JP2014143347A - 半導体レーザの駆動方法及び半導体レーザ装置 - Google Patents

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Akinobu Iwako
彰展 岩子
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Abstract

【課題】温度センサを必要としない安価な構成で、外部から光出力設定値を任意に設定でき、その設定値に応じて半導体レーザの発光出力強度を、発光波長を一定に保ちながら容易に可変できるようにする
【解決手段】光出力設定手段5によって任意に設定される光出力設定値に応じて、発光駆動手段2によって、半導体レーザ1に駆動電流Ifを流して、半導体レーザ1を光出力設定値に対応する光出力強度で発光させる。その発光駆動中に、順方向電圧検出手段3によって、半導体レーザ1の駆動電流が所定値のときに相当する順方向電圧Vfを検出し、その順方向電圧Vfの値を一定に保つように、温度制御手段4が加熱部材または冷却部材を駆動し、半導体レーザ1を加熱または冷却してその温度を制御する。それによって、半導体レーザ1を外部より入力された光出力設定値に応じた光出力強度で、且つ一定波長で発光させる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、半導体レーザを一定波長に保ちながら発光出力を任意に可変させるための半導体レーザ駆動方法及び半導体レーザ装置に関する。
半導体レーザは、レーザダイオードとも称される極めて小型で消費電力が少ない光源であり、波長及び位相が揃ったコヒーレント光を発光する。そのため、半導体レーザが発光した光はコリメータレンズ等によって非常に細いビーム状の平行光束にすることができる。その特性を利用して、半導体レーザは、CDやDVD等の光ピックアップ、複写機やレーザプリンタ等の書込装置、光ファィバを用いた光通信装置、各種測定機器やレーザ加工機、レーザポインタやプロジェクタなど、広範な民生及び産業分野で使用されている。
半導体レーザは、その構成元素によって発振の中心周波数すなわちレーザ光の波長(色に対応する)が略決まり、赤色発光や青色発光などのものがある。しかし、その発光波長は外部温度や駆動電流値によって変化するため、従来から、半導体レーザの外周囲温度を一定に保つような温度制御装置と、光出力を一定に保つための制御回路を用いて、出力を安定化させることが行われていた。
しかし、半導体レーザの外周囲温度を一定に保っても、駆動電流を増加させると光出力が増加すると共に発光波長が変化することも知られている(例えば、特許文献1参照)。これは、駆動電流の変化によって、半導体レーザの発光部すなわちPN接合部の熱抵抗による発熱量が変化し、ジャンクション温度が変化するためである。
そこで、特許文献1に記載のレーザ装置では、安定な光出力を得るために、半導体レーザからの光出力を検出して、駆動回路に負帰還を掛けることによって、半導体レーザの駆動電流を調整している。その際、駆動電流の変化による半導体レーザの発光点における消費電力の変化と、発光点と外周器の間の熱抵抗との積に相当する温度だけ、上記外周器の温度を下げて、発光点温度を一定に保ち、発振の波長を固定するようにしている。
特開平5−29695号公報
しかしながら、このような従来のレーザ装置は、半導体レーザの駆動電流に負帰還を掛けるために、半導体レーザによる実際の光出力を検出する光検出器と、その検出値と光出力設定値との差に応じて駆動電流を制御するための負帰還回路が必要である。
さらに、そのレーザ装置は、半導体レーザのヒートシンクの温度を検出する温度センサを設けると共に、駆動電流設定値と実際の駆動電流との差を算出して増幅した値を、ヒートシンクの温度設定値から減じて新たな設定温度を求め、その新たな設定温度と温度センサによって検出したヒートシンクの温度との差に応じて熱電冷却素子を動作させている。
そのため、検出精度のよい温度センサと複雑な回路が必要なため高価になる。また、光出力設定値に合わせて、駆動電流設定値とヒートシンクの温度設定値も設定し直す必要があるので、操作性が悪いという問題もあった。
この発明は上記のような背景に鑑みてなされたものであり、温度センサを必要としない
安価な構成にしながら、外部から光出力設定値を任意に設定でき、その設定値に応じて半導体レーザの発光出力強度を、発光波長を一定に保ちながら容易に可変できるようにすることを目的とする。
この発明による半導体レーザの駆動方法は上記の目的を達成するため、外部より光出力設定値を入力し、その光出力設定値に応じた駆動電流で半導体レーザを駆動して、上記光出力設定値に対応する光出力強度で発光させ、上記半導体レーザの発光中に、その駆動電流が所定値のときに相当する該半導体レーザの順方向電圧を検出し、その順方向電圧の検出値に応じて加熱部材または冷却部材を駆動し、上記半導体レーザを加熱または冷却してその温度を制御する。
そして、上記外部から入力された光出力設定値に応じた光出力強度で上記半導体レーザを発光させるとともに、上記順方向電圧の検出値が一定になるように上記半導体レーザの温度を制御して、その半導体レーザの発光波長を一定にすることを特徴とする。
