JP2014130767A - 静電マイクロリレーおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】より高い周波数での特性が向上された静電マイクロリレーおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】静電マイクロリレー101は、固定接点が形成された信号線11,12からなる信号線と、その信号線の入力点(パッド51)に接続される信号入力部と、可動接点21a,22aを固定接点に接触および離間させるためのアクチュエータ25,26と、キャップ30を貫通して信号線の入力点に接続される貫通配線31とを含む。MEMSスイッチ101の製造方法は、貫通配線31が形成されたキャップ30を準備するステップと、キャップ30と基板10とを封止材料38によって接合するステップとを備える。接合するステップにおいて、キャップ30の貫通配線31が信号線の入力点に接続される。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電マイクロリレーおよびその製造方法に関する。
リレーあるいはスイッチは、2つの信号線を電気的に接続および遮断するために、種々の電気回路に用いられる。近年では、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用した種々のデバイスが提案されている。たとえば米国特許第6307169号公報(特許文献1)は、MEMSスイッチにより構成されたSPST(Single Pole, Single Throw)スイッチあるいはSPDT(Single Pole, Double Throw)スイッチを開示する。
米国特許第6307169号公報
米国特許第6307169号公報に開示されたSPDTスイッチは、入力を共通にした2つのSPSTスイッチと等価な構成を有する。具体的には、1本の信号線が2本に分岐される。
2つのSPSTスイッチは、互いに独立に制御可能である。したがって、2つのSPSTスイッチのうちの一方がオンされ、他方がオフされる場合がある。オフ状態にあるSPSTスイッチでは、固定接点と可動接点とが離間している。信号が分岐される点から固定接点までの信号線は、スタブを構成する。
信号線に入力された信号は、オン状態のスイッチに送られる第1の信号と、オフ状態のスイッチに送られる第2の信号とに分割される。第2の信号は、スタブの終端で反射して、第1の信号と結合する。スタブの長さが信号の波長の1/4に等しい場合、2つの信号どうしが打ち消し合う。このため、この波長に対応する周波数での損失が大きくなる。
したがって、上記のようなMEMS技術を用いたスイッチあるいは静電マイクロリレーにおいては、より高い周波数での損失を小さくすることが望ましい。しかしながら、米国特許第6307169号公報(特許文献1)は、このような課題を解決するための具体的方法は開示されていない。
本発明の目的は、より高い周波数での特性が向上された静電マイクロリレーおよびその製造方法を提供することである。
本発明のある局面において、静電マイクロリレーが提供される。静電マイクロリレーは、基板と、信号線と、複数の可動接点と、複数の可動電極と、キャップと、信号入力部とを備える。信号線は、基板に配置されて、信号を受けるための入力点と、入力点に入力された信号を分配するための複数の信号経路とを有する。複数の信号経路の各々には固定接点が形成される。可動接点は、固定接点ごとに設けられる。可動接点は、対応する固定接点と空間を隔てて対向するように配置される。複数の可動電極は、複数の可動接点の各々に連結されて、当該連結された可動接点を対応する固定接点と接触および離間させる。キャップには、複数の可動電極を収容する空間が形成される。キャップは、基板と接合される。信号入力部は、キャップまたは基板を貫通して信号線の入力点に接続される貫通配線を含む。
好ましくは、複数の信号経路の間では、入力点から固定接点までの長さが、互いに等しい。
好ましくは、入力点から固定接点までの信号経路の長さは、複数の可動電極の配置によって規定される最短距離とされる。
好ましくは、静電マイクロリレーは、1対の接地導体をさらに備える。1対の接地導体は、基板の表面において、信号線の両側に配置される。
好ましくは、静電マイクロリレーは、キャップと基板とを接合するための封止材料と、複数の信号出力部とをさらに備える。複数の信号出力部の各々は、キャップまたは基板を貫通する貫通配線を含む。複数の信号出力部の各々は、対応する固定接点に対して入力点と反対側に位置する信号経路の部分に接続される。キャップの空間は、封止材料によって封止される。封止材料は、信号入力部および複数の信号出力部の貫通配線を囲むように配置される。
好ましくは、静電マイクロリレーは、貫通配線に接続される外部電極をさらに備える。外部電極は、貫通配線がキャップに設けられている場合には、基板と対向する面と反対側に位置するキャップの表面に配置される。外部電極は、貫通配線が基板に設けられている場合には、信号線が形成された面と反対側に位置する基板の表面に配置される。
好ましくは、複数の信号出力部の各々は、キャップに形成された貫通配線を含む。
好ましくは、複数の信号出力部の各々は、基板に形成された貫通配線を含む。
好ましくは、信号入力部は、キャップに形成された貫通配線を含む。
好ましくは、信号入力部は、基板に形成された貫通配線を含む。
好ましくは、キャップおよび基板は、ガラスによって形成される。
好ましくは、複数の可動電極のうちの少なくとも1つは、可動接点を支持するための両持ち梁構造を有する。
好ましくは、複数の信号経路は、1つの直線を形成するように配置された2つの信号経路である。信号線は、信号入力部に接続されて入力点を規定するパッドを有する。
本発明の他の局面において、静電マイクロリレーの製造方法が提供される。静電マイクロリレーの製造方法は、基板を準備するステップと、基板に、信号線を形成するステップとを備える。信号線は、信号を受けるための入力点と、入力点に入力された信号を分配するための複数の信号経路とを有する。複数の信号経路の各々に固定接点が形成される。静電マイクロリレーの製造方法は、固定接点ごとに設けられて、対応する固定接点と空間を隔てて対向するように配置された複数の可動接点、および前記複数の可動接点の各々に連結された複数の可動電極を形成するステップと、複数の可動電極を収容するための空間と、貫通配線とが形成されたキャップを準備するステップと、キャップと基板とを封止材料によって接合するステップとをさらに備える。接合するステップにおいて、キャップの貫通配線が信号線の前記入力点に接続される。
