁石の磁化の測定に用いるMコイルとを、永久磁石の周囲に同軸上に巻回した技術が開示されている。
一方、例えばネオジウム鉄ホウ素(NdFeB)磁石等の飽和磁化の大きな永久磁石よりなる被測定試料を磁気飽和させてJ−H曲線を測定する場合には、例えば鉄芯と電磁石を用いた閉磁気回路法では、被測定試料を磁気飽和させるために十分な強度の磁界を印加することができない。このような場合には、被測定試料にパルス磁界を印加してJ−H曲線を測定する。
特開2016−95264号公報(特許文献2)には、高磁界パルス励磁型磁気特性評価装置において、試料を一対の試料押さえ棒で挟んだ状態で、試料の周りに設けたコイルに磁界を印加して、試料の磁気特性を測定する技術が開示されている。
特開2013−50390号公報 特開2016−95264号公報
しかし、励磁コイルにより磁界を掃引しながら印加して被測定試料を磁化させ、被測定試料の周りに巻回された検出コイルに生じる誘導起電力から磁化を求める場合、以下のような問題がある。
例えば磁界を掃引しながら印加する際に被測定試料内に発生する渦電流の影響が無視できなくなる。或いは、被測定試料の周辺に強磁性金属よりなるヨークを設けることができない場合、被測定試料の周辺での反磁界の影響が大きくなる。或いは、磁化を検出するコイルと磁界の強度を検出するコイルとが、印加される磁界に沿った方向において互いに間隔を空けて配置されている場合、測定される磁界が被測定試料に実際に印加されている磁界と一致しなくなる。或いは、磁界の強度を検出するコイルが被測定試料の磁化の影響を受け、測定される磁界の強度が被測定試料に実際に印加されている磁界と一致しなくなる。そのため、被測定試料の磁化を高精度で測定することができず、被測定試料に印加された磁界の強度を高精度で測定することができない。
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、被測定試料の磁化を高精度で測定することができ、被測定試料に印加された磁界の強度を高精度で測定することができる磁化測定装置を提供することを目的とする。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明の一態様としての磁化測定装置は、磁性体の磁化を測定する磁化測定装置である。当該磁化測定装置は、第1方向に延在する第1軸上に磁性体を保持する保持部と、保持部に保持されている磁性体に第1方向の第1磁界を印加する印加部と、印加部により印加される第1磁界を掃引する掃引部と、を備えている。また、当該磁化測定装置は、第1磁界を掃引部により掃引しながら印加部により磁性体に第1磁界を印加する際に、磁性体の磁化及び第1磁界の強度を測定する測定部を備えている。測定部は、第1軸の周りに、保持部に保持されている磁性体を囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第1誘導起電力を発生する第1コイルと、第1軸の周りに、第1コイルを囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第2誘導起電力を発生する第2コイルと、を有する。また、測定部は、第1軸の周りに、第2コイルを囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第3誘導起電力を発生する第3コイルと、第1軸の周りに、第3コイルを囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第4誘導起電力を発生する第4コイルと、を有する。また、測定部は、第1誘導起電力の絶対値と第2誘導起電力の絶対値との差分である第1差分値に基づいて、保持部に保持されている磁性体の磁化を測定する磁化測定部と、第3誘導起電力の絶対値と第4誘導起電力の絶対値との差分である第2差分値に基づいて、第1磁界の強度を測定する磁界測定部と、を有する。第1コイルの巻き数をNとし、第2コイルの巻き数をNとし、第3コイルの巻き数をNとし、第4コイルの巻き数をNとし、第1コイルの第1軸に垂直な断面の面積をSとし、第2コイルの第1軸に垂直な断面の面積をSとしたとき、(N×S−N×S)/(N×S)の絶対値が0.02以下であり、(N−N)/Nの絶対値が0.02以下である。第1コイルの第1部分、第2コイルの第2部分、第3コイルの第3部分、及び、第4コイルの第4部分は、第1方向において、互いに同じ位置に配置されている。そして、第1方向における第1コイルの第1厚さ、第1方向における第2コイルの第2厚さ、第1方向における第3コイルの第3厚さ、及び、第1方向における第4コイルの第4厚さは、いずれも7mm未満であるか、又は、いずれも保持部に保持されている磁性体の第1方向における第5厚さよりも薄い。
また、本発明の一態様としての磁化測定方法は、磁性体の磁化を測定する磁化測定方法である。当該磁化測定方法は、第1方向に延在する第1軸上に、保持部により磁性体を保持する(a)ステップと、保持部に保持されている磁性体に、第1方向の第1磁界を、印加部により印加する(b)ステップと、を備えている。また、当該磁化測定方法は、印加部により印加される第1磁界を掃引部により掃引しながら(b)ステップを行う(c)ステップと、(c)ステップを行う際に、磁性体の磁化及び第1磁界の強度を、測定部により測定する(d)ステップと、を備えている。測定部は、第1軸の周りに、保持部に保持されている磁性体を囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第1誘導起電力を発生する第1コイルと、第1軸の周りに、第1コイルを囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第2誘導起電力を発生する第2コイルと、を有する。また、測定部は、第1軸の周りに、第2コイルを囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第3誘導起電力を発生する第3コイルと、第1軸の周りに、第3コイルを囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第4誘導起電力を発生する第4コイルと、を有する。また、測定部は、第1誘導起電力の絶対値と第2誘導起電力の絶対値との差分である第1差分値に基づいて、保持部に保持されている磁性体の磁化を測定する磁化測定部と、第3誘導起電力の絶対値と第4誘導起電力の絶対値との差分である第2差分値に基づいて、第1磁界の強度を測定する磁界測定部と、を有する。第1コイルの巻き数をNとし、第2コイルの巻き数をNとし、第3コイルの巻き数をNとし、第4コイルの巻き数をNとし、第1コイルの第1軸に垂直な断面の面積をSとし、第2コイルの第1軸に垂直な断面の面積をSとしたとき、(N×S−N×S)/(N×S)の絶対値が0.02以下であり、(N−N)/Nの絶対値が0.02以下である。第1コイルの第1部分、第2コイルの第2部分、第3コイルの第3部分、及び、第4コイルの第4部分は、第1方向において、互いに同じ位置に配置されている。そして、第1方向における第1コイルの第1厚さ、第1方向における第2コイルの第2厚さ、第1方向における第3コイルの第3厚さ、及び、第1方向における第4コイルの第4厚さは、いずれも7mm未満であるか、又は、いずれも保持部に保持されている磁性体の第1方向における第5厚さよりも薄い。
本発明の一態様を適用することで、磁性体よりなる被測定試料の磁化を測定する磁化測定装置において、被測定試料の磁化を高精度で測定することができ、被測定試料に印加された磁界の強度を高精度で測定することができる。
実施の形態の磁化測定装置の全体構成を示す一部断面を含むブロック図である。 実施の形態の磁化測定装置のうち被測定試料及びその周辺に配置された部分を模式的に示す図である。 比較例の磁化測定装置のうち励磁コイル及びその周辺に配置された部分を模式的に示す一部断面を含む図である。 励磁コイルがパルス磁界を印加する場合の励磁電源の構成の一例を示す回路図である。 励磁コイルがパルス磁界を印加する際に被測定試料に印加される磁界の強度の時間依存性を模式的に示すグラフである。 被測定試料の磁化ヒステリシス曲線を模式的に示すグラフである。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
