JP2014141433A - 持続性唾液分泌促進組成物及びそれを内溶液とする軟カプセル剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】サンショウ属に属する植物の果実から得られるサンショウ抽出物、及び、メントールを含有することを特徴とする持続性唾液分泌促進組成物、及び、更に植物油を含有する上記の持続性唾液分泌促進組成物、並びに、上記持続性唾液分泌促進組成物を内溶液とすることを特徴とする軟カプセル剤。
【選択図】図5
Description
かかる観点から、梅干、梅酢、有機酸、羅漢果、ビタミン類等を利用した唾液分泌促進剤が報告されている(特許文献1〜5)。
また、サンショウ属に属する植物からの抽出物を含有する唾液分泌促進剤であっても、従来の唾液分泌促進剤は、口腔内に摂取したときに、口腔内、特に舌が麻痺したり、一次的な舌のシビレを感じたりするという問題点があった。そして、かかる「シビレ」を生じさせない程度にその摂取量を減らすと、唾液分泌効果が得られなくなってしまうという問題点もあった。また、唾液分泌効果の持続性も十分ではなかった。
また、サンショウ抽出物の摂取量が少なくても、すなわち、唾液分泌促進組成物中のサンショウ抽出物の含有量が少なくても、唾液分泌促進効果が減少しない唾液分泌促進剤を提供できる。
すなわち、本発明は、「持続性唾液分泌促進組成物」を提供できる。
また、唐辛子や酸のように、味覚を極めて強く刺激する辛味や酸味に起因する唾液分泌促進作用ではなく、味覚刺激が比較的弱いにも関わらず、強い唾液分泌促進作用を有している唾液分泌促進組成物を提供できる。
また、唐辛子や酸と異なり、刺激が殆どないことから、本発明の持続性唾液分泌促進組成物を添加する食品の本来の味風や味を大きく邪魔しない等の利点がある。
本発明の持続性唾液分泌促進剤は、唾液の分泌量に依存する口腔内の乾燥を長時間にわたり防止するだけでなく、刺激に弱い高齢者等の嚥下障害の改善にも有用である。
口腔疾患は美味しさを低下させるが、本発明の持続性唾液分泌促進剤を食事前や食事中に摂取することで、唾液の分泌を促し、食生活を改善し、クオリティ・オブ・ライフを高めることができる。
本発明の軟カプセル剤によれば、前記した「本発明の持続性唾液分泌促進剤の効果」をより容易に効果的に享受することが可能となる。
サンショウ属に属する植物の果実から「サンショウ抽出物」を抽出する方法は、有効成分を溶媒に溶解させることにより抽出できれば、抽出方法に特に限定はなく、抽出溶媒を用いた撹拌・振盪・浸漬抽出法、圧搾抽出法、水蒸気蒸留抽出法、超臨界抽出法等が挙げられる。
これらは、1種又は2種以上を混合して用いられる。
食用に好ましくない抽出溶媒は、抽出後に留去又は溶媒交換をすることが好ましい。
また、後述する「本発明の持続性唾液分泌促進組成物中に、更に含有させることが好ましい植物油」と同一又は類似のものを用いることも特に好ましい。
植物油としては、胡麻油、大豆油、菜種油、サフラワー油、米油、オリーブ油、亜麻仁油、パーム油等が、また、植物油を加工した加工油脂としては、中鎖脂肪酸のグリセリンエステル等が挙げられる。ここで「液状油脂」とは、25℃で液状の油脂をいう。
これらの中でも、植物油である胡麻油が、上記点から特に好ましい。
更に、本発明における「サンショウ抽出物」は、サンショウ属に属する植物の乾燥果実から種子を除いたもの100質量部に対して、抽出油脂3〜25質量部を加えて圧搾処理をして得たものであることが、有効成分を多く抽出でき効率が良い、有効成分が抽出油脂で不必要に希釈されない、不要成分が抽出又は混入され難い等の点から好ましい。
特に、メントールを含有しないと、「サンショウ抽出物」の含有量を増やしていって(持続性)唾液分泌促進効果が出てきた段階では、「シビレ」が発生してしまい、両立ができないが、メントールを含有させると、(持続性)唾液分泌促進効果があり、かつ、「シビレ」が発生しない、という組成が存在するようになる。
このような「サンショウ抽出物による『シビレ』」を緩和する又は感じ難くする効果は、ショ糖、合成甘味料等の甘味料;果汁、クエン酸、酢酸等の酸類(含有液);等の併用(配合)では達成できず、メントール独特の効果である。
植物油は、本発明の持続性唾液分泌促進組成物おいて、前記したサンショウ抽出物及びメントールの希釈剤として用いることも好ましく、その場合には、サンショウ抽出物とメントールオイル以外のほぼ残量が植物油となる。