その半導体レーザの順方向電圧は、上記半導体レーザの駆動電流を周期的に短時間だけ上記所定値にして行うとよい。
この発明による半導体レーザ装置は上記の目的を達成するため、外部より光出力設定値を入力する光出力設定手段と、半導体レーザと、上記光出力設定値に応じた駆動電流で上記半導体レーザを駆動して、上記光出力設定値に対応する光出力強度で発光させる発光駆動手段と、上記半導体レーザの発光中に、その駆動電流が所定値のときに相当する該半導体レーザの順方向電圧を検出する順方向電圧検出手段と、その順方向電圧の検出値に応じて加熱部材または冷却部材を駆動し、上記半導体レーザを加熱または冷却してその温度を制御する温度制御手段と、を備え、
上記外部から入力された光出力設定値に応じた光出力強度で上記半導体レーザを発光させるとともに、上記順方向電圧の検出値が一定になるように上記半導体レーザの温度を制御して、その半導体レーザの発光波長を一定にするようにしたことを特徴とする。
上記順方向電圧検出手段における上記半導体レーザの順方向電圧の検出は、上記半導体レーザの駆動電流を周期的に短時間だけ所定値にして行うとよい。
この発明による半導体レーザの駆動方法及び半導体レーザ装置によれば、温度センサを使用せず、半導体レーザの順方向電圧(駆動電圧ともいう)をモニタする簡単で安価な温度検出によって、外部から光出力設定値を任意に設定でき、その設定値に応じて半導体レーザの発光出力強度を、発光波長を一定に保ちながら容易に可変することができる。
この発明による半導体レーザの駆動方法を実施する半導体レーザ装置の基本的な機能構成例を示すブロック図である。 図1における温度制御手段の第1の例を示すブロック図である。 同じく温度制御手段の第2の例を示すブロック図である。 同じく温度制御手段の第3の例を示すブロック図である。 この発明による半導体レーザ装置の第1実施例のハード構成を示すブロック回路図である。 図5に示した第1実施例の制御部による半導体レーザ駆動処理の例を示すフロー図である。 この発明による半導体レーザ装置の第2、第3実施例を説明するためのハード構成を示すブロック回路図である。
図7に示した半導体レーザ装置におけるヒータとヒータ駆動回路を省略した第2実施例の制御部による半導体レーザ駆動処理の例を示すフロー図である。 図7に示した半導体レーザ装置の全てを有する第3実施例の制御部による半導体レーザ駆動処理の例を示すフロー図である。 半導体レーザの駆動電流と光出力との関係を示す線図である。 半導体レーザの駆動電流と発光波長との関係を示す線図である。 半導体レーザの駆動電流とジャンクション温度との関係を示す線図である。 半導体レーザの駆動電流が一定な場合におけるジャンクション温度と順方向電圧及び発光波長との関係を示す線図である。 半導体レーザの駆動電流を可変範囲で最小値から最大値まで変化させながら、この発明による温度制御を行わずに駆動電圧検出タイミング毎に駆動電流を所定値にしたときの順方向電圧の検出値及びジャンクション温度の関係を示す線図である。
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、この発明による半導体レーザの駆動方法を実施する半導体レーザ装置の基本的な機能構成例を示すブロック図である。
この半導体レーザ装置は、半導体レーザ1と、発光駆動手段2、順方向電圧検出手段3及び温度制御手段4と、光出力設定手段5とを有している。
発光駆動手段2は、半導体レーザ1に可変の光出力設定値に応じた駆動電流Ifを流して、半導体レーザ1を光出力設定値に対応する光出力で発光させる。また、順方向電圧検出手段3からの指示によって駆動電流Ifを短時間だけ所定値Icにすることもできる。
順方向電圧検出手段3は、発光駆動手段2による半導体レーザ1の発光駆動中に、その半導体レーザ1の駆動電流が所定値のときに相当する半導体レーザ1の順方向電圧Vfを検出して、それを温度制御手段4へ出力する。そのため、半導体レーザ1の順方向電圧を検出するときだけ発光駆動手段2に信号を送って、駆動電流Ifを所定値Icにさせることができる。
なお、順方向電圧検出手段3は、上述のように半導体レーザ1の発光中にその駆動電流Ifを実際に所定値Icにして、その順方向電圧を検出してもよいが、光出力設定値に応じた駆動電流Ifを流したままその順方向電圧を検出することもできる。その場合は、その検出電圧を演算によるか又はテーブルを用いて、半導体レーザ1の駆動電流が所定値Icのときに相当する順方向電圧に変換して検出することもできる。その詳細は後述する。
温度制御手段4は、順方向電圧検出手段3によって検出される順方向電圧Vfを一定に保つように、半導体レーザ1の温度を制御する。それによって、半導体レーザ1を光出力設定値に対応する光出力で、且つ一定波長で発光させることができる。
光出力設定手段5は、外部よりレーザ発光駆動のON/OFF指示をするとともに、光出力設定値を入力するためのものであり、例えば、ON/OFFスイッチとダイアルを有する可変抵抗器などを使用する。
その温度制御手段4は、例えば図2に示すように、半導体レーザ1を加熱する加熱部材41と、その加熱部材41の動作を制御する加熱制御部42とによって構成することができる。この場合、半導体レーザ1の発光点のジャンクション温度は、駆動電流により発光することによる発熱と加熱部材41による加熱によって上昇し、加熱しないときは、周囲温度(室温)との温度差によって放熱する空冷作用によって低下する。
