JP2014134570A - 光塩基発生剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンを光塩基発生剤として含有する光塩基発生剤組成物を提供する。
【解決手段】波長250〜350nmの紫外光を選択的に吸収して、式(2)で表わされる塩基であるピペリジンを発生させる式(1)で表わされる光塩基発生剤であるN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジン:0.5〜10重量部と、該N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンを溶解する極性溶媒:99.5〜90重量部とからなり、該極性溶媒がアセトンと水とを85:15〜99:1の容量比で含有することを特徴とする光塩基発生剤組成物。
Figure 2014134570

【選択図】なし

Description

本発明は、特定波長の紫外線を感応して塩基を発生する新規な光塩基発生剤組成物に関する。
フォトレジストは、主として集積回路(ICパターン)を製造する際に、μm単位の微細画像(パターン)を形成するために用いられている。このようなフォトレジストは、一般に感光性樹脂とバインダー樹脂とからなり、写真フィルムと同様に、ネガ型フォトレジストおよびポジ型フォトレジストが知られている。回路パターンは、レジスト膜を基板上に形成した後、光または電離放射線をパターン状に照射し、現像することにより形成される。ネガ型レジストの場合は、露光部を現像剤に対して不溶化することにより、パターンが形成される。一方、ポジ型レジストの場合は溶剤不溶性の塗膜をパターン状に露光し、露光部を可溶化することによりパターンが形成される。
このようなネガ型フォトレジストまたはポジ型フォトレジストに加えて、ネガ・ポジ両用として使用可能なレジスト組成物もすでに提案されている。ネガ・ポジ両用型レジストは、たとえば現像剤を適宜に選択することによって、露光部を除去するか、あるいは残留させるかを任意にコントロールでき、ネガ型としてもポジ型としても使用が可能である。このようなネガ・ポジ両用型レジストはプロセス選択の幅が広いため、複雑化しつつある半導体産業において特に出現が切望されている材料のひとつである。
ネガ・ポジ両用型レジストとして、近年、化学増幅系レジストが提案されており、たとえば特開昭60−52845号公報(特許文献1)には、シリル基を有するポリマーと、光または電離放射線によりカチオン種またはアニオン種を発生する化合物とからなるパターン形成材料が開示されている。また特公平2−27660号公報(特許文献2)には、カルボン酸のt−ブチルエステルまたはフェノールのt−ブトキシカルボニル(t−BOC)基を有する重合体と、光照射によって酸を発生する光重合開始剤とからなるレジスト組成物が開示されている。
しかしながら、上記公報のようなネガ・ポジ両用型レジストは、露光部と非露光部の特性のバランスにばらつきがあり、特に高精度のパターン形成が要求される大規模集積回路の製造においては、さらなる改良が必要である。
上記のようなネガ・ポジ両用型レジストにおいては、通常、光酸発生剤が使用されており、光照射によってプロトンを発生するジアリールヨードニウムおよびトリアリールスルホニウムなどが知られている。
フォトレジスト関連の分野では、光照射によって、アミン等の塩基を発生する物質、すなわち光塩基発生剤を有効に活用することも検討されている。光照射によって塩基を発生する化合物としては、たとえば、J. Electrochem. Soc., 134, 2280 (1987)、J. Polym. Sci., Part C: Polym. Lett., 25, 417 (1987)、Eur. Polym. J., 25, 1079 (1989)、Polym. Pre. Jpn., 41, 816 (1992)、J. Imaging Sci., 34, 50 (1990)、Makromol. Chem., Rapid Commun., 6, 553 (1985)、J. Org. Chem., 55, 5919 (1991)およびJ. Photochem. Photobiol., A. Chem., 59, 105 (1991)(非特許文献1〜8)に記載された化合物などが知られている。また、J. Am. Chem. Soc., 113, 4303 (1991)(非特許文献9)には、光塩基発生剤の一つとして、後述する本発明に係る[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]アルキルアミンが開示されている。
特開平06−345711公報(特許文献3)およびSynthesis, 1 (1980)(非特許文献10)には、特定の式で示される光塩基発生剤が開示され、特許文献3には、該光塩基発生剤がi線(波長365nm)の波長領域において吸収ピークを有することが示されている。
特開昭60−52845号公報 特公平2−27660号公報 特開平06−345711号公報
J. Electrochem. Soc., 134, 2280 (1987) J. Polym. Sci., Part C: Polym. Lett., 25, 417 (1987) Eur. Polym. J., 25, 1079 (1989) Polym. Pre. Jpn., 41, 816 (1992) J. Imaging Sci., 34, 50 (1990) Makromol. Chem., Rapid Commun., 6, 553 (1985) J. Org. Chem., 55, 5919 (1991) J. Photochem. Photobiol., A. Chem., 59, 105 (1991) J. Am. Chem. Soc., 113, 4303 (1991) Synthesis, 1 (1980)