本発明のさらに他の局面において、静電マイクロリレーの製造方法が提供される。静電マイクロリレーの製造方法は、基板を準備するステップと、基板に、信号線と、信号線に接続される貫通配線とを形成するステップとを備える。信号線は、信号を受けるための入力点と、入力点に入力された信号を分配するための複数の信号経路とを有する。複数の信号経路の各々に固定接点が形成される。貫通配線は、信号線の前記入力点に接続される。静電マイクロリレーの製造方法は、固定接点ごとに設けられて、対応する固定接点と空間を隔てて対向するように配置された複数の可動接点、および複数の可動接点の各々に連結された複数の可動電極を形成するステップと、複数の可動電極を収容するための空間と、貫通配線とが形成されたキャップを準備するステップと、キャップと基板とを封止材料によって接合するステップとをさらに備える。
本発明によれば、より高い周波数での特性が向上された静電マイクロリレーおよびその製造方法を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る静電マイクロリレー101の斜視図である。 図1に示される静電マイクロリレー101の分解斜視図である。 図1のIII−III方向に沿った静電マイクロリレー101の断面を模式的に示した図である。 図1に示される静電マイクロリレー101の上面透視図である。 第1の実施の形態に係る静電マイクロリレーの比較例の分解斜視図である。 図5に示した静電マイクロリレーを模式的に示した平面図である。 図5および図6に示された静電マイクロリレー200によって構成されたSPDTスイッチの構成を模式的に示した平面図である。 図7に示された静電マイクロリレー200A,200Bがそれぞれオン状態およびオフ状態であるときの信号経路を等価的に示した図である。 図7に示した比較例と、第1の実施の形態に係る静電マイクロリレーとの対比図である。 第1の実施の形態に係る静電マイクロリレーと、図7に示した模式図と同等のスタブ長を持つ構造とで、挿入損失を比較した図である。 第1の実施の形態に係る静電マイクロリレーの製造フローを概略的に示したフローチャートである。 図11に示したステップS10のプロセスを詳細に説明するためのフローチャートである。 図12に示すステップS11,S12のプロセスを説明するための図である。 図12に示すステップS13のプロセスを説明するための図である。 図12に示すステップS14のプロセスを説明するための図である。 図12に示すステップS15のプロセスを説明するための図である。 図12に示すステップS16のプロセスを説明するための図である。 図11に示したステップS20のプロセスを詳細に説明するためのフローチャートである。 図18に示すステップS21,S22のプロセスを説明するための図である。 図18に示すステップS23のプロセスを説明するための図である。 図18に示すステップS24のプロセスを説明するための図である。 図18に示すステップS25のプロセスを説明するための図である。 図18に示すステップS26のプロセスを説明するための図である。 図11のステップS30,S40のプロセスを説明するための図である。 本発明の第2の実施の形態に係る静電マイクロリレー102の分解斜視図である。 静電マイクロリレー102の断面を模式的に示した図である。 本発明の実施の形態に係る静電マイクロリレーの他の構成例を模式的に示した第1の図である。 本発明の実施の形態に係る静電マイクロリレーの他の構成例を模式的に示した第2の図である。 本発明の実施の形態に係る静電マイクロリレーの他の構成例を模式的に示した第3の図である。 本発明の実施の形態に係る静電マイクロリレーが有するアクチュエータの他の構成例を模式的に示した図である。 図30に示された構成の変形例である。 本発明の実施の形態に係る静電マイクロリレーが有するアクチュエータのさらに他の構成例を模式的に示した図である。 図32に示された構成の変形例である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
本発明の実施の形態に係る静電マイクロリレーは、高周波スイッチ(RFスイッチとも呼ばれる)として好適に用いることができる。「高周波スイッチ」とは、高周波信号の経路を切り替えるスイッチ、あるいは、高周波信号の伝達および遮断を行なうスイッチである。
高周波スイッチでは、特に、絶縁性(isolation)および挿入損失(insertion loss)が重要な特性である。スイッチがオフの状態の時の絶縁性が低下すると、クロストークあるいはノイズの問題が生じる。したがって、高周波スイッチがオフの状態の時の絶縁性は高いほど好ましい。また、スイッチがオンの状態の時の挿入損失が小さいほど好ましい。
以下で説明するように、本発明の実施の形態に係る静電マイクロリレーは、高周波スイッチのこれらの要求を満たすことができる。したがって、本発明の実施の形態に係る静電マイクロリレーを高周波スイッチとして好適に利用できる。しかしながら、本発明の実施の形態に係る静電マイクロリレーの用途は高周波スイッチに限定されるものではない。
[実施の形態1]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る静電マイクロリレー101の斜視図である。図2は、図1に示される静電マイクロリレー101の分解斜視図である。図3は、図1のIII−III方向に沿った静電マイクロリレー101の断面を模式的に示した図である。図4は、図1に示される静電マイクロリレー101の上面透視図である。なお図4では、基板に形成された配線およびアクチュエータ(以下に説明)を示してある。
図1〜図4を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る静電マイクロリレー101は、SPDTスイッチとして構成された静電マイクロリレーである。静電マイクロリレー101は、基板10と、信号線1と、接地電極13,14と、固定電極15,16とを有する。
基板10は、たとえばガラス基板である。信号線1と、接地電極13,14と、固定電極15,16とは、基板10の一方の面に配置される。
信号線1は、パッド51と、信号線11,12とを含む。パッド51は、信号が入力される入力点に相当する。信号線11,12は、1つの直線を形成するように配置された2つの信号経路に相当する。信号線11,12は、それぞれ固定接点11a,12aを有する。言い換えると、信号線1は、パッド51(入力点)を中心として、2つの信号線(信号線11,12)へと分岐される。