したがって、半導体レーザ1の発光駆動中に、順方向電圧検出手段3によって検出され
る順方向電圧Vfの変化に応じて、その変化を相殺するように加熱制御部42によって加熱部材41の加熱動作を制御することにより、順方向電圧Vfを一定に保ち、半導体レーザ1の温度すなわちジャンクション温度を一定にするように制御することができる。
それによって、半導体レーザ1の駆動電流や周囲温度が変化しても、半導体レーザ1を一定波長で発光させることができる。
半導体レーザは一般に、所定の波長で発光しているときには発光点のジャンクション温度が室温(例えば25℃)よりかなり高くなっているため、周囲への放熱による空冷作用が生じる。そのため、上述したように検出される順方向電圧Vfの変化に応じて加熱を制御するだけでも、使用温度範囲(例えば0℃〜60℃)で半導体レーザの発光波長を一定に保つことが可能である。
しかし、半導体レーザを高温環境で使用する場合や、動作温度を変えることによって発振波長(発光波長)が比較的広い範囲で変化する半導体レーザを、青色のような短い波長で発光させる場合には、半導体レーザの発光動作中にそれを冷却して、その発光点のジャンクション温度を一定に保つことが必要になる場合がある。
そのような場合には、温度制御手段4を図3に示すように、半導体レーザ1を冷却する冷却部材43と、その冷却部材43の動作を制御する冷却制御部44とによって構成すればよい。
さらに、温度制御手段4を図4に示すように、半導体レーザ1を加熱する加熱部材41とその加熱部材41の動作を制御する加熱制御部42、および冷却部材43とその冷却部材43の動作を制御する冷却制御部44とによって構成することもできる。
このようにすれば、使用環境温度が大きく変化する場合や、半導体レーザの発光波長を任意に可変設定できる場合にも対応できる。また、検出される順方向電圧Vfの変動に対して迅速にジャンクション温度を制御してその変動を相殺し、順方向電圧Vfを素早く一定電圧に制御して、半導体レーザ1を一定波長で発光させることができる。
ここで、この発明の前提となる半導体レーザの特性について、図10〜図13を参照して説明する。
図10は、半導体レーザの駆動電流If(mA)と光出力L(mW)との関係を示す線図である。但し、半導体レーザのジャンクション温度が一定と仮定した場合である。このように、半導体レーザの駆動電流Ifと光出力Lとは比例関係にあり、駆動電流Ifによって光出力Lを設定することができる。駆動電流Ifがある一定値Icのとき、光出力Lはそれに対応する値Lcになる。
図11は、半導体レーザの駆動電流If(mA)と発光波長λ(nm)との関係を示す線図である。但し、環境温度が一定な場合である。このように半導体レーザの駆動電流Ifと発光波長λとも、ある範囲では比例関係がある。これは、駆動電流Ifが大きくなると発光点の発光によって発熱量が増加し、ジャンクション温度が上昇するため発光波長λが長くなるからである。したがって、駆動電流Ifがある一定値Icのとき、発光波長λは一定値λcであるが、駆動電流Ifが増減すると波長λも長短に変化する。
図12は、半導体レーザの駆動電流If(mA)とジャンクション温度T(℃)との関係を示す線図である。但し、環境温度が一定な場合である。このように半導体レーザの駆動電流Ifとジャンクション温度Tとも、ある範囲では比例関係がある。これは、駆動電流Ifが大きくなると発光点の発光によって発熱量が増加し、ジャンクション温度が上昇するためである。したがって、駆動電流Ifがある一定値Icのとき、ジャンクション温度Tは一定値Tcであるが、駆動電流Ifが増減するとジャンクション温度Tも高低に変化する。
図13は、半導体レーザの駆動電流Ifが一定な場合におけるジャンクション温度T(℃)と順方向電圧Vf(mV)及び発光波長λ(nm)との関係を示す線図である。
図11及び図12に示した特性から分かるように、半導体レーザの駆動電流Ifが一定な場合、ジャンクション温度Tと発光波長λとは、図13に破線で示すように比例関係にある。また、半導体レーザの順方向電圧Vfはジャンクション温度Tとは負の比例関係にある。これは、ジャンクション温度Tに応じて半導体レーザの順方向抵抗が変化するためであり、ジャンクション温度Tが高くなるほど、順方向抵抗は小さくなるため、駆動電流Ifが一定な場合の順方向電圧Vfは低下する。この特性は周囲温度に係わらない。
したがって、例えば駆動電流Ifが所定値(一定値)Icのときの半導体レーザの順方向電圧Vfを一定値Vfcに保つようにジャンクション温度Tを制御すれば、半導体レーザの発光波長λは一定値λcになる。
すなわち、半導体レーザの発光波長λを一定値λcに保持したい場合は、半導体レーザの順方向電圧Vfを一定値Vfcに保つようにジャンクション温度Tを制御すればよいことになる。
そのため、この発明においては、前述したように、半導体レーザ1の発光駆動中に、半導体レーザ1の駆動電流が所定値のときに相当する半導体レーザ1の順方向電圧Vfを検出する。
その方法として、所定の周期で駆動電流Ifを短時間だけ所定の一定値Icにして、その時の順方向電圧を検出する例について説明する。