また本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
更に、実施の形態で用いる図面においては、構造物を区別するために付したハッチング(網掛け)を図面に応じて省略する場合もある。
なお、以下の実施の形態においてA〜Bとして範囲を示す場合には、特に明示した場合を除き、A以上B以下を示すものとする。
(実施の形態)
<磁化測定装置>
初めに、本発明の一実施形態である実施の形態の磁化測定装置について説明する。本実施の形態の磁化測定装置は、磁性体よりなる被測定試料の磁化を測定する磁化測定装置である。
図1は、実施の形態の磁化測定装置の全体構成を示す一部断面を含むブロック図である。図2は、実施の形態の磁化測定装置のうち被測定試料及びその周辺に配置された部分を模式的に示す図である。
図1に示すように、本実施の形態の磁化測定装置11は、保持部12と、印加部13と、掃引部14と、測定部15と、制御部16と、を備えている。保持部12は、例えば鉛直方向である方向DR1に延在する軸AX1上に、磁性体よりなる被測定試料MS1を保持する。印加部13は、保持部12に保持されている被測定試料MS1に、方向DR1の磁界MF1を印加する。掃引部14は、印加部13により印加される磁界MF1を掃引する。測定部15は、磁界MF1を掃引部14により掃引しながら印加部13により被測定試料MS1に磁界MF1を印加する際に、被測定試料MS1の磁化及び磁界MF1の強度を測定する。制御部16は、掃引部14による掃引、及び、測定部15による測定を、制御する。なお、測定部15の詳細については、後述する。
好適には、本実施の形態の磁化測定装置11に備えられた保持部12は、軸AX1に沿って、即ち方向DR1に延在し、且つ、筒状形状を有する筒状部材21と、柱状形状をそれぞれ有し、且つ、筒状部材21中で被測定試料MS1を上下から挟持する上側部材22及び下側部材23と、を有する。保持部12が、このような構成を有することにより、被測定試料MS1を軸AX1上に保持して固定することができる。
また、筒状部材21は、円筒形状を有することがより好ましく、上側部材22及び下側部材23は、円柱形状を有することがより好ましい。保持部12がこのような構成を有することにより、円柱形状を有する被測定試料MS1を、軸AX1上に、軸AX1を中心として軸対称に配置することができる。
好適には、印加部13は、軸AX1の周りに、被測定試料MS1を囲むように巻回され、且つ、方向DR1に延在する円筒形状を有する励磁コイル31を有する。これにより、保持部12に保持されている被測定試料MS1に、方向DR1の磁界MF1を印加することができる。
好適には、掃引部14は、励磁コイル31に接続され、且つ、励磁コイル31に電流を流す励磁電源41と、励磁電源41が励磁コイル31に流す電流を掃引することにより、励磁コイル31が発生する磁界を掃引する制御盤42と、を有する。
好適には、測定部15は、コイル51と、コイル52と、コイル53と、コイル54と、磁化測定部55と、磁界測定部56と、を有する。即ち、測定部15は、コイル51、52、53及び54の4つのコイルを有する。配置の詳細については後述するものの、コイル51、52、53及び54は、軸AX1の周りに、軸AX1を中心として同心円状に配置されている。また、動作の詳細については後述するが、磁化測定部55は、コイル51及び52の各々の誘導起電力に基づいて、保持部12に保持されている被測定試料MS1の磁化を測定し、磁界測定部56は、コイル53及び54の各々の誘導起電力に基づいて、磁界MF1の強度を測定する。
好適には、制御部16は、パーソナルコンピュータ61を有する。パーソナルコンピュータ61は、制御盤42に接続されている。パーソナルコンピュータ61に含まれる例えば中央演算装置(Central Processing Unit:CPU)等よりなる演算部が、パーソナルコンピュータ61に含まれる例えばメモリ等よりなる記憶部に記憶されたプログラムを実行し、制御盤42を制御することにより、励磁コイル31が発生する磁界を掃引する。
次に、本実施の形態の磁化測定装置11が備えた測定部15について、比較例の磁化測定装置が備えた測定部と比較しながら説明する。図3は、比較例の磁化測定装置のうち励磁コイル及びその周辺に配置された部分を模式的に示す一部断面を含む図である。
図3に示すように、比較例の磁化測定装置111は測定部115を備えており、測定部115は、コイル151と、コイル152と、磁化測定部153と、磁界測定部154と、を有する。即ち、測定部115は、コイル151及び152の2つのコイルを有する。また、磁化測定部153は、コイル151の誘導起電力の絶対値とコイル152の誘導起電力の絶対値との差分である差分値に基づいて、保持部12に保持されている被測定試料MS1の磁化を測定し、磁界測定部154は、コイル152の誘導起電力に基づいて、磁界MF1の強度を測定する。なお、比較例の磁化測定装置111も、実施の形態の磁化測定装置11と同様に、保持部12と、印加部13と、を備えている。
比較例の磁化測定装置111では、コイル151は、軸AX1の周りに、保持部12に保持されている被測定試料MS1を囲むように巻回され、鎖交する磁束の変化により誘導起電力を発生する。しかし、コイル152は、コイル151と同様に、軸AX1の周りに巻回され、鎖交する磁束の変化により誘導起電力を発生するものの、コイル151とは異なり、保持部12に保持されている被測定試料MS1を囲むように巻回されてはいない。即ち、コイル151とコイル152とは、軸AX1に沿って、即ち方向DR1において、互いに間隔を空けて配置されている。
比較例の磁化測定装置111では、磁化測定部153は、磁界MF1を掃引しながら印加する際のコイル151の誘導起電力の絶対値とコイル152の誘導起電力の絶対値との差分である差分値に基づいて、保持部12に保持されている被測定試料MS1の磁化を測定する。
しかし、比較例の磁化測定装置111では、被測定試料MS1が永久磁石の材料である例えば強磁性金属よりなる場合、被測定試料MS1の電気抵抗が小さいため、磁界を掃引しながら印加する際に被測定試料MS1内に発生する渦電流の影響が無視できなくなる。そのため、磁化測定部153により測定される磁化が、被測定試料MS1の真の磁化の値からずれる、という問題がある。
或いは、被測定試料MS1の周辺に強磁性金属よりなるヨークを設けることができない場合、被測定試料MS1の周辺で形成される磁気回路が、所謂開磁気回路となり、被測定試料MS1の周辺での反磁界の影響が大きくなり、磁化測定部153により測定される磁化の値が、被測定試料MS1の真の磁化の値からずれる、という問題がある。
或いは、励磁コイル31の内部では、方向DR1における互いに異なる位置間での、磁界の強度が不均一になりやすい。そのため、コイル151とコイル152とが、方向DR1において互いに間隔を空けて配置されている場合、コイル152により測定される磁界の強度が、被測定試料MS1に実際に印加されている磁界MF1の強度と一致しなくなる。従って、磁化測定部153により測定される磁化の値が、磁界測定部154により測定された磁界の強度に対応した磁化の値からずれる、という問題がある。
或いは、被測定試料MS1の磁化により発生する磁束の一部がコイル152と鎖交することにより、コイル152に印加された磁界の強度が、励磁コイル31により印加された磁界の強度と一致しなくなる。即ち、コイル152が被測定試料MS1の影響を受ける。そのため、磁化測定部153により測定される磁化の値が、磁界測定部154により測定された磁界の強度に対応した磁化の値からずれる、という問題がある。