接地電極13は、基板10の表面において、信号線1に対して一方の側に配置される。接地電極14は、基板10の表面において、接地電極13とは反対の側に配置される。言い換えると、信号線1は、接地電極13,14の間に配置される。すなわち、この実施の形態では、信号線1は接地電極13,14とともにコプレーナ(coplanar)線路を構成する。
固定電極15,16は、上記のコプレーナ線路を挟むように配置された2つの電極を有する。具体的には、固定電極15は、電極15a,15bを含む。固定電極16は、電極16a,16bを含む。
静電マイクロリレー101は、さらに、可動接点21a,22aと、アクチュエータ25,26とを含む。アクチュエータ25,26は、たとえばシリコンによって形成される。可動接点21a,22aは、たとえばアクチュエータ25,26上に形成された絶縁膜(たとえばシリコン酸化膜)上に形成された金属膜である。
アクチュエータ25,26の各々は可動電極である。アクチュエータ25は、可動接点21aを固定接点11aと接触および離間させる。アクチュエータ26は、可動接点22aを固定接点12aと接触および離間させる。
アクチュエータ25,26の各々は、可動接点を支持するための両持ち梁構造を有する。具体的には、アクチュエータ25は、電極25a,25bを有する。可動接点21aは、電極25a,25bの間に連結される。アクチュエータ26は、電極26a,26bを有する。可動接点22aは、電極26a,26bの間に連結される。
この実施の形態では、パッド51から固定接点11aまでの信号線11の長さと、パッド51から固定接点12aまでの信号線12の長さとは等しくなるように信号線1(信号線11,12およびパッド51)が形成されている。言い換えると、固定接点11aから固定接点12aまでの間の信号線の部分の中点が入力点とされている。
入力点から固定接点11aまでの信号線11の長さ、入力点から固定接点12aまでの信号線12の長さは、最短距離となるように定められる。1つの実施の形態では、この最短距離は、アクチュエータ25,26の配置によって規定される最短距離とされる。具体的には、アクチュエータ25,26の間の最小間隔にしたがって、アクチュエータ25,26を配置することによって、可動接点21a,22aの位置が決定される。可動接点21aと可動接点22aとを結ぶ線分の中点が信号の入力点に対応する。アクチュエータ25,26の間の最小間隔は、たとえば、静電マイクロリレーを製造する工程において適用されるプロセスルールに従って定めることができる。
可動接点21a,22aの位置が決定されることで、固定接点11a,12aの位置が必然的に決定される。アクチュエータ25,26の間の間隔を最小とすることで、入力点から固定接点11aまでの信号線11の長さ、入力点から固定接点12aまでの信号線12の長さを最短距離とすることができる。
静電マイクロリレー101は、さらに、キャップ30を含む。キャップ30の素材は、たとえばガラスである。たとえばガラスフリットなどの封止材料38を介してキャップ30と基板10とが接合される。キャップ30には、アクチュエータ25,26をそれぞれ収容するための空間として、キャビティ39a,39bが形成される。
キャップ30には貫通配線31,31a,32a,33a,33b,33c,34a,34b,34c,35a,35b,36a,36bが形成される。キャップ30の一方側の面には、外部電極41,41a,42a,43a,43b,43c,44a,44b,44c,45a,45b,46a,46bが形成される。外部電極41,41a,42a,43a,43b,43c,44a,44b,44c,45a,45b,46a,46bは、貫通配線31,31a,32a,33a,33b,33c,34a,34b,34c,35a,35b,36a,36bにそれぞれ電気的に接続される。
キャップ30の反対側の面、すなわち基板10に対向する面には、貫通配線31,31a,32a,33a,33b,33c,34a,34b,34c,35a,35b,36a,36bにそれぞれ電気的に接続される内部電極が形成される。この内部電極は、基板10の表面に形成された各電極のパッドに電気的に接続される。図3では、貫通配線31,31a,32aにそれぞれ接続される内部電極41b,51a,52aが代表的に示されている。
貫通配線31は内部電極41bを介してパッド51に電気的に接続される。貫通配線31は、外部電極41を介して信号を受ける信号入力部である。
貫通配線31aは、内部電極51aを介して、パッド51と反対側に位置する信号線11の端部に電気的に接続される。貫通配線32aは、内部電極52aを介して、パッド51と反対側に位置する信号線12の端部に電気的に接続される。貫通配線31a,32aは、信号出力部として機能する。
貫通配線33a,33b,33cは、接地電極13に電気的に接続される。同様に、貫通配線34a,34b,34cは、接地電極14に電気的に接続される。貫通配線33a,33b,33c,34a,34b,34cは、静電マイクロリレー101の外部から、接地電極13または接地電極14に接地電圧を与えるための配線である。
貫通配線35a,35bは、固定電極15の電極15a,15bにそれぞれ電気的に接続される。同様に、貫通配線36a,36bは、固定電極16の電極16a,16bにそれぞれ電気的に接続される。貫通配線35a,35b,36a,36bは、静電マイクロリレー101の外部から、固定電極15または固定電極16に電圧を与えるための配線である。
封止材料38は、複数の貫通配線を囲むように配置されている。キャビティ39a,39bは、封止材料38によって気密状態に保たれる。このような構造によって静電マイクロリレー101の外部からキャビティ39a,39bに埃あるいは水分などの浸入を防止することができる。したがって静電マイクロリレー101の信頼性を高めることができる。
次に、アクチュエータ25の駆動を代表的に説明することにより、静電マイクロリレー101の動作を説明する。アクチュエータ26の駆動については以下で説明される内容と同様であるので、説明を繰り返さない。
まず、固定電極15に電圧が印加されていないものとする。この場合には、固定電極15とアクチュエータ25とが離間した状態にある。したがって固定接点11aと可動接点21aとが離間している。すなわちスイッチがオフの状態である。