図14はその順方向電圧の検出方法を説明するための図である。(a)に示すように、半導体レーザの駆動電流Ifを可変範囲で最小値から最大値まで時間的に変化させながら、この発明による温度制御を行わずに、周期tの駆動電圧検出タイミング毎に駆動電流Ifを短時間だけ所定値Ic(例えば100mA)にする。そのときの順方向電圧Vfの検出値及びジャンクション温度Tの関係を(b)に示している。
このように、半導体レーザの順方向電圧Vfとジャンクション温度Tとは負の比例関係にあるから、半導体レーザの発光波長が所定の値になるジャンクション温度が得られるように、上記順方向電圧Vfの検出によってジャンクション温度をモニタして、その温度を制御すればよい。
そのため、半導体レーザの発光波長λが所望の値になるジャンクション温度Tに対応する上記順方向電圧Vfに相当する電圧を基準値Vfrとする。そして、実際に検出される順方向電圧Vfがその基準値Vfrより高いときは、半導体レーザを冷却(周囲温度による冷却も含む)し、低いときは半導体レーザを加熱(周囲温度による加熱も含む)して、検出される順方向電圧Vfが基準値Vfrになるように温度制御すればよい。
それによって、半導体レーザの駆動電流Ifすなわち光出力Lが変化しても、発光波長を一定に保持することができる。
また、前述したように、光出力設定値に応じた駆動電流で半導体レーザを駆動している状態のままで、その順方向電圧を計測し、その電圧を演算又はテーブルを用いて、半導体レーザの駆動電流が所定値Icのときに相当する順方向電圧(Vfcとする)に変換して検出することもできる。
前述したように、半導体レーザの順方向電圧は、ジャンクション温度に応じた順方向抵抗によって発生し、駆動電流に比例する。そこで、ある順方向抵抗Rfの時に、光出力設定値に応じた駆動電流Ifで検出した順方向電圧Vfは、Vf=If・Rfであるから、Rf=Vf/Ifになる。このとき、駆動電流が所定値Icであった場合に相当する順方
向電圧Vfcは、Vfc-=Ic・Rf=Vf(Ic/If)になるはずである。
駆動電流の所定値Icを予め決めておけば、発光中の半導体レーザの駆動電流Ifの値と、そのときの順方向電圧Vfの値から、駆動電流が所定値Icのときに相当する順方向電圧Vfcを容易に算出することができる。
さらに、予め予測できる駆動電流Ifの値と、そのときの順方向電圧Vfの値から、順方向電圧Vfcの値を算出してテーブルとして記憶しておけば、駆動電流Ifとそのときの順方向電圧Vfから、テーブルルックアップによって直ちに駆動電流が所定値Icのときに相当する順方向電圧Vfcを得ることができる。
このようにすれば、半導体レーザの発光に何等影響を与えずに、駆動電流が所定値のときに相当する順方向電圧を検出することができる。
次に、この発明による半導体レーザ装置および半導体レーザの駆動方法の具体的な実施例を、図5〜図9によって説明する。
図5は、この発明による半導体レーザ装置の第1実施例のハード構成を示すブロック回路図である。この第1実施例は、図1に示した半導体レーザ装置における温度制御手段4を、図2に示した例の構成にした場合の具体例に相当する。
図5に示す半導体レーザ装置は、半導体レーザ1と、光出力設定部9、制御部10、ヒータ11、レーザ駆動回路12、順方向電圧検出回路13、ヒータ駆動回路14、および電源部15を備えている。
この第1実施例における光出力設定部9は、図1における光出力設定手段5に相当する。
制御部10は、簡単な比較回路と差動増幅回路、タイミング信号発生回路及び上記順方向電圧Vfの基準値Vfrを記憶又は発生する回路等で構成することもできるが、安価なマイクロコンピュータを使用するとよい。
予め、半導体レーザ1を一定電流Ic(例えば100mA)で発光波長が所定値(一定波長)になるように発光駆動させた場合に、順方向電圧検出回路13で検出される順方向電圧に相当する電圧を基準値Vfrと設定する。その設定は、基準値Vfrをメモリに記憶しておくか、定電圧源などによって発生できるようにしておく。この基準値Vfrを可変設定できるようにしてもよい。
制御部10に光出力設定部9によって外部から光出力設定値が設定され、発光指示(レーザ発光駆動ON)がなされると、制御部10が、電源部15から給電されるレーザ駆動回路12を動作させる。そして、レーザ駆動回路12に、光出力設定値に応じた駆動電流Ifを半導体レーザ1に順方向に流して発光駆動させる。抵抗Rは保護抵抗である。また、制御部10は、図14に示した周期tごとの検出タイミングで、半導体レーザ1に流す電流を短時間だけ所定値(一定値)Icにするようにレーザ駆動回路12を制御する。
光出力設定部9は、例えば、ON/OFFスイッチと、ダイヤルを有する可変抵抗器(ボリューム)を備えた設定回路からなる。そして、人が外部からON/OFFスイッチを操作してレーザ発光駆動のON/OFF指示をすることができ、ダイヤルを回すことによって、その回転位置に応じた抵抗値で任意の光出力値を設定することができる。
順方向電圧検出回路13は、この例ではオペアンプによるボルテージホロワ回路であり、半導体レーザ1に印加される順方向電圧Vfをインピーダンス変換して検出し、制御部10へ入力させる。制御部10は、半導体レーザ1の駆動電流を所定値Icにした検出期間に順方向電圧検出回路13から入力した順方向電圧Vfだけを取り込む。