本願の発明者は上記のように、特性の波長の光線に対して感応性を有する光塩基発生剤としてN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンが好適であるとの知見を得ている。このN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンを光塩基発生剤として使用する場合には、このN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンを極性溶媒に溶解して使用する。そして、これまでは光塩基発生剤を溶解する極性溶媒は、光塩基発生剤を樹脂に効率よく混合するとの作用を有するものであり、塩基性の強度は、使用する光塩基発生剤の種類によって特定されるものであると考えられていた。
ところが、本発明で使用するN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンに限ってみると、使用する極性溶媒によって発生する塩基性が著しく変化するとの知見を得た。
従って本発明は、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンを光塩基発生剤として用いる場合に高い塩基性を発現することができる光塩基発生剤組成物を提供することを目的としている。
さらに本発明は、波長250〜350nmの紫外光を吸収して塩基を発生する光塩基発生剤組成物を提供することを目的としている。
本発明の光塩基発生剤組成物は、波長250〜350nmの紫外光を選択的に吸収して、式(2)で表わされる塩基であるピペリジンを発生させる式(1)で表わされる光塩基発生剤であるN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジン:0.5〜10重量部と、該N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンを溶解する極性溶媒:99.5〜90重量部とからなり、該極性溶媒がアセトンと水とを85:15〜99:1の容量比で含有することを特徴としている。
Figure 2014134570
本発明によれば、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンを使用する場合において、このN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンを特定の極性溶媒に溶解して使用することにより、高い光塩基性を得ることができる。ここで使用する極性溶媒は、アセトンおよび水を85:15〜99:1の容量比で混合した混合溶媒であり、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジン:0.5〜10重量部、この混合溶媒:99.5〜90重量部の量(両者の合計は100重量部である)で溶解した光塩基発生剤組成物は、他の溶媒を用いた場合と比し、非常に高い塩基性を示す。
特に本発明の光塩基発生剤組成物は、波長250〜350nmの紫外光を選択的に吸収して塩基を発生する光塩基発生剤組成物として好適である。
図1は、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンの1H−NMR分析のチャート図である。 図2は、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンの13C−NMR分析のチャート図である。 図3は、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンのIR吸収チャート図である。 図4は、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンのDSC測定チャート図である。 図5は、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンのUV吸収チャート図である。
以下、本発明の光塩基発生剤組成物について詳細に説明する。
本発明の光塩基発生剤組成物は、下記式(1)で表わされる構造を有するN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンと、特定の極性溶媒とからなる。本発明の光塩基発生剤を構成する下記式(1)で表されるN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンは、特定の短波長紫外線を選択的に吸収して下記式(2)で表される塩基性物質であるピペリジンを発生させる。
Figure 2014134570
本発明において、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンと共に光塩基発生剤組成物を構成する極性溶媒は特定容量比で混合されたアセトン(AC)および水である。
本発明において使用される極性溶媒は、アセトン(AC)と水とを85:15〜99:1の容量比、好ましくは90:10〜98:2の容量比で混合した混合極性溶媒である。本発明において極性溶媒としてアセトンを用いることは非常に重要であり、他の有機極性溶媒、例えばアセトニトリル(ACN)、ジオキサン(DOX)、テトラヒドロフラン(THF)等と水とを組合わせてもpH9以上の塩基性にすることはできない。即ち、本発明において水と組合わせて使用する有機極性溶媒としてアセトンは、種々の有機極性溶媒の中でも特異的であり、他の有機極性溶媒を用いても本発明で示すような効果を得ることはできない。
また、本発明においてアセトン(AC)と水との混合容量比も高い光塩基性を発現させる為には重要な要素であり、アセトン(AC)と水との合計容量100容量部中におけるアセトン(AC)の量が85容量部より少ないと、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンが溶解し難くなり、却ってpH値を低くすることになる。また、アセトン(AC)の量が99容量部を超えると、必然的に水の量が少なくなり、光照射によってN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンからピペリジンを解離させることができなくなり、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンを光塩基発生剤として使用することができない。