次に、外部電極45a、45bおよび貫通配線35a,35bを通じて、静電マイクロリレー101の外部から固定電極15(電極15a,15b)に電圧が印加される。これにより、固定電極15とアクチュエータ25との間に静電引力が発生する。静電引力によって、アクチュエータ25が固定電極15に接近して、可動接点21aが固定接点11aに接触する。これによりスイッチがオン状態となる。
可動接点21aが固定接点11aに接触した後も、アクチュエータ25が固定電極15に接触するまでアクチュエータ25は移動を続ける。アクチュエータ25は両持ち梁構造を有している。梁がたわんだ状態で可動接点21aが固定接点11aに押しつけられる。
続いて、固定電極15への電圧の印加が終了する。アクチュエータ25が固定電極15から離間することによって、可動接点21aが固定接点11aから離間される。これによりスイッチがオフ状態となる。
静電マイクロリレー101がオンすることにより、信号は信号線1を伝達することができる。信号線は、低抵抗の金属によって形成される。したがって、静電マイクロリレー101は、半導体スイッチに比較して、オン時の損失(挿入損失)を低くすることができる。一方、静電マイクロリレー101のオフ時には、可動接点が固定接点から物理的に離れる。これにより、高い絶縁性を得ることができる。
上記のとおり、この実施の形態では、信号入力部は、キャップ30に形成された貫通配線31である。信号入力部は、信号線1の入力点(パッド51)に接続される。その接続点から固定接点11aまでの信号線11の長さと、その接続点から固定接点12aまでの信号線12の長さとは実質的に等しい。すなわち信号入力部は、信号線の中点に接続される。このような構成によって、高周波特性に優れた静電マイクロリレーを実現することができる。この理由について、この実施の形態に係る静電マイクロリレーと、その比較例とを対比しながら説明する。
(比較例の構成)
図5は、第1の実施の形態に係る静電マイクロリレーの比較例の分解斜視図である。図6は、図5に示した静電マイクロリレーを模式的に示した平面図である。図5および図6を参照して、比較例としての静電マイクロリレー200は、SPST(Single Pole, Single Throw)スイッチと等価な構成を有する。静電マイクロリレー200は、基板110と、信号線111と、接地電極113,114と、固定電極115と、アクチュエータ125と、キャップ130とを含む。信号線111と、接地電極113,114と、固定電極115とは、基板110の一方の面に配置される。信号線111は、固定接点111aを有する。信号線111の一方の端部が信号入力部に相当し、信号線111の他方の端部が信号出力部に相当する。接地電極113,114は、信号線111とともにコプレーナ線路を構成する。
固定電極115は、電極115a,115bを含む。アクチュエータ125は、電極125a,125bを含む。可動接点121aは、電極125a,125bの間に連結される。キャップ130は、基板110に接合される。キャップ130には、アクチュエータ125を収容するための空間が形成される。
図7は、図5および図6に示された静電マイクロリレー200によって構成されたSPDTスイッチの構成を模式的に示した平面図である。図7を参照して、静電マイクロリレー201は、静電マイクロリレー200A,200Bを含むSPDTスイッチと等価な構成を有する。静電マイクロリレー200A,200Bの各々の構成は、静電マイクロリレー200の構成と同じである。したがって、図7では、静電マイクロリレー200の構成要素と同一または対応する要素に同一または類似する参照符号が付されている。
信号線111Cは、信号入力部の役割を果たす。信号線111Cは、信号線111の中点から基板表面に沿って静電マイクロリレー201の周辺部へと引出される信号線である。
コプレーナ線路が基板110の表面に形成される。すなわち、信号線111の両側には、接地電極113,114Aあるいは、接地電極113,114Bが配置される。接地電極114A,114Bは信号線111Cを挟むように、基板110の表面に配置される。
図8は、図7に示された静電マイクロリレー200A,200Bがそれぞれオン状態およびオフ状態であるときの信号経路を等価的に示した図である。図8を参照して、信号線111Bは、信号線111および信号線111Cの接続点から、静電マイクロリレー200Bの固定接点111aまでの部分である。
信号線111Bは、スタブと等価である。信号線111Bの長さをLとすると、長さLが信号線を伝達するべき信号の波長の1/4に等しい場合、信号線111B(スタブ)によって、信号の伝達が遮断される。つまり、その波長に対応する周波数において、静電マイクロリレー201の挿入損失が大きくなる。
スタブの長さをより短くすることで、静電マイクロリレー201をより高い周波数領域で使用することができる。図7に示された構成によれば、信号線111から信号線111Cが基板110の周辺部へと引き出されている。さらに信号線111Cの両側には、接地電極114A,114Bが形成されている。スタブを短くすると、2つのアクチュエータ125が接近して配置される。しかし、たとえばアクチュエータ125が固定電極115へと接触するときには、アクチュエータ125が接地電極114Aまたは114B(信号線111Cに沿う部分)に接触したり、あるいは信号線111Cに接触したりする可能性が考えられる。アクチュエータと、接地電極(114Aまたは114B)との接触を避けるために、接地電極114Aまたは114Bの信号線111Cに沿う部分を省略すると、たとえばインピーダンスの不整合など、特性が低下する可能性も考えられる。
(比較例と本発明の実施の形態との対比)
図9は、図7に示した比較例と、第1の実施の形態に係る静電マイクロリレーとの対比図である。図9を参照して、L1は、比較例(静電マイクロリレー201)におけるスタブの長さを示す。L2は、第1の実施の形態に係る静電マイクロリレー101におけるスタブの長さを示す。
上記のように、静電マイクロリレー201では、信号線111Cが信号線111の中点から基板110の表面に沿って基板110の周辺部に引き出されている。このような構成のため、接地電極114A,114Bも、信号線111および111Cに沿って、折れ曲がるように形成される。
スタブの長さL1は、配線の間隔および配線の幅を含む。具体的には、スタブの長さL1は、(信号線111Cの幅の1/2)+(信号線111Cと接地電極114Bとの間の間隔)+(接地電極114Bの幅)+(アクチュエータ125の幅×1/2)以下と見積もることができる。