柑橘系の風味を有する風味材としては、上記点からレモンフレーバーがより好ましい。
すなわち、かかる含有比であると、「シビレ」を感じさせずに唾液分泌促進効果(特に持続性唾液分泌促進効果)を奏する持続性唾液分泌促進組成物が得られる。
また、該持続性唾液分泌促進組成物全体に対して、l−メントールを、0.15質量%メントールオイル換算で0.5〜1.5質量%で含有することが特に好ましい。
すなわち、例えば、l−メントール濃度が2倍の0.30質量%メントールオイルを調製に用いた場合は、該メントールオイルを、半分の0.125〜0.75質量%で含有することが好ましい。
また、従来、ドライマウス患者が食べ難かった食品、例えば、クッキー、ケーキ等の焼き菓子類;パン;冷凍食品;麺類;等に配合することで、患者の食生活が改善され、クオリティ・オブ・ライフが向上する。
また、本発明の軟カプセル剤の内溶液中の、サンショウ抽出物の配合量は、唾液分泌促進効果、持続性、「シビレ」の抑制等の点から、サンショウ属に属する植物の乾燥果実から種子を除いたもの換算で、0.1〜5質量%で含有することが好ましく、0.12〜3質量%で含有することが特に好ましい。
そして内溶液は、ゼラチン、グリセリン、水、二酸化チタン、着色剤、カラギーナン、寒天、デンプン類、セルロース類、糖アルコール類、酵母粉末等を配合して調製した皮膜に充填することが好ましい。
平均粒径が上記範囲であると、口腔内で潰し易い、口腔内に剤皮が異物として残らない又は気にならない、保存中に壊れ難い、製造が容易である、保存性が良好である、取り扱い易い、等の点から好ましい。
皮膜の厚さの下限がこれ以上であると、保存中に壊れ難い、製造が容易である、保存性が良好である、取り扱い易い等の効果がある。
一方、皮膜の厚さの上限がこれ以下であると、口腔内で潰し易い、口腔内に剤皮が異物として残らない又は気にならない、製造が容易である等の効果がある。
通常の軟カプセル剤を摂取するときは、普通は飲み込むが、本発明の軟カプセル剤は、口腔内で潰して摂取する。従って、口腔内で潰す場合の特性を考慮して設計する必要がある。
本発明の軟カプセル剤の種類や製造方法は、特に限定はないが、シームレス式成型機を用いた軟カプセル剤(以下、「シームレスカプセル剤」と略記する)が、カプセル皮膜の厚さをより薄くすることができる等の点から特に好ましい。
図5に示した通り、皮膜の最外周壁を「剤皮」を定義する。本発明の軟カプセル剤(特に好ましくはシームレスカプセル剤)は、剤皮が口腔内に異物として残らない又は気にならないことが特長である。
シームレスカプセル剤16の皮膜を形成する基材としては、例えば、ゼラチン、寒天、デンプン、カラギーナン、これらの混合物等が挙げられるが、皮膜を形成できるものであれば、特にこれらに限定はされない。皮膜には、可塑剤、増粘剤、色素、これらの混合物等を配合することができる。
図6にその先端を示すシームレスカプセル式の成型機を用い、第1ノズル11から内溶液12を供給し、第2ノズル13から皮膜の皮膜液14を供給して、各環状孔先端部から同時に押し出すことにより、冷却液15に放出させ、シームレスカプセル剤16を製造する。
また、1回に1〜5個摂取することが好ましく、1〜3個摂取することがより好ましく、1〜2個摂取することが特に好ましい。
また、1日に0.5回〜10回摂取することが好ましく、1回〜8回摂取することがより好ましく、2回〜6回摂取することが特に好ましい。
前述した通り、「持続性唾液分泌促進効果」とは、唾液が出始めてから4分以上経過しても、唾液が摂取前より出ている状態を保つ効果のことをいうが、本発明の「持続性唾液分泌促進組成物」は、4分〜20分の持続性を達成できる。
また、後で、水等を飲んでも、効果が持続する場合がある。
更に、本発明の効果は、「シビレ」を感じさせず、また持続的であることから、唾液の分泌量に依存する口腔内の乾燥を長時間にわたり防止し、高齢者の嚥下障害等を好適に改善することができる。
[評価検体の調製]
以下に示す成分(1)と(2)を、表1に示す含有量(質量%)で、成分(3)に配合し撹拌して、本発明の持続性唾液分泌促進組成物、及び、比較の持続性唾液分泌促進組成物(以下、「検体」と略記することがある)をそれぞれ調製した。
表1の成分(1)と(2)の含有質量%以外の残量は全て成分(3)である。