本発明の光塩基発生剤組成物は、上記のN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジン:0.5〜10重量部、好ましくは1.0〜5重量部と上記のような混合溶媒:99.5〜90重量部、好ましくは99〜95重量部とを含む組成物である。N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンが0.5重量部より少ないと光照射によって発生する塩基の量が不充分になり、樹脂を有効に光硬化させることができない。また、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンが10重量部よりも多いとN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンを均一に溶解することができない。
本発明の光塩基発生剤組成物に波長193nmの光を照射するとN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンは、次式のように分解反応が起こると推測される。
Figure 2014134570
上記式(1)で表される塩基発生剤であるN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンは、波長250〜350nmの紫外線を選択的に吸収して分解し、塩基性物質である式(2)で表されるピペリジンを生成する。上記式(2)で表されるピペリジンは、沸点が106℃であるので、分解した塩基性化合物が長期間溶液内に安定に存在することができる。
Figure 2014134570
本発明の光塩基発生剤組成物に含有されるN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンは、式(1)で表すことができる。
Figure 2014134570
本発明の光塩基発生剤組成物を構成するN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンは、まず2−ニトロベンジルアルコールとカルボジイミダゾ-ル(CDI)とをテトラヒドロフラン(THF)溶媒中、リチウムハイドライド(LiH)の存在下に反応させて下式(3)で表される中間体を調製する。次いで、ジメチルホルムアミド(DMF)に上記中間体(3)を加えて攪拌し、中間体(3)をDMFに溶解させ、この溶液にピペリジンを滴下して中間体(3)が消失するまで攪拌することにより製造することができる。
Figure 2014134570
なお、上記反応例は、本発明の光塩基発生剤組成物を構成するN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンの合成の一例を示すものであり、上記合成方法に限らず、種々の公知の方法を使って合成することができる。
本発明の光塩基発生剤組成物を構成するN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンの構造は、核磁気共鳴分析(1H−および13C−NMR)、紫外(UV)分光法、赤外(IR)分光法および示差走査熱量測定法(DSC)などの手法により確認することができる。
上記光塩基発生剤を構成するN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンは、紫外分光法において、波長250〜350nmの領域に吸収ピークを有し、この波長領域の紫外線を吸収し、下記に表されるように分解し、式(2)で表わされる塩基であるピペリジンおよび二酸化炭素を発生する。
本発明の光塩基発生剤を構成するN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンは、波長250〜350nmの紫外線に対して活性を有し、波長278nm付近に吸収極大を有する光塩基発生剤である。
Figure 2014134570
光塩基発生剤を構成するN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンに紫外光を照射して発生した塩基は、以下に述べる方法を用いて確認することができる。
本発明の光塩基発生剤組成物を準備し、室温におけるpH値を測定する。次いで、その溶液に波長254nmの紫外線(照度:614μW/cm2)を照射し、その後のpH値を測定する。
光照射前後でpHの変化がみられ、光照射前後でpH値が増大した場合、好ましくはpH値7.0以下からpH値9.0より高い数値となった場合には塩基が発生したと認められ、また光照射前のpHが値9.0以上であって照射後により高い数値となった場合、塩基が発生したと認められる。
本発明の光塩基発生剤組成物を構成するN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンは、アルカリ性水溶液に対する溶解阻害剤としての作用を有する。ここで、溶解阻害剤とは、アルカリ可溶性化合物と混合することにより、該アルカリ可溶性化合物のアルカリに対する溶解性を低減する作用を有する物質をいう。そして、式(1)で表されるN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンは、波長250〜350nmの紫外線を照射することにより上式のように分解し、ピペリジンとアルデヒドを生成し、これに伴い溶解阻害性が消失し、かつアルカリ可溶性重合体単独の系よりも溶解性が上昇する。これは生成したピペリジンが溶解促進剤として作用するためと考えられる。
本発明の光塩基発生剤組成物は、アルカリ可溶性重合体と共に使用することができる。