これに対して、第1の実施の形態に係る静電マイクロリレー101は、信号入力部としての貫通配線(図1等に示された貫通配線31)からパッド51に信号が入力されて、その信号は、信号線11,12へと分配される。スタブの長さL2は、(パッド51の直径×1/2)+(アクチュエータ126の幅×1/2)以下となる。すなわち、スタブの長さL2には、(信号線111Cの幅の1/2)、(信号線111Cと接地電極114Bとの間の間隔)、および(接地電極114Bの幅)が含まれていない。したがって第1の実施の形態によれば、スタブの長さを短くすることができる。さらに、この実施の形態によれば、信号線の中点から基板の表面に沿って基板の周辺部に引き出される配線および、その配線の両側に配置される配線を省略することができるので、2つのアクチュエータをより近づけることができる。これにより、静電マイクロリレーのサイズを小さくすることができる。
図10は、第1の実施の形態に係る静電マイクロリレーと、図7に示した模式図と同等のスタブ長を持つ構造とで、挿入損失を比較した図である。図10(a)は第1の実施の形態に係る静電マイクロリレー101の挿入損失(insertion loss;図では「IL」と示す)の例を示した図である。図10(b)は比較例(静電マイクロリレー201)の挿入損失の例を示した図である。図10に示されたグラフにおいて、挿入損失は負の値で表される。負の値の絶対値が大きいほど、挿入損失が大きい。
挿入損失が−1.0dBとなる周波数を図10(a)および図10(b)の間で比較する。第1の実施の形態によれば、挿入損失が−1.0dBとなる周波数は、約18GHzである(図10(a)を参照)。一方、比較例(静電マイクロリレー201)の構成では、挿入損失が−1.0dBとなる周波数は、約10GHzである(図10(b)を参照)。したがって、第1の実施の形態に係る静電マイクロリレー101は、比較例に比べて、より広い周波数帯域で低い挿入損失を実現していることが理解できる。このような効果が得られる理由は、上述のように、第1の実施の形態では、信号入力部に貫通配線を用いることでスタブの長さを短くすることが可能となるためである。
さらに、第1の実施の形態では、スタブの長さ、すなわち、入力点から固定接点11aまでの信号線11の長さ、あるいは、入力点から固定接点12aまでの信号線12の長さは、最短距離に定められる。したがって、より高い周波数における挿入損失を小さくすることができる。
さらに、第1の実施の形態では、信号入力部は、信号線1の入力点(パッド51)に接続される。その接続点から固定接点11aまでの信号線11の長さと、その接続点から固定接点12aまでの信号線12の長さとは実質的に等しい。これにより、2つのスタブの長さが等しくなるので、2つのアクチュエータのどちらが駆動されても、挿入損失が−1.0dBにおける周波数は実質的に変化しない。すなわち第1の実施の形態によれば、特性の安定した静電マイクロリレーを実現することができる。
続いて、第1の実施の形態に係る静電マイクロリレーの製造方法について説明する。図11は、第1の実施の形態に係る静電マイクロリレーの製造フローを概略的に示したフローチャートである。
図11を参照して、ステップS10において、配線および電極(固定電極およびアクチュエータ)が形成された基板を準備する。基板はたとえば、個々の静電マイクロリレーに対応する電極パターンが形成されたウェハの形態である。
ステップS20において、貫通配線が形成されたキャップを準備する。キャップは、たとえば、貫通配線が予め形成されたガラスウェハである。
図11では、ステップS10,S20に示されたプロセスは、並列に実行される。ただし、ステップS10,S20のプロセスが順次実行されてもよい。その場合には、プロセスの順序は特に限定されるものではない。
ステップS30において、キャップ30と基板10とを位置合わせする。ステップS40において、キャップ30の表側面と基板10の表側面とを接合する。基板10の表側面とは、配線および電極が形成された面である。キャップ30の表側面とは、その配線あるいは電極と接続されるべき内部電極が形成された面である。ステップS50において、ダイシングによって静電マイクロリレーが個片化される。
図12は、図11に示したステップS10のプロセスを詳細に説明するためのフローチャートである。図12を参照して、ステップS10のプロセスは、ステップS11〜S16のプロセスからなる。各ステップのプロセスについて、基板の断面を参照しながらより詳細に説明する。
図13は、図12に示すステップS11,S12のプロセスを説明するための図である。図12、図13を参照して、ステップS11において、基板10が準備される。上記のように、基板10として、たとえばガラス基板が準備される。ステップS12において、基板10の一方の表面に導電性材料10aがスパッタリングによって蒸着される。
図14は、図12に示すステップS13のプロセスを説明するための図である。図12、図14を参照して、ステップS13において、電極および信号線のパターンが形成される。電極および信号線のパターンは、たとえばフォトリソグラフィおよびドライエッチングといった、各種の半導体素子の製造において周知の技術を用いて形成されるので、ここでは詳細な説明を繰り返さない。図14では、代表的に、固定電極15,16、信号線11および接地電極13,14が示されている。
図15は、図12に示すステップS14のプロセスを説明するための図である。図12および図15を参照して、ステップS15において、電極等が形成された基板10の表面に、シリコンウェハ20が陽極接合される。シリコンウェハ20において、基板10に接合される側の表面には、後にアクチュエータ25,26として残される構造が形成されている。シリコンウェハ20は、一例ではSOI(Silicon On Insulator)ウェハであり、たとえば2つのシリコン基板がシリコン酸化膜によって貼り合わされたウェハである。2つのシリコン基板のうち、一方のウェハには、アクチュエータのパターンが形成される。他方のウェハは、パターンが形成されたウェハを支持する役割を果たす。
図16は、図12に示すステップS15のプロセスを説明するための図である。図12および図16を参照して、ステップS15において、シリコンウェハ20の支持層が除去される。すなわち、アクチュエータのパターンが形成されたウェハを支持するためのウェハ、および2つのウェハの間に介在するシリコン酸化膜が除去される。
図17は、図12に示すステップS16のプロセスを説明するための図である。図12および図17を参照して、ステップS16において、シリコンウェハ20を加工することにより、アクチュエータ25,26が形成される。シリコンウェハ20の加工についても、フォトリソグラフィおよびドライエッチングといった、各種の半導体素子の製造において周知の技術を用いて形成されるので、ここでは詳細な説明を繰り返さない。上述の一連の処理によって、配線および電極が形成された基板が準備される。