本製品は、サンショウ属(Zanthoxylum)に属する、Zanthoxylum bungeanum(華北山椒、花椒、中国山椒)の種子を除く乾燥果実100質量部に対して、胡麻油を10質量部加えて圧搾処理をして得たものである。
本製品は、l−メントールを食用溶媒に溶解したものであり、l−メントールを0.15質量%で含有するものである。
本製品は、無臭タイプの白胡麻油である。
男2名(58〜59歳)、女3名(27〜35歳)の被験者計5名を対象に、上記で調製した検体を0.5gずつ舐めてもらい、唾液分泌の有無、舌のシビレの有無についてアンケート調査をした。
[[唾液分泌]]
○:強く持続的に唾液分泌を認めた
△:やや持続的に唾液分泌を認めた
×:持続的な唾液分泌が認められなかった
○:舌にシビレを感じなかった
×:舌にシビレを感じた
表1中、各箱の左上は「唾液分泌」の判定結果であり、右下は「シビレ」の判定結果である。
これより、メントールオイルを(0.25質量%以上)含有する持続性唾液分泌促進組成物では、「シビレ」の原因になるサンショウ抽出物の含有量を減らしても、唾液分泌促進効果が減少しないことが分かった。
l−メントールに、サンショウ抽出物が有する唾液分泌促進作用を増加させる効果が認められた。
更に、かかる現象は、サンショウ抽出物を2.5質量%も含有する検体でも言え、メントールオイルを0.25質量%含有することで、その「シビレ」が認められなくなった。
これから、l−メントールには、サンショウ抽出物の有する強い持続性唾液分泌促進作用を維持しつつ、その欠点である「シビレ」を認めなくさせる効果があることが分かった。
[軟カプセル剤の調製]
評価例1で用いた各成分と同様の、サンショウ抽出物0.5質量%、メントールオイル1.5質量%、及び、胡麻油98質量%(残量)で含有する本発明の持続性唾液分泌促進組成物を内溶液(以下、「標準内溶液」と略記する場合がある)とし、ゼラチン15質量部、グリセリン10質量部、及び、水75質量部の皮膜液を用いて、1個の軟カプセル剤中に該標準内溶液を156mg〜160mgの範囲で含有する、直径7mmφのシームレス軟カプセル剤を作製した。
この軟カプセル剤の皮膜の厚さは、110μmであった。
男9名(37〜69歳)、女13名(28〜63歳)の被験者計22名を対象に、上記で作製した軟カプセル剤を1粒だけ摂取してもらい、
口中で噛んだときの感想(口中のさっぱり感等)
唾液の分泌促進の有無と量
唾液が分泌し始めた時期
唾液の分泌促進が持続している時間
を記録してもらった。
評価結果を図1に示す。横棒グラフのそれぞれの横棒の右の数字は、そう回答した人数を表す。
22人中17人が「唾液が出た」と回答し、そのうちの殆ど全員が、「後から後から唾液がたくさん出た」又は「唾液の量は比較的多かった」と回答した。
また、「唾液が出た」と回答した17人中の11人が、「4分以上唾液の分泌が持続した」と回答した。
このことは、評価した唾液分泌促進組成物に持続性があることを示している。
[軟カプセル剤の調製]
評価例2において内溶液として用いた標準内溶液に、下記のレモンフレーバー(成分(4))を配合して内溶液とした。
すなわち、評価例1で用いた各成分と同様の、サンショウ抽出物0.5質量%、メントールオイル1.5質量%、レモンフレーバー0.01質量%、及び、胡麻油97.99質量%(残量)で含有する本発明の持続性唾液分泌促進組成物を内溶液とした。
この軟カプセル剤の皮膜の厚さは、70μmであった。
男6名(42〜64歳)、女10名(28〜63歳)の被験者計16名を対象に、上記で作製した軟カプセル剤を1粒だけ摂取してもらい、
口中で噛んだときの感想(口中のさっぱり感等)
唾液の分泌促進の有無と量
唾液が分泌し始めた時期
唾液の分泌促進が持続している時間
を記録してもらった。
評価結果を図2に示す。横棒グラフのそれぞれの横棒の右の数字は、そう回答した人数を表す。
16人中15人が「唾液が出た」と回答した。
レモンフレーバーを配合すると、レモンフレーバーを配合しない場合に比較して、最終的な唾液の分泌については変わりないはずであるが、すぐに唾液が出てきたと回答した人の割合が増加した。
また、「唾液が出た」と回答した15人中の8人が、「4分以上唾液の分泌が持続した」と回答した。
このことは、評価した唾液分泌促進組成物に持続性もあることを示している。
[軟カプセル剤の調製]
評価例2において内溶液として用いた標準内溶液中のメントールオイルに代えて、クエン酸を同量用いた以外は、評価例2と同様にして軟カプセル剤を作製した。