そして、その順方向電圧Vfと前述した基準値Vfrとを比較して、差がある場合は、その差をなくして順方向電圧Vfを一定に保つように、電源部15から給電されるヒータ
駆動回路14を制御し、加熱部材であるヒータ11に流す電流を制御して、半導体レーザ1に対する加熱または冷却を制御する。
それによって、半導体レーザ1のジャンクション温度を一定に制御して、光出力設定値に対応する光出力で且つ一定波長で発光させることができる。
ヒータ11は、半導体レーザ1のごく近傍に配置した、小さい抵抗線ヒータや赤外線ランプなどである。
半導体レーザ1の発光波長を一定に制御するためにはジャンクション温度を一定に制御する必要があるが、この第1実施例では、ジャンクション温度を下げるのは、ヒータ11による加熱をしないことにより、発光点の発光による発熱を周囲に放熱させる空冷による。
しかし、前述したように、半導体レーザは一般に、発光点のジャンクション温度が室温(例えば25℃)よりかなり高い温度で所定の発光波長で発光する。そのため、半導体レーザ1をヒータ11によってある程度加熱した状態で、半導体レーザ1が所定の発光波長で発光して、検出される順方向電圧Vfが基準値Vfrとなるようにしておく。
そして、検出される順方向電圧Vfが基準値Vfより大きくなったら、図13から分かるようジャンクション温度が低くなったので、ヒータ11による加熱量を増加させる。逆に、検出される順方向電圧Vfが基準値Vfより小さくなったらジャンクション温度が高くなったので、ヒータ11による加熱量を減少させるようにすればよい。
この場合、ジャンクション温度を一定、すなわち発光波長を所定の波長に制御できる光出力の最大値は、ヒータ11を完全にOFFにした状態で、駆動電流に応じた発光点の発熱量と周囲温度に応じた放熱量とがバランスして、一定温度を保てる駆動電流値に相当する光出力までとなる。
この第1実施例の半導体レーザ装置において、レーザ駆動回路12、順方向電圧検出回路13、およびヒータ11とヒータ駆動回路14、それらを制御する制御部10とによって、図1における発光駆動手段2、順方向電圧検出手段3、および温度制御手段4の機能を果している。また、ヒータ11が図2における加熱部材41に相当し、ヒータ駆動回路14とそれを制御する制御部10とによって加熱制御部42の機能を果している。
この第1実施例の半導体レーザ装置による半導体レーザの駆動方法を、図6に示すフロー図によって説明する。これは、図5に示した制御部10がマイクロコンピュータを有する場合の処理例である。
図5における光出力設定部9によって制御部10に光出力設定値が入力され、発光指示(レーザ発光駆動ONの指示)がなされると、制御部10は図6に示した処理を開始する。
制御部10はまず、光出力設定部9によって任意に設定して入力された光出力設定値をステップS0で取り込む。これが外部より光出力設定値を入力する光出力設定工程に相当する。そして、ステップS1で光出力設定値に応じた駆動電流Ifでレーザ駆動回路12に半導体レーザ1を発光駆動させる。これが発光駆動工程に相当する。
その後、ステップS2で検出タイミングになるのを待ち、検出タイミングになったら、ステップS3で所定の短時間だけ駆動電流を所定値Icにして、順方向電圧を検出する。これは、図5における順方向電圧検出回路13によって検出される順方向電圧Vfを制御部10が取り込むことである。これが順方向電圧検出工程に相当する。
そして、ステップS4でその順方向電圧Vfと前述した基準値Vfrとを比較する。Vf>Vfrであれば、図13から分かるようジャンクション温度が低くなったので、ステップS5でヒータ11をONにする。Vf>Vfrでなければ、ジャンクション温度が適
切であるか高くなったので、ステップS6でヒータ11をOFFにする。
これが順方向電圧の検出値に応じて加熱部材または冷却部材(この例では加熱部材であるヒータ11)を駆動し、半導体レーザ1を加熱または冷却してその温度を制御する温度制御工程に相当する。この第1実施例では、半導体レーザ1の冷却は、一般には周囲温度が室温で発光中の半導体レーザ1の温度より低いので、ヒータ11をOFFにすることによって、周囲への放熱によってなされる。
その後、ステップS7でレーザOFFの指示があったと判断するまで、ステップS0へ戻って上述の処理を繰り返し、一定周期ごとにVf>Vfrか否かの判断結果によるヒータ11のON/OFFの制御を繰り返す。したがって、ヒータ11をON又はOFFにした状態が、少なくとも1周期間は継続する。ステップS7でレーザOFFの指示があったと判断すると、ステップS8でレーザ発光駆動をOFFにして、処理を終了する。
半導体レーザ1の発光中に光出力設定部9によって光出力設定値が変更されると、ステップS0でその新たな光出力設定値を取り込んで、ステップS1でその新たな光出力設定値に応じた駆動電流Ifで半導体レーザ1を発光駆動させる。したがって、発光出力強度を容易に可変することができる。