比較例の磁化測定装置111では、コイル151とコイル152とが、方向DR1において互いに間隔を空けて配置されているため、コイル152により測定される磁界の強度が、被測定試料MS1に実際に印加されている磁界MF1の強度と一致しなくなる。このような場合であって、且つ、被測定試料MS1の磁化が、磁化を測定するためのコイル151の誘導起電力の絶対値と磁界の強度を測定するためのコイル152の誘導起電力の絶対値との差分である差分値に基づいて測定される場合には、測定された被測定試料MS1の磁化が、磁界測定部154により測定された磁界の強度に対応した磁化の値から更にずれやすくなる。
一方、前述したように、本実施の形態の磁化測定装置11では、測定部15は、コイル51、52、53及び54の4つのコイルを有し、コイル51、52、53及び54は、軸AX1の周りに、軸AX1を中心として同心円状に配置されている。
コイル51は、軸AX1の周りに、保持部12に保持されている被測定試料MS1を囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により誘導起電力を発生する。コイル52は、軸AX1の周りに、コイル51を囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により誘導起電力を発生する。コイル53は、軸AX1の周りに、コイル52を囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により誘導起電力を発生する。コイル54は、軸AX1の周りに、コイル53を囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により誘導起電力を発生する。
磁化測定部55は、コイル51の誘導起電力の絶対値とコイル52の誘導起電力の絶対値との差分である差分値に基づいて、保持部12に保持されている被測定試料MS1の磁化を測定する。磁界測定部56は、コイル53の誘導起電力の絶対値とコイル54の誘導起電力の絶対値との差分である差分値に基づいて、磁界MF1の強度を測定する。
コイル51及び52については、コイル51の巻き数をNとし、コイル52の巻き数をNとし、コイル51の軸AX1に垂直な断面の面積をSとし、コイル52の軸AX1に垂直な断面の面積をSとしたとき、コイル51及び52の各々の巻き数と断面の面積との積が、N×S=N×Sを満たすようにする。
なお、コイル51の軸AX1に垂直な断面の面積とは、コイル51の導線(巻線)の中心が作る円の内側の面積、或いは、コイル51の中心から導線(巻線)の内端(導線のコイル中心側の側面)までの距離と、導線(巻線)の半径と、の和、を半径とする円の面積、を意味する。コイル52、53及び54についても、同様である。
また、N×SがN×Sと完全に等しくなくてもよく、N×SがN×Sと略等しければよい。従って、(N×S−N×S)/(N×S)の絶対値が0.02以下(2%以下)であればよい。これにより、N×SをN×Sと略等しくすることができる。或いは、(N×S−N×S)/(N×S)の絶対値が0.02以下であってもよく、2×(N×S−N×S)/(N×S+N×S)の絶対値が0.02以下であってもよい。なお、絶対値が0.02以下であるとは、絶対値が0であるか、又は、絶対値が0よりも大きく、且つ、0.02以下であることを意味する。
また、被測定試料MS1の磁気モーメントをMとし、磁界MF1の強度をHとし、コイル51が検出する磁束密度をBとし、コイル52が検出する磁束密度をBとしたとき、磁束密度B及びBは、被測定試料MS1の磁気モーメントMと磁界Hとの和に比例するので、以下の数式(数1)で表される。
Figure 2018179660
ここで、コイル51に鎖交する磁束をφとし、コイル52に鎖交する磁束をφとし、被測定試料MS1の軸AX1に垂直な断面の面積をSとしたとき、磁束φは、以下の数式(数2)で表され、磁束φは、以下の数式(数3)で表される。
Figure 2018179660
Figure 2018179660
また、コイル51の誘導起電力である誘起電圧をeJAとし、コイル52の誘導起電力である誘起電圧をeJBとし、コイル51とコイル52とを反直列に接続したときのコイル51及び52の誘導起電力である誘起電圧をeとしたとき、誘起電圧eは、以下の数式(数4)で表される。
Figure 2018179660
数式(数4)に示すように、N×SがN×Sと略等しい場合には、誘起電圧eは、磁界Hには影響を受けず、被測定試料MS1の磁気モーメントMにのみ影響を受ける。従って、誘起電圧eを時間積分することにより、磁気モーメントMを得ることができる。磁気モーメントMは、以下の数式(数5)で表される。
Figure 2018179660
また、被測定試料MS1の体積をVとしたとき、磁気モーメントMを被測定試料MS1の体積Vで割ることにより、磁化Jを求めることができる。磁化Jは、以下の数式(数6)で表される。
Figure 2018179660
一方、コイル53及び54については、コイル53の巻き数をNとし、コイル54の巻き数をNとしたとき、コイル53及び54の各々の巻き数が、N=Nを満たすようにする。
また、NがNと完全に等しくなくてもよく、NがNと略等しければよい。従って、(N−N)/Nの絶対値が0.02以下(2%以下)であればよい。これにより、NをNと略等しくすることができる。或いは、(N−N)/Nの絶対値が0.02以下であってもよく、2×(N−N)/(N+N)の絶対値が0.02以下であってもよい。
また、コイル53が検出する磁束密度をBとし、コイル54が検出する磁束密度をBとしたとき、磁束密度B及びBは、被測定試料MS1の磁気モーメントMと磁界Hとの和に比例するので、以下の数式(数7)で表される。
Figure 2018179660
ここで、コイル53の軸AX1に垂直な断面の面積をSとし、コイル54の軸AX1に垂直な断面の面積をSとし、コイル53に鎖交する磁束をφとし、コイル54に鎖交する磁束をφとしたとき、磁束φは、以下の数式(数8)で表され、磁束φは、以下の数式(数9)で表される。
Figure 2018179660
Figure 2018179660
また、コイル53の誘導起電力である誘起電圧をeHCとし、コイル54の誘導起電力である誘起電圧をeHDとし、コイル53とコイル54とを反直列に接続したときのコイル53及び54の誘導起電力である誘起電圧をeとしたとき、誘起電圧eは、以下の数式(数10)で表される。
Figure 2018179660
数式(数10)に示すように、NがNと略等しい場合には、誘起電圧eは、被測定試料MS1の磁気モーメントMには影響を受けず、磁界Hにのみ影響を受ける。従って、誘起電圧eを時間積分することにより、磁界Hを得ることができる。磁界Hは、以下の数式(数11)で表される。
Figure 2018179660
図2に示すように、本実施の形態の磁化測定装置11では、コイル51の部分PR1、コイル52の部分PR2、コイル53の部分PR3、及び、コイル54の部分PR4は、方向DR1において、互いに同じ位置PS1に配置されている。これにより、コイル51、52、53及び54を、互いに同一の平面PL1上に配置することができる。
本実施の形態の磁化測定装置11では、方向DR1におけるコイル51の厚さTH1、方向DR1におけるコイル52の厚さTH2、方向DR1におけるコイル53の厚さTH3、及び、方向DR1におけるコイル54の厚さTH4は、いずれも保持部12(図1参照)に保持されている被測定試料MS1の方向DR1における厚さTHSよりも薄い。
ここで、厚さTHSが7mmである場合を考える。これは、日本電子材料工業会標準規格EMAS−7007のパルス磁界を用いた永久磁石測定方法において、印加される磁界に沿った方向における試験片の長さ、即ち印加される磁界MF1に沿った方向における被測定試料MS1の長さが7mmであることによる。
このような場合には、コイル51の厚さTH1、コイル52の厚さTH2、コイル53の厚さTH3、及び、コイル54の厚さTH4は、いずれも7mm未満である。これにより、コイル51、52、53及び54の各々の厚さを、日本電子材料工業会標準規格EMAS−7007のパルス磁界を用いた永久磁石測定方法により7mmと規定された試験片、即ち被測定試料MS1の方向DR1における厚さTHSよりも薄くすることができる。