図18は、図11に示したステップS20のプロセスを詳細に説明するためのフローチャートである。図18を参照して、ステップS20のプロセスは、ステップS21〜S16のプロセスからなる。各ステップのプロセスについて、キャップを形成するためのガラス基板の断面を参照しながらより詳細に説明する。
図19は、図18に示すステップS21,S22のプロセスを説明するための図である。図18、図19を参照して、ステップS21において、キャップ30を形成するために貫通配線付ガラス基板が準備される。図19では、代表的に、貫通配線35,36が示される。ステップS22において、ガラス基板の一方の表面および他方の表面に導電層40,50がスパッタリングによって蒸着される。
導電層40は、密着層40aと表面層40bとを含む。導電層50は、密着層50aと表面層50bとを含む。密着層40a,50aはたとえばクロム(Cr)の層である。表面層40b,50bは、たとえば金(Au)の層である。導電層40は、後に外部電極を形成するための導電膜である。導電層50は、後に、基板10上の電極あるいは信号線などに接続される内部電極のための導電膜である。
図20は、図18に示すステップS23のプロセスを説明するための図である。図18、図20を参照して、ステップS23において、表面層40b,50bのパターニングにより電極が形成される。表面層40b,50bのパターニングには、たとえばフォトリソグラフィおよびドライエッチングといった、各種の半導体素子の製造において周知の技術を用いて形成されるので、ここでは詳細な説明を繰り返さない。フォトレジスト61によって、電極のパターンが形成され、そのパターン以外の部分の表面層40b,50bがエッチングによって除去される。
図21は、図18に示すステップS24のプロセスを説明するための図である。図18、図21を参照して、ステップS24において、ガラス基板に、キャビティ39a,39bに対応した凹部が形成される。フォトレジスト62によって、開口パターンが形成される。その開口パターンをエッチングすることによってキャビティ39a,39bが形成される。
図22は、図18に示すステップS25のプロセスを説明するための図である。図18、図22を参照して、ステップS25において、密着層40a,50aのパターニングにより電極が形成される。密着層40a,50aのパターニングは、ステップS23(図20参照)のプロセスと同様である。これにより、貫通配線に接続される外部電極および内部電極が接続される。図22では、貫通配線35に接続される外部電極45および内部電極55と、貫通配線36に接続される外部電極46および内部電極56とが示される。
図23は、図18に示すステップS26のプロセスを説明するための図である。図18、図23を参照して、ステップS26において、キャビティ39a,39bが形成されている側のガラス基板の表面に、封止材料38としてのガラスフリットが印刷によって塗布される。図23に示されるように封止材料38(ガラスフリット)は貫通配線35,36の外側に印刷される。したがって図2に示されるように、封止材料38(ガラスフリット)は複数の貫通配線を囲むように、ガラス基板の表面に設けられている。
図24は、図11のステップS30,S40のプロセスを説明するための図である。図24を参照して、基板10と、キャップ30とが位置合わせされて、キャップ30側の電極と、基板10側の電極あるいは信号線とが位置合わせされる。この状態で基板10とキャップ30とを加圧接合する。これにより、信号入力部としての貫通配線31(図1を参照)が信号線1の入力点であるパッド51(図1を参照)に接続される。この後、個片化によって、この実施の形態に係る静電マイクロリレーが形成される。
以上のように、第1の実施の形態によれば、信号入力部としての貫通配線が信号線の入力点に接続される。これによりスタブを短くすることができるので、より高い周波数帯域での挿入損失を低減することができる。これにより、静電マイクロリレーの特性を向上させることができる。
また、図5に示された構成を有する静電マイクロリレー200の場合、基板に形成された電極は、封止材料を跨いで気密空間外に引き出される。これに対して第1の実施の形態によれば、封止材料は複数の貫通配線を囲んでいる。これにより、封止材料を用いて配線の段差部での気密を確保する必要をなくすことができる。したがって、配線の段差部での封止が不十分であることによる気密性の低下の可能性を低減することができる。
また、図5に示された構成を有する静電マイクロリレー200を2つ用いてSPDTスイッチと等価な構成を実現する場合、それらの静電マイクロリレーを収容するパッケージが必要となる。ここで図5に示された構成では、キャップ130の外側の面(基板110に対向する面と反対側の面)と、電極が形成された基板110の表面との間に段差がある。このために、2つの静電マイクロリレー200をパッケージに収容するためには、そのパッケージに、キャビティを形成し、そのキャビティ内にキャップ130が収まるように静電マイクロリレー200を配置することが考えられる。この場合、パッケージ表面に形成した電極と静電マイクロリレー200の電極とが接続される。しかし、キャビティの形成されたパッケージを準備する必要があるので、製造コストが増大する。第1の実施の形態によれば、貫通配線によって、キャップ30の表面(基板10に対向する面と反対側の面)に複数の外部電極の全てが配置される。これによって、上記のようなキャビティの形成されたパッケージを準備しなくてもよい。したがって、実装コストの低減を図ることができる。
[実施の形態2]
図25は、本発明の第2の実施の形態に係る静電マイクロリレー102の分解斜視図である。図26は、静電マイクロリレー102の断面を模式的に示した図である。図25および図26を参照して、静電マイクロリレー102は、基板10側に貫通配線が形成される点において静電マイクロリレー101と異なる。
貫通配線31は、信号線1の入力点に接続され、信号入力部として機能する。貫通配線31a,32aは、信号線11,12のそれぞれの端部に電気的に接続されて信号出力部として機能する。貫通配線31,31a,32aには、外部電極41,41a,42aがそれぞれ接続される。外部電極41,41a,42aは、基板10において、信号線11,12が形成された面と反対側の面に配置される。また、基板10には、接地電極13,14に接続される貫通配線(たとえば貫通配線33a,33b,33c,33dなど)と、固定電極15,16に接続される貫通配線(たとえば貫通配線35b,36bなど)とが配置される。