半導体レーザ1が所定の波長で発光しているときには、Vf=Vfrになる。その場合はVf>Vfrではないので、ヒータ11をOFFにする。それによって、ジャンクション温度が周囲への放熱によって幾分低下するため、以後の検知タイミングでは、順方向電圧Vfが幾分上昇して、Vf>Vfrになってヒータ11をONにする可能性がある。したがって、半導体レーザ1が略所定の波長で発光しているときでも、間欠的にヒータ11をONにして、半導体レーザ1を加熱することになる。
VfがVfrに対して大きくなるほど、ヒータ11をONにする時間が長く(又は頻度が高く)なって加熱量が増加し、VfがVfrに対して小さくなるほど、ヒータ11をONにする時間が短く(又は頻度が低く)なって加熱量が減少する。
このように、周期的に半導体レーザ1の順方向電圧Vfをモニタし、Vf>Vfrの判断結果に応じてヒータ11をON又はOFFにするだけの単純な処理で、検出される順方向電圧Vfが略一定になるように、半導体レーザ1の温度を制御することができる。
このようにして、半導体レーザ1のジャンクション温度を常に略一定に制御することによって、半導体レーザ1の光出力設定値が変更されてその発光強度が変っても、発光波長を常に略一定に保つことができる。
上述の制御に加えて、Vf>Vfrの場合に、その差(Vf−Vfr)の大きさに応じてヒータ11のON電流を増減させるようにすれば、Vf=Vfrになるまでの時間を短縮することが可能である。
図7は、この発明による半導体レーザ装置の第2、第3実施例を説明するためのハード構成を示すブロック回路図であり、図5と同じ部分には同一の符号を付してある。なお、制御部10の機能は、図5に示した第1実施例の制御部10と相違する点もあるが、便宜上同一の符号を付している。
この図7におけるヒータ11とヒータ駆動回路14を省いたものが第2実施例であり、図1に示した半導体レーザ装置における温度制御手段4を、図3に示した例の構成にした場合の具体例に相当する。そのため、半導体レーザ1のごく近傍に、冷却部材43としてペルチェ素子17を配置し、制御部10に制御されてペルチェ素子17を駆動するペルチェ素子駆動回路18を設けている。
図7におけるヒータ11とヒータ駆動回路14を省いた第2実施例は、半導体レーザを
高温環境で使用する場合や、動作温度を変えることによって発振波長(発光波長)が広い範囲で変化する半導体レーザを、比較的短い波長で発光させる場合に使用するとよい。
そして、半導体レーザ1の発光動作中に、その順方向電圧Vfを検出して、それを基準値Vfrと比較する。そして、その大小関係又はさらにその差の値に応じて、ペルチェ素子駆動回路18によって、ペルチェ素子17の駆動を制御する。それによって、半導体レーザ1のジャンクション温度を一定に保つように制御し、発光波長を一定に維持することができる。
なお、この場合の基準値Vfrは、この実施例の半導体レーザ1が所定の駆動電流Icで所定の発光波長で発光しているときに、順方向電圧検出回路13によって検出される順方向電圧Vfに相当する電圧である。
この第2実施例の半導体レーザ装置においては、ぺルチェ素子17とぺルチェ素子駆動回路18と、それを制御する制御部10とによって、図1における温度制御手段4の機能を果している。
また、ぺルチェ素子17が図3における冷却部材43に相当し、ぺルチェ素子駆動回路18とそれを制御する制御部10とによって、冷却制御部44の機能を果している。それ以外は第1実施例と同様である。
この第2実施例における温度制御手段である制御部10等は、順方向電圧検出回路13によって検出される順方向電圧Vfに応じて冷却部材であるぺルチェ素子17を駆動し、半導体レーザ1を加熱または冷却してその温度を制御する。この場合の半導体レーザ1の加熱は、ぺルチェ素子17を駆動しないときの主に半導体レーザの発光による発熱によるが、周囲温度が半導体レーザ1の温度より高いときには、周囲からの吸熱によってもなされる。
この第2実施例の半導体レーザ装置による半導体レーザの駆動方法を、図8に示すフロー図によって説明する。これも、図7に示した制御部10がマイクロコンピュータを有する場合の処理例である。
図7における光出力設定部9によって制御部10に光出力設定値が入力され、発光が指示(レーザ発光駆動ONの指示)がなされると、制御部10は図8に示した処理を開始する。
ステップS10〜ステップS13及びステップS17、S18は、図6におけるステップS0〜ステップS3及びステップS7、S8と同じであるから、説明を省略する。
図8の処理において図6の処理と異なるのは温度制御工程に相当するステップS14〜S16である。
図8のステップS14では、検出した順方向電圧Vfと基準値Vfrとを比較して、Vf<Vfrか否かを判断する。その結果、Vf<Vfrであった場合には、図13から分かるようにジャンクション温度が高くなったので、ステップS15でペルチェ素子17をONにする。Vf<Vfrでなければ、ジャンクション温度が適切であるか低くなったので、ステップS16でペルチェ素子17をOFFにする。
ペルチェ素子17がONになると、その冷却作用によって半導体レーザ1を冷却する。ペルチェ素子17がOFFになると、その冷却作用がなくなるので、半導体レーザ1の発光による発熱と、周囲温度が半導体レーザ1の温度より高い場合には周囲からの吸熱によっても加熱されることになる。
その後、ステップS17でレーザOFFの指示があったと判断するまで、ステップS10へ戻ってステップS17までの処理を繰り返し、一定周期ごとにVf<Vfrか否かの判断結果によるペルチェ素子17のON/OFFの制御を繰り返す。したがって、ペルチ