ここでアルカリ可溶性重合体としては、具体的には、ポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、ポリ(p−ビニル安息香酸)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン・マレイン酸共重合体、スチレン・アクリル酸共重合体、スチレン・メタクリル酸共重合体およびノボラック樹脂などが用いられるが、これらに限定されることはない。
ただし、後述するネガ型レジストの作成方法においては、アルカリ可溶性重合体として、特にカルボキシル基含有アルカリ可溶性重合体が用いられる。このようなカルボキシル基含有アルカリ可溶性重合体としては、たとえば、ポリ(p−ビニル安息香酸)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン・マレイン酸共重合体、スチレン・アクリル酸共重合体およびスチレン・メタクリル酸共重合体などが用いられる。
上記レジストパターン形成材料において、アルカリ可溶性重合体(以下、単に「A」ともいう。)と、光塩基発生剤組成物(以下、単に「B」ともいう。)との配合比は、A/B(重量比)で通常は100/50〜100/5、好ましくは100/35〜100/5程度である。
上記レジストパターン形成材料には、上記式(1)で表わされる光塩基発生剤組成物およびアルカリ可溶性重合体の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、希釈剤、増感剤または染料などを配合してもよい。
このような上記レジストパターン形成材料からは、ポジ型またはネガ型の両方のレジストパターンを作成することができる。
ポジ型レジストの作成方法においては、上記のレジストパターン形成材料を、Si、GaまたはAsなどからなる被処理基板上に塗布・乾燥し、塗膜を作成する。塗膜の厚さは、通常0.5〜10μm程度であり、好ましくは0.5〜5μm程度であり、特に好ましくは0.5〜2μm程度である。次いで、この塗膜に波長190〜245nmの紫外線を所望のパターン状に照射する。紫外線の照射は、たとえばマスクなどを介して行われる。紫外線露光量は、好ましくは0.5J/cm2 以上、特に好ましくは1〜100J/cm2 である。紫外線が照射された部分の塗膜(以下「紫外線照射部」という。)においては、前述したようにN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンが分解し、塩基を発生させるとともに溶解阻害性が消失し、かつ、アルカリ水溶液に対する溶解性が上昇する。一方、紫外線が照射されていない部分の塗膜(以下「紫外線非照射部」という。)においては、溶解阻害性が残存するため、アルカリに対する溶解性が低下したままである。したがって、この状態で塗膜をアルカリ水溶液で現像すると、紫外線照射部が洗い流され、紫外線非照射部が残存することになり、ポジ型レジストが得られる。
ネガ型レジストの作成方法においては、上記ポジ型レジストの作成方法と同様にして、塗膜の作成および露光を行うが、アルカリ可溶性重合体として、特に前述したカルボキシル基含有アルカリ可溶性重合体が用いられ、かつ現像に先立ち、通常は塗膜に熱処理を施す。熱処理は80〜180℃、好ましくは110〜150℃、特に好ましくは115〜140℃にて、1〜30分間程度行われる。熱処理を行うことにより、紫外線照射部において、上記光塩基発生剤の分解により発生した塩基と、カルボキシル基アルカリ可溶性重合体のカルボキシル基とが反応し、カルボキシル基が脱離する。カルボキシル基が脱離する結果、該重合体はアルカリに対する溶解性を喪失する。したがって、紫外線照射部はアルカリに対して不溶化する。一方、紫外線非照射部は、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンのためにアルカリに対する溶解性が低減しているものの、アルカリ溶解性を完全に消失しているわけではないので、現像液、現像時間を適宜に設定することで除去できる。具体的には、現像液として、強アルカリ性のトリメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2〜4%水溶液などを使用するか、あるいは現像時間を、たとえば60秒以上にするなど、長くすることにより、紫外線非照射部を除去することができる。このような処置により紫外線非照射部が洗い流され、紫外線照射部が残存することとなり、ネガ型レジストが得られる。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
反応生成物の同定および塩基性評価の方法は以下のとおりである。
[反応生成物の同定]
(1)核磁気共鳴法(1H−および13C−NMR)
装置:JNM−AL400 FT−NMR (日本電子(株)製)
測定条件
内部基準:TMS
1H共鳴周波数:400MHz
(2)赤外(IR)分光法
装置:FT/IR−4200(日本分光(株)製)
測定条件:KBr法
(3)融点(mp)
装置:DSC−60((株)島津製作所製)
測定方法:DSC
温度プログラム:
スタート温度 30.0℃
加熱温度[C/min] ホールド温度[℃] ホールド時間[min]
3.00 40.0 0
1.00 60.0 0
(4)紫外・可視(UV−VIS)分光法
装置:SLUV−4(アズワン(株)製)
測定条件
波長:254nm
照度:614μW/cm2
[2]塩基性評価
装置:pH メーター(東亜ディーケーケー(株)製、製品名「PHM−103」)
測定方法:ガラス電極法
国際公開第2008/072651号に記載された方法に従って以下のように確認した。
光塩基発生剤組成物の室温におけるpH値を測定する。次いで、その光塩基発生剤組成物に紫外線を照射し、その後のpH値を1時間後に測定する。
光照射前後でpHの変化がみられ、光照射前後でpHが増大した場合、好ましくはpH値7.0以下からpH値9.0より高い数値となった場合には、塩基性が発現したと認められ、光照射前のpH値が7.0以上であって照射後により高い数値となった場合には、塩基性が増大したと認められる。