静電マイクロリレー102の他の部分の構成は、第1の実施の形態に係る静電マイクロリレー101の対応する部分の構成と同じである。第2の実施の形態によれば、信号入力部としての貫通配線が複数の信号線の接続点に接続される。したがって第1の実施の形態と同じように、より高い周波数帯域での挿入損失を低減することができるので、静電マイクロリレーの特性を向上させることができる。
なお、第2の実施の形態に係る静電マイクロリレー102は、基本的には、図11に示された製造方法に従って製造可能である。たとえば、図12に示されたステップS11と図18に示されたステップS21とを置き換えればよく、また、ステップS13の後に、貫通配線を形成するステップおよび、外部電極を形成するステップが追加されてもよい。ただし、貫通配線を形成するステップと電極および信号線のパターンを形成するステップの順番は特に限定されるものではない。
また、第2の実施の形態では、将来的にキャップとなるガラス基板には、貫通配線および電極は形成されていない。したがって、図18に示されたステップS21において、貫通配線のないガラス基板が準備される。さらに、ステップS22,S23,S25の処理が省略される。
上記の各実施の形態では、SPDTスイッチと等価な構成を有する静電マイクロリレーを示した。すなわち、1つの信号入力部に対して2つの接点を備えるスイッチが示される。しかし本発明の実施の形態に係る静電マイクロリレーの構成はこのように限定されるものではない。
図27は、本発明の実施の形態に係る静電マイクロリレーの他の構成例を模式的に示した第1の図である。図28は、本発明の実施の形態に係る静電マイクロリレーの他の構成例を模式的に示した第2の図である。図29は、本発明の実施の形態に係る静電マイクロリレーの他の構成例を模式的に示した第3の図である。
図27〜図29を参照して、第1の例では、信号入力部131に対して、3つの固定接点141〜143が設けられる。第2の例では、信号入力部131に対して、4つの固定接点141〜144が設けられる。このように、本発明の実施の形態では、信号入力部131に対して、n(nは2以上の整数)個の固定接点141〜14nを有する静電マイクロリレーを実現することができる。
なお、信号入力部131から複数の固定接点の各々までの長さは、互いに等しいことが好ましい。これにより、どの固定接点が選択された(固定接点と可動接点とが接触した状態)であっても、スタブの長さが実質的に変わらないので、特性の安定した静電マイクロリレーを実現することができる。したがって、n個の固定接点は、たとえば信号入力部に対して放射状に配置される。
さらに、信号入力部131から、複数の固定接点の各々までの長さは可能な限り短いことが好ましい。これにより、より高い周波数まで挿入損失の低下を抑制することができるので、特性に優れた静電マイクロリレーを実現することができる。
信号入力部131から複数の固定接点の各々までの長さを互いに等しくする、および/または、信号入力部131から複数の固定接点の各々までの長さを最短にするため、たとえば図29に示されるように、隣り合う2つの固定接点は、信号入力部131の中心に対して(360°/n)の角度をなすように配置される。すなわち、複数の固定接点は等角度に配置される。
平面上で複数の固定接点を信号入力部131の中心に対して等角度で配置することによって、複数の固定接点にそれぞれ対応する複数のアクチュエータが、互いに干渉する可能性を低くすることができる。しかしながら、上記のように、信号の入力点から固定接点までの最短距離は、複数のアクチュエータの配置の関係に従って定めることができる。たとえば複数のアクチュエータが互いに干渉しない、あるいは複数のアクチュエータ同士の間隔が最短となるように複数のアクチュエータを配置することで、信号入力部131から複数の固定接点の各々までの長さを最短にすることができるのであれば、隣り合う2つの固定接点は、信号入力部131の中心に対して(360°/n)の角度をなすように配置されるものと限定されるものではない。たとえばn=3の場合、3つのアクチュエータが互いに干渉することを回避できるのであれば、3つの固定接点141〜143が信号入力部131の中心に対して0°、90°、180°の方向に配置された構成を採用してもよい。
また、上述の実施の形態では、2つのアクチュエータが、いずれも両持ち梁構造を有する。しかし、アクチュエータの構造をこのように限定する必要はない。
図30は、本発明の実施の形態に係る静電マイクロリレーが有するアクチュエータの他の構成例を模式的に示した図である。図31は、図30に示された構成の変形例である。図30および図31を参照して、アクチュエータ25,26の各々は片持ち梁構造を有する。したがって、固定電極は、アクチュエータ25,26に対応した形状となる。図30と図31とでは、アクチュエータ25,26の配置が異なっている。このような構成によれば、上記の実施の形態1,2に係る静電マイクロリレーよりもサイズを小さくすることができる。
図32は、本発明の実施の形態に係る静電マイクロリレーが有するアクチュエータのさらに他の構成例を模式的に示した図である。図33は、図32に示された構成の変形例である。図32および図33を参照して、アクチュエータ25は両持ち梁構造を有する(電極25a,25bに可動接点21aが連結される)。これに対してアクチュエータ26は片持ち梁構造を有する。このように、両持ち梁構造を有するアクチュエータと片持ち梁構造を有するアクチュエータとを組み合わせてもよい。
また、上述の実施の形態では、コプレーナ線路が基板に形成された形態を示した。しかしながら、コプレーナ線路に代えて、他の線路、たとえばマイクロストリップ線路が基板に形成されてもよい。この場合には、基板10の表側の面に信号線11,12が形成されて、基板10の裏側の面に接地電極が形成される。第1の実施の形態と同じく、キャップ30に形成された貫通配線によって信号入力部および信号出力部が構成される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,11,12,111,111B,111C 信号線、10,110 基板、10a 導電性材料、11a,12a,111a,141〜144,14n 固定接点、13,14,113,114,114A,114B 接地電極、15,16,115 固定電極、15a,15b,16a,16b,25a,25b,26a,26b,115a,115b,125a,125b 電極、20 シリコンウェハ、21a,22a,121a 可動接点、25,26,125,126 アクチュエータ、30,130 キャップ、31,31a,32a,33a,33b,33c,33d,34a,34b,34c,35a,35b,35,36,36a,36b 貫通配線、38 封止材料、39a,39b キャビティ、40,50 導電層、40a,50a 密着層、40b,50b 表面層、41,41a,42a,43a,43b,43c,44a,44b,44c,45a,45b,45,46 外部電極、41b,51a,52a,55,56 内部電極、51 パッド、61,62 フォトレジスト、101,102,200,200A,200B,201 静電マイクロリレー、131 信号入力部。