ェ素子17をON又はOFFにした状態が、少なくとも1周期間は継続する。ステップS17でレーザOFFの指示があったと判断すると、ステップS18でレーザ発光駆動をOFFにして、処理を終了する。
半導体レーザ1が所定の波長で発光しているときには、Vf=Vfrになるが、その場合はVf<Vfrではないので、ペルチェ素子17をOFFにする。それによって、ジャンクション温度が発光による発熱量が周囲への放熱量より多くなるか、周囲から吸熱すると幾分上昇する。そのため、以降の検知タイミングでは順方向電圧Vfが幾分低下して、Vf<Vfrになってペルチェ素子17をONにする可能性がある。したがって、半導体レーザ1が略所定の波長で発光しているときでも、間欠的にペルチェ素子17をONにして、半導体レーザ1を冷却することになる。
VfがVfrに対して小さくなるほど、ペルチェ素子17をONにする時間が長く(又は頻度が高く)なって冷却量が増加し、VfがVfrに対して大きくなるほど、ペルチェ素子17をONにする時間が短く(又は頻度が低く)なって冷却量が減少する。
このように、周期的に半導体レーザ1の順方向電圧Vfをモニタして、Vf<Vfrの判断結果に応じてペルチェ素子17をON又はOFFにするだけの単純な処理で、検出される順方向電圧Vfを略一定に保つように半導体レーザ1の温度を制御することができる。
このようにして、半導体レーザ1のジャンクション温度を常に略一定に制御することによって、半導体レーザ1の光出力設定値が変更されてその発光強度が変っても、発光波長を常に略一定に保つことができる。
上述の制御に加えて、Vf<Vfrの場合に、その差(Vfr−Vf)の大きさに応じてペルチェ素子17のON電流を増減させるようにすれば、Vf=Vfrになるまでの時間を短縮することが可能である。
次に、図7に示した半導体レーザ装置の全てを有する第3実施例について説明する。
この第3実施例は、図1に示した半導体レーザ装置における温度制御手段4を、図4に示した例の構成にした場合の具体例に相当する。
したがって、この第3実施例は前述した第1実施例の機能と第2実施例の機能とを兼ね備えている。すなわち、この実施例における温度制御手段である制御部10等は、順方向電圧検出回路13による半導体レーザ1の順方向電圧の検出値に応じて、加熱部材であるヒータ11と冷却部材であるペルチェ素子17を駆動し、半導体レーザ1を加熱または冷却してその温度を制御する。
そのため、この半導体レーザ装置は、使用環境の温度(周囲温度)に係わらず、光出力設定値を広い範囲で可変できる。また、半導体レーザの発光波長の選択範囲も広くなると共に、選択した発光波長からずれた場合の修正も迅速に行うことができる。
この第3実施例の半導体レーザ装置による半導体レーザの駆動方法を、図9に示すフロー図によって説明する。これも、図7に示した制御部10がマイクロコンピュータを有する場合の処理例である。
図7における光出力設定部9によって制御部10に光出力設定値が入力され、発光が指示(レーザ発光駆動ONの指示)がなされると、制御部10は図9に示した処理を開始する。
ステップS20〜ステップS23及びステップS28、S29は、図6におけるステップS0〜ステップS3及びステップS7、S8と同じであるから、説明を省略する。
図9の処理において図6の処理と異なるのは、温度制御工程に相当するステップS24〜S27である。
図9のステップS24では、検出した順方向電圧Vfと基準値Vfrとを比較して、|Vf−Vfr|≦ΔVか、Vfr−Vf>ΔVか、Vf−Vfr>ΔVかを判断する。ΔVは、VfとVfrの差の許容誤差範囲を示す値である。
したがって、|Vf−Vfr|≦ΔVであれば、VfとVfrの差が許容誤差範囲内であり、ジャンクション温度が略目標の発光波長に対応する適切な温度であることになる。そのため、このときはステップS25へ進んでヒータ11をOFFにし、ペルチェ素子17もOFFにする。
Vfr−Vf>ΔVのときは、VfがVfrより許容誤差範囲を超えて低く、図13から分かるようジャンクション温度が適切な温度より高いことになる。そのため、ステップS26へ進んで、ヒータ11をOFFにし、ペルチェ素子17をONにして半導体レーザ1を冷却する。
Vf−Vfr>ΔVのときは、VfがVfrより許容誤差範囲を超えて高く、図13から分かるようジャンクション温度が適切な温度より低いことになる。そのため、ステップS27へ進んで、ヒータ11をONにし、ペルチェ素子17をOFFにして半導体レーザ1を加熱する。
その後、ステップS28でレーザOFFの指示があったと判断するまで、ステップS21へ戻ってステップS28までの処理を繰り返し、一定周期ごとにVfとVfrを比較して、その判断結果に応じてヒータ11とペルチェ素子17のON/OFFの制御を繰り返す。したがって、ヒータ11とペルチェ素子17のいずれか一方をON又は両方をOFFにした状態が、少なくとも1周期間は継続する。ステップS28でレーザOFFの指示があったと判断すると、ステップS29でレーザ発光駆動をOFFにして、処理を終了する。