このように、本実施の形態の磁化測定装置11では、方向DR1における厚さが薄いコイル51、52、53及び54を用いる。これにより、コイル51及び52に、方向DR1での被測定試料MS1の中心位置における磁束を鎖交させることができ、コイル51及び52の各々の誘起電圧に基づいて、被測定試料MS1の磁化を高精度で測定することができる。また、コイル53及び54に、方向DR1での被測定試料MS1の中心位置における磁界を印加することができ、コイル53及び54の各々の誘起電圧に基づいて、被測定試料MS1に印加されている磁界MF1の強度を高精度で測定することができる。
磁界を掃引しながら印加する際に被測定試料MS1内に流れる渦電流は、被測定試料MS1の方向DR1における中央部よりも、被測定試料MS1の方向DR1における両端部、即ち被測定試料MS1の上端部又は下端部に流れる。前述した比較例の磁化測定装置111では、方向DR1におけるコイル151の厚さTH101は、方向DR1における被測定試料MS1の厚さTHSよりも厚い。そのため、コイル151の誘導起電力に対する、被測定試料MS1の上端部又は下端部に流れる渦電流の影響が無視できないほど大きくなる。
一方、本実施の形態の磁化測定装置11では、コイル51の厚さTH1、コイル52の厚さTH2、コイル53の厚さTH3、及び、コイル54の厚さTH4は、いずれも方向DR1における被測定試料MS1の厚さTHSよりも薄い。そのため、コイル51及び52の各々の誘導起電力の絶対値の差分である誘起電圧eに対する、被測定試料MS1の上端部又は下端部に流れる渦電流の影響が無視できるほど小さくなる。従って、磁化測定部55により測定される磁化の値を、被測定試料MS1の真の磁化の値に近づけることができる。
また、本実施の形態の磁化測定装置11では、厚さTH1、TH2、TH3及びTH4は、いずれも厚さTHSよりも薄い。そのため、コイルの厚さに対して被測定試料MS1の厚さが相対的に厚くなって被測定試料MS1の周辺での反磁界の影響が小さくなる。従って、磁化測定部55により測定される磁化の値を、被測定試料MS1の真の磁化の値に近づけることができる。
また、本実施の形態の磁化測定装置11では、コイル51、52、53及び54が、互いに同一の平面PL1上に配置されている。これにより、コイル51、52、53及び54の各々に印加される磁界の強度が互いに等しくなる。そのため、磁化測定部55により測定される磁化の値を、磁界測定部56により測定された磁界の強度に対応した磁化の値に近づけることができる。
また、本実施の形態の磁化測定装置11では、NをNと略等しくすることにより、コイル53及び54の誘起電圧eは、被測定試料MS1の磁気モーメントMには影響を受けず、磁界Hにのみ影響を受ける。そのため、コイル53及び54により測定される磁界の強度が、被測定試料MS1に実際に印加されている磁界MF1の強度と等しくなる。従って、磁化測定部55により測定される磁化の値を、磁界測定部56により測定された磁界の強度に対応した磁化の値に近づけることができる。
また、本実施の形態の磁化測定装置11では、被測定試料MS1の磁化を、磁界を測定する回路である磁界測定部56と別に設けられた回路である磁化測定部55により測定する。そのため、被測定試料MS1の磁化は、磁化を測定するためのコイルの誘導起電力の絶対値と磁界の強度を測定するためのコイルの誘導起電力の絶対値との差分である差分値に基づいて測定されるものではない。従って、測定される磁化の値の精度を向上させることができる。
即ち、本実施の形態の磁化測定装置11によれば、被測定試料MS1の磁化を、磁化測定部55により高精度で測定することができ、被測定試料MS1に印加された磁界の強度を、磁界測定部56により高精度で測定することができる。
図1に示す例では、磁化測定部55は、コイル51及び52とパーソナルコンピュータ61との間に設けられ、磁界測定部56は、コイル53及び54とパーソナルコンピュータ61との間に設けられている。しかし、磁化測定部55及び磁界測定部56は、制御部16が有するパーソナルコンピュータ61に含まれていてもよい。
また、コイル51とコイル52とは、掃引部14により磁界MF1が掃引された場合に、コイル51の誘導起電力の絶対値と、コイル52の誘導起電力の絶対値との差分である差分値が磁化測定部55に出力されるように、反直列に接続されていてもよい。或いは、コイル51の誘導起電力及びコイル52の誘導起電力の各々が別々に磁化測定部55に出力され、磁化測定部55が、コイル51の誘導起電力の絶対値と、コイル52の誘導起電力の絶対値との差分(上記数式(数4)に示す誘起電圧eの絶対値)を、磁化測定部55内で算出してもよい。
また、コイル53とコイル54とは、掃引部14により磁界MF1が掃引された場合に、コイル53の誘導起電力の絶対値と、コイル54の誘導起電力の絶対値との差分である差分値が磁界測定部56に出力されるように、反直列に接続されていてもよい。或いは、コイル53の誘導起電力及びコイル54の誘導起電力の各々が別々に磁界測定部56に出力され、磁界測定部56が、コイル53の誘導起電力の絶対値と、コイル54の誘導起電力の絶対値との差分(上記数式(数10)に示す誘起電圧eの絶対値)を、磁界測定部56内で算出してもよい。
好適には、パーソナルコンピュータ61は、磁化測定部55が検出した誘起電圧eに基づいて、被測定試料MS1の磁化Jを算出し、磁界測定部56が検出した誘起電圧eに基づいて、被測定試料MS1に印加されている磁界MF1の強度(磁界H)を算出し、算出された磁化Jと磁界Hとからなる組データを、例えばメモリ等の記憶部に記憶する。そして、パーソナルコンピュータ61は、記憶部に記憶された複数の組データに基づいて、縦軸に磁化Jが表され、横軸に磁界Hが表されたグラフに磁化ヒステリシス曲線を表示する。
好適には、コイル51の部分PR1、コイル52の部分PR2、コイル53の部分PR3、及び、コイル54の部分PR4の各々は、方向DR1において、保持部12に保持されている被測定試料MS1の方向DR1における中心位置CP1と同じ位置に配置されている。
これにより、コイル51、52、53及び54の各々が、方向DR1において、被測定試料MS1の上端部及び下端部のいずれからも遠くなるので、コイル51及び52の各々の誘導起電力の絶対値の差分である誘起電圧eに対する、被測定試料MS1の上端部又は下端部に流れる渦電流の影響を更に小さくすることができる。
コイル51の方向DR1における中心位置を位置CE1とし、コイル52の方向DR1における中心位置を位置CE2とし、コイル53の方向DR1における中心位置を位置CE3とし、コイル54の方向DR1における中心位置を位置CE4とする。このような場合、更に好適には、位置CE1、位置CE2、位置CE3及び位置CE4の各々は、方向DR1において、被測定試料MS1の方向DR1における中心位置CP1と同じ位置に配置されている。
これにより、コイル51、52、53及び54の各々が、方向DR1において、被測定試料MS1の上端部及び下端部のいずれからもより遠くなるので、コイル51及び52の各々の誘導起電力の絶対値の差分である誘起電圧eに対する、被測定試料MS1の上端部又は下端部に流れる渦電流の影響を更により小さくすることができる。
なお、方向DR1において、位置CE1が中心位置CP1と同じ位置に配置されなくてもよく、方向DR1における被測定試料MS1の厚さTHSに対する、位置CE1と中心位置CP1との間の方向DR1における距離の比が、0.2以下であればよい。また、方向DR1において、位置CE2が中心位置CP1と同じ位置に配置されなくてもよく、厚さTHSに対する、位置CE2と中心位置CP1との間の方向DR1における距離の比が、0.2以下であればよい。また、方向DR1において、位置CE3が中心位置CP1と同じ位置に配置されなくてもよく、厚さTHSに対する、位置CE3と中心位置CP1との間の方向DR1における距離の比が、0.2以下であればよい。また、方向DR1において、位置CE4が中心位置CP1と同じ位置に配置されなくてもよく、厚さTHSに対する、位置CE4と中心位置CP1との間の方向DR1における距離の比が、0.2以下であればよい。