〔実施例1〕
<N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンの合成>
環流装置および窒素導入管を有する反応容器に、20g(132ミリモル)のピペリジンを300gの乾燥テトラヒドロフラン(THF)に溶解した溶液を入れ、この溶液に20g(171.6ミリモル)のカルボジイミダゾール、触媒として1.15gのリチウムハイドライドを加えてアルゴン気流中、終夜加熱環流した。約11時間後、反応液を濃縮し、茶褐色固体の粗生成物を得た。
得られた粗生成物3gを18gのジメチルホルムアミド(DMF)と共にフラスコに入れ、粗生成物をDMFに溶解させた。この溶液にピペリジン14.4gを滴下し、薄相クロマトグラフィにより、粗生成物の痕跡が消失するまで攪拌した。
粗生成物の痕跡が消失した後、このフラスコに使用したDMFの2体積倍の酢酸エチルを導入した。
得られた反応液を分液ロートに移した後、酢酸エチルと同量の1N塩酸水、飽和重曹水、飽和食塩水で順次有機相を洗浄した。
その後、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムを濾別し、エバポレーターを用いて有機相を濃縮し、シロップ状の粗体を得た。
得られたシロップにクロロホルムとヘキサンとを投入して結晶を析出させた。析出した結晶を濾取した後、乾燥させて目的物を得た。得られた結晶の融点は53.6〜55.1℃であった。
得られた結晶の1H−NMR分析のチャート図を図1に示し、13C−NMR分析のチャート図を図2に示し、IR吸収スペクトルのチャート図を図3に示し、DSC測定チャートを図4に示し、UV吸収チャート図を図5に示す。
これらの結果から、得られた結晶がN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンであることを確認した。収率は69%であった。
これとは別に、アセトン90容量部と水10容量部とを混合してこの混合液のpH値を測定したところ、pH値は6.1であった。また、比較対照の為にこの混合液にピペリジン1ミリモル(85mg)を加えてpH値を測定したところ、pH値は11.24であった。
上記のようにして調製したアセトンと水との混合液に1ミリモル(264mg)のN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンを溶解させてpH値を測定したところ、pH値は6.3であった。
得られたN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンの1ミリモルとアセトンと水からなる光塩基発生剤組成物をUV測定用の石英セルに入れ、遮光・大気雰囲気下において、紫外線(波長:254nm)を、照度614μW/cm2として照射した。上記N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンは、この紫外線(波長:254nm)の照射により下式のように分解しているものと推定される。
Figure 2014134570
上記のように紫外線(波長:254nm)を照射しながら、石英セル中の溶液のpH値を測定した。
結果を下記表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1において、アセトン(AC)の代わりにアセトニトリル(ACN)を用いた以外は同様にして光塩基発生剤組成物のpH値を測定した。
結果を表1に記載する。
〔比較例2〕
実施例1において、アセトン(AC)の代わりにジオキサン(DOX)を用いた以外は同様にして光塩基発生剤組成物のpH値を測定した。
結果を表1に記載する。
〔比較例3〕
実施例1において、アセトン(AC)の代わりにテトラヒドロフラン(THF)を用いた以外は同様にして光塩基発生剤組成物のpH値を測定した。
結果を表1に記載する。
Figure 2014134570
上記の結果から、溶媒がアセトンおよび水であり溶質がN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンである本発明の光塩基発生剤組成物は、溶媒として他の有機極性溶媒を用いた場合よりもpH値で約1以上高い塩基性を示すことが明らかである。
〔実施例2,3、比較例4,5,6〕
実施例1において、アセトンと水との配合比率を表2に示すように変えた以外は同様にして光塩基発生剤組成物のpH値を測定した。
結果を表2に記載する。なお、実施例1の結果も表2に併せて記載する。
Figure 2014134570
上記の結果から明らかなようにアセトンと水とを本発明で規定する量比で含有し、これにN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンを溶解させた本発明の光塩基発生剤組成物はUVの照射によってpH値が9以上になるのに対して、アセトンの量が少なく水の量が多い組成物ではpH値が9に到達することができない。なお、水の量が本発明で規定する量よりも少ないとUVの照射によってピペリジンの解離が起こりにくくなり、pH値は却って低下する。

Claims (1)

  1. 波長250〜350nmの紫外光を選択的に吸収して、式(2)で表わされる塩基であるピペリジンを発生させる式(1)で表わされる光塩基発生剤であるN-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジン:0.5〜10重量部と、該N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジンを溶解する極性溶媒:99.5〜90重量部とからなり、該極性溶媒がアセトンと水とを85:15〜99:1の容量比で含有することを特徴とする光塩基発生剤組成物;
    Figure 2014134570
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