この実施例では、半導体レーザ1が所望の波長で発光しているときには加熱も冷却も行わない。半導体レーザ1の発光中におけるジャンクション温度は、発光による発熱によって周囲温度よりかなり高くなっているので、その発熱量と周囲への放熱量とがバランスしている場合はその状態を維持する。
しかし、発熱量が放熱量より多い場合は、ジャンクション温度が除々に上昇し、以後の周期的な検知タイミングでVfr−Vf>ΔVになり、ペルチェ素子17をONにして冷却することが必要になる。逆に、発熱量より放熱量が多い場合は、ジャンクション温度が除々に低下し、以後の検知タイミングでVf−Vfr>ΔVになり、ヒータ11をONにして加熱することが必要になる。
このようにして、半導体レーザ1のジャンクション温度を常に略一定に制御することにより、半導体レーザ1の光出力設定値が変更されてその発光強度が変っても、発光波長を常に略一定に保つことができる。
上述の制御に加えて、Vfr−Vf>ΔV又はVf−Vfr>ΔVの場合に、その差(|Vfr−Vf|)の大きさに応じてヒータ11又はペルチェ素子17のON電流を増減させるようにすれば、|Vf−Vfr|≦ΔVになるまでの時間を短縮することが可能である。
図5〜図9によって説明した第1〜第3実施例においては、いづれも半導体レーザの発光駆動中に周期的に短時間だけ所定値Icにして、半導体レーザの順方向電圧Vfを検出するようにしている。しかし、その周期は一定でなくてもよい。例えば、外部から光出力設定値が変更されたときに、その時点から所定期間だけ、または順方向電圧Vfの検出値が安定するまでの間だけ、周期的に短時間だけ所定値Icにして順方向電圧Vfを検出するようにしてもよい。その場合、光出力設定値が変更された時点からの時間経過に伴って、その周期を次第に長くしてもよい。
あるいは、前述したように、光出力設定値に応じた駆動電流で半導体レーザを駆動している状態のままで、所定の周期又は任意のタイミングでその順方向電圧を計測し、その電圧を演算又はテーブルを用いて、半導体レーザの駆動電流が所定値Icのときに相当する順方向電圧に変換して検出するようにしてもよい。
以上、この発明の各種の実施形態について説明してきたが、これらの構成は特許請求の範囲の各請求項に規定した事項を満たす範囲で、適宜変更や追加又は一部を省略したり、組み合わせたりすることが可能である。
この発明による半導体レーザの駆動方法及び半導体レーザ装置は、CDやDVD等の光ピックアップ、複写機やレーザプリンタ等の光書込装置、光ファィバを用いた光通信装置、各種測定機器やレーザ加工機、レーザポインタやプロジェクタなど、広範な民生用機器及び産業用機器、あるいは医療用機器などに利用可能である。
1:半導体レーザ 2:発光駆動手段 3:順方向電圧検出手段
4:温度制御手段 5:光出力設定手段 9:光出力設定部
10:制御部 11:ヒータ 12:レーザ駆動回路
13:順方向電圧検出回路 14:ヒータ駆動回路 15:電源部
17:ぺルチェ素子 18:ぺルチェ素子駆動回路 41:加熱部材
42:加熱制御部 43:冷却部材 44:冷却制御部

Claims (4)

  1. 外部より光出力設定値を入力し、
    その光出力設定値に応じた駆動電流で半導体レーザを駆動して、前記光出力設定値に対応する光出力強度で発光させ、
    前記半導体レーザの発光中に、その駆動電流が所定値のときに相当する該半導体レーザの順方向電圧を検出し、
    その順方向電圧の検出値に応じて加熱部材または冷却部材を駆動し、前記半導体レーザを加熱または冷却してその温度を制御するものであって、
    前記外部から入力された光出力設定値に応じた光出力強度で前記半導体レーザを発光させるとともに、前記順方向電圧の検出値が一定になるように前記半導体レーザの温度を制御して、該半導体レーザの発光波長を一定にすることを特徴とする半導体レーザの駆動方法。
  2. 前記半導体レーザの順方向電圧は、前記半導体レーザの駆動電流を周期的に短時間だけ前記所定値にして行う、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザの駆動方法。
  3. 外部より光出力設定値を入力する光出力設定手段と、
    半導体レーザと、
    前記光出力設定値に応じた駆動電流で前記半導体レーザを駆動して、前記光出力設定値に対応する光出力強度で発光させる発光駆動手段と、
    前記半導体レーザの発光中に、その駆動電流が所定値のときに相当する該半導体レーザの順方向電圧を検出する順方向電圧検出手段と、
    その記順方向電圧の検出値に応じて加熱部材または冷却部材を駆動し、前記半導体レーザを加熱または冷却してその温度を制御する温度制御手段と、を備え、
    前記外部から入力された光出力設定値に応じた光出力強度で前記半導体レーザを発光させるとともに、前記順方向電圧の検出値が一定になるように前記半導体レーザの温度を制御して、該半導体レーザの発光波長を一定にするようにしたことを特徴とする半導体レーザ装置。
  4. 前記順方向電圧検出手段における前記半導体レーザの順方向電圧の検出は、前記半導体レーザの駆動電流を周期的に短時間だけ所定値にして行う、ことを特徴とする請求項3に記載の半導体レーザ装置。
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