また、方向DR1において、位置CE2が位置CE1と同じ位置に配置されなくてもよく、厚さTH1、厚さTH2、又は、厚さTH1及びTH2の平均値に対する、位置CE1と位置CE2との間の方向DR1における距離の比が、0.2以下であればよい。また、方向DR1において、位置CE3が位置CE1と同じ位置に配置されなくてもよく、厚さTH1、厚さTH3、又は、厚さTH1及びTH3の平均値に対する、位置CE1と位置CE3との間の方向DR1における距離の比が、0.2以下であればよい。また、方向DR1において、位置CE4が位置CE1と同じ位置に配置されなくてもよく、厚さTH1、厚さTH4、又は、厚さTH1及びTH4の平均値に対する、位置CE1と位置CE4との間の方向DR1における距離の比が、0.2以下であればよい。また、位置CE2と位置CE3との間の関係、位置CE2と位置CE4との間の関係、及び、位置CE3と位置CE4との間の関係についても、前述した、位置CE1と位置CE2との間の関係、位置CE1と位置CE3との間の関係、及び、位置CE1と位置CE4との間の関係と同様である。
好適には、励磁コイル31は、軸AX1の周りに、コイル54を囲むように巻回され、コイル51、52、53及び54は、方向DR1における励磁コイル31の中央部に囲まれている。
このような場合、被測定試料MS1、並びに、コイル51、52、53及び54に印加される磁界MF1は、方向DR1に平行になるので、方向DR1に交差する成分の磁界の影響を排除することができ、平行磁界中における被測定試料MS1の磁化を測定することができる。また、方向DR1における励磁コイル31の中央部では、方向DR1における互いに異なる位置間での磁界の強度の均一性が高い(ばらつきが小さい)ので、方向DR1における被測定試料MS1の位置が被測定試料MS1ごとにずれた場合でも、被測定試料MS1の磁化を高精度で測定することができる。
好適には、磁化測定装置11は、保持部12に保持されている被測定試料MS1の方向DR1における位置を調整する調整部17を備えている。調整部17は、コイル51の部分PR1、コイル52の部分PR2、コイル53の部分PR3、及び、コイル54の部分PR4の各々が、方向DR1において、保持部12に保持されている被測定試料MS1の方向DR1における中心位置CP1と同じ位置に配置されるように、位置を調整する。
このような調整部17として、例えばモータ71と、モータ71と接続されたギア72と、ギア72とかみ合わされ、且つ、下側部材23に固定されたギア73と、を有する調整部17を用いることができる。これにより、例えば下側部材23を軸AX1に沿って方向DR1と同じ方向又は逆方向に移動させることができ、コイル51、52、53及び54の各々が、方向DR1において、被測定試料MS1の上端部及び下端部のいずれからも遠くなるように調整することができる。そのため、コイル51及び52の各々の誘導起電力の絶対値の差分である誘起電圧eに対する、被測定試料MS1の上端部又は下端部に流れる渦電流の影響を更に小さくすることができる。
なお、前述したように、方向DR1において、位置CE1が中心位置CP1と同じ位置に配置されなくてもよく、方向DR1における被測定試料MS1の厚さTHSに対する、位置CE1と中心位置CP1との間の方向DR1における距離の比が、0.2以下になるように調整することができる。位置CE2、位置CE3及び位置CE4についても、位置CE1と同様である。
また、前述したように、方向DR1において、位置CE2が位置CE1と同じ位置に配置されなくてもよく、厚さTH1、厚さTH2、又は、厚さTH1及びTH2の平均値に対する、位置CE1と位置CE2との間の方向DR1における距離の比が、0.2以下になるように調整することができる。また、位置CE1と位置CE3との間の関係、位置CE1と位置CE4との間の関係、位置CE2と位置CE3との間の関係、位置CE2と位置CE4との間の関係、及び、位置CE3と位置CE4との間の関係についても、位置CE1と位置CE2との間の関係と同様である。
好適には、励磁コイル31は、軸AX1の周りに、コイル54を囲むように巻回され、且つ、被測定試料MS1に、パルス磁界を印加する。また、掃引部14は、励磁コイル31にパルス電流を流すことにより、磁界MF1を掃引する。これにより、被測定試料が、例えばネオジウム鉄ホウ素(NdFeB)磁石等の飽和磁化の大きな永久磁石よりなる場合でも、被測定試料を磁気飽和させるために十分な強度の磁界を印加することができる。以下では、励磁コイル31がパルス磁界を印加する際に被測定試料MS1の磁化を測定する場合について説明する。図4は、励磁コイルがパルス磁界を印加する場合の励磁電源の構成の一例を示す回路図である。
図4に示すように、掃引部14(図1参照)が有する励磁電源41は、充電部43と、コンデンサ44と、サイリスタ45及び46と、を有する。充電部43の一方の端子は、コンデンサ44の一方の端子に接続され、充電部43の他方の端子は、コンデンサ44の他方の端子に接続され、充電部43は、コンデンサ44を充電する。また、コンデンサ44の一方の端子は、互いに逆並列に接続されたサイリスタ45及び46を介して、励磁コイル31の一方の端子と接続され、コンデンサ44の他方の端子は、励磁コイル31の他方の端子と接続されている。サイリスタ45及び46は、例えばサイリスタ45がオン時にコンデンサ44の一方の端子から励磁コイル31の一方の端子に向かう方向に電流を流すように接続され、サイリスタ46がオン時に励磁コイル31の一方の端子からコンデンサ44の一方の端子に向かう方向に電流を流すように接続されている。
掃引部14としての制御盤42に含まれる演算処理部(図示は省略)が、充電部43のコンデンサ44への充電のオンオフ、並びに、サイリスタ45及び46のオンオフを制御する。これにより、励磁コイル31は、方向DR1に平行で且つ方向DR1と同じ向き(正方向)の磁界MF1の強度を、0から最大強度まで増加させた後、最大強度から0まで減少させることができる。即ち、励磁コイル31は、方向DR1に平行で且つ方向DR1と同じ向き(正方向)にパルス磁界を印加することができる。また、励磁コイル31は、方向DR1に平行で且つ方向DR1と逆向き(負方向)の磁界MF1の強度を、0から最大強度まで増加させた後、最大強度から0まで減少させることができる。即ち、励磁コイル31は、方向DR1に平行で且つ方向DR1と逆向き(負方向)にパルス磁界を印加することができる。その結果、励磁コイル31により被測定試料MS1に印加する磁界を、正方向及び負方向の両方向に掃引しながら、被測定試料MS1の磁化を測定することができる。
パルス磁界のパルス幅を、例えば1〜200msec(ミリ秒)程度とすることができる。また、パルス磁界のパルス高さ(最大強度)を、例えば100〜10000kA/m程度とすることができる。
励磁コイル31がパルス磁界を印加する場合、励磁コイル31がパルス磁界の平均掃引速度よりも小さい掃引速度で磁界を印加する場合に比べて、コイル51及び52の各々の誘導起電力の絶対値の差分である誘起電圧eに対する、被測定試料MS1の上端部又は下端部に流れる渦電流の影響が大きくなる。
一方、本実施の形態の磁化測定装置11では、コイル51の厚さTH1、コイル52の厚さTH2、コイル53の厚さTH3、及び、コイル54の厚さTH4は、いずれも方向DR1における被測定試料MS1の厚さTHSよりも薄い。そのため、コイル51及び52の各々の誘導起電力の絶対値の差分である誘起電圧eに対する、被測定試料MS1の上端部又は下端部に流れる渦電流の影響を小さくすることができる。従って、励磁コイル31がパルス磁界を印加する場合、励磁コイル31がパルス磁界の平均掃引速度よりも小さい掃引速度で磁界を印加する場合に比べて、磁化測定部55により測定される磁化の値を被測定試料MS1の真の磁化の値に近づける効果が、大きくなる。
なお、励磁コイル31により被測定試料MS1に印加する磁界の強度を掃引部14が掃引する際に、コイル51、52、53及び54の各々の誘導起電力を測定できればよいので、励磁コイル31が印加する磁界は、パルス磁界でなくてもよい。励磁電源41として、直流電源を用い、掃引部14が、直流電源が励磁コイル31に流す電流を掃引することにより、励磁コイル31が発生する磁界が、例えば0から最大強度まで漸増した後、最大強度から0まで漸減するようにしてもよい。