Claims (15)

  1. 基板と、
    前記基板に配置されて、信号を受けるための入力点と、前記入力点に入力された前記信号を分配するための複数の信号経路とを有し、前記複数の信号経路の各々に固定接点が形成された信号線と、
    前記固定接点ごとに設けられて、対応する固定接点と空間を隔てて対向するように配置された、複数の可動接点と、
    前記複数の可動接点の各々に連結されて、当該連結された可動接点を前記対応する固定接点と接触および離間させる、複数の可動電極と、
    前記複数の可動電極を収容する空間が形成されて、前記基板と接合されるキャップと、
    信号入力部とを備え、前記信号入力部は、前記キャップまたは前記基板を貫通して前記信号線の前記入力点に接続される貫通配線を含む、静電マイクロリレー。
  2. 前記複数の信号経路の間では、前記入力点から前記固定接点までの長さが、互いに等しい、請求項1に記載の静電マイクロリレー。
  3. 前記入力点から前記固定接点までの前記信号経路の長さは、前記複数の可動電極の配置によって規定される最短距離とされる、請求項1または2に記載の静電マイクロリレー。
  4. 前記基板の表面において、前記信号線の両側に配置された1対の接地導体をさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の静電マイクロリレー。
  5. 前記キャップと前記基板とを接合するための封止部材と、
    各々が、前記キャップまたは前記基板を貫通する貫通配線を含むとともに、前記対応する固定接点に対して前記入力点と反対側に位置する前記信号経路の部分に接続される複数の信号出力部とをさらに備え、
    前記キャップの前記空間は、前記封止部材によって封止され、
    前記封止部材は、前記信号入力部および前記複数の信号出力部の前記貫通配線を囲むように配置される、請求項1から4のいずれか1項に記載の静電マイクロリレー。
  6. 前記貫通配線に接続される外部電極をさらに備え、前記外部電極は、前記貫通配線が前記キャップに設けられている場合には、前記基板と対向する面と反対側に位置する前記キャップの表面に配置され、前記貫通配線が前記基板に設けられている場合には、前記信号線が形成された面と反対側に位置する前記基板の表面に配置される、請求項1から5のいずれか1項に記載の静電マイクロリレー。
  7. 前記複数の信号出力部の各々は、前記キャップに形成された前記貫通配線を含む、請求項5に記載の静電マイクロリレー。
  8. 前記複数の信号出力部の各々は、前記基板に形成された前記貫通配線を含む、請求項5に記載の静電マイクロリレー。
  9. 前記信号入力部は、前記キャップに形成された前記貫通配線を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の静電マイクロリレー。
  10. 前記信号入力部は、前記基板に形成された前記貫通配線を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の静電マイクロリレー。
  11. 前記キャップおよび前記基板は、ガラスによって形成される、請求項1から10のいずれか1項に記載の静電マイクロリレー。
  12. 前記複数の可動電極のうちの少なくとも1つは、前記可動接点を支持するための両持ち梁構造を有する、請求項1から11のいずれか1項に記載の静電マイクロリレー。
  13. 前記複数の信号経路は、1つの直線を形成するように配置された2つの信号経路であり、
    前記信号線は、前記信号入力部に接続されて前記入力点を規定するパッドを有する、請求項1から12のいずれか1項に記載の静電マイクロリレー。
  14. 静電マイクロリレーの製造方法であって、
    基板を準備するステップと、
    前記基板に、信号線を形成するステップとを備え、
    前記信号線は、信号を受けるための入力点と、前記入力点に入力された前記信号を分配するための複数の信号経路とを有し、前記複数の信号経路の各々に固定接点が形成され、
    前記製造方法は、
    前記固定接点ごとに設けられて、対応する固定接点と空間を隔てて対向するように配置された複数の可動接点、および前記複数の可動接点の各々に連結された複数の可動電極を形成するステップと、
    前記複数の可動電極を収容するための空間と、貫通配線とが形成されたキャップを準備するステップと、
    前記キャップと前記基板とを封止材料によって接合するステップとをさらに備え、
    前記接合するステップにおいて、前記キャップの前記貫通配線が前記信号線の前記入力点に接続される、静電マイクロリレーの製造方法。
  15. 静電マイクロリレーの製造方法であって、
    基板を準備するステップと、
    前記基板に、信号線と、前記信号線に接続される貫通配線とを形成するステップとを備え、
    前記信号線は、信号を受けるための入力点と、前記入力点に入力された前記信号を分配するための複数の信号経路とを有し、前記複数の信号経路の各々に固定接点が形成され、
    前記貫通配線は、前記信号線の前記入力点に接続されており、
    前記製造方法は、
    前記固定接点ごとに設けられて、対応する固定接点と空間を隔てて対向するように配置された複数の可動接点、および前記複数の可動接点の各々に連結された複数の可動電極を形成するステップと、
    前記複数の可動電極を収容するための空間と、貫通配線とが形成されたキャップを準備するステップと、
    前記キャップと前記基板とを封止材料によって接合するステップとをさらに備える、静電マイクロリレーの製造方法。
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