すなわち、評価例1で用いた各成分と同様の、サンショウ抽出物0.5質量%、クエン酸1.5質量%、及び、胡麻油98質量%(残量)で含有する比較の持続性唾液分泌促進組成物を内溶液とした。
男3名(53〜60歳)、女6名(27〜60歳)の被験者計9名を対象に、上記で作製した軟カプセル剤を1粒だけ摂取してもらい、
口中で噛んだときの感想(口中のさっぱり感等)
唾液の分泌促進の有無と量
唾液が分泌し始めた時期
唾液の分泌促進が持続している時間
を記録してもらった。
評価結果を図3に示す。横棒グラフのそれぞれの横棒の右の数字は、そう回答した人数を表す。
9人中8人が「唾液が出た」と回答した。
しかしながら、「唾液が出た」と回答した8人中の7人が、「直ぐに唾液が出た」と回答し、全員が、3分までしか唾液の分泌が持続しなかった、と回答した。
このことは、評価した唾液分泌促進組成物に持続性がないことを示している。
[軟カプセル剤の調製]
評価例2において内溶液として用いた標準内溶液中のメントールオイルに代えて、ショ糖を同量用いた以外は、評価例2と同様にして軟カプセル剤を作製した。
すなわち、評価例1で用いた各成分と同様の、サンショウ抽出物0.5質量%、ショ糖1.5質量%、及び、胡麻油98質量%(残量)で含有する比較の持続性唾液分泌促進組成物を内溶液とした。
評価例4と同一被験者に、評価例4と同様に評価してもらった。
評価結果を図4に示す。横棒グラフのそれぞれの横棒の右の数字は、そう回答した人数を表す。
9人中7人が「唾液が出た」と回答した。
しかしながら、「唾液が出た」と回答した7人中の4人が、「直ぐに唾液が出た」と回答し、7人中の6人が、3分までしか唾液の分泌が持続しなかった、と回答した。
このことは、評価した唾液分泌促進組成物に持続性がないことを示している。
従来、ドライマウスや嚥下障害を有する患者にとって食べるのが困難だった食品に練り込む等することにより、食生活が改善され、その利用可能性は大きい。
また、本発明の利用可能性は、唾液分泌量が減少する高齢者の増加に伴い、ますます高まるものである。
12 内溶液
13 第2ノズル
14 皮膜液
15 冷却液
16 シームレスカプセル剤
Claims (10)
- サンショウ属に属する植物の果実から得られるサンショウ抽出物、及び、メントールを含有することを特徴とする持続性唾液分泌促進組成物。
- 上記サンショウ抽出物が、サンショウ属に属する植物の乾燥果実から種子を除いたもの100質量部に対して、抽出油脂3〜25質量部を加えて圧搾処理をして得たものである請求項1に記載の持続性唾液分泌促進組成物。
- 更に、植物油を含有する請求項1又は請求項2に記載の持続性唾液分泌促進組成物。
- 上記植物油が胡麻油である請求項3に記載の持続性唾液分泌促進組成物。
- 持続性唾液分泌促進組成物全体に対して、上記サンショウ抽出物を0.125〜2.5質量%、及び、l−メントールを、l−メントール濃度0.15質量%のメントールオイル換算で0.25〜1.5質量%含有する請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の持続性唾液分泌促進組成物
- 更に、柑橘系の風味を有する風味材を含有する請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の持続性唾液分泌促進組成物。
- 請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の持続性唾液分泌促進組成物を内溶液とすることを特徴とする軟カプセル剤。
- 上記内溶液が、少なくとも、上記サンショウ抽出物、l−メントール及び植物油を含有し、上記サンショウ抽出物、l−メントール及び植物油全体に対して、上記サンショウ抽出物を0.125〜2.5質量%、l−メントールを、l−メントール濃度0.15質量%のメントールオイル換算で0.25〜1.5質量%で含有する請求項7に記載の軟カプセル剤。
- 口腔内で潰して用いるものである請求項7又は請求項8に記載の軟カプセル剤。
- 平均粒径が0.5mm以上10mm以下であり、皮膜の厚さが20μm以上300μm以下である請求項7ないし請求項9の何れかの請求項に記載の軟カプセル剤。
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