<磁化測定方法>
次に、図1及び図2を参照し、本実施の形態の磁化測定方法について説明する。本実施の形態の磁化測定方法は、磁性体よりなる被測定試料の磁化を測定する磁化測定方法である。
本実施の形態の磁化測定方法では、方向DR1に延在する軸AX1上に、保持部12により、磁性体よりなる被測定試料MS1を保持する(ステップS11)。そして、保持部12に保持されている被測定試料MS1に、方向DR1の磁界MF1を、印加部13により印加する(ステップS12)。
本実施の形態の磁化測定方法では、印加部13により印加される磁界MF1を掃引部14により掃引しながらステップS12を行う(ステップS13)。そして、ステップS13を行う際に、被測定試料MS1の磁化及び磁界の強度を、測定部15により測定する(ステップS14)。
前述したように、測定部15は、コイル51、52、53及び54の4つのコイルを有し、コイル51、52、53及び54は、軸AX1の周りに、軸AX1を中心として同心円状に配置されている。また、測定部15は、磁化測定部55と、磁界測定部56と、を有する。磁化測定部55は、コイル51の誘導起電力の絶対値とコイル52の誘導起電力の絶対値との差分である差分値に基づいて、保持部12に保持されている被測定試料MS1の磁化を測定する。磁界測定部56は、コイル53の誘導起電力の絶対値とコイル54の誘導起電力の絶対値との差分である差分値に基づいて、磁界MF1の強度を測定する。
また、前述したように、方向DR1におけるコイル51の厚さTH1、方向DR1におけるコイル52の厚さTH2、方向DR1におけるコイル53の厚さTH3、及び、方向DR1におけるコイル54の厚さTH4は、いずれも7mm未満であるか、又は、いずれも保持部12に保持されている被測定試料MS1の方向DR1における厚さTHSよりも薄い。
このような本実施の形態の磁化測定方法によれば、被測定試料MS1の磁化を、磁化測定部55により高精度で測定することができ、被測定試料MS1に印加された磁界MF1の強度を、磁界測定部56により高精度で測定することができる。
好適には、本実施の形態の磁化測定方法では、保持部12に保持されている被測定試料MS1の方向DR1における位置を調整部17により調整する(ステップS15)。そして、ステップS15では、コイル51の部分PR1、コイル52の部分PR2、コイル53の部分PR3、及び、コイル54の部分PR4の各々が、方向DR1において、保持部12に保持されている被測定試料MS1の方向DR1における中心位置CP1と同じ位置に配置されるように、被測定試料MS1の位置を調整部17により調整する。これにより、コイル51、52、53及び54の各々が、方向DR1において、被測定試料MS1の上端部及び下端部のいずれからも遠くなるので、コイル51及び52の各々の誘導起電力の絶対値の差分である誘起電圧eに対する、被測定試料MS1の上端部又は下端部に流れる渦電流の影響を小さくすることができる。
次に、励磁コイル31がパルス磁界としての磁界MF1を印加する際に被測定試料MS1の磁化を測定する場合について説明する。図5は、励磁コイルがパルス磁界を印加する際に被測定試料に印加される磁界の強度の時間依存性を模式的に示すグラフである。図6は、被測定試料の磁化ヒステリシス曲線を模式的に示すグラフである。
掃引部14が、図4に示す励磁電源41を有する場合、前述したように、励磁コイル31により被測定試料MS1に印加する磁界を、正方向及び負方向の両方向に掃引しながら、被測定試料MS1の磁化を測定することができる。そこで、図5に示すように、まず方向DR1と同じ向き(正方向)に十分な強度を有するパルス磁界を印加し(図5の波形WF1参照)、被測定試料MS1の磁化が飽和するまで被測定試料MS1を磁化させながら磁化−磁界曲線(J−H曲線)の測定を行う。このとき、励磁コイル31に掃引部14によりパルス電流を流すことにより、磁界MF1を掃引部14により掃引しながら、励磁コイル31により磁界MF1を印加する。
次に、方向DR1と逆方向(負方向)に同じ強度を有するパルス磁界を印加し(図5の波形WF2参照)、被測定試料MS1の磁化が飽和するまで被測定試料MS1を磁化させながらJ−H曲線の測定を行う。次に、再び方向DR1と同じ向き(正方向)に同じ強度を有するパルス磁界を印加し(図5の波形WF3参照)、被測定試料MS1の磁化が飽和するまで被測定試料MS1を磁化させながらJ−H曲線の測定を行う。
その後、被測定試料MS1を取り出した状態で、方向DR1と同じ向き(正方向)、及び、方向DR1と逆方向(負方向)に、それぞれ同じ強度を有するパルス磁界を印加しながらJ−H曲線の測定を行う(図5の波形WF4及びWF5参照)。そして、波形WF2の際のJ−H曲線から波形WF5の際のJ−H曲線を差し引いたJ−H曲線を、縦軸に磁化Jが表され横軸に磁界Hが表されたグラフの第2象限と第3象限とに表し、波形WF3の際のJ−H曲線から波形WF4の際のJ−H曲線を差し引いたJ−H曲線を、同じグラフの第4象限と第1象限とに表す。これにより、図6に示すように、被測定試料MS1の磁化ヒステリシス曲線を得ることができる。
また、図6に示す磁化ヒステリシス曲線から、被測定試料MS1の残留磁化J、及び、保磁力HcJを求めることができる。残留磁化Jは、第1象限に表され、且つ、磁界Hを減少させる際の曲線、即ちJ−H減磁曲線のH=0に対応した磁化の値であり、保磁力HcJは、第2象限に表され、且つ、磁界Hを減少させる際の曲線、即ちJ−H減磁曲線のJ=0に対応した磁界の強度の値である。また、B=J+μHの関係により、残留磁化Jと残留磁束密度Bとは略等しいので、残留磁化Jから残留磁束密度Bを算出することができる。
以下、実施例に基づいて本実施の形態を更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
実施例の磁化測定装置として、図1及び図2に示す磁化測定装置11を用意した。実施例の磁化測定装置11は、巻き数が350である励磁コイル31と、コイル51、52、53及び54と、を備えていた。このような実施例の磁化測定装置11において、励磁コイル31に流す電流を4250Aとしたときの、方向DR1における励磁コイル31の中心位置CP1における磁束密度、並びに、コイル51、52、53及び54の各々の内部の平均磁束密度を計算した。その結果を、表1に示す。なお、表1では、方向DR1における励磁コイル31の中心位置CP1を、「励磁コイル中心」と表記し、コイル51、52、53、54を、Jコイル内側、Jコイル外側、Hコイル内側、Hコイル外側と表記している。
Figure 2018179660
表1に示すように、方向DR1における励磁コイル31の中心位置CP1における磁束密度と、コイル51、52、53及び54の各々の内部における平均磁束密度との差は、0.075%以下であった。そのため、励磁コイル31の中心位置CP1における磁界、並びに、コイル51、52、53及び54の内部に印加される磁界の強度は、一致しているとみなすことができた。
次に、被測定試料MS1として、直径が10mmで、厚さが7mmのネオジウム鉄ホウ素(NdFeB)ボンド磁石及びNdFeB焼結磁石を用いた場合について、磁化ヒステリシス曲線を20回繰り返して測定し、得られた磁化ヒステリシス曲線から、残留磁束密度B及び保磁力HcJを求めた。その結果、被測定試料MS1としてNdFeBボンド磁石を用いた場合は、残留磁束密度Bの繰り返し精度は±0.38%であり、保磁力HcJの繰り返し精度は±0.19%であり、いずれも小さい値であった。また、被測定試料MS1としてNdFeB焼結磁石を用いた場合は、残留磁束密度Bの繰り返し精度は±0.30%であり、保磁力HcJの繰り返し精度は±0.20%であり、いずれも小さい値であった。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
例えば、前述の各実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
11 磁化測定装置
12 保持部
13 印加部
14 掃引部
15 測定部
16 制御部
17 調整部
21 筒状部材
22 上側部材
23 下側部材
31 励磁コイル
41 励磁電源
42 制御盤
43 充電部
44 コンデンサ
45、46 サイリスタ
51〜54 コイル
55 磁化測定部
56 磁界測定部
61 パーソナルコンピュータ
71 モータ
72、73 ギア
AX1 軸
CE1〜CE4、PS1 位置
CP1 中心位置
DR1 方向
MF1 磁界
MS1 被測定試料
PL1 平面
PR1〜PR4 部分
WF1〜WF5 波形

Claims (12)

  1. 磁性体の磁化を測定する磁化測定装置において、
    第1方向に延在する第1軸上に前記磁性体を保持する保持部と、
    前記保持部に保持されている前記磁性体に前記第1方向の第1磁界を印加する印加部と、
    前記印加部により印加される前記第1磁界を掃引する掃引部と、
    前記第1磁界を前記掃引部により掃引しながら前記印加部により前記磁性体に前記第1磁界を印加する際に、前記磁性体の磁化及び前記第1磁界の強度を測定する測定部と、
    を備え、
    前記測定部は、
    前記第1軸の周りに、前記保持部に保持されている前記磁性体を囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第1誘導起電力を発生する第1コイルと、
    前記第1軸の周りに、前記第1コイルを囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第2誘導起電力を発生する第2コイルと、
    前記第1軸の周りに、前記第2コイルを囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第3誘導起電力を発生する第3コイルと、
    前記第1軸の周りに、前記第3コイルを囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第4誘導起電力を発生する第4コイルと、
    前記第1誘導起電力の絶対値と前記第2誘導起電力の絶対値との差分である第1差分値に基づいて、前記保持部に保持されている前記磁性体の磁化を測定する磁化測定部と、
    前記第3誘導起電力の絶対値と前記第4誘導起電力の絶対値との差分である第2差分値に基づいて、前記第1磁界の強度を測定する磁界測定部と、
    を有し、
    前記第1コイルの巻き数をNとし、前記第2コイルの巻き数をNとし、前記第3コイルの巻き数をNとし、前記第4コイルの巻き数をNとし、前記第1コイルの前記第1軸に垂直な断面の面積をSとし、前記第2コイルの前記第1軸に垂直な断面の面積をSとしたとき、
    (N×S−N×S)/(N×S)の絶対値が0.02以下であり、
    (N−N)/Nの絶対値が0.02以下であり、
    前記第1コイルの第1部分、前記第2コイルの第2部分、前記第3コイルの第3部分、及び、前記第4コイルの第4部分は、前記第1方向において、互いに同じ位置に配置され、
    前記第1方向における前記第1コイルの第1厚さ、前記第1方向における前記第2コイルの第2厚さ、前記第1方向における前記第3コイルの第3厚さ、及び、前記第1方向における前記第4コイルの第4厚さは、いずれも7mm未満である、磁化測定装置。
  2. 磁性体の磁化を測定する磁化測定装置において、
    第1方向に延在する第1軸上に前記磁性体を保持する保持部と、
    前記保持部に保持されている前記磁性体に前記第1方向の第1磁界を印加する印加部と、
    前記印加部により印加される前記第1磁界を掃引する掃引部と、
    前記第1磁界を前記掃引部により掃引しながら前記印加部により前記磁性体に前記第1磁界を印加する際に、前記磁性体の磁化及び前記第1磁界の強度を測定する測定部と、
    を備え、
    前記測定部は、
    前記第1軸の周りに、前記保持部に保持されている前記磁性体を囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第1誘導起電力を発生する第1コイルと、
    前記第1軸の周りに、前記第1コイルを囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第2誘導起電力を発生する第2コイルと、
    前記第1軸の周りに、前記第2コイルを囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第3誘導起電力を発生する第3コイルと、
    前記第1軸の周りに、前記第3コイルを囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第4誘導起電力を発生する第4コイルと、
    前記第1誘導起電力の絶対値と前記第2誘導起電力の絶対値との差分である第1差分値に基づいて、前記保持部に保持されている前記磁性体の磁化を測定する磁化測定部と、
    前記第3誘導起電力の絶対値と前記第4誘導起電力の絶対値との差分である第2差分値に基づいて、前記第1磁界の強度を測定する磁界測定部と、
    を有し、
    前記第1コイルの巻き数をNとし、前記第2コイルの巻き数をNとし、前記第3コイルの巻き数をNとし、前記第4コイルの巻き数をNとし、前記第1コイルの前記第1軸に垂直な断面の面積をSとし、前記第2コイルの前記第1軸に垂直な断面の面積をSとしたとき、
    (N×S−N×S)/(N×S)の絶対値が0.02以下であり、
    (N−N)/Nの絶対値が0.02以下であり、
    前記第1コイルの第1部分、前記第2コイルの第2部分、前記第3コイルの第3部分、及び、前記第4コイルの第4部分は、前記第1方向において、互いに同じ位置に配置され、
    前記第1方向における前記第1コイルの第1厚さ、前記第1方向における前記第2コイルの第2厚さ、前記第1方向における前記第3コイルの第3厚さ、及び、前記第1方向における前記第4コイルの第4厚さは、いずれも前記保持部に保持されている前記磁性体の前記第1方向における第5厚さよりも薄い、磁化測定装置。
  3. 請求項2に記載の磁化測定装置において、
    前記第1コイルの前記第1方向における中心位置を第1位置とし、前記第2コイルの前記第1方向における中心位置を第2位置とし、前記第3コイルの前記第1方向における中心位置を第3位置とし、前記第4コイルの前記第1方向における中心位置を第4位置とし、前記保持部に保持されている前記磁性体の前記第1方向における中心位置を第5位置とし、前記第1位置と前記第5位置との間の前記第1方向における距離を第1距離とし、前記第2位置と前記第5位置との間の前記第1方向における距離を第2距離とし、前記第3位置と前記第5位置との間の前記第1方向における距離を第3距離とし、前記第4位置と前記第5位置との間の前記第1方向における距離を第4距離としたとき、
    前記第5厚さに対する前記第1距離の比は、0.2以下であり、
    前記第5厚さに対する前記第2距離の比は、0.2以下であり、
    前記第5厚さに対する前記第3距離の比は、0.2以下であり、
    前記第5厚さに対する前記第4距離の比は、0.2以下である、磁化測定装置。
  4. 請求項3に記載の磁化測定装置において、
    前記第5位置を調整する調整部を備えている、磁化測定装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の磁化測定装置において、
    前記印加部は、前記第1軸の周りに、前記第4コイルを囲むように巻回され、且つ、前記第1方向に延在する円筒形状を有する第5コイルを有し、
    前記第1コイル、前記第2コイル、前記第3コイル及び前記第4コイルは、前記第1方向における前記第5コイルの中央部に囲まれている、磁化測定装置。
  6. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の磁化測定装置において、
    前記印加部は、前記第1軸の周りに、前記第4コイルを囲むように巻回され、且つ、前記磁性体に、パルス磁界としての前記第1磁界を印加する第6コイルを有し、
    前記掃引部は、前記第6コイルにパルス電流を流すことにより、前記第1磁界を掃引する、磁化測定装置。
  7. 磁性体の磁化を測定する磁化測定方法において、
    (a)第1方向に延在する第1軸上に、保持部により前記磁性体を保持するステップ、
    (b)前記保持部に保持されている前記磁性体に、前記第1方向の第1磁界を、印加部により印加するステップ、
    (c)前記印加部により印加される前記第1磁界を掃引部により掃引しながら前記(b)ステップを行うステップ、
    (d)前記(c)ステップを行う際に、前記磁性体の磁化及び前記第1磁界の強度を、測定部により測定するステップ、
    を備え、
    前記測定部は、
    前記第1軸の周りに、前記保持部に保持されている前記磁性体を囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第1誘導起電力を発生する第1コイルと、
    前記第1軸の周りに、前記第1コイルを囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第2誘導起電力を発生する第2コイルと、
    前記第1軸の周りに、前記第2コイルを囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第3誘導起電力を発生する第3コイルと、
    前記第1軸の周りに、前記第3コイルを囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第4誘導起電力を発生する第4コイルと、
    前記第1誘導起電力の絶対値と前記第2誘導起電力の絶対値との差分である第1差分値に基づいて、前記保持部に保持されている前記磁性体の磁化を測定する磁化測定部と、
    前記第3誘導起電力の絶対値と前記第4誘導起電力の絶対値との差分である第2差分値に基づいて、前記第1磁界の強度を測定する磁界測定部と、
    を有し、
    前記第1コイルの巻き数をNとし、前記第2コイルの巻き数をNとし、前記第3コイルの巻き数をNとし、前記第4コイルの巻き数をNとし、前記第1コイルの前記第1軸に垂直な断面の面積をSとし、前記第2コイルの前記第1軸に垂直な断面の面積をSとしたとき、
    (N×S−N×S)/(N×S)の絶対値が0.02以下であり、
    (N−N)/Nの絶対値が0.02以下であり、
    前記第1コイルの第1部分、前記第2コイルの第2部分、前記第3コイルの第3部分、及び、前記第4コイルの第4部分は、前記第1方向において、互いに同じ位置に配置され、
    前記第1方向における前記第1コイルの第1厚さ、前記第1方向における前記第2コイルの第2厚さ、前記第1方向における前記第3コイルの第3厚さ、及び、前記第1方向における前記第4コイルの第4厚さは、いずれも7mm未満である、磁化測定方法。
  8. 磁性体の磁化を測定する磁化測定方法において、
    (a)第1方向に延在する第1軸上に、保持部により前記磁性体を保持するステップ、
    (b)前記保持部に保持されている前記磁性体に、前記第1方向の第1磁界を、印加部により印加するステップ、
    (c)前記印加部により印加される前記第1磁界を掃引部により掃引しながら前記(b)ステップを行うステップ、
    (d)前記(c)ステップを行う際に、前記磁性体の磁化及び前記第1磁界の強度を、測定部により測定するステップ、
    を備え、
    前記測定部は、
    前記第1軸の周りに、前記保持部に保持されている前記磁性体を囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第1誘導起電力を発生する第1コイルと、
    前記第1軸の周りに、前記第1コイルを囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第2誘導起電力を発生する第2コイルと、
    前記第1軸の周りに、前記第2コイルを囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第3誘導起電力を発生する第3コイルと、
    前記第1軸の周りに、前記第3コイルを囲むように巻回され、且つ、鎖交する磁束の変化により第4誘導起電力を発生する第4コイルと、
    前記第1誘導起電力の絶対値と前記第2誘導起電力の絶対値との差分である第1差分値に基づいて、前記保持部に保持されている前記磁性体の磁化を測定する磁化測定部と、
    前記第3誘導起電力の絶対値と前記第4誘導起電力の絶対値との差分である第2差分値に基づいて、前記第1磁界の強度を測定する磁界測定部と、
    を有し、
    前記第1コイルの巻き数をNとし、前記第2コイルの巻き数をNとし、前記第3コイルの巻き数をNとし、前記第4コイルの巻き数をNとし、前記第1コイルの前記第1軸に垂直な断面の面積をSとし、前記第2コイルの前記第1軸に垂直な断面の面積をSとしたとき、
    (N×S−N×S)/(N×S)の絶対値が0.02以下であり、
    (N−N)/Nの絶対値が0.02以下であり、
    前記第1コイルの第1部分、前記第2コイルの第2部分、前記第3コイルの第3部分、及び、前記第4コイルの第4部分は、前記第1方向において、互いに同じ位置に配置され、
    前記第1方向における前記第1コイルの第1厚さ、前記第1方向における前記第2コイルの第2厚さ、前記第1方向における前記第3コイルの第3厚さ、及び、前記第1方向における前記第4コイルの第4厚さは、いずれも前記保持部に保持されている前記磁性体の前記第1方向における第5厚さよりも薄い、磁化測定方法。
  9. 請求項8に記載の磁化測定方法において、
    前記第1コイルの前記第1方向における中心位置を第1位置とし、前記第2コイルの前記第1方向における中心位置を第2位置とし、前記第3コイルの前記第1方向における中心位置を第3位置とし、前記第4コイルの前記第1方向における中心位置を第4位置とし、前記保持部に保持されている前記磁性体の前記第1方向における中心位置を第5位置とし、前記第1位置と前記第5位置との間の前記第1方向における距離を第1距離とし、前記第2位置と前記第5位置との間の前記第1方向における距離を第2距離とし、前記第3位置と前記第5位置との間の前記第1方向における距離を第3距離とし、前記第4位置と前記第5位置との間の前記第1方向における距離を第4距離としたとき、
    前記第5厚さに対する前記第1距離の比は、0.2以下であり、
    前記第5厚さに対する前記第2距離の比は、0.2以下であり、
    前記第5厚さに対する前記第3距離の比は、0.2以下であり、
    前記第5厚さに対する前記第4距離の比は、0.2以下である、磁化測定方法。
  10. 請求項9に記載の磁化測定方法において、
    (e)前記第5位置を、調整部により調整するステップ、
    を備えている、磁化測定方法。
  11. 請求項7乃至10のいずれか一項に記載の磁化測定方法において、
    前記(b)ステップでは、前記第1軸の周りに、前記第4コイルを囲むように巻回され、且つ、前記第1方向に延在する円筒形状を有する第5コイルを有する前記印加部により、前記第1磁界を印加し、
    前記第1コイル、前記第2コイル、前記第3コイル及び前記第4コイルは、前記第1方向における前記第5コイルの中央部に囲まれている、磁化測定方法。
  12. 請求項7乃至10のいずれか一項に記載の磁化測定方法において、
    前記(b)ステップでは、前記第1軸の周りに、前記第4コイルを囲むように巻回され、且つ、前記磁性体に、パルス磁界としての前記第1磁界を印加する第6コイルを有する前記印加部により、前記第1磁界を印加し、
    前記(c)ステップでは、前記第6コイルに前記掃引部によりパルス電流を流すことにより、前記第1磁界を前記掃引部により掃引しながら前記(b)ステップを行う、磁化測定方